JP2007112836A - エラストマー組成物およびそれを用いたゴムローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】加硫ゴム特有のゴム弾性と樹脂特有の耐候性および加工性とを併せ有し、さらに耐摩耗性に優れたエラストマー組成物を提供することを課題としている。
【解決手段】ジエン系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴムの少なくとも1種を含むゴム成分100質量部に対し、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物を2〜150質量部、軟化剤を50〜250質量部、および架橋剤として有機過酸化物を0.2〜3.0質量部と樹脂架橋剤を2〜20質量部含み、ゴム成分が動的架橋により熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物中に分散されている。
【選択図】なし
【解決手段】ジエン系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴムの少なくとも1種を含むゴム成分100質量部に対し、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物を2〜150質量部、軟化剤を50〜250質量部、および架橋剤として有機過酸化物を0.2〜3.0質量部と樹脂架橋剤を2〜20質量部含み、ゴム成分が動的架橋により熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物中に分散されている。
【選択図】なし
Description
本発明は、エラストマー組成物および該エラストマー組成物を用いたゴムローラに関し、詳しくは、ゴム弾性、耐候性および加工性を併せ有するとともに耐摩耗性にも優れ、インクジェットプリンター、レーザープリンター、静電式複写機、ファクシミリ装置や自動預金支払機(ATM)等の画像形成装置の紙送り機構に使用されるゴムローラとして好適に用いられるエラストマー組成物に関するものである。
ゴム成分を動的架橋することで熱可塑性エラストマーおよび/または熱可塑性樹脂中に分散されている動的架橋熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムと類似した性能を示し、かつ成形加工性においては熱可塑性樹脂の設備を使用し、射出・押出・ブロー等のあらゆる加工方法への対応が可能で、成形後に加硫等の熱処理工程を必要とせず、リサイクルも可能で、環境への影響の低減およびトータルコストの低廉を容易にするという利点から、高機能フューエル・ベルト・チューブ、エアー・ブレーキ・ホース、自動車用ウェザーストリップ、画像形成装置の紙送りローラなど様々な用途に使用されている。
このような用途に応用されている動的架橋熱可塑性エラストマーに要求される性能の一つに耐摩耗性がある。特に画像形成装置の紙送りローラに応用する場合、紙との摩擦力を上げるため低硬度にするなどの手法がとられているが、低硬度にすることにより耐摩耗性が低下するという問題がある。
このような用途に応用されている動的架橋熱可塑性エラストマーに要求される性能の一つに耐摩耗性がある。特に画像形成装置の紙送りローラに応用する場合、紙との摩擦力を上げるため低硬度にするなどの手法がとられているが、低硬度にすることにより耐摩耗性が低下するという問題がある。
動的架橋熱可塑性エラストマーの耐摩耗性を改善するために種々の方法が、従来より提案されている。
例えば、特開平11−236465号公報(特許文献1)には、マトリックスとして水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂の混合物をゴムに対して特定量使用し、ゴムを樹脂加硫により動的加硫すると、紙送り用のゴムローラとしたときの耐摩耗性が良化できることが記載されている。
また、特開2003−321580号公報(特許文献2)には、相容化剤を配合することにより、互いに極性の異なるゴム成分と熱可塑性成分とを相容化させ効果的にアロイ化することができ、その結果、耐候性等に優れる非極性のゴムと耐摩耗性等に優れる極性の熱可塑性樹脂あるいは/および熱可塑性エラストマーとを組み合わせるなどして耐摩耗性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができることが記載されている。
特開2004−331781号公報(特許文献3)には、ジエン系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下「EPDMゴム」という)の少なくとも1つを含むゴム成分(A)、および水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂との混合組成物(B)に、一部二重結合を残したスチレン系熱可塑性エラストマー(C)を特定割合で配合することにより、エラストマー組成物の強度を上昇させ、ひいては耐摩耗性、特に空転時の耐摩耗性を向上させることができることが記載されている。
例えば、特開平11−236465号公報(特許文献1)には、マトリックスとして水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂の混合物をゴムに対して特定量使用し、ゴムを樹脂加硫により動的加硫すると、紙送り用のゴムローラとしたときの耐摩耗性が良化できることが記載されている。
