以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置1の主要な構成を示すものである。本画像読取装置1は、例えば、コピーやファクシミリ、スキャナ、これらの機能を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1に示すように、画像読取装置1は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2に対して、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF:Auto Document Feeder)3を備えた原稿カバー4が、背面側(紙面後方)の蝶番を介して開閉自在に取り付けられたものである。このADF3が本発明に係る自動原稿搬送装置を構成している。
原稿載置台2には、原稿カバー4と対向する天面にプラテンガラス20,21が配設されている。原稿カバー4が開かれることにより、プラテンガラス20,21が原稿載置台2の上面として露出される。原稿カバー4が閉じられることにより、プラテンガラス20,21を含めて原稿載置台2の上面全体が覆われる。原稿載置台2の内部には、プラテンガラス20,21に対向するようにして画像読取ユニット22(画像読取手段)が内蔵されている。
プラテンガラス20は、画像読取装置1をFBSとして使用する場合に原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の上面中央には、プラテンガラス20を露出するための開口が形成されており、該開口から露出されたプラテンガラス20の領域がFBSにおける原稿読取領域となる。
プラテンガラス21は、画像読取装置1のADF3を使用する場合の読取位置であり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の読取位置には、プラテンガラス21を露出するための開口が形成されている。該開口から露出されたプラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、図1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス20とプラテンガラス21との間に、位置決め部材23が介設されている。位置決め部材23は、プラテンガラス21と同様に図1の奥行き方向に延設された長尺の平板状の部材である。位置決め部材23は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス20上に原稿が載置される際に、原稿の位置決め基準として用いられる。そのために、位置決め部材23の上面には、中央位置やA4サイズ、B5サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。位置決め部材23の上面には、ADF3によりプラテンガラス21上を通過する原稿をすくい上げるように偏向してADF3に戻すガイド面が形成されている。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス20,21を通じて原稿に光を照射し、該原稿からの反射光をレンズにより受光素子に集光して電気信号に変換するいわゆるイメージセンサである。画像読取ユニット22として、例えば、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサや縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いることができる。画像読取ユニット22は、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス20,21の下方を往復移動可能に設けられており、キャリッジモータの駆動力を受けてプラテンガラス20,21と平行に往復移動する。
原稿カバー4には、給紙トレイ30(原稿載置部)から原稿搬送路32を通じて排紙トレイ31(原稿排出部)へ原稿を連続搬送するADF3が備えられている。ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置を通過し、プラテンガラス21の下方において待機する画像読取ユニット22が該原稿の画像を読み取るようになっている。
図1に示すように、原稿カバー4には、給紙トレイ30及び排紙トレイ31が、給紙トレイ30を上側として上下二段に設けられている。給紙トレイ30には、ADF3により画像読取りを行う原稿が載置される。複数枚の原稿が、第1面を上向きにした積層状態で給紙方向の先端を原稿搬送路32に挿入するようにして、給紙トレイ30上に載置される。
排紙トレイ31は、給紙トレイ30の下側に上下方向に隔てた位置にあり、原稿カバー4の上面に一体的に形成されている。画像読取りが行われてADF3から排紙された原稿は、給紙トレイ30上の原稿と分離した状態で排紙トレイ31上に第1面を下にして積載されるようにして保持される。
図に示すように、ADF3の内部には、給紙トレイ30と排紙トレイ31とを、プラテンガラス21上の読取位置を経て連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32が形成されている。原稿搬送路32は、ADFフレーム26を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。このように、給紙トレイ30と排紙トレイ31とを上下二段に設け、これらを連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32を形成することにより、ADF3の幅を狭くして小型化することができる。
原稿搬送路32は、給紙トレイ30から原稿カバー4の一端側(図左側)へ延出され、続いて下方へ反転するように湾曲されてプラテンガラス21上の読取位置に至り、該読取位置から排紙トレイ31へ向かって延出された縦断面視が横向き略U字形状である。原稿搬送路32は、大別すれば、略U字形状において上下二段の直線部分をなす上側部分32A及び下側部分32Cと、上側部分32Aと下側部分32Cとを連続するようにして湾曲する湾曲部分32Bとの3つの部分からなる。原稿搬送路32は、ADF3による原稿の片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿の搬送経路として用いられる。
原稿搬送路32は、その下側部分32Cの外側ガイド面に、読取位置となるプラテンガラス21と対向する位置に開口28が形成されている。開口28を通じて、原稿搬送路32の下側部分32Cを搬送される原稿がプラテンガラス21を通過するようにされる。開口28は、原稿カバー4の下面に形成されているので、原稿載置台2に対して原稿カバー4が開かれることにより、開口28が装置正面側へ露出される。仮に、ADF3を使用している際に、原稿搬送路32の下側部分32Cにおいて原稿のジャムが生じれば、原稿カバー4を開き、開口28を通じて露呈されている原稿を引き出すことにより、ジャム処理が可能である。
原稿搬送路32には、原稿を搬送するための原稿搬送手段が配設されている。詳細には、図に示すように、原稿搬送路32にそれぞれ設けられた吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37とによって原稿搬送手段が構成されている。
