JP2017066175A - 防振ゴム組成物、及び防振ゴム - Google Patents

防振ゴム組成物、及び防振ゴム Download PDF

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恒志 庄田
Tsuneshi Shoda
恒志 庄田
勇斗 鹿野
Yuto Kano
勇斗 鹿野
健義 渡邉
Takayoshi Watanabe
健義 渡邉
勇人 茶野木
Yuto Chanoki
勇人 茶野木
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Abstract

【課題】加工性と耐摩耗性、更に静動特性等のバランスが改良された防振ゴム組成物と防振ゴムを提供する。【解決手段】コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ下記(1)〜(5)の要件を満足するポリブタジエン(I)を含む防振ゴム組成物。(1)ムーニー粘度が43〜70、(2)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML)の比(Tcp/ML)が0.9〜1.7、(3)ムーニー粘度測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間が10.0〜40.0秒、(4)分子量分布(Mw/Mn)が2.50〜4.00、(5)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が94.0〜98.0モル%【選択図】なし

Description

本発明は、加工性及び耐摩耗性が改良されたポリブタジエンを基材ゴムに用いた、防振ゴム組成物、及び該防振ゴム組成物を用いた防振ゴムに関する。
ポリブタジエンは、一般に、他のゴムに比べて耐摩耗性が優れているが加工性が劣っている。ところが、耐摩耗性と加工性は二律背反の関係にあり、一方を改善しようとすると他方の性能が低下してしまうことから、これまでさまざまな改良がなされている。
例えば、コバルト触媒を用いて合成されたポリブタジエンの5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML)との比(Tcp/ML)を規定することで、耐摩耗性と加工性を両立させるためのポリブタジエン組成物が報告されている(特許文献1)。また、コバルト触媒を用いて合成されたポリブタジエンの5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML)との比(Tcp/ML)の規定に加え、ムーニー粘度速度依存性指数(n値)を規定することで、ポリブタジエン組成物の耐摩耗性と加工性を両立させる試みがなされている(特許文献2及び3)。
一般に自動車・オートバイ等の交通手段や産業機械等の騒音や振動を防止するために、防振ゴムが広く使用されている。このような防振目的に使用される、防振ゴムの特性としては、大きな静荷重を支えるためには硬いこと、更に必要に応じた静的バネ定数が要求されること、及び高速(高振動数)で動荷重を受けたときの外力の伝達係数が小さいこと、即ち動的バネ定数は小さいことが望ましい。この両特性を表すパラメーターとして、一般に静動比(動的バネ定数/静的バネ定数)が用いられており、静動比が小さい程防振特性に優れているといえる。
本発明者らは、防振ゴム組成物中のゴム成分として、下記特許文献4において、シス−1,4重合触媒存在下に1,3−ブタジエンをシス−1,4重合して得た重合反応混合物中で、1,2重合触媒存在下に1,3−ブタジエンを1,2重合して得られたビニル・シス−ポリブタジエン、及び上記シス−1,4重合触媒存在下に1,3−ブタジエンをシス−1,4重合して得たビニル・シス−ポリブタジエン(a)と、(a)以外のジエン系ゴム(b)とを一定割合で併用すること、下記特許文献5において、特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維及びゴム分とからなるビニル・シス−ポリブタジエンゴム(a)と、(a)以外のゴム成分(b)とを一定割合で併用すること、並びに、下記特許文献6において、特定融点170℃のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン及び、ポリイソプレン等からなる、繰り返し単位当り少なくとも1個の不飽和二重結合を有する高分子物質を含有するビニル・シス−ポリブタジエンゴム(a)と、(a)以外のジエン系ゴム(b)とを一定割合で併用すること、をそれぞれ提案した。
特開2004−339467号公報 特開2004−211048号公報 国際公開第2007/081018号 特開2007−099925号公報 特開2007−126648号公報 特開2007−126649号公報
上記特許文献1〜6において、耐摩耗性、加工性等が改良されたポリブタジエンが提案されているが、本発明では、更に耐摩耗性、加工性等が改良されたポリブタジエンをゴム質部分の基材ゴムに用いた、防振ゴム組成物、及び防振ゴムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、コバルト系触媒を用いて製造され、かつ後述する(A)〜(E)の要件を満足するポリブタジエンを使用することにより、更に耐摩耗性と加工性を向上させた防振ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の(1)ないし(7)に記載する発明を要旨とする。
(1)コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ下記(A)から(E)に記載の要件を満足するポリブタジエン(I)を含む防振ゴム組成物。
(A)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が43〜70
