JP2007220933A - 露光装置 - Google Patents
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【解決手段】光源20のフラッシュランプからの光が、量子ドットを含むフォトマスク1のマスク基板の上面照射され、フォトマスク1に形成された遮光膜2の開口の近傍に近接場光がしみだし、開口の直下に位置する被処理体表面のレジスト層11が露光される。フォトマスク1に含まれる量子ドットは光を吸収し光を放出するが、その際、照射される光の波長と量子ドットから放出される光の波長とのエネルギー差に応じた熱が発生する。フラッシュランプを用いることにより露光処理を短時間で行うことができ、上記熱がフォトマスク基板のレジスト層側の面に伝熱されるまでの間に、露光処理を完了させることができ、上記熱によるレジスト層の加熱を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
光リソグラフィ技術とは、シリコン酸化膜等の基板表面にレジスト層を塗布し、所定のパターンが描かれたマスクを介して露光することにより当該パターンを転写し、これに現像処理を施すことにより得られたレジストパターンに基づき基板にエッチング等の加工を行う方法である。
R =kλ/ NA…(1)
ここで、λは光源の波長であり、NAはレンズの開口数であり、k はプロセス定数である。
上記(1)式から、リソグラフィの解像度を上げるためには、波長λを小さくすることと、開口数NAを大きくすることが重要である。しかし、開口数NAを大きくすると焦点深度がNAの2乗に反比例して小さくなるため、微細化の流れとしては、波長λを小さくすることが求められるようになった。
そこで、露光波長は、g線(436nm)からi線(365nm)へと短波長化され、現在では、エキシマレーザ(248nm、193nm)がその主流となっている。
しかし、光を用いるリソグラフィーでは光の回折限界が解像度の限界となるため、波長が193nmのArエキシマレーザを用いても線幅100nmの微細化がリソグラフィの限界と言われている。今後、線幅45nm以下という更なる微細化が要求されることが予見され、従来の光を用いるリソグラフィーでは、このような微細化に対応することは極めて困難であると考えられる。
特許文献1は、厚みが0 .3mm程度のSiO2 からなるガラスマスク基板上に、100nmの線幅のスリットパターンを有するクロム層を形成して遮光膜とした構造が記載され、パターンの高解像度化を目的としている。
同図の(a)に示すように、被処理体10上に感光性材料からなるレジスト層11を塗布する。また、光透過性材料からなるマスク基板1a上に、例えばクロム等の金属からなる微小な開口が形成された遮光膜2を形成したものをマスク1とする。
その後、(b)に示すように、マスク基板1a上の遮光膜2を被処理体10に対向させてマスクをレジスト層11に密着させる。
その状態で、(c)に示すように、マスク基板1aの裏面から、例えばi線(365nm)などの光を照射すると、遮光膜2が存在しない開口部分から近接場光がしみだすことによってレジスト層11が露光され、露光された部分のレジスト層11が感光する。
感光後、(d)に示すように、マスク1を被処理体10から取り外し、レジスト層11を現像液で現像することにより、露光された部分のみが現像液に可溶となり、ポジ型パターンを形成する。尚、露光された部分が現像液に不溶となるような感光性材料からなるレジスト層を塗布することにより、ネガ型パターンを形成しても良い。
マスク1を遮光膜2がレジスト層11に対向するように重ね、密着させた状態でマスク基板1aの裏面から光を照射させるため、図9に示すように、平行光線のうちの一方の光線と他方の光線がマスク基板1aに入射すると、一方の光線がマスク基板1aと遮光膜2との境界面で一部反射して入射側に戻り、さらに、入射側のマスク基板1aと空気層との境界面で再反射することにより、他方の光線と重なって干渉を生じる。
このような干渉により、光強度の強弱ができてしまい、露光部分が開口径程度と小さいため、わずかな光強度分布が生じても、転写パターンにムラが生じることが判明した。
先に提案したフォトマスクは、被処理体を近接場光により露光するためのフォトマスクにおいて、光透過性材料からなるマスク基板に、照射された光を吸収して光を放出する100nm以下のサイズの微粒子(以下、量子ドットという)を含ませたものであり、高圧水銀ランプから放射される励起光を上記フォトマスクに入射し、当該励起光を上記量子ドットに吸収させ、個々の量子ドットから特有の波長域の光が放出されることにより、前記の光干渉を防止するものである。