図に示すように、原稿搬送路32の最上流付近には、吸入ローラ33及び分離ローラ34が設けられている。吸入ローラ33は、分離ローラ34の回転軸と同軸に設けられたアーム29の先端部に回転自在に設けられている。分離ローラ34は、吸入ローラ33から給紙方向へ隔てた位置に、原稿搬送路32の対向面に当接するようにして回転可能に設けられている。吸入ローラ33及び分離ローラ34は、モータからの駆動力が伝達されて回転駆動され、アーム29もモータからの駆動力が伝達されて揺動される。吸入ローラ33及び分離ローラ34は同径であり、同じ周速度で回転される。分離ローラ34の対向位置には、分離ローラ34のローラ面と圧接して、摩擦により原稿を分離する分離パッドが配設されている。
搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、原稿搬送路32の異なる位置にそれぞれ配設されている。詳細には、搬送ローラ35Aは分離ローラ34の直下流側に配置され、搬送ローラ35Bは原稿搬送路32の上側部分32Aに配置され、搬送ローラ35Cは原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直上流に配置され、搬送ローラ35Dは原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直下流に配置されている。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、モータからの駆動力が伝達されて回転駆動される。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの対向位置には、ピンチローラ37がそれぞれ設けられている。各ピンチローラ37は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dのローラ面に圧接されている。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dが回転すれば、これに従動して各ピンチローラ37も回転する。各ピンチローラ37により、原稿が各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dに圧接されるように狭持され、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転力が原稿に伝達される。
搬送ローラ35A及びピンチローラ37(第1のローラ対)から、搬送ローラ35B及びピンチローラ37(第2のローラ対)までの原稿搬送路32の距離Dは、ADF3が搬送可能な最小サイズ未満の原稿の搬送方向の長さより長い。例えば、ADF3により搬送可能な最小サイズがA5サイズの長手方向であれば、距離Dは210mmより短い。これにより、A5サイズの原稿が長手方向に給紙されると、該原稿は、少なくとも搬送ローラ35A及びピンチローラ37、又は、搬送ローラ35B及びピンチローラ37のいずれか一方に狭持される。そして、搬送ローラ35A,35Bの一方又は双方の回転を受けて、該原稿が原稿搬送路32を搬送される。なお、搬送ローラ35B,35C,35D、排紙ローラ36間のそれぞれの距離も210mmより短いので、原稿搬送路32を搬送される原稿は、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D又は排紙ローラと、これらに圧接するピンチローラ37のいずれかに狭持される。
距離Dは、A5サイズ未満の原稿、例えばB6サイズの原稿の長手方向の長さである182mmより長い。したがって、B6サイズの原稿は、原稿搬送路32の上側部分32Aにおいて、搬送ローラ35A及びピンチローラ37、並びに、搬送ローラ35B及びピンチローラ37のいずれにも狭持されないことになる。これらのいずれにも狭持されない原稿は原稿搬送路32を搬送されない。換言すれば、原稿搬送路32の上側部分32Aを搬送可能な原稿は、例えばA5サイズの原稿のように、距離Dより長い搬送方向の長さを有する。したがって、B6サイズの原稿は、仮に給紙トレイ30から原稿搬送路32に給送されたとしても、搬送ローラ35Aと搬送ローラ35Bとの間で、いずれのローラ対にも狭持されずに原稿搬送路32に残る。なお、搬送ローラ35B,35C,35D、排紙ローラ36間のそれぞれの距離は、182mmより長くする必要はない。また、本実施の形態では、ADF3により搬送可能な最小サイズの原稿をA5サイズとして説明しているが、A5サイズは最小サイズの一例であり、例えば、B6サイズやA6サイズ等のその他のサイズも搬送可能な最小サイズとなり得ることは言うまでもない。
排紙ローラ36は、原稿搬送路32の最下流付近に配設されており、搬送ローラ35と同様に、モータからの駆動力が伝達されて回転駆動される。排紙ローラ36の対向位置にもピンチローラ37がそれぞれ設けられており、ピンチローラ37はバネにより弾性付勢されて、排紙ローラ36に圧接されている。
原稿搬送路32の上側部分32Aには、スイッチバックパス39が連結されている。スイッチバックパス39は、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を、先端と後端とを逆転させて原稿搬送路32へ再送するためのものである。スイッチバックパス39は、読取位置に対して上流側となる原稿搬送路32の上側部分32Aの合流位置38に連結され、合流位置38から給紙トレイ30の方向へ斜め上方へ延出するように形成されている。スイッチバックパス39を原稿搬送路32の上側部分32Aから給紙トレイ30の方向へ斜め上方へ形成することにより、給紙トレイ30の上側のスペースを有効活用することができる。
スイッチバックパス39の終端40は、ADF3の上面に開口されている。スイッチバックパス39により構成される搬送経路の距離は、少なくとも両面読取りが可能な最大サイズの原稿の搬送方向の長さより短く設定されているので、スイッチバックパス39に進入した原稿の一部は、終端40を超えてADF3の外側へ突出する。つまり、スイッチバックパス39の搬送経路の距離は、両面読取りが可能な最大原稿の搬送方向の長さ以上に確保する必要がない。
スイッチバックパス39の終端40から給紙トレイ30側には、終端40から連続するようにして、原稿支持部41が形成されている。原稿支持部41は、スイッチバックパス39の終端40から突出された原稿を支持するためのものであり、給紙ローラ33及び分離ローラ34の上側においてADFカバー27(カバー部材)をなしている。
ADFカバー27は、原稿カバー4と一体に形成されたADFフレーム26(装置本体)とともにADF3の筐体を構成する。ADFカバー27は、ADFフレーム26に対して回動可能に設けられて、ADF3の筐体の主に上面を形成している。したがって、スイッチバックパス39の終端40は、ADFカバー27に開口している。図2に示すように、ADFカバー27は、原稿カバー4の側方(図1左側)に設けられた回動軸25を中心として、給紙トレイ30側を上方へ持ち上げるようにして回動される。