(B)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML1+4,100℃)が0.9〜1.7
(C)ML1+4,100℃測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間(T80)が10.0〜40.0秒
(D)分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.50〜4.00
(E)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が94.0〜98.0モル%
(2)前記ポリブタジエン(I)が、さらに下記(F)から(H)に記載の要件を満足する、前記(1)に記載の防振ゴム組成物。
(F)重量平均分子量(Mw)が40.0×10〜75.0×10
(G)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)が42〜160cps
(H)数平均分子量(Mn)が12.5×10〜30.0×10
(3)前記ポリブタジエン(I)と、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)とからなるゴム成分(K)に、ゴム補強材(L)を含有させてなる、前記(1)又は(2)に記載の防振ゴム組成物。
(4)前記ポリブタジエン(I)10〜75重量%と、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)90〜25重量%とからなるゴム成分(K)100重量部に対し、ゴム補強材(L)が30〜80重量部の割合で含有されてなる、前記(1)から(3)のいずれかに記載の防振ゴム組成物。
(5)前記ジエン系ゴム成分(J)が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンであることを特徴とする、前記(3)又は(4)に記載の防振ゴム組成物。
(6)ゴム補強材(L)がカーボンブラックであることを特徴とする、前記(3)から(5)のいずれかに記載の防振ゴム組成物。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の防振ゴム組成物を用いることを特徴とする防振ゴム。
本発明の防振ゴム組成物は、耐摩耗性と加工性に優れる。また、本発明の防振ゴム組成物から得られる防振ゴムも同様の効果を有する。
以下に本発明の防振ゴム組成物、及び防振ゴムについて説明する。
〔1〕防振ゴム組成物
本発明の防振ゴム組成物の基材ゴムとして用いられるポリブタジエン(I)、ポリブタジエン(I)の製造方法、及び防振ゴム組成物、について説明する。
(1)ポリブタジエン(I)
本発明の防振ゴム組成物(以下、本発明の組成物ということがある)に使用されるポリブタジエン(I)は、以下の(A)〜(D)に示す特性を有する。
(A)100℃で測定されるムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、43〜70である。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は48〜70であることが好ましく、50〜65であることがより好ましい。ML1+4,100℃を43以上とすることで、耐摩耗性が向上し、一方、70以下とすることで、加工性が向上する。本発明におけるムーニー粘度は、回転可塑度計の一種であるムーニー粘度計を用いて測定される工業的粘度指標であり、本発明において、単位記号として[ML1+4,100℃]を用いる。この場合、Mはムーニー粘度、Lは大ローター(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間をそれぞれ示し、100℃の温度条件下にて測定された値であることを意味する。尚、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(B)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML1+4,100℃)は、0.9〜1.7である。Tcp/ML1+4,100℃は、1.4〜1.7であることが好ましい。Tcp/ML1+4,100℃はポリブタジエンの分岐度の指標となるものであり、Tcp/ML1+4,100℃が0.9未満であると、分岐度が大きすぎて耐摩耗性が低下するおそれがある。一方、Tcp/ML1+4,100℃が1.7を超えると、分岐度が低すぎてコールドフローが生じやすくなり、製品の保存安定性が低下するおそれがある。尚、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)と(Tcp/ML1+4,100℃)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(C)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間(T80)は、10.0〜40.0秒である。T80は、11.0〜26.0秒であることが好ましく、12.0〜20.0秒であることがより好ましい。T80が10.0秒未満であると、ゴム分子の絡み合いが少なく剪断応力の保持力が不十分になり、良好なフィラーの分散状態が得られにくくなるおそれがある。一方、T80が40.0秒を超えると、成形加工時の残留応力が増大して、寸法安定性が劣り加工性が低下するおそれがある。尚、応力緩和時間(T80)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。ゴムの応力緩和の推移は、弾性成分と粘性成分の組み合わせにより決まるものであり、応力緩和が遅いことは弾性成分が多いことを示し、応力緩和が速いことは粘性成分が多いことを示す。
