以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置1の主要な構成を示すものである。本画像読取装置1は、例えば、コピーやファクシミリ、スキャナ、これらの機能を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1に示すように、画像読取装置1は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2に対して、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF:Auto Document Feeder)3を備えた原稿押さえカバー4が、背面側(紙面後方)の蝶番を介して開閉自在に取り付けられたものである。このADF3が本発明に係る自動原稿搬送装置を構成している。
原稿載置台2には、原稿押さえカバー4と対向する天面にプラテンガラス20,21が配設されている。上記原稿押さえカバー4が開かれることにより、プラテンガラス20,21が原稿載置台2の上面として露出される。また、原稿押さえカバー4が閉じられることにより、プラテンガラス20,21を含めて原稿載置台2の上面全体が覆われる。原稿載置台2の内部には、該プラテンガラス20,21に対向するようにして画像読取ユニット22(画像読取手段)が内蔵されている。
プラテンガラス20は、画像読取装置1をFBSとして使用する場合に原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の上面中央には、プラテンガラス20を露出するための開口が形成されており、該開口から露出されたプラテンガラス20の領域がFBSにおける原稿読取領域となる。
プラテンガラス21は、画像読取装置1のADF3を使用する場合の読取位置であり、例えば透明なガラス板からなる。プラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、図1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス20とプラテンガラス21との間に、位置決め部材23が介設されている。位置決め部材23は、プラテンガラス21と同様に図1の奥行き方向に延設された長尺の平板状の部材である。位置決め部材23は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス20上に原稿が載置される際に、原稿の位置決め基準として用いられる。そのために、位置決め部材23の上面には、中央位置やA4サイズ、B5サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。また、位置決め部材23の上面には、ADF3によりプラテンガラス21上を通過する原稿をすくい上げて(偏向して)ADF3に戻すガイド面が形成されている。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス20,21を通じて原稿に光を照射し、該原稿からの反射光をレンズにより受光素子に集光して電気信号に変換するいわゆるイメージセンサであり、例えば、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサや縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いることができる。また、画像読取ユニット22は、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス20,21の下方を走査可能に設けられており、キャリッジモータの駆動力を受けてプラテンガラス20,21と平行に往復移動するように走査される。
原稿押さえカバー4には、給紙トレイ30(原稿載置部)から搬送路32(第1搬送路)を経て排紙トレイ31(原稿排出部)へ原稿を連続搬送するADF3が備えられている。該ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上を通過し、該プラテンガラス21の下方において待機する画像読取ユニット22が該原稿の画像を読み取るようになっている。
図1に示すように、原稿押さえカバー4には、給紙トレイ30及び排紙トレイ31が、給紙トレイ30をが上側として上下二段に設けられている。給紙トレイ30は、ADF3により画像読取りを行う原稿が載置されるためのものであり、複数枚の原稿が、第1面を上向きにした積層状態で給紙方向の先端を搬送路32に挿入するようにして、給紙トレイ30上に載置される。
排紙トレイ31は、上記給紙トレイ30の下側に上下方向に隔てた位置にあり、原稿押さえカバー4の上面に一体的に形成されている。したがって、ADF3から排紙された原稿は、給紙トレイ30上の原稿と分離した状態で排紙トレイ31上に第1面を下にして積載されるようにして保持される。
図に示すように、ADF3の内部には、上記給紙トレイ30と排紙トレイ31とを連結するようにして、縦断面視において横向き略U字形状の搬送路32が形成されている。この搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。詳細には、搬送路32は、給紙トレイ30から原稿押さえカバー4の一端側(図左側)へ延出され、続いて下方へ反転するように湾曲してプラテンガラス21上の読取位置に至り、該読取位置から排紙トレイ31へ向かって延出された縦断面視が横向き略U字形状のものである。搬送路32は、大別すれば、U字形状において上下二段の直線部分をなす上側部分32A及び下側部分32Cと、上側部分32Aと下側部分32Cとを連続するようにして湾曲する湾曲部分32Bとの3つの部分からなる。この搬送路32は、ADF3による原稿の片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿の搬送経路として用いられる。
上記搬送路32には、原稿を搬送するための搬送手段が配設されている。詳細には、図に示すように、搬送路32にそれぞれ設けられた吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37とによって搬送手段が構成されている。なお、搬送手段を構成する各ローラ等の構成は一例であり、ローラの数や配置を変更する等、その他の公知の搬送手段に変更できることは勿論である。
図に示すように、搬送路32の最上流付近には、吸入ローラ33及び分離ローラ34が設けられている。吸入ローラ33は、分離ローラ34の回転軸と同軸に設けられたアーム29の先端部に回転自在に設けられている。また、分離ローラ34は、該吸入ローラ33から給紙方向へ隔てた位置に、搬送路32の対向面に当接するようにして回転可能に設けられている。これら吸入ローラ33及び分離ローラ34は、搬送モータからの駆動力が伝達されて回転駆動されるようになっており、アーム29も搬送モータからの駆動力が伝達されて揺動するようになっている。また、吸入ローラ33及び分離ローラ34は同径であり、同じ周速度で回転される。また、分離ローラ34の対向位置に、分離ローラ34のローラ面と圧接して、摩擦により原稿を分離する分離パッドが配設されている。
搬送ローラ35は、搬送路32の所定位置に複数配設されている。詳細には、分離ローラ34の直下流側と、搬送路32の上側部分32Aと、搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直上流側及び直下流側との4箇所に搬送ローラ35が配置されているが、この配置は一例であり、搬送ローラ35の配置を適宜変更できることは勿論である。これら搬送ローラ35は、搬送モータからの駆動力が伝達されて回転駆動されるようになっている。
また、各搬送ローラ35の対向位置には、ピンチローラ37がそれぞれ設けられている。各ピンチローラ37は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、各搬送ローラ35のローラ面に圧接されている。そして、搬送ローラ35が回転すれば、これに従動してピンチローラ37も回転する。これらピンチローラ37により、原稿が搬送ローラ35に圧接されて、搬送ローラ35の回転力が原稿に伝達される。
排紙ローラ36は、搬送路32の最下流付近に配設されており、搬送ローラ35と同様に、搬送モータからの駆動力が伝達されて回転駆動されるようになっている。また、排紙ローラ36の対向位置にもピンチローラ37がそれぞれ設けられており、該ピンチローラ37はバネにより弾性付勢されて、排紙ローラ36に圧接されている。
搬送路32の上側部分32Aには、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を搬送路32へ再送するためのスイッチバックパス39が形成されている。詳細には、スイッチバックパス39は、読取位置に対して上流側となる搬送路32の上側部分32Aの第1分岐位置38から分岐して、給紙トレイ30の方向へ斜め上方に分岐するように形成されている。また、スイッチバックパス39の終端40は、ADF3の上面に開口されている。スイッチバックパス39により構成される搬送経路の距離は、少なくとも読取可能な最大サイズの原稿の搬送方向の長さより短く設定されており、スイッチバックパス39に進入した原稿の一部は、終端40を超えてADF3の外側へ突出するようになっている。したがって、スイッチバックパス39の搬送経路の距離を、読取可能な最大原稿の搬送方向の長さ以上に確保する必要がない。
このように、スイッチバックパス39を搬送路32の上側部分32Aから給紙トレイ30の方向へ斜め上方へ形成することにより、給紙トレイ30の上側のスペースを有効活用することができる。また、搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側の搬送経路と、スイッチバックパス39から搬送路32の読取位置側の搬送経路とが第1分岐位置38において鋭角に交わるので、第1分岐位置38において搬送路32の給紙トレイ30側からスイッチバックパス39へ原稿が進入したり、スイッチバックパス39から戻された原稿が搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することがない。これにより、第1分岐位置38において所定の搬送経路へ原稿を案内する案内手段(案内フラップ86)の構成が簡易になる。なお、上記スイッチバックパス39は、読取り後の原稿の表裏面を逆転させるために用いられるものであり、読取り前の原稿が第1分岐位置38からスイッチバックパス39へ導かれることはない。したがって、搬送路32の給紙トレイ30側から第1分岐位置38への搬送経路と、スイッチバックパス39から第1分岐位置38への搬送経路とが鋭角に交わっても原稿の搬送に悪影響はない。
また、上記スイッチバックパス39の終端40から給紙トレイ30側には、該終端40から連続するようにして、原稿支持部41が形成されている。該原稿支持部41は、スイッチバックパス39の終端40から突出された原稿を支持するためのものであり、給紙ローラ33及び分離ローラ34の上側においてADF3の筐体をなしている。ADF3の筐体は、給紙ローラ33及び分離ローラ34を覆うように形成されており、該筐体として構成された原稿支持部41は、上記終端40から給紙トレイ30側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34による給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス39に進入して終端40からADF3の外側へ突出した原稿が、給紙トレイ30に積載された原稿の給紙位置より下流側(図左側)に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿が乱されることが防止される。
また、上記スイッチバックパス39には、スイッチバックローラ42が配設されている。スイッチバックローラ42は、搬送モータからの駆動力が伝達されて正逆双方向に回転駆動されるようになっている。また、スイッチバックローラ42の対向位置には、ピンチローラ43が設けられている。ピンチローラ43は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、スイッチバックローラ42のローラ面に圧接されており、スイッチバックローラ42の回転に従動して回転する。このピンチローラ43により、原稿がスイッチバックローラ42に圧接されて、スイッチバックローラ42の回転力が原稿に伝達される。このスイッチバックローラ42及びピンチローラ43により、原稿をスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段が実現されている。
搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の下流側には、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を上記スイッチバックパス39へ導くためのバイパス44が形成されている。詳細には、バイパス44は、搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の下流側の第2分岐位置45から分岐して、上記第1分岐位置38へ連結するように斜め上方へ向かって形成されている。このように、横向き略U字形状の搬送路32からスイッチバックパス39へ分岐する第1分岐位置38を搬送路32の上側部分32Aに配置し、読取位置の下流側からスイッチバックパス39へ連結するためのバイパス44へ分岐する第2分岐位置45を搬送路32の下側部分32Cに配置することにより、搬送路32の湾曲部分32B付近の構成を簡略化することができる。
また、バイパス44からスイッチバックパス39への搬送経路が略直線状であるのに対して、バイパス44から搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路は折れ曲がっているので、バイパス39から第1分岐位置38に搬送された原稿は、搬送路32の給紙トレイ30側へ原稿が進入することなく、スイッチバックパス39へ直進する。これにより、第1分岐位置38において所定の搬送経路へ原稿を案内する案内手段(案内フラップ46)の構成が簡易になる。
また、上記搬送路32の読取位置からバイパス44を経てスイッチバックパス39により形成される搬送経路は、縦断面視においてS字形状をなすように形成されている。これにより、搬送路32の読取位置からバイパス44を経てスイッチバックパス39への原稿の搬送が円滑となり、第1分岐位置38及び第2分岐位置45等における紙詰まりが防止される。また、上記搬送路32のU字形状の直線部分の上側部分32Aから第1分岐位置38を経てスイッチバックパス39により形成される搬送経路も、縦断面視においてS字形状をなるように形成されている。これにより、スイッチバックパス39から第1分岐位置38を経て搬送路32の上側部分32Aへの原稿の搬送が円滑となり、第1分岐位置38等における紙詰まりが防止される。また、前述したように2つの搬送経路をS字形状とすることにより、第1分岐位置38における案内手段(案内フラップ46)の構成が簡易になる。
また、搬送路32の第1分岐位置38から、読取位置及び第2分岐位置45を経て、バイパス44から再び第1分岐位置38に至るループ形状の搬送経路の長さは、読取り可能な最大原稿の搬送方向の長さより長くなるように設定されている。例えば、読取り可能な最大原稿がA4サイズであれば搬送方向の長さは297mmであり、レターサイズであれば11インチであり、リーガルサイズであれば14インチであるので、上記ループ形状の搬送経路の長さがこれらより長くなるように設定される。これにより、両面読取りにおいて、読取位置を通過して第1分岐位置38へ原稿の先端が進入する際には、該原稿の後端は第1分岐位置38を必ず通過していることとなるので、第1分岐位置38における紙詰まり等を防止することができる。
また、図1及び図2に示すように、上記第1分岐位置38には、所望の搬送経路に原稿を案内するための案内フラップ46(第1案内手段)が配設されている。案内フラップ46は、軸47を中心に揺動可能に配設されており、図2に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置に切り替えられるようになっている。案内フラップ46が実線で示した位置にある場合には、搬送路32の上側部分32Aの給紙トレイ30側(図右側)から読取位置側(図左側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、給紙トレイ30から給送された原稿は、搬送路32の上側部分32Aの読取位置上流側へ向かって第1分岐位置38を案内される。一方、案内フラップ46が2点鎖線で示した位置にある場合には、バイパス44からスイッチバックパス39への搬送経路が連続することとなる。したがって、バイパス44を上側へ向かって搬送される原稿は、スイッチバックパス39へ進入するように第1分岐位置38を案内される。