(1)高圧水銀ランプからの励起光波長と、量子ドットの発光波長とのエネルギー差に相当する熱が発生する。量子ドットを含むフォトマスクを使用した場合、光源から照射された光は、マスク基板の表面付近で大部分が吸収されるため、フォトマスクの光源側の面において主として熱が発生する。
(2)フォトマスクの光源側で発生した熱は、熱伝導によってフォトマスク内を伝わり、数秒程度でレジスト層側の面まで伝達される。そして、高圧水銀ランプなどの光源を励起用光源として用いた場合、レジスト層の露光処理に要する時間が前記の伝熱時間よりも長いことから、露光処理中にフォトマスクのレジスト層側の面からの熱伝達によりレジスト層が加熱されることになる。
特に、線幅45nm以下という微細加工を目的とする近接場リソグラフィにおいては、フォトマスクからの熱伝導によるレジスト層の加熱は露光パターンの精度に著しい悪影響を与えるものと考えられる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、マスク基板に量子ドットを含有させたフォトマスクを備えた近接場光リソグラフィーに使用される露光装置において、当該フォトマスクからの伝熱により被処理物が加熱されるのを防止し、露光パターン精度への悪影響を防止することを目的とする。
マスク基板に量子ドットを含有させたフォトマスクを備え、光源から照射される光を該フォトマスクに入射させ、フォトマスクから放射される近接場光により被処理体を露光する露光装置において、上記光源としてフラッシュランプを使用する。
露光装置の光源としてフラッシュランプを用いることにより、露光処理を短時間で行うことができる。このため、量子ドットに照射される光の波長と量子ドットから放出される光の波長とのエネルギー差に応じた熱が、フォトマスク基板のフラッシュランプ側の面からレジスト層側の面に伝熱されるまでの間に、露光処理を完了させることができ、上記熱によるレジスト層の加熱を防止することができる。
また、フォトマスクに量子ドットを含ませているので、干渉により光強度の強弱ができ、転写パターンにムラが生じるといった問題も生じない。
同図に示すように、本発明の露光装置は、フラッシュランプ20aと例えば樋状の反射ミラー20bから構成される光源20と、光透過性材料からなるマスク基板を備えたフォトマスク1とを備える。
フォトマスク1には後述するように量子ドットが含まれ、被処理体10と対向する面には遮光膜2が形成されている。
露光に際して、光源20から放射される光が、後述する本発明のフォトマスク1のマスク基板の上面から照射され、フォトマスク1に形成された遮光膜2の開口の近傍に近接場光がしみだし、開口の直下に位置する被処理体表面のレジスト層11が露光される。
なお、図1ではフォトマスク1と被処理体10を、表現上の理由で離間して示しているが、露光に際し、フォトマスク1と被処理体10は密着させる。
このようなマスク基板は、厚みが0 .5mm以上であることが好ましい。近接場リソグラフィーは、露光時にフォトマスクとレジスト層とが密着し、露光終了後には両者が剥離する、という作業を繰り返すことから、マスク基板1aの厚みが0 .5mm以下の場合、密着と剥離時に生じる力に対する耐久性に乏しいからである。但し、10mm以上の厚みを有するマスク基板を作製することは困難である。
遮光膜2は、マスク基板1aの表面に、例えば真空蒸着によりクロム(Cr)からなる、厚みが20nm〜100nmの蒸着膜を形成し、当該蒸着膜の表面に塗布した電子線レジストに対し、電子ビーム等を照射して100nm程度の線幅を有する溝を形成することによって、所望のパターンが形成されている。
なお、石英ガラス等の光透過性材料に対する量子ドットの濃度(wt%)は、0 .1wt%〜5wt%であることが好ましい。量子ドットが少なすぎる場合、光源からの光を十分に吸収できず、光干渉を防止することができないからであり、一方、量子ドットが多すぎる場合、量子ドットからの発光が他の量子ドットによって再吸収されてしまうことから、発生する近接場光の強度が低下するからである。
また、その他の方法として、ゾル・ゲル反応を用いたゾル・ゲル法によるガラス生成(『山根 正之、安井 至、和田 正道、国分 可紀、寺井 良平、近藤 敬、小川 晋永編、「ガラス工学ハンドブック」;朝倉書店』等参照)時に、化学的にCuClや他の化合物半導体(GaAs、CdSe、CdS等)の量子ドットを分散導入する方法を採用することもできる。
フラッシュランプはサファイア等からなり、両端が封止された直管状の発光管21を備え、この発光管21内には、陰極22aおよび陽極22bが対向配置されている。当該陰極22aまたは陽極22bを先端に有する例えばタングステンよりなる電極芯棒23は、発光管内をその管軸方向に沿って伸び、後端が発光管の両端における封止部を介して外方に突出するように配置されている。
