JPWO2020054706A1 - ビニル・シス−ポリブタジエンゴム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

融点が150〜195℃である1,2−ポリブタジエンを35〜99質量%含有することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴムである。

Description

本発明は、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム及びその製造方法に関する。
従来、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造は、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒中において、所定の触媒を用いて、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、続いて、シンジオタクチック−1,2重合(以下、単に「1,2重合」という場合がある。)する方法により行われている。
また、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、ゴム組成物にしたときの用途によって、種々の特性の改良が望まれている。例えば、特許文献1には、溶媒をC4留分としてSPBを微粒子化することによって引張特性や耐亀裂性を向上させたビニル・シス−ポリブタジエンゴムが記載されている。特許文献2には、ハロゲン含有の有機アルミニウム化合物中のハロゲン原子のモル数と有機アルミニウム化合物(AlR3)のモル数の比を最適な値にすることによって耐疲労性を向上させたビニル・シス−ポリブタジエンゴムが記載されている。特許文献3には、触媒使用量を調整し、優れた生産性や適した剛性を付与したビニル・シス−ポリブタジエンゴムが記載されている。特許文献4と特許文献5には、沸騰n−ヘキサン不溶分(HI)、長鎖分岐指数および分岐度を特定の範囲にし、優れたコールドフローや剛性率を付与したビニル・シス−ポリブタジエンゴムが記載されている。
特許第03855480号公報 特許第05287436号公報 特許第05447708号公報 特許第05447707号公報 特許第05585710号公報
しかしながら、種々の改良されたビニル・シス−ポリブタジエンゴムである特許文献1乃至5に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいても、ゴム組成物にしたときに、操縦安定性や低ロス性などの他の物性に関しては、未だ改良の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ゴム組成物にしたときに、特に、操縦安定性と低ロス性のバランスに優れたビニル・シス−ポリブタジエンゴム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム中に特定の融点を有する1,2−ポリブタジエンを特定の濃度で含有させることにより、ゴム組成物としたときに、操縦安定性と低ロス性の優れたバランスを有するビニル・シス−ポリブタジエンゴムが製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、融点が150〜195℃である1,2−ポリブタジエンを35〜99質量%含有することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴムである。
また、本発明は、1,3−ブタジエンと、炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒との混合物を調製する第1工程と、第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第2工程と、第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第3工程と、を備えた前記ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法であって、第3工程において、得られる1,2−ポリブタジエンの融点を低下させる融点降下剤を添加することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法である。
以上のように、本発明によれば、ゴム組成物にしたときに、特に、操縦安定性と低ロス性のバランスに優れたビニル・シス−ポリブタジエンゴム及びその製造方法を提供することができる。
<ビニル・シス−ポリブタジエンゴム>
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、1,4−ポリブタジエン中に、融点が150〜195℃の1,2−ポリブタジエンが35〜99質量%含有される。
(1,2−ポリブタジエン)
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいて、1,2−ポリブタジエンの融点は150〜195℃であるが、160〜190℃であることが好ましく、170〜185℃であることがさらに好ましい。1,2−ポリブタジエン(B)の融点が150℃より低いとダイ・スウェルが悪化するため好ましくなく、195℃より高いと低燃費性が悪化するため、好ましくない。
ここで、示差走査熱量計により測定した1,2−ポリブタジエン由来の吸熱ピークのピークトップの温度を1,2−ポリブタジエンの融点とする。1,2−ポリブタジエン由来の吸熱ピークが複数存在するときは、ピーク分離を行って、最大面積のピークのピークトップを1,2−ポリブタジエンの融点とする。
1,2−ポリブタジエンの含有量は、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに対して、35〜99質量%であり、35〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。含有量が99質量%より多いと、例えば配合後の1,2−ポリブタジエンの分散性が不十分でビニル・シス−ポリブタジエンゴムの効果が小さく、好ましくない。35質量%より少ないと1,2−ポリブタジエンの弾性率向上効果が十分に発現されず、好ましくない。ここで、1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度を1,2−ポリブタジエンの濃度とする。
1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度は、示差走査熱量計によって測定された1,2−ポリブタジエン結晶部の融解熱量から算出する。
具体的には、まず、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを昇温速度10℃/minで昇温し、1,2−ポリブタジエンの融解に由来する吸熱ピークから融解熱量を算出する。次いで、1,2−ポリブタジエンの既知の単位質量当たりの融解熱量から、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%)を算出することができる。
