JP2007171790A - フォトマスク及びフォトマスクを備えた露光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フォトマスク1には量子ドットが含まれ、被処理体10と対向する面に、被処理体に転写すべきパターンに応じた形状で凸部が配置されている。露光に際して、フォトマスク1のマスク基板の上面から、例えば高圧水銀ランプ等の光源20からi線(波長365nm)が照明光学系30を介して照射され、フォトマスク1に形成された凸部2の近傍に近接場光がしみだし、凸部2の直下に位置する被処理体表面のレジスト層11が露光される。なお、被処理体のレジスト層は、フォトマスクから出射する伝播光に感光しないような特性を有する材質で構成されている。また、凸部を設ける代わりに、被処理体に転写すべきパターンに応じた形状で局所的に量子ドットを含ませるようにしてもよい。
【選択図】 図1
Description
光リソグラフィ技術とは、シリコン酸化膜等の基板表面にレジスト層を塗布し、所定のパターンが描かれたマスクを介して露光することにより当該パターンを転写し、これに現像処理を施すことにより得られたレジストパターンに基づき基板にエッチング等の加工を行う方法である。
R=kλ/NA・・・・・(1)
ここで、λは光源の波長であり、NAはレンズの開口数であり、kはプロセス定数である。(1)式から、リソグラフィの解像度を上げるためには、波長λを小さくすることと、開口数NAを大きくすることが重要である。しかし、開口数NAを大きくすると焦点深度がNAの2乗に反比例して小さくなるため、微細化の流れとしては、波長λを小さくすることが求められるようになった。そこで、露光波長は、g線(436nm)からi線(365nm)へと短波長化され、現在では、エキシマレーザ(248nm、193nm)がその主流となっている。
そこで、照射する光の波長よりも十分小さな径の開口からしみだす近接場光を光源とし、フォトレジストを感光させて現像することにより、微細なパターンを形成する、という近接場光リソグラフィーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、SiO2 ガラスマスク基板上に、100nmの線幅のスリットパターンを有するクロム層を形成して遮光膜とした構造が記載され、パターンの高解像度化を目的としている。
同図の(a)に示すように、基板10上に感光性材料からなるレジスト層11を塗布する。また、光透過性材料からなるマスク基板1a上に、例えばクロム等の金属からなる微小な開口が形成された遮光膜1bを形成したものをマスク1とする。
その後、(b)に示すように、マスク基板1a上の遮光膜1bを基板1に対向させてマスクをレジスト層11に密着させる。
その状態で、(c)に示すように、マスク基板1aの裏面から、例えばi線(365nm)などの光を照射すると、遮光膜1bが存在しない開口部分から近接場光がしみだすことによってレジスト層11が露光され、露光された部分のレジスト層11が感光する。 感光後、(d)に示すように、マスク1を基板10から取り外し、レジスト層11を現像液で現像することにより、露光された部分のみが現像液に可溶となり、ポジ型パターンを形成する。尚、露光された部分が現像液に不溶となるような感光性材料からなるレジスト層を塗布することにより、ネガ型パターンを形成しても良い。
近接場光リソグラフィーでは、マスク基板の遮光膜は、近接場光の伝播距離が極めて短いことにより、マスク基板と被処理体表面のレジスト層とを密着させて使用する。
このため、被処理体を新たなものと交換するたびにレジスト層との間で密着・剥離が幾度も繰り返されることになる。
また、マスク基板の遮光膜がクロム等の金属材料からなる場合、遮光膜が光源からの光を吸収することにより、遮光膜が高温状態となる。従って、多数回にわたる露光を行なった後には、機械的摩擦或いは熱疲労等が原因となって、遮光膜に部分剥離、クラック及び損耗等が生じることにより、遮光膜としての機能が著しく損なわれるおそれがある。
従って、多数の被処理体を迅速に露光する場合、マスク基板上に遮光膜を形成することは、遮光膜の機能が損なわれる毎に新たなマスク基板に交換する必要が生じるとともに、遮光膜が高価であることも相俟って、作業性及びコストの面から好ましくない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、マスク基板上に遮光膜を設けずに、多数の被処理体に対し迅速に転写パターンを形成することができ、作業性の面及びコストの面でも優れたフォトマスク及びこのフォトマスクを用いた露光装置を提供することである。