また、特開2003−321580号公報(特許文献2)には、相容化剤を配合することにより、互いに極性の異なるゴム成分と熱可塑性成分とを相容化させ効果的にアロイ化することができ、その結果、耐候性等に優れる非極性のゴムと耐摩耗性等に優れる極性の熱可塑性樹脂あるいは/および熱可塑性エラストマーとを組み合わせるなどして耐摩耗性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができることが記載されている。
特開2004−331781号公報(特許文献3)には、ジエン系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下「EPDMゴム」という)の少なくとも1つを含むゴム成分(A)、および水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとオレフィン系樹脂との混合組成物(B)に、一部二重結合を残したスチレン系熱可塑性エラストマー(C)を特定割合で配合することにより、エラストマー組成物の強度を上昇させ、ひいては耐摩耗性、特に空転時の耐摩耗性を向上させることができることが記載されている。
ここで、ゴム成分を動的架橋するためには架橋剤が必要であり、上述の発明において架橋剤に着目してみると、特許文献1では樹脂架橋剤を用いることが記載され(請求項1等)、特許文献2では樹脂架橋剤または過酸化物架橋剤を用いることが記載され(請求項1等)、特許文献3では樹脂架橋剤を用いることが記載されている(請求項2等)。
過酸化物架橋剤を用いた動的架橋ではゴムや樹脂の主鎖を切断して架橋するため、高い耐摩耗性能が要求される用途に用いるためにはさらなる改善の余地があった。また、過酸化物架橋剤を用いた動的架橋では、材料の混練り中に分散不良が生じて爆発的に反応し混練物を吐き出して加工不能となりやすいなどの加工上の問題点がある。
一方、樹脂架橋剤を用いた動的架橋では、ジエン系ゴムまたはEPDMゴムのような二重結合を持った分子は架橋されるが、二重結合を持たない水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー等はほとんど架橋されないため、耐摩耗性の向上には限界があった。
このように架橋剤に着目すると、耐摩耗性をさらに向上させる余地がある。
過酸化物架橋剤を用いた動的架橋ではゴムや樹脂の主鎖を切断して架橋するため、高い耐摩耗性能が要求される用途に用いるためにはさらなる改善の余地があった。また、過酸化物架橋剤を用いた動的架橋では、材料の混練り中に分散不良が生じて爆発的に反応し混練物を吐き出して加工不能となりやすいなどの加工上の問題点がある。
一方、樹脂架橋剤を用いた動的架橋では、ジエン系ゴムまたはEPDMゴムのような二重結合を持った分子は架橋されるが、二重結合を持たない水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー等はほとんど架橋されないため、耐摩耗性の向上には限界があった。
このように架橋剤に着目すると、耐摩耗性をさらに向上させる余地がある。
本発明は、加硫ゴム特有のゴム弾性と樹脂特有の耐候性および加工性とを併せ有し、さらに耐摩耗性に優れたエラストマー組成物、および当該エラストマー組成物から作製され、摩擦係数が高く、かつその摩擦係数を長期間維持できる耐久性に優れたゴムローラを提供することを課題としている。
本発明は上記課題を解決するため、ジエン系ゴムまたはEPDMゴムの少なくとも1種を含むゴム成分100質量部に対し、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物を2〜150質量部、軟化剤を50〜250質量部、および架橋剤として有機過酸化物を0.2〜3.0質量部と樹脂架橋剤を2〜20質量部含み、ゴム成分が動的架橋により熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物中に分散されていることを特徴とするエラストマー組成物を提供している。
本発明者は、ゴム成分を動的架橋することで熱可塑性エラストマーおよび/または熱可塑性樹脂中に分散されている動的架橋熱可塑性エラストマーにおいて架橋方法に関する研究を積み重ね、架橋剤として有機過酸化物と樹脂架橋剤を特定の配合量で併用することで、耐摩耗性を向上させることができることを知見した。
本発明のエラストマー組成物に含まれる有機過酸化物としては、ゴム成分を架橋できる化合物であれば特に限定されないが、例えばベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス[(tert−ブチル)パーオキシイソプロピル]ベンゼン、ジ(tert−ブチルパーオキシ)ベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジtert−ブチルパーオキシドまたは2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキセン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機過酸化物の配合量はゴム成分100質量部に対し0.2〜3.0質量部としている。これは、樹脂架橋剤の配合量が0.2質量部未満ではエラストマーおよび樹脂の架橋が不十分となるため耐摩耗性の改善効果が得られない一方、有機過酸化物の配合量が3.0質量部を越えると、分子切断による物性低下が起ってしまううえに、分散不良などが発生して加工も困難となることに因る。