ビニル・シス−ポリブタジエンゴムには、1,2−ポリブタジエンの非晶部を含んでもよく、1,2−ポリブタジエンの非晶部の含有量は、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに対して、0〜30質量%が好ましく、0〜25質量%がより好ましく、0〜10質量%が特に好ましい。より低ロス性及び操縦安定性の安定性に優れたゴム組成物を提供可能なビニル・シス−ポリブタジエンゴムを得ることができる。
1,2−ポリブタジエンの含有量は、後述するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法の第3工程における1,3−ブタジエンのシンジオタクチック−1,2重合において調整される。
また、1,2−ポリブタジエンのピークトップ分子量(Mp)は、1,000〜300,000が好ましく、5,000〜150,000がより好ましい。ピークトップ分子量(Mp)が300,000より大きいと伸びが悪化する傾向にあり、1,000より小さいと弾性率が悪化する傾向にある。本発明において、ピークトップ分子量(Mp)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により得られた溶出曲線におけるピークトップの分子量であり、ポリスチレンを標準物質として得た検量線から算出することができる。
(1,4−ポリブタジエン)
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいて、1,4−ポリブタジエンは、後述するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法の第2工程において、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合することによって得られる。ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、20〜60が好ましく、25〜45がより好ましい。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20より小さいと低ロス性が低下し、60より大きいと加工性が低下する。
また、ポリブタジエンのシス−1,4構造含有率は90%以上であることが好ましく、特に95%以上であることが好ましい。
また、1,4−ポリブタジエンの重量平均分子量(Mw)は、200,000〜800,000が好ましく、400,000〜650,000がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が200,000より小さいと低ロス性が低下し、800,000より大きいと加工性が低下する。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2.00〜5.00が好ましく、2.20〜3.50がより好ましい。
また、シス−1,4重合で得られる1,4−ポリブタジエンは実質的にゲル分を含有しない。
<ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法>
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法は、1,3−ブタジエンと、炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒との混合物を調製する第1工程と、第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第2工程と、第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第3工程と、を備え、第3工程において、得られる1,2−ポリブタジエンの融点を低下させる融点降下剤を添加することを特徴とする。
(第1工程)
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法において使用する炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン及びペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン及びシクロペンタン等の脂環族炭化水素、上記のオレフィン化合物及びシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ及びケロシン等の炭化水素系溶媒、並びに塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。また、1,3−ブタジエンモノマーそのものを重合溶媒として用いてもよい。
上記の不活性有機溶媒の中でも、トルエン、シクロヘキサン、及びシス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
(第2工程)
次に、第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する。すなわち、先ず、第1工程で調製された混合物に水を添加して、水分の濃度を調整する。水分の濃度は、シス−1,4重合で用いる有機アルミニウム化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜1.4モル、特に好ましくは0.2〜1.2モルの範囲である。この範囲外では触媒活性が低下したり、シス−1,4構造含有率が低下したり、分子量が異常に低く又は高くなったりするため好ましくない。また、上記の範囲外では、重合時のゲルの発生を抑制することができず、このため重合槽などへのゲルの付着が起り、さらに連続重合時間を延ばすことができないので好ましくない。水分の濃度を調整する方法は、公知の方法が適用できる。多孔質濾過材を通して添加・分散させる方法(特開平4−85304号公報)も有効である。
次に、上記のように水分の濃度を調整して得られた混合物に、有機アルミニウム化合物を添加する。有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、及びアルキルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。
上記の有機アルミニウム化合物のうち、一般式AlR3(但し、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基である)により表わされるトリアルキルアルミニウムを好ましく用いることができる。トリアルキルアルミニウムの例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、及びトリベンジルアルミニウムを挙げることができる。なお、トリアルキルアルミニウム内のアルキル基は、互いに同一でも、あるいは異なっていてもよい。
上記の有機アルミニウム化合物に加えて、ジメチルアルミニウムクロライド及びジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド及びエチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド及びセスキエチルアルミニウムハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
