JP2004292679A - 防振ゴム組成物およびそれを用いた自動車用防振ゴム - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振ゴム組成物およびそれを用いた自動車用防振ゴムに関するものであり、詳しくは、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュやサスペンションブッシュ等の防振ゴム材料として使用される防振ゴム組成物、およびそれを用いた自動車用防振ゴムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュやサスペンションブッシュ等の防振ゴム材料としては、天然ゴム等のゴム材に、カーボンブラックや硫黄等の各種添加剤を配合したものが用いられている。このような防振ゴム材料に用いられるカーボンブラックとして小粒径のカーボンブラックを用いることにより、静的ばね定数の振幅依存性を大きくし、車両の操縦安定性の向上を図ることができる。しかしながら、このように小粒径のカーボンブラックを用いると、動倍率が上がるため、車両の乗り心地性が悪化するという問題がある。この問題を解決するため、ゴム100重量部に対して酸化亜鉛8〜30重量部と、平均粒子径40nm以下(好ましくは、平均粒子径30nm以下)のカーボンブラックを配合したゴム組成物からなる自動車用ゴムブッシュが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−97307号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、平均粒子径30nm以下の小粒径のカーボンブラックを使用しているため、前述したように、動倍率が高くなり、車両の乗り心地性が悪化するという問題を充分に解消するまでには至っていない。そこで、上記特許文献1では、酸化亜鉛の配合量を8〜30重量部に増量することにより、車両の乗り心地性の悪化を解消しようとしている。しかし、酸化亜鉛の配合量を増量すると、酸化亜鉛の比重は5.5と高いため、製品の重量増加につながるという難点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、製品の重量を増加させることなく、操縦安定性と、乗り心地性に優れた防振ゴムをつくり得る防振ゴム組成物およびそれを用いた自動車用防振ゴムの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)および(B)を必須成分とする防振ゴム組成物を第1の要旨とし、また上記防振ゴム組成物を用いてなる自動車用防振ゴムを第2の要旨とする。
(A)ジエン系ゴム。
(B)下記の式(1)の関係を満たすカーボンブラック。
【0007】
【数4】
【0008】
すなわち、この発明者は、製品の重量を増加させることなく、操縦安定性と、乗り心地性に優れた自動車用防振ゴムを得るべく、防振ゴム組成物を中心に研究を重ねた。そして、酸化亜鉛の増量による、車両の乗り心地性の改善ではなく、酸化亜鉛を増量することなく、乗り心地性の改善を図る方法について、鋭意研究を重ねたところ、カーボンブラック粒子とカーボンブラック粒子との間のカーボン間距離(S)に着目し、カーボン間距離(S)を小さくすることにより、カーボンブラック粒子同士の相互作用を高めると、振幅依存性が大きくなり、車両の操縦安定性が向上することを突き止めた。そして、平均粒子径30nm以下の小粒径の汎用カーボンブラック粒子を用いると、カーボン間距離(S)が縮まって振幅依存性が大きくなるが、ゴム中に存在するカーボンブラックのストラクチャーの大きさが小さくなり、ゴムとカーボンブラック粒子との接触面積が大きくなる結果、カーボンブラック粒子間の摩擦の増大により、動倍率が高くなり防振性能が低くなるという知見を得た。そこで、小粒径のカーボンブラック粒子を用いる以外の方法により、カーボン間距離(S)を小さくする方法について研究を続けた結果、カーボンブラックの粒度分布半値幅(ΔDst)と、圧縮DBP吸油量(CDBP)とが、カーボン間距離(S)に影響を与えることを突き止めた。すなわち、ΔDstを小さくし、かつCDBPを大きくすると、カーボン間距離(S)を小さくできることを突き止め、カーボンブラックの粒度分布半値幅(ΔDst)と、圧縮DBP吸油量(CDBP)とが、前記式(1)の関係を満たす特定のカーボンブラックを用いると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)と、特定のカーボンブラック(B成分)とを用いて得ることができる。
【0011】
上記ジエン系ゴム(A成分)としては、特に限定はなく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0012】
上記ジエン系ゴム(A成分)とともに用いられる特定のカーボンブラック(B成分)としては、下記の式(1)の関係を満たすものであれば特に限定はない。すなわち、ΔDstとCDBPとが、下記の式(1)の関係を満たすカーボンブラックを用いると、カーボン間距離(S)が小さくなり、車両の操縦安定性と、乗り心地性の両立を図ることができるようになる。