(1)被処理体を近接場光により露光するためのフォトマスクにおいて、光透過性材料からなるマスク基板の被処理体と対向する面に、局所的に被処理体と当接乃至近接する凸部を形成し、この凸部を被処理体に転写すべきパターンに応じた形状となるように配置する。そして、少なくとも、上記凸部の表面に照射された光を吸収して光を放出する100nm以下のサイズの微粒子を含ませる。
上記微粒子のサイズはド・ブロイ波長程度であるのが望ましく、微粒子中の電子が三次元的に閉じ込められて移動が制限され孤立した状態、いわゆる量子ドットの状態としてマスク基板中に存在している。以下では、光を吸収して、光を放出する上記微粒子を量子ドットという。
(2)被処理体を近接場光により露光するためのフォトマスクにおいて、光透過性材料からなるマスク基板の被処理体と対向する面に、量子ドットを局所的に含ませ、該量子ドットが局所的に含まれる領域を被処理体に転写すべきパターンに応じた形状となるように配置する。
(3)上記(1)(2)において、前記マスク基板は、波長365nmの光に対する光透過率が60%以下とする。
(4)近接場光により被処理体を露光する露光装置において、上記(1)(2)または(3)のフォトマスクを用いる。
したがって、光源から放出されマスク基板に入射した光は、上述したように量子ドットに吸収され、量子ドットから放出された光はマスク基板内部に放出され、また他の量子ドットに吸収される。マスク基板内に多数の量子ドットが含まれていると、上記のような挙動が幾度となく繰り返され、上記量子ドットの周囲100nm程度の範囲には近接場光も発生する。
したがって、マスク基板の被処理体と対向する面に、局所的に被処理体と当接乃至近接する凸部を形成し、少なくとも、この凸部の表面から近接場光が到達する距離内に量子ドットを含ませることにより、この凸部において、量子ドットの周囲に放出された近接場光がしみだし、この近接場光によって凸部の直下に当接するレジスト層が露光される。マスク基板に設けられた上記凸部の高さHは、凹部にも量子ドットが含まれ、この量子ドットからも近接場光がしみだしている場合、この近接場光が被処理体に届かない距離であることが必要である。
なお、被処理体のレジスト層は、フォトマスクから出射する伝播光(光源から放射されマスク基板1aに入射した伝播光および量子ドットから放出される伝播光)に感光しないような特性を有する材質で構成する必要がある。
すなわち、本発明のフォトマスクには遮光膜が設けられていないので、フォトマスクに入射した伝播光の一部、あるいは、量子ドットから放出される伝播光もフォトマスクから出射する。このため、このような波長の光に感光するレジストを用いた場合、近接場光以外の光により被処理体全体が露光されてしまう。
しかし、近接場光であれば、レジスト層は感光のために必要なエネルギーを受け取ることができるので、レジスト層として上記伝播光に感光しないような特性を有する材質を用いることで近接場光のみによる露光が可能となり、伝播光に影響されずに露光を行なうことができる。
したがって、近接場光リソグラフィーに使用されるフォトマスクにおいてはこの干渉の影響を抑制する必要があるが、本発明のようにマスク基板に量子ドットを含ませることにより、以下のようにして、この干渉の影響を抑制することができる。
上述したように、量子ドットに光が入射すると、量子ドットは光を吸収し内部の電子が励起されて光を放出する。したがって、マスク基板中に量子ドットを含ませ、マスク基板の光の透過率を適切に選定することにより、光源から照射された光がマスク基板の被処理体に対向する面に直接到達することは少なくなる。
光の干渉は、波長および位相のそろった光が重なり合うことにより発生するが、上記のようにマスク基板が量子ドットを含む場合、量子ドットから放出される光は波長も位相も異なっているため、量子ドットから放出される光とマスク基板に入射する光、あるいは量子ドットから放出される光同士により干渉が発生することはなく、マスク基板に入射する光透過率を選定し、光源からの光がマスク基板の被処理体に対向する面に直接到達する量を少なくすれば、光干渉を抑制することができる。
(1)光透過性材料からなるマスク基板の被処理体と対向する面に、局所的に被処理体と当接乃至近接する凸部を形成し、上記凸部の表面から近接場光が到達する距離内に量子ドットを含ませることにより、遮光膜を設けずに、近接場光により多数の被処理体に対し迅速に転写パターンを形成することが可能となる。
このため、フォトマスクの耐久性を向上させることができ、作業性の向上、コストの低減化を図ることができる。