陰極22aおよび陽極22bの電極間距離は、好ましくは15〜60cmである。発光物質としては、発光管21内に例えばキセノンを含む混合ガスを封入したものを使用することができる。
フラッシュランプが発光したときの発光パルス幅は、0.5秒以下であればよい。すなわち、前記のようにマスク基板1aの厚みが0.5mm〜10mmの場合、マスク基板1aの光源側の面からレジスト層側の面に熱伝達されるのに要する時間は0.5秒以上であることから、この時間をパルス幅が下回ればよい。
フラッシュランプ20aを点灯駆動することによって、フラッシュランプ20aから放射される連続スペクトル光がフォトマスク1に照射される。
上記連続スペクトル光がフォトマスク1に含まれる量子ドットによって吸収されることにより、量子ドットから放射される個々の量子ドット特有の波長を有する伝播光がマスク基板1aのレジスト層側の面に形成された遮光膜の開口部分に向けて放射される。
図4はフォトマスク内における光の伝播の様子を説明するための概念図である。
フォトマスク1のマスク基板1aに入射した光は、同図に示すように、例えばCuClからなる量子ドット3に吸収され、量子ドットは吸収から数ナノ秒のうちに、個々の量子ドット特有の波長を有する伝播光を放出し元の電子状態へと戻る。なお、図4では、図示の便宜上、量子ドットの下方にのみ光がでているように示しているが、実際は量子ドットを中心に放射状に光が放出されている。
一方、個々の量子ドット3からでた量子ドット特有の波長を有する伝播光はマスク基板1aから出射して遮光膜2に伝播し、マスク基板1aのレジスト層側の面に形成された遮光膜の開口部分に向けて放射され、図4に示すように遮光膜2の開口部付近から近接場光がしみだす。
そして、この近接場光により遮光膜2の開口部分の直下に位置するレジスト層が露光される。
なお、量子ドット3の周囲100nm程度の範囲においても近接場光が発生しているが、図1に示す例では、上記した遮光膜2の開口部付近からしみだす近接場光によってレジスト層が露光される。
露光処理の完了後、レジスト層をフォトマスク1から引き離し、レジスト層を現像液で現像することにより、露光された部分のみが現像液に可溶となり、ポジ型パターンを形成する。なお、露光された部分が現像液に不溶となるような感光材料からなるレジスト層を塗布することにより、ネガ型パターンを形成してもよい。
また、上記実施例のフォトマスク1のマスク基板1aには、例えばCuCl等の量子ドット3が含まれ、各量子ドット3から放出される伝播光の波長及び位相が異なることにより、光の干渉の影響により転写パターンにムラが生じるという従来の問題点も良好に解決することができる。
すなわち、量子ドットのCuClは、数nmから数10nmのサイズでガラス中に分散され、実質的に点であるとみなすことができる。また、それぞれの量子ドットは孤立した状態で存在している。このような状況下では、CuCl中の電子が三次元的に閉じ込められることにより、電子は離散的なエネルギー準位をとるようになる。この時、離散的なエネルギー準位の準位間のエネルギー差はCuClのサイズに依存している。
フォトマスク内に存在するCuClのサイズはさまざまであり、それゆえに各CuClから放出される光の波長もそれぞれ異なっている。
CuClから放出された光は、一部がフォトマスク外部へと放出され、一部は再びCuClに吸収される。こうして、光源からフォトマスクへ照射された光はCuClに吸収されることによって弱められる。そのため、フォトマスク中にCuClを含ませることによって、CuClを含ませない場合に比べ、光源から照射された光が直接フォトマスクの遮光膜の開口に到達して近接場光を発生させることは少なくなる。一方、CuClから放出された光が遮光膜の開口部に到達して近接場光を発生させるようになる。
ここでは、量子ドットとしてCuClを選択した場合について説明したが、前記したGaAs、CdSe、CdS等を量子ドットとしてフォトマスクを作製した場合についても同様である。
図5は本発明の露光装置に使用されるフォトマスクの拡大断面図であり、同図は凸部を設けたフォトマスクを示している。
光透過性材料からなるマスク基板1aには、量子ドット3がマスク基板の全体に均一に含まれ、局所的に凸部4が形成されている。マスク基板1aに設けられた凸部4は、被処理体10のレジスト層11における露光すべき箇所に対応して、所望のパターンを形成している。そして、マスク基板1aに形成された凸部4が半導体ウェハー等の被処理体に当接することにより、フォトマスク1と被処理体10とが密着する。