有機過酸化物の配合量はゴム成分100質量部に対し下限は、より好ましくは0.5質量部以上、特に1.0質量部が好ましい。また、上限は2.5質量部以下が好ましく、特に、2.0質量部以下が好ましい。
有機過酸化物の配合量はゴム成分100質量部に対し下限は、より好ましくは0.5質量部以上、特に1.0質量部が好ましい。また、上限は2.5質量部以下が好ましく、特に、2.0質量部以下が好ましい。
上記有機過酸化物とともに共架橋剤を配合してもよい。共架橋剤とはそれ自身も架橋するとともにゴム分子とも反応して架橋し全体を高分子化する働きをするものである。この共架橋剤を用いて共架橋することにより架橋分子の分子量が増大し、耐摩耗性を向上させることができる。
上記共架橋剤としては、例えば多官能性モノマー、メタクリル酸あるいはアクリル酸の金属塩、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、複素環ビニル化合物、アリル化合物、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマー類、ジオキシム類等が挙げられる。
有機過酸化物とともに共架橋剤を配合する場合、当該共架橋剤の配合量は共架橋剤の種類または用いる他の成分との関係で適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して好ましくは5質量部以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以上15質量部以下とする。
上記共架橋剤としては、例えば多官能性モノマー、メタクリル酸あるいはアクリル酸の金属塩、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、複素環ビニル化合物、アリル化合物、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマー類、ジオキシム類等が挙げられる。
有機過酸化物とともに共架橋剤を配合する場合、当該共架橋剤の配合量は共架橋剤の種類または用いる他の成分との関係で適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して好ましくは5質量部以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以上15質量部以下とする。
本発明のエラストマー組成物に含まれる樹脂架橋剤は、加熱等によってゴムに架橋反応を起させる合成樹脂であり、例えば、フェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。なかでもフェノール樹脂を用いることが好ましい。
フェノール樹脂の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノールもしくはレゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドもしくはフルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂を用いることもできる。
特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。
さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。
さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
前記樹脂架橋剤の配合量はゴム成分100質量部に対して2〜20質量部としている。これは、樹脂架橋剤の配合量が2質量部未満ではゴム成分の架橋が不十分となるため耐摩耗性が劣ることとなる一方、樹脂架橋剤の配合量が20質量部を越えると、ゴムローラに成形したときに硬くなりすぎて紙との摩擦が低下するなどの問題が発生することによる。樹脂架橋剤の配合量はゴム成分100質量部に対し5〜15質量部であることが好ましい。
上記有機過酸化物と樹脂架橋剤の配合割合は特に限定されないが、(有機過酸化物の配合量):(樹脂架橋剤の配合量)=1:1〜40が好ましく、1:1〜20がより好ましい。
本発明のエラストマー組成物は、ゴム成分としてジエン系ゴムまたはEPDMゴムの少なくとも1種を含んでいる。
本発明で用いるジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)または1,2−ポリブタジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
EPDMゴムにはゴム成分のみからなる非油展タイプのEPDMゴムとゴム成分とともに親展油を含む油展タイプのEPDMゴムとが存在するが、本発明ではいずれのタイプのものも使用可能である。EPDMゴムにおけるジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエンまたはシクロオクタジエンなどが挙げられる。
