JP2020100695A - 炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物、炭素繊維含有ゴム組成物、ベルト用ゴム組成物の製造方法、ベルト用ゴム組成物及びゴムベルト - Google Patents

炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物、炭素繊維含有ゴム組成物、ベルト用ゴム組成物の製造方法、ベルト用ゴム組成物及びゴムベルト Download PDF

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Abstract

【課題】少ない炭素繊維含有量で疲労特性、引張特性などに優れた炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法は、1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、前記第1−1工程で調製された前記混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、前記第1−3工程を経て得られた重合反応混合物或いはポリブタジエン組成物と炭素繊維(a)を混合する第1−4工程と、を備えることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物、炭素繊維含有ゴム組成物、ベルト用ゴム組成物の製造方法、ベルト用ゴム組成物及びゴムベルトに関する。
ゴム組成物を補強するための配合剤としては、従来からカーボンブラック等が使用されてきた。しかし、近年、タイヤ等のゴム製品に対してより高度な性能が要求されるようになり、カーボンブラック等による補強では充分に対応できなくなってきた。
そこで、近年、カーボンブラックに代わり、ミクロ有機短繊維によりゴム組成物を補強する試みが行われている。
例えば、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、ゴム組成物にしたときの用途によって、種々の特性が向上すると報告されている(特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する際に、溶解された1,2−ポリブタジエンを予め混合させることにより、ゴム組成物にしたときに、加工性及び引張応力が向上したと記載されている。
一方で、比較的少量の添加で高い効果を発現できる充填材として、気相成長炭素繊維を配合したゴム組成物も提案されている(特許文献2〜6参照)。
気相成長炭素繊維を配合したゴム組成物に関しては、例えば、特許文献2に、基材としてのゴム材料に対し、充填材として平均アスペクト比が10未満である気相成長炭素繊維を配合したことで、40℃以上でのtanδ値および80℃以上でのモジュラスを改良したゴム組成物が開示されている。また、気相成長炭素繊維を配合した加硫ゴムの加工性や耐疲労性などの力学特性を改良するために、軟化剤(オイル)を配合することも行われている。
特許文献3では、ゴムマトリクスと炭素繊維の親和性を高めるために、酸やプラズマ処理によって表面改質をした気相成長法で合成した炭素繊維を使用することにより、加硫物の引張応力や反発弾性を向上させている。
さらに、特許文献4〜6では、気相成長法で合成した微細な炭素繊維を配合物調製時に添加することで、比較的少量の添加によっても高い効果を発現し、かつ、力学物性などの他の性能に悪影響を及ぼさない加硫物の製造方法が開示されている。
特開2008−163144号公報 特開2003−327753号公報 特開平1−289844号公報 特開2006−298946号公報 特開2006−124459号公報 特開2010−235376号公報
ここで、一般に公知の方法を用いた場合、炭素繊維の添加効果が認められるのは、炭素繊維含有量がゴム成分100重量部に対して2重量部以上であると考えられる。さらに、炭素繊維は、非常に高価であることが知られており、例えば、タイヤ材料として炭素繊維含有加硫物を用いる場合、タイヤの製造コスト低減の観点から、炭素材料の含有量を可能な限り低減するのが望ましい。すなわち、少ない炭素繊維含有量で優れた効果を発現させる技術の開発が望まれている。
そこで、本発明は、少ない炭素繊維含有量で高い諸物性改善効果を発現させることが可能な炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物、炭素繊維含有ゴム組成物、ベルト用ゴム組成物の製造方法、ベルト用ゴム組成物及びゴムベルトを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者らは、少ない炭素繊維含有量で高い諸物性改善効果を発現させることが可能な炭素繊維含有ポリブタジエン組成物について鋭意研究を重ねた。その結果、炭素繊維と1,2−ポリブタジエンとシス−ポリブタジエンゴムを特定の量含有させることにより、ゴム組成物としたときに、炭素繊維含有量がポリブタジエン100重量部に対して2重量部以下であっても、優れた疲労特性、引張特性を付与することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、
前記第1−1工程で調製された前記混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、
前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、
前記第1−3工程を経て得られた重合反応混合物或いはポリブタジエン組成物と炭素繊維(a)を混合する第1−4工程と、
を備えることを特徴とする炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、
前記第1−1工程で調製された混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、
前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、
前記第1−3工程を経て得られたポリブタジエン組成物と、炭素繊維(a)と、ゴム補強材と、他のジエン系ゴムを混合する第1−4工程と、
を備えることを特徴とするベルト用ゴム組成物の製造方法に関する。
本発明によれば、少ない炭素繊維含有量で疲労特性、引張特性などに優れた炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物、炭素繊維含有ゴム組成物、ベルト用ゴム組成物の製造方法、ベルト用ゴム組成物及びゴムベルトを提供することができる。
(a)微細な炭素繊維を構成する最小構造単位(釣鐘状構造単位)を模式的に示す図である。(b)釣鐘状構造単位が、2〜30個積み重なった集合体を模式的に示す図である。 (a)集合体が間隔を隔てて連結し、繊維を構成する様子を模式的に示す図である。(b)集合体が間隔を隔てて連結する際に、屈曲して連結した様子を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
<炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法>
以下、本発明の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法は、1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、前記第1−1工程で調製された前記混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、前記第1−3工程を経て得られた重合反応混合物或いはポリブタジエン組成物と炭素繊維(a)を混合する第1−4工程と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を有することにより、少ない炭素繊維含有量で疲労特性、引張特性などに優れた炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を提供することができる。