これらの有機アルミニウム化合物は、2種類以上を併用することもできる。
有機アルミニウム化合物の使用量は、(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒を用いてシス−1,4重合する場合は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に0.5〜50ミリモルであることが好ましい。また、(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を用いてシス−1,4重合する場合は、1,3−ブタジエン1モル当たり1×10-5〜1×10-1モルであることが好ましい。
次いで、有機アルミニウム化合物を添加した混合物に可溶性コバルト化合物を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する。可溶性コバルト化合物としては、炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒若しくは液体1,3−ブタジエンに可溶なものであるか、又は均一に分散できる、例えば、コバルト(II)アセチルアセトナート及びコバルト(III)アセチルアセトナートなどコバルトのβ−ジケトン錯体、コバルトアセト酢酸エチルエステル錯体のようなコバルトのβ−ケト酸エステル錯体、コバルトオクトエート、コバルトナフテネート及びコバルトベンゾエートなどの炭素数6以上の有機カルボン酸のコバルト塩、塩化コバルトピリジン錯体及び塩化コバルトエチルアルコール錯体などのハロゲン化コバルト錯体などが用いられる。可溶性コバルト化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.001マイクロモル以上、特に0.005マイクロモル以上であることが好ましい。また、可溶性コバルト化合物に対する有機アルミニウム化合物のモル比(Al/Co)は10以上であり、特に50以上であることが好ましい。
また、(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒の代わりに(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合してもよい。この場合、水は、シス−1,4重合触媒の成分として添加しても、添加しなくてもよい。
ニッケル化合物としては、ニッケルの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものとして、塩化ニッケル及び臭化ニッケルなどのハロゲン化ニッケル、硝酸ニッケルなどの無機酸のニッケル塩、オクチル酸ニッケル、酢酸ニッケル、ニッケルオクトエートなどの炭素原子数1〜18のカルボン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、マロン酸ニッケル、ニッケルのビスアセチルアセトナート及びトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルなどのニッケル錯体、ハロゲン化ニッケルのトリアリールホスフィン錯体、トリアルキルホスフィン錯体、ピリジン錯体及びピコリン錯体等の有機塩基錯体、並びにエチルアルコール錯体などの各種錯体を挙げることができる。ニッケル化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり1×10-7〜1×10-3モルであることが好ましい。
フッ素化合物としては、三フッ化ホウ素のエーテル、アルコール、又はこれらの混合物の錯体、あるいはフッ化水素のエーテル、アルコール、又はこれらの錯体の混合物が好ましく用いられる。特に好ましいものとして、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテレート、フッ化水素ジエチルエーテレート、及びフッ化水素ジブチルエーテレートを挙げることができる。フッ素化合物の使用量は、1,3−ブタジエン1モル当たり1×10-4〜1モルであることが好ましい。
1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する温度は、0℃を超えて100℃以下、好ましくは10〜100℃、さらに好ましくは20〜100℃である。重合時間は、10分〜2時間の範囲が好ましい。シス−1,4重合後のポリマー濃度が1〜30質量%となるように、シス−1,4重合を行うことが好ましい。重合は、重合槽(重合器)内にて溶液を攪拌混合して行う。重合に用いる重合槽としては、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
シス−1,4重合時に、公知の分子量調節剤、例えばシクロオクタジエン、アレン、メチルアレン(1,2−ブタジエン)などの非共役ジエン類、又はエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。また、重合時のゲルの生成をさらに抑制するため、公知のゲル化防止剤を使用することができる。
(第3工程)
次に、第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する。その際に、得られたシス−1,4重合物に、1,3−ブタジエンを添加しても添加しなくてもよい。また、この1,2重合する方法は、特に限定されないが、1,2重合する際に、一般式AlR3(但し、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基である)により表される有機アルミニウム化合物及び二硫化炭素を添加して1,3−ブタジエンを1,2重合することが好ましく、必要に応じて可溶性コバルト化合物をさらに添加してもよい。またさらに、1,2重合する際に、重合系に水を添加してもよい。
前記一般式AlR3により表される有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム及びトリフェニルアルミニウムなどが好適である。有機アルミニウム化合物は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に0.5〜50ミリモルが好ましい。二硫化炭素の濃度は、20ミリモル/L以下、特に好ましくは0.01〜10ミリモル/Lである。二硫化炭素の代替として、公知のイソチオシアン酸フェニルやキサントゲン酸化合物を使用してもよい。水は、1,3−ブタジエンを有機アルミニウム化合物と接触させた後、重合系に添加することが好ましい。水の添加量は、有機アルミニウム化合物1モル当たり0.1〜1.5モルが好ましい。可溶性コバルト化合物としては、前記第2工程で記載したものと同様のものを用いることができる。
本発明に係る製造方法は、第3工程において、得られる1,2−ポリブタジエンの融点を低下させる融点降下剤を添加することを特徴とする。融点降下剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンなどが挙げられ、未反応の1,3−ブタジエンとの分離・精製の観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)が特に好ましい。