本発明で用いるジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)または1,2−ポリブタジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
EPDMゴムにはゴム成分のみからなる非油展タイプのEPDMゴムとゴム成分とともに親展油を含む油展タイプのEPDMゴムとが存在するが、本発明ではいずれのタイプのものも使用可能である。EPDMゴムにおけるジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエンまたはシクロオクタジエンなどが挙げられる。
ゴム成分としてジエン系ゴムまたはEPDMゴム以外の他のゴムを含んでいてもよい。前記「他のゴム」としては、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴムまたはクロロスルフォン化ポリエチレン等が挙げられる。
本発明のエラストマー組成物においては、ゴム成分としてEPDMゴムを必ず含むことが好ましい。全ゴム成分に占めるEPDMゴムの比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95〜100質量%であることがさらに好ましい。この理由は、EPDMゴムは主鎖が飽和炭化水素からなり、主鎖に二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気または光線照射等の環境下に長時間曝されても、分子主鎖切断が起こりにくく、従って最終製品、例えばゴムローラの耐候性を高めることができるためである。
本発明のエラストマー組成物は熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物を含んでいる。熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物は、混合後もエラストマーであることが望ましい。その理由は、ゴム成分を分散させて最終的に得られるエラストマー組成物の硬度がより低くなるからである。
前記熱可塑性エラストマーとしては公知の熱可塑性エラストマーを使用できる。具体的には、例えばスチレン系エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、アイオノマー、エチレンエチルアクリレート樹脂(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーのうち、スチレン系エラストマーを用いることが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン系モノマーを主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物を主体とするブロック(B)のブロック共重合体および該ブロック共重合体の共役ジエン重合単位を水素添加したものを例示することができる。前記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンまたはt−ブチルスチレンなどを例示することができる。これらモノマーは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。スチレン系モノマーとしては、なかでもスチレンが好ましい。また前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどを例示することができる。これらは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
スチレン系エラストマーとして、具体的にはスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)またはスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
スチレン系エラストマーのなかでも、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることがより好ましく、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)を用いることが特に好ましい。
スチレン系エラストマーのなかでも、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることがより好ましく、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)を用いることが特に好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては公知のものを使用でき、例えばオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン等が挙げられる。なかでもオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂またはアイオノマー樹脂等が挙げられるが、ポリプロピレンまたはポリエチレン用いることが好ましく、ポリプロピレンを用いることがより好ましい。
本発明のエラストマー組成物は、前記熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物をゴム成分100質量部に対し2〜150質量部の割合で含んでいる。