以下、各工程について説明する。
[第1−1工程]
本工程では、1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する。
不活性有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン及びペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン及びシクロペンタン等の脂環族炭化水素、上記のオレフィン化合物及びシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ及びケロシン等の炭化水素系溶媒、並びに塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。また、1,3−ブタジエンモノマーそのものを重合溶媒として用いてもよい。
上記の不活性有機溶媒の中でも、トルエン、シクロヘキサン、及びシス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
混合物中における1,3−ブタジエンの含有量は、1〜99重量%であるのが好ましく、10〜80重量%であるのがより好ましい。
また、本工程では、1,3−ブタジエン及び不活性有機溶媒以外に、さらに、融点が95〜110℃の1,2−ポリブタジエン(d)を添加するのが好ましい。
融点が95〜110℃の1,2−ポリブタジエン(d)は、コバルト化合物、一般式AlR(但し、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基である)で表される有機アルミニウム化合物及び二硫化炭素、並びに、必要に応じてアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、ニトリル、スルホキシド、アミド及び燐酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、からなる触媒を用い、1,3−ブタジエンを重合することにより製造される。前記1,2−ポリブタジエン(d)の1,2構造含有率は、40〜99%が好ましく、50〜95%が特に好ましい。また、前記1,2−ポリブタジエン(d)は、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンであることが好ましい。
1,2−ポリブタジエン(d)の添加量は、後述する1,2−ポリブタジエン(b)と後述するシス−ポリブタジエンゴム(c)と1,2−ポリブタジエン(d)を合わせたポリブタジエン組成物中、4〜20重量%であり、4〜10重量%が好ましく、4〜8重量%がより好ましい。添加量が20重量%より多いと加工性が悪化する傾向にあり、4重量%より少ないと引張応力が悪化する傾向にあり、好ましくない。
1,2−ポリブタジエン(d)の融点は、95〜110℃であるが、95〜105℃であることが好ましい。1,2−ポリブタジエン(d)の融点が前記下限値未満であると、引張応力が低下する傾向にあり、1,2−ポリブタジエン(d)の融点が前記上限値を超えると、耐亀裂性が低下する傾向にあり、好ましくない。
[第1−2工程]
本工程では、第1−1工程で調製された混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する。
より具体的には、まず、混合物に水を添加し、混合物の水分の濃度を調整する。
水分の濃度は、シス−1,4重合で用いる有機アルミニウム化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜1.4モル、特に好ましくは0.2〜1.2モルの範囲である。この範囲外では触媒活性が低下したり、シス−1,4構造含有率が低下したり、分子量が異常に低く又は高くなったりするため好ましくない。また、上記の範囲外では、重合時のゲルの発生を抑制することができず、このため重合槽などへのゲルの付着が起り、さらに連続重合時間を延ばすことができないので好ましくない。水分の濃度を調整する方法は、公知の方法が適用できる。多孔質濾過材を通して添加・分散させる方法(特開平4−85304号公報)も有効である。
次に、上記のように水分の濃度を調整して得られた混合物に、有機アルミニウム化合物を添加する。有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、及びアルキルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。
上記の有機アルミニウム化合物のうち、一般式AlR(但し、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基である)により表わされるトリアルキルアルミニウムを好ましく用いることができる。
トリアルキルアルミニウムの例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、及びトリベンジルアルミニウムを挙げることができる。なお、トリアルキルアルミニウム内のアルキル基は、互いに同一でも、あるいは異なっていてもよい。
上記の有機アルミニウム化合物に加えて、ジメチルアルミニウムクロライド及びジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド及びエチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド及びセスキエチルアルミニウムハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
これらの有機アルミニウム化合物は、2種類以上を併用することもできる。
有機アルミニウム化合物の使用量は、水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒系を用いてシス−1,4重合する場合は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に0.5〜50ミリモルであることが好ましい。また、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒系を用いてシス−1,4重合する場合は、1,3−ブタジエン1モル当たり1×10−5〜1×10−1モルであることが好ましい。
次に、有機アルミニウム化合物を添加した混合物に、可溶性コバルト化合物を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する。
可溶性コバルト化合物としては、不活性有機溶媒若しくは液体1,3−ブタジエンに可溶なものであるか、又は均一に分散できる、例えば、コバルト(II)アセチルアセトナート及びコバルト(III)アセチルアセトナートなどコバルトのβ−ジケトン錯体、コバルトアセト酢酸エチルエステル錯体のようなコバルトのβ−ケト酸エステル錯体、コバルトオクトエート、コバルトナフテネート及びコバルトベンゾエートなどの炭素数6以上の有機カルボン酸のコバルト塩、塩化コバルトピリジン錯体及び塩化コバルトエチルアルコール錯体などのハロゲン化コバルト錯体などが用いられる。可溶性コバルト化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.0005ミリモル以上、特に0.001ミリモル以上であることが好ましい。また、可溶性コバルト化合物に対する有機アルミニウム化合物のモル比(Al/Co)は10以上であり、特に50以上であることが好ましい。
