JP3939234B2 - 位相エッジをサブ解像度アシスト・フィーチャとして用いる光近接効果補正方法 - Google Patents

位相エッジをサブ解像度アシスト・フィーチャとして用いる光近接効果補正方法 Download PDF

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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトリソグラフィに関し、詳細にはサブ解像度(sub−resolution)の光近接補正(「OPC」)フィーチャ(features)(光近接効果を補正する働きをする)を有するフォトマスク(「マスク」)の設計および生成に関する。本発明はまた、このようなマスクを、
−放射投影ビームを供給するための放射システム、
−パターニング手段(たとえばマスク)を支持するための支持構造(パターニング手段は、所望するパターンに従って投影ビームをパターン化する働きをする)、
−基板を保持するための基板テーブル、
−パターン化されたビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システム
を一般に備えるリソグラフィ投影装置において用いる方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
リソグラフィ装置は、たとえば集積回路(IC)の製造において用いることができる。このような場合マスクは、ICの単一の層に対応する回路パターンを備える場合があり、このパターンは、放射感受性材料(レジスト)の層でコートされた基板(シリコン・ウェハ)のターゲット部分(たとえば1つまたは複数のダイを含む)に結像する(imaged)ことができる。一般に1枚のウェハは、投影システムによって1度に1つずつ連続して照射される隣接するターゲット部分からなるネットワーク全体を含んでいる。あるタイプのリソグラフィ投影システムでは、各ターゲット部分への照射は、マスク・パターン全体をターゲット部分に1回で露光することで行なわれる。このような装置は通常、ウェハ・ステッパと言われる。代替的な装置(通常、ステップ・アンド・スキャン装置と言われる)においては、各ターゲット部分への照射は、投影ビーム下でマスク・パターンを所与の基準方向(「スキャニング」方向)に漸次的にスキャンすると同時に、この方向と平行または反平行に基板テーブルを同期させてスキャニングすることで行なわれる。通常、投影システムは倍率M(通常<1)を有しているので、基板テーブルをスキャンする速度Vは、マスク・テーブルをスキャンさせる速度のM倍になる。ここで説明したようなリソグラフィ装置についてのより多くの情報は、たとえば米国特許第6,046,792号から収集することができる。なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0003】
リソグラフィ投影装置を用いる製造プロセスでは、マスク・パターンを、放射感受性材料(レジスト)の層によって少なくとも一部が覆われている基板上に結像する。この結像ステップの前に、基板に種々の処置(下塗り、レジスト・コーティング、およびソフト・ベークなど)を施すことがある。露光した後、基板に他の処置(露光後ベーク(PEB)、現像、ハード・ベーク、および結像されたフィーチャの測定/検査など)を施すことがある。この一連の処置は、デバイス(たとえばIC)の単一の層をパターン化するための基礎として用いられる。次に、このようなパターン化された層に種々のプロセス(たとえばエッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学的機械的研磨など)を施すことがある。これらのプロセスは全て、単一の層を完成させるためのものである。複数の層が必要とされる場合には、処置全体またはその変形を、新しいそれぞれの層に対して繰り返す必要がある。最終的には、デバイスのアレイが基板(ウェハ)上に存在する。次にこれらのデバイスを、ダイシングまたはソーイングなどの技術によって、互いに分離する。その結果、個々のデバイスを、キャリアにマウントしたりピンに接続したりすることなどができる。このようなプロセスについてのさらなる情報は、たとえば書籍「Microchip Fabrication:A Practical Guide to Semiconductor Processing」(第3版、Peter van Zant著、McGraw Hill 出版社、1997年、ISBN 0−07−067250−4)から得ることができる。なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0004】
簡単にするために、投影システムを以後「レンズ」と呼んでも良いことにする。しかしこの用語は、種々のタイプの投影システム(たとえば屈折光学、反射光学、および反射屈折システムなど)を含むように、広く解釈しなければならない。また放射システムには、これらの設計タイプの何れかに基づいて動作するコンポーネント(放射投影ビームを方向付けし、成形し、コントロールするためのもの)が含まれ得る。このようなコンポーネントも、一括してまたは単独で、以下「レンズ」と呼んでも良いことにする。またリソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスク・テーブル)を有するタイプであっても良い。このような「多重ステージ」デバイスにおいては、追加のテーブルを並行して用いても良いし、または予備的なステップを1つまたは複数のテーブル上で行なう一方で、1つまたは複数の他のテーブルを露光に用いても良い。ツイン・ステージ・リソグラフィ装置が、たとえば米国特許第5,969,441号、およびWO98/40791に記載されている。なおこれらの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0005】
前述したフォトリソグラフィ・マスクは、シリコン・ウェハ上に集積すべき回路部品に対応する幾何学的パターンを含む。このようなマスクの形成に使用されるパターンは、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムを用いて作製される。このプロセスは、EDA(電子設計自動化)と呼ばれることが多い。殆どのCADプログラムは、一組の所定のデザイン・ルールに従って機能マスクを形成する。これらのルールは、処理およびデザインの限界によって設定される。たとえばデザイン・ルールによって、回路デバイス(ゲート、コンデンサなど)または相互接続ラインの間のスペース許容範囲が、回路デバイスまたはラインが望ましくない方法で互いに相互作用することがないように規定される。デザイン・ルールの限界は通常、「クリティカル・ディメンション」(CD)と言われる。回路のクリティカル・ディメンションは、ラインの最小幅または2本のライン間の最小スペースであると規定できる。したがってCDによって、デザインされる回路全体のサイズおよび密度が決まる。
【0006】
当然のことながら、集積回路の製造における目標の1つは、本来の回路デザインをウェハ上に(マスクを通して)正確に再現することである。他の目標は、半導体ウェハ上のスペース面積をできるだけ使用することである。集積回路のサイズが小さくなるにつれて回路の密度は増加する。しかし対応するマスク・パターンのCDは、光学露光ツールの解像度限界に近づく。露光ツールの解像度は、その露光ツールが繰り返してウェハ上に露光できる最小限のフィーチャとして規定される。先進の多くのIC回路デザインにおいては、現在の露光装置の解像度値によってCDが制約されることが多い。