前記混合物の配合量が2質量部未満であると、樹脂成分が少なくなりすぎてゴム成分を樹脂マトリックス中に分散できず加工がしにくくなると共に、成形品の強度および耐摩耗性が低下する。一方、前記混合物の配合量が150質量部を超えると、樹脂成分が多くなりすぎるため硬度が高くなる。その結果、当該組成物からなるゴムローラを紙送りローラとして用いた場合、紙に対する摩擦係数が低下し、かつ耐摩耗性も低下するという問題が生じ得る。
前記混合物の配合量が2質量部未満であると、樹脂成分が少なくなりすぎてゴム成分を樹脂マトリックス中に分散できず加工がしにくくなると共に、成形品の強度および耐摩耗性が低下する。一方、前記混合物の配合量が150質量部を超えると、樹脂成分が多くなりすぎるため硬度が高くなる。その結果、当該組成物からなるゴムローラを紙送りローラとして用いた場合、紙に対する摩擦係数が低下し、かつ耐摩耗性も低下するという問題が生じ得る。
前記混合物において熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂との混合割合は、使用するエラストマーおよび樹脂に応じて適切な混合割合を決定できるが、熱可塑性エラストマー100質量部に対して熱可塑性樹脂が1質量部以上100質量部以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂の混合量が1質量部未満であると熱可塑性樹脂を混合した効果が見られないからであり、熱可塑性樹脂の混合量が100質量部より多いと混合物がエラストマーでなくなるからである。熱可塑性樹脂の混合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して20〜80質量部であることがより好ましい。
さらに、本発明のエラストマー組成物は、軟化剤をゴム成分100質量部に対し50〜250質量部の割合で含んでいる。軟化剤の配合量が50質量部未満であると、加工しにくくなると共に、ゴムローラに成形したときに低硬度を実現することが困難になる。一方、軟化剤の配合量が250質量部を超えると、ゴムローラに成形したときに強度や耐摩耗性が低下するという問題が生じ得る。
軟化剤としては市販されている石油系軟化剤または可塑剤を任意に使用できる。石油系軟化剤としては、アロマ系、ナフテン系、パラフィン系等の鉱物油や炭化水素系オリゴマーからなる公知の合成油、またはプロセスオイルが挙げられる。可塑剤としては、フタレート系、アジペート系、セバケート系、フォスフェート系、ポリエーテル系、ポリエステル系等の可塑剤が挙げられる。
軟化剤としては市販されている石油系軟化剤または可塑剤を任意に使用できる。石油系軟化剤としては、アロマ系、ナフテン系、パラフィン系等の鉱物油や炭化水素系オリゴマーからなる公知の合成油、またはプロセスオイルが挙げられる。可塑剤としては、フタレート系、アジペート系、セバケート系、フォスフェート系、ポリエーテル系、ポリエステル系等の可塑剤が挙げられる。
本発明においては、パラフィン系オイルが軟化剤として好ましい。パラフィン系オイルはアロマ分を全く含まないものが好ましい。アロマ分を少しでも含むと紙を汚染してしまう可能性があるからである。本発明においてはなかでもパラフィン系プロセスオイルが軟化剤として特に好ましい。
本発明のエラストマー組成物には、必要に応じて充填剤を配合することができる。充填剤としては、例えばシリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウムまたはアルミナ等の粉体を挙げることができる。充填剤を配合する場合、充填剤はエラストマー組成物全質量の15質量%以下で配合するのが好ましい。これは充填剤の配合はエラストマー組成物の引張強度および引裂強度等の改善には有効であるものの、あまり多く配合するとエラストマー組成物の柔軟性が低下してローラとした時のローラの摩擦係数が低下する傾向を示すためである。
本発明のエラストマー組成物においては、上記成分の他に、本発明の目的に反しない限り、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤または気泡防止剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
本発明のエラストマー組成物においては、上記成分の他に、本発明の目的に反しない限り、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤または気泡防止剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
前記エラストマー組成物全体に対して、軟化剤や充填剤等の非ポリマー分を除くポリマー分(ゴム成分+熱可塑性エラストマー+熱可塑性樹脂+樹脂架橋剤+その他の添加樹脂)の割合は40質量%以上95質量%以下が好ましく、59質量%以上95質量%以下がより好ましい。
40質量%以上としているのはエラストマー組成物の耐摩耗性を確保するためであり、95質量%以下としているのはエラストマー組成物の混練り加工性および成形性を確保するためである。
40質量%以上としているのはエラストマー組成物の耐摩耗性を確保するためであり、95質量%以下としているのはエラストマー組成物の混練り加工性および成形性を確保するためである。