上記案内フラップ46による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われるようになっている。詳細には、案内フラップ46は、常時、図2に実線で示したように、搬送路32の給紙トレイ30側(図右側)から読取位置側(図左側)への搬送経路が連続する位置にある。そして、バイパス44を上側へ向かって搬送される原稿が案内フラップ46に当接することにより、案内フラップ46が上側に押しやられるようにして、図2に2点鎖線で示した位置へ揺動し、該原稿は搬送路32を横断するようにしてスイッチバックパス39へ進入する。また、スイッチバックパス39から第1分岐位置38に搬送された原稿は、案内フラップ46に当接するが、該案内フラップ46は図2に実線で示した位置から下方へは揺動しないので、該原稿は案内フラップ46に案内されて、搬送路32の上側部分32Aを読取位置側(図左側)へ進入する。なお、スイッチバックパス39から上側部分32Aの給紙トレイ30側(図右側)へは鋭角に折れ曲がっているので、スイッチバックパス39から第1分岐位置38に搬送された原稿が、給紙トレイ30側へ進入することはない。このようにして、案内フラップ46は、第1分岐位置38において所望の搬送経路に原稿を案内可能に配設されている。なお、本実施の形態では、案内フラップ46を原稿の当接により切り替わるものとしたが、搬送ローラ等の駆動力により積極的に案内フラップ46を揺動させるようにしてもよい。
また、図1及び図3に示すように、上記第2分岐位置45には、所望の搬送経路に原稿を案内するための案内フラップ48(第2案内手段)が配設されている。案内フラップ48は、軸49を中心に揺動可能に配設されており、図3に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置に切り替えられるようになっている。案内フラップ48が実線で示した位置にある場合には、搬送路32の読取位置側(図左側)から排紙トレイ31側(図右側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置を通過した原稿は、搬送路32の下側部分32Cを排紙トレイ31へ向かって第2分岐位置45を案内される。一方、案内フラップ48が2点鎖線で示した位置にある場合には、搬送路32の下側部分32Cの読取位置下流側からバイパス44への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置を通過した原稿は、バイパス44へ進入するように第2分岐位置45を案内される。このようにして、案内フラップ48は、第2分岐位置45において所望の搬送経路に原稿を案内可能に配設されている。
また、図1に示すように、搬送路32及びバイパス44には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ50及び第2フロントセンサ51がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ52が配設されている。また、バイパス44には、スイッチバックセンサ53が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、検出する位置の違いにより検出子の形状等が異なる他は同様の構成をなすものなので、第1フロントセンサ50を例に構成を説明する。
第1フロントセンサ50は、図4に示すように、搬送路32の下面から突出するとともに、原稿Gと接触することにより搬送路32から退避するように回動する検出子54と、該検出子54の回動を検出するフォトインタラプタ55とからなる。検出子54は、フォトインタラプタ55により検知される遮蔽部56が一体的に形成されており、軸57を中心に回動自在に設けられている。該検出子54は、不図示のバネ等の付勢手段により、検出子54が搬送路32に突出する位置に、すなわち図において半時計回り方向へ弾性付勢されている。したがって、検出子54に外力が付与されない状態では、図に実線で示すように、検出子54は搬送路32に突出し、遮蔽部56はフォトインタラプタ55の発光部と受光部との間に位置する。これにより、フォトインタラプタ55の光伝達が遮断されて、第1フロントセンサ50がオフとなる。
一方、給紙トレイ30に原稿Gが載置されると、該原稿Gが検出子54に当接して、該検出子54を搬送路32から退避するように回動させる。検出子54とともに遮蔽部56も回動され、図に2点鎖線で示すように、遮蔽部56はフォトインタラプタ55の発光部と受光部との間から離れる。これにより、フォトインタラプタ55の光伝達が遮断されなくなり、第1フロントセンサ50がオンとなる。この第1フロントセンサ50のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿Gが載置されたか否かが検知される。
また、分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ51は、そのオン/オフにより、搬送路32に給送された原稿Gの先端又は後端を検知するためのものである。例えば、第2フロントセンサ51が原稿Gの後端を検知してからの搬送ローラ35の回転数をエンコーダや搬送モータのステップ数等によって監視することにより、原稿Gの後端が第1分岐位置38を通過したか否かが判断される。
また、読取位置の直上流に配設されたリアセンサ52は、そのオン/オフにより、搬送路32を搬送される原稿Gの先端及び後端を検知するためのものである。リアセンサ52が原稿Gの先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35の回転数をエンコーダや搬送モータのステップ数等によって監視することにより、原稿Gの先端又は後端が読取位置に到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ52の信号に基づいて制御され、原稿Gの先端が読取位置に到達すれば画像読取りが開始され、原稿Gの後端が読取位置に到達すれば画像読取りが終了される。
また、バイパス44に配設されたスイッチバックセンサ53は、そのオン/オフにより、バイパス44を搬送される原稿Gの先端又は後端を検知するためのものである。例えば、スイッチバックセンサ53が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35及びスイッチバックローラ42の回転数をエンコーダや搬送モータのステップ数等によって監視することにより、原稿Gの後端が第1分岐位置38を通過したか否かが判断される。
以下、本画像読取装置1による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置1は、FBSとして使用することも、ADF3を使用することも可能であるが、FBSの使用は本発明に特に関連しないので詳細な説明は省略する。ADF3を使用する場合には、原稿押さえカバー4を原稿載置台2に対して閉じた状態とする。そして、給紙トレイ30に読み取るべき原稿Gが載置される。原稿Gは、読取面(第1面)が上側となるように、所謂フェイスアップにして給紙トレイ30に載置される。また、原稿Gは1枚であっても複数枚であってもよい。例えば、同じサイズの複数枚の原稿Gの画像読取りを行う場合には、各原稿Gの第1ページの第1面が上向きとなるように重ね揃えて給紙トレイ30に載置される。
そして、画像読取装置1に読取開始が入力されると、キャリッジモータや搬送モータが駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ42が所定のタイミングで回転駆動される。また、アーム29が降下されて、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿Gと圧接する。そして、吸入ローラ33及び分離ローラ34の回転力を直接受ける最上位置の原稿Gから1枚ずつ分離されて搬送路32へ送り込まれる。給送された原稿Gは、搬送路32に案内されて読取位置へ搬送され、該読取位置の下方で静止された画像読取ユニット22により原稿Gの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gは、排紙トレイ31へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gの搬送経路が異なる。原稿Gの片面読取りを行うか両面読取りを行うかは、読取開始が入力される前に予め設定される。
まず、片面読取りについて説明する。図5に示すように、画像読取装置1に読取開始が入力されると、案内フラップ48は、第2分岐位置45における搬送経路を、搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続するように切り替える。なお、案内フラップ46は、原稿Gが当接していない状態では、第1分岐位置38における搬送経路を搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にある。
続いて、第1フロントセンサ50により給紙トレイ30上に原稿Gが載置されているか否かが検知される。給紙トレイ30上に原稿Gが載置されていない場合には、画像読取装置1の表示部に「原稿なし」のエラー表示が行われる。給紙トレイ30に原稿Gが載置されていれば、搬送モータから駆動力が伝達されてアーム29が下方へ下がる。これにより、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿Gと圧接する。そして、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転することにより、該原稿Gは搬送路32へ繰り込まれる。給紙トレイ30に複数枚の原稿Gが載置されている場合に、最上位置の原稿Gに伴って、その直下の原稿が重送されることがあるが、該原稿は分離ローラ34の対向位置に設けられた分離パッドにより制止される。
搬送路32では、搬送ローラ35及び排紙ローラ36に搬送モータからの駆動力が伝達されて、これらが搬送路32の上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転される。給紙トレイ30から搬送路32へ給紙された原稿Gは、搬送ローラ35及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、搬送路32を搬送され、図6に示すように、第1分岐位置38を搬送路32の読取位置上流側へ向かって搬送される。搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路は略直線状であるのに対し、搬送路32の給紙トレイ30側からスイッチバックパス39への搬送経路は鋭角に折れ曲がっているので、給紙トレイ30から給紙された原稿Gがスイッチバックパス39へ進入することはない。また、第1分岐位置38からバイパス44への搬送経路は案内フラップ46により閉鎖されている。従って、案内フラップ46により原稿Gは第1分岐位置38を読取位置上流側へ案内される。
そして、図7に示すように、原稿Gが搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、その先端がリアセンサ52に検知される。原稿Gの先端は、リアセンサ52に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば画像読取ユニット22は、原稿Gの画像読取りを開始する。
図8に示すように、原稿Gは第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿Gの第1面の画像が読み取られる。そして、原稿Gの後端がリアセンサ52に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。また、原稿Gは、第2分岐位置45を案内フラップ48に案内されて、搬送路32の排紙トレイ31側へ向かって搬送される。そして、図9に示すように、原稿Gが排紙ローラ36及びピンチローラ37にニップされ、搬送路32から排紙トレイ31へ排出される。給紙トレイ30に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ30上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。
つぎに、両面読取りについて説明する。原稿Gの給紙前は、図10に示すように、案内フラップ46は、第1分岐位置38における搬送経路を、搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続する位置にある。なお、図において原稿Gに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
そして、片面読取りの場合と同様に、第1フロントセンサ50により給紙トレイ30上に原稿Gが載置されているか否かが検知され、アーム29が下方へ下がるとともに、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、該原稿Gは搬送路32へ繰り込まれる。また、搬送路32では、搬送ローラ35が原稿Gを上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転され、給紙トレイ30から搬送路32へ給紙された原稿Gは、第1分岐位置38を案内フラップ46に案内されて、搬送路32の読取位置側へ向かって搬送される。
そして、図11に示すように、原稿Gが、搬送路32の第1分岐位置38と第2分岐位置45との間に至った後、案内フラップ48は、搬送経路を切り替える。詳細には、原稿Gの後端が第2フロントセンサ51により検知された後、所定時間経過後に原稿Gの後端が第1分岐位置38を通過する。したがって、第フロントセンサ51の検知信号と搬送ローラ35による搬送距離又は時間のカウントにより、原稿Gが搬送路32の第1分岐位置38と第2分岐位置45との間に至ったことが判断できる。その後、案内フラップ48は、第2分岐位置45の搬送経路を搬送路32の読取位置側からバイパス44へ通ずるように切り替えられる。
なお、本実施の形態では、原稿Gが搬送路32の第1分岐位置38と第2分岐位置45との間に至った後に、案内フラップ48が、第2分岐位置45における搬送経路を、搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続するように切り替えられるものとしたが、画像読取装置1に両面読取り及び読取開始が入力されれば、原稿Gが給紙される際に、案内フラップ48が、第2分岐位置45の搬送経路を搬送路32の読取位置側からバイパス44へ通ずるように切り替えられてもよい。これにより、搬送路32の第1分岐位置38から読取位置を経て第2分岐位置45に至るまでの搬送経路の長さが、読取り可能な最大原稿の搬送方向の長さより短い場合に、最大サイズの原稿Gの後端が第1分岐位置38を通過する際に、該原稿Gの先端をバイパス44へ案内することができる。
そして、原稿Gが搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、その先端がリアセンサ52に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第1面の画像読取りが開始される。また、図12に示すように、第1面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ48に案内されて、第2分岐位置45を搬送路32からバイパス44へ進入する。なお、原稿Gの後端がリアセンサ52に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
バイパス44に進入した原稿Gは、図13に示すように、案内フラップ46に当接して案内フラップ46を上方へ押し上げて、第1分岐位置38をバイパス44からスイッチバックパス39に進入する。つまり、案内フラップ46は、第1分岐位置38においてバイパス44からスイッチバックパス39への原稿Gの直進を許容するように原稿Gを案内する。バイパス44からスイッチバックパス39への搬送経路は略直線状なので、第1分岐位置において原稿Gは搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することなく、スイッチバックパス39に進入するように直進する。そして、原稿Gは、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43にニップされ、スイッチバックローラ42の回転によりスイッチバックパス39を終端40側へ搬送される。
そして、原稿Gがスイッチバックパス39に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。詳細には、図13に示したように、バイパス44を搬送される原稿Gの後端がスイッチバックセンサ53により検知された後、所定時間経過後に原稿Gの後端が第1分岐位置38を通過する。したがって、スイッチバックセンサ53の検知信号と搬送ローラ35による搬送距離又は搬送時間のカウントにより、原稿Gがスイッチバックパス39に完全に進入したことが判断できる。その後、スイッチバックローラ42が停止されることにより、図14に示すように、原稿Gがスイッチバックローラ42とピンチローラ43にニップされた状態で停止する。この際、原稿Gの一部は、スイッチバックパス39の終端40からADF3の外側へ突出した状態となっているが、突出した原稿Gの一部分は原稿支持部41により支持される。
