JP5602412B2 - マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクセットおよび半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクセットおよび半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特にArFエキシマレーザー露光光で露光を行う転写用マスクの製造に用いられるマスクブランク及びそのマスクブランクを用いて製造される転写用マスク、さらには、ダブルパターニング/ダブル露光技術による転写露光で用いられる転写用マスクセットに関する。
転写パターンが形成された転写用マスクを用いて、露光装置でウェハ上のレジスト膜に転写露光する際に使用される露光光については、例えば、特許文献1,2に示されるように、KrFエキシマレーザー(波長:約248nm)、ArFエキシマレーザー(波長:約193nm)と短波長化が進んできている。近年の先端分野で使用される光透過型マスクでは、露光光はArFエキシマレーザーが主流である。また、転写パターンの微細化が、DRAM hp45nm、hp32nmと進んできており、転写用マスク上のパターン
のピッチ(hp45世代で約190nm)がArF露光光の波長よりも短くなってきている。このため、露光光が透過しにくくなってきており、斜入射照明法等の超解像技術や、特に最近では液浸露光に代表される超高NA技術が利用されてきている。また、露光光の転写用マスクへの照射強度も上昇してきている。
特開平6−95363号公報 特開2006−259293号公報
ところで、露光装置のマスクステージにチャックされた転写用マスクは、露光時、透光性基板側からArF露光光が照射されると、露光光を遮光する薄膜で転写パターン(薄膜パターン)が形成されている部分(透光性基板上に薄膜がない部分)以外は、露光光を透過させ、縮小光学系で縮小して、ウェハ上のレジスト膜を露光する。一方、薄膜パターン部分は、透光性基板を通過した露光光を薄膜パターン部分で吸収し、薄膜(遮光膜)の転写パターン部分の最表面から露光光が実質的に漏れない(0.1%程度の透過率)ようになっている。このとき、薄膜パターンで吸収されたArF露光光の光エネルギーは、大部分が熱エネルギーに変換されている。このような薄膜パターン部分で露光光を遮光する転写用マスクは、バイナリ型マスクといわれている。一方、薄膜が露光光を所定の透過率(約2%〜20%程度)で透過させるハーフトーン位相シフト膜であり、その薄膜に転写パターンが形成された構成のハーフトーン型位相シフトマスクが従来からある。この場合においても、ArF露光光を所定の透過率で透過させるため、バイナリ型マスクの薄膜パターン程ではないが、露光光が熱エネルギーに変換されている。
これらの熱エネルギーによって、薄膜パターンが温度上昇して熱膨張することから、薄膜パターンの位置ずれを生じさせる一因となっている。以前は、ArF露光光の光エネルギーが低く位置ずれ量が微小であったことや、転写用マスクに形成される転写パターンの線幅がかなり大きく、パターン位置精度の許容値がその微小な位置ずれ量よりも大きく、問題視されていなかった。
しかし、最近のArF露光光の露光強度(光エネルギー量)が増大してきており、それに伴って発生する熱エネルギーも増大し、薄膜パターンの位置ずれ量が増大してきている
。さらに、転写用マスクの薄膜に形成される転写パターンの微細化が進んできており、この位置ずれ量の増大に起因するウェハ上のレジスト膜に形成されるパターンの位置ずれが問題となってきている。
一方、近年、パターンの微細化および高密度化が飛躍的に進んできており、1つの転写用マスクに微細かつ高密度な転写パターンを薄膜に形成することに限界が生じ始めてきている。このリソグラフィ技術の問題点を解決する手段の1つとして、ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術が開発されている。ダブルパターニング/ダブル露光技術は、いずれも、1つの微細・高密度な転写パターンを2つの比較的疎な転写パターン(第1の転写パターン、第2の転写パターン)となるように分割し、その2つの転写パターンを薄膜(遮光膜)にそれぞれ形成した転写用マスク(第1の転写用マスク、第2の転写用マスク)を作製するところまでは同じである。
ダブルパターニング技術の場合は、まず、ウェハ表面に形成された多層膜の最表層上に塗布された第1のレジスト膜に対して、第1の転写用マスクを用いて露光工程および現像工程を行い、第1の転写パターンを第1のレジスト膜に転写する(第1のレジストパターン形成)。次に、第1のレジストパターンをエッチングマスクとして、最表層をドライエッチングし、薄膜に第1の転写パターンを転写する。次に、第1のレジストパターンを剥離し、最表層上に第2のレジスト膜を塗布する。次に、第2の転写用マスクを用いて露光工程、現像工程を行い、第2の転写パターンを第2のレジスト膜に転写する(第2のレジストパターン形成)。次に、第2のレジスト膜パターンをエッチングマスクとして最表層をドライエッチングし、最表層に第2の転写パターンを転写する。これらの工程を行うことにより、最表層に第1の転写パターンと第2の転写パターンが合成された微細・高密度な転写パターンを形成することができる。
一方、ダブル露光技術の場合は、ウェハ上に形成された多層膜の最表層上に塗布されたレジスト膜に対して、第1の転写用マスクで第1の転写パターンを転写する露光工程を行い、さらに第2の転写用マスクで第2の転写パターンを転写する露光工程を行うという同じレジスト膜に対して2回露光を行う。そして、レジスト膜に現像処理を行うことで、レジスト膜に第1の転写パターンと第2の転写パターンが合成された微細・高密度な転写パターンを形成することができる。このレジスト膜に形成された転写パターンをエッチングマスクとして最表層をドライエッチングすることで、ウェハ上に形成された多層膜の最表層に微細・高密度な転写パターンを形成することができる。