本発明のエラストマー組成物では、前記ゴム成分を前記架橋剤により動的架橋し、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物中にゴム成分を分散させている。
前記動的架橋は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素等のハロゲンの存在下に行ってもよい。動的架橋時にハロゲンを存在させるには、上述したハロゲン化された樹脂架橋剤を用いるか、エラストマー組成物中にハロゲン供与性物質を配合してもよい。前記ハロゲン供与性物質としては、塩化第二スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。ハロゲン供与性物質は1種類の物質を単独で用いてもよく、2種以上の物質を併用してもよい。
架橋反応を適切に行うために架橋助剤(活性剤)を用いてもよい。架橋助剤としては金属酸化物が使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。
前記動的架橋は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素等のハロゲンの存在下に行ってもよい。動的架橋時にハロゲンを存在させるには、上述したハロゲン化された樹脂架橋剤を用いるか、エラストマー組成物中にハロゲン供与性物質を配合してもよい。前記ハロゲン供与性物質としては、塩化第二スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。ハロゲン供与性物質は1種類の物質を単独で用いてもよく、2種以上の物質を併用してもよい。
架橋反応を適切に行うために架橋助剤(活性剤)を用いてもよい。架橋助剤としては金属酸化物が使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。
本発明のエラストマー組成物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
即ち、前記ゴム成分、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物、軟化剤、架橋剤としての有機過酸化物と樹脂架橋剤、さらに所望により他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサーまたはタンブラー型ミキサー等の混練機に投入して混練する。この混練物を一軸もしくは2軸押出機またはニーダー等に投入し、150〜250℃に加熱しながら架橋剤によりゴム成分を動的架橋し、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物中にゴム成分を分散させる。
即ち、前記ゴム成分、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物、軟化剤、架橋剤としての有機過酸化物と樹脂架橋剤、さらに所望により他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサーまたはタンブラー型ミキサー等の混練機に投入して混練する。この混練物を一軸もしくは2軸押出機またはニーダー等に投入し、150〜250℃に加熱しながら架橋剤によりゴム成分を動的架橋し、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂の混合物中にゴム成分を分散させる。
以上述べてきた本発明のエラストマー組成物は種々の用途に使用することができる。なかでも、複写機、プリンター、ファクシミリまたはATM等のOA機器等において紙の搬送に寄与する部材として用いることが好ましい。より具体的には、紙の重送を防止するための分離シートや分離パッド、紙送りローラに応用することができる。なかでも、給紙機構を構成する給紙ローラ、搬送ローラまたは排紙ローラ等の紙送りローラに応用することが特に好ましい。
本発明は、前記エラストマー組成物を用いて形成されるゴムローラを提供している。
前記ゴムローラは少なくとも表層に前記本発明のエラストマー組成物からなる層を備えたものであれば、いかなる構造を有するものであってよい。しかし、本発明のエラストマー組成物からなる層のみを有するゴムローラが、構造が簡単で、製造工程管理およびコスト面からみて好ましい。本発明のゴムローラは通常金属やセラミックス等からなる芯金を中心に挿入した状態で使用される。
本発明のゴムローラの厚さは1〜20mmであることが好ましく、2〜20mmであることがより好ましい。厚さが1mm未満では弾性が不足し搬送性能が低下しやすく、厚さが20mmを超えるとゴムローラが大きくなりすぎ、複写機やプリンター等に搭載しにくくなるからである。
前記ゴムローラは少なくとも表層に前記本発明のエラストマー組成物からなる層を備えたものであれば、いかなる構造を有するものであってよい。しかし、本発明のエラストマー組成物からなる層のみを有するゴムローラが、構造が簡単で、製造工程管理およびコスト面からみて好ましい。本発明のゴムローラは通常金属やセラミックス等からなる芯金を中心に挿入した状態で使用される。
本発明のゴムローラの厚さは1〜20mmであることが好ましく、2〜20mmであることがより好ましい。厚さが1mm未満では弾性が不足し搬送性能が低下しやすく、厚さが20mmを超えるとゴムローラが大きくなりすぎ、複写機やプリンター等に搭載しにくくなるからである。