また、原稿Gが第1分岐位置38を通過して案内フラップ46から離れることにより、案内フラップ46は下側へ回動して、第1分岐位置38における搬送経路を、スイッチバックパス39から搬送路32の読取位置上流側へ通ずる位置となる。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、スイッチバックパス39を搬送路32側へ戻るように搬送される。
図15に示すように、スイッチバックパス39から戻された原稿Gは、第1分岐位置38を直進しようとするが、バイパス44への搬送経路は案内フラップ46により閉鎖されているので、該案内フラップ46に案内されて、スイッチバックパス39から搬送路32の読取位置上流側へ進入する。スイッチバックパス39から搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路は、スイッチバックパス39から搬送路32の読取位置上流側への搬送経路より鋭角に折れ曲がっているので、スイッチバックパス39から戻された原稿Gが、第1分岐位置38において搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することはない。このように、原稿Gがスイッチバックパス39から搬送路32へ戻されることにより、原稿Gは、最初に搬送路32を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で搬送路32に再送される。このようにして、原稿Gがスイッチバック搬送される。そして、原稿Gは、第2面を読取位置に対向させるようにして搬送路32を搬送される。
そして、図16に示すように、原稿Gの先端がリアセンサ52に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、図17に示すように、画像読取ユニット22により、原稿Gの第2面の画像読取りが開始される。また、第2面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ48に案内されて、第2分岐位置45を搬送路32からバイパス44へ進入する。なお、原稿Gの後端がリアセンサ52に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
バイパス44に進入した原稿Gは、案内フラップ46を押し上げて、第1分岐位置38をバイパス44からスイッチバックパス39に進入し、図18に示すように、原稿Gがスイッチバックパス39に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止する。また、案内フラップ46は、原稿Gが通過することにより、第1分岐位置38における搬送経路を、スイッチバックパス39から搬送路32の読取位置側へ通ずる位置へ戻る。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、スイッチバックパス39を搬送路32側へ戻されて、先端と後端とが再び逆転される。
そして、原稿Gが搬送路32の第1分岐位置38と第2分岐位置45との間に至った後、案内フラップ48は、第2分岐位置45における搬送経路を、搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ切り替える。これにより、図19に示すように、原稿Gは第2分岐位置45を、案内フラップ48に案内されて、搬送路32の排紙トレイ31側へ搬送され、第1面を下にした状態で排紙トレイ31に排紙される。給紙トレイ30に、次の原稿がセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ30上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。そして、排紙トレイ31へは、第1面を下にした状態で原稿Gが順次排紙されるので、給紙トレイ30に複数枚の原稿Gを積載した状態が維持される。
このように、画像読取装置1によれば、第1面又は第2面を読み取った後の原稿Gを搬送路32へ再送するためのスイッチバックパス39を、搬送路32の読取位置の上流側の第1分岐位置38から分岐して形成し、第1面又は第2面を読み取った後の原稿Gを搬送路32からスイッチバックパスへ導くバイパス44を、搬送路32の読取位置の下流側の第2分岐位置45から分岐して第1分岐位置38に連結するように形成したので、搬送路32のU字形状の湾曲部32B付近において複数の搬送路を形成しなくてもよい。これにより、装置の高さを低くして、装置の小型化を実現することができる。
また、第1面が読み取られた後の原稿は、スイッチバックローラ42により搬送方向が逆転され、後端を前にして搬送路32の上側部分32Aに再送されるので、該上側部分32Aに配置された搬送ローラ35及びピンチローラ37により、搬送路32の水平な部分で斜行矯正することが可能である。これにより、原稿の第2面読取りの際にも斜行矯正を行うことができる。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ30に載置された複数枚の原稿Gの順序を維持した状態で排紙トレイ31へ排紙されるものとして、画像読取装置1による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ30に載置された原稿Gの順序と排紙トレイ31に排紙された原稿Gの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gの第2面を対向させて原稿が搬送された後、図17に示したように再びバイパス44に原稿Gを進入させることなく、第2分岐位置45を排紙トレイ31側へ搬送して、排紙トレイ31へ排紙させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ31において原稿Gの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gの両面読取りに要する時間を短縮することができる。また、本実施の形態では、本発明に係る案内手段として案内フラップ46,48を用いたが、例えば、案内フラップ46に代えて弾性変形可能なフィルムを案内手段として採用してもよい。
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係る画像読取装置5は、上記第1の実施の形態に係る画像読取装置1の給紙トレイ30、排紙トレイ31、及びスイッチバックパス39の位置関係が異なるものである。なお、原稿載置台2のプラテンガラス20,21及び画像読取ユニット22の構成は上記第1の実施形態と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、図において、上記第1実施の形態と同一の符号は同一の部材を示している。
図20に示すように、本画像読取装置5のADF6(自動原稿搬送装置)では、原稿Gが載置される給紙トレイ60(原稿載置部)の上側に、原稿Gが排出される排紙トレイ61(原稿排紙部)が上下二段となるように配設されている。そして、該給紙トレイ60と排紙トレイ61とを連結するようにして、縦断面視が横向き略U字形状の搬送路62(第1搬送路)が形成されている。この搬送路62は、給紙トレイ60から画像読取ユニット22による読取位置に至り、該読取位置から上方へ湾曲して排紙トレイ61へ向かって延出された横向き略U字形状である。搬送路62は、大別すれば、U字形状の上下二段の直線部分をなす上側部分62A及び下側部分62Cと、これら上側部分62Aと下側部分62Cとを連続するようにして湾曲する湾曲部分62Bとの3つの部分からなる。この搬送路62は、ADF6による原稿の片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿の搬送経路として用いられる。
また、上記搬送路62には、原稿を搬送するための搬送手段として、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37とが配設されている。これらは、吸入ローラ33及び分離ローラ34が給紙トレイ60に対応する搬送路62の最上流位置に配設され、また、排紙ローラ36が排紙トレイ61に対応する搬送路62の最下流位置に配設されている。また、本画像読取装置5のADF6は、給紙トレイ60に読み取るべき原稿Gの読取面(第1面)が下となるように所謂フェイスダウンで載置されるので、搬送路62の下側に吸入ローラ33及び分離ローラ34が、そのローラ面の一部を搬送路62に露出させるように設けられ、該吸入ローラ33及び分離ローラ34に、ニップパッド77,78が接離可能に圧接されている。そのほかは、上記第1の実施の形態と同様である。
搬送路62の上側部分62Aには、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿Gを搬送路62へ再送するためのスイッチバックパス63が形成されている。詳細には、スイッチバックパス63は、読取位置に対して下流側となる搬送路62の上側部分62Aの第1分岐位置65から分岐して、給紙トレイ60の方向へ搬送路62に対して斜め下方に分岐するように形成されている。また、スイッチバックパス63の終端64は、ADF6の外側に開口されている。スイッチバックパス63により構成される搬送経路の距離は、少なくとも読取可能な最大サイズの原稿の搬送方向の長さより短く設定されており、スイッチバックパス63に進入した原稿Gの一部は、終端64を超えてADF6の外側へ突出するようになっている。したがって、スイッチバックパス63の搬送経路の距離を、読取可能な最大原稿の搬送方向の長さ以上に確保する必要がない。
このように、スイッチバックパス63を搬送路62の上側部分62Aから給紙トレイ60の方向へ斜め下方へ形成することにより、給紙トレイ60の上側のスペースを有効活用することができる。また、搬送路62の排紙トレイ61側への搬送経路と、搬送路62の読取位置側からスイッチバックパス63への搬送経路とが第1分岐位置65において鋭角に交わるので、スイッチバックパス63から戻された原稿Gが搬送路62の排紙トレイ61側へ進入することがない。これにより、第1分岐位置65において所定の搬送経路に原稿を案内する案内手段(案内フラップ69,70)の構成が簡易になる。
また、上記スイッチバックパス63の終端64から給紙トレイ60側には、該終端64から連続するようにして、原稿支持部66が形成されている。該原稿支持部66は、スイッチバックパス63の終端64から突出された原稿を支持するためのものであり、ニップパッド77,78の上カバーをなしている。ニップパッド77,78の上カバーとして構成された原稿支持部66は、上記終端64から給紙トレイ60側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34とニップパッド77,78とによる給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス63に進入して終端64からADF6の外側へ突出した原稿Gが、給紙トレイ60に積載された原稿Gの給紙位置より下流側に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿Gが乱されることが防止される。
また、上記スイッチバックパス64には、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配設されている。スイッチバックローラ42及びピンチローラ43は、上記第1の実施の形態と同様のものであり、原稿Gをスイッチバック搬送することにより、原稿Gの先端と後端とを逆転して搬送路62へ戻すスイッチバック搬送手段である。
搬送路62の下側部分62Cであって読取位置の上流側には、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿Gを上記スイッチバックパス63から搬送路62へ導くためのバイパス67が形成されている。詳細には、バイパス67は、搬送路62の下側部分62Cであって読取位置の上流側の第2分岐位置68から分岐して、上記第1分岐位置65へ連結するように斜め上方へ向かって形成されている。このように、横向き略U字形状の搬送路62からスイッチバックパス63へ分岐する第1分岐位置65を、搬送路62の上側部分62Aに配置し、搬送路62の読取位置上流側において分岐する第2分岐位置68を、搬送路62の下側部分62Cに配置することにより、搬送路62の湾曲部分62B付近の構成を簡略化することができる。
また、搬送路62の給紙トレイ60側から読取位置側への搬送経路と、バイパス67から搬送路62の読取位置側への搬送経路とが鋭角に交わるので、給紙トレイ60から搬送路62の読取位置へ搬送される原稿Gが、バイパス67へ進入することはなく、また、バイパス67から搬送路62の読取位置側へ搬送される原稿Gが、搬送路62の給紙トレイ60側へ進入することもない。これにより、第2分岐位置68において所定の搬送経路に原稿を案内する案内手段を省略することができる。
また、上記スイッチバックパス63からバイパス67を経て搬送路62の読取位置に至る搬送経路は、縦断面視においてS字形状をなすように形成されている。これによりスイッチバックパス63から第1分岐位置65及び第2分岐位置68を経て搬送路62の読取位置への原稿の搬送が円滑となり、第1分岐位置65や第2分岐位置68等における紙詰まりが防止される。
また、搬送路62の第1分岐位置65から、バイパス67、第2分岐位置68及び搬送路62の読取位置を経て、再び第1分岐位置65に至るループ形状の搬送経路の長さは、読取り可能な最大原稿の搬送方向の長さより長くなるように設定されている。例えば、読取り可能な最大原稿がA4サイズであれば搬送方向の長さは297mmであり、レターサイズであれば11インチであり、リーガルサイズであれば14インチであるので、上記ループ形状の搬送経路の長さがこれらより長くなるように設定される。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス63によりスイッチバック搬送された原稿Gの先端が、読取位置を通過して第1分岐位置65へ再び進入する際には、該原稿の後端は第1分岐位置65を必ず通過していることとなるので、第1分岐位置65における紙詰まり等を防止することができる。
また、図20から図23に示すように、上記第1分岐位置65には、所望の搬送経路に原稿を案内するための案内フラップ69(第3案内手段)及び案内フラップ70(第4切換手段)が配設されている。案内フラップ69は、軸71を中心に揺動可能に配設されており、図21に示す位置と図22に示す位置とに切り替えられるようになっている。案内フラップ69が図21に示した位置にある場合には、搬送路62の読取位置側(図左側)から排紙トレイ61側(図上側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置を通過した原稿Gは、図21に矢印で示すように、搬送路62の上側部分62Aの読取位置側(図左側)から排紙トレイ61側(図上側)へ向かって第1分岐位置65を案内される。なお、案内フラップ69が図21に示す位置にある場合に、案内フラップ70は、案内フラップ69に当接して下方へ押し下げられるが、案内フラップ69と案内フラップ70とを相互に干渉しない位置関係にしてもよい。
一方、案内フラップ69が図22に示した位置にある場合には、搬送路62の読取位置側(図左側)からスイッチバックパス63(図右側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、搬送路62を搬送される原稿Gは、図22に矢印で示すように、スイッチバックパス63へ進入するように第1分岐位置65を案内される。なお、この際、案内フラップ70は、図22に示すように、搬送路62からスイッチバックパス63へ搬送経路が連続する位置にある。
案内フラップ70は、軸72を中心に揺動可能に配設されており、図22に示す位置と図23に示す位置とに切り替えられるようになっている。案内フラップ70が図22に示した位置にある場合には、前述したように、搬送路62(図左側)からスイッチバックパス63(図右側)へ搬送経路が連続することとなる。したがって、搬送路62を搬送される原稿Gは、図22に矢印で示すように、スイッチバックパス63へ進入するように第1分岐位置65を案内される。
一方、案内フラップ70が図23に示した位置にある場合には、スイッチバックパス63(図右側)からバイパス67(図下側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、スイッチバックパス63から戻された原稿Gは、図23に矢印で示すように、スイッチバックパス63(図右側)からバイパス67(図下側)へ進入するように第1分岐位置65を案内される。なお、案内フラップ70が図23に示す位置にある場合に、案内フラップ69は、案内フラップ70に当接して上方へ押し上げられるが、案内フラップ69と案内フラップ70とを相互に干渉しない位置関係にしてもよい。