ADFカバー27の回動先端側は、給紙ローラ33及び分離ローラ34を覆うように延出されており、ADFカバー27と一体に形成された原稿支持部41は、終端40から給紙トレイ30側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34による給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス39に進入して終端40からADF3の外側へ突出した原稿が、給紙トレイ30に積載された原稿の給紙位置より下流側(図左側)に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿が乱されることが防止される。
ADFカバー27の内面側には、ガイドリブ24が突設されている。ガイドリブ24は、原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数形成されており、原稿搬送路32の搬送ローラ35A付近の外側ガイド面、合流位置38の下流側から湾曲部分32Bの一部までの外側ガイド面を形成している。また、ガイドリブ24には、スイッチバックパス39の終端40側の搬送経路が形成されている。
ADFカバー27は、ADFフレーム26に対して回動されることにより、図1に示す閉姿勢と、図2に示す開姿勢に姿勢変化する。ADF3を使用する際には、ADFカバー27は閉姿勢にされる。ADFカバー27は、閉姿勢を維持するようにADFフレーム26に係止される。ADFカバー27の係止機構は、ロックレバー等の周知の機構を用いることができる。該係止機構が解除され、ADFカバー27が開姿勢にされることにより、ガイドリブ24もADFカバー27とともに回動されて、原稿搬送路の32上側部分32Aの合流位置38付近から湾曲部分32Bの一部が開放される。搬送ローラ35Bは、原稿搬送路32の合流位置38から湾曲部分32Bの間に配置されているので、ADFカバー27が開姿勢にされることにより露出される。また、ADFカバー27が開姿勢にされることにより、吸入ローラ33及び分離ローラ34の上側も開放される。これにより、分離ローラ34の直下流に配置された搬送ローラ35Aが露出される。
スイッチバックパス39には、スイッチバックローラ42が配設されている。スイッチバックローラ42は、モータからの駆動力が伝達されて正逆双方向に回転駆動される。スイッチバックローラ42の対向位置には、ピンチローラ43が設けられている。ピンチローラ43は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、スイッチバックローラ42のローラ面に圧接されており、スイッチバックローラ42の回転に従動して回転する。ピンチローラ43により、原稿がスイッチバックローラ42に圧接されて、スイッチバックローラ42の回転力が原稿に伝達される。スイッチバックローラ42及びピンチローラ43により、原稿をスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段が実現されている。
図2に示すように、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配置されたスイッチバックパス39の一部分は、ADFフレーム26側に固定されている。したがって、該スイッチバックパス39の一部分は、ADFカバー27とともに回動されずにADFフレーム26側に残る。ピンチローラ43は、スイッチバックローラ42に対して付勢されているので、ピンチローラ43を軸支する部材は、該付勢力に抗してピンチローラ43を所定の位置に支持することを要する。図に示すように、ピンチローラ43をADFフレーム26側の部材で支持させることにより、ADFカバー27に、ピンチローラ43の付勢力に抗して閉姿勢を維持できる係止機構が必要とされないので、ADFカバー27の構成が簡易になる。一方、スイッチバックパス39のうち、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配置された位置より終端40側の一部分は、ADFカバー27とともに回動される。
原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の下流側には、バイパス44が形成されている。バイパス44は、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿をスイッチバックパス39へ導くためのものである。バイパス44は、原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の下流側の分岐位置45から分岐して、合流位置38へ連結するように斜め上方へ向かって形成されている。横向き略U字形状の原稿搬送路32にスイッチバックパス39が連結される合流位置38を原稿搬送路32の上側部分32Aに配置し、原稿搬送路32からバイパス44が分岐する分岐位置45を原稿搬送路32の下側部分32Cに配置することにより、原稿搬送路32の湾曲部分32B付近の構成を簡略化することができる。
原稿搬送路32の読取位置からバイパス44を経てスイッチバックパス39により形成される搬送経路は、縦断面視においてS字形状をなすように形成されている。これにより、原稿搬送路32の読取位置からバイパス44を経てスイッチバックパス39への原稿の搬送が円滑となり、合流位置38及び分岐位置45等における紙詰まりが防止される。原稿搬送路32の略U字形状の直線部分の上側部分32Aから合流位置38を経てスイッチバックパス39により形成される搬送経路も、縦断面視においてS字形状をなるように形成されている。これにより、スイッチバックパス39から合流位置38を経て原稿搬送路32の上側部分32Aへの原稿の搬送が円滑となり、合流位置38等における紙詰まりが防止される。
原稿搬送路32の合流位置38から読取位置及び分岐位置45を経て、バイパス44から再び合流位置38に至るループ形状の搬送経路の長さは、両面読取りが可能な最大原稿の搬送方向の長さより長くなるように設定されている。例えば、両面読取りが可能な最大原稿がA4サイズであれば搬送方向の長さは297mmであり、レターサイズであれば11インチであり、リーガルサイズであれば14インチであるので、上記ループ形状の搬送経路の長さがこれらより長くなるように設定される。これにより、両面読取りにおいて、読取位置を通過して合流位置38へ原稿の先端が進入する際には、該原稿の後端は合流位置38を必ず通過しているので、合流位置38における紙詰まり等を防止することができる。
図1及び図3に示すように、合流位置38には、所望の搬送経路に原稿を案内するためのガイドフラップ46(第1の案内部材)及びガイドフラップ47(第2の案内部材)が配設されている。ガイドフラップ46は、合流位置38における原稿搬送路32の読取位置側とバイパス44との隅部(図左下側)に設けられた軸48を中心に所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ46は、羽根形状の平板であり、その先端が合流位置38に突出されている。図においては、ガイドフラップ46は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ46が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ46が一体に回動される。