本発明のゴムローラは、JIS K 6253に準拠して測定した硬度を20以上50以下に設定している。硬度を20以上50以下としているのは、この範囲の硬度を有するゴムローラは良好な柔軟性を示し、ゴムローラを比較的小さい圧接力で紙やフィルムに押し付けてもゴムローラが充分に変形し、紙やフィルムとの間に大きい接触面積を得ることができるからである。硬度が20未満であると摩耗量が多くなるという問題があり、硬度が50を越えると通紙中に不送りが発生するという問題がある。本発明のゴムローラの硬度は30以上50以下であることがより好ましく、35以上45以下であることが特に好ましい。
本発明のゴムローラは、例えば以下のようにして製造することができる。
即ち、前記本発明のエラストマー組成物を2軸押出機より押し出してペレット化し、該ペレットを押出機によりチューブ状に押し出し、それをカットすることによってゴムローラとしてもよいし、ペレットを射出(インジェクション)成形機により射出してチューブ状に成形し、この成形品の表面を研磨した後、所要寸法にカットしてゴムローラとしてもよい。
即ち、前記本発明のエラストマー組成物を2軸押出機より押し出してペレット化し、該ペレットを押出機によりチューブ状に押し出し、それをカットすることによってゴムローラとしてもよいし、ペレットを射出(インジェクション)成形機により射出してチューブ状に成形し、この成形品の表面を研磨した後、所要寸法にカットしてゴムローラとしてもよい。
本発明のエラストマー組成物は、架橋剤として有機過酸化物と樹脂架橋剤を特定の配合量で併用することにより、優れた耐摩耗性を発揮する。
本発明のエラストマー組成物は、ゴム成分が動的架橋により熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂中に分散されているため、加硫ゴムと類似した弾性性能を示すとともに樹脂のごとく耐候性にも優れ、さらに射出・押出・ブロー等のあらゆる加工方法への対応が可能で、加硫ゴムとは異なり成形後に加硫等の熱処理工程を必要とせず、リサイクルも可能で、環境への影響の低減およびトータルコストの低廉を容易にすることができる。
本発明のエラストマー組成物は、ゴム成分が動的架橋により熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂中に分散されているため、加硫ゴムと類似した弾性性能を示すとともに樹脂のごとく耐候性にも優れ、さらに射出・押出・ブロー等のあらゆる加工方法への対応が可能で、加硫ゴムとは異なり成形後に加硫等の熱処理工程を必要とせず、リサイクルも可能で、環境への影響の低減およびトータルコストの低廉を容易にすることができる。
また、本発明のゴムローラは、摩擦係数が高い上にその硬度が30以上50以下に設定されているため、複写機やプリンター等のOA機器における紙送りローラとして用いた場合に、紙搬送能力が高く、かつ通紙中の不送り等の搬送不良が抑制できるという優れた性能を発揮する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
実施形態のエラストマー組成物は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)からなるゴム成分と、熱可塑性エラストマーの水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂のポリプロピレンとの混合物と、パラフィン系プロセスオイルからなる軟化剤と、フェノール系樹脂架橋剤と有機過酸化物の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンからなる架橋剤を含み、該架橋剤により動的架橋して、前記熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物中に前記ゴム成分を分散させている。
実施形態のエラストマー組成物は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)からなるゴム成分と、熱可塑性エラストマーの水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂のポリプロピレンとの混合物と、パラフィン系プロセスオイルからなる軟化剤と、フェノール系樹脂架橋剤と有機過酸化物の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンからなる架橋剤を含み、該架橋剤により動的架橋して、前記熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物中に前記ゴム成分を分散させている。
前記樹脂架橋剤のフェノール系樹脂架橋剤はゴム成分100質量部に対し1.0〜2.0質量部の割合とし、有機過酸化物の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンはゴム成分100質量部に対して5〜15質量部の割合としている。
有機過酸化物と樹脂架橋剤の配合割合は(有機過酸化物の配合量):(樹脂架橋剤の配合量)=1:1〜10、好ましくは1:2〜10としている。
前記したように、ゴム成分としてEPDMゴムを含み、かつ、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンとの混合物を含んでいる。