ダブルパターニング/ダブル露光(DP/DE)技術のいずれの技術においても、使用される2枚セットの転写用マスクで露光転写される第1の転写パターンと第2の転写パターンの重ね合わせ精度が、ウェハ上に形成された多層膜の最表層へのパターン転写精度に大きく影響する(重ね合わせの精度が低いと、ウェハ上に形成された多層膜の最表層に形成される導電線幅が大きく変動する、断線状態や短絡状態になる等、半導体デバイスとしては致命的な問題となる)。このため、薄膜に形成される第1および第2の各転写パターンの位置精度は非常に重要になる。露光転写時のArF露光光照射に起因する薄膜の熱膨張により、その薄膜に形成された第1および第2の各転写パターンに位置ずれが発生すると、第1の転写パターンと第2の転写パターンの重ね合わせ精度が低下することが新たな問題となっている。
一方、近年、ヘイズの改善が進み、転写用マスクの洗浄回数が低減されたことから、転写用マスクの繰り返し使用期間が延びてきている。しかし、このことに起因してこれまで隠れていたArFエキシマレーザーに対する耐光性の問題が顕在化してきている。特に、金属シリサイド系の薄膜の場合、ArF露光光が累積して照射された結果、パターン線幅が変化する(太る)という現象が発生している。
このようなパターン線幅の変化は、CD精度の悪化につながり、転写用マスクの更なる長寿命化の障害になっている。
本発明は、上述の背景の下でなされたものであり、ArF露光光で露光を行う際における薄膜の温度上昇による熱膨張を大幅に抑制することが可能なマスクブランク、薄膜の温度上昇で生じる熱膨張による転写パターンの位置ずれを大幅に小さく抑えることを可能にする転写用マスク、さらには、この転写用マスクをセットとしたダブルパターニング/ダブル露光技術による転写露光で用いられる転写用マスクセットを提供することを目的とする。
上述の課題解決の手段は以下の通りである。
(1)ArF露光光が適用される転写用マスクの製造に用いられ、透光性基板の上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、
前記薄膜は、ArF露光光の照射を受けるとArF露光光よりも長い波長の蛍光を発する蛍光物質を含有する材料からなることを特徴とするマスクブランク。
(2)前記蛍光物質は、金属の酸化物、窒化物または酸窒化物を主成分とし、6.4eV未満のバンドギャップを有することを特徴とする(1)に記載のマスクブランク。
(3)前記薄膜は、透光性基板側から下層と上層の少なくとも二層以上が順に積層する構造であり、前記下層は前記蛍光物質を含有する材料で形成されていることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載のマスクブランク。
(4)前記下層は、6.4eVよりも大きいバンドギャップを有する物質中に前記蛍光物質をドープした材料で形成されていることを特徴とする(3)に記載のマスクブランク。(5)前記上層は、前記蛍光物質を含有しない材料からなることを特徴とする(3)または(4)のいずれかに記載のマスクブランク。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載のマスクブランクの薄膜に転写用パターンを形成してなることを特徴とする転写用マスク。
(7)(6)に記載の転写用マスクを2枚セットとした転写用マスクセットであって、前記2枚の転写用マスクに形成されている各転写パターンは、転写対象物に転写露光する1つの転写パターンを2つの転写パターンに分割したものであることを特徴とする転写用マスクセット。
上記手段にかかるマスクブランクを用いて製造した転写用マスクによれば、ArF露光光で転写露光を行う際、薄膜の温度上昇で生じる熱膨張による転写パターンの位置ずれを大幅に抑制することが可能になる。すなわち、ArF露光光の照射をうけたときにArF露光光よりも長い波長の蛍光を発する蛍光物質を含有させる材料で転写パターン形成用の薄膜を形成することにより、転写露光時、転写パターンを有する薄膜にArF露光光が照射された際、その光エネルギーの大部分あるいは一部が蛍光物質で、ArF露光光よりも長い波長の蛍光に変換されて放射される。これにより、薄膜に照射される光エネルギーのうち、薄膜内部で熱エネルギーに変換される量を大幅に小さくすることができ、薄膜(遮光膜、ハーフトーン位相シフト膜等)の熱膨張量を大幅に抑制することができる。
したがって、従来のバイナリ型マスクやハーフトーン型位相シフトマスクを用いた露光転写時に、ウェハ上のレジスト膜に転写パターンを高い位置精度で転写することが可能となる。また、ダブルパターニング/ダブル露光技術を適用して2枚の転写用マスクからなる転写用マスクセットを作製した場合においても、各転写用マスクの熱膨張によるパターン位置ずれを大幅に抑制することができることから、高い重ね合わせ精度を得ることができる。