図5に示す例は、図4に示す量子ドット3の周囲100nm程度に発生する近接場光を使用する点に特徴がある。なお、上記量子ドット3は、少なくとも、上記凸部の表面から近接場光が到達する距離内に配置される。
マスク基板1aは、前述したようにガラス等の光透過性材料にCuCl、GaAs、CdS、ZnSe、ZnS等(量子ドットを形成する材料となる)をドープした構成である。なお、マスク基板1aとしてはガラス以外にもNaCl等を用いても良い。
このようなマスク基板1aの作製方法は、前述したように量子ドットをガラス中にランダムに分散させ、このガラスを切削加工することにより、所望の転写パターンに対応して量子ドットが含まれた凸部を形成することができる。
ここで、被処理体10のレジスト層11を構成する感光分子としては、量子ドットであるCuClから放射される伝播光や、光源から放射される伝播光は吸収しないが、近接場光であればエネルギー移動によって感光のために必要なエネルギーを受け取ることができる材料を用いる。
光源20からの光は量子ドットによる吸収のため、マスク基板1aの凸部4が設けられた側の面にはほとんど到達せず、フォトマスク1の凸部4の表面から近接場光が到達する距離である例えば100nm以内の距離に量子ドット3が含まれていると、量子ドット3から放出される伝播光により、凸部4の表面から近接場光が外部にしみ出し、この近接場光によって凸部4の直下に当接するレジスト層が露光される。
また、上記実施例のフォトマスク1のマスク基板1aには、例えばCuCl等の量子ドット3が含まれ、各量子ドット3から放出される伝播光の波長及び位相が異なっているので、マスク基板1aの光透過率を選定し、光源からの光がマスク基板の被処理体に対向する面に直接到達する量を少なくすれば、光干渉を抑制することができ、光の干渉の影響により転写パターンにムラが生じるという問題も良好に解決することができる。
なお、本実施例のフォトマスクは、第1の実施例のように遮光膜2を有していないので、レジスト層11は上述したように、近接場光には感光するが伝播光に感光しないような特性を有するレジストを使用することが必要であり、具体的には、例えば電子線露光用(EB用)レジスト、極端紫外光用(EUV用)レジスト、ArF、KrFエキシマレーザ用レジストを使用するのがよい。
マスク基板1aに設けられた凸部の高さHは、凹部における量子ドットからの近接場光が被処理体に届かないようにするため、100nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、例えば150nmである。各凸部間の距離Lは、所望の集積回路パターンの微細な線幅を実現するという観点から、20nm〜200nmの範囲内であって例えば100nmである。
このため、露光するたびに遮光膜と被処理体が密着・剥離を繰り返して遮光膜が損耗することがない。これにより、多数の被処理体を露光する場合であっても、遮光膜が損耗するたびにマスク基板を新たなものに交換する必要がないことから、作業性の改善により露光処理を迅速に行なうことができるとともに、コストを大幅に削減することができる。
図7において、フォトマスクの被処理体に対向する面は平面状であり、マスク基板1aには、局所的に量子ドットを含ませた領域が設けられ、この領域の形状が、被処理体のレジスト層において露光すべき箇所に対応する所望のパターンとなるようにされている。
なお、上記量子ドット3は、前記と同様、少なくとも上記凸部の表面から近接場光が到達する距離内に配置される。
上記構造とすれば、被処理体と対向する面が平面状であるので、前記図5に示したフォトマスクより、一層、耐久性を向上させることができる。
なお、図7では、露光させるパターンの形状に合わせて量子ドットを含ませているが、フォトマスクの被処理体に対向する面に近いレジストを露光させない一部の領域を除いて、フォトマスク全体に量子ドットを含ませてもよく、また、前記図5においても、凸部以外の箇所に量子ドットを含ませず、凸部にのみ量子ドットを含ませる構造としても良い。
1a マスク基板
2 遮光膜
3 量子ドット
4 凸部
10 被処理体
11 レジスト層
20 光源
20a フラッシュランプ
20b 反射ミラー
21 発光管
22a 陰極
22b 陽極
23 電極芯棒
Claims (1)
- 光源から放出された光を照射して被処理体を近接場光により露光する露光装置であって、
前記光源は、フラッシュランプであり、
前記フォトマスクを構成する光透過性材料からなる基板中には、照射された光を吸収して光を放出する100nm以下のサイズの微粒子が分散して含められていることを特徴とする露光装置。
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