また、図20に示すように、搬送路62及びスイッチバックパス63には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、搬送路62には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ73及び第2フロントセンサ74がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ75が配設されている。また、スイッチバックパス63のスイッチバックローラ42より第1分岐位置65側には、スイッチバックセンサ763が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、詳細な構成は第1の実施の形態で説明した第1フロントセンサ50と同様である。
以下、本画像読取装置5による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置5のADF6を使用する際には、給紙トレイ60に読み取るべき原稿Gが載置される。図20に示すように、給紙トレイ60には、原稿Gの読取面(第1面)が下となるように所謂フェイスダウンで載置される。そして、画像読取装置5に、片面読取り又は両面読取りが選択されて読取開始が入力される。また、読取開始が入力されれば、キャリッジモータや搬送モータが駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ42が所定のタイミングで回転駆動されて、給紙トレイ60から原稿Gが1枚ずつ分離されて搬送路62へ送り込まれ、読取位置において画像読取ユニット22により原稿Gの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gは、排紙トレイ61へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gの搬送経路が異なる。
まず、片面読取りについて説明する。画像読取装置5に読取開始が入力されると、図21に示したように、案内フラップ69は、第1分岐位置65における搬送経路を搬送路62の読取位置側から排紙トレイ61側へ連続するように切り替えられる。
続いて、第1フロントセンサ73により給紙トレイ60上に原稿Gが載置されているか否かが検知される。給紙トレイ60上に原稿Gが載置されていない場合には、画像読取装置5の表示部に「原稿なし」のエラー表示が行われる。給紙トレイ60に原稿Gが載置されていれば、搬送モータから駆動力が伝達されて吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転される。給紙トレイ60上の原稿Gはニップパッド77,78により吸入ローラ33及び分離ローラ34に圧接されているので、原稿Gが最下位置から1枚ずつ分離されて搬送路62へ繰り込まれる。
搬送路62では、搬送ローラ35及び排紙ローラ36に搬送モータからの駆動力が伝達されて、搬送路62の上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転される。給紙トレイ60から搬送路62へ給紙された原稿Gは、搬送ローラ35及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、搬送路62を搬送され、図24に示すように、第2分岐位置68を搬送路62の読取位置側へ向かって搬送される。搬送路62の給紙トレイ60側から読取位置側への搬送経路と、バイパス67から搬送路62の読取位置側への搬送経路とは鋭角に交わっているので、給紙トレイ60から給紙された原稿Gがバイパス67へ進入することはない。そして、図に示すように、原稿Gの先端がリアセンサ75に検知される。原稿Gの先端は、リアセンサ75に検知されてから所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば画像読取ユニット22は、原稿Gの第1面の画像読取りを開始する。
原稿Gは第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過する。そして、原稿Gの後端がリアセンサ75に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。また、図25に示すように、原稿Gは、第1分岐位置65を案内フラップ69に案内されて、搬送路62の排紙トレイ61側へ向かって搬送される。そして、原稿Gが排紙ローラ36及びピンチローラ37にニップされ、搬送路62から排紙トレイ61へ排出される。給紙トレイ60に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ60上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。
つぎに、両面読取りについて説明する。両面読取りが選択され、画像読取装置5に読取開始が入力されると、図22に示したように、案内フラップ69及び案内フラップ70は、第1分岐位置65における搬送経路を搬送路62からスイッチバックパス63へ連続するように切り替えられる。なお、以下の図において原稿Gに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
そして、片面読取りの場合と同様に、第1フロントセンサ73により給紙トレイ60上に原稿Gが載置されているか否かが検知され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、最下位置から原稿Gが1枚ずつ搬送路62へ繰り込まれる。また、搬送路62では、搬送ローラ35が原稿Gを上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転され、給紙トレイ60から搬送路62へ給紙された原稿Gは、第2分岐位置68を搬送路62の読取位置側へ向かって搬送される。そして、原稿Gの先端がリアセンサ75に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は、原稿Gの第1面の画像読取りを開始する。また、原稿Gの後端がリアセンサ75に検知されて所定時間経過後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
そして、図26に示すように、原稿Gは、第1分岐位置65を案内フラップ69及び案内フラップ70に案内されて、スイッチバックパス63へ向かって搬送される。そして、原稿Gは、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43にニップされ、スイッチバックローラ42の回転によりスイッチバックパス63を終端64側へ搬送される。
そして、原稿Gがスイッチバックパス63に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。詳細には、図26に示したように、スイッチバックパス63を搬送される原稿Gの後端はスイッチバックセンサ76により検知される。これにより、原稿Gがスイッチバックパス63に完全に進入したと判断される。そして、スイッチバックローラ42が停止されることにより、図27に示すように、原稿Gがスイッチバックローラ42とピンチローラ43にニップされた状態で停止する。この際、原稿Gの一部は、スイッチバックパス63の終端64からADF6の外側へ突出した状態となっているが、突出した原稿Gの一部分は原稿支持部66により支持される。
また、スイッチバックパス63において、原稿Gが一旦停止されると、図23に示したように、案内フラップ70は、第1分岐位置65における搬送経路をスイッチバックパス63からバイパス67へ連続するように切り替えられる。図28に示すように、スイッチバックパス63から戻された原稿Gは、第1分岐位置65を案内フラップ70に案内されて、スイッチバックパス39からバイパス67へ進入する。
そして、バイパス67へ進入した原稿Gは、第2分岐位置68を搬送路62の読取位置側へ進入する。バイパス67から搬送路62の給紙トレイ60側への搬送経路は、バイパス67から搬送路62の読取位置側への搬送経路より鋭角に折れ曲がっているので、バイパス67から戻された原稿Gが第2分岐位置68において、搬送路62の給紙トレイ60側へ進入することはない。このように、原稿Gがスイッチバックパス63からバイパス67を通じて搬送路62へスイッチバック搬送されることにより、原稿Gは、最初に搬送路62を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で搬送路62を再送される。そして、原稿Gは、第2面を読取位置に対向させるようにして搬送路62を搬送される。
そして、図29に示すように、第1面の画像読取りと同様に、原稿Gの先端がリアセンサ75に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第2面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ75に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの第2面の画像読取りを終了する。
また、スイッチバックパス搬送された原稿Gの後端が、第1分岐位置65を通過すれば、図22に示したように、案内フラップ69及び案内フラップ70は、第1分岐位置65における搬送経路を搬送路62の読取位置側からスイッチバックパス63へ連続するように切り替えられる。スイッチバックパス63を搬送される原稿Gの後端はスイッチバックセンサ76により検知される。そして、原稿Gの後端は、スイッチバックセンサ75に検知されてから所定時間経過後に第1分岐位置65を通過する。従って、スイッチバックセンサ75がスイッチバック搬送される原稿Gの後端を検知してから所定時間が経過すれば、原稿Gが第1分岐位置65を通過したと判断される。
第2面の画像読取りが行われた原稿Gは、第1分岐位置65を案内フラップ69及び案内フラップ70に案内されて、スイッチバックパス63へ向かって搬送される。そして、原稿Gがスイッチバックパス63に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止する。また、案内フラップ70は、図23に示したように、第1分岐位置65における搬送経路をスイッチバックパス63からバイパス67へ連続するように切り替えられる。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けてスイッチバックパス63から戻された原稿Gは、第1分岐位置65を案内フラップ70に案内されて、スイッチバックパス39からバイパス67を通じて搬送路62へ戻されて、再び先端と後端とが逆転される。
また、スイッチバック搬送された原稿Gの後端が、第1分岐位置65を通過すれば、図21に示したように、案内フラップ69は、第1分岐位置65における搬送経路を搬送路62の読取位置側から排紙トレイ61側へ連続するように切り替えられる。これにより、図25に示したように、原稿Gは、第1分岐位置65を案内フラップ69に案内されて、搬送路62の排紙トレイ61側へ向かって搬送される。そして、原稿Gが排紙ローラ36及びピンチローラ37にニップされ、第2面を下にして、搬送路62から排紙トレイ61へ排出される。給紙トレイ60に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ60上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、第1面及び第2面の画像読取りが行われる。そして、排紙トレイ61へは、第2面を下にした状態で原稿Gが順次上側へ積み重なるように排紙されるので、給紙トレイ60に複数枚の原稿Gを積載した状態が維持される。
このように、画像読取装置5によれば、読取り後の原稿Gを搬送路62へ再送するためのスイッチバックパス63を、搬送路62の読取位置の下流側の第1分岐位置65から分岐して形成し、読取り後の原稿をスイッチバックパス63から搬送路62へ導くバイパス67を、搬送路62の読取位置の上流側の第2分岐位置68から分岐して第1分岐位置65に連結されるように形成したので、搬送路62のU字形状の湾曲部62B付近において複数の搬送路を形成しなくてもよい。これにより、装置の高さを低くして、装置の小型化を実現することができる。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ60に載置された複数枚の原稿Gの順序を維持した状態で排紙トレイ61へ排紙されるものとして、画像読取装置5による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ60に載置された原稿Gの順序と排紙トレイ61に排紙された原稿Gの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gの第2面を対向させて原稿が搬送された後、再びスイッチバックパス63に原稿Gを進入させることなく、第1分岐位置65を排紙トレイ61側へ搬送して、排紙トレイ61へ排紙させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ61において原稿Gの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gの両面読取りに要する時間を短縮することができる。
〔第3の実施の形態〕
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態に係る画像読取装置7は、上記第1の実施の形態に係る画像読取装置1のADF3における搬送経路が異なるものである。なお、原稿載置台2のプラテンガラス20,21及び画像読取ユニット22の構成は上記第1の実施形態と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、図において、上記第1実施の形態と同一の符号は同一の部材を示している。
図30に示すように、本画像読取装置7のADF8(自動原稿搬送装置)では、原稿Gが載置される給紙トレイ80(原稿載置部)の上側に、原稿Gが排出される排紙トレイ81(原稿排紙部)が上下二段となるように配設されている。そして、該給紙トレイ80と排紙トレイ81とを画像読取ユニット22による読取位置を経て連結するようにして、搬送路82(第4搬送路)が形成されている。この搬送路82は、読取位置を含むループ部82Aを形成するように交叉位置83で交叉されたものである。また、搬送路82は、ADF8による原稿Gの片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿Gの搬送経路として用いられる。
また、搬送路82の交叉位置83から読取位置を経て再び交叉位置83に至るループ部82Aの搬送経路の長さは、読取り可能な最大原稿の搬送方向の長さより長くなるように設定されている。例えば、読取り可能な最大原稿がA4サイズであれば搬送方向の長さは297mmであり、レターサイズであれば11インチであり、リーガルサイズであれば14インチであるので、上記ループ形状の搬送経路の長さがこれらより長くなるように設定される。これにより、ADF8による画像読取りにおいて、原稿Gの先端が交叉位置83から読取位置を通過して再び交叉位置83へ進入する際には、該原稿Gの後端は交叉位置83を必ず通過しているので、交叉位置83における紙詰まり等を防止することができる。
また、上記搬送路82には、原稿を搬送するための搬送手段として、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ84(スイッチバック搬送手段)とこれらに圧接するピンチローラ37とが配設されている。吸入ローラ33及び分離ローラ34が給紙トレイ80に対応する搬送路82の最上流位置に配設されているほかは、上記第1の実施の形態と同様である。一方、排紙ローラ84は、正逆双方向に回転可能なものであり、ピンチローラ37と相まって、原稿Gをスイッチバック搬送するものである。
また、図30及び図31に示すように、上記交叉位置83には、所望の搬送経路に原稿を案内するための案内フラップ85(第5案内手段)が配設されている。案内フラップ85は、軸86を中心に揺動可能に配設されており、図31に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置とに切り替えられるようになっている。案内フラップ85が実線で示した位置にある場合には、搬送路82の給紙トレイ80側(図右下側)からループ部82の読取位置上流側(図左上側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、給紙トレイ80から給送された原稿Gは、ループ部82Aの読取位置上流側へ向かって交叉位置83を案内される。また、案内フラップ85が実線で示した位置にある場合には、搬送路82の排紙トレイ81側(図右上側)からループ部82の読取位置上流側(図左上側)への搬送経路が連続することとなる。従って、排紙トレイ81側から戻された原稿Gは、ループ部82Aの読取位置上流側へ向かって交叉位置83を案内される。一方、案内フラップ85が2点鎖線で示した位置にある場合には、ループ部82Aの読取位置下流側(図左下側)から搬送路82の排紙トレイ81側(図右上側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置を経てループ部82Aの読取位置下流側から搬送される原稿Gは、排紙トレイ81側へ向かうように交叉位置83を案内される。