融点降下剤の添加量は、第3工程で添加する有機アルミニウム化合物に対して、モル比0.01〜10が好ましく、0.05〜5がより好ましく、0.1〜3が特に好ましい。融点降下剤を上記の量添加することで、第3工程において得られる1,2−ポリブタジエンの融点を150〜195℃に調整することができる。添加量のモル比が10より多いと融点が過剰に低下し、1,2−ポリブタジエンの弾性率向上効果が小さい傾向にあり、0.1より少ないと低燃費性の改善効果が小さい傾向にあるため、好ましくない。
1,2重合する温度は、−5〜100℃が好ましく、特に−5〜80℃が好ましい。1,2重合する際に、1,3−ブタジエンを追加で添加することにより、1,2重合時の1,2−ポリブタジエンの収量を増大させることもできる。重合時間は、2分〜2時間の範囲が好ましい。1,2重合後のポリマー濃度が3〜30質量%となるように、1,2重合を行うことが好ましい。重合は重合槽(重合器)内にて重合溶液を攪拌混合して行う。1,2重合に用いる重合槽としては、1,2重合中は更に高粘度となり、ポリマーが付着しやすいので、高粘度液攪拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号公報に記載された装置を用いることができる。
重合反応が所定の重合率に達した後、常法に従って公知の老化防止剤を添加することができる。老化防止剤としては、フェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリスノニルフェニルフォスファイト(TNP)、並びに硫黄系の4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)などが挙げられる。これらを単独でも2種以上組み合わせて用いてもよく、老化防止剤の添加は、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム100質量部に対して0.001〜5質量部である。
重合反応は、重合溶液にメタノール及びエタノールなどのアルコール、又は水などの極性溶媒を大量に投入する方法、塩酸及び硫酸などの無機酸、酢酸及び安息香酸などの有機酸、亜リン酸エステル、又は塩化水素ガスを重合溶液に導入する方法など、それ自体公知の方法を用いて停止する。次いで、通常の方法に従い、生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを分離、洗浄、続いて乾燥する。
ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度を、例えば必要とする機能に合わせて、任意に変化させることができる。具体的な方法としては、例えば、生成したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを、乾燥前或いは乾燥後に、液体中或いは窒素中或いは大気中、或いはこれら以外の雰囲気下で加熱することによって、結晶の一部或いは全部を非晶化することができる。
<ゴム組成物>
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、例えば、タイヤにおけるキャップトレッド、ベーストレッド、サイド補強ゴム、カーカス、ベルト、チェーファー、ビード、スティフナー、インナーライナー等のタイヤ部材や、防振ゴム、ホース、ベルト、ゴムロール、ゴムクーラー、靴底ゴムなどの工業製品、その他のコンポジット、接着剤、プラスチックの改質剤などにも用いることができる。特に、タイヤ用のゴム組成物として用いた場合、従来よりも優れた操縦安定性や低ロス性を有する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。なお、本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法により製造されたビニル・シス−ポリブタジエンゴムの素ゴム、配合物及びゴム組成物の物性は、以下のようにして測定した。
<ビニル・シス−ポリブタジエンゴム>
1.1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度
ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度は、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)によって測定された1,2−ポリブタジエン結晶部の融解熱量から算出した。具体的には、まず、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム約10mgを昇温速度10℃/minで昇温し、1,2−ポリブタジエンの融解に由来する吸熱ピークから融解熱量を算出した。次いで、1,2−ポリブタジエンの既知の単位質量当たりの融解熱量から、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%)を算出した。
2.1,2−ポリブタジエンの非晶部の濃度
ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの非晶部の濃度は、1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度と1,4−ポリブタジエンの濃度から、下記式(1)によって算出した。
(1,2−ポリブタジエンの非晶部の濃度(質量%))=100−(非晶化処理後の1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%))−(1,4−ポリブタジエンの濃度(質量%))・・・式(1)
なお、1,4−ポリブタジエンの濃度(質量%)は、下記式(2)によって算出した。
(1,4−ポリブタジエンの濃度(質量%))=100−(非晶化処理前の1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%))
ここで、「非晶化処理後」とは、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度を調整するために行われる1,2−ポリブタジエンの結晶部の一部の非晶化処理の後のことをいい、「非晶化処理前」とは、その非晶化処理の前のことをいう。
3.1,2−ポリブタジエンの融点
1,2−ポリブタジエンの融点は、試料約10mg、昇温速度10℃/minとした場合の値を示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した。1,2−ポリブタジエン由来の吸熱ピークのピークトップの温度を融点とした。なお、1,2−ポリブタジエン由来の吸熱ピークが複数存在するときは、ピーク分離を行って、最大面積のピークのピークトップの温度を融点とした。
4.重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、GPC(島津製作所製)法により行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
5.ムーニー粘度(ML1+4,100℃)
JIS−K6300−1に従い、島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分間予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)を求めた。
<ゴム組成物>