【0007】
回路レイアウトのクリティカル・ディメンションが減少して露光ツールの解像度値に近づくにつれて、マスク・パターンとフォトレジスト層上に形成される実際の回路パターンとの間の対応が著しく低下する可能性がある。マスクおよび実回路のパターンにおける差異の度合いおよび量は、回路フィーチャの互いに対する近接性に依存する。そのためパターン転写の問題は「近接効果」と言われる。
【0008】
重大な問題である近接効果の克服を進めるために、多くの技術が、サブ・リソグラフィ・フィーチャをマスク・パターンに付加するために用いられている。サブ・リソグラフィ・フィーチャは、寸法が露光ツールの解像度よりも小さいため、フォトレジスト層に転写されない。その代わりに、サブ・リソグラフィ・フィーチャは、本来のマスク・パターンと相互作用して近接効果を補正するため、最終的に転写された回路パターンが改善される。
【0009】
このようなサブ・リソグラフィ・フィーチャの例は、散乱バー(scattering bar)および非散乱バー(anti−scattering bar)であり、たとえば米国特許第5,821,014号(本明細書において参照により取り入れられている)に開示されている。散乱バーおよび非散乱バーをマスク・パターンに付加することで、近接効果によって生じたマスク・パターン内のフィーチャ間の差異を小さくする。より具体的には、サブ解像度アシスト(assist)・フィーチャまたは散乱バーは、光近接効果を補正するための手段として使用され、プロセス・ウィンドウ全体の向上に効果的であることが示されている(すなわち、特定のCDを有するフィーチャを、フィーチャが隣接フィーチャに対して隔離されているかまたは高密度に詰められているかに拘わらず、常に焼き付けることができる)。’014特許に記載されているように、一般的に言って、光近接補正は、低密度ないし隔離されたフィーチャに対する焦点深度を、これらのフィーチャ付近に散乱バーを配置することによって改善することによって行われる。散乱バーは、(隔離されているかまたは低密度のフィーチャの)有効パターン密度をより高密度に変えることによって、隔離されているかまたは低密度のフィーチャの焼付けに付随する望ましくない光近接効果を無くす働きをする。しかし散乱バーそれ自体はウェハ上に焼き付けられないことが重要である。したがってこのためには、散乱バーのサイズを結像システムの解像力を下回る値に保持しなければならないことが必要である。
【0010】
光学リソグラフィの限界がサブ波長の能力にまで高められているため、アシスト・フィーチャ(散乱バーなど)をさらに小さくして、結像システムの解像力を下回る値に留まるようにしなければならない。しかし結像システムがより小さい波長およびより高い開口数に移行するほど、十分に小さいサブ解像度散乱バーを有するフォトマスクを製造可能であるということが、重要な問題かつ深刻な問題になる。
【0011】
また解像力が増加すると、フィーチャ間の最小距離(すなわちピッチ)も減少する。このピッチの減少によって、このように密に配置されたフィーチャ間に配置されたサブ解像度アシスト・フィーチャを有するフォトマスクを作製することが、ますます難しくなる。言い換えれば、フィーチャが互いに近すぎると、サブ解像度アシスト・フィーチャ(散乱バーなど)をこのようなフィーチャ間に形成することは、非常に難しくなり得る(または不可能でさえあり得る)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、アシスト・フィーチャが現在の結像システムの解像力を下回る値に留まるために必要な微細な幾何形状の作製に付随する前述の問題を無くす、フォトマスク内にアシスト・フィーチャを設けるための方法に対する要求が存在する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した要求を解決するために、本発明の目的は、高解像度結像システムを用いたときにフォトマスク内にサブ解像度アシスト・フィーチャを作製することに付随する前述の問題をなくすために、「ディメンション・レス(dimension−less)」なサブ解像度アシスト・フィーチャ(散乱バー(規定された幅を有しフォトマスク内にフィーチャとして形成されなければならない)とは対照的)を提供することである。本発明によれば、後に詳述するように、「ディメンション・レス」な位相エッジ(phase edge)をサブ解像度アシスト・フィーチャとして用いる。
【0014】
より詳細には、本発明は、その中に形成されたパターンを基板上に光学的に転写するためのフォトリソグラフィ・マスクに関する。マスクは、基板上に焼き付けるべき複数の解像可能な(resolvable)フィーチャと、少なくとも1つの解像不可能な(non−resolvable)光近接補正フィーチャとを備え、解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジである。
【0015】
また本発明は、リソグラフィ・パターンをフォトリソグラフィ・マスクから基板上へ、リソグラフィ露光装置を用いて転写するための方法に関する。本方法は、基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャを形成するステップと、位相エッジである少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャを形成するステップと、を含む。
【0016】
後にさらに詳しく述べるように、本発明によって従来技術に対する著しい利点がもたらされる。最も重要なのは、位相エッジが本質的にディメンション・レスであって、位相エッジに付随する幅寸法(CD)が全くないため、位相エッジを用いれば、非常に小さいフィーチャ(すなわち散乱バー)をマスク上に作製できるという必要性がなくなることである。またフィーチャ間のピッチに拘わらず、位相エッジはフィーチャ間に容易に配置できる。したがって位相エッジをOPCフィーチャとして用いることで、既知のOPC技術(散乱バーなど)を適応させることができない特定のマスク環境においてOPCを実現できる。
【0017】
本発明のさらなる利点は、以下の本発明の典型的な実施形態についての詳細な説明から当業者に明らかになる。
【0018】
このテキストにおいては、IC製造において本発明を使用することに具体的に言及することがあるが、本発明には他の多くの可能な応用例があることを明確に理解されたい。たとえば本発明は、集積光学システム、磁気ドメイン・メモリに対するガイダンスおよび検出パターン、液晶ディスプレイ・パネル、薄膜磁気ビーズなどの製造で用いても良い。当業者ならば、このような代替的な応用例に関連して、用語「レティクル」、「ウェハ」、または「ダイ」をこのテキストで用いるどんな場合も、より一般的な用語「マスク」、「基板」、および「ターゲット部分」とそれぞれ入れ替えられるとみなさなければならないことを理解するであろう。
【0019】
本文献においては、用語「放射」および「ビーム」は、全ての種類の電磁放射を含むために用いる。たとえば、紫外線(たとえば波長が365、248、193、157、または126nm)およびEUV(極端紫外線、たとえば波長が5〜20nmの範囲)などである。
【0020】
このテキストで用いるマスクという用語は、基板のターゲット部分に形成すべきパターンに対応して、入力される放射ビームにパターン化された断面を与えるために使用できる一般的なパターニング手段を意味すると広く解釈しても良い。また用語「ライト・バルブ」もこのテキストで用いることがある。典型的なマスク(透過型または反射型;バイナリ、位相シフティング、ハイブリッドなど)の他に、このようなパターニング手段の他の例として以下のものが挙げられる。