【0013】
【数5】
【0014】
そして、上記特定のカーボンブラック(B成分)としては、下記の式(2)の関係を満たすものが好ましい。
【0015】
【数6】
【0016】
なお、上記ΔDstはカーボンブラックの粒度分布半値幅であり、Dstはカーボンブラックのストークス径である。このDstは、特開2001−40239号に記載されているように、ディスクセントリフュージ(DCF)法により測定されるカーボンブラックアグリゲートのストークス径の重量分布曲線における最高重量分率のストークス相当径を示す。
【0017】
また、上記CDBPは圧縮DBP吸油量であり、このCDBPは、ASTM D3493−85aに準じて測定することができる。
【0018】
また、上記特定のカーボンブラック(B成分)は、下記の式(3)および式(4)の関係を満たすものが好ましい。
【0019】
【数7】
【0020】
【数8】
【0021】
上記特定のカーボンブラック(B成分)は、カーボン間距離(S)が45nmより小さく、かつ、28nmより大きいものが好ましく、特に好ましくは40nm以下で、かつ、28nmより大きいものが好ましい。すなわち、カーボン間距離(S)が45nm以上であると、操縦安定性に劣る傾向がみられ、逆に28nm以下であると、動倍率が高くなり、車両の乗り心地性が悪化する傾向がみられるからである。
【0022】
なお、本発明の防振ゴム組成物には、上記A成分およびB成分以外に、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、軟化剤等を必要に応じて適宜に配合することも可能である。
【0023】
上記加硫剤としては、硫黄が好適に用いられる。この硫黄の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.3〜10部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5部の範囲内である。
【0024】
上記加硫促進剤としては、特に限定はなく、例えば、チアゾール系促進剤、チウラム系促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS),ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS),2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT),テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)等のスルフェンアミド系促進剤等があげられる。
【0025】
この加硫促進剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.1〜3部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲内である。
【0026】
また、加硫助剤としては、特に限定はなく、例えば、亜鉛華(ZnO)、酸化マグネシウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0027】
上記ZnOの配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、5部以下が好ましい。このような範囲内であれば、通常の範囲内であり、ZnOの増量に伴う製品の重量増大という問題もない。
【0028】
また、老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ワックス類等があげられる。
【0029】
この老化防止剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、1〜7部の範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜5部の範囲内である。
【0030】
また、加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、炭化水素系樹脂等があげられる。
【0031】
この加工助剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、1〜5部の範囲内が好ましく、特に好ましくは1〜3部の範囲内である。
【0032】
本発明の防振ゴム組成物は、例えば、上記ジエン系ゴム(A成分)および特定のカーボンブラック(B成分)に、加硫剤、加硫促進剤等の添加剤を必要に応じて配合し、これらをロール、バンバリーミキサー等を用いて混練することにより調製することができる。
【0033】
このようにして得られる本発明の防振ゴム組成物の用途としては、特に限定はないが、自動車等の車両等における防振ゴム材料として好適に用いられる。
【0034】
本発明の防振ゴム組成物を用いてなる自動車用防振ゴムは、例えば、前述のようにして調製した防振ゴム組成物を、所定の条件でプレス加硫して、所定形状に成形することにより作製することができる。
【0035】
