JPWO2020054706A1 - ビニル・シス−ポリブタジエンゴム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、1,4−ポリブタジエン中に、融点が150〜195℃の1,2−ポリブタジエンが35〜99質量%含有される。
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいて、1,2−ポリブタジエンの融点は150〜195℃であるが、160〜190℃であることが好ましく、170〜185℃であることがさらに好ましい。1,2−ポリブタジエン(B)の融点が150℃より低いとダイ・スウェルが悪化するため好ましくなく、195℃より高いと低燃費性が悪化するため、好ましくない。
具体的には、まず、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを昇温速度10℃/minで昇温し、1,2−ポリブタジエンの融解に由来する吸熱ピークから融解熱量を算出する。次いで、1,2−ポリブタジエンの既知の単位質量当たりの融解熱量から、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%)を算出することができる。
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムにおいて、1,4−ポリブタジエンは、後述するビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法の第2工程において、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合することによって得られる。ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、20〜60が好ましく、25〜45がより好ましい。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20より小さいと低ロス性が低下し、60より大きいと加工性が低下する。
また、ポリブタジエンのシス−1,4構造含有率は90%以上であることが好ましく、特に95%以上であることが好ましい。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2.00〜5.00が好ましく、2.20〜3.50がより好ましい。
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法は、1,3−ブタジエンと、炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒との混合物を調製する第1工程と、第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第2工程と、第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第3工程と、を備え、第3工程において、得られる1,2−ポリブタジエンの融点を低下させる融点降下剤を添加することを特徴とする。
本発明に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法において使用する炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン及びペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン及びシクロペンタン等の脂環族炭化水素、上記のオレフィン化合物及びシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ及びケロシン等の炭化水素系溶媒、並びに塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。また、1,3−ブタジエンモノマーそのものを重合溶媒として用いてもよい。
次に、第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する。すなわち、先ず、第1工程で調製された混合物に水を添加して、水分の濃度を調整する。水分の濃度は、シス−1,4重合で用いる有機アルミニウム化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜1.4モル、特に好ましくは0.2〜1.2モルの範囲である。この範囲外では触媒活性が低下したり、シス−1,4構造含有率が低下したり、分子量が異常に低く又は高くなったりするため好ましくない。また、上記の範囲外では、重合時のゲルの発生を抑制することができず、このため重合槽などへのゲルの付着が起り、さらに連続重合時間を延ばすことができないので好ましくない。水分の濃度を調整する方法は、公知の方法が適用できる。多孔質濾過材を通して添加・分散させる方法(特開平4−85304号公報)も有効である。
次に、第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する。その際に、得られたシス−1,4重合物に、1,3−ブタジエンを添加しても添加しなくてもよい。また、この1,2重合する方法は、特に限定されないが、1,2重合する際に、一般式AlR3(但し、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基である)により表される有機アルミニウム化合物及び二硫化炭素を添加して1,3−ブタジエンを1,2重合することが好ましく、必要に応じて可溶性コバルト化合物をさらに添加してもよい。またさらに、1,2重合する際に、重合系に水を添加してもよい。
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンゴムは、例えば、タイヤにおけるキャップトレッド、ベーストレッド、サイド補強ゴム、カーカス、ベルト、チェーファー、ビード、スティフナー、インナーライナー等のタイヤ部材や、防振ゴム、ホース、ベルト、ゴムロール、ゴムクーラー、靴底ゴムなどの工業製品、その他のコンポジット、接着剤、プラスチックの改質剤などにも用いることができる。特に、タイヤ用のゴム組成物として用いた場合、従来よりも優れた操縦安定性や低ロス性を有する。
1.1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度
ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度は、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)によって測定された1,2−ポリブタジエン結晶部の融解熱量から算出した。具体的には、まず、ビニル・シス−ポリブタジエンゴム約10mgを昇温速度10℃/minで昇温し、1,2−ポリブタジエンの融解に由来する吸熱ピークから融解熱量を算出した。次いで、1,2−ポリブタジエンの既知の単位質量当たりの融解熱量から、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%)を算出した。
ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの非晶部の濃度は、1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度と1,4−ポリブタジエンの濃度から、下記式(1)によって算出した。
(1,2−ポリブタジエンの非晶部の濃度(質量%))=100−(非晶化処理後の1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%))−(1,4−ポリブタジエンの濃度(質量%))・・・式(1)
なお、1,4−ポリブタジエンの濃度(質量%)は、下記式(2)によって算出した。
(1,4−ポリブタジエンの濃度(質量%))=100−(非晶化処理前の1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度(質量%))
ここで、「非晶化処理後」とは、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに含まれる1,2−ポリブタジエンの結晶部の濃度を調整するために行われる1,2−ポリブタジエンの結晶部の一部の非晶化処理の後のことをいい、「非晶化処理前」とは、その非晶化処理の前のことをいう。
1,2−ポリブタジエンの融点は、試料約10mg、昇温速度10℃/minとした場合の値を示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した。1,2−ポリブタジエン由来の吸熱ピークのピークトップの温度を融点とした。なお、1,2−ポリブタジエン由来の吸熱ピークが複数存在するときは、ピーク分離を行って、最大面積のピークのピークトップの温度を融点とした。
ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、GPC(島津製作所製)法により行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
JIS−K6300−1に従い、島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分間予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)を求めた。
1.低ロス性(tanδ)
得られたゴム組成物を160℃で20分加硫後、粘弾性測定装置ARES(TA Instruments社製)を用い、温度50℃、動歪0.1%、周波数15Hzで測定した。そして、比較例2のtanδを100とし、比較例1と組成物1〜4のそれぞれの逆数について指数を算出した。指数が大きいほど、tanδが小さく、低ロス性に優れることを示す。
また、参考例として、ゴム組成物を150℃で25分加硫後、粘弾性測定装置EPLEXOR(GABO社製)を用い、温度50℃、動歪0.2%、周波数16Hzで測定した。そして、参考例1のtanδを100とし、参考例2の逆数について指数を算出した。指数が大きいほど、tanδが小さく、低ロス性に優れることを示す。
得られたゴム組成物を160℃で20分加硫後、粘弾性測定装置ARES(TA Instruments社製)を用いた動的粘弾性試験において、温度30℃、動歪0.1%、周波数15Hzで貯蔵弾性率G’を測定した。そして、比較例2のG’を100とし、比較例1と実施例1〜4のそれぞれについて指数を算出した。指数が大きいほど、G’が大きく、操縦安定性に優れることを示す。
また、参考例として、ゴム組成物を150℃で25分加硫後、粘弾性測定装置EPLEXOR(GABO社製)を用い、温度50℃、動歪0.2%、周波数16Hzで測定した。そして、参考例1の貯蔵弾性率E’を100とし、参考例2について指数を算出した。指数が大きいほど、E’が大きく、操縦安定性に優れることを示す。
低ロス性指数と操縦安定性指数を足して、2で割った値を、低ロス性と操縦安定性のバランス指数とした。指数が大きいほど、低ロス性と操縦安定性のバランスに優れることを示す。
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、シクロヘキサン(450mL)を投入しオートクレーブを密閉し、次いで1,3−ブタジエン(450mL)を圧送することで、原料溶液(FB)900mlを作製した。原料溶液に、2.47mmol/Lの濃度となるように、水(H2O)をシリンジを用いて添加し、その後、オートクレーブを30℃まで昇温し、30分・500rpmで攪拌した。オートクレーブを25℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライド及びトリエチルアルミニウム(モル比3:1)を3.0mmol/Lの濃度となるように、シリンジを用いて添加し、5分攪拌した。次いで、1,5−シクロオクタジエン(COD)を28.5mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃まで昇温させた。コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を6.18μmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で12分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(TEA)を3.91mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し2分間保持、次いで、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を0.800mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、更に2分間保持し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を0.98mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加した。最後に、二硫化炭素(CS2)を1.17mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で25分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。