【0021】
−プログラマブル・ミラー・アレイ。このようなデバイスの例は、粘弾性コントロール層と反射面とを有するマトリックス・アドレス可能な面(matrix−addressable surface)である。このような装置の背後にある基本原理は、(たとえば)反射面のアドレスされた領域が入射光を回折光として反射するのに対して、アドレスされない領域は入射光を非回折光として反射するというものである。適切なフィルターを用いれば、反射光から前記非回折光を取り除いて回折光のみを後に残すことができる。こうして、マトリックス・アドレス可能な面のアドレシング・パターンに基づいてビームはパターン化される。要求されるマトリックス・アドレシングは、好適なエレクロニクス手段を用いて行なうことができる。このようなミラー・アレイに関するより多くの情報は、たとえば米国特許第5,296,891号および第5,523,193号から収集することができる。なおこれらの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0022】
−プログラマブル・LCD・アレイ。このような構成の例は、米国特許第5,229,872号に記載されている。なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0023】
本発明自体は、さらなる目的および利点とともに、以下の詳細な説明および添付の概略図面を参照して、より良く理解することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の光近接効果補正技術によれば、解像不可能な位相エッジをサブ解像度アシスト・フィーチャとして用いる。本発明より以前では、通常、高コヒーレントな露光波長を用いて非常に小さなフィーチャを焼き付けるために、位相エッジが用いられていた。これが可能である理由は、理論的には180°位相エッジによって、Imin(すなわち最小光強度)がゼロに等しいエアリアル・イメージ(aerial image)と無限大のコントラストとが、位相エッジに高コヒーレント光を照射したときに得られるからである。この非常に強い暗像コントラストが生じるのは、照明が高コヒーレントで、ウェハをオーバー露光することで非常に小さい暗フィーチャの焼付けができる場合のみである。照明のコヒーレンスが低下すると(従来の照明を用いてシグマ(σ)を増加させる場合のように)、位相エッジのエアリアル・イメージのコントラストが低下し、Iminが増加してもはやゼロではない。前述したことを図1に示す。図示したように、σのそれぞれの増加において、Iminの値は増加する。しかし次のことに注意されたい。すなわち図1に示す5つの例のそれぞれについて、Iminの値は、図1に示す水平の点線で規定される焼付け閾値(プロセス依存である)を下回っているため、位相エッジはウェハ上に焼き付けられる。また位相エッジの位置は、図1の水平軸で規定される800nmであることにも注意されたい。
【0025】
図2を参照して、軸外照明を用いて180°位相エッジを照射した場合には、コントラストはさらに低下してIminは増加を続けることが示される。しかし強い軸外照明によって生じる単一位相エッジの像コントラストの劣化では、位相エッジの焼付けが起きないことを保証するには、十分ではない可能性がある。図2に示すように、それぞれの軸外照明条件に対して、Iminの値が焼付け閾値(図2に示す水平の点線で規定される)を下回っている間は、位相エッジはやはりウェハ上に焼き付けられる。
【0026】
コントラストは、2つの位相エッジを互いに近接させて配置することによって、さらに低減し得る(すなわちIminがさらに増加する)ことが見出された。図3に、従来の照明によっておよび軸外QUASAR照明(四重照明(quadrapole illumination)に対応する)によって照射されたときの200nm離れた2つの位相エッジのエアリアル・イメージ密度を示す。2つの位相エッジは、図3の水平軸によって規定される約650nmと850nmに配置されている。図示されるように、従来の照明では、2つの高コントラストな暗像が各位相エッジに現れ、その結果2つの位相エッジが焼き付けられる(すなわちIminが焼付け閾値を下回っている)。しかしQUASAR照明を用いた場合、結果は非常に低コントラストな像と各位相エッジ位置における高いIminとである。図3に示すように、それぞれの軸外QUASAR照明によるIminは焼付け閾値を上回っている。そのため位相エッジはウェハ上に焼き付けられない。次のことに注意されたい。すなわち前述の結果を得るのに必要な位相エッジ間の距離(今の例では200nm)はプロセス依存であり、たとえば波長(λ)、開口数(NA)、および結像システムで用いる照明技術によって変わる。所与の処理条件の組における最適な分離は、実験的な方法で容易に決めることができる。しかし次のことに注意されたい。すなわち一般的に、位相エッジを約0.42λ/NAよりも大きい値だけ分離した場合には、位相エッジの像は非常に劣化するため、通常は位相エッジはもはや焼き付けられない。
【0027】
発明者らがさらに見出した所によると、同様の効果(すなわち結果として生じる低コントラスト像およびIminの増加)が、単一の位相エッジをクロム・フィーチャ端に近接させたときに生じる。言い換えれば、位相エッジを、クロム・フィーチャの端から所定の距離だけ離して配置して、強い軸外照明を用いることで、ウェハ上への位相エッジの焼き付けを防ぐことができる。図4には、所与の処理条件の組におけるフィーチャ端に対する位相エッジの種々の配置に起因するIminの変化を示す一群のエアリアル・イメージが含まれている。
【0028】
図4を参照すると、クロム・フィーチャ端は、図4の水平軸によって規定される約1000nmに配置されている。図4に示すように、位相エッジがフィーチャ端から800nm、600nm、400nm、または300nmに位置するときには、対応するImin値はそれぞれ焼付け閾値(図4の点線で規定される)を下回るため、位相エッジはウェハ上に焼き付けられる。しかし位相エッジがフィーチャ端から200nm、175nm、または150nmに位置するときには、対応するImin値が焼付け閾値を上回るため、位相エッジは焼き付けられない。特に位相エッジがクロム・フィーチャ端から220nmないし180nmだけ離れているときに、Iminはその最大値に達する(この例で用いる6.0の閾値を超える)。次のことに注意されたい。すなわち位相エッジとクロム・フィーチャ端との距離が減少し続けると、Iminは再び減り始め、150nmにおいてIminは焼付け閾値6.0に等しくなる。距離125nmにおいてIminは焼付け閾値を十分に下回り、その結果、位相エッジはウェハ上に焼き付けられる。次のことにもやはり注意されたい。すなわちウェハ上への位相エッジの焼き付けを防ぐのに必要な位相エッジとクロム・フィーチャ端との距離は、プロセス依存であり、たとえば波長(λ)、開口数(NA)、および結像システムが用いる照明技術によって変化する。
【0029】
位相エッジの焼付け可能性を制御する(すなわち結果として生じるエアリアル・イメージを変える)他の方法は、180°以外の位相シフトを用いることである。全体的に弱め合う干渉(位相エッジの両側への光が180°だけシフトしたときに発生する)のせいで、位相エッジによって強い暗像が生じることに注意されたい。しかし光の位相を180°の代わりに90°だけシフトさせたときには、部分的に弱め合う干渉しか存在しないであろうから、結果として生じる像の強度は低下するであろう(すなわちIminは増加するであろう)。したがって位相シフト量を変えることで、所与の位相エッジに付随するIminの値を増加させて位相エッジを解像不可能とする(すなわちIminが焼付け閾値よりも大きくなる)ことができる。