また、可溶性コバルト化合物の代わりに、有機アルミニウム化合物を添加した混合物にニッケル化合物及びフッ素化合物を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合してもよい。この場合、水は、シス−1,4重合触媒の成分として添加しても、添加しなくてもよい。
ニッケル化合物としては、ニッケルの塩や錯体が好ましく用いられる。
ニッケルの塩や錯体としては、例えば、塩化ニッケル及び臭化ニッケルなどのハロゲン化ニッケル、硝酸ニッケルなどの無機酸のニッケル塩、オクチル酸ニッケル、酢酸ニッケル、ニッケルオクトエートなどの炭素原子数1〜18のカルボン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、マロン酸ニッケル、ニッケルのビスアセチルアセトナート及びトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルなどのニッケル錯体、ハロゲン化ニッケルのトリアリールホスフィン錯体、トリアルキルホスフィン錯体、ピリジン錯体及びピコリン錯体等の有機塩基錯体、並びにエチルアルコール錯体などの各種錯体を挙げることができる。
ニッケル化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり1×10−7〜1×10−3モルであることが好ましい。
フッ素化合物としては、三フッ化ホウ素のエーテル、アルコール、又はこれらの混合物の錯体、あるいはフッ化水素のエーテル、アルコール、又はこれらの錯体の混合物が好ましく用いられる。特に好ましいものとして、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテレート、フッ化水素ジエチルエーテレート、及びフッ化水素ジブチルエーテレートを挙げることができる。
フッ素化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり1×10−4〜1モルであることが好ましい。
1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する温度は、0℃を超えて100℃以下、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20〜100℃である。重合時間は、10分〜2時間の範囲が好ましい。シス−1,4重合後のポリマー濃度が5〜26重量%となるように、シス−1,4重合を行うことが好ましい。重合は、重合槽(重合器)内にて溶液を攪拌混合して行う。重合に用いる重合槽としては、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
シス−1,4重合時に、公知の分子量調節剤、例えば、シクロオクタジエン、アレン、メチルアレン(1,2−ブタジエン)などの非共役ジエン類、又はエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。また、重合時のゲルの生成をさらに抑制するため、公知のゲル化防止剤を使用することができる。
1,3−ブタジエンをシス−1,4重合することによって得られるシス−ポリブタジエンゴム(c)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、20〜60が好ましく、20〜35がより好ましい。また、シス−ポリブタジエンのシス−1,4構造含有率は90%以上であることが好ましく、特に95%以上であることが好ましい。
シス−ポリブタジエンゴム(c)の重量平均分子量は、200,000〜800,000が好ましく、400,000〜650,000がより好ましい。また、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、2.00〜5.00が好ましく、(2.20〜3.50がより好ましい。
また、シス−1,4重合で得られるポリブタジエンは実質的にゲル分を含有しない。
[第1−3工程]
本工程では、第1−2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する。
なお、本工程において、得られたシス−1,4重合物に、別途1,3−ブタジエンを添加してもよいし、添加しなくてもよい。
また、この1,2重合する際に、一般式AlR(但し、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基である)により表される有機アルミニウム化合物及び二硫化炭素、並びに、可溶性コバルト化合物を添加して1,3−ブタジエンを1,2重合してもよいし、さらに、重合系に水を添加して、1,2重合してもよい。
また、二硫化炭素は、シス−1,4重合に与える影響が小さく、また、重合終了後も溶液中に残存するため、第1−1工程若しくは第1−2工程で添加してもよい。
前記一般式AlRにより表される有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム及びトリフェニルアルミニウムなどが好適である。
本工程における有機アルミニウム化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上が好ましく、0.5〜50ミリモルがより好ましい。また、二硫化炭素の濃度は、20ミリモル/L以下、特に好ましくは0.01〜10ミリモル/Lである。二硫化炭素の代替として、公知のイソチオシアン酸フェニルやキサントゲン酸化合物を使用してもよい。水は、1,3−ブタジエンを有機アルミニウム化合物と接触させた後、重合系に添加することが好ましい。水の添加量は、有機アルミニウム化合物1モル当たり0.1〜1.5モルが好ましい。
第1−3工程において、可溶性コバルト化合物の添加量を調整することで、本工程で得られる1,2−ポリブタジエン(b)の含有量(H.I.)を調整することができる。第1−3工程で添加する可溶性コバルト化合物の量としては、第1−2工程終了後の残存1,3−ブタジエン1モル当たり0.005mmol以上が好ましい。また、可溶性コバルト化合物としては、前記第1−2工程で記載したものと同様のものを用いることができる。なお、重合活性が低い場合には、可溶性コバルト化合物を通常より多く添加する場合がある。
1,2−ポリブタジエン(b)の含有量(H.I.)は、1,2−ポリブタジエン(b)とシス−ポリブタジエンゴム(c)を合わせたポリブタジエン組成物中、10〜15重量%であり、12〜14重量%が好ましい。含有量が15重量%より多いと加工性及び耐亀裂性及び低燃費性が低下する傾向にあり、10重量%より少ないと引張応力及び耐亀裂性が低下する傾向にあり、好ましくない。
また、本工程で生成される1,2−ポリブタジエン(b)の融点は、160〜197℃であるのが好ましい。
また、本工程では、1,2−ポリブタジエン(b)の融点を低下させる融点降下剤を添加するのが好ましい。
融点降下剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンなどが挙げられ、未反応の1,3−ブタジエンとの分離・精製の観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)が特に好ましい。
融点降下剤の添加量は、第1−3工程で添加する有機アルミニウム化合物に対して、モル比0.1〜10が好ましく、0.3〜5がより好ましく、0.5〜3がさらに好ましい。融点降下剤を上記の量添加することで、第1−3工程において得られる1,2−ポリブタジエン(b)の融点を160〜197℃に調整することができる。添加量のモル比が10より多いと融点が過剰に低下し、ダイ・スウェルが悪化する傾向にあり、0.1より少ないと低燃費性の改善効果が小さい傾向にあるため、好ましくない。
1,2重合する温度は、−5〜100℃であるのが好ましく、−5〜80℃であるのがより好ましい。