1.低ロス性(tanδ)
得られたゴム組成物を160℃で20分加硫後、粘弾性測定装置ARES(TA Instruments社製)を用い、温度50℃、動歪0.1%、周波数15Hzで測定した。そして、比較例2のtanδを100とし、比較例1と組成物1〜4のそれぞれの逆数について指数を算出した。指数が大きいほど、tanδが小さく、低ロス性に優れることを示す。
また、参考例として、ゴム組成物を150℃で25分加硫後、粘弾性測定装置EPLEXOR(GABO社製)を用い、温度50℃、動歪0.2%、周波数16Hzで測定した。そして、参考例1のtanδを100とし、参考例2の逆数について指数を算出した。指数が大きいほど、tanδが小さく、低ロス性に優れることを示す。
2.操縦安定性(貯蔵弾性率)
得られたゴム組成物を160℃で20分加硫後、粘弾性測定装置ARES(TA Instruments社製)を用いた動的粘弾性試験において、温度30℃、動歪0.1%、周波数15Hzで貯蔵弾性率G’を測定した。そして、比較例2のG’を100とし、比較例1と実施例1〜4のそれぞれについて指数を算出した。指数が大きいほど、G’が大きく、操縦安定性に優れることを示す。
また、参考例として、ゴム組成物を150℃で25分加硫後、粘弾性測定装置EPLEXOR(GABO社製)を用い、温度50℃、動歪0.2%、周波数16Hzで測定した。そして、参考例1の貯蔵弾性率E’を100とし、参考例2について指数を算出した。指数が大きいほど、E’が大きく、操縦安定性に優れることを示す。
3.低ロス性と操縦安定性のバランス
低ロス性指数と操縦安定性指数を足して、2で割った値を、低ロス性と操縦安定性のバランス指数とした。指数が大きいほど、低ロス性と操縦安定性のバランスに優れることを示す。
(実施例1)
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、シクロヘキサン(450mL)を投入しオートクレーブを密閉し、次いで1,3−ブタジエン(450mL)を圧送することで、原料溶液(FB)900mlを作製した。原料溶液に、2.47mmol/Lの濃度となるように、水(H2O)をシリンジを用いて添加し、その後、オートクレーブを30℃まで昇温し、30分・500rpmで攪拌した。オートクレーブを25℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライド及びトリエチルアルミニウム(モル比3:1)を3.0mmol/Lの濃度となるように、シリンジを用いて添加し、5分攪拌した。次いで、1,5−シクロオクタジエン(COD)を28.5mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃まで昇温させた。コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を6.18μmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で12分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(TEA)を3.91mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し2分間保持、次いで、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を0.800mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、更に2分間保持し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を0.98mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加した。最後に、二硫化炭素(CS2)を1.17mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で25分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。得られた重合反応混合物にトリスノニルフェニルフォスファイトを添加し、シンジオタクチック−1,2重合を停止させた。その後、オートクレーブを冷却・脱圧し、重合反応混合物を得た。次に、重合反応物を80℃の水に投入し、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを析出させた。析出したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを回収し、水と共にステンレス製オートクレーブに入れ、密閉し、130℃で10分保持した。冷却後、ステンレス製オートクレーブからビニル・シス−ポリブタジエンゴムを取り出し、100℃で1時間乾燥した。実施例1に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示す。また、実施例1のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は404,000であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、38.6であった。
(実施例2)
44.5質量%の1,3−ブタジエンと二硫化炭素248質量ppmを含むシクロヘキサン溶液10L/hと水0.41ml/hを60℃の温度にて混合し、この混合液を30℃に保持された5.0Lの撹拌機付ステンレス製熟成槽に供給した。併せて、10質量%のジエチルアルミニウムクロライドのシクロヘキサン溶液と10質量%のトリエチルアルミニウムのシクロヘキサン溶液の混合液(Alモル比3:1)を57ml/hで、同じ熟成槽に供給した。得られた熟成液を、35℃に保持された5.3Lの撹拌機付ステンレス製シス重合槽に供給した。この重合槽には、COD34ml/hと0.03質量%のコバルトオクトエート(Co(Oct)2)のシクロヘキサン−トルエン溶液も供給してシス−1,4重合を行った。得られたシス−1,4重合液を、5.3Lのリボン型撹拌機付ステンレス製1,2−ポリブタジエン重合槽に供給し、35℃でシンジオタクチック−1,2重合を行った。この重合槽には、10質量%のトリエチルアルミニウムのシクロヘキサン溶液80ml/hと7.5質量%のコバルトオクトエート(Co(Oct)2)のシクロヘキサン−トルエン溶液36ml/hと5質量%のDMSOのトルエン溶液36ml/hと、1.0質量%の1,3−ブタジエンを含むシクロヘキサン溶液1L/hも同時に供給した。得られたシンジオタクチック−1,2重合液を1.0Lの撹拌機付ステンレス製混合槽に供給し、水100ml/hと、4,6−ビス(オクチルチオエチル)−o−クレゾールとトリスノニルフェニルフォスファイトをそれぞれビニル・シス−ポリブタジエンゴム100質量部に対して1質量%加え、重合を停止した後、130℃に保持された熱水中に投入し、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを析出させた。この析出物を100℃で1時間乾燥した。実施例2に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示す。また、実施例2のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は411,000であった。