【0030】
このように、結果として生じる位相エッジのエアリアル・イメージを前述の方法で制御することによって、広範囲の結像条件において位相エッジをサブ解像度にすることができる。結果として、後により詳細に説明するように、サブ解像度の位相エッジを光近接補正フィーチャとして用いることができる。
【0031】
光近接効果を補正する主な目的の1つは、十分な「オーバーラッピング・プロセス・ウィンドウ(overlapping process window)」を、所与のフィーチャ・サイズに対してピッチを通じて実現することである。言い換えれば、同じCDを有するフィーチャを、与えられたフィーチャ間のピッチに拘わらず同じようにウェハ上に再現しなければならない。本発明より以前では、サブ解像度の散乱バーを用いることが、ピッチを通じてCDを目標とするこの問題に取り組む手段であった。本質的に、このピッチを通じてのCD変化に影響を及ぼす2つの主要な要素がある。第1は、最適なフォーカス(単にフィーチャを偏らせるだけで補正できる)で公称のCDを実現するための露光ドーズである。ピッチを通じてのCD特性に影響を及ぼす第2のさらにもっと複雑な挙動は、フォーカスおよび露光が変化したときのCDの挙動である。この第2の要素は、散乱バーを付加することによって制御できる。
【0032】
図5に、光近接効果補正技術の必要性を示す。より具体的には、図5に示すのは、目標CDが130nmである隔離されたラインに対して、0.80NAおよび0.85/0.55/30のQUASAR照明を用いた場合の、フォーカス/露光マトリックスのシミュレーション結果である。シミュレーションは、光近接効果補正技術を何ら用いずに行なった。フォーカスの挙動から、結果として得られるイメージは等焦点状態(iso−focal condition)からほど遠いこと、および焦点深度(DOF)が小さい(約200nm)ことが分かる。このようにDOFが足りないために、隔離されたラインが、ピッチを通じたオーバーラッピング・プロセス・ウィンドウの限定要因となっている。したがって全体のプロセス・ウィンドウを増加させるには、隔離されたラインに付随するDOFを増加させることが好ましいことが明らかである。
【0033】
前述したように、本発明より以前では、このことはサブ解像度フィーチャ(散乱バーなど)を用いて行なわれていた。実際、適切に配置されたサブ解像度散乱バーを加えることによって、隔離されたラインに付随するDOFはかなり増加し、オーバーラッピング・プロセス・ウィンドウは非常に増加する。しかし本発明によれば、サブ解像度散乱バーとは対照的に、光近接補正フィーチャとしてサブ解像度位相エッジを用いる。サブ解像度位相エッジによって、既知のOPCフィーチャ(散乱バーなど)よりも著しい利点が得られる。たとえば各位相エッジは本質的にディメンション・レスであり、位相エッジに付随する幅寸法(またはCD)は全くない。したがって位相エッジを用いることで、非常に小さいフィーチャ(すなわち散乱バー)がマスク上に作製できるという必要性はなくなる。また位相エッジはディメンション・レスであるため、フィーチャ間のピッチに拘わらず、それらをフィーチャ間に容易に配置できる。
【0034】
図6に、低位相エッジが光近接補正フィーチャとしてどのように使用できるかを示す典型的な実施形態を示す。図6を参照して、与えられた例においては、隔離されたクロム・ライン12の両側に2つの位相エッジが作製されている。より詳細には、クロム・ライン12の左側では、第1位相エッジ14がクロム・ライン12の左端から140nmの距離に作製され、第2位相エッジ16がクロム・ラインの左端から340nmの距離に作製されている。同様に、クロム・ライン12の右側では、第1位相エッジ18がクロム・ライン12の右端から140nmの距離に作製され、第2位相エッジ20がクロム・ラインの右端から340nmの距離に作製されている。この場合もやはり、好ましい補正を実現するための、互いに対するおよびフィーチャに対する位相エッジの最適な配置は、プロセス依存であることに注意されたい。実際、散乱バーの場合と同様に、位相エッジの最適な配置は実験的な方法で容易に決めることができる。
【0035】
図7に、図6に示した位相エッジをOPCフィーチャとして130nmラインに対して用いることによって得られる改善を示す。シミュレーションで用いた処理条件は、図5に示したシミュレーションで用いたものと同じである。図7を参照すると、位相エッジを含めることで、130nmラインに対して焦点深度の著しい改善が得られることが示される。図示されているように、図5に示したシミュレーションで得られた約200nmの焦点深度とは対照的に、焦点深度は約600nmになる。
【0036】
前述したように、サブ解像度位相エッジの、フィーチャに対する位置および互いに対する位置は、隔離された130nmフィーチャの結像に影響を及ぼす。図8に、同じ130nmの隔離されたラインのシミュレーション結果を、位相エッジを160nmおよび360nmだけクロム・ライン端から離して配置した場合について示す。図示したように、このような位相エッジの配置を用いた場合には、目標にすべきドーズが約33mJで、フォーカスを通じての挙動が理想的な等焦点挙動を越えて過剰補正されている。したがってこのような配置は最適ではない。
【0037】
図6に示した位相エッジは、種々の処理方法を用いて作製できる。たとえば、単一のクロム・フィーチャを用いて、2つの位相エッジをマスク領域に作製することができる。より具体的には、プロセス・ステップには、2つの位相エッジの所望する分離に等しい幅を有するクロム・フィーチャを、クォーツ基板上に形成することが含まれる。次にクロム・フィーチャをシールドとして用いて、クォーツ基板を、基板のエッチ部分と基板の未エッチ部分との間に所望の位相差を形成するために必要な深さまで、エッチする。次にクロム・フィーチャ(すなわちシールド)を除去し、その結果、2つの位相エッジ(クロム・フィーチャの幅に等しい距離だけ離れている)が作製される。当然のことながら、位相エッジの形成に用いるクロム・フィーチャは、焼き付けるべきフィーチャに対して必要に応じて配置できる。単一の位相エッジのみを望む場合は、これはクロム・シールドの一方の側を、焼き付けるべき隣接するフィーチャに接触するまで延ばすことで、行なうことができる。この場合には単一の位相エッジが、クロム・シールドの反対側の位置(すなわち焼き付けるべきフィーチャに接触しないシールドの端)に形成される。
【0038】
本発明の利点の他の例として、単一の位相エッジOPCフィーチャを、クロムレス(chromeless)散乱バーの代わりにどのように使用できるかを示す。知られているように、クロムレス位相シフト・マスク(CLM)技術は、λ/5程度に小さい結像に対する選択肢として有望であることが明らかになりつつある。CLMは、2つの位相エッジが互いに近接した(たとえば、248nmの波長に対して120nm〜50nmの範囲にある)ときに形成される高コントラスト暗像を利用している。この画像強調は、結像システムの解像度を増加させる手段として有益であるが、サブ解像度であることが意図されるフィーチャの焼付け可能性も増加させてしまう。その結果、クロムレス散乱バーを焼き付けないためには、散乱バーを非常に小さくしなければならない(すなわち50nm未満である)か、散乱バーを有効サイズが50nm未満となるようにハーフ・トーンにしなければならない。しかし幅が50nm未満の散乱バーを作製するのは非常に難しい。