また、1,2重合する際の重合系には、前記第1−2工程で得られたシス−1,4重合物100重量部当たり1〜50重量部の1,3−ブタジエンを添加することが好ましく、1〜20重量部の1,3−ブタジエンを添加することがより好ましい。これにより、1,2重合により合成される1,2−ポリブタジエン(b)の収量を増大させることができる。
また、重合時間は、10分〜2時間の範囲が好ましい。
また、1,2重合後のポリマー濃度が9〜29重量%となるように、1,2重合を行うことが好ましい。
重合は、重合槽(重合器)内にて重合溶液を攪拌混合して行う。1,2重合に用いる重合槽としては、1,2重合中は更に高粘度となり、ポリマーが付着しやすいので、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
重合反応が所定の重合率に達した後、常法に従って公知の老化防止剤を添加することができる。老化防止剤としては、フェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、並びに硫黄系の4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)などが挙げられる。これらを単独でも2種以上組み合わせて用いてもよく、老化防止剤の添加は、ビニル・シス−ポリブタジエン100重量部に対して0.001〜5重量部である。
重合反応は、重合溶液にメタノール及びエタノールなどのアルコール、又は水などの極性溶媒を大量に投入する方法、塩酸及び硫酸などの無機酸、酢酸及び安息香酸などの有機酸、又は塩化水素ガスを重合溶液に導入する方法など、それ自体公知の方法を用いて停止する。次いで、必要に応じて、通常の方法に従い、重合反応混合物から、生成したポリブタジエン組成物を分離、洗浄、続いて乾燥する。
[第1−4工程]
本工程では、第1−3工程を経て得られた重合反応混合物或いはポリブタジエン組成物と、炭素繊維(a)を混合する。
重合反応混合物と炭素繊維(a)を混合する場合、第1−3工程で得られた重合反応混合物をその状態のまま用いてもよいし、これに溶媒等を加えたり、或いは溶媒等の共存物質の一部或いは全部が除去して用いてもよい。
炭素繊維(a)は、例えば、粉末状態で、又は有機溶媒等の液体やゴム、樹脂等他の物質と混合させた状態等で用いることができる。混合方法としては、例えば攪拌機を用いることができる。その後、分離、洗浄、乾燥等を行って、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を得る。
また、ポリブタジエン組成物と炭素繊維(a)を混合する場合、第1−3工程において重合反応混合物からポリブタジエン組成物を分離、洗浄、乾燥させた状態のものを、そのまま用いることができる。炭素繊維(a)の状態としては、例えば粉末状態で、又は有機溶媒等の液体やゴム、樹脂等他の物質と混合させた状態等で用いることができる。混合方法としては、例えばプラストミルやロール等を用いることができる。
炭素繊維(a)は、例えば気相成長法を含めた如何なる方法で合成されたものであっても、また、結晶性の高さや繊維の長さ、繊維径、粒子サイズ等、繊維自体の物性や化学的性質も如何なるものであっても、好適に用いることができる。例えば、宇部興産(株)製の炭素繊維、AMC(登録商標)を用いることができる。
特に、炭素繊維(a)としては、炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位によって構成される微細な炭素繊維であるのが好ましい。すなわち、微細な炭素繊維は、図1(a)に示すような釣鐘状構造を最小構造単位として有することが好ましい。
釣鐘(temple bell)は、日本の寺院で見られ、比較的円筒形に近い胴部を有しており、円錐形に近いクリスマスベルとは形状が異なる。
図1(a)に示すように、構造単位11は、釣鐘のように、頭頂部12と、開放端を備える胴部13とを有し、概ね中心軸の周囲に回転させた回転体形状となっている。構造単位11は、炭素原子のみからなるグラファイト網面により形成され、胴部開放端の円周状部分はグラファイト網面の開放端となる。なお、図1(a)において、中心軸および胴部13は、便宜上直線で示されているが、必ずしも直線ではなく、曲線であってもよい。
胴部13は、開放端側に緩やかに広がっており、その結果、胴部13の母線は釣鐘状構造単位の中心軸に対してわずかに傾斜し、両者のなす角θは、15°より小さく、より好ましくは1°<θ<15°、さらに好ましくは2°<θ<10°である。
微細な炭素繊維には、欠陥、不規則な乱れが存在するが、このような不規則性を排除して、全体としての形状を捉えると、胴部13が開放端側に緩やかに広がった釣鐘状構造を有していると言える。この微細な炭素繊維は、すべての部分においてθが上記範囲を示すことを意味しているのではなく、欠陥部分や不規則な部分を排除しつつ、構造単位11を全体的に捉えたときに、総合的にθが上記範囲を満たしていることを意味している。そこで、θの測定では、胴部の太さが不規則に変化していることもある頭頂部12付近を除くことが好ましい。より具体的には、例えば、図1(b)に示すように釣鐘状構造単位集合体21の長さをLとすると、頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点においてθを測定してその平均を求め、その値を、構造単位11についての全体的なθとしてもよい。また、Lについては、直線で測定することが理想であるが、実際は胴部13が曲線であることも多いため、胴部13の曲線に沿って測定した方が実際の値に近い場合もある。
頭頂部の形状は、胴部と滑らかに連続し、上側(図において)に凸の曲面となっている。頭頂部の長さは、典型的には、釣鐘状構造単位集合体について説明するD(図1(b))以下程度であり、d(図1(b))以下程度であるときもある。
さらに、後述するように活性な窒素を原料として使用しないため、窒素等の他の原子は、釣鐘状構造単位のグラファイト網面中に含まれない。このため繊維の結晶性が良好である。
本発明に用いられる微細な炭素繊維は、図1(b)に示すように、このような釣鐘状構造単位が中心軸を共有して2〜30個積み重なって釣鐘状構造単位集合体21(以下、単に集合体という場合がある。)を形成している。積層数は、好ましくは2〜25個であり、より好ましくは2〜15個である。
集合体21の胴部の外径Dは、5〜40nm、好ましくは5〜30nm、更に好ましくは5〜20nmである。胴部外径Dの測定は、集合体の頭頂側から、(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点で測定して平均することが好ましい。なお、図1(b)に胴部外径Dを便宜上示しているが、実際のDの値は、上記3点の平均値が好ましい。
また、集合体胴部の内径dは、3〜30nm、好ましくは3〜20nm、更に好ましくは3〜10nmである。胴部内径dの測定についても、釣鐘状構造単位集合体の頭頂側から、(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点で測定して平均することが好ましい。なお、図1(b)に胴部内径dを便宜上示しているが、実際のdの値は、上記3点の平均値が好ましい。
集合体21の長さLと胴部外径Dから算出されるアスペクト比(L/D)は、2〜150、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜10である。
本発明に用いられる微細な炭素繊維における、釣鐘状構造単位および釣鐘状構造単位集合体については、本質的に同じ構成を有しているが、以下ように繊維長が異なる。