(D)分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、2.50〜4.00である。該Mw/Mnは、2.60〜3.60であることが好ましく、2.70〜3.20であることがより好ましい。該Mw/Mnが2.50未満であると、加工性が低下するおそれがある。一方、Mw/Mnが4.00を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。尚、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
ポリブタジエンには、いわゆるミクロ構造として、1,4−位での重合で生成した結合部分(1,4−構造)と1,2−位での重合で生成した結合部分(1,2−構造)とが分子鎖中に共存する。1,4−構造は、更にシス構造とトランス構造の二種に分けられる。一方、1,2−構造は、ビニル基を側鎖とする構造をとる。本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)について、(E)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合は、94.0〜98.0モル%であり、95.0〜97.6モル%であることが好ましい。ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合を前記98.0モル%以下とすることで、十分な分岐状ポリマー鎖を有し、必要とする応力緩和時間が得られやすい。一方、ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が前記94.0未満になると、耐摩耗性が低下する傾向を示す。尚、ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットなどの割合は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
更に本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、(F)重量平均分子量(Mw)が40.0×10〜75.0×10であることが好ましく、46.0×10〜65.0×10であることがより好ましく、52.0×10〜62.0×10であることがさらに好ましい。Mwを40.0×10以上とすることで、耐摩耗性がより向上する。一方、Mwを75.0×10以下とすることで、加工性がより向上する。
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、(G)トルエン溶液粘度(Tcp)は42〜160cpsであることが好ましく、55〜135cpsであることがより好ましく、68〜120cpsであることがさらに好ましい。Tcpを42cps以上とすることで、耐摩耗性がより向上する。一方、Tcpを160cps以下とすることで、加工性がより向上する。
また、本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、(H)数平均分子量(Mn)は12.5×10〜30.0×10であることが好ましく、16.0×10〜23.0×10であることがより好ましく、17.0×10〜20.3×10であることがさらに好ましい。Mnを12.5×10以上とすることで、耐摩耗性がより向上する。一方、Mnを30.0×10以下とすることで、加工性がより向上する。
また、本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、ミクロ構造分析におけるビニル構造ユニットの割合が2モル%以下であることが好ましく、1.8モル%以下であることがより好ましい。ミクロ構造分析におけるビニル構造ユニットの割合を2モル%以下とすることで、分子運動性が良好となり、加硫後の動的粘弾性特性のtanδが良好となる。尚、ミクロ構造分析におけるビニル構造ユニットの割合はできるだけ少ない方が好ましいが、例えば、1.0モル%以上でもよい。
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、ミクロ構造分析におけるトランス−1、4構造ユニットの割合が2.0モル%以下であることが好ましく、1.6モル%以下であることがより好ましく、1.3モル%以下であることがさらに好ましい。ミクロ構造分析におけるトランス−1、4構造ユニットの割合を2.0モル%以下とすることで、耐摩耗性がより向上する。尚、ミクロ構造分析におけるトランス−1、4構造ユニットの割合はできるだけ少ない方が好ましいが、例えば1.0モル%以上でもよい。
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)は、二塩化二硫黄、一塩化一硫黄、その他硫黄化合物、有機過酸化物、t−ブチルクロライド等で変性されていてもよく、変性されていなくてもよい。
(2)ポリブタジエン(I)の製造方法
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)は、コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造される。コバルト系触媒としては、例えばコバルト触媒、有機アルミニウム化合物、及び水からなる触媒系が挙げられる。コバルト触媒としては、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩;コバルトビスアセチルアセトネート、コバルトトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト、コバルト塩のピリジン錯体及びピコリン錯体等の有機塩基錯体又はエチルアルコール錯体等が挙げられる。なかでも、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルトが好ましい。コバルト系触媒の使用量に関しては、所望のムーニー粘度を有するポリブタジエンとするように適宜調整することができる。