本発明の実施の形態にかかるマスクブランクの断面図である。 本発明の他の実施の形態にかかるマスクブランクの断面図である。 本発明の実施の形態にかかる転写用マスクの製造工程の説明図である。 バンド理論を説明する模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本願発明者は、転写用マスクの転写パターンである薄膜がArF露光光の照射を受けることによって熱膨張することを抑制する手段を検討した。薄膜の熱膨張は、薄膜内に入射したArF露光光の光エネルギーが膜内の電子を振動させることから始まり、その振動に起因する原子同士の衝突によって熱エネルギーに変換されてしまうことが原因と考えられている。この薄膜の熱膨張を抑制する最も簡単な手段としては、透光性基板側の薄膜表面の反射率(裏面反射率)を高反射にして、ArF露光光の薄膜内への入射量自体を減少させることが挙げられる。これは、転写用マスクは、露光装置内のマスクステージに転写パターンが形成されている面を下側にして載置され、上方からArF露光光を転写用マスクに対して照射されるためである。しかし、透光性基板側の薄膜表面を高反射としてしまうと、その反射されたArF露光光が干渉してフレアやゴーストを引き起こす要因となってしまい、ウェハ上のレジスト膜に転写パターンを精度良く転写することができなくなる。この手段は、露光装置側の根本的な改善が必要となるため、汎用性に乏しい。
本願発明者は、薄膜内部でArF露光光を熱以外のものに変換させることを鋭意研究した。その結果、ArF露光光をその波長よりも長い波長の蛍光に変換する蛍光物質を含有する材料で薄膜を形成することを想出した。これにより、薄膜内に入射されるArF露光光の光エネルギーは、その全てあるいは一部が蛍光に変換され、熱エネルギーに変換される量を抑制でき、薄膜の熱膨張を抑制することができる。また、変換される蛍光は、ArF露光光よりも長波長の光であるので、露光装置の照明光学系から転写用マスクに照射されるArF露光光や、転写用マスクを透過したArF露光光に干渉することがなく、ウェハ上のレジスト膜に転写パターンを精度良く転写することができる。
ArF露光光をその波長よりも長い波長の蛍光に変換する蛍光物質であるが、バンドギャップ(禁制体)を有する絶縁体や半導体(以下、絶縁体等という)である必要がある。
図4はバンド理論を説明する模式図である。バンド理論では、絶縁体等のエネルギーバンドは、価電子帯10(電子に占有された帯域、電子が多数存在)と伝導帯11(電子が空の帯域であるが、電子を存在させることは可能)に分かれており、価電子帯の頂上10aから伝導帯の底11aまでの間のエネルギー準位をバンドギャップ(禁制帯:電子が存在できない帯域)Egという。フェルミ準位40はバンドギャップEg内に存在する。
絶縁体等のバンドギャップEgよりも大きい光エネルギー(励起光20)が絶縁体等に照射された場合、それを構成する原子の最外殻の電子12は励起されてエネルギー準位が上がり、価電子帯にあった電子12が伝導帯にまで到達する(電子13)。しかし、この励起状態の電子13は不安定な状態であり、すぐにエネルギー準位の低い価電子帯に戻ろうとする。この電子13は、伝導帯の底11aのエネルギー準位にまで下降するまでは振動等によって熱エネルギーに変換される(電子14)。そして、この電子14が価電子帯に戻るとき、持っているエネルギーを蛍光30として放射する。なお、励起光20の光エネルギーが、絶縁体等の価電子帯にあった電子12を伝導帯にまで到達させるだけのエネルギー準位を与えることができない大きさであると、蛍光30は放射されない。この場合、電子12の振動から熱エネルギーに変換されてしまうことになる。なお、金属等の導体の場合、フェルミ準位が価電子帯内に存在するため、蛍光は放射されない。
この蛍光30の波長λlとバンドギャップEgとの間には、λl[nm]=1240/Eg[eV]の関係がある。また、励起光20の波長λeとその励起光20によって電子
に与えられるエネルギーEiとの間にも、Ei[eV]=1240/λe[nm]の関係がある。よって、励起光20としてArFエキシマレーザー光(λe=193[nm])が絶縁体等に照射されることによって、絶縁体等の電子12に与えるエネルギーEiは、6.4[eV]になる。つまり、ArFエキシマレーザー光の露光光の照射を受けて、蛍光を発する蛍光物質とは、6.4[eV]未満のバンドギャップを有する絶縁体または半導体である必要がある。
前記のとおり、絶縁体等の励起した電子13が価電子帯のエネルギー準位に戻る際、伝導帯の底11aのエネルギー準位までの低下におけるエネルギー放出のプロセスでは、振動等による熱エネルギーに変換されることで行われる。転写用マスクの薄膜材料では、この熱エネルギーに変換されるエネルギーができる限り小さい方がよい。ArF露光光の照射によって、転写用マスクの薄膜中に含有される蛍光物質の電子は、6.4[eV]のエネルギーを受ける。すなわち、伝導帯の底11aのエネルギー準位(バンドギャップ)が6.4[eV]よりも低くかつできる限りそれに近いことが望ましい。これらのことを考慮すると、蛍光物質のバンドギャップは、少なくとも2.0[eV]以上であるとよい。さらに、2.5[eV]であると、DP/DE技術が適用されるマスクブランクや転写用マスクに用いても高い精度で微細・高密度な転写パターン(DRAM hp32nm世代
以降)をウェハ上に形成された多層膜の最表層に転写することができ、3.0[eV]以上であると、ArF露光光のエネルギーから熱エネルギーに変換される量が非常に小さく、転写パターンの薄膜の熱膨張を大幅に抑制でき、DP/DE技術が適用されるマスクブランクや転写用マスク(DRAM hp22nm世代以降)に好ましい。さらに、4.0
[eV]以上であると、ArF露光光のエネルギーから熱エネルギーに変換される量が非常に小さく、転写パターンの薄膜の熱膨張が極小となり、5.0[eV]以上であると本発明の効果が最大限に発揮される。
マスクブランクの薄膜材料に含有させる蛍光物質には、ArF露光光の長時間照射に対する耐久性や、硫酸過水等の酸性水、アンモニア過水等のアルカリ水、オゾン水等によるマスク洗浄への耐性も必要となるため、樹脂材料はあまり好ましくない。また、マスクブランクを製造する際、透光性基板上に転写パターンを形成するための薄膜を成膜する方法として、DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法等のスパッタリング法が用いられるため、樹脂材料の蛍光物質は使用することが困難である。転写用マスクの薄膜材料には、金属が最適であるが、前記の通り、金属は良導体の状態であるとバンドギャップが存在せず、蛍光を放射しない。これらのことから、マスクブランクの薄膜材料に含有させる蛍光物質には、半導体または絶縁体である金属の酸化物、窒化物または酸窒化物を主成分とする物質が好ましい。