本発明に用いられる微細な炭素繊維は、図2(a)に示すように、前記集合体がさらにHead−to−Tailの様式で連結することにより形成される。Head−to−Tailの様式とは、微細な炭素繊維の構成において、隣り合った前記集合体どうしの接合部位が、一方の集合体の頭頂部(Head)と他方の集合体の下端部(Tail)の組合せで形成されていることを意味する。具体的な接合部分の形態は、第一の集合体21aの下端開口部において、最内層の釣鐘状構造単位の更に内側に、第二の集合体21bの最外層の釣鐘状構造単位の頭頂部が挿入され、さらに、第二の集合体21bの下端開口部に、第三の集合体21cの頭頂部が挿入され、これがさらに連続することによって繊維が構成される。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の1本の微細繊維を形成する各々の接合部分は、構造的な規則性を有しておらず、例えば第一の集合体と第二の集合体の接合部分の繊維軸方向の長さは、第二の集合体と第三の集合体の接合部分の長さと必ずしも同じではない。また、図2(a)のように、接合される二つの集合体が中心軸を共有して直線状に連結することもあるが、図2(b)の釣鐘状構造単位集合体21bと21cのように、中心軸が共有されずに接合して、結果として接合部分において屈曲構造を生じることもある。前記釣鐘状構造単位集合体の長さLは繊維ごとにおおむね一定である。しかしながら、気相成長法では、原料及び副生のガス成分と触媒及び生成物の固体成分が混在するため、発熱的な炭素析出反応の実施においては、前記の気体及び固体からなる不均一な反応混合物の流動状態によって一時的に温度の高い局所が形成されるなど、反応器内に温度分布が生じ、その結果、長さLにある程度のばらつきが生じることもある。
このようにして構成される微細な炭素繊維は、前記釣鐘状構造単位下端のグラファイト網面の開放端の少なくとも一部が、前記集合体の連結間隔に応じて、繊維外周面に露出する。以上のような微細な炭素繊維の構造は、TEM画像によって観察できる。また、本発明の微細な炭素繊維の効果は、集合体自体の曲がり、集合体の連結部分における屈曲が存在しても、ほとんど影響がないと考えられる。従って、TEM画像の中で、比較的直線に近い形状を有する集合体を観察して、構造に関する各パラメータを求め、その繊維についての構造パラメータ(θ、D、d、L)としてよい。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の学振法によるXRDにおいて、測定される002面のピーク半価幅W(単位:degree)は、2〜4の範囲である。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の学振法によるXRD測定によって求められるグラファイト面間隔d002は、0.350nm以下、好ましくは0.341〜0.348nmである。
本発明に用いられる微細な炭素繊維に含有される灰分は、4重量%以下であり、通常の用途では、精製を必要としない。通常、0.3重量%以上4重量%以下であり、より好ましくは0.3重量%以上3重量%以下である。尚、灰分は、繊維を0.1グラム以上燃焼して残った酸化物の重量から決定される。
炭素繊維含有共役ジエン重合体組成物中における炭素繊維(a)の含有量としては、特に制限されないが、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物中のポリブタジエン100重量部に対して、0.0001〜100重量部であるのが好ましく、0.001〜50重量部であるのがより好ましい。炭素繊維(a)の含有量が前記下限値未満では、十分な効果が期待できず、炭素繊維の含有量が前記上限値を超えると、添加効果のさらなる向上が期待できなくなりまた重合反応が進行し難くなる。
<炭素繊維含有ゴム組成物>
本発明の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物は、その他のゴムやプロセスオイル等の配合剤を添加した炭素繊維含有ゴム組成物とすることが好適である。このゴム組成物は、例えば、タイヤにおけるキャップトレッド、ランフラットタイヤのサイド補強層、カーカス、ベルト、チェーファー、ベーストレッド、ビード、スティフナー、インナーライナー等のタイヤ部材や、防振ゴム、ホース、ベルト、ゴムロール、ゴムクローラ、靴底ゴムなどの工業製品、その他のコンポジット、接着剤、プラスチックの改質剤などにも用いることができる。特に、タイヤ用のゴム組成物として用いた場合、従来よりも優れた疲労特性及び引張特性を有する。
その他のゴム成分としては、例えば、ポリブタジエンをはじめとするジエン系ゴムなどを用いることができる。上記特性を有するポリブタジエン以外のジエン系ゴムとしては、天然ゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有ブタジエンゴム(VCR)、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム等のジエン系モノマーの重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、ニトリルイソプレンゴム等のアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;乳化重合又は溶液重合スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、スチレンイソプレンゴム等のスチレン−ジエン共重合ゴム;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。
なかでも、ブタジエンゴム、天然ゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましい。
特に、溶液重合スチレンブタジエンゴム(s−SBR)、天然ゴム、又はイソプレンゴムが好適である。その他のゴム成分は、1種を単独で用いることもでき、2種以上併用することもできる。
プロセスオイルとしては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類などが用いられる。
その他の配合剤の一つである充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、粉末ゴム等の有機充填剤が挙げられる。
<ベルト用ゴム組成物の製造方法>
以下、本発明のベルト用ゴム組成物の製造方法について、詳細に説明する。
本発明のベルト用ゴム組成物の製造方法は、1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、前記第1−1工程で調製された混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、前記第1−3工程を経て得られたポリブタジエン組成物と、炭素繊維(a)と、ゴム補強材と、他のジエン系ゴムを混合する第1−4工程と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を有することにより、少ない炭素繊維含有量で疲労特性、引張特性などに優れたベルト用ゴム組成物の製造方法を提供することができる。
以下、各工程について説明する。
第1−1工程、第1−2工程及び第1−3工程については、前述した炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法(1)の第1−1工程、第1−2工程及び第1−3工程と同様の工程であるので、その説明を省略する。
[第1−4工程]
本工程では、第1−3工程を経て得られたポリブタジエン組成物と、炭素繊維(a)と、ゴム補強材と、他のジエン系ゴムを混合する。混合は、バンバリー、オープンロール、ニーダー、二軸混練り機などを用いて行うことができる。
ゴム補強材としては、通常ベルトなどで使用されるカーボンブラックなどが用いられる。カーボンブラックとしては、特に好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70mL/100g以上であり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が用いられる。
