JP2007126649A - 防振ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】融点170℃以上のシンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンと、ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエンなどから選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当り少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質とを含有するビニル・シス-ポリブタジエンゴムとそれ以外のジエン系ゴムとゴム補強剤からなるゴム組成物であって、該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(a)中に含有されているシンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンが結晶繊維状で分散しており、該ポリマーの平均結晶繊維の長軸長さが200nm以下、アスペクト比が10以下、かつ結晶繊維数が100以上の短繊維状の結晶を形成していることを特徴とする防振ゴム組成物に関する。
【選択図】 なし
Description
1)大きな静荷重を支える必要上、硬いことであり、必要に応じた静的バネ定数が要求されること、及び
2)高速(高振動数)で動荷重を受けたときの外力の伝達係数が小さいこと、即ち動的バネ定数は小さいことが要求されること、などがある。
この両特性を表すパラメーターとして一般に静動比(動的バネ定数/静的バネ定数)が用いられており、静動比が小さい程防振特性に優れていると言える。
必要な硬度を得るためにはカーボンブラックや加硫剤を増量する方法が考えられるが、静動比が上昇したり発熱耐久性が悪化する場合があり、また、静動比を小さくする方法として粒子サイズの大きいカーボンブラックの使用すると補強性が低いので耐久性が悪くなるためストラクチャーレベルを高くしたり、カップリング剤等の検討が行われているが、十分に満足しない場合があり、改良が望まれていた。
(a)以外のジエン系ゴム(b)90〜40重量%とからなるゴム成分(a)+(b)100重量部と
ゴム補強剤(c)30〜80重量部とからなるゴム組成物であって、
該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(a)中に含有されているシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの融点が170℃以上であり、平均の結晶繊維の長軸長が200nm以下、アスペクト比が10以下であり、且つ長軸長が200nm以下の結晶繊維数が100μm2当たり100以上の短繊維状の結晶を形成していることを特徴とする防振ゴム組成物に関する。
1,3−ブタジエンを炭化水素系溶媒中にて、シス−1,4重合触媒を用いてシス−1,4重合させ、次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を共存させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、融点が170℃以上のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを生成せしめ、しかる後、得られた重合反応混合物より生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収して取得するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法において、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に添加する工程を含むことを特徴とした製造方法で製造されていることを特徴とする防振ゴム組成物に関する。
(1)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス1,4−ポリブタジエンゴムのムーニー粘度が10〜50の範囲にあること。
(2)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のマトリックス成分であるシス1,4−ポリブタジエンゴムの25℃におけるトルエン溶液粘度が10〜150の範囲にあること。
(3)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のマトリックス成分であるシス1,4−ポリブタジエンゴムの[η]が1.0〜5.0の範囲にあること。
(4)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス1,4−ポリブタジエンゴムの1,4−シス構造含有率が80%以上の範囲にあること。
(5)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス1,4−ポリブタジエンゴム中に、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンと高分子物質とが物理的及び/又は化学的に吸着した状態で分散していること。
(6) 該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの含有量が1〜30質量%の範囲にあること。
の特性を有することを特徴とする防振ゴム組成物に関する。
ηsp=T/T0−1 (T0:トルエンだけの落下時間)
ηsp/c= [η]+k'[η]2c
(ηsp:比粘度、k':ハギンズ定数(0.37)、C:試料濃度(g/ml))
用ゴム組成物の配合物の物性と加硫物の物性は以下のようにして測定した。
(1)シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維含有量;2gのビニル・シスポリブタジエンゴムを200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した不溶分(抽出残部)を重量部で示した。
(2)1,2ポリブタジエン結晶繊維の融点;沸騰n−ヘキサン抽出残部を示差走査熱量計(DSC)による吸熱曲線のピーク温度により決定した。
(3)結晶繊維形態及び繊維数;ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素で加硫し、加硫物を超薄切片で切り出して四塩化オスミウム蒸気でビニル・シス−ポリブタジエンのゴム分の二重結合を染色して、透過型電子顕微鏡で観察し、画像解析処理により求めた。
(4)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のゴム分のミクロ構造;赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(5)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のゴム分のトルエン溶液粘度;25℃における5重量%トルエン溶液の粘度を測定してセンチポイズ(cp)で示した。
(6)ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のゴム分の[η];沸騰n−ヘキサン可溶分を乾燥採取し、トルエン溶液にて30℃の温度で測定した。
(7)ムーニー粘度;JIS K6300に準じて100℃にて測定した。
(8)硬度;JIS K6253に準じてデュロメーター式で測定した。
(9)引張弾性率;JIS K6251に従い、引張弾性率M100を測定し、 比較例1を100として指数化した。指数が大きいほど引張弾性率が高い。
(10)静動比;静バネ定数はJIS K6301に準じて定伸張応力より求め、動バネ定数はレオメトリック社製粘弾性測定装置を用い、温度:30℃、周波数:10Hz、動歪み:0.5%で測定し、静動比を計算し、比較例1を100として指数化した。
指数が小さいほど防振特性に優れる。