有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライド、アルキルアルミニウムジブロマイド等のハロゲン含有有機アルミニウム化合物;ジアルキルアルミニウムハイドライド、アルキルアルミニウムセスキハイドライト等の水素化有機アルミニウム化合物等が挙げられる。有機アルミニウム化合物は、1種を単独で用いることもでき、2種以上併用することもできる。
トリアルキルアルミニウムの具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等が挙げられる。
ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。ジアルキルアルミニウムブロマイドとしては、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムブロマイド等が挙げられる。アルキルアルミニウムセスキクロライドとしては、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等が挙げられる。アルキルアルミニウムセスキブロマイドとしては、メチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド等が挙げられる。アルキルアルミニウムジクロライドとしては、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等が挙げられる。アルキルアルミニウムジブロマイドとしては、メチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイド等が挙げられる。
ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。アルキルアルミニウムセスキハイドライトとしては、エチルアルミニウムセスキハイドライド、イソブチルアルミニウムセスキハイドライド等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物と水との混合比に関しては、所望のT80を有するポリブタジエンが得られやすいことから、アルミニウム/水(モル比)で1.5〜3であることが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましい。
さらに、所望のムーニー粘度を有するポリブタジエンとするため、シクロオクタジエン、アレン、メチルアレン(1,2−ブタジエン)等の非共役ジエン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン類等の分子量調節剤を用いることもできる。分子量調節剤は、1種を単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。
ブタジエンの重合方法には特に制限はなく、1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物モノマーを重合溶媒としながらモノマーを重合する塊状重合(バルク重合)や、モノマーを溶媒に溶解させた状態で重合する溶液重合等を適用できる。溶液重合で用いる溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素;ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の石油系溶媒;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。なかでも、トルエン、シクロヘキサン、又はシス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合溶媒が好適に用いられる。
重合温度は、−30〜150℃の範囲が好ましく、30〜100℃の範囲がより好ましく、所望の応力緩和時間(T80)を有するポリブタジエンが得られやすい点から70〜80℃がさらに好ましい。重合時間は、1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間の範囲がより好ましい。
重合反応が所定の重合率に達した後、必要に応じて老化防止剤を添加することができる。老化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)等のフェノール系老化防止剤、トリノニルフェニルフォスファイト(TNP)等のリン系老化防止剤、並びに4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)等の硫黄系老化防止剤等が挙げられる。老化防止剤は、1種を単独で用いることもでき、2種以上併用することもできる。老化防止剤の添加量は、ポリブタジエン(I)100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましい。
所定時間の重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、さらに洗浄や乾燥工程等の後処理を行うことで、所望の特性を有するポリブタジエンを製造することができる。
(3)防振ゴム組成物
本発明の防振ゴム組成物は、上記の通り、コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ上記(A)から(E)に記載の要件を満足するポリブタジエン(I)を含む組成物である。また、本発明の防振ゴム組成物において、静動特性を向上させるために、前記ポリブタジエン(I)に、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)と、ゴム補強材(L)とを含有させることが好ましい。この場合、前記ポリブタジエン(I)10〜75重量%と、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)90〜25重量%とからなるゴム成分(K)100重量部に対し、ゴム補強材(L)が30〜80重量部の割合で含有させてなる組成物とすることがより好ましい。