マスクブランクの薄膜材料に含有させる蛍光物質の金属元素としては、Ti,Al,Fe,Ta,Zr,Hf,Ga,Y,Laなどが挙げられる。また、金属以外では、窒化物であればSiがバンドギャップを2.0[eV]以上6.4[eV]未満の範囲に調整することができ、適用可能である。また、前記金属とSiの酸化物、窒化物、酸窒化物もバンドギャップを3.0[eV]以上6.4[eV]未満の範囲に調整することができる。特に、Zr酸化物、Hf酸化物、Y酸化物、La酸化物、Al窒化物、Si窒化物、ZrSi酸化物、HfSi酸化物、AlSi酸化物は、バンドギャップを3.0[eV]以上6.4[eV]未満の範囲に調整することができ、最適である。さらに、これらの酸化度、窒化度をより高めることで、バンドギャップを4.0[eV]以上6.4[eV]未満の範囲、さらには5.0[eV]以上6.4[eV]未満の範囲に調整することも可能である。
本発明のマスクブランクの転写パターンを形成する薄膜は、単層構造であっても良い。バイナリ型の転写用マスクを作製するためのマスクブランクの場合、転写パターンを形成
する薄膜である遮光膜には、ArF露光光に対する光学濃度(OD)が2.5以上は最低限必要とされており、望ましくは、2.8以上、種々の露光装置に対応するには、3.0以上が求められる。特に、ダブル露光技術に用いるマスクブランクの場合には、ウェハ上のレジスト膜への漏れ光を抑制するための遮光帯に通常のシングル露光の場合よりも高い光学濃度が必要とされるので少なくとも3.0以上であることが望ましく、3.3以上であるとより望ましい。蛍光物質は、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物を主成分とするものが多く、これらは一般に光学濃度が低い。蛍光物質で遮光膜を形成しようとすると、所望の光学濃度を満たすためには、膜厚を厚くする必要が生じてしまう。このため、バイナリ型のマスクブランクの遮光膜に本願発明の薄膜を適用する場合においては、図1に示すような、透光性基板1側から下層21と上層22の少なくとも2層以上が順に積層する構造の薄膜(遮光膜)2とした方がよく、ArF露光光の照射を直接受ける下層21は、前記の蛍光物質を含有する材料で形成した方が良い。
下層21を形成する材料としては、6.4[eV]よりも大きいバンドギャップを有する物質中に前記の蛍光物質をドープした材料を適用しても良い。フェルミ準位が価電子帯内に存在する金属等の導体中に蛍光物質をドープした材料では、蛍光物質の周囲に自由電子が多く存在する状態となる。このような材料にArF露光光が照射されても自由電子の振動に吸収されてしまい、それが熱エネルギーに変換されてしまうので、蛍光物質が有効に機能しない。6.4[eV]よりも大きいバンドギャップを有する物質としては、SiO,Al,CaFなどが挙げられる。
ArF露光光の照射を下層21で十分に蛍光に変換して、熱エネルギーによる熱膨張の影響を許容範囲に抑制できるのであれば、上層22には蛍光物質を含有させなくても良い。また、上層22の下層21側のとは反対側の面に、露光装置の縮小光学系から一部が反射されて薄膜(遮光膜)2の表面に入射するArF光の表面反射を抑制するための表面反射防止層23をさらに設けても良い(図2参照)。遮光膜2の表面反射率が高すぎると転写パターンを透過したArF露光光を干渉してしまい、パターン転写精度を悪化させてしまう恐れがある。遮光膜2の表面反射率は、少なくとも35%以下とする必要があり、30%以下であると望ましく、20%以下であると種々の露光装置に対応でき、最適である。
薄膜(遮光膜)2の上層22に蛍光物質を含有させない場合、上層22を形成する材料としては、従来から用いられている金属系材料が適用可能である。例えば、CrまたはそれにB,C,N,O,Fのうち少なくとも1以上の元素を含有する材料等のクロム系材料や、TaまたはそれにB,C,N,O,Fのうち少なくとも1以上の元素を含有する材料等のタンタル系材料、1以上の遷移金属とケイ素とからなる材料またはその材料にB,C,N,O,Fのうち少なくとも1以上の元素を含有する材料等の遷移金属シリサイド系材料などが遮光膜の上層の材料として適用可能である。なお、遷移金属シリサイド系材料中の遷移金属としては、Cr,Ta,Mo,Zr,W,Hf,Ni,Ti,Ru,Rh,Nb,V,Pd,Pt,Zn等が好ましい。
薄膜(遮光膜)2全体の膜厚は、特にDP・DE用技術が適用されるマスクブランクの場合においては、少なくとも60nm以下とする必要があり、DRAM hp32世代に
対応するには55nm以下、DRAM hp22世代に対応するには50nm以下とする
ことが望ましい。蛍光物質を含有する下層21の膜厚は、ArF露光光による熱膨張の影響を抑制する機能を最低限発揮させるためには、5nm以上は必要である。遮光膜2全体の膜厚の制限を考慮すると蛍光物質を含有する下層21の膜厚の上限は、25nm以下、DRAM hp32世代に対応するには20nm以下、DRAM hp22世代に対応するには15nm以下とすることが望ましい。遮光膜2に表面反射防止層23を設ける場合、表面反射防止機能を確保するには、5nm以上は必要である。遮光膜2全体の膜厚の制限
を考慮すると表面反射防止層23の膜厚の上限は、20nm以下、DRAM hp32世
代に対応するには15nm以下、DRAM hp22世代に対応するには10nm以下と