(11)発熱耐久性;JIS K6265に準じてフレクソメーターにより、100℃×25分間で上昇した発熱量を測定し、比較例1を100として指数化した。指数が小さいほど発熱耐久性が優れる。
窒素ガスで置換した内容5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液3.5L(ブタジエン;30wt%、ベンゼン;70wt%)を入れ、水5.3mmol、ジエチルアルミニウムクロライド10.5mmol、二硫化炭素1.8mmol、シクロオクタジエン40mmol、コバルトオクトエート0.04mmolを加え、50℃で30分間撹拌し、1,4シス重合を行った。得られた重合生成液に、ポリイソプレン(IR)(ML=87、シス−1,4構造98%)からなる不飽和高分子物質を10質量%(得られるビニル・シスポリブタジエンゴムに対する百分率)加え、50℃で1時間攪拌を行った。その後、ブタジエン560ml、水4.5mmol、トリエチルアルムニウムクロライド13.4mmol、コバルトオクトエート0.04mmolを加え、50℃で30分間撹拌し、1,2シンジオ重合を行った。これに老化防止剤エタノール溶液を加えて重合を停止した。その後、未反応のブタジエン及び2‐ブテン類を蒸発除去し、105℃で60分間真空乾燥しビニル・シス−ポリブタジエンを得た。H.Iの赤外吸収スペクトル分析より算出したシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンへのポリイソプレンの吸着割合(グラフト率)は67%であった。
不飽和高分子物質(ポリイソプレン)を添加しなかったこと以外はサンプル1の製造方法と同様にしてビニル・シス−ポリブタジエンを得た。
前記サンプル1及びサンプル2を用い、表2に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除く配合剤を1.7Lの試験用バンバリーミキサーを使用して混練し、防振ゴム組成物である混練物を得た。この際、最高混練温度を170〜180℃に調節した。次いで、この混練物を10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、これをシート状にロール出しした後、金型に入れて加硫し、加硫物を得た。加硫は150℃、30分で行った。結果をまとめて表2に示す。
一方、比較例の組成物においては、硬度一定にするためカーボンブラックの配合量が多くなり、配合物ムーニー粘度が上昇し発熱耐久性も悪化した。
Claims (7)
- 融点170℃以上のシンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンと、ポリイソプレン、融点150℃以下の結晶性ポリブタジエン、液状ポリブタジエン、及びそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種からなる、繰り返し単位当り少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質とを含有するビニル・シス-ポリブタジエンゴム(a)10〜60重量%と、
(a)以外のジエン系ゴム(b)90〜40重量%とからなるゴム成分(a)+(b) 100重量部と
ゴム補強剤(c) 30〜80重量部とからなるゴム組成物であって、
該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(a)中に含有されているシンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンが結晶繊維状で分散しており、該シンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンの平均結晶繊維の長軸長さが200nm以下、アスペクト比が10以下、かつ長軸長さが200nm以下の結晶繊維数が100以上の短繊維状の結晶を形成していることを特徴とする防振ゴム組成物。 - 該ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(a)が
1,3−ブタジエンを炭化水素系溶媒中にて、シス−1,4重合触媒を用いてシス−1,4重合させ、次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を共存させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて、融点が170℃以上の1,2−ポリブタジエンを生成せしめ、しかる後、得られた重合反応混合物より生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離回収して取得するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法において、繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造系内に添加する工程を含むことを特徴とした製造方法で製造されていることを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。 - 前記ビニル・シス-ポリブタジエンゴム(a)の製造工程において、前記不飽和高分子物質をシンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンの結晶繊維とシス1,4−ポリブタジエンゴムの合計に対して0.01〜50質量%の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1〜2に記載の防振ゴム組成物。
- 該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム(a)中に、前記高分子物質が島状で存在しており、かつ、該高分子物質の島中に分散している前記シンジオタクチック-1,2−ポリブタジエンの結晶繊維の長軸長が200nm以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の防振ゴム組成物。
- 該ビニル・シスポリブタジエンゴム(a)が下記の特性を有することを特徴とする請求項1〜4に記載の防振ゴム組成物。
(1)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴムのムーニー粘度が10〜50の範囲にあること。
(2)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のマトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴムの25℃におけるトルエン溶液粘度が10〜150の範囲にあること。
(3)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のマトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴムの[η]が1.0〜5.0の範囲にあること。
(4)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴムの1,4−シス構造含有率が80%以上の範囲にあること。
(5)該ビニル・シス−ポリブタジエンゴムのマトリックス成分であるシス−ポリブタジエンゴム中に、1,2−ポリブタジエンと高分子物質とが物理的及び/又は化学的に吸着した状態で分散していること。
(6) 該ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの含有量が1〜30質量%の範囲にあること。 - (a)以外のジエン系ゴム(b)が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンであることを特徴とする請求項1〜5に記載の防振ゴム組成物。
- ゴム補強剤がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜6に記載の防振ゴム組成物。
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