【0039】
本発明の結果、このような幅の散乱バーを作製する必要がない。前述したように本発明によれば、一対の位相エッジを、これまでハーフ・トーンのクロムレス・散乱バーが形成されたであろう場所に配置することができる。前述した方法においては、これらの位相エッジを互いからおよび主要なフィーチャの位相エッジから、所与の結像条件の下でこれらの位相エッジが焼き付けられないように離す。したがってこのような位相エッジをOPCフィーチャとして用いることによって、前述のような小さい幅寸法を有する散乱バーを作製する必要がない。
【0040】
図9では、50nmクロムレス散乱バー、40nmクロムレス散乱バー、および単一の位相エッジの焼付け可能性を、それぞれ5つの100nmのバーのパターンに隣接して配置した場合の比較を行なう。図9を参照すると、5つのバー(すなわち焼き付けるべきフィーチャ)は、約1000nm、1300nm、1600nm、1900nm、および2200nm(図9の水平軸によって規定される)に配置されている。このシミュレーションから示されるように、40nmのクロムレス散乱バーと50nmの散乱バーとは両方とも、Imin値が焼付け閾値を下回るのでウェハ上に焼き付けられる。しかし単一の位相エッジは、閾値を越えるIminを維持しているためウェハ上に焼き付けられない。実際、図9に示すシミュレーションで用いる条件下において、焼き付けられないクロムレス散乱バーを得るためには、散乱バーは約35nm幅(4×で140nm)でなければならないことが明らかになっている。この値は、現在のフォトマスク製造能力を超えている。このように本発明によって、従来技術を用いてこれまではOPCフィーチャが焼き付けられていたであろう結像条件下で、サブ解像度OPCフィーチャを配置し使用することが可能となる。
【0041】
位相エッジをサブ解像度アシスト・フィーチャとして用いる他の利点は、位相エッジを、従来の散乱バーが入るほど広くないスペースに配置できることである。図10に、相当に密集したフィーチャ間に位相エッジを配置するこのコンセプトを示す。図10を参照すると、ウェハ上に焼き付けるべきクロム・フィーチャ22はピッチが400nmであり、この値は散乱バーをフィーチャ間に配置するには小さすぎる。しかし位相エッジ24をそれぞれのフィーチャ22間に配置することは可能である。実際、位相エッジをフィーチャ間に配置することは、強い近接効果が存在し位相エッジによってこの近接効果を補正できるため望ましい。図11に、400nmピッチの100nmクロム・ライン・パターンについてのフォーカス/露光シミュレーション結果を、図10に示すように単一の位相エッジをクロム・ライン間に配置した場合について示す。図11のプロットから分かるように、結果として生じる100nmクロム・ラインは、実質的な等焦点状態および著しく大きい焦点深度(約600nm)を示す。明らかにこのような特性結果は、位相エッジを省いたなら可能ではなかったであろう。
【0042】
図10に示すクロム・フィーチャ22間に配置された位相エッジ24は、図6を参照して既に説明した方法と実質的に同じ方法で作製することができる。たとえば最初に、クォーツ基板の上面にクロムを堆積する。次にエッチすべき基板部分から、クロムを除去する。次にクォーツ基板を、所望する位相差を基板のエッチ部分と基板の未エッチ部分との間に形成するのに必要な深さまでエッチングする。次にクロム・フィーチャ22を保護して、クォーツ基板上の残りのクロムを除去する。その結果、図10に示す構造(位相エッジ24がクロム・フィーチャ22間に形成されている)が得られる。当然のことながら、位相エッジ24をクロム・フィーチャ22間に形成する他のどんな方法も利用できる。
【0043】
図12に、単一の位相エッジをクロムレス・フィーチャ間に配置する例を示す。この例では、100nmラインが、0°位相フィールドで囲まれた180°位相ラインと、180°位相フィールドで囲まれた0°位相ラインとの両方で形成されている。サブ解像度位相エッジは、0°位相フィールド領域と180°位相フィールド領域との変わり目を形成する。サブ解像度位相エッジを用いることで、ピッチが変化するラインの、フォーカスを通じての挙動を制御して、ピッチを通じてのオーバーラッピング・プロセス・ウィンドウを増加できる付加的な能力が得られる。
【0044】
より具体的には、図12を参照すると、本発明によれば、位相エッジ32を2つのクロムレス・フィーチャ(1つはトレンチ34、もう1つはメサ36)の間に配置できる。トレンチ・フィーチャ34とメサ・フィーチャ36との両方とも焼き付けられる。位相エッジ32は焼き付けられないが、光近接補正フィーチャとして確かに機能する。
【0045】
位相エッジをサブ解像度フィーチャとして用いる結果、エアリアル・イメージ形成に影響を及ぼす2つの効果が生じることに、さらに注意されたい。第1の効果は、有効パターン密度を変える場所に暗フィーチャ(dark feature)を配置することで、半密集ライン(semi−dense lines)の結像挙動に対する隔離またはほぼ隔離されたラインの結像挙動を変えることである。この効果は、フォーカスを通じての挙動を前述と同様に変えるために用いた。第2の効果は、サブ解像度位相エッジ間の領域に生じる位相シフティングである。位相パターンを用いて付加的な利点を得ることができるのは、この効果による。
【0046】
たとえば、隔離されたラインの周囲に複数の位相エッジを適切に配置することで、逆ベッセル像(inverse Bessel image)(すなわち理論的に無限大の焦点深度を有する暗ライン)として特徴付けられる挙動が起こるように、位相シフティング領域を形成できる。これは位相エッジをコヒーレント光で焼き付けることと(この場合は強い軸外照明を用いていることを除いて)同様である。
【0047】
図13に、隔離されたクロム・ライン41(ライン両側の4つの位相エッジ42、43、44、45で囲まれている)を示す。位相エッジの配置は、等焦点を目標CDフィーチャ・サイズで配置するようになされている。こうするために、位相エッジを均一な距離で離して配置してはいない。図13に示すように、サブ解像度位相エッジ間の間隙は、中央のクロム・フィーチャ41からの距離が増加するにつれて大きくなる。すでに示したように、位相エッジを配置することで、クロム・ラインのフォーカスを通じての結像挙動は変化する。この例では、位相エッジは、クロム・ラインの端から150nm、350nm、620nm、および920nmだけ離れて配置されている。この方法は、クロム・フィーチャをクロムレス位相シフト構造51(CLM)と交換して、サブ解像度位相エッジを同じ様に配置したときも(図14に示す)、同様に良好に作用する。
【0048】
図15に、隔離された100nmCLM逆ベッセル・ラインのシミュレーション結果、および位相エッジを適切に配置して特定の照明条件で逆ベッセル挙動を形成することによってどのように等焦点を制御して目標CD値にできるかを示す。図示したように、結果は、焦点距離が著しく増加していることを示す。80nm、50nm、および35nmの目標CDサイズのクロム主要フィーチャを用いて、逆ベッセル位相エッジ・デザインを用いて、FEMシミュレーションを走らせた。図16、18、および20に示すように、全ての場合において、等焦点の位置を特定の目標CDの付近に配置することができた。図17および19に、ED(露光量/線量)ラチチュード・プロットを示す。このプロットが示すように、80nmおよび50nmの隔離されたラインを、0.80NAのKrF結像システムおよび0.85/0.55/30QUASAR照明を用いて露光した場合、焦点深度は、10%の露光許容範囲において、それぞれ900nmおよび675nmのDOFであった。