ガイドフラップ46は、軸48を中心に回動することにより、図3に実線で示した第1の案内姿勢と、2点鎖線で示した第2の案内姿勢とに姿勢変化する。ガイドフラップ46が第1の案内姿勢となることにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側(図右側)から読取位置側(図左側)への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32からバイパス44(図下側)への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から合流位置38に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つバイパス44へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39から合流位置38に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つバイパス44へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46が第2の案内姿勢となることにより、バイパス44からスイッチバックパス39(図上側)への搬送経路が連続するとともに、バイパス44から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。これにより、バイパス44から合流位置38に到達した原稿は、スイッチバックパス39へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ46は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図3に実線で示した第1の案内姿勢にある。バイパス44を上側へ向かって搬送される原稿がガイドフラップ46に当接することにより、ガイドフラップ46が上側に押しやられるようにして、図3に2点鎖線で示した第2の案内姿勢になる。一方、スイッチバックパス39から合流位置38に搬送された原稿は、ガイドフラップ46に当接するが、ガイドフラップ46は第1の案内姿勢から下側へは回動しないので、該原稿はガイドフラップ46に案内されて、原稿搬送路32の上側部分32Aを読取位置側へ進入する。ガイドフラップ46の羽根形状は、バイパス44から合流位置38へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39から合流位置38へ搬送される原稿が原稿搬送路32の読取位置側へ案内されやすい形状が採用される。なお、ガイドフラップ46を原稿の当接により姿勢変化させるのではなく、ガイドフラップ46にモータ等からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させることとしてもよい。
ガイドフラップ47は、合流位置38における原稿搬送路32の給紙トレイ30側とスイッチバックパス39との隅部(図右上側)に設けられた軸49を中心に所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ47は、羽根形状の平板であり、その先端が合流位置38に突出されている。図においては、ガイドフラップ47は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ47が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ47が一体に回動される。
ガイドフラップ47は、軸49を中心に回動することにより、図3に実線で示した第3の案内姿勢と、2点鎖線で示した第4の案内姿勢とに姿勢変化する。ガイドフラップ47が第3の案内姿勢となることにより、スイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39から原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39から合流位置38に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ給紙トレイ30側へ進入することが制止される。また、バイパス44から合流位置38に到達した原稿は、スイッチバックパス39へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47が第4の案内姿勢となることにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の給紙トレイ30側からスイッチバックパス39への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から合流位置38に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ47は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図3に実線で示した第3の案内姿勢にある。原稿搬送路32の給紙トレイ30側から搬送される原稿がガイドフラップ47に当接することにより、ガイドフラップ47が左側に押しやられるようにして、図3に2点鎖線で示した第4の案内姿勢になる。一方、バイパス44から合流位置38に搬送された原稿が、仮にガイドフラップ47に当接したとしても、ガイドフラップ47は第3の案内姿勢から右側へは回動しないので、該原稿はガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39へ進入する。ガイドフラップ47の羽根形状は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から合流位置38へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、バイパス44から合流位置38へ搬送される原稿がスイッチバックパス39へ案内されやすい形状が採用される。なお、ガイドフラップ47を原稿の当接により姿勢変化させるのではなく、ガイドフラップ47にモータ等からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させることとしてもよい。また、本実施の形態では、合流位置38における案内部材としてガイドフラップ46及びガイドフラップ47を用いたが、これらに代えて弾性変形可能なフィルムを採用してもよい。
図1及び図4に示すように、分岐位置45には、ガイドフラップ50が配設されている。ガイドフラップ50は、軸51を中心に回動可能に配設されており、モータから駆動力が伝達されることにより、図4に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置とに回動される。ガイドフラップ50が実線で示した位置にある場合には、原稿搬送路32の読取位置側(図左側)から排紙トレイ31側(図右側)への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、原稿搬送路32の下側部分32Cを排紙トレイ31へ向かって分岐位置45を案内される。ガイドフラップ50が2点鎖線で示した位置にある場合には、原稿搬送路32の下側部分32Cの読取位置下流側からバイパス44への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、バイパス44へ進入するように分岐位置45を案内される。このようにして、ガイドフラップ50は、分岐位置45において原稿を原稿搬送路32又はバイパス44のいずれかに案内可能に配設されている。なお、図においては、ガイドフラップ50は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ50が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ50が一体に回動される。