上記案内フラップ85による搬送経路の切替えは、原稿Gの当接により行われる。詳細には、案内フラップ85は、常時、図31に実線で示したように、搬送路82の給紙トレイ80側(図右下側)からループ部82の読取位置上流側(図左上側)への搬送経路が連続する位置にある。そして、ループ部82Aの読取位置下流側から排紙トレイ81側へ向かって搬送される原稿Gが案内フラップ85に当接することにより、案内フラップ85が上側に押しやられるようにして、図31に2点鎖線で示した位置へ揺動し、該原稿はループ部82Aの読取位置下流側から排紙トレイ81側へ進入する。また、搬送路82の排紙トレイ81側(図右上側)から交叉位置83へ搬送された原稿Gは案内フラップ85に当接するが、該案内フラップ85は図に実線で示した位置から下方へは揺動されないので、該原稿Gは、案内フラップ85に案内されて、ループ部82Aの読取位置上流側へ進入する。このようにして、案内フラップ85は、交叉位置83において所望の搬送経路に原稿を案内できるように適宜切替可能に配設されている。なお、本実施の形態では、案内フラップ85を原稿Gの当接により切り替わるものとしたが、搬送ローラ等の駆動力により積極的に案内フラップ85を揺動させるようにしてもよい。
また、搬送路82の給紙トレイ80側からループ部82Aの読取位置上流側への搬送経路と、搬送路82の排紙トレイ81側からループ部82Aの読取位置下流側への搬送経路とが鋭角に交わるので、給紙トレイ80から交叉位置83へ進入した原稿Gが、排紙トレイ81側の搬送路82へ進入することがなく、排紙トレイ81側から交叉位置83へ戻された原稿Gが、給紙トレイ80側の搬送路へ進入することもない。また、ループ部82Aの読取位置下流側から搬送路82の排紙トレイ81側への搬送経路が略直線状であるのに対し、ループ部82Aの読取位置下流側から搬送路82の給紙トレイ80側への搬送経路は折れ曲がっているので、ループ部82Aの読取位置下流側から交叉位置83へ進入した原稿Gが、搬送路82の給紙トレイ80側へ進入することもない。これにより、交叉位置83において所定の搬送経路に原稿を案内する案内手段(案内フラップ85)を簡易な構成とすることができる。
また、上記搬送路82の読取位置から交叉位置83を経て排紙トレイ81に至る搬送経路は、縦断面視においてS字形状をなすように形成されている。これにより、交叉位置83における原稿の搬送が円滑となり、紙詰まりが防止される。また、交叉位置83における案内手段(案内フラップ85)の構成が簡易になる。
また、図30に示すように、搬送路82には、原稿Gの搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、搬送路82には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ86及び第2フロントセンサ87がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ88が配設されている。また、排紙ローラ84の直上流側にはスイッチバックセンサ89が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、詳細な構成は第1の実施の形態で説明した第1フロントセンサ50と同様である。
以下、本画像読取装置7による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置7のADF8を使用する際には、給紙トレイ80に読み取るべき原稿Gが載置される。図30に示すように、給紙トレイ80には、原稿Gの読取面(第1面)が上となるように所謂フェイスアップで載置される。そして、画像読取装置7に、片面読取り又は両面読取りが選択されて読取開始が入力される。また、読取開始が入力されれば、キャリッジモータや搬送モータが駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ86が所定のタイミングで回転駆動されるとともにアーム29が降下され、給紙トレイ80から原稿Gが1枚ずつ分離されて搬送路82へ送り込まれ、読取位置において画像読取ユニット22により原稿Gの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gは、排紙トレイ81へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gの搬送経路が異なる。
まず、片面読取りについて説明する。図30に示すように、案内フラップ85は、原稿Gが当接していない状態では、交叉位置83における搬送経路を搬送路82の給紙トレイ80側からループ部82Aの読取位置上流側へ連続する位置にある。
続いて、第1フロントセンサ86により給紙トレイ80上に原稿Gが載置されているか否かが検知される。給紙トレイ80上に原稿Gが載置されていない場合には、画像読取装置7の表示部に「原稿なし」のエラー表示が行われる。給紙トレイ80に原稿Gが載置されていれば、搬送モータから駆動力が伝達されて給紙アーム29が降下され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、給紙トレイ80上の原稿Gは最上位置から1枚ずつ分離されて搬送路82へ繰り込まれる。
搬送路82では、搬送ローラ35及び排紙ローラ84に搬送モータからの駆動力が伝達されて、搬送路82の上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転される。給紙された原稿Gは、図32に示すように、交叉位置83において案内フラップ85に案内されて、搬送路82の給紙トレイ80側からループ部82Aの読取位置上流側へ向かって搬送される。搬送路82の給紙トレイ80側からループ部82Aの読取位置上流側への搬送経路と、搬送路82の排紙トレイ81側からループ部82Aの読取位置下流側への搬送経路とは鋭角に交わっているので、給紙トレイ80から給紙された原稿Gが搬送路82の排紙トレイ81側へ進入することはない。なお、給紙トレイ80側からループ部82Aの読取位置下流側への搬送経路は案内フラップ85により閉鎖されている。
そして、給紙トレイ80からループ部82Aの上側へ給紙された原稿Gは、搬送ローラ35及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、ループ部82Aを読取位置へ反転するように搬送され、原稿Gの先端がリアセンサ88に検知される。原稿Gの先端は、リアセンサ88に検知されてから所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば、図33に示すように、画像読取ユニット22は、原稿Gの第1面の画像読取りを開始する。
原稿Gは第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過する。そして、原稿Gの後端がリアセンサ88に検知され、所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
また、第1面の画像読取りが行われた原稿Gは、図34に示すように、交叉位置83において、案内フラップ85に当接して案内フラップ85を上方へ押し上げて、ループ部82Aの読取位置下流側から搬送路82の排紙トレイ81側に進入する。つまり、案内フラップ85は、原稿Gが読取位置下流側から直進することを許容することにより原稿Gを排紙トレイ81側へ案内する。ループ部82Aの読取位置下流側から排紙トレイ81側への搬送経路は略直線状なので、交叉位置83において原稿Gは搬送路82の給紙トレイ80側へ進入することなく、排紙トレイ81側に進入するように直進する。そして、原稿Gは、排紙ローラ84及びピンチローラ37にニップされ、搬送路82から排紙トレイ81へ排出される。給紙トレイ80に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ80上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。
つぎに、両面読取りについて説明する。原稿Gの給紙前は、図30に示すように、案内フラップ85は、交叉位置83における搬送経路を搬送路82の給紙トレイ80側からループ部82Aの読取位置上流側へ連続する位置にある。なお、図において原稿Gに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
そして、片面読取りの場合と同様に、第1フロントセンサ86により給紙トレイ80上に原稿Gが載置されているか否かが検知され、アーム29が降下されるとともに、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、該原稿Gは搬送路82へ繰り込まれる。また、搬送路82では、搬送ローラ35が原稿Gを上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転され、給紙トレイ80から搬送路82へ給紙された原稿Gは、交叉位置83を案内フラップ85に案内されて、ループ部82Aの読取位置上流側へ向かって搬送される。
そして、原稿Gがループ部82Aにより下側へ反転するように搬送され、その先端がリアセンサ88に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第1面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ52に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。そして、図34に示したように、第1面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ85を押し上げながら、交叉位置83をループ部82Aの読取位置下流側から搬送路82の排紙トレイ81側へ進入する。
そして、原稿Gが交叉位置83を完全に通過した後、排紙ローラ84が停止される。詳細には、図35に示したように、搬送路82を搬送される原稿Gの後端がスイッチバックセンサ89に検知されることにより、原稿Gが交叉位置83を完全に通過したと判断される。そして、排紙ローラ84が停止されることにより、原稿Gが排紙ローラ84とピンチローラ37とにニップされた状態で停止する。
また、原稿Gが交叉位置83を通過して案内フラップ85から離れることにより、案内フラップ85は下側へ回動して、交叉位置83における搬送経路を、搬送路82の排紙トレイ81側からループ部82Aの読取位置上流側へ通ずる位置となる。その後、排紙ローラ84が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは搬送路82を交叉位置83側へ戻るようにスイッチバック搬送される。
図36に示すように、搬送路82の排紙トレイ81側から戻された原稿Gは、交叉位置83を直進しようとするが、ループ部82Aの読取位置下流側への搬送経路は案内フラップ85により閉鎖されているので、該案内フラップ85に案内されて、搬送路82の排紙トレイ側81からループ部82Aの読取位置上流側へ進入する。搬送路82の排紙トレイ81側から給紙トレイ80側への搬送経路は、交叉位置83において鋭角に折れ曲がっているので、搬送路82の排紙トレイ81側から戻された原稿Gが、交叉位置83において給紙トレイ80側へ進入することはない。このように、原稿Gが搬送路82の排紙トレイ81側からループ部82Aの読取位置上流側へ戻されることにより、原稿Gは、最初に搬送路82を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で搬送路82を再送される。そして、原稿Gは、第2面を読取位置に対向させるようにしてループ部82Aを搬送される。
そして、原稿Gの先端がリアセンサ88に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、図37に示すように、画像読取ユニット22により、原稿Gの第2面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ88に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。そして、第2面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ85を押し上げるようにして、交叉位置83を搬送路82の排紙トレイ81側へ進入する。そして、原稿Gが交叉位置83を完全に通過した後、排紙ローラ84が停止される。また、案内フラップ85は、原稿Gが通過することにより、交叉位置83における搬送経路を、搬送路82の排紙トレイ81側からループ部82Aの読取位置上流側へ通ずる位置へ戻る。その後、排紙ローラ84が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは搬送路82の排紙トレイ81側からループ部82Aの読取位置上流側へ戻されて、先端と後端とが再び逆転される。
そして、原稿Gは、ループ部82Aを搬送されて再び交叉位置83へ至り、案内フラップ83を押し上げるようにして、搬送路82の排紙トレイ81側へ進入する。そして、図38に示すように、原稿Gは、排紙ローラ84により、第1面を下にした状態で排紙トレイ31に排紙される。給紙トレイ80に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ80上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。そして、排紙トレイ81へは、第1面を下にした状態で原稿Gが順次排紙されるので、給紙トレイ80に複数枚の原稿Gを積載した状態が維持される。
このように、本画像読取装置7によれば、搬送路82が読取位置を含むループ部82Aを形成するように交叉されたので、搬送路に82に、先端と後端とを逆転して原稿Gを戻すためのバイパス等を形成しなくてもよい。これにより、搬送路82の構成を簡略化するとことができ、また、装置の小型化を実現することができる。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ80に載置された複数枚の原稿Gの順序を維持した状態で排紙トレイ81へ排紙されるものとして、画像読取装置7による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ80に載置された原稿Gの順序と排紙トレイ81に排紙された原稿Gの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gの第2面を対向させて原稿が搬送された後、再び原稿Gをスイッチバック搬送することなく排紙トレイ81へ搬送して排紙させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ81において原稿Gの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gの両面読取りに要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では、案内フラップ85は、原稿Gの当接により搬送経路を切り替えるものとしたが、案内フラップ85に搬送モータ等から駆動力を付与して揺動させることにより、原稿Gの当接に関係なく搬送経路を切り替えるように構成してもよい。その際、原稿Gが交叉位置を通過してループ部82Aに進入したか否かは、例えば、第2フロントセンサ87の検知信号やスイッチバックセンサ89の検知信号に基づいて判断すればよい。また、本実施の形態では、本発明に係る案内手段を案内フラップ85として実現したが、これに代えて、例えば弾性変形可能な案内フィルムを案内手段として用いることができる。
また、本実施の形態では、給紙トレイ80の上側に排紙トレイ81が配設されるものとしたが、これらの上下位置を逆にすることもできる。その場合には、給紙トレイ80側の搬送路82に吸入ローラ33及び分離ローラ34等が配設され、排紙トレイ81側の搬送路82に排紙ローラ84等が配設される。
〔第4実施例〕
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態に係る画像読取装置9は、上記第1の実施の形態に係る画像読取装置1のADF3における搬送経路が異なるものである。なお、原稿載置台2のプラテンガラス20,21及び画像読取ユニット22の構成は上記第1の実施形態と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、図において、上記第1実施の形態と同一の符号は同一の部材を示している。