【0049】
前述の図から明白な改善されたDOFは、サブ解像度アシスト・フィーチャが回折パターン(像平面において対象物を通過する露光エネルギーによって形成される)に及ぼす効果の結果であると考えられる。図21Aおよび21Bに、サブ解像度アシスト・フィーチャが回折パターンに及ぼす効果を示す。隔離されたラインの場合、実質的に全ての露光エネルギーが、ゼロ次の回折にある(図21Aを参照)。サブ解像度位相エッジを適切に配置することで、このエネルギーは、DOFを増加させるようにゼロ次から高次の回折へ流れる(図21Bを参照)。サブ解像度フィーチャをフィーチャ付近のどの場所へ配置しても、前述したように露光エネルギーは高次の回折へ送られるが、DOFを改善するための適切な配置は、露光波長、照明条件、および結像システムの開口数に依存する。
【0050】
焼き付けされない位相エッジを光近接補正フィーチャとして使用できることで、全く新しいカテゴリの補正方法が可能となる。たとえば不透明なフィーチャの角から延びる位相エッジを用いることで、角の丸い結像を、現在セリフを用いている方法と同じようにして改善できる。メイン・フィーチャとサブ解像度位相エッジとの距離をフィーチャに沿って変えることによって、幾何形状の端に凹凸を配置することで現在実現されている効果と同様の効果を得ることができる。
【0051】
サブ解像度位相エッジを用いることの汎用性の例として、図22に、ライン・エンド・ショートニング(line end shortening)の補正を、ライン61(エンド・ショートニングを補正すべきもの)に垂直な位相エッジ62を配置することによってどのようにできるかを示す。位相エッジがライン間にある領域では、結像条件および他の位相エッジとの距離によって位相エッジはサブ解像度になるため、位相エッジはプリントされない。しかし位相エッジがラインのエンド付近にあるときには、ライン・エンドの位相エッジと補正フィーチャの位相エッジとの相互作用によって、そのライン・エンドは位相エッジまで引っ張られる。したがって非常に微細なライン・エンド制御が実現できる。
【0052】
別の変形では、サブ解像度位相エッジは、直線である必要はなく、サブ解像度の揺れ(jogging)を含むことができる。また前述したように、180°以外のシフト(60°、90°、または120°など)を有する位相エッジを用いることもできる。
【0053】
図23に、本発明によってデザインされたマスクとの使用に好適なリソグラフィ投影装置を概略的に示す。この装置は、以下のものを備える。
【0054】
−放射システムEx、IL(放射の投影ビームPBを供給する)。この特定の場合では、放射システムは放射源LAも備える。
【0055】
−第1の対象物テーブル(マスク・テーブル)MT。MTには、マスクMA(たとえばレティクル)を保持するためのマスク・ホルダが設けられ、またマスクを品目PLに対して正確に位置決めするための第1の位置決め手段に接続されている。
【0056】
−第2の対象物テーブル(基板テーブル)WT。WTには、基板W(たとえばレジスト・コートされたシリコン・ウェハ)を保持するための基板ホルダが設けられ、また基板を品目PLに対して正確に位置決めするための第2の位置決め手段に接続されている。
【0057】
−投影システム(「レンズ」)PL(たとえば屈折、反射、または反射屈折の光学システム)。PLはマスクMAの照明部分を、基板Wのターゲット部分C(たとえば1つまたは複数のダイを含む)の上に結像する。
【0058】
ここで示すように、装置は透過型である(すなわち透過型マスクを有する)。しかし一般的には、装置はたとえば反射型であっても良い(反射型マスクを有する)。代替的に装置は、マスクを用いる代わりとして他の種類のパターニング手段を用いても良い。例としては、プログラマブル・ミラー・アレイまたはLCDマトリックスが挙げられる。
【0059】
放射源LA(たとえば水銀ランプまたはエキシマ・レーザ)は、放射ビームを生成する。このビームは、照明システム(投光器(illuminator))IL内に、直接にまたはコンデイショニング手段(たとえばビーム拡大器Exなど)を通った後に供給される。投光器ILは、ビーム内強度分布の外側および/または内側の径方向の程度(一般にσ外側(σ−outer)およびσ内側(σ−inner)とそれぞれ言われる)を設定するための調整手段AMを備えていても良い。また投光器ILは一般に、種々の他のコンポーネント(インテグレータINおよびコンデンサCOなど)を備える。こうして、マスクMAに入射するビームPBは、所望する均一性および強度分布をその断面内に有する。
【0060】
図23に関して次のことに注意されたい。すなわち放射源LAは、リソグラフィ投影装置のハウジング内にあっても良いが(たとえば放射源LAが水銀ランプの場合に多い)、放射源LAがリソグラフィ投影装置から離れていて、放射源から生成される放射ビームを装置内に導いても良い(たとえば好適な誘導ミラーによって)。この後者のシナリオは、放射源LAがエキシマ・レーザ(たとえばKrF、ArF、またはF2レーザ発光に基づく)の場合が多い。本発明には、これらのシナリオの両方が含まれる。
【0061】
ビームPBは、その後にマスクMA(マスク・テーブルMT上に保持される)と交差する。マスクMAを通った後、ビームPBはレンズPL(ビームPBを基板Wのターゲット部分Cにフォーカスする)を通過する。第2の位置決め手段(および干渉測定手段IF)を用いることによって、基板テーブルWTを正確に動かして、たとえば異なるターゲット部分CをビームPBの経路内に配置することができる。同様に第1の位置決め手段を用いて、マスクMAをビームPBの経路に対して正確に配置することができる(これはたとえば、マスクMAをマスク・ライブラリから機械的に検索した後またはスキャン中に行なう)。一般に、対象物テーブルMT、WTの移動は、長ストローク・モジュール(粗い位置決め)と短ストローク・モジュール(細かい位置決め)とを用いて実現される。なおこれらのモジュールは、図23には明確には示されていない。しかしウェハ・ステッパの場合には(ステップ・アンド・スキャン・ツールとは対照的に)、マスク・テーブルMTは、短ストローク・アクチュエータに接続するだけで良いし、または固定しても良い。
【0062】
図示されたツールは、2つの異なるモードで用いることができる。
【0063】
−ステップ・モードでは、マスク・テーブルMTを基本的に静止させておき、マスク全体の像を一回(すなわち一回の「フラッシュ」)でターゲット部分Cに投影する。次に、基板テーブルWTをxおよび/またはy方向に移動させて、異なるターゲット部分CにビームPBを照射できるようにする。
【0064】
−スキャン・モードでは、所与のターゲット部分Cを一回の「フラッシュ」で露光しないこと以外は、基本的に同じシナリオを用いる。その代わりに、マスク・テーブルMTが所与の方向(いわゆる「スキャン方向」、たとえばy方向)に速度vで移動可能であるため、投影ビームPBがマスク像の全体に渡ってスキャンされる。同時に、基板テーブルWTを同じかまたは反対の方向に同時に速度V=Mvで移動させる。ここでMはレンズPLの倍率である(通常はM=1/4または1/5である)。こうして比較的大きなターゲット部分Cを、解像度について妥協する必要なく露光できる。
【0065】