このようにして得られる本発明の自動車用防振ゴムの用途は、特に限定はないが、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振ゴム部材用の防振ゴムとして好適に用いられる。
【0036】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0037】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
【0038】
〔加硫助剤〕
亜鉛華(ZnO)
【0039】
〔加工助剤〕
ステアリン酸
【0040】
〔老化防止剤〕
N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製、ノクラック6C)
【0041】
〔カーボンブラック▲1▼〕
東海カーボン社製、シースト116HM(平均粒径:38nm)
【0042】
〔カーボンブラック▲2▼〕
昭和キャボット社製、ショウブラックN330(平均粒径:30nm)
【0043】
〔カーボンブラック▲3▼〕
東海カーボン社製、シーストSO(平均粒径:43nm)
【0044】
〔加硫促進剤(CBS)〕
大内新興化学工業社製、ノクセラーCZ
【0045】
つぎに、これらの材料を用い、つぎのようにして防振ゴム組成物を調製した。
【0046】
【実施例1〜3、比較例1,2】
後記の表1に示す各成分を、同表に示す割合で配合し、これらをバンバリーミキサーを用いて混練し、防振ゴム組成物を調製した。
【0047】
このようにして得られた実施例品および比較例品の防振ゴム組成物を用い、150℃×30分の条件でプレス成形し、直径50mmで厚み25mmの防振ゴム(テストピース)を作製した。そして、この防振ゴムを用いて、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1に併せて示した。なお、用いたカーボンブラックについて、CDBP(圧縮DBP吸油量)、粒度分布半値幅(ΔDst)、ストークス径(Dst)、およびカーボン間距離(S)を併記した。
【0048】
〔大振幅域での静的バネ定数(Ks2.5)〕
JIS K 6385に準拠して、静的特性試験の両方向負荷方式において、テストピースの軸方向に変位速度0.02mm/分で−2.5mm〜+2.5mmの範囲のたわみを3回負荷し、3回目の負荷過程での荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の試験方法により、たわみの範囲=±1.25mmで算出した。
【0049】
〔微振幅域での静的バネ定数(Ks0.2)〕
JIS K 6385に準拠して、静的特性試験の両方向負荷方式において、テストピースの軸方向に変位速度0.02mm/分で−0.2mm〜+0.2mmの範囲のたわみを3回負荷し、3回目の負荷過程での荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の試験方法により、たわみの範囲=±0.1mmで算出した。
【0050】
〔動的バネ定数Kd100〕
JIS K 6385に準拠して、動的性質測定試験の非共振方法において、テストピースの軸方向に振動数100Hz、振幅±0.05mmでたわみを加えて荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の試験方法により算出した。
【0051】
【表1】
【0052】
上記結果から、実施例品は、いずれも静的バネ定数の振幅依存性(Ks0.2/Ks2.5)が1.5を超えていることから、操縦安定性に優れるとともに、動倍率(Kd100/Ks2.5)も目標値(2.21)に近いことから、乗り心地性に優れている。なお、実施例品における酸化亜鉛の配合量は、通常の範囲内であるため、酸化亜鉛の増量による製品の重量増加というような問題もない。
【0053】
これに対して、比較例1品は、操縦安定性に優れているが、動倍率が目標値(2.21)よりもかなり高く、乗り心地性に劣る。また、比較例2品は、乗り心地性に優れているが、静的バネ定数の振幅依存性(Ks0.2/Ks2.5)が1.5よりも小さいため、操縦安定性に劣る。これらは、比較例品に用いたカーボンブラックが、前記式(1)の関係を満たしていないことに起因するものと推察できる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)および特定のカーボンブラック(B成分)を必須成分とするものである。本発明においては、上記特定のカーボンブラック(B成分)が、前記特定の式(1)の関係を満たすものであるため、自動車用等の車両における操縦安定性および乗り心地性が向上する。また、本発明の防振ゴム組成物は、従来のように、酸化亜鉛の配合量を増量する必要がないので、製品の重量増加という問題もない。
【0055】
また、上記特定のカーボンブラック(B成分)として、前記式(3)および式(4)の関係を満たすものを用いると、操縦安定性と、乗り心地性とのバランスがさらに良好となる。
【0056】