図39に示すように、本画像読取装置9のADF10(自動原稿搬送装置)では、原稿Gが載置される給紙トレイ100(原稿載置部)の下側に、原稿Gが排出される排紙トレイ101(原稿排紙部)が上下二段となるように配設されている。そして、該給紙トレイ100と排紙トレイ101とを画像読取ユニット22による読取位置を経て連結するようにして、搬送路102(第4搬送路)が形成されている。この搬送路102は、読取位置を含むループ部102Aを形成するように交叉位置103で交叉されたものである。また、搬送路102は、ADF10による原稿Gの片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿Gの搬送経路として用いられる。
また、搬送路102の交叉位置103から読取位置を経て再び交叉位置103に至るループ部102Aの搬送経路の長さは、読取り可能な最大原稿の搬送方向の長さより長くなるように設定されている。例えば、読取り可能な最大原稿がA4サイズであれば搬送方向の長さは297mmであり、レターサイズであれば11インチであり、リーガルサイズであれば14インチであるので、上記ループ形状の搬送経路の長さがこれらより長くなるように設定される。これにより、ADF10による画像読取りにおいて、原稿Gの先端が交叉位置103から読取位置を通過して再び交叉位置103へ進入する際には、該原稿Gの後端は交叉位置103を必ず通過しているので、交叉位置103における紙詰まり等を防止することができる。
また、上記搬送路102には、原稿を搬送するための搬送手段として、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37とが配設されている。これらは、吸入ローラ33及び分離ローラ34が給紙トレイ100に対応する搬送路102の最上流位置に配設され、また、排紙ローラ36が排紙トレイ101に対応する搬送路102の最下流位置に配設されている。また、本画像読取装置9のADF10は、給紙トレイ100に読み取るべき原稿Gの読取面(第1面)が下となるように所謂フェイスダウンで載置されるので、搬送路102の下側に吸入ローラ33及び分離ローラ34が、そのローラ面の一部を搬送路102に露出させるように設けられ、該吸入ローラ33及び分離ローラ34に、ニップパッド77,78が接離可能に圧接されている。そのほかは、上記第1の実施の形態と同様である。
搬送路102の交叉位置103より上流側には、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を搬送路102へ再送するためのスイッチバックパス104(第5搬送路)が形成されている。詳細には、スイッチバックパス104は、交叉位置103の上流側となる搬送路102の第3分岐位置105から分岐して、給紙トレイ100の方向へ斜め上方へ延出されている。また、スイッチバックパス104の終端106は、ADF10の外側に開口されている。スイッチバックパス104により構成される搬送経路の距離は、少なくとも読取可能な最大サイズの原稿の搬送方向の長さより短く設定されており、スイッチバックパス104に進入した原稿Gの一部は、終端106を超えてADF10の外側へ突出するようになっている。したがって、スイッチバックパス104の搬送経路の距離を、読取可能な最大原稿の搬送方向の長さ以上に確保する必要がない。
このように、スイッチバックパス104を搬送路102から給紙トレイ100の方向へ斜め上方へ形成することにより、給紙トレイ100の上側のスペースを有効活用することができる。
また、上記スイッチバックパス104の終端106から給紙トレイ100側には、該終端106から連続するようにして、原稿支持部107が形成されている。該原稿支持部107は、スイッチバックパス104の終端106から突出された原稿Gを支持するためのものであり、ニップパッド77,78の上側においてADF10の筐体をなしている。ADF10の筐体は、給紙ローラ33及び分離ローラ34を覆うように形成されており、該筐体として構成された原稿支持部107は、上記終端106から給紙トレイ100側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34とニップパッド77,78とによる給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス104に進入して終端106からADF10の外側へ突出した原稿Gが、給紙トレイ100に積載された原稿Gの給紙位置より下流側に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿Gが乱されることが防止される。
また、上記スイッチバックパス104には、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配設されている。これらは上記第1の実施形態と同様のものであり、このスイッチバックローラ42及びピンチローラ43により、原稿Gをスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段が実現されている。
また、図39及び図40に示すように、上記交叉位置103には、原稿Gの搬送経路を適宜切り替えるための案内フラップ108(第5案内手段)が配設されている。案内フラップ108は、軸109を中心に揺動可能に配設されており、図40に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置に切り替えられるようになっている。案内フラップ108が実線で示した位置にある場合には、搬送路102の給紙トレイ100側(図右上側)からループ部102Aの読取位置上流側(図左下側)への搬送経路が連続することとなる。また、搬送路102の給紙トレイ100側(図右上側)からループ部102Aの読取位置上流側(図左下側)への搬送経路が略直線状であるのに対し、搬送路102の給紙トレイ100側(図右上側)からループ部102Aの読取位置下流側(図左上側)への搬送経路は曲折している。したがって、搬送路102の給紙トレイ100側から搬送された原稿Gは、ループ部102Aの読取位置上流側へ向かって交叉位置103を通過する。
一方、案内フラップ108が2点鎖線で示した位置にある場合には、ループ部102Aの読取位置下流側(図左上側)から搬送路102の排紙トレイ101側(図右下側)への搬送経路が連続することとなる。また、ループ部102Aの読取位置下流側(図左上側)から搬送路102の排紙トレイ101側(図右下側)への搬送経路が略直線状であるのに対し、ループ部102Aの読取位置下流側(図左上側)から搬送路102の給紙トレイ100側(図右上側)への搬送経路や、ループ部102Aの読取位置上流側への搬送経路は曲折している。したがって、ループ部102Aの読取位置下流側から搬送された原稿Gは、搬送路102の排紙トレイ101側へ向かうように交叉位置103を通過する。
上記案内フラップ108による搬送経路の切替えは、原稿の当接及び案内フラップ108の揺動規制により行われるようになっている。詳細には、案内フラップ108は、常時、図40に実線で示したように、搬送路102の給紙トレイ100側(図右上側)からループ部102Aの読取位置上流側(図左下側)への搬送経路が連続する位置にある。また、常時において、案内フラップ108は、ループ部102Aの読取位置下流側から搬送された原稿Gが案内フラップ108に当接することにより下側に押しやられるようにして、図40に2点鎖線で示した位置へ揺動可能となっている。これにより、読取位置からループ部102Aの読取位置下流側から搬送された原稿Gは交叉位置103を排紙トレイ101側へ進入する。
一方、両面読取りにおいてスイッチバックパス104へ原稿Gが搬送される場合には、案内フラップ108の揺動が規制される。これにより、ループ部102Aの読取位置下流側(図左上側)から搬送路102のスイッチバックパス104側(図右上側)への搬送経路が連続する。また、ループ部102Aの読取位置下流側(図左上側)から搬送路102の給紙トレイ100側(図右上側)への搬送経路に対して、ループ部102Aの読取位置上流側(図左下側)への搬送経路は鋭角に曲折している。これにより、ループ部102Aの読取位置下流側から搬送された原稿Gは、案内フラップ108に案内されてスイッチバックパス104へ案内される。このようにして、案内フラップ108は、交叉位置103において所望の搬送経路に原稿を案内可能なように適宜切替可能に配設されている。なお、本実施の形態では、案内フラップ108を原稿の当接により切り替わるものとしたが、搬送ローラ等の駆動力により積極的に案内フラップ108を揺動又は固定させるようにしてもよい。
また、図39及び図41に示すように、上記第3分岐位置105には、原稿Gの搬送経路を適宜切り替えるための案内フラップ110(第7案内手段)が配設されている。案内フラップ110は、軸111を中心に揺動可能に配設されており、図41に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置に切り替えられるようになっている。案内フラップ110が実線で示した位置にある場合には、搬送路102の給紙トレイ側(図右側)から交叉位置103側(図左側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、給紙トレイ100から給紙された原稿Gは、交叉位置103へ向かって第3分岐位置105を通過する。一方、案内フラップ110が2点鎖線で示した位置にある場合には、搬送路102の交叉位置103側(図左側)からスイッチバックパス104(図上側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置を通過して交叉位置103から搬送された原稿Gは、スイッチバックパス104へ進入するように第3分岐位置105を通過する。このようにして、案内フラップ110は、第3分岐位置105において所望の搬送経路に原稿を案内可能なように適宜切替可能に配設されている。
また、上記搬送路102の給紙トレイ100から交叉位置103を経て読取位置に至る搬送経路は、縦断面視においてS字形状をなすように形成されている。また、上記スイッチバックパス104から第3分岐位置105及び交叉位置103を経て読取位置に至る搬送経路も、縦断面視においてS字形状をなるように形成されている。これにより、給紙トレイ100又はスイッチバックパス104から第3分岐位置105及び交叉位置103を経て読取位置に至る原稿の搬送が円滑となり、交叉位置103や第3分岐位置105等における紙詰まりが防止される。また、交叉位置103における案内手段(案内フラップ108)の構成が簡易になる。
また、図39に示すように、搬送路102には、原稿Gの搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、搬送路102には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ112及び第2フロントセンサ113がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ114が配設されている。また、スイッチバックパス104のスイッチバックローラ42の直上流側にはスイッチバックセンサ115が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、詳細な構成は第1の実施の形態で説明した第1フロントセンサ50と同様である。
以下、本画像読取装置9による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置9のADF10を使用する際には、給紙トレイ100に読み取るべき原稿Gが載置される。図39に示すように、給紙トレイ100に、原稿Gの読取面(第1面)が下となるように所謂フェイスダウンで載置される。そして、画像読取装置9に、片面読取り又は両面読取りが選択されて読取開始が入力される。また、読取開始が入力されれば、キャリッジモータや搬送モータが駆動され、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36が所定のタイミングで回転駆動されて、給紙トレイ100から原稿Gが1枚ずつ分離されて搬送路102へ送り込まれ、読取位置において画像読取ユニット22により原稿Gの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gは、排紙トレイ101へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gの搬送経路が異なる。
まず、片面読取りについて説明する。図39に示すように、画像読取装置9に読取開始が入力されると、案内フラップ110は、第3分岐位置105における搬送経路を搬送路102の給紙トレイ101側から交叉位置103側へ連続するように切り替えられる。また、案内フラップ108は、原稿Gが当接していない状態では、交叉位置103における搬送経路を、搬送路102の給紙トレイ100側からループ部102Aの読取位置上流側へ連続する位置にある。また、この状態において、案内フラップ108の揺動は許容されている。
続いて、第1フロントセンサ112により給紙トレイ100上に原稿Gが載置されているか否かが検知される。給紙トレイ100上に原稿Gが載置されていない場合には、画像読取装置9の表示部に「原稿なし」のエラー表示が行われる。給紙トレイ100に原稿Gが載置されていれば、搬送モータから駆動力が伝達されて吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、ニップパッド77,78により吸入ローラ33及び分離ローラ34に圧接されている給紙トレイ100上の原稿Gは最下位置から1枚ずつ分離されて搬送路102へ繰り込まれる。
搬送路102では、搬送ローラ35及び排紙ローラ36に搬送モータからの駆動力が伝達されて、搬送路102の上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転される。給紙トレイ100から搬送路102へ給紙された原稿Gは、搬送ローラ35及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、搬送路102を搬送され、図42に示すように、第3分岐位置105を搬送路102の交叉位置103側へ向かって搬送される。なお、第3分岐位置105からスイッチバックパス104への搬送経路は案内フラップ110により閉鎖されている。
また、搬送路102の給紙トレイ100側からループ部102Aの読取位置上流側への搬送経路は略直線状なので、図42に示すように、交叉位置103において、原稿Gは搬送路102の排紙トレイ101側やループ部102Aの読取位置下流側へ進入することなく直進する。
そして、原稿Gがループ部102Aの読取位置上流側へ搬送され、その先端がリアセンサ114に検知される。原稿Gの先端は、リアセンサ114に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば画像読取ユニット22は、原稿Gの画像読取りを開始する。
図43に示すように、原稿Gは第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22は原稿Gの第1面の画像を読み取る。そして、原稿Gの後端がリアセンサ114に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
また、原稿Gは、ループ部102Aを反転するように読取位置下流側に搬送されて交叉位置103に至り、案内フラップ108に当接する。案内フラップ108は揺動が許容されているので、原稿Gにより下方へ押し下げられ、図44に示すように、該原稿Gは、ループ部102Aの読取位置下流側から搬送路102の排紙トレイ101側へ進入する。ループ部102Aの読取位置下流側から搬送路102の排紙トレイ101側への搬送経路は略直線状なので、交叉位置103において、原稿Gはループ部102Aの読取位置上流側や給紙トレイ100側へ進入することなく直進する。
そして、原稿Gが排紙ローラ36及びピンチローラ37にニップされ、搬送路102から排紙トレイ101へ排出される。給紙トレイ100に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ100上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。
つぎに、両面読取りについて説明する。なお、図において原稿Gに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
片面読取りの場合と同様に、画像読取装置9に読取開始が入力されると、案内フラップ105は、第3分岐位置105における搬送経路を搬送路102の給紙トレイ100側から交叉位置103側へ連続するように切り替えられる。また、案内フラップ108は、原稿Gが当接していない状態では、交叉位置103における搬送経路を、搬送路102の給紙トレイ100側からループ部102Aの読取位置上流側へ連続する位置にある。また、この状態において、案内フラップ108の揺動は許容されている。
そして、第1フロントセンサ112により給紙トレイ100上に原稿Gが載置されているか否かが検知され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、該原稿Gは搬送路102へ繰り込まれる。また、搬送路102では、搬送ローラ35が原稿Gを上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転され、給紙トレイ100から搬送路102へ給紙された原稿Gは、第3分岐位置105を搬送路102の交叉位置103側へ向かって搬送される。