(実施例3)
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、シクロヘキサン(450mL)を投入しオートクレーブを密閉し、次いで1,3−ブタジエン(450mL)を圧送することで、原料溶液(FB)900mlを作製した。原料溶液に、1.85mmol/Lの濃度となるように、水(H2O)をシリンジを用いて添加し、その後、オートクレーブを60℃まで昇温し、30分・500rpmで攪拌した。オートクレーブを25℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライド及びトリエチルアルミニウム(モル比3:1)を3.0mmol/Lの濃度となるように、シリンジを用いて添加し、5分攪拌した。次いで、1,5−シクロオクタジエン(COD)を21.7mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃まで昇温させた。コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を5.02μmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で12分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(TEA)を3.91mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し2分間保持、次いで、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を0.756mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、更に2分間保持し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を0.94mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加した。最後に、二硫化炭素(CS2)を1.17mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で25分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。得られた重合反応混合物にトリスノニルフェニルフォスファイトを添加し、シンジオタクチック−1,2重合を停止させた。その後、オートクレーブを冷却・脱圧し、重合反応混合物をバットに取り出した。100℃に温めた真空乾燥機にバットごと投入し、未反応のブタジエン及び溶剤を除去することで、実施例3に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムを得た。実施例3に係るビニル・シスーポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示した。また、実施例3のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は404,000であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、38.6であった。
(実施例4)
シス−1,4重合において、水の濃度を1.60mmol/Lに、1,5−シクロオクタジエン(COD)濃度を16.3mmol/Lに、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)濃度を1.54μmol/Lに、そしてシンジオタクチック−1,2重合において、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)濃度を0.800mmol/Lに、それぞれ変えた以外、実施例3と同様にビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造した。実施例4に係るビニル・シスーポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示した。また、実施例4のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は484,000であった。
(比較例1)
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、シクロヘキサン(360mL)を投入しオートクレーブを密閉し、次いで1,3−ブタジエン(240mL)を圧送することで、原料溶液(FB)600mlを作製した。原料溶液に、1.76mmol/Lの濃度となるように、水(H2O)をシリンジを用いて添加し、その後、オートクレーブを60℃まで昇温し、30分・500rpmで攪拌した。オートクレーブを25℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライド及びトリエチルアルミニウム(モル比3:1)を3.6mmol/Lの濃度となるように、シリンジを用いて添加し、5分攪拌した。次いで、1,5−シクロオクタジエン(COD)を18.3mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、45℃まで昇温させた。コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を12.5μmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、45℃で20分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(TEA)を5.40mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し2分間保持、次いで、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を0.150mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、更に2分間保持し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を5.40mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加した。最後に、二硫化炭素(CS2)を0.54mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、45℃で20分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。得られた重合反応混合物に1,4−ナフトキノンを添加し、シンジオタクチック−1,2重合を停止させた。その後、オートクレーブを冷却・脱圧し、重合反応混合物をバットに取り出した。100℃に温めた真空乾燥機にバットごと投入し、未反応のブタジエン及び溶剤を除去することで、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを得た。参考例に係るビニル・シスーポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示した。また、比較例1のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は490,000であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、41.7であった。