そして、本発明の防振ゴム組成物を用いてなる自動車用防振ゴムは、操縦安定性および乗り心地性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振ゴム組成物およびそれを用いた自動車用防振ゴムに関するものであり、詳しくは、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュやサスペンションブッシュ等の防振ゴム材料として使用される防振ゴム組成物、およびそれを用いた自動車用防振ゴムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュやサスペンションブッシュ等の防振ゴム材料としては、天然ゴム等のゴム材に、カーボンブラックや硫黄等の各種添加剤を配合したものが用いられている。このような防振ゴム材料に用いられるカーボンブラックとして小粒径のカーボンブラックを用いることにより、静的ばね定数の振幅依存性を大きくし、車両の操縦安定性の向上を図ることができる。しかしながら、このように小粒径のカーボンブラックを用いると、動倍率が上がるため、車両の乗り心地性が悪化するという問題がある。この問題を解決するため、ゴム100重量部に対して酸化亜鉛8〜30重量部と、平均粒子径40nm以下(好ましくは、平均粒子径30nm以下)のカーボンブラックを配合したゴム組成物からなる自動車用ゴムブッシュが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−97307号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、平均粒子径30nm以下の小粒径のカーボンブラックを使用しているため、前述したように、動倍率が高くなり、車両の乗り心地性が悪化するという問題を充分に解消するまでには至っていない。そこで、上記特許文献1では、酸化亜鉛の配合量を8〜30重量部に増量することにより、車両の乗り心地性の悪化を解消しようとしている。しかし、酸化亜鉛の配合量を増量すると、酸化亜鉛の比重は5.5と高いため、製品の重量増加につながるという難点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、製品の重量を増加させることなく、操縦安定性と、乗り心地性に優れた防振ゴムをつくり得る防振ゴム組成物およびそれを用いた自動車用防振ゴムの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)および(B)を必須成分とする防振ゴム組成物を第1の要旨とし、また上記防振ゴム組成物を用いてなる自動車用防振ゴムを第2の要旨とする。
(A)ジエン系ゴム。
(B)下記の式(1)の関係を満たすカーボンブラック。
【0007】
【数4】
【0008】
すなわち、この発明者は、製品の重量を増加させることなく、操縦安定性と、乗り心地性に優れた自動車用防振ゴムを得るべく、防振ゴム組成物を中心に研究を重ねた。そして、酸化亜鉛の増量による、車両の乗り心地性の改善ではなく、酸化亜鉛を増量することなく、乗り心地性の改善を図る方法について、鋭意研究を重ねたところ、カーボンブラック粒子とカーボンブラック粒子との間のカーボン間距離(S)に着目し、カーボン間距離(S)を小さくすることにより、カーボンブラック粒子同士の相互作用を高めると、振幅依存性が大きくなり、車両の操縦安定性が向上することを突き止めた。そして、平均粒子径30nm以下の小粒径の汎用カーボンブラック粒子を用いると、カーボン間距離(S)が縮まって振幅依存性が大きくなるが、ゴム中に存在するカーボンブラックのストラクチャーの大きさが小さくなり、ゴムとカーボンブラック粒子との接触面積が大きくなる結果、カーボンブラック粒子間の摩擦の増大により、動倍率が高くなり防振性能が低くなるという知見を得た。そこで、小粒径のカーボンブラック粒子を用いる以外の方法により、カーボン間距離(S)を小さくする方法について研究を続けた結果、カーボンブラックの粒度分布半値幅(ΔDst)と、圧縮DBP吸油量(CDBP)とが、カーボン間距離(S)に影響を与えることを突き止めた。すなわち、ΔDstを小さくし、かつCDBPを大きくすると、カーボン間距離(S)を小さくできることを突き止め、カーボンブラックの粒度分布半値幅(ΔDst)と、圧縮DBP吸油量(CDBP)とが、前記式(1)の関係を満たす特定のカーボンブラックを用いると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)と、特定のカーボンブラック(B成分)とを用いて得ることができる。
【0011】
上記ジエン系ゴム(A成分)としては、特に限定はなく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0012】
上記ジエン系ゴム(A成分)とともに用いられる特定のカーボンブラック(B成分)としては、下記の式(1)の関係を満たすものであれば特に限定はない。すなわち、ΔDstとCDBPとが、下記の式(1)の関係を満たすカーボンブラックを用いると、カーボン間距離(S)が小さくなり、車両の操縦安定性と、乗り心地性の両立を図ることができるようになる。
【0013】
【数5】
【0014】