そして、図45に示すように、原稿Gの後端が搬送路102の交叉位置103を通過してループ部102A内に至った後、案内フラップ110は、第3分岐位置105における搬送経路を切り替える。詳細には、原稿Gの後端が第2フロントセンサ113により検知されて所定時間経過後に、原稿Gの後端は交叉位置103を通過する。これにより、原稿Gが搬送路32のループ部102内に至ったと判断される。そして、案内フラップ110は、第3分岐位置105の搬送経路を搬送路102の交叉位置103側からスイッチバックパス104へ通ずるように切り替えられる。また、原稿Gが搬送路32のループ部102内に至ったと判断されると、案内フラップ108の揺動が規制される。
そして、原稿Gの先端がリアセンサ114に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第1面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ114に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。そして、図46に示したように、第1面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ85に案内されて、交叉位置103をループ部102Aの読取位置下流側から搬送路102の給紙トレイ100側へ進入する。さらに、原稿Gは、搬送路102の第3分岐位置105を、案内フラップ110に案内されてスイッチバックパス104へ進入する。
そして、原稿Gは、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43にニップされ、スイッチバックローラ42の回転によりスイッチバックパス104を終端106側へ搬送される。そして、原稿Gがスイッチバックパス104に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。詳細には、図47に示したように、スイッチバックパス104に進入した原稿Gの後端がスイッチバックセンサ115に検知されることにより、原稿Gがスイッチバックパス104に完全に進入したと判断される。そして、スイッチバックローラ42が停止されることにより、図47に示すように、原稿Gがスイッチバックローラ42とピンチローラ43とにニップされた状態で停止する。この際、原稿Gの一部は、スイッチバックパス104の終端106からADF10の外側へ突出した状態となっているが、突出した原稿Gの一部分は原稿支持部107により支持される。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gはスイッチバックパス104を搬送路102側へ戻るようにスイッチバック搬送される。
図48に示すように、スイッチバックパス104から戻された原稿Gは、第3分岐位置105から搬送路102の交叉位置103側へ進入する。なお、第3分岐位置105において、搬送路102の給紙トレイ100側への搬送経路は、案内フラップ110により閉鎖されている。また、該原稿Gは、交叉位置103を直進して、ループ部102Aの読取位置上流側へ進入する。搬送路102のスイッチバックパス104側からループ部102Aの読取位置下流側への搬送経路は折れ曲がっているので、スイッチバックパス104から戻された原稿Gが交叉位置103において、ループ部102Aの読取位置下流側へ進入することはない。なお、搬送路102の排紙トレイ101側への搬送経路は、案内フラップ108により閉鎖されている。このように、原稿Gがスイッチバックパス104から搬送路102へスイッチバック搬送されることにより、原稿Gは、最初にループ部102Aを搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態でループ部102Aを再送される。そして、原稿Gは、第2面を読取位置に対向させるようにしてループ部102Aを搬送される。
そして、原稿Gの先端がリアセンサ114に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第2面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ114に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。そして、第2面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ108に案内されて、交叉位置103を搬送路102の給紙トレイ100側へ進入する。さらに、原稿Gは、搬送路102の第3分岐位置105をスイッチバックパス104に進入する。そして、原稿Gがスイッチバックパス104に完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、スイッチバックパス104から第3分岐位置105を搬送路102の交叉位置103側へ戻され、さらに、交叉位置103をループ部102Aの読取位置上流側へと直進することにより、先端と後端とが再び逆転される。また、原稿Gが搬送路32のループ部102内に至ったと判断されると、規制されていた案内フラップ108の揺動が許容される。
そして、原稿Gは、ループ部102Aを搬送されて再び交叉位置103へ至り、図44に示したように、案内フラップ108を押し下げるようにして、搬送路102の排紙トレイ101側へ進入する。そして、原稿Gは、排紙ローラ36により、第1面を上にした状態で排紙トレイ101に排紙される。給紙トレイ100に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ100上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。そして、排紙トレイ101へは、第1面を上にした状態で原稿Gが順次排紙されるので、給紙トレイ100に複数枚の原稿Gを積載した状態が維持される。
このように、本画像読取装置9によれば、搬送路102が、読取位置を含むループ部102Aを形成するように交叉され、搬送路102の交叉位置103より給紙トレイ100側の第3分岐位置105から分岐して、読取り後の原稿Gを再び読取位置へ給送するためのスイッチバックパス104が形成されることとしたので、搬送路102のループ部102Aにおいて複数の搬送路を形成しなくてもよい。これにより、装置の高さを低くして、装置の小型化を実現することができる。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ100に載置された複数枚の原稿Gの順序を維持した状態で排紙トレイ101へ排紙されるものとして、画像読取装置9による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ100に載置された原稿Gの順序と排紙トレイ101に排紙された原稿Gの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gの第2面を対向させて原稿が搬送された後、再び原稿Gをスイッチバック搬送することなく排紙トレイ101へ搬送して排紙させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ101において原稿Gの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gの両面読取りに要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では、案内フラップ108は、原稿Gの当接により搬送経路を切り替えるものとしたが、案内フラップ108に搬送モータ等から駆動力を付与して揺動させることにより、原稿Gの当接に関係なく搬送経路を切り替えるように構成してもよい。その際、原稿Gが交叉位置103を通過してループ部82Aに進入したか否かは、例えば、第2フロントセンサ113の検知信号やスイッチバックセンサ115の検知信号に基づいて判断すればよい。また、本実施の形態では、本発明に係る案内手段を案内フラップ108,110により実現したが、例えば案内フラップ108に代えて、弾性変形可能な案内フィルムを案内手段として採用することができる。
また、本実施の形態では、給紙トレイ100の上側に排紙トレイ101が配設されるものとしたが、これらの上下位置を逆にすることもできる。その場合には、給紙トレイ100の上側に吸入ローラ33及び分離ローラ34等が配設されるとともに、交叉位置103の上流側の第3分岐位置105からスイッチバックパス104が形成され、排紙トレイ101側の搬送路102に排紙ローラ36等が配設される。
〔第5の実施の形態〕
以下、本発明の第5の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態に係る画像読取装置11は、上記第1の実施の形態に係る画像読取装置1のADF3における搬送経路が異なるものである。なお、原稿載置台2のプラテンガラス20,21及び画像読取ユニット22の構成は上記第1の実施形態と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。また、図において、上記第1実施の形態と同一の符号は同一の部材を示している。
図49に示すように、本画像読取装置11のADF12(自動原稿搬送装置)では、原稿Gが載置される給紙トレイ120(原稿載置部)の下側に、原稿Gが排出される排紙トレイ121(原稿排紙部)が上下二段となるように配設されている。そして、該給紙トレイ120と排紙トレイ121とを画像読取ユニット22による読取位置を経て連結するようにして、搬送路122(第4搬送路)が形成されている。この搬送路122は、読取位置を含むループ部122Aを形成するように交叉位置123で交叉されたものである。また、搬送路122は、ADF12による原稿Gの片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿Gの搬送経路として用いられる。
また、搬送路122の交叉位置123から読取位置を経て再び交叉位置123に至るループ部122Aの搬送経路の長さは、読取り可能な最大原稿の搬送方向の長さより長くなるように設定されている。例えば、読取り可能な最大原稿がA4サイズであれば搬送方向の長さは297mmであり、レターサイズであれば11インチであり、リーガルサイズであれば14インチであるので、上記ループ形状の搬送経路の長さがこれらより長くなるように設定される。これにより、ADF12による画像読取りにおいて、原稿Gの先端が交叉位置123から読取位置を通過して再び交叉位置123へ進入する際には、該原稿Gの後端は交叉位置123を必ず通過しているので、交叉位置123における紙詰まり等を防止することができる。
また、上記交叉位置123では、搬送路122の給紙トレイ120側からループ部122Aの読取位置上流側への搬送経路が略直線状であり、また、ループ部122Aの読取位置下流側から搬送路122の排紙トレイ121側への搬送経路が略直線状である。これに対し、搬送路122の給紙トレイ120側からループ部122Aの読取位置下流側への搬送経路や排紙トレイ121側への搬送経路は曲折している。また、ループ部122Aの読取位置下流側から搬送路122の給紙トレイ120側への搬送経路やループ部122Aの読取位置上流側への搬送経路は曲折している。したがって、搬送路122の給紙トレイ120側から搬送された原稿Gは、ループ部122Aの読取位置上流側へ向かって交叉位置123を直進するように通過し、ループ部122Aの読取位置下流側から搬送された原稿Gは、搬送路122の排紙トレイ121側へ向かって交叉位置123を直進するように通過する。したがって、交叉位置123において、所望の搬送経路に原稿を案内する案内手段を省略することができる。
また、上記搬送路122には、原稿を搬送するための搬送手段として、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37とが配設されている。これらは、吸入ローラ33及び分離ローラ34が給紙トレイ120に対応する搬送路122の最上流位置に配設され、また、排紙ローラ36が排紙トレイ121に対応する搬送路122の最下流位置に配設されている。また、本画像読取装置11のADF12は、給紙トレイ120に読み取るべき原稿Gの読取面(第1面)が下となるように所謂フェイスダウンで載置されるので、搬送路122の下側に吸入ローラ33及び分離ローラ34が、そのローラ面の一部を搬送路122に露出させるように設けられ、該吸入ローラ33及び分離ローラ34に、ニップパッド77,78が接離可能に圧接されている。そのほかは、上記第1の実施の形態と同様である。
搬送路122には、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を搬送路122へ再送するためのスイッチバックパス124(第6搬送路)が形成されている。詳細には、スイッチバックパス124は、幹部124Aから2つの枝部124B,124Cが枝分かれしたY字形状をなしている。枝部124Bは、搬送路122のループ部122Aの上側部分の第4分岐位置125から分岐して、給紙トレイ120の方向へ斜め上方へ延出されている。また、枝部124Cは、搬送路122の交叉位置123より給紙トレイ120側の第5分岐位置126から分岐して、給紙トレイ120の方向へ斜め上方へ延出されている。そして、これら枝部124Bと枝部124Cとが枝分かれ位置127で交わって幹部124Aに連続している。
幹部124Aも給紙トレイ120側へ延出されており、その終端128は、ADF12の外側に開口されている。スイッチバックパス124により構成される搬送経路の距離は、少なくとも読取可能な最大サイズの原稿の搬送方向の長さより短く設定されており、スイッチバックパス124に進入した原稿Gの一部は、終端128を超えてADF12の外側へ突出するようになっている。したがって、スイッチバックパス124の搬送経路の距離を、読取可能な最大原稿の搬送方向の長さ以上に確保する必要がない。
このように、スイッチバックパス124を搬送路122から給紙トレイ120の方向へ斜め上方へ形成することにより、給紙トレイ120の上側のスペースを有効活用することができる。また、搬送路122の給紙トレイ120側から交叉位置123側への搬送経路と、スイッチバックパス124の枝部124Cから交叉位置123側への搬送経路とが鋭角に交わるので、搬送路122の給紙トレイ120側から枝部124Cへ原稿Gが進入したり、枝部124Cから戻された原稿Gが搬送路122の給紙トレイ120側へ進入することがない。これにより、第5分岐位置126において、所定の搬送経路に原稿を案内する案内手段を省略することができる。
また、上記スイッチバックパス124の終端128から給紙トレイ120側には、該終端128から連続するようにして、原稿支持部129が形成されている。該原稿支持部129は、スイッチバックパス124の終端128から突出された原稿Gを支持するためのものであり、ニップパッド77,78の上側においてADF12の筐体をなしている。ADF12の筐体は、ニップパッド77,78を覆うように形成されており、該筐体として構成された原稿支持部129は、上記終端128から給紙トレイ120側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34とニップパッド77,78とによる給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス124に進入して終端128からADF12の外側へ突出した原稿Gが、給紙トレイ120に積載された原稿Gの給紙位置より下流側に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿Gが乱されることが防止される。
また、上記スイッチバックパス124の幹部124Aには、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43が配設されている。これらは上記第1の実施形態と同様のものであり、このスイッチバックローラ42及びピンチローラ43により、原稿Gをスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段が実現されている。
また、図49及び図50に示すように、上記第4分岐位置125には、原稿Gの搬送経路を適宜切り替えるための案内フラップ130(第8案内手段)が配設されている。案内フラップ130は、軸131を中心に揺動可能に配設されており、図50に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置とに切り替えられるようになっている。案内フラップ130が実線で示した位置にある場合には、ループ部122Aの読取位置側(図左側)から交叉位置123側(図左下側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置から搬送された原稿Gは、交叉位置123へ向かって第4分岐位置125を案内される。一方、案内フラップ130が2点鎖線で示した位置にある場合には、ループ部122Aの読取位置側(図左側)からスイッチバックパス124の枝部124B(図右上側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、読取位置から搬送された原稿Gは、スイッチバックパス124の枝部124Bへ進入するように第4分岐位置125を案内される。このようにして、案内フラップ130は、第4分岐位置105において所望の搬送経路に原稿を案内可能に配設されている。