することが望ましい。なお、薄膜(遮光膜)2の各層の膜組成については、各層の膜厚や役割に応じて適宜調整される。
以上のような構成とすることで、遮光膜2に形成された転写パターンのArF露光光照射による熱膨張を抑制でき、高エネルギーであるArF露光光の累積照射による膜内の物性変化を抑制し、パターン線幅の変化を抑制することができる。
バイナリ型マスクブランクからバイナリ型の転写用マスクを作製する場合、転写パターンが形成されたレジスト膜(レジストパターン)をマスクとして、遮光膜(薄膜)をエッチングするプロセスでも可能であるが、特にDRAM hp32世代の転写用マスクを作
製する場合においては、転写パターンは微細(128nm程度)であり、微細補助パターン(SRAF:Sub-Resolution Assist Feature)の線幅は非常に微細(40nm前後)とな
り、レジストパターンの倒壊・脱離がないようにするには、レジスト膜の膜厚は100nm以下とする必要がある。100nmのレジストパターンの膜厚では、それをマスクとしたドライエッチングで遮光膜(薄膜)に転写パターンを高い精度で形成することは困難である。このため、遮光膜2の上面にエッチングマスク膜3を形成することが望ましい(図1,図2参照)。エッチングマスク膜3は、少なくとも、遮光膜2の最上層(図1の場合、上層22であり、図2の場合、表面反射防止層23)に転写パターンを形成するドライエッチングを行うときのエッチングガスに対して、耐性を有する材料を用いる必要がある。前記の遮光膜2の上層22や表面反射防止層23に適用される材料のうち、クロム系材料以外については、フッ素系ガス(SF,CHF等)によるドライエッチングが可能であり、塩素と酸素の混合ガスによるドライエッチングに対する耐性が高い。このため、エッチングマスク膜3には、クロム系材料を用いることが望ましく、中でも、塩素と酸素の混合ガスによるドライエッチングに対するエッチングレートが速く、低欠陥で成膜が可能なCrOCNが最適である。
一方、前記の遮光膜2の上層22や表面反射防止層23にクロム系材料を適用する場合については、フッ素系ガス(SF,CF,C,CHF等)によるドライエッチングが可能であり、塩素と酸素の混合ガスによるドライエッチングに対する耐性が高い材料である遷移金属シリサイド系材料やケイ素系材料(SiON,SiN,SiO等)を適用することが望ましい。エッチングマスク膜3は、遮光膜2に適用される材料や全体の膜厚によって、最適な膜厚が変わるが、遮光膜2に形成される転写パターンのLER(Line Edge Roughness)を良好とするには少なくとも5nmは必要である。また、レジス
ト膜厚を100nm以下とするには、エッチングマスク膜3の膜厚は、20nm以下とする必要があり、好ましくは15nm以下、DRAM hp22世代の転写用マスクを作製
する場合においては、10nm以下とすることが望ましい。
一方、ハーフトーン型位相シフトマスクおよびそれを作製するためのハーフトーン型位相シフトマスクブランクに対しても、本発明の蛍光物質を含有する薄膜は適用可能ある。この場合、図1を援用して説明すると、ハーフトーン位相シフト膜である薄膜2は、たとえば、下層21に蛍光物質を含有する材料を用い、上層22に蛍光物質を含有しない材料を用いた2層構造とする。下層21では、ハーフトーン位相シフト膜として求められる透過率以上の範囲でArF露光光を蛍光に変換する、主に透過率を制御する役割(副次的にある程度の位相差もArF露光光に与える)を担い、上層22では、下層21から透過してきたArF露光光をハーフトーン位相シフト膜として求められる透過率および位相差になるように調整する役割を有する。ただし、下層21の膜厚に関しては、ArF露光光による熱膨張の影響を抑制する機能を最低限発揮させるためには、5nm以上は必要である。
薄膜(ハーフトーン位相シフト膜)2の下層21については、前記のバイナリ型マスクブランクの遮光膜の下層21と同様の材料が適用可能である。また、薄膜(ハーフトーン位相シフト膜)2の上層22については、特に露光光の位相差を調整する必要があるため、遷移金属シリサイド系材料の酸化物や酸窒化物、SiON、SiO等がその材料として適用可能である。このような構成とすることで、ハーフトーン位相シフト膜に形成された転写パターンのArF露光光照射による熱膨張を抑制でき、高エネルギーであるArF露光光の累積照射による膜内の物性変化を抑制し、パターン線幅の変化を抑制することができる。
なお、薄膜(ハーフトーン位相シフト膜)2の各層の膜組成については、各層の膜厚や役割に応じて適宜調整される。また、透過率や位相差を所定範囲に調整可能であれば、薄膜(ハーフトーン位相シフト膜)2は単層構造であってもよい。露光装置で転写用マスクにArF露光光を照射する際、照明光学系内に設けられている遮光部材で、転写用マスクの転写パターン領域だけにArF露光光が照射されるように調整されてはいるが、精度良く照射することは困難であり、一部のArF露光光が転写パターン領域の外側を照射してしまう(これを漏れ光という)。露光装置は、ウェハ上のレジスト膜に対して、間隔を置かずに転写パターンを転写するため、ハーフトーン位相シフト膜を透過した漏れ光がウェハ上のレジスト膜の隣り合う転写パターンにも照射されてしまう。漏れ光が最大4回重なる部分が発生するため、特にその部分では、レジスト膜が感光してしまい、パターン転写異常が生じることがある。これを防止するために、従来から、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクでは、ハーフトーン位相シフト膜上に遮光膜を積層した構成とする場合が多い。このハーフトーン型位相シフトマスクブランクからハーフトーン型位相シフトマスクを作製する場合、転写パターンエリアの外周に遮光膜で遮光帯を形成することで、漏れ光のウェハ上のレジスト膜への照射を抑制している。この場合の遮光膜を形成する材料としては、前記のエッチングマスク膜3の場合と同様のものを選定すれば良いが、膜厚については、ハーフトーン位相シフト膜との積層構造で、光学濃度が少なくとも2.5以上、望ましくは2.8以上、種々の露光装置に対応するには3.0以上となるように選定する必要がある。