そして、上記特定のカーボンブラック(B成分)としては、下記の式(2)の関係を満たすものが好ましい。
【0015】
【数6】
【0016】
なお、上記ΔDstはカーボンブラックの粒度分布半値幅であり、Dstはカーボンブラックのストークス径である。このDstは、特開2001−40239号に記載されているように、ディスクセントリフュージ(DCF)法により測定されるカーボンブラックアグリゲートのストークス径の重量分布曲線における最高重量分率のストークス相当径を示す。
【0017】
また、上記CDBPは圧縮DBP吸油量であり、このCDBPは、ASTM D3493−85aに準じて測定することができる。
【0018】
また、上記特定のカーボンブラック(B成分)は、下記の式(3)および式(4)の関係を満たすものが好ましい。
【0019】
【数7】
【0020】
【数8】
【0021】
上記特定のカーボンブラック(B成分)は、カーボン間距離(S)が45nmより小さく、かつ、28nmより大きいものが好ましく、特に好ましくは40nm以下で、かつ、28nmより大きいものが好ましい。すなわち、カーボン間距離(S)が45nm以上であると、操縦安定性に劣る傾向がみられ、逆に28nm以下であると、動倍率が高くなり、車両の乗り心地性が悪化する傾向がみられるからである。
【0022】
なお、本発明の防振ゴム組成物には、上記A成分およびB成分以外に、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、軟化剤等を必要に応じて適宜に配合することも可能である。
【0023】
上記加硫剤としては、硫黄が好適に用いられる。この硫黄の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.3〜10部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5部の範囲内である。
【0024】
上記加硫促進剤としては、特に限定はなく、例えば、チアゾール系促進剤、チウラム系促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS),ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS),2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT),テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)等のスルフェンアミド系促進剤等があげられる。
【0025】
この加硫促進剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.1〜3部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲内である。
【0026】
また、加硫助剤としては、特に限定はなく、例えば、亜鉛華(ZnO)、酸化マグネシウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0027】
上記ZnOの配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、5部以下が好ましい。このような範囲内であれば、通常の範囲内であり、ZnOの増量に伴う製品の重量増大という問題もない。
【0028】
また、老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ワックス類等があげられる。
【0029】
この老化防止剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、1〜7部の範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜5部の範囲内である。
【0030】
また、加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、炭化水素系樹脂等があげられる。
【0031】
この加工助剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、1〜5部の範囲内が好ましく、特に好ましくは1〜3部の範囲内である。
【0032】
本発明の防振ゴム組成物は、例えば、上記ジエン系ゴム(A成分)および特定のカーボンブラック(B成分)に、加硫剤、加硫促進剤等の添加剤を必要に応じて配合し、これらをロール、バンバリーミキサー等を用いて混練することにより調製することができる。
【0033】
このようにして得られる本発明の防振ゴム組成物の用途としては、特に限定はないが、自動車等の車両等における防振ゴム材料として好適に用いられる。
【0034】
本発明の防振ゴム組成物を用いてなる自動車用防振ゴムは、例えば、前述のようにして調製した防振ゴム組成物を、所定の条件でプレス加硫して、所定形状に成形することにより作製することができる。
【0035】
このようにして得られる本発明の自動車用防振ゴムの用途は、特に限定はないが、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振ゴム部材用の防振ゴムとして好適に用いられる。