(3−1)ジエン系ゴム成分(J)
本発明の防振ゴム組成物に、前記ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)を含有させる場合、該ジエン系ゴム成分(J)の具体例としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、乳化重合若しくは溶液重合スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。また、これらゴムの誘導体、例えば錫化合物で変性されたポリブタジエンゴムやエポキシ変性、シラン変性、マレイン酸変性された上記ゴムなども用いることができ、これらのゴムは単独でも、二種以上組み合わせて用いても良い。尚、本発明において、ジエン系ゴム成分(J)は上記のゴム成分に限定されるものではない。これらのジエン系ゴム成分(J)の中でも天然ゴム、及びポリイソプレンゴムの中から選択される、1種又は2種がより好ましい。
(3−2)ゴム成分(K)
本発明の防振ゴム組成物に、ジエン系ゴム成分(J)を含有させる場合には、ポリブタジエン(I)10〜75重量%と、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)90〜25重量%とからなるゴム成分(K)を使用することがより好ましく、ゴム成分(K)中のポリブタジエン(I)の前記配合範囲の下限は、20重量%が更に好ましく、30%が最も好ましい。一方、ポリブタジエン(I)の前記配合範囲の上限は、70重量%が更に好ましく、65重量%が最も好ましい。
(3−3)ゴム補強材(L)
本発明の防振ゴム組成物に、ゴム補強材(L)を含有させる場合には、その具体例としてカーボンブラック、ホワイトカーボン、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等の無機補強剤やシンジオタクチック1,2ポリブタジエン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、クマロンインデン樹脂及び石油樹脂等の有機補強剤が挙げられるが、これらの中でも好ましいのは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックで、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が挙げられる。ゴム補強材(L)の配合割合は、ゴム成分(K)100重量部に対し、ゴム補強材(L)が30〜80重量部が好ましい。
(3−4)他の添加剤
本発明の防振ゴム組成物には、上記ゴム補強材(L)以外に必要に応じて、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、充填材、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸等、通常ゴム業界で用いられる成分を混練してもよい。尚、加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば、硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウム等の金属酸化物が挙げられ、加硫促進剤としては、公知の加硫助剤、例えば、アルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類等が挙げられる。
充填材としては、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填材;再生ゴム、粉末ゴム等の有機充填材が挙げられる。プロセスオイルとしては、アロマティック系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイルのいずれを用いてもよい。また、低分子量の液状ポリブタジエンやタッキファイヤーを用いてもよい。
(3−5)防振ゴム組成物の混練方法
本発明の防振ゴム組成物は、上記各成分の配合順序に特に制限はなく、全ての成分を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行うこともできる。混練に際してはバンバリー、オープンロール、ニーダー、二軸混練機等を用いることができる。尚、シート状に成形する際には、押出成形機、プレス機等の公知の成形機を用いることができる。
〔2〕防振ゴム
本発明の防振ゴムは、前記防振ゴム組成物を用いることを特徴とする。防振ゴムは、防振ゴム組成物を硬化すること等により得ることができる。具体的には、本発明の防振ゴム組成物を加熱下に加硫させることにより、防振ゴムを得ることができる。防振ゴム組成物を硬化させる際の加硫条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、金型内で140〜180℃程度で、5〜120分間程度のプレス加硫を採用することができる。
以下に本発明に基づく実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1〜11、及び比較例1〜7においては、防振ゴム組成物に使用するポリブタジエンについての物性等、及び該ポリブタジエンに配合物を添加して得られる組成物について加工性、耐摩耗性等の評価を行った。また、実施例12、及び比較例8〜11において、防振ゴム組成物に使用するポリブタジエンについての物性等、及び該ポリブタジエンに、ポリブタジエン以外のジエン系ゴム成分とゴム補強材(L)を含有させた防振ゴム組成物について、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)、硬度、引張応力等の物性、及び静動比の評価を行った。
初めに本実施例、比較例における評価方法を記載する。