得られた重合反応混合物にトリスノニルフェニルフォスファイトを添加し、シンジオタクチック−1,2重合を停止させた。その後、オートクレーブを冷却・脱圧し、重合反応混合物を得た。次に、重合反応物を80℃の水に投入し、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを析出させた。析出したビニル・シス−ポリブタジエンゴムを回収し、水と共にステンレス製オートクレーブに入れ、密閉し、130℃で10分保持した。冷却後、ステンレス製オートクレーブからビニル・シス−ポリブタジエンゴムを取り出し、100℃で1時間乾燥した。実施例1に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示す。また、実施例1のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は404,000であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、38.6であった。
44.5質量%の1,3−ブタジエンと二硫化炭素248質量ppmを含むシクロヘキサン溶液10L/hと水0.41ml/hを60℃の温度にて混合し、この混合液を30℃に保持された5.0Lの撹拌機付ステンレス製熟成槽に供給した。併せて、10質量%のジエチルアルミニウムクロライドのシクロヘキサン溶液と10質量%のトリエチルアルミニウムのシクロヘキサン溶液の混合液(Alモル比3:1)を57ml/hで、同じ熟成槽に供給した。得られた熟成液を、35℃に保持された5.3Lの撹拌機付ステンレス製シス重合槽に供給した。この重合槽には、COD34ml/hと0.03質量%のコバルトオクトエート(Co(Oct)2)のシクロヘキサン−トルエン溶液も供給してシス−1,4重合を行った。得られたシス−1,4重合液を、5.3Lのリボン型撹拌機付ステンレス製1,2−ポリブタジエン重合槽に供給し、35℃でシンジオタクチック−1,2重合を行った。この重合槽には、10質量%のトリエチルアルミニウムのシクロヘキサン溶液80ml/hと7.5質量%のコバルトオクトエート(Co(Oct)2)のシクロヘキサン−トルエン溶液36ml/hと5質量%のDMSOのトルエン溶液36ml/hと、1.0質量%の1,3−ブタジエンを含むシクロヘキサン溶液1L/hも同時に供給した。得られたシンジオタクチック−1,2重合液を1.0Lの撹拌機付ステンレス製混合槽に供給し、水100ml/hと、4,6−ビス(オクチルチオエチル)−o−クレゾールとトリスノニルフェニルフォスファイトをそれぞれビニル・シス−ポリブタジエンゴム100質量部に対して1質量%加え、重合を停止した後、130℃に保持された熱水中に投入し、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを析出させた。この析出物を100℃で1時間乾燥した。実施例2に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示す。また、実施例2のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は411,000であった。
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、シクロヘキサン(450mL)を投入しオートクレーブを密閉し、次いで1,3−ブタジエン(450mL)を圧送することで、原料溶液(FB)900mlを作製した。原料溶液に、1.85mmol/Lの濃度となるように、水(H2O)をシリンジを用いて添加し、その後、オートクレーブを60℃まで昇温し、30分・500rpmで攪拌した。オートクレーブを25℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライド及びトリエチルアルミニウム(モル比3:1)を3.0mmol/Lの濃度となるように、シリンジを用いて添加し、5分攪拌した。次いで、1,5−シクロオクタジエン(COD)を21.7mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃まで昇温させた。コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を5.02μmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で12分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(TEA)を3.91mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し2分間保持、次いで、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を0.756mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、更に2分間保持し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を0.94mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加した。最後に、二硫化炭素(CS2)を1.17mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、35℃で25分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。得られた重合反応混合物にトリスノニルフェニルフォスファイトを添加し、シンジオタクチック−1,2重合を停止させた。その後、オートクレーブを冷却・脱圧し、重合反応混合物をバットに取り出した。100℃に温めた真空乾燥機にバットごと投入し、未反応のブタジエン及び溶剤を除去することで、実施例3に係るビニル・シス−ポリブタジエンゴムを得た。実施例3に係るビニル・シスーポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示した。また、実施例3のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は404,000であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、38.6であった。