Figure 2020054706
実施例1〜4に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムを表2に従ってカーボンブラック、天然ゴム、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸および老化防止剤(それぞれ質量部、以下同じ)を加えて混練する一次配合を実施し、次いで、加硫促進剤および硫黄を添加する二次配合を実施して、配合物を作成した(それぞれゴム組成物1〜4とする)。さらに、この配合物を成型し、プレス加硫してゴム組成物を得た後、低ロス性(tanδ)、操縦安定性(貯蔵弾性率)を測定し、低ロス性と操縦安定性のバランスを算出した。これらゴム組成物の物性測定結果についても、表2に示す。
また、比較例2としてビニル・シスーポリブタジエンゴムを含有させていないもの、比較例3として市販のビニル・シスーポリブタジエンゴム(VCR412:1,2−ポリブタジエンの濃度12%及び融点200℃)を含有させたものを用意し、ゴム組成物1〜4と同様に物性測定を行った。その結果を表2に示す。
また比較例1に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムを表3に従ってカーボンブラック、天然ゴム、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸および老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いで、加硫促進剤および硫黄を添加する二次配合を実施して、配合物(参考例2)を作成した。さらに、この配合物を成型し、プレス加硫してゴム組成物を得た後、低ロス性(tanδ)、操縦安定性(貯蔵弾性率)を測定し、低ロス性と操縦安定性のバランスを算出した。これらゴム組成物の物性測定結果についても、表3に示す。また、参考例1として、VCR412を配合したものを用意した。
Figure 2020054706
(注1)天然ゴム(RSS♯3) (注2)ブタジエンゴム、宇部興産株式会社製「UBEPOL 150L」 (注3)宇部興産株式会社製「UBEPOL VCR412」 (注4)旭カーボン株式会社製「#80」 (注5)出光興産社製「ダイアナプロセスNH−70S」 (注6)大内新興化学工業社製「ノクラック6C」 (注7)大内新興化学工業社製「ノクセラーD」
Figure 2020054706
(注1)天然ゴム(RSS♯1) (注2)宇部興産株式会社製「UBEPOL VCR412」 (注3)三菱化学株式会社製 「ダイアブラックI」 (注4)H&R社製 「Viva Tec 400」 (注5)住友化学社製「アンチゲン6C」 (注6)大内新興化学工業社製「ノクセラーNS」
以上より、実施例5〜8のゴム組成物は、比較例2及び3のゴム組成物と比較して、低ロス性と操縦安定性のバランスの改善が図られていることが分かる。また、実施例5のゴム組成物と実施例6〜8のゴム組成物との比較により、1,2−ポリブタジエンの非晶部の濃度が低いビニル・シス−ポリブタジエンゴムを用いたゴム組成物は、より低ロス性と操縦安定性のバランスの改善が図られていることが分かる。

Claims (9)

  1. 融点が150〜195℃である1,2−ポリブタジエンを35〜99質量%含有することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
  2. 1,2−ポリブタジエンのピークトップ分子量(Mp)が1,000〜300,000であることを特徴とする請求項1に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
  3. ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの1,4−ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が20〜60であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
  4. ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの1,4−ポリブタジエンの重量平均分子量が、200,000〜800,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
  5. ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの1,4−ポリブタジエンの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.0〜5.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
  6. ビニル・シス−ポリブタジエンゴムが更に、1,2−ポリブタジエンの非晶部を含み、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに対する1,2−ポリブタジエンの非晶部の含有量が0〜30質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
  7. 1,3−ブタジエンと、炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒との混合物を調製する第1工程と、
    第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第2工程と、 第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第3工程と、を備えたビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法であって、
    第3工程において、得られる1,2−ポリブタジエンの融点を低下させる融点降下剤を添加することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法。
  8. 前記融点降下剤の添加量が、第3工程で添加する有機アルミニウム化合物に対してモル比で0.01〜10であることを特徴とする請求項7に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法。
  9. 前記融点降下剤が、ジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項7又は8に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法。
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