また、図49及び図51に示すように、上記枝分かれ位置127には、原稿Gの搬送経路を適宜切り替えるための案内フラップ132(第9案内手段)が配設されている。案内フラップ132は、軸133を中心に揺動可能に配設されており、図51に実線で示した位置と2点鎖線で示した位置とに切り替えられるようになっている。案内フラップ132が実線で示した位置にある場合には、スイッチバックパス124の幹部124A(図右側)から枝部124C(図下側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、幹部124Aから戻された原稿Gは、枝部124Cへ向かって枝分かれ位置127を案内される。一方、案内フラップ132が2点鎖線で示した位置にある場合には、スイッチバックパス124の枝部124B(図左側)から幹部124A(図右側)への搬送経路が連続することとなる。したがって、枝部124Bから搬送された原稿Gは、幹部124Aへ向かって枝分かれ位置127を案内される。このようにして、案内フラップ130は、枝分かれ位置127において所望の搬送経路に原稿を案内可能に配設されている。
上記案内フラップ132による搬送経路の切替えは、原稿Gの当接により行われるようになっている。詳細には、案内フラップ132は、常時、図51に実線で示したように、スイッチバックパス124の幹部124A(図右側)から枝部124C(図下側)への搬送経路が連続する位置にある。そして、枝部124Bを搬送される原稿Gが案内フラップ132に当接することにより、案内フラップ132が押しやられるようにして、図51に2点鎖線で示した位置へ揺動し、該原稿Gは幹部124Aに進入する。このようにして、案内フラップ132は、枝分かれ位置127における搬送経路を適宜切替可能に配設されている。なお、本実施の形態では、案内フラップ132を原稿Gの当接により切り替わるものとしたが、搬送ローラ等の駆動力により積極的に案内フラップ132を揺動させるようにしてもよい。
また、図49に示すように、搬送路122には、原稿Gの搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、搬送路122には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ133及び第2フロントセンサ134がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ135が配設されている。また、スイッチバックパス124の幹部124Aのスイッチバックローラ42の直上流側にはスイッチバックセンサ136が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、詳細な構成は第1の実施の形態で説明した第1フロントセンサ50と同様である。
以下、本画像読取装置11による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置11のADF12を使用する際には、給紙トレイ120に読み取るべき原稿Gが載置される。図49に示すように、給紙トレイ120に、原稿Gの読取面(第1面)が下となるように所謂フェイスダウンで載置される。そして、画像読取装置11に、片面読取り又は両面読取りが選択されて読取開始が入力される。また、読取開始が入力されれば、キャリッジモータや搬送モータが駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36が所定のタイミングで回転駆動されて、給紙トレイ120から原稿Gが1枚ずつ分離されて搬送路122へ送り込まれ、読取位置において画像読取ユニット22により原稿Gの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gは、排紙トレイ121へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gの搬送経路が異なる。
まず、片面読取りについて説明する。図49に示すように、画像読取装置11に読取開始が入力されると、案内フラップ130は、第4分岐位置125における搬送経路をループ部122Aの読取位置側から交叉位置123側へ連続するように切り替えられる。
続いて、第1フロントセンサ133により給紙トレイ120上に原稿Gが載置されているか否かが検知される。給紙トレイ120上に原稿Gが載置されていない場合には、画像読取装置11の表示部に「原稿なし」のエラー表示が行われる。給紙トレイ120に原稿Gが載置されていれば、搬送モータから駆動力が伝達されて吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、ニップパッド77,78により吸入ローラ33及び分離ローラ34に圧接されている給紙トレイ120上の原稿Gは最下位置から1枚ずつ分離されて搬送路122へ繰り込まれる。
搬送路122では、搬送ローラ35及び排紙ローラ36に搬送モータからの駆動力が伝達されて、搬送路122の上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転される。給紙トレイ120から搬送路122へ給紙された原稿Gは、搬送ローラ35及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、搬送路102を搬送され、図52に示すように、第5分岐位置126を搬送路122の交叉位置123側へ向かって搬送される。また、搬送路122の給紙トレイ120側からループ部122Aの読取位置上流側への搬送経路は略直線状なので、交叉位置123において、原稿Gは、搬送路122の排紙トレイ121側やループ部122Aの読取位置下流側へ進入することなく直進する。
そして、原稿Gがループ部122Aの読取位置上流側へ搬送され、その先端がリアセンサ135に検知される。原稿Gの先端はリアセンサ135に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿Gの先端が読取位置へ到達すれば画像読取ユニット22は、原稿Gの画像読取りを開始する。
図53に示すように、原稿Gは第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22は原稿Gの第1面の画像を読み取る。そして、原稿Gの後端がリアセンサ135に検知されて所定時間経過した後に、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。
また、原稿Gは、ループ部122Aを反転するように上側に搬送され、図54に示すように、第4分岐位置125を案内フラップ130に案内されて、ループ部122Aの読取位置側から交叉位置123側へ搬送される。そして、該原稿Gは交叉位置123に至り、ループ部122Aの読取位置下流側から搬送路122の排紙トレイ121側へ進入する。ループ部122Aの読取位置下流側から搬送路122の排紙トレイ121側への搬送経路は略直線状なので、交叉位置123において、原稿Gはループ部122Aの読取位置上流側や給紙トレイ120側へ進入することなく直進する。
そして、原稿Gが排紙ローラ36及びピンチローラ37にニップされ、搬送路122から排紙トレイ121へ排出される。給紙トレイ120に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ120上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。
つぎに、両面読取りについて説明する。なお、図において原稿Gに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
画像読取装置11に読取開始が入力されると、案内フラップ130は、第4分岐位置125における搬送経路をループ部122Aの読取位置側からスイッチバックパス124の枝部124B側へ連続するように切り替えられる。また、案内フラップ132は、原稿Gが当接していない状態では、枝分かれ位置127における搬送経路を、幹部124Aから枝部124Cへ連続する位置にある。
そして、第1フロントセンサ133により給紙トレイ120上に原稿Gが載置されているか否かが検知され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が回転されることにより、該原稿Gは搬送路122へ繰り込まれる。また、搬送路122では、搬送ローラ35が原稿Gを上流側から下流側へ原稿Gを搬送するように回転され、給紙トレイ120から搬送路122へ給紙された原稿Gは、第5分岐位置126を搬送路122の交叉位置123側へ向かって搬送される。また、原稿Gは、交叉位置123をループ部122Aの読取位置上流側へ進入するように直進する。
そして、原稿Gの先端がリアセンサ135に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第1面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ135に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。そして、図55に示したように、第1面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ130に案内されて、第4分岐位置125をループ部122Aの読取位置側からスイッチバックパス124の枝部124Bへ進入する。
枝部124Bに搬送された原稿Gは、枝分かれ位置127において案内フラップ132に当接する。そして、原稿Gは、案内フラップ132押しやるように揺動させて、図56に示すように、スイッチバックパス124の枝部124Bから、枝分かれ位置127を幹部124Aに進入する。
そして、原稿Gは、スイッチバックローラ42及びピンチローラ43にニップされ、スイッチバックローラ42の回転によりスイッチバックパス124の幹部124Aを終端128側へ搬送される。そして、原稿Gが幹部124Aに完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。詳細には、図57に示したように、幹部124Aに進入した原稿Gの後端がスイッチバックセンサ136に検知されることにより、原稿Gが幹部124Aに完全に進入したと判断される。そして、スイッチバックローラ42が停止されることにより、図57に示すように、原稿Gがスイッチバックローラ42とピンチローラ43とにニップされた状態で停止する。この際、原稿Gの一部は、スイッチバックパス124の終端128からADF12の外側へ突出した状態となっているが、突出した原稿Gの一部分は原稿支持部129により支持される。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、幹部124Aを枝分かれ位置127側へ戻るようにスイッチバック搬送される。また、原稿Gにより揺動された案内フラップ132は、原稿Gが離れることにより元の状態、すなわち幹部124Aから枝部124Cが連続する位置に戻る。
図58に示すように、スイッチバックパス124の幹部124Aから戻された原稿Gは、枝分かれ位置127を案内フラップ132に案内されて枝部124Cに進入する。また、該原稿Gは、枝部124Cから第5分岐位置126を搬送路122の交叉位置123側へ進入する。枝部124Cから搬送路122の給紙トレイ120側への搬送経路は鋭角に折れ曲がっているので、原稿Gが枝部124Cから搬送路122の給紙トレイ120側へ進入することはない。さらに、該原稿Gは、交叉位置123を直進して、ループ部122Aの読取位置上流側へ進入する。このように、原稿Gがスイッチバックパス124から搬送路122へスイッチバック搬送されることにより、原稿Gは、最初にループ部122Aを搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態でループ部122Aを再送される。そして、原稿Gは、第2面を読取位置に対向させるようにしてループ部122Aを搬送される。
そして、原稿Gの先端がリアセンサ135に検知され、該先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22により、原稿Gの第2面の画像読取りが開始される。また、原稿Gの後端がリアセンサ135に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は原稿Gの画像読取りを終了する。そして、第2面を読み取られた後の原稿Gは、案内フラップ130に案内されて、第4分岐位置125をループ部122Aからスイッチバックパス124の枝部124Bへ進入する。さらに、原稿Gは、枝分かれ位置127を幹部124Aに進入する。そして、原稿Gが幹部124Aに完全に進入した後、スイッチバックローラ42が停止される。その後、スイッチバックローラ42が逆方向に回転され、これを受けて、原稿Gは、幹部124Aから枝分かれ位置127を枝部124Cへ進入し、第5分岐位置126から搬送路122の交叉位置103側へ戻され、さらに、交叉位置123をループ部122Aの読取位置上流側へと直進することにより、先端と後端とが再び逆転される。また、原稿Gが幹部124Aに完全に進入すれば、案内フラップ130は、第4分岐位置125の搬送経路をループ部122Aの読取位置側から交叉位置123側へ連続するように切り替えられる。
そして、原稿Gは、ループ部122Aを搬送されて第4分岐位置125に至る。該原稿Gは、図54に示したように、第4分岐位置125を案内フラップ130に案内されて、ループ部122Aの読取位置側から交叉位置123側へ搬送される。そして、該原稿Gは交叉位置123に至り、ループ部122Aの読取位置下流側から搬送路122の排紙トレイ121側へ進入する。そして、原稿Gは、排紙ローラ36により、第1面を上にした状態で排紙トレイ121に排紙される。給紙トレイ120に、次の原稿Gがセットされている場合には、これらの動作を繰り返すことにより、給紙トレイ120上の原稿Gが1枚ずつ搬送され、画像読取りが行われる。そして、排紙トレイ121へは、第1面を上にした状態で原稿Gが順次排紙されるので、給紙トレイ120に複数枚の原稿Gを積載した状態が維持される。
このように、本画像形成装置11によれば、搬送路122が、読取位置を含むループ部122Aを形成するように交叉され、読取り後の原稿Gを再び読取位置へ給送するためのY字形状のスイッチバックパス124が、Y字形状の一端側の枝部124Bが搬送路122のループ部122Aの上側部分の第4分岐位置125と連結されるとともに、他端側の枝部124Cが、搬送路122の交叉位置123より給紙トレイ120側の第5分岐位置126と連結するように形成されることとしたので、搬送路122のループ部122Aにおいて複数の搬送路を形成しなくてもよい。これにより、装置の高さを低くして、装置の小型化を実現することができる。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ120に載置された複数枚の原稿Gの順序を維持した状態で排紙トレイ121へ排紙されるものとして、画像読取装置11による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ120に載置された原稿Gの順序と排紙トレイ121に排紙された原稿Gの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gの第2面を対向させて原稿が搬送された後、再び原稿Gをスイッチバック搬送することなく排紙トレイ121へ搬送して排紙させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ121において原稿Gの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gの両面読取りに要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では、案内フラップ132は、原稿Gの当接により搬送経路を切り替えるものとしたが、案内フラップ132に搬送モータ等から駆動力を付与して揺動させることにより、原稿Gの当接に関係なく搬送経路を切り替えるように構成してもよい。その際、原稿Gが枝分かれ位置127を通過して幹部124Aに進入したか否かは、例えば、スイッチバックセンサ136の検知信号に基づいて判断すればよい。また、本実施の形態では、本発明に係る案内手段を案内フラップ130,132により実現したが、例えば案内フラップ132に代えて、弾性変形可能な案内フィルムを案内手段として採用することができる。