(1)ムーニー粘度(ML1+4,100℃
ポリブタジエン及び配合物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製、型式:SMV−300RT)を用いて100℃にて予熱1分間、測定4分間での値を測定した。配合物のムーニー粘度はその値が小さいほど粘度が低く、加工性が良好なことを示す。
(2)トルエン溶液粘度(Tcp)
ポリブタジエンの5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解させた後、キャノンフェンスケ粘度計No.400を用いて25℃で測定した。尚、標準液としては、粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用いた。
(3)応力緩和時間(T80
ポリブタジエンの応力緩和時間(T80)は、ASTM D1646−7に準じた応力緩和測定により算出した。具体的には、JIS K6300に基づいて測定した100℃におけるML1+4,100℃の測定条件下、測定4分後にローターが停止した時(0秒)のトルクを100%とし、その値が80%緩和するまで(すなわち20%に減衰するまで)の時間(単位:秒)を応力緩和時間T80として測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を採用して、標準ポリスチレン換算により算出した。溶媒はテトラヒドロフランを用い、カラムは昭和電工(株)製、カラム(商品名:Shodex(登録商標)KF−805L)を2本直列に接続し、検出器は示唆屈折計(RI)を用いた。
(5)ミクロ構造分析
ポリブタジエンのミクロ構造分析における、シス−1,4構造ユニット、トランス−1,4構造ユニット、及びビニル構造ユニットの割合は、それぞれ赤外吸収スペクトル分析によって算出した。具体的には、ミクロ構造に由来するピーク位置(シス(cis):740cm−1、ビニル(vinyl):910cm−1、トランス(trans):967cm−1)の吸収強度比から、ポリブタジエンのミクロ構造ユニットの割合を算出した。
(6)硬度
硬度は、JIS K6253に準拠して、デュロメーター式(タイプD)で測定した。
(7)100%引張応力、引張強度、引張伸び
100%引張応力は、JIS K6251に準拠して測定した。
引張強度は、JIS K6251に準拠して、破断時の引張強さを測定した。
引張伸びは、JIS K6251に準拠して、破断時の引張伸びを測定した。
(8)静動比
静動比は、静バネ定数をJIS K6254に準じて低変形引張応力より求め、動バネ定数をGABO社製、動的粘弾性装置(型式:EPLEXOR 100N)を用いて、温度70℃、周波数16Hz、動的歪み0.2%で測定して静動比を計算し、比較例1を100として指数化した。静動比は、その指数が大きいほど防振特性に優れる。
[実施例1]
窒素ガスで置換した内容1.5リットル(L)の撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液1.0L(ブタジエン(BD):34.2重量%、シクロヘキサン(CH):31.2重量%、残りは2−ブテン類)を投入した。さらに、水(HO)1.52mmol、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)2.08mmol、トリエチルアルミニウム(TEA)0.52mmol、(全アルミニウム/水=1.71(混合モル比))、コバルトオクトエート(Cocat)20.94μmol、及びシクロオクタジエン(COD)6.05mmolを加え、72℃で20分間撹拌することで、1,4−シス重合を行った。その後、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを含むエタノールを加えて重合を停止し、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去することで、ポリブタジエンを得た。得られたポリブタジエンの物性を表1に示す。
次に、得られたポリブタジエンを用いてスチレンブタジエンゴム(SBR)を含むゴム組成物を作製した。具体的には、まず、30重量部のポリブタジエンと、70重量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、温度90℃、回転数68rpmに設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製、商品名:BR−250型)を用いて30秒間混合した。その後、規定量の半量である32.5重量部のシリカ(エボニック・デグサ社製、商品名:Ultrasil7000GR)と、5.2重量部のシランカップリング剤(エボニック・デグサ社製、商品名:si75)とを混合した。引き続き、残り32.5重量部のシリカと、25重量部のオイル(H&R社製、商品名:VivaTec400)と、3重量部のZnO((株)堺化学工業製、商品名:Sazex1号)と、1重量部のステアリン酸((株)アデカ製、商品名:アデカ脂肪酸SA−300)と、1重量部のAO(酸化防止剤、大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラック6C)とを投入し、計6分間混練した。
次に、得られた混練物を6インチロールにより冷却・放冷した後、再度リミルを行った。さらに、混練物に、1.7重量部の第一の加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクセラーCZ(CBS))と、2重量部の第二の加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクセラーD(DPG))と、1.4重量部の加硫剤(粉末硫黄)とを6インチロールにより混合することで、配合物を作製した。配合物の物性(ムーニー粘度)を表1に示す。