(2)光透過性材料からなるマスク基板の被処理体と対向する面から近接場光が到達する距離内に、量子ドットを局所的に含ませることにより、遮光膜を設けずに、近接場光により多数の被処理体に対し迅速に転写パターンを形成することが可能となる。
このため、上記(1)と同様、フォトマスクの耐久性を向上させることができ、作業性の向上、コストの低減化を図ることができる。
(3)マスク基板中に含ませる量子ドットの量を選定し、入射光に対する透過率を所定の値とすれば、マスク基板に入射する光がマスク基板の被処理体に対向する面に直接到達する量を少なくすることができ、光の干渉を抑制することができる。このため、正確にパターンを転写することが可能となる。
露光装置は、高圧水銀ランプ等の光源20と、光源20から放出された光をフォトマスク1へ導くための照明光学系30と、光透過性材料からなるマスク基板を備えたフォトマスク1とを備える。
フォトマスク1には後述するように量子ドットが含まれ、被処理体10と対向する面には、被処理体に転写すべきパターンに応じた形状に配置された凸部2が形成されている。なお、後述するように凸部2を形成する代わりに、被処理体に転写すべきパターンに応じた形状となるように、マスク基板1aに局所的に量子ドットを含ませるようにしてもよい。
露光に際して、後述する本発明のフォトマスク1のマスク基板の上面から、例えば高圧水銀ランプ等の光源20から放射されるi線(波長365nm)が照明光学系30を介して照射され、後述するように、マスク基板1aにおける凸部あるいは量子ドットが含まれた箇所から近接場光がしみだし、量子ドットの直下に位置する被処理体の表面に形成されたレジスト層11が露光される。
なお、図1ではフォトマスク1と被処理体10を表現上の理由で離間して示しているが、露光に際し、フォトマスク1と被処理体10は密着させる。
光透過性材料からなるマスク基板1aには、量子ドット3がマスク基板の全体に均一に含まれ、局所的に凸部2が形成されている。マスク基板1aに設けられた凸部2は、被処理体10のレジスト層11における露光すべき箇所に対応して、所望のパターンを形成している。なお、上記量子ドット3は、少なくとも、上記凸部の表面から近接場光が到達する距離内に配置される。
マスク基板1aに形成された凸部2は、半導体ウェハー等の被処理体に当接することにより、フォトマスク1と被処理体10が密着する。
マスク基板1aは、ガラス等の光透過性材料にCuCl、GaAs、CdS、ZnSe、ZnS等(量子ドットを形成する材料となる)をドープした構成である。すなわち、マスク基板1aは、多数の大小様々な量子ドットが含まれることによって構成される量子ドットグループを備える。なお、マスク基板1aとしてはガラス以外にもNaCl等を用いても良い。
ガラスを形成する母材からなる粉末材料(例えばSiO2 、B2 O3 等)と量子ドットを形成する材料を粉末にしたもの(例えばCuCl)とを十分に混合し、例えば電気炉等で加熱溶融させ、一定時間保持後に自然冷却することで、量子ドットをガラス中にランダムに分散させる。このガラスを切削加工することにより、所望の転写パターンに対応して量子ドットが含まれた凸部を形成することができる。
また、その他の方法として、ゾル・ゲル反応を用いたゾル・ゲル法によるガラス生成(『山根 正之、安井 至、和田 正道、国分 可紀、井 良平、近藤 敬、小川 晋永、編「ガラス工学ハンドブック」;朝倉書店』等参照)時に、化学的にCuClや他の化合物半導体(GaAs、CdSe、CdS等)の量子ドットを分散導入する方法を採用しても良い。
量子ドットのCuClは、数nmから数10nmのサイズでガラス中に分散され、実質的に点であるとみなすことができる。また、それぞれの量子ドットは孤立した状態で存在している。このような状況下では、CuCl中の電子が三次元的に閉じ込められることにより、電子は離散的なエネルギー準位をとるようになる。この時、離散的なエネルギー準位の準位間のエネルギー差はCuClのサイズに依存している。
CuClに光が照射された場合、CuClは照射された光を吸収し、CuCl内の電子は吸収した光のエネルギーにより励起される。励起された電子が、励起状態にとどまる時間は短く、吸収から数ナノ秒のうちに光(伝播光)を放出し元の電子状態へと戻る。
この伝播光の波長は、先に述べたエネルギー準位間のエネルギー差に従ったエネルギーの波長になる。またこの時、CuClの周囲100nm程度の範囲には近接場光も発生する。本発明は、この量子ドット(CuCl)の周囲に発生する近接場光を露光に使用する点に特徴がある。
なお、前述したように、被処理体10のレジスト層11を構成する感光分子としては、量子ドットであるCuClから放射される伝播光や光源から放射される伝播光は吸収しないが、CuClの発生する近接場光であればエネルギー移動によって感光のために必要なエネルギーを受け取ることができる材料を用いる。