本発明のある特定の実施形態について開示してきたが、本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく他の形態で具体化しても良いことに注意されたい。したがって本実施形態は、全ての態様において、説明的なものであって限定的なものではないとみなすべきであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって示され、したがって特許請求の範囲の趣旨および均等な範囲にある全ての変更は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の照明を使用しシグマ(σ)を変化させたときの180°位相エッジの典型的なエアリアル強度プロファイルを示す図である。
【図2】軸外照明を用いたときの180°位相エッジの典型的なエアリアル強度プロファイルを示す図である。
【図3】従来の照明によっておよび軸外QUASAR照明によって照射されたときの200nmだけ離れた2つの位相エッジのエアリアル・イメージ強度を示す図である。
【図4】所与の処理条件の組におけるフィーチャ端に対する位相エッジの種々の配置に起因するIminの変化を示す一群のエアリアル・イメージを示す図である。
【図5】隔離されたラインに対するフォーカス/露光マトリックスのシミュレーション結果(FEM)を示す図である。
【図6】光近接補正フィーチャとして用いる位相エッジの典型的な実施形態を示す図である。
【図7】サブ解像度位相エッジをOPCフィーチャとして用いた場合の、隔離されたラインに対するフォーカス/露光マトリックスのシミュレーション結果を示す図である。
【図8】目標となる130nmの隔離されたラインのシミュレーション結果を、隔離されたラインから位相エッジを160nmおよび360nmだけ離して配置した場合について示す図である。
【図9】50nmクロムレス散乱バー、40nmクロムレス散乱バー、および単一の位相エッジの焼付け可能性を、それぞれ5つの100nmのバーのパターンに隣接して配置した場合の比較を示す図である。
【図10】従来の散乱バーの配置に対して十分なスペースが得られない中間のピッチ値において、単一の位相エッジをサブ解像度OPCフィーチャとして用いる例を示す図である。
【図11】400nmピッチの100nmクロム・ライン・パターンについてのフォーカス/露光シミュレーション結果を、図10に示すように単一の位相エッジをクロム・ライン間に配置した場合について示す図である。
【図12】単一の位相エッジをクロムレス・フィーチャ間に配置する例を示す図である。
【図13】サブ解像度位相エッジを用いて逆ベッセル・ラインを形成する例を示す図である。
【図14】クロムレス位相シフト・マスク構造を用いて、図13の逆ベッセル・ラインを形成する例を示す図である。
【図15】隔離された100nmCLM逆ベッセルラインのシミュレーション結果、および位相エッジの適切な配置によってどのように等焦点を制御できるかを示す図である。
【図16】80nmのクロム・フィーチャについてのフォーカス/露光シミュレーション結果を示す図である。
【図17】ED(露光量/線量)ラチチュード・プロットを示す図であって、80nmの隔離されたラインを、0.80NAのKrF結像システムおよび0.85/0.55/30QUASAR照明を用いて露光した場合の焦点深度を示す。
【図18】50nmのクロム・フィーチャについてのフォーカス/露光シミュレーション結果を示す図である。
【図19】ED(露光量/線量)ラチチュード・プロットを示す図であって、50nmの隔離されたラインを、0.80NAのKrF結像システムおよび0.85/0.55/30QUASAR照明を用いて露光した場合の焦点深度を示すである。
【図20】35nmのクロム・フィーチャについてのフォーカス/露光シミュレーション結果を示す図である。
【図21A】サブ解像度アシスト・フィーチャが回折パターンに及ぼす効果を示す図である。
【図21B】サブ解像度アシスト・フィーチャが回折パターンに及ぼす効果を示す図である。
【図22】サブ解像度位相エッジを用いてどのようにライン・エンド・ショートニングを補正できるかを示す図である。
【図23】典型的なリソグラフィ投影装置を示す図である。
【符号の説明】
12、22、41 クロム・フィーチャ
14、16、18、20、24、32、42、43、44、45、62 位相エッジ
34 トレンチ・フィーチャ
36 メサ・フィーチャ
51 クロムレス位相シフト構造
AM 調整手段
Ex ビーム拡大器
IL 投光器
LA 放射源
MT マスク・テーブル
MA マスク
PL 投影システム
C ターゲット部分
CO コンデンサ
IF 干渉測定手段
IL 照明システム
IN インテグレータ
PB ビーム
PB 投影ビーム
WT 基板テーブル
W 基板

Claims (28)

  1. その中に形成されたパターンを基板上に光学的に転写するためのフォトリソグラフィ・マスクであって、
    前記基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャと、
    少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャとを備え、
    前記少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジであり、
    前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、第1の解像可能なフィーチャと、第2の解像可能なフィーチャとの間に位置決めされた単独の光近接補正フィーチャであり、前記第1の解像可能なフィーチャと前記第2の解像可能なフィーチャとは密集したフィーチャに相当する密集した間隔で置かれていることを特徴とするフォトリソグラフィ・マスク。
  2. 前記位相エッジは、幅寸法が実質的にゼロに等しい請求項1に記載のフォトリソグラフィ・マスク。
  3. 前記位相エッジは、180°の位相シフトをもたらす請求項1に記載のフォトリソグラフィ・マスク。
  4. 前記位相エッジは、0°よりも大きい位相シフトをもたらす請求項1のフォトリソグラフィ・マスク。
  5. 複数の前記解像不可能な位相エッジ光近接補正フィーチャをさらに備え、複数の解像不可能な位相エッジ光近接補正フィーチャは、所与の1つの前記解像可能なフィーチャの端に隣接して配置される請求項1に記載のフォトリソグラフィ・マスク。
  6. 前記解像不可能なフィーチャは、所与のフィーチャ・サイズに対して結像システムの焦点深度が最大になるように、前記所与の1つの前記解像可能なフィーチャから離れて配置される請求項1に記載のフォトリソグラフィ・マスク。
  7. 前記マスクはクォーツ基板を備え、前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、前記クォーツ基板のエッチングによって形成される請求項1に記載のフォトリソグラフィ・マスク。
  8. その中に形成されたパターンを基板上に光学的に転写するためのフォトリソグラフィ・マスクであって、
    前記基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャと、
    少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャとを備え、
    前記少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジであり、