図1に示すように、原稿搬送路32及びバイパス44には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、原稿搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ52及び第2フロントセンサ53がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ54が配設されている。バイパス44には、スイッチバックセンサ55が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、検出する位置の違いにより検出子の形状等が異なる他は同様の構成をなすものなので、第1フロントセンサ52を例に構成を説明する。
第1フロントセンサ52は、図5に示すように、原稿搬送路32の下面から突出するとともに、原稿と接触することにより原稿搬送路32から退避するように回動する検出子56と、検出子56の回動を検出するフォトインタラプタ57とからなる。検出子56には、フォトインタラプタ57により検知される遮蔽部58が一体的に形成されており、軸59を中心に回動自在に設けられている。検出子56は、不図示のバネ等の付勢手段により、検出子56が原稿搬送路32に突出する位置に、すなわち図において時計回り方向へ弾性付勢されている。検出子56に外力が付与されない状態では、図に実線で示すように、検出子56は原稿搬送路32に突出し、遮蔽部58はフォトインタラプタ57の発光部と受光部との間に位置する。これにより、フォトインタラプタ57の光伝達が遮断されて、第1フロントセンサ52がオフとなる。
給紙トレイ30に原稿が載置されると、該原稿が検出子56に当接して、検出子56を原稿搬送路32から退避するように回動させる。検出子56とともに遮蔽部58も回動され、図に2点鎖線で示すように、遮蔽部58はフォトインタラプタ57の発光部と受光部との間から離れる。これにより、フォトインタラプタ57の光伝達が遮断されなくなり、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿が載置されたか否かが検知される。
分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32に給送された原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、第2フロントセンサ53が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35の回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の後端が合流位置38を通過したか否かが判断される。
読取位置の直上流に配設されたリアセンサ54は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検知するためのものである。リアセンサ54が原稿の先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35の回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の先端又は後端が読取位置に到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ54の信号に基づいて制御され、原稿の先端が読取位置に到達すれば画像読取りが開始され、原稿の後端が読取位置に到達すれば画像読取りが終了される。
バイパス44に配設されたスイッチバックセンサ55は、そのオン/オフにより、バイパス44を搬送される原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、スイッチバックセンサ55が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35及びスイッチバックローラ42の回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の後端が合流位置38を通過したか否かが判断される。
以下、本画像読取装置1による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置1は、FBSとして使用することも、ADF3を使用することも可能であるが、FBSの使用は本発明に特に関連しないので詳細な説明は省略する。ADF3を使用する場合には、原稿カバー4を原稿載置台2に対して閉じた状態とする。原稿カバー4の開閉は、原稿載置台2に設けられたセンサ等により検知され、原稿カバー4が閉じられるとADF3が使用可能となるように制御されている。また、ADFカバー27は閉姿勢にする。そして、給紙トレイ30に読み取るべき原稿Gが載置される。原稿Gは、読取面(第1面)が上側となるように、所謂フェイスアップにして給紙トレイ30に載置される。また、原稿Gは1枚であっても複数枚であってもよい。例えば、同じサイズの複数枚の原稿Gの画像読取りを行う場合には、各原稿Gの第1ページの第1面が上向きとなるように、すなわちフェイスアップで重ね揃えて給紙トレイ30に載置される。
画像読取装置1に読取開始が入力されると、モータが駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ42が所定のタイミングで回転駆動される。また、アーム29が降下されて、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿Gと圧接する。そして、吸入ローラ33及び分離ローラ34の回転力を直接受ける最上位置の原稿Gから1枚ずつ分離されて原稿搬送路32へ送り込まれる。給送された原稿Gは、原稿搬送路32に案内されて読取位置へ搬送され、該読取位置の下方で静止された画像読取ユニット22により原稿Gの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gは、排紙トレイ31へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gの搬送経路が異なる。原稿Gの片面読取りを行うか両面読取りを行うかは、読取開始が入力される前に予め設定される。
まず、片面読取りについて説明する。図6に示すように、ガイドフラップ50は、分岐位置45における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、原稿Gが当接していない状態では、第1の案内姿勢、すなわち合流位置38における搬送経路を原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にある。ガイドフラップ47は、原稿Gが当接していない状態では、第3の案内姿勢、すなわち合流位置における搬送経路をスイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。