ここで、他のジエン系ゴムとは、第1−3工程を経て得られるポリブタジエン組成物に含まれるジエン系ゴム以外のゴム成分のことをいう。
このようなジエン系ゴムとしては、天然ゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有ブタジエンゴム(VCR)、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム等のジエン系モノマーの重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、ニトリルイソプレンゴム等のアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;乳化重合又は溶液重合スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、スチレンイソプレンゴム等のスチレン−ジエン共重合ゴム;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。
これら中でも、ブタジエンゴム、天然ゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましい。
特に、溶液重合スチレンブタジエンゴム(s−SBR)、天然ゴム、又はイソプレンゴムが好適である。その他のゴム成分は、1種を単独で用いることもでき、2種以上併用することもできる。
得られるベルト用ゴム組成物中における炭素繊維(a)の含有量は、ベルト用ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して0.00001〜100重量部であるのが好ましく、0.0001〜30重量部であるのがより好ましい。炭素繊維(a)の含有量が前記下限値未満では、十分な効果が期待できず、炭素繊維の含有量が前記上限値を超えると、添加効果のさらなる向上が期待できなくなりまた重合反応が進行し難くなる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
本発明の炭素繊維含有ゴム組成物は、工業用ベルト等のベルトの他、タイヤ、ゴム手袋、履物部材、ゴルフボール、クローラ、医療用ゴム組成物など広範に用いることが可能である。
以下、実施例、及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。
1.炭素繊維含有ポリブタジエン組成物
実施例及び比較例において、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の物性、並びに炭素繊維含有ゴム組成物の物性は、以下のようにして測定した。なお、炭素繊維含有ゴム組成物の物性の評価は、比較例を100とし、指数を算出して行なった。
(炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の評価)
炭素繊維含有ポリブタジエン組成物のムーニー粘度(ML1+4、100℃):JIS K6300に従い株式会社島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。
高融点SPB(1,2−ポリブタジエン(b))含有量(H.I.):示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した融解熱量と、実測H.I.測定法で得られたH.I.の検量線から求めた。実測H.I.は2gのビニル・シス−ポリブタジエンゴムを200mLのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した抽出残部を重量部で示した。
高融点SPB(1,2−ポリブタジエン(b))の融点:高融点SPB(1,2−ポリブタジエン(b))の融点は、試料約10mg、昇温速度10℃/minとした場合の値を示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した。
低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d))含有量:低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d))の含有量は、以下の式(1)を用いて計算した。
低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d))の含有量=重合系中に添加した低融点SPB量÷得られた炭素繊維含有ポリブタジエン組成物量×100 ・・・(1)
(炭素繊維含有ゴム組成物の評価)
耐伸張疲労性:定伸張疲労試験機(上島製作所製)を用いて、ダンベル状3号形(JIS K6251)試験片の中央に0.5mmの傷を入れ、初期歪50%、300回/分の条件で試験片が破断した回数を測定した。比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど耐伸張疲労性が良好なことを示す。
引張特性:JIS K6251に準拠して100%、200%、300%引張応力、破断強度(TB)、破断伸び(EB)を測定した。比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど引張特性が良好なことを示す。
(実施例1)
<炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の合成>
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d)成分:JSR社製 RB830)2.7g及びシクロヘキサン450mLを投入しオートクレーブを密閉し、次いで、1,3−ブタジエン450mLを仕込んだ。次いで、蒸留水40μLをシリンジを用いて添加し、オートクレーブを60℃まで昇温し、1時間・500rpmで攪拌することにより、低融点SPBを完全に溶解させた。オートクレーブを30℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライドとトリエチルアルミニウムのモル比が3:1のシクロヘキサン溶液(アルミニウム含有量が0.568mol/L)4.8mL及び1,5−シクロオクタジエン3.15mLを添加した後、45℃まで昇温させた。その後、オクテン酸コバルトのトルエン溶液(3.4mmol/L)0.8mLを添加し、45℃で20分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(アルミニウム含有量が0.586mol/L)6.0mLをシリンジを用いて添加し2分間保持した。次いで、オクテン酸コバルトのトルエン溶液(100mmol/L)1.35mLを添加し、2分間保持し、ジメチルスルホキシド2.0mLを添加し、5分間保持した。その後、二硫化炭素のシクロヘキサン溶液(250mmol/L)1.35mLを添加し、45℃で9分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。ナフトキノンのトルエン溶液(150mmol/L)2.0mLと、老化防止剤のエタノール溶液1.5mLを添加し、オートクレーブを冷却・脱圧した。
次いで、宇部興産(株)製の炭素繊維、AMC(登録商標)0.1gとオクタン5mLの混合液を添加し、1時間攪拌した。炭素繊維含有重合反応混合物をバットに取り出し、100℃で1時間真空乾燥し、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を得た。炭素繊維含有ポリブタジエン組成物中の炭素繊維の含有量は、0.16重量部であった。この炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の物性測定結果を表1に示した。