そして、得られた配合物を金型に入れてプレス加硫することで、ゴム組成物を作製した。尚、加硫時間は、粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、商品名:RPA 2000)で求めた160℃の加硫特性t90の2倍の時間とした。得られたゴム組成物の物性(ランボーン摩耗係数)を表1に示す。
Figure 2017066175
[実施例2〜6]
原料配合比及び重合温度を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。尚、実施例4及び5では、トリエチルアルミニウム(TEA)を使用しなかった。
Figure 2017066175
[比較例1]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150L)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
[比較例2]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150B)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
[比較例3]
試作ポリブタジエンを用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
[比較例4]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR710)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1で得られたポリブタジエンを用いて天然ゴムを含むゴム組成物を作製した。具体的には、まず、50重量部のポリブタジエンと、50重量部の天然ゴム(RSS#1;ML1+4,100℃=70に調整)とを、温度90℃、回転数68rpmに設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製、商品名:BR−250型)を用いて60秒間混合した。その後、50重量部のカーボンブラック(ISAF)と、3重量部のオイル(H&R社製、商品名:VivaTec400)と、3重量部のZnO(堺化学工業(株)製、商品名:Sazex1号)と、2重量部のステアリン酸((株)アデカ製、商品名:アデカ脂肪酸SA−300)と、2重量部の酸化防止剤(住友化学(株)製、商品名:アンチゲン6C)とを投入し、計4分間混練した。
次に、得られた混練物に、1重量部の加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクセラーNS)と、1.5重量部の加硫剤(粉末硫黄)とを6インチロールにより混合することで、配合物を作製した。配合物の物性(ムーニー粘度)を表3に示す。
得られた配合物を金型に入れてプレス加硫することで、ゴム組成物を作製した。尚、加硫時間は、粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、商品名:RPA 2000)で求めた150℃の加硫特性t90の2倍の時間とした。得られたゴム組成物の物性(ランボーン摩耗係数)を表3に示す。
Figure 2017066175
[実施例8〜11]
実施例3及び4〜6で得られたポリブタジエンを用いたこと以外は、実施例7と同様に実施した。結果を表3に示す。
[比較例5〜7]
比較例1、2、及び4で用いたポリブタジエンをそれぞれ用いたこと以外は、実施例7と同様に実施した。結果を表3に示す。
[評価のまとめ]
前記実施例1〜11、及び比較例1〜7の結果から、コバルト系触媒を用いて合成され、前記(A)〜(E)の要件を満足するポリブタジエンを基材ゴムとして防振ゴム組成物に用いることで、より高度に耐摩耗性及び加工性を向上できることが確認された。
[実施例12]
コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合してポリブタジエンを調製して、該ポリブタジエンについて評価を行った。次いで、得られたポリブタジエンに天然ゴム、カーボンブラック等を配合して混練等により)防振ゴム組成物を調製し、該)防振ゴム組成物について評価を行った。
(1)ポリブタジエンの調製と評価
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液1.0L(ブタジエン(BD):35.0重量%、シクロヘキサン(CH):28.0重量%、残りは2−ブテン類)を投入した。さらに、水(HO)1.05mmol、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)1.90mmol(アルミニウム/水=1.81(混合モル比))、コバルトオクトエート(Cocat)20.95μmol、及びシクロオクタジエン(COD)8.06mmolを加え、72℃で20分間撹拌することで、1,4シス重合を行った。その後、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを含むエタノールを加えて重合を停止し、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去することで、ポリブタジエンを得た。その物性を表4に示す。
(2)防振ゴム組成物と評価用サンプルの作製と評価