画像読取装置1に読取開始が入力されると、第1フロントセンサ52により給紙トレイ30上に原稿Gが載置されているか否かが検知される。給紙トレイ30上に原稿Gが載置されていない場合には、画像読取装置1の表示部に「原稿なし」のエラー表示が行われる。給紙トレイ30に原稿Gが載置されていれば、モータから駆動力が伝達されてアーム29が下方へ下がる。これにより、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿Gと圧接する。そして、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転することにより、原稿Gは原稿搬送路32へ繰り込まれる。給紙トレイ30に複数枚の原稿Gが載置されている場合に、最上位置の原稿Gに伴って、その直下の原稿が重送されることがあるが、該原稿は分離ローラ34の対向位置に設けられた分離パッドにより制止される。
原稿搬送路32では、搬送ローラ35及び排紙ローラ36にモータからの駆動力が伝達されて、これらが原稿搬送路32の上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転される。給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給紙された原稿Gは、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、原稿搬送路32を合流位置38に搬送される。
ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から合流位置38への搬送経路を閉止しているので、合流位置38に搬送される原稿Gはガイドフラップ47に当接する。図7に示すように、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32を搬送される原稿Gに押しやられるようにして、第3の案内姿勢から第4の案内姿勢に姿勢変化する。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、バイパス44への搬送経路は閉止されている。したがって、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から合流位置38に到達した原稿Gは、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39及びバイパス44に進入することなく、原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。
そして、図8に示すように、原稿Gが原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、その先端がリアセンサ54に検知される。原稿Gの先端は、リアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば画像読取ユニット22は、原稿Gの画像読取りを開始する。原稿Gは、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿Gの第1面の画像が読み取られる。そして、原稿Gの後端がリアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。なお、原稿Gの後端が合流位置38を通過することにより、ガイドフラップ47は、第4の案内姿勢から第3の案内姿勢に復帰する。
図9に示すように、原稿Gは、分岐位置45をガイドフラップ50に案内されて、原稿搬送路32の排紙トレイ31側へ向かって搬送される。そして、原稿Gが排紙ローラ36及びピンチローラ37にニップされ、原稿搬送路32から排紙トレイ31へ排出される。給紙トレイ30に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ30上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、原稿Gの片面の画像読取りが行われる。
つぎに、両面読取りについて説明する。原稿Gの給紙前は、片面読取りの説明において図6に示したように、ガイドフラップ50は、分岐位置45における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、第1の案内姿勢、すなわち合流位置38における搬送経路を原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にあり、ガイドフラップ47は、第3の案内姿勢、すなわち合流位置における搬送経路をスイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。
画像読取装置1に読取開始が入力されると、片面読取りの場合と同様に、第1フロントセンサ52により給紙トレイ30上に原稿Gが載置されているか否かが検知され、アーム29が下方へ下がるとともに、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、原稿Gは原稿搬送路32へ繰り込まれる。
原稿搬送路32では、搬送ローラ35,35B,35C,35Dが原稿Gを上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転され、給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給紙された原稿Gは、合流位置38に搬送される。合流位置38においては、片面読取りの説明において図7に示したように、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32を搬送される原稿Gに押しやられるようにして、第3の案内姿勢から第4の案内姿勢に姿勢変化する。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、バイパス44への搬送経路は閉止されている。したがって、原稿搬送路32の給紙トレイ30が側から合流位置38に到達した原稿Gは、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39及びバイパス44に進入することなく、原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。
そして、片面読取りの説明において図8に示したように、原稿Gが原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、その先端がリアセンサ54に検知される。原稿Gの先端は、リアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば画像読取ユニット22は、原稿Gの画像読取りを開始する。原稿Gは、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿Gの第1面の画像が読み取られる。そして、原稿Gの後端がリアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