シス−1,4重合において、水の濃度を1.60mmol/Lに、1,5−シクロオクタジエン(COD)濃度を16.3mmol/Lに、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)濃度を1.54μmol/Lに、そしてシンジオタクチック−1,2重合において、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)濃度を0.800mmol/Lに、それぞれ変えた以外、実施例3と同様にビニル・シス−ポリブタジエンゴムを製造した。実施例4に係るビニル・シスーポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示した。また、実施例4のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は484,000であった。
ヘリカル羽を備えチッソ置換を終えた1.5Lステンレス製オートクレーブに、シクロヘキサン(360mL)を投入しオートクレーブを密閉し、次いで1,3−ブタジエン(240mL)を圧送することで、原料溶液(FB)600mlを作製した。原料溶液に、1.76mmol/Lの濃度となるように、水(H2O)をシリンジを用いて添加し、その後、オートクレーブを60℃まで昇温し、30分・500rpmで攪拌した。オートクレーブを25℃まで冷却した後、ジエチルアルミニウムクロライド及びトリエチルアルミニウム(モル比3:1)を3.6mmol/Lの濃度となるように、シリンジを用いて添加し、5分攪拌した。次いで、1,5−シクロオクタジエン(COD)を18.3mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、45℃まで昇温させた。コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を12.5μmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、45℃で20分シス−1,4重合を実施した。得られた重合反応混合物に、トリエチルアルミニウム(TEA)を5.40mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し2分間保持、次いで、コバルトオクトエート(Co(Oct)2)を0.150mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、更に2分間保持し、ジメチルスルホキシド(DMSO)を5.40mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加した。最後に、二硫化炭素(CS2)を0.54mmol/Lの濃度となるようにシリンジを用いて添加し、45℃で20分シンジオタクチック−1,2重合を実施した。得られた重合反応混合物に1,4−ナフトキノンを添加し、シンジオタクチック−1,2重合を停止させた。その後、オートクレーブを冷却・脱圧し、重合反応混合物をバットに取り出した。100℃に温めた真空乾燥機にバットごと投入し、未反応のブタジエン及び溶剤を除去することで、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを得た。参考例に係るビニル・シスーポリブタジエンゴムの組成と1,2−ポリブタジエンの融点を表1に示した。また、比較例1のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は490,000であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、41.7であった。
Claims (9)
- 融点が150〜195℃である1,2−ポリブタジエンを35〜99質量%含有することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
- 1,2−ポリブタジエンのピークトップ分子量(Mp)が1,000〜300,000であることを特徴とする請求項1に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
- ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの1,4−ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が20〜60であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
- ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの1,4−ポリブタジエンの重量平均分子量が、200,000〜800,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
- ビニル・シス−ポリブタジエンゴムの1,4−ポリブタジエンの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.0〜5.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
- ビニル・シス−ポリブタジエンゴムが更に、1,2−ポリブタジエンの非晶部を含み、ビニル・シス−ポリブタジエンゴムに対する1,2−ポリブタジエンの非晶部の含有量が0〜30質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴム。
- 1,3−ブタジエンと、炭化水素を主成分とする不活性有機溶媒との混合物を調製する第1工程と、
第1工程で調整された混合物に(A)水、有機アルミニウム化合物及び可溶性コバルト化合物からなる触媒、又は(B)有機アルミニウム化合物、ニッケル化合物及びフッ素化合物からなる触媒を添加して、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合する第2工程と、 第2工程で得られた重合反応混合物中の1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合する第3工程と、を備えたビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法であって、
第3工程において、得られる1,2−ポリブタジエンの融点を低下させる融点降下剤を添加することを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法。 - 前記融点降下剤の添加量が、第3工程で添加する有機アルミニウム化合物に対してモル比で0.01〜10であることを特徴とする請求項7に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法。
- 前記融点降下剤が、ジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項7又は8に記載のビニル・シス−ポリブタジエンゴムの製造方法。
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