<炭素繊維含有ゴム組成物の調製>
炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を用い、表2に示す配合処方に基づいて、炭素繊維含有ゴム組成物の調製を行った。まず、プラストミルでゴム、カーボンブラック、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施し、配合ゴムを作製した。この配合ゴムを150℃にてプレス加硫しゴム組成物を得た後、物性測定を行った。物性測定結果を表3に示した。
(比較例1)
<炭素繊維を含有しないポリブタジエン組成物の合成>
炭素繊維とオクタンを添加しなかったこと以外、実施例と同様に行い、炭素繊維を含有しないポリブタジエン組成物を得た。ポリブタジエン組成物の物性測定結果を表1に示した。
<炭素繊維を含有しないゴム組成物の調製>
炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を、炭素繊維を含有しないポリブタジエン組成物に代えた以外、実施例と同様に行い、炭素繊維を含有しないゴム組成物を調製した。炭素繊維を含有しないゴム組成物の物性測定結果を表3に示した。
Figure 2020100695
Figure 2020100695
Figure 2020100695
表3中の数値は、比較例の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。以上のように、実施例1は、比較例1に比して、優れた疲労特性、引張特性を有する加硫物であることが分かる。
2.ベルト用ゴム組成物
実施例2及び比較例2、3において、ポリブタジエン組成物の物性、並びに炭素繊維含有ゴム組成物の物性は、以下のようにして測定した。なお、炭素繊維含有ゴム組成物の物性の評価は、比較例を100とし、指数を算出して行なった。
(ポリブタジエン組成物の評価)
ポリブタジエン組成物のムーニー粘度(ML1+4、100℃):JIS K6300に従い株式会社島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。
高融点SPB(1,2−ポリブタジエン(b))含有量(H.I.):示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した融解熱量と、実測H.I.測定法で得られたH.I.の検量線から求めた。実測H.I.は2gのビニル・シス−ポリブタジエンゴムを200mLのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した抽出残部を重量部で示した。
高融点SPB(1,2−ポリブタジエン(b))の融点:高融点SPB(1,2−ポリブタジエン(b))の融点は、試料約10mg、昇温速度10℃/minとした場合の値を示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した。
低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d))含有量:低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d))の含有量は、以下の式(1)を用いて計算した。
低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d))の含有量=重合系中に添加した低融点SPB量÷得られたポリブタジエン組成物量×100 ・・・(1)
(ベルト用ゴム組成物の評価)
引張特性:JIS K6251に準拠して100%、200%、300%引張応力、破断強度(TB)を測定した。比較例を100として指数表示した。指数が大きいほど引張特性が良好なことを示す。
硬度:JIS K6253に準拠してデュロメーター式(タイプD)で硬度を測定した。比較例2を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が良好なことを示す。
(実施例2)
<炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の合成>
内容量1.5Lのオートクレーブ内部を窒素置換した。次いで、低融点SPB(1,2−ポリブタジエン(d)成分:JSR社製 RB830)2.7g及びシクロヘキサン450mLを投入しオートクレーブを密閉し、次いで、1,3−ブタジエン450mLを仕込んだ。次いで、蒸留水40μLをシリンジを用いて添加し、オートクレーブを60℃まで昇温し、1時間・500rpmで攪拌することにより、低融点SPBを完全に溶解させた。オートクレーブを30℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライドとトリエチルアルミニウムのモル比が3:1のシクロヘキサン溶液(アルミニウム含有量が0.568mol/L)4.8mL及び1,5−シクロオクタジエン3.15mLを添加した後、45℃まで昇温させた。その後、オクテン酸コバルトのトルエン溶液(3.4mmol/L)0.8mLを添加し、45℃で20分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(アルミニウム含有量が0.586mol/L)6.0mLをシリンジを用いて添加し2分間保持した。次いで、オクテン酸コバルトのトルエン溶液(100mmol/L)1.35mLを添加し、2分間保持し、ジメチルスルホキシド2.0mLを添加し、5分間保持した。その後、二硫化炭素のシクロヘキサン溶液(250mmol/L)1.35mLを添加し、45℃で9分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。ナフトキノンのトルエン溶液(150mmol/L)2.0mLと、老化防止剤のエタノール溶液1.5mLを添加し、オートクレーブを冷却・脱圧した。
次いで、重合反応混合物をバットに取り出し、100℃で1時間真空乾燥し、ポリブタジエン組成物を得た。このポリブタジエン組成物の物性測定結果を表1に示した。
次に、プラストミルでポリブタジエン組成物、天然ゴム、宇部興産(株)製の炭素繊維、AMC(登録商標)、カーボンブラック、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混錬し、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を得た。各配合剤の量を表5に示した。
<ベルト用ゴム組成物の調製>
表5に示す配合処方に基づいて、ロールにて、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物に加硫促進剤、硫黄を混錬して、配合ゴムを作製した。
この配合ゴムを150℃にてプレス加硫し炭素繊維含有ベルト用ゴム組成物を得た後、物性測定を行った。物性測定結果を表6に示した。
(比較例2)
<1,4−ポリブタジエンの合成と、ゴム補強材との混錬>
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換した。次いで、シクロヘキサン溶媒300mL及びブタジエン300mLからなる溶液を仕込んだ。次いで、蒸留水31μL、ジエチルアルミニウムクロライドとトリエチルアルミニウムがモル比3:1のシクロヘキサン溶液(アルミニウム含有量が0.568mol/L)3.2mL及び1,5−シクロオクタジエン2.0mLを添加した後、オクテン酸コバルトのトルエン溶液(3.4mmol/L)0.9mLを添加した。65℃で20分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液1.5mLを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を回収した。次いで、回収した1,4−ポリブタジエンを100℃で1時間真空乾燥した。この1,4−ポリブタジエンの物性測定結果を表4に示した。