ガイドフラップ50は、原稿Gの先端が原稿搬送路32の分岐位置45に至るまでに、分岐位置45の搬送経路を原稿搬送路32の読取位置側からバイパス44へ通ずるように切り替える。ガイドフラップ50の切り替えのタイミングは任意であり、例えば、原稿Gの給紙前であってもよい。なお、原稿Gの後端が合流位置38を通過することにより、ガイドフラップ47は、第4の案内姿勢から第3の案内姿勢に復帰する。
図10に示すように、第1面を読み取られた後の原稿Gは、ガイドフラップ50に案内されて、分岐位置45を原稿搬送路32からバイパス44へ進入する。ガイドフラップ46は、バイパス44から合流位置38への搬送経路を閉止しているので、バイパス44に進入した原稿Gは、合流位置38に到達する際にガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図10に示すように、バイパス44を搬送される原稿Gに押し上げられるようにして、第1の案内姿勢から第2の案内姿勢に姿勢変化する。これにより、バイパス44からスイッチバックパス39への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47により、原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路は閉止されている。したがって、バイパス44から合流位置38に到達した原稿Gは、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、原稿搬送路32に進入することなく、スイッチバックパス39へ搬送される。そして、原稿Gは、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43にニップされ、スイッチバックローラ42の回転によりスイッチバックパス39を終端40側へ搬送される。なお、図において原稿Gに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
図11に示すように、原稿Gの搬送方向後端が合流位置38を超えてスイッチバックパス39に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。詳細には、バイパス44を搬送される原稿Gの後端がスイッチバックセンサ55により検知された後、所定時間経過後に原稿Gの搬送方向後端が合流位置38を通過する。したがって、スイッチバックセンサ55の検知信号とスイッチバックローラ42による搬送距離又は搬送時間のカウントにより、原稿Gがスイッチバックパス39に完全に進入したことが判断できる。その後、スイッチバックローラ42が停止されることにより、図11に示すように、原稿Gがスイッチバックローラ42とピンチローラ43にニップされた状態で停止する。この際、原稿Gの一部は、スイッチバックパス39の終端40からADF3の外側へ突出した状態となっているが、突出した原稿Gの一部分は原稿支持部41により支持される。
原稿Gが合流位置38を通過してガイドフラップ46から離れることにより、ガイドフラップ46は下側へ回動して、第1の案内姿勢に復帰する。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、スイッチバックパス39を合流位置38へ戻るようにスイッチバック搬送される。
図12に示すように、スイッチバックパス39から戻された原稿Gは、合流位置38において、第1の案内姿勢のガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、第1の案内姿勢から下側へ回動しない。したがって、スイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、バイパス44への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路を閉止している。したがって、原稿Gは、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、バイパス44や原稿搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することなく、スイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。原稿Gがスイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置の上流側へ戻されることにより、原稿Gは、最初に原稿搬送路32を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で原稿搬送路32を再送される。このようにして、原稿Gがスイッチバック搬送される。そして、原稿Gは、第2面を読取位置に対向させるようにして原稿搬送路32を搬送される。
原稿Gの先端がリアセンサ54に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、図13に示すように、画像読取ユニット22により、原稿Gの第2面の画像読取りが開始される。第2面を読み取られた後の原稿Gは、ガイドフラップ50に案内されて、分岐位置45を原稿搬送路32からバイパス44へ進入する。なお、原稿Gの後端がリアセンサ54に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
バイパス44に進入した原稿Gは、図10と同様に、ガイドフラップ46を押し上げて第1の案内姿勢から第2の案内姿勢に姿勢変化させて、合流位置38をバイパス44からスイッチバックパス39に進入する。そして、図11と同様に、原稿Gの搬送方向後端が合流位置38を超えてスイッチバックパス39に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止する。また、ガイドフラップ46は、原稿Gが通過することにより、第2の案内姿勢から第1の案内姿勢に復帰する。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、図12と同様にして、スイッチバックパス39を原稿搬送路32側へ戻されて、先端と後端とが再び逆転される。
ガイドフラップ50は、原稿Gがスイッチバック搬送された後、搬送方向先端が原稿搬送路32の分岐位置45に至るまでの間に、分岐位置45における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ切り替える。もちろん、スイッチバックローラ42の逆転と同時に、ガイドフラップ50が搬送経路を切り替えてもよい。これにより、図9と同様に、原稿Gは分岐位置45を、ガイドフラップ50に案内されて、原稿搬送路32の排紙トレイ31側へ搬送され、第1面を下にした状態で排紙トレイ31に排紙される。給紙トレイ30に、次の原稿がセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ30上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、両面の画像読取りが行われる。そして、排紙トレイ31へは、第1面を下にした状態で原稿Gが順次排紙されるので、給紙トレイ30に複数枚の原稿Gを積載した状態が維持される。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ30に載置された複数枚の原稿Gの順序を維持した状態で排紙トレイ31へ排紙されるものとして、画像読取装置1による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ30に載置された原稿Gの順序と排紙トレイ31に排紙された原稿Gの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gの第2面を対向させて原稿が搬送された後、再びバイパス44に原稿Gを進入させることなく、分岐位置45を排紙トレイ31側へ搬送して、排紙トレイ31へ排紙させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ31において原稿Gの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gの両面読取りに要する時間を短縮することができる。