【0036】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0037】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
【0038】
〔加硫助剤〕
亜鉛華(ZnO)
【0039】
〔加工助剤〕
ステアリン酸
【0040】
〔老化防止剤〕
N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製、ノクラック6C)
【0041】
〔カーボンブラック▲1▼〕
東海カーボン社製、シースト116HM(平均粒径:38nm)
【0042】
〔カーボンブラック▲2▼〕
昭和キャボット社製、ショウブラックN330(平均粒径:30nm)
【0043】
〔カーボンブラック▲3▼〕
東海カーボン社製、シーストSO(平均粒径:43nm)
【0044】
〔加硫促進剤(CBS)〕
大内新興化学工業社製、ノクセラーCZ
【0045】
つぎに、これらの材料を用い、つぎのようにして防振ゴム組成物を調製した。
【0046】
【実施例1〜3、比較例1,2】
後記の表1に示す各成分を、同表に示す割合で配合し、これらをバンバリーミキサーを用いて混練し、防振ゴム組成物を調製した。
【0047】
このようにして得られた実施例品および比較例品の防振ゴム組成物を用い、150℃×30分の条件でプレス成形し、直径50mmで厚み25mmの防振ゴム(テストピース)を作製した。そして、この防振ゴムを用いて、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1に併せて示した。なお、用いたカーボンブラックについて、CDBP(圧縮DBP吸油量)、粒度分布半値幅(ΔDst)、ストークス径(Dst)、およびカーボン間距離(S)を併記した。
【0048】
〔大振幅域での静的バネ定数(Ks2.5)〕
JIS K 6385に準拠して、静的特性試験の両方向負荷方式において、テストピースの軸方向に変位速度0.02mm/分で−2.5mm〜+2.5mmの範囲のたわみを3回負荷し、3回目の負荷過程での荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の試験方法により、たわみの範囲=±1.25mmで算出した。
【0049】
〔微振幅域での静的バネ定数(Ks0.2)〕
JIS K 6385に準拠して、静的特性試験の両方向負荷方式において、テストピースの軸方向に変位速度0.02mm/分で−0.2mm〜+0.2mmの範囲のたわみを3回負荷し、3回目の負荷過程での荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の試験方法により、たわみの範囲=±0.1mmで算出した。
【0050】
〔動的バネ定数Kd100〕
JIS K 6385に準拠して、動的性質測定試験の非共振方法において、テストピースの軸方向に振動数100Hz、振幅±0.05mmでたわみを加えて荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の試験方法により算出した。
【0051】
【表1】
【0052】
上記結果から、実施例品は、いずれも静的バネ定数の振幅依存性(Ks0.2/Ks2.5)が1.5を超えていることから、操縦安定性に優れるとともに、動倍率(Kd100/Ks2.5)も目標値(2.21)に近いことから、乗り心地性に優れている。なお、実施例品における酸化亜鉛の配合量は、通常の範囲内であるため、酸化亜鉛の増量による製品の重量増加というような問題もない。
【0053】
これに対して、比較例1品は、操縦安定性に優れているが、動倍率が目標値(2.21)よりもかなり高く、乗り心地性に劣る。また、比較例2品は、乗り心地性に優れているが、静的バネ定数の振幅依存性(Ks0.2/Ks2.5)が1.5よりも小さいため、操縦安定性に劣る。これらは、比較例品に用いたカーボンブラックが、前記式(1)の関係を満たしていないことに起因するものと推察できる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)および特定のカーボンブラック(B成分)を必須成分とするものである。本発明においては、上記特定のカーボンブラック(B成分)が、前記特定の式(1)の関係を満たすものであるため、自動車用等の車両における操縦安定性および乗り心地性が向上する。また、本発明の防振ゴム組成物は、従来のように、酸化亜鉛の配合量を増量する必要がないので、製品の重量増加という問題もない。
【0055】
また、上記特定のカーボンブラック(B成分)として、前記式(3)および式(4)の関係を満たすものを用いると、操縦安定性と、乗り心地性とのバランスがさらに良好となる。
【0056】
そして、本発明の防振ゴム組成物を用いてなる自動車用防振ゴムは、操縦安定性および乗り心地性に優れている。
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