光源の光は量子ドットによる吸収のためマスク基板1aの凸部2が設けられた側の面にはほとんど到達せず、光源が波長365nmの光を主に放出する高圧水銀ランプの場合、量子ドットの発光によって放射される伝播光の波長は、例えば380nmである。
図3に上記近接場光がしみだす様子を示す。同図に示すように、凸部の表面から近接場光が到達する距離内に量子ドット3が含まれていると、光源から放射されマスク基板1a内に入射した光が上記量子ドット3に吸収され、量子ドット3から放出される近接場光がマスク基板1aの凸部から外部にしみ出す。そして、この近接場光によって凸部2の直下に当接するレジスト層が露光される。
したがって、マスク基板1aの光透過率を選定し、光源からの光がマスク基板の被処理体に対向する面に直接到達する量を少なくすれば、光干渉を抑制することができる。
実験により、上記量子ドットを含むマスク基板の透過率と、該マスク基板を用いて露光したときの線幅変化の関係を調べたところ、例えば線幅が45nmのパターンを実現する際に許容される線幅の誤差である5nm以内を実現するには、波長365nmの光に対する上記マスク基板の透過率を60%以下にするのが望ましいことが分かった。
マスク基板1aに設けられた凸部の高さHは、凹部における量子ドットからの近接場光が被処理体に届かないようにするため、100nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、例えば150nmである。各凸部間の距離Lは、所望の集積回路パターンの微細な線幅を実現するという観点から、例えば光源が波長365nmの光を主に放出する高圧水銀ランプである場合、365nmよりも短いことが必要であり、20nm〜200nmの範囲内であって例えば100nmである。
しかも、近接場光によってレジスト層を露光するため、光源がi線を放射する高圧水銀ランプである場合にも、線幅45nm以下という極めて微細な転写パターンを作製することができる。これにより、微細な転写パターンを作製するために、短波長の光を放射する新規な光源を必要とせず、既存の露光装置を継続して使用できることから、コスト面で有利である。
図4において、フォトマスクの被処理体に対向する面は平面状であり、マスク基板1aには、局所的に量子ドットを含ませた領域が設けられ、この領域の形状が、被処理体のレジスト層において露光すべき箇所に対応する所望のパターンとなるようにされている。
なお、上記量子ドット3は、前記と同様、少なくとも上記凸部の表面から近接場光が到達する距離内に配置される。
上記構造とすれば、被処理体と対向する面が平面状であるので、前記図2に示したフォトマスクより、一層、耐久性を向上させることができる。
また、前記図2に示したフォトマスクではマスク基板全体に量子ドットを含ませるようにしているが、前記干渉の影響を考慮する必要がない場合には、凸部以外の箇所に量子ドットを含ませず、凸部にのみ量子ドットを含ませる構造としても良い。
1a マスク基板
2 凸部
3 量子ドット
10 被処理体
11 レジスト層
20 光源
30 照明光学系
Claims (4)
- 光源から放出された光が照射され、被処理体を近接場光により露光するためのフォトマスクであって、
上記フォトマスクは、光透過性材料からなるマスク基板を備え、該マスク基板は、被処理体と対向する側の面に、局所的に被処理体と当接乃至近接する凸部が形成され、
上記マスク基板は、少なくとも上記被処理体に対向する面に形成された凸部の表面に、照射された光を吸収して光を放出する100nm以下のサイズの微粒子が含まれている
ことを特徴とするフォトマスク。 - 光源から放出された光が照射され、被処理体を近接場光により露光するためのフォトマスクであって、
上記フォトマスクは、光透過性材料からなるマスク基板を備え、該マスク基板は、少なくとも、被処理体と対向する面に、照射された光を吸収して光を放出する100nm以下のサイズの微粒子が局所的に含まれている
ことを特徴とするフォトマスク。 - 前記マスク基板は、波長365nmの光に対する光透過率が60%以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフォトマスク。 - 光源から放出された光が照射されるフォトマスクを有し、近接場光により被処理体を露光する露光装置であって、
上記フォトマスクは、請求項1,2又は請求項3に記載のフォトマスクである
ことを特徴とする露光装置。
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