    前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、第1の解像可能なフィーチャと、第2の解像可能なフィーチャとの間に位置決めされた単独の光近接補正フィーチャであり、
    前記マスクはクロムレス位相シフト・マスクを形成するフォトリソグラフィ・マスク。
  9. コンピュータを制御するためのプログラムであって、コンピュータは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体と、その中に形成されたパターンを基板上に光学的に転写するためのフォトリソグラフィ・マスクに対応する少なくとも1つのファイルをコンピュータに作成するように命令を出すための記録媒体上に記録された手段と、を備え、
    前記マスクは、
    前記基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャと、
    少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャとを備え、
    前記少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジであり、
    前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、第1の解像可能なフィーチャと、第2の解像可能なフィーチャとの間に位置決めされた単独の光近接補正フィーチャであり、前記第1の解像可能なフィーチャと前記第2の解像可能なフィーチャとは密集したフィーチャに相当する密集した間隔で置かれていることを特徴とするプログラム。
  10. 前記位相エッジは、幅寸法が実質的にゼロに等しい請求項9に記載のプログラム。
  11. 前記位相エッジは、180°の位相シフトをもたらす請求項9に記載のプログラム。
  12. 前記位相エッジは、0°よりも大きい位相シフトをもたらす請求項9に記載のプログラム。
  13. 前記マスクは、複数の前記解像不可能な位相エッジ光近接補正フィーチャをさらに備え、複数の解像不可能な位相エッジ光近接補正フィーチャは、所与の1つの前記解像可能なフィーチャの端に隣接して配置される請求項9に記載のプログラム。
  14. 前記解像不可能なフィーチャは、所与のフィーチャ・サイズに対して結像システムの焦点深度が最大になるように、前記所与の1つの前記解像可能なフィーチャから離れて配置される請求項9に記載のプログラム。
  15. 前記マスクはクォーツ基板を備え、前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、前記クォーツ基板のエッチングによって形成される請求項9に記載のプログラム。
  16. コンピュータを制御するためのプログラムであって、コンピュータは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体と、その中に形成されたパターンを基板上に光学的に転写するためのフォトリソグラフィ・マスクに対応する少なくとも1つのファイルをコンピュータに作成するように命令を出すための記録媒体上に記録された手段と、を備え、
    前記マスクは、
    前記基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャと、
    少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャとを備え、
    前記少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジであり、
    前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、第1の解像可能なフィーチャと、第2の解像可能なフィーチャとの間に位置決めされた単独の光近接補正フィーチャであり、
    前記マスクはクロムレス位相シフト・マスクを形成するプログラム。
  17. 前記マスクは、軸外照明を用いて照射される請求項9に記載のプログラム。
  18. リソグラフィ・パターンをフォトリソグラフィ・マスクから基板上へ、リソグラフィ露光装置を用いて転写するための方法であって、
    前記基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャを形成するステップと、
    少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャを形成し、前記少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジであるステップと、を含み、
    前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、第1の解像可能なフィーチャと、第2の解像可能なフィーチャとの間に位置決めされた単独の光近接補正フィーチャであり、前記第1の解像可能なフィーチャと前記第2の解像可能なフィーチャとは密集したフィーチャに相当する密集した間隔で置かれていることを特徴とする方法。
  19. 前記位相エッジは、幅寸法が実質的にゼロに等しい請求項18に記載の方法。
  20. 前記位相エッジは、0°よりも大きい位相シフトをもたらす請求項18に記載の方法。
  21. 前記位相エッジは、180°の位相シフトをもたらす請求項18に記載の方法。
  22. 前記マスクは、軸外照明を用いて照射される請求項18に記載の方法。
  23. (a)放射感受性材料の層によって少なくとも一部が覆われている基板を用意するステップと、
    (b)放射システムを用いて放射投影ビームを用意するステップと、
    (c)マスク上のパターンを用いて投影ビームに断面内パターンを与えるステップと、
    (d)パターン化された放射ビームを、放射感受性材料層のターゲット部分に投影するステップと、を含むデバイス製造方法であって、
    ステップ(c)において、用いられるマスクは、
    前記基板上に焼き付けるべき複数の解像可能なフィーチャと、
    少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャと、を備え、
    前記少なくとも1つの解像不可能な光近接補正フィーチャは位相エッジであり、
    前記少なくとも1つの解像不可能な位相エッジは、第1の解像可能なフィーチャと、第2の解像可能なフィーチャとの間に位置決めされた単独の光近接補正フィーチャであり、前記第1の解像可能なフィーチャと前記第2の解像可能なフィーチャとは密集したフィーチャに相当する密集した間隔で置かれていることを特徴とするデバイス製造方法。
  24. 前記放射投射ビームは、軸外照明を含む請求項23に記載のデバイス製造方法。
  25. 前記位相エッジによって生じる位相シフトは、前記位相エッジのサブ解像度を維持するように選択されている請求項1に記載のフォトリソグラフィ・マスク。
  26. 前記位相エッジによって生じる位相シフトは、前記位相エッジのサブ解像度を維持するように選択されている請求項9に記載のプログラム。
  27. 前記位相エッジによって生じる位相シフトは、前記位相エッジにサブ解像度を維持するように選択されている請求項18に記載の方法。
  28. 前記位相エッジによって生じる位相シフトは、前記位相エッジにサブ解像度を維持するように選択されている請求項23に記載のデバイス製造方法。
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