本発明のマスクブランクにおける透光性基板1の材料としては、合成石英、CaF2等が適用可能である。本発明において、マスクブランクから転写用マスクを作製する際に用いるレジスト膜4は、電子線露光描画用レジストが好ましく、化学増幅型であると好適である。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
(マスクブランクの製造)
図1は、実施例1にかかるバイナリ型マスクブランクの断面図であり、図3は実施例1にかかる転写用マスクの製造工程の説明図である。
透光性基板1として、まず、表裏両主表面が精密研磨された約152mm×152mm×6.35mmの合成石英ガラス基板を準備した。
続いて、透光性基板1の主表面上に遮光膜2として、下層21(AlN膜:Al=49.7原子%,N=50.3原子%)を15nm、上層22(MoSi膜:Mo=21原子%,Si=79原子%)を30nm、表面反射防止層23(MoSiON膜:Mo=2.6原子%,Si=57.1原子%,O=15.9原子%,N=2.6原子%)を15nmで、合計膜厚60nmとなるようにそれぞれ形成した。
なお、遮光膜2の各層の元素分析は、ラザフォード後方散乱分析法を用いた(以下、同様)。遮光膜2の光学濃度(OD)は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nm
において3.0であった。また、遮光膜2の表面反射率は、21.2%であった。また、下層21のAlN膜のバンドギャップは、約6.2[eV]であり、6.4[eV]未満であった。
次に、上記基板を450℃で30分間加熱処理した。
次いで、表面反射防止層23の表面に、エッチングマスク膜3(CrOCN膜:Cr=33.0原子%,O=38.9原子%,C=11.1原子%,N=17.0原子%)を膜厚15nmで形成した。
以上の手順により、ArFエキシマレーザー露光用のバイナリ型マスクブランクを複数枚得た。
(転写用マスクの作製)
DP・DE露光技術を用いてウェハ上に形成された多層膜の最表層に転写パターンを形成するため、1つの密な設計転写パターン(DRAM hp22nm世代相当)を分割し
て対となる2つの設計パターンを生成した。次に、前記の製造した2枚のバイナリ型マスクブランクを用い、分割された対となる2つの転写パターンをそれぞれ有する2枚の転写用マスク(転写用マスクセット)を以下の手順により作製した。
マスクブランクのエッチングマスク膜3上に、電子線描画露光用化学増幅型ポジレジスト4(PRL009:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をスピンコート法により、膜厚が100nmとなるように塗布した(図2,図3(a))。
次に、レジスト膜4に対し、電子線描画装置を用い、先に生成したうちの一方の設計パターンの描画を行った後、所定の現像処理を行い、レジストパターン4aを形成した(図3(b))。
次に、レジストパターン4aをマスクとして、エッチングマスク膜3のドライエッチングを行い、エッチングマスクパターン3aを形成した(図3(c))。このとき、ドライエッチングガスとして、ClとOの混合ガス(Cl:O=4:1)を用いた。次いで、レジストパターン4aを剥離した。
次いで、エッチングマスクパターン3aをマスクとして、遮光膜2をSFとHeの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、薄膜パターン(遮光膜パターン)2aを形成した(図3(d))。次に、エッチングマスクパターン3aをClとOの混合ガスを用いたドライエッチングで除去し、所定の洗浄を施して、対となる2つの設計パターンのうち、一方の転写パターンを有する遮光膜を備える転写用マスクを得た(図3(e))。
次いで、同様の手順により、対となる2つの設計パターンのうち、もう一方の転写パターンを有する遮光膜を備える転写用マスクを作製し、DP・DE露光技術が適用された転写用マスクセットを得た。
作製した転写用マスクセットを露光装置のマスクステージに順次セットし、2枚の転写用マスクの転写パターンを、ウェハ上の同じレジスト膜に露光するダブル露光(DE)技術を用いて、ウェハ上のレジスト膜に密な転写パターンを露光転写した。このときの露光装置の照明光学系から転写用マスクに照射されたArF露光光は、波長193.4nm、1ショット当たりの照射強度0.05mJ/cm、パルス周波数6KHzであった。また、このとき、転写用マスクの薄膜パターンから蛍光が発せられていることが確認された。
その後、所定の現像処理を行ってウェハ上にレジストパターンを形成し、それをマスクとしてウェハ上の最表層に密なパターンを形成した。
ウェハ上の最表層に形成されたパターンと設計パターンと比較したところ、パターンの断線等のパターン欠陥はなく、露光転写時のArF露光光が転写用マスクの薄膜パターン
が熱膨張するのを許容範囲に抑制できたことが確認できた。さらに、この実施例1と同様の手順で、DRAM hp22nm世代に相当する半導体デバイスの積層構造を形成する
ため、各層に回路パターンを露光転写するための転写用マスクセットを全層分作製し、半導体デバイスを製造してみた。その結果、積層構造の各回路パターンのいずれにおいてもパターンの断線等の欠陥はなく、また上下層間の配線短絡や断線もなく、DRAM hp