得られたポリブタジエン30重量部と、天然ゴム(RSS#1)70重量部とを、温度90℃、回転数68rpmに設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製、商品名:BR−250型)を用いて1分間混合した。その後、50重量部の準超耐摩耗性タイヤ用カーボンブラック(Intermediate Super Abrasion Furnace (ISAF))、3重量部のオイル(H&R社製、商品名:VivaTec400)、3重量部の酸化亜鉛((株)堺化学工業製、商品名:Sazex1号)、1重量部のステアリン酸(新日本理化(株)製、商品名:ステアリン酸50S)、及び1重量部の酸化防止剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラック6C)を投入し、計4分間混練した。得られた混練物を6インチロールにより1重量部の加硫促進剤(三新化学工業(株)製、商品名:サンセラーNS−G)と、1.5重量部の加硫剤(粉末硫黄)とを混合することで、防振ゴム組成物を作製した。次に、得られた防振ゴム組成物を金型に入れてプレス加硫することで、評価用サンプルを作製した。なお、加硫時間は、粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、商品名:RPA 2000)で求めた150℃の加硫特性t90の2倍の時間とした。得られた評価用サンプルの評価結果を表4に示す。
[比較例8]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR710)を用いたこと以外は、実施例12と同様に組成物と評価用サンプルを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例9]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150L)を用いたこと以外は、実施例12と同様に組成物と評価用サンプルを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例10]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR360L)を用いたこと以外は、実施例12と同様に組成物と評価用サンプルを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例11]
宇部興産(株)製、試作品UBEPOL Z704を用いたこと以外は、実施例12と同様に組成物と評価用サンプルを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例12]
宇部興産(株)製、試作品UBEPOL BR150Bを用いたこと以外は、実施例12と同様に組成物と評価用サンプルを作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2017066175
[まとめ]
上記実施例12と、比較例8〜12の比較から、実施例12で作製したポリブタジエンと防振ゴム組成物は共にムーニー粘度が低く、良好な加工性を有しており、防振ゴム組成物は、静動比と機械的性質のバランスに優れたゴム組成物であることが分かる。
本発明の防振ゴム組成物は、所定の特性を持ったポリブタジエン(I)を用いることで、より高度に加工性と耐摩耗性を両立させることが可能になり、更に該ポリブタジエン(I)に、ジエン系ゴム成分(J)と補強材(L)とを含有させることにより、より高度に加工性と静動特性を両立させる防振ゴムを提供することが出来る。

Claims (7)

  1. コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ下記(A)から(E)に記載の要件を満足するポリブタジエン(I)を含む防振ゴム組成物。
    (A)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が43〜70
    (B)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML1+4,100℃)が0.9〜1.7
    (C)ML1+4,100℃測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間(T80)が10.0〜40.0秒
    (D)分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.50〜4.00
    (E)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が94.0〜98.0モル%
  2. 前記ポリブタジエン(I)が、さらに下記(F)から(H)に記載の要件を満足する請求項1に記載の防振ゴム組成物。
    (F)重量平均分子量(Mw)が40.0×10〜75.0×10
    (G)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)が42〜160cps
    (H)数平均分子量(Mn)が12.5×10〜30.0×10
  3. 前記ポリブタジエン(I)と、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)とからなるゴム成分(K)に、ゴム補強材(L)を含有させてなる請求項1又は2に記載の防振ゴム組成物。
  4. 前記ポリブタジエン(I)10〜75重量%と、該ポリブタジエン(I)以外のジエン系ゴム成分(J)90〜25重量%とからなるゴム成分(K)100重量部に対し、ゴム補強材(L)が30〜80重量部の割合で含有されてなる請求項1から3のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
  5. 前記ジエン系ゴム成分(J)が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンであることを特徴とする請求項3又は4に記載の防振ゴム組成物。
  6. ゴム補強材(L)がカーボンブラックであることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物を用いることを特徴とする防振ゴム。
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