次に、プラストミルで1,4−ポリブタジエン、天然ゴム、カーボンブラック、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混錬した。各配合剤の量を表5に示した。
<ベルト用ゴム組成物の調製>
表5に示す配合処方に基づいて、ロールにて、上記混練物に加硫促進剤、硫黄を混錬して、配合ゴムを作製した。
この配合ゴムを150℃にてプレス加硫し炭素繊維含有ベルト用ゴム組成物を得た後、物性測定を行った。物性測定結果を表6に示した。
(比較例3)
<炭素繊維含有1,4−ポリブタジエンの合成>
比較例1と同様に1,4−ポリブタジエンを調製した。次に、プラストミルで1,4−ポリブタジエン、天然ゴム、宇部興産(株)製の炭素繊維、AMC(登録商標)、カーボンブラック、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混錬し、炭素繊維含有1,4−ポリブタジエンを得た。各配合剤の量を表5に示した。この炭素繊維含1,4−ポリブタジエンの物性測定結果を表4に示した。
<ベルト用ゴム組成物の調製>
配合ゴム中含有量としてゴム成分100重量部に対して0.05重量部となる量の炭素繊維を加えた以外、比較例2と同様に炭素繊維含有ゴム組成物を調製した。配合処方を表5に、ゴム組成物の物性測定結果を表6に、それぞれ示した。
Figure 2020100695
Figure 2020100695
Figure 2020100695
表6中の数値は、比較例2の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
以上のように、実施例2は、比較例2、3に比して、優れた引張特性及び硬度を有するベルト用ゴム組成物であることが分かる。
11 構造単位
12 頭頂部
13 胴部
21、21a、21b、21c 釣鐘状構造単位集合体

Claims (19)

  1. 1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、
    前記第1−1工程で調製された前記混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、
    前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、
    前記第1−3工程を経て得られた重合反応混合物或いはポリブタジエン組成物と炭素繊維(a)を混合する第1−4工程と、
    を備えることを特徴とする炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  2. 前記第1−1工程において、さらに、融点が95〜110℃の1,2−ポリブタジエン(d)を添加する請求項1に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  3. 前記第1−3工程で生成される1,2−ポリブタジエン(b)の融点が160〜197℃である請求項1又は2に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  4. 前記第1−3工程で生成される1,2−ポリブタジエン(b)の融点を低下させる融点降下剤を、前記第1−3工程又は前記第2−3工程において添加する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  5. 前記融点降下剤が、ジメチルスルホキシドである請求項4に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  6. 前記炭素繊維が、炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位によって構成される微細な炭素繊維である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  7. 前記炭素繊維(a)の含有量が、炭素繊維含有ポリブタジエン組成物中のポリブタジエン100重量部に対して、0.0001〜100重量部である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物の製造法により製造された炭素繊維含有ポリブタジエン組成物。
  9. 請求項8に記載の炭素繊維含有ポリブタジエン組成物を用いて合成された炭素繊維含有ゴム組成物。
  10. 1,3−ブタジエンと、不活性有機溶媒との混合物を調製する第1−1工程と、
    前記第1−1工程で調製された混合物に水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は、有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、前記1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第1−2工程と、
    前記第1−2工程で得られた重合反応混合物中の前記1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第1−3工程と、
    前記第1−3工程を経て得られたポリブタジエン組成物と、炭素繊維(a)と、ゴム補強材と、他のジエン系ゴムを混合する第1−4工程と、
    を備えることを特徴とするベルト用ゴム組成物の製造方法。
  11. 前記第1−1工程において、さらに、融点が95〜110℃の1,2−ポリブタジエン(d)を添加する請求項10に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  12. 前記第1−3工程で生成される1,2−ポリブタジエン(b)の融点が、160〜197℃である請求項10又は11に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  13. 前記第1−3工程で生成される前記1,2−ポリブタジエン(b)の融点を低下させる融点降下剤を、前記第1−3工程又は前記第2−3工程において添加する請求項10ないし12のいずれか1項に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  14. 前記融点降下剤が、ジメチルスルホキシドである請求項13に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  15. 前記炭素繊維(a)の含有量が、ベルト用ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して0.00001〜100重量部である請求項10ないし14のいずれか1項に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  16. 前記炭素繊維が炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位によって構成される微細な炭素繊維である請求項10ないし15のいずれか1項に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  17. 前記ゴム補強材が、カーボンブラックである請求項10ないし16のいずれか1項に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法。
  18. 請求項10ないし17のいずれか1項に記載のベルト用ゴム組成物の製造方法により製造されたベルト用ゴム組成物。
  19. 請求項18に記載のベルト用ゴム組成物を用いたベルト。
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