22nm世代に相当する半導体デバイスを製造できることが確認できた。
また、作製した転写用マスクセットから1枚を抜き取り、ArFエキシマレーザーに照射によるCD変動量を調べた。照射条件は、繰り返し周波数300Hz,パルスエネルギー16mJ/cm/pulse、積算照射量40kJ/cmとした。この積算照射量は、転写用マスクを用いて、ウェハ150,000枚のレジスト膜に対して転写パターンを露光転写したことに相当する。その結果、転写パターン中の180nm幅のラインについて測定したところ、CD変動量(照射後のCD−照射前のCD)は、1.1nmと継続使用に問題ない変動量であった。
(実施例2)
(ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造)
実施例2は、単層型のハーフトーン位相シフト膜を備えるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、図1および図3を準用して説明する。
透光性基板1として、まず、表裏両主表面が精密研磨された約152mm×152mm×6.35mmの合成石英ガラス基板を準備した。
続いて、透光性基板1をRFマグネトロンスパッタ装置内に載置し、AlターゲットとAlターゲットの2つのターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスをスパッタ装置内に導入し、単層型のハーフトーン位相シフト膜2としてAlxOy膜(Al=40原子%超)を膜厚80nmで形成した。このハーフトーン型位相シフト膜2は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmに対する透過率が23%であり、177度の位相差を与えるように膜組成等が調整された。なお、このハーフトーン型位相シフト膜2のバンドギャップは、6.4[eV]未満であった。
次いで、ハーフトーン型位相シフト膜2の表面に、遮光帯形成等を形成するための遮光膜3を形成した。透光性基板1をDCマグネトロンスパッタ装置内に載置し、Crターゲットを用い、スパッタガスとしてAr,CO,Nの混合ガスをスパッタ装置内に導入してCrOCN膜(Cr=49.1原子%,O=25.8原子%,C=11.0原子%,N=14.1原子%)を膜厚39nmで成膜し、続いて、スパッタガスとしてAr,NOの混合ガスをスパッタ装置内に導入してCrON膜(Cr=86.8原子%,O=9.0原子%,N=4.2原子%)を膜厚4nmで成膜し、最後に、スパッタガスとしてAr,CO,Nの混合ガスをスパッタ装置内に導入してCrOCN膜(Cr=32.1原子%,O=16.2原子%,C=35.9原子%,N=15.8原子%)を膜厚14nmで成膜し、3層積層構造の遮光膜3を合計膜厚57nmで形成した。ハーフトーン型位相シフト膜2と遮光膜3との積層構造のODは、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて、3.0であった。
以上の手順により、ArFエキシマレーザー露光用のハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得た。
(ハーフトーン型位相シフトマスクの作製)
製造したハーフトーン型位相シフトマスクブランクを用い、ハーフトーン型位相シフトマスクを以下の手順により作製した。
マスクブランクの遮光膜3上に、電子線描画露光用化学増幅型ポジレジスト4(PRL009:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をスピンコート法により、膜
厚が150nmとなるように塗布した(図3(a))。
次に、レジスト膜4に対し、電子線描画装置を用いて転写パターンの描画を行った後、所定の現像処理を行い、レジストパターン4aを形成した(図3(b))。
次に、レジストパターン4aをマスクとして、遮光膜3のドライエッチングを行い、遮光膜パターン3aを形成した(図3(c))。このとき、ドライエッチングガスとして、ClとOの混合ガス(Cl:O=4:1)を用いた。次いで、レジストパターン4aを剥離した。
次いで、遮光膜パターン3aをマスクとして、ハーフトーン型位相シフト膜2に対してBClガスを用いたドライエッチングを行い、位相シフトパターン(転写パターン)2aを形成した(図3(d))。
次に、遮光膜パターン3a上に、電子線描画露光用化学増幅型ポジレジスト(FEP171:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をスピンコート法により、膜厚が150nmとなるように塗布した(以下、図示せず)。
次に、レジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて遮光帯パターンの描画を行った後、所定の現像処理を行い、レジストパターンを形成した。
次に、このレジストパターンをマスクとして、遮光膜パターン3aのドライエッチングを行い、遮光帯パターンを形成した。このとき、ドライエッチングガスとして、ClとOの混合ガス(Cl:O=4:1)を用いた。次いで、レジストパターンを剥離し、所定の洗浄を施して、遮光帯パターンと転写パターンを有するハーフトーン型位相シフト膜を備えるハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
作製したハーフトーン型位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、転写パターンをウェハ上のレジスト膜に露光転写した。このときの露光装置の照明光学系からハーフトーン型位相シフトマスクに照射されたArF露光光は、波長193.4nm、1ショット当たりの照射強度0.05mJ/cm、パルス周波数6KHzであった。また、このとき、ハーフトーン型位相シフトマスクの位相シフトパターンから蛍光が発せられていることが確認された。