ADF3による片面読取り又は両面読取りのための原稿搬送において、原稿Gが紙詰まり(ジャム)を起こすことがある。例えば、図9に示すように、原稿搬送路32の下側部分32Cの排紙ローラ36付近を原稿Gが搬送されている際にジャムが生じた場合には、排紙トレイ31に一部露出された原稿Gを持って引き出すことにより、ジャム処理を行うことができる。また、図8,13に示すように、原稿搬送路32の下側部分32Cの開口28を原稿Gが通過中にジャムが生じた場合には、原稿カバー4を原稿載置台2に対して開くことにより開口28が露出されるので、開口28から原稿Gを引き出すことによりジャム処理を行うことができる。また、図11に示すように、スイッチバックパス39の終端40から原稿Gが突出されている際にジャムが生じた場合には、終端40から突出された原稿Gを持って引き出すことにより、ジャム処理を行うことができる。
これに対し、図7や図10、図12に示すように、原稿Gが原稿搬送路32やスイッチバックパス39から突出されず、原稿Gの全体がADF3の内部にある状態でジャムが生じた場合には、該原稿Gを取り除くために、ADF3の内部を露出させる必要がある。
図2に示したように、ADFカバー27を開姿勢にすることにより、原稿搬送路32の上側部分32Aと湾曲部分32Bの一部とが露出される。図7や図12に示す状態、すなわち原稿Gの少なくとも一部が原稿搬送路32の上側部分32Aや湾曲部分32Bにある状態でジャムが生じれば、ADFカバー27を開くことにより該原稿Gが露出される。したがって、図7及び図12に示した状態から、露出された原稿Gを引き出してジャム処理を行うことができる。また、ADFカバー27を開姿勢にすることにより、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配置された位置より終端40側のスイッチバックパス39の一部分もADFカバー27とともに回動される。図10に示すように、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43よりも終端40側に原稿Gが進入していれば、ADFカバー27を開くことにより該原稿Gの一部が露出される。したがって、図10に示した状態から、露出された原稿Gを引き出してジャム処理を行うことができる。
また、図1に示したように、搬送ローラ35A及びピンチローラ37から、搬送ローラ35B及びピンチローラ37までの原稿搬送路32の距離Dは、ADF3が搬送可能な最小サイズ、例えばA5サイズの210mmより短く、A5サイズ未満の原稿、例えばB6サイズの182mmより長い。したがって、A5サイズ未満の原稿Gが給紙トレイ30から原稿搬送路32に給送されたとしても、該原稿Gは、原稿搬送路32の上側部分32Aにおいて、搬送ローラ35Aと搬送ローラ35Bとの間に必ず残る。そして、ADFカバー27を開くことにより、搬送ローラ35A及び搬送ローラ35B、並びにこれらが配置された原稿搬送路32の上側部分32Aが露出される。したがって、使用者が、搬送可能な最小サイズ未満の原稿GをADF3に誤って給送させたとしても、該原稿Gは必ず原稿搬送路32の上側部分32Aに残り、ADFカバー27を開くことにより該原稿Gを容易に取り除くことができる。
このように、本画像読取装置1によれば、ADFフレーム26に対して開閉可能に設けられたADFカバー27を開くことにより、原稿搬送路32の上側部分32の合流位置38付近から湾曲部分32Bの一部までが開放されることとしたので、ADFカバー27の開放動作のみで、原稿搬送路32の上側部分32Aや湾曲部分32B、スイッチバックパス39のジャム処理等を行うことができる。
なお、本実施の形態では、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配置されたスイッチバックパス39の一部分は、ADFカバー27とともに回動されずにADFフレーム26側に残ることとしたが、ADFカバー27とともにスイッチバックパス39又はその一部が回動するようにしてもよい。
詳細には、図14に示すように、ADFカバー27に、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43を含むスイッチバックパス39の構成のすべてが固定され、これらがADFカバー27とともに回動されるものとしてもよい。これにより、ADFカバー27が開かれると、スイッチバックパス39がADFカバー27とともに合流位置38から離反される。これにより、搬送ローラ35A付近から、合流位置38及び原稿搬送路32の上側部分32Aを経て、湾曲部分32Bに至るまでの原稿搬送路32が開放され、図7や図10、図12に示したいずれの場合においても、少なくとも原稿Gの一部が露出されるので、原稿搬送路32やスイッチバックパス39におけるジャム処理を容易に行うことができる。特に、原稿Gが3方向から搬送される合流位置38が大きく開放されるので、合流位置38におけるジャム処理やメンテナンス作業が容易になる。
また、図15に示すように、ADFカバー27に、スイッチバックパス39の上側ガイド面がすべて固定され、該上側ガイド面がADFカバー27とともに回動されるものとしてもよい。これにより、ADFカバー27が開かれると、スイッチバックパス39の上側ガイド面がともに回動される。これにより、原稿搬送路32の上側部分32の合流位置38付近から湾曲部分32Bの一部までが開放されるとともに、スイッチバックパス39も開放され、図7や図10、図12に示したいずれの場合においても、少なくとも原稿Gの一部が露出されるので、原稿搬送路32やスイッチバックパス39におけるジャム処理を容易に行うことができる。特に、原稿Gが3方向から搬送される合流位置38が大きく開放されるので、合流位置38におけるジャム処理やメンテナンス作業が容易になる。
また、図15に示すように、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43の配置を逆転させて、スイッチバックパス39の上側ガイド面側にスイッチバックローラ42を配置し、下側ガイド面側にピンチローラ43を配置して、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43をともにADFフレーム26を構成する部材に軸支させれば、ADFカバー27に、ピンチローラ43の付勢力に抗して閉姿勢を維持できる係止機構が必要とされないので、ADFカバー27の構成が簡易になる。