その後、所定の現像処理を行ってウェハ上にレジストパターンを形成し、それをマスクとしてウェハ上の最表層にパターンを形成した。
ウェハ上の最表層に形成されたパターンと設計パターンと比較したところ、パターンの断線等のパターン欠陥はなく、露光転写時のArF露光光がハーフトーン型位相シフトマスクの位相シフトパターンが熱膨張するのを許容範囲に抑制できたことが確認できた。さらに、この実施例1と同様の手順で、DRAM hp45nm世代に相当する半導体デバ
イスの積層構造を形成するため、各層に回路パターンを露光転写するためのハーフトーン型位相シフトマスクを全層分作製し、半導体デバイスを製造してみた。その結果、積層構造の各回路パターンのいずれにおいてもパターンの断線等の欠陥はなく、また上下層間の配線短絡や断線もなく、DRAM hp45nm世代に相当する半導体デバイスを製造で
きることが確認できた。
また、作製した複数枚のハーフトーン型位相シフトマスクから1枚を抜き取り、ArFエキシマレーザーに照射によるCD変動量を調べた。照射条件は、実施例1と同じとした。その結果、位相シフトパターン(転写パターン)中の200nm幅のラインについて測定したところ、CD変動量(照射後のCD−照射前のCD)は、1.6nmと継続使用に問題ない変動量であった。
1 透光性基板
2 薄膜
2a 薄膜パターン
21 下層
22 上層
23 表面反射防止層
3 エッチングマスク膜
3a エッチングマスクパターン
4 レジスト膜
4a レジストパターン
10 価電子帯
11 伝導帯
12,13,14,15 電子
20 励起光
30 蛍光
40 フェルミ準位

Claims (12)

  1. ArF露光光が適用される転写用マスクの製造に用いられ、透光性基板の上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、
    前記薄膜は、遮光膜およびハーフトーン位相シフト膜のうち少なくとも一方を含み、透光性基板側から下層と上層の少なくとも二層以上が順に積層する構造であり、前記下層は、透光性基板側から入射するArF露光光の照射を受けるとArF露光光よりも長い波長の蛍光を発する蛍光物質を含有する材料からなることを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記蛍光物質は、金属の酸化物、窒化物または酸窒化物を主成分とし、6.4eV未満のバンドギャップを有することを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  3. 前記蛍光物質は、チタン、アルミニウム、鉄、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、ガリウム、イットリウムおよびランタンのうち少なくとも1以上の金属を含有する物質であることを特徴とする請求項2記載のマスクブランク。
  4. 前記蛍光物質は、ケイ素の窒化物を含有し、2.0eV以上6.4eV未満の範囲のバンドギャップに調整されている物質であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  5. 前記蛍光物質は、金属とケイ素の酸化物、金属とケイ素の窒化物、および金属とケイ素の酸窒化物のうち少なくともいずれかを含有し、3.0eV以上6.4eV未満の範囲のバンドギャップに調整されている物質であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  6. 前記蛍光物質は、ジルコニウムの酸化物、ハフニウムの酸化物、イットリウムの酸化物、ランタンの酸化物、アルミニウムの窒化物、ケイ素の窒化物、ジルコニウムシリサイドの酸化物、ハフニウムシリサイドの酸化物、およびアルミニウムシリサイドの酸化物のうち少なくともいずれかを含有し、3.0eV以上6.4eV未満の範囲のバンドギャップに調整されている物質であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  7. 前記下層は、6.4eVよりも大きいバンドギャップを有する物質中に前記蛍光物質をドープした材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  8. 前記下層は、SiO、Al、およびCaFのうち少なくともいずれかを含有する物質中に前記蛍光物質をドープした材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  9. 前記上層は、前記蛍光物質を含有しない材料からなることを特徴とする請求項7または8に記載のマスクブランク。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のマスクブランクの薄膜に転写用パターンを形成してなることを特徴とする転写用マスク。
  11. 請求項10に記載の転写用マスクを2枚セットとした転写用マスクセットであって、前記2枚の転写用マスクに形成されている各転写パターンは、転写対象物に転写露光する1つの転写パターンを2つの転写パターンに分割したものであることを特徴とする転写用マスクセット。
  12. 請求項11に記載の転写用マスクセットを用い、ウェハ上のレジスト膜に前記1つの転写パターンを露光転写することにより、ウェハ上にレジストパターンを形成する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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