前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合物は、EPDMゴム100質量部に対して30〜100質量部、好ましくは50〜90質量部配合している。前記混合物における水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合割合は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレンが10〜80質量部、好ましくは20〜60質量部としている。
有機過酸化物と樹脂架橋剤の配合割合は(有機過酸化物の配合量):(樹脂架橋剤の配合量)=1:1〜10、好ましくは1:2〜10としている。
前記したように、ゴム成分としてEPDMゴムを含み、かつ、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンとの混合物を含んでいる。
前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合物は、EPDMゴム100質量部に対して30〜100質量部、好ましくは50〜90質量部配合している。前記混合物における水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合割合は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレンが10〜80質量部、好ましくは20〜60質量部としている。
前記軟化剤のパラフィン系プロセスオイルはEPDMゴム100質量部に対して100〜250質量部、好ましくは150〜250質量部配合している。
さらに、本発明のエラストマー組成物は架橋助剤として酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛はEPDMゴム100質量部に対して1〜10質量部配合している。
さらに、本発明のエラストマー組成物は架橋助剤として酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛はEPDMゴム100質量部に対して1〜10質量部配合している。
前記成分を所要の配合比にしてタンブラー型混練機に投入し、混練りする。混練り時の温度は150〜300℃、好ましくは200〜250℃とし、混練り時間は1〜60分、好ましくは5〜30分とする。得られた混練材を2軸押出機に投入して、150〜250℃、好ましくは200℃で動的架橋を行い、ゴム成分を均一に分散させて、本発明のエラストマー組成物をペレットとして作製している。
このペレットを190〜230℃の条件下で単軸押出機を用いてチューブ状に押し出し、中空部に金属製の芯金を圧入するか、あるいは両者を接着剤で接合して固定し、本発明のゴムローラを得ている。
円筒形状に成形したローラ部の中空部に略D字形状の芯材を圧入することにより略D字形状のゴムローラとすることもできる。なお、本発明のゴムローラの表面にはローレット状の溝を設けても良い。
前記工程で製造した本発明のゴムローラは、JIS K 6253に準拠して測定した硬度を硬度を30以上50以下としている。
円筒形状に成形したローラ部の中空部に略D字形状の芯材を圧入することにより略D字形状のゴムローラとすることもできる。なお、本発明のゴムローラの表面にはローレット状の溝を設けても良い。
前記工程で製造した本発明のゴムローラは、JIS K 6253に準拠して測定した硬度を硬度を30以上50以下としている。
「実施例」
実施例および比較例を示し、本発明について詳述する。
下記の表1に示す配合からなるエラストマー組成物を用いてゴムローラを製造し、得られたゴムローラについて後述する方法により、硬度、耐摩耗性および摩擦係数の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例および比較例を示し、本発明について詳述する。
下記の表1に示す配合からなるエラストマー組成物を用いてゴムローラを製造し、得られたゴムローラについて後述する方法により、硬度、耐摩耗性および摩擦係数の評価を行った。評価結果を表1に示す。
表中の各成分については下記製品を用いた。
・EPDMゴム;住友化学(株)製「エスプレン505A」
・熱可塑性エラストマー;水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製
「セプトン4077」)
・熱可塑性樹脂;ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)「ノバテックPP」)
・軟化剤;パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルP
W−380」)
・有機過酸化物;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日
本油脂(株)製「パーヘキサ25B−40」(純度40%))
・樹脂架橋剤;フェノール系樹脂架橋剤(田岡化学(株)製「タッキロール250−II
I」)
・架橋助剤;亜鉛華(三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」)
・EPDMゴム;住友化学(株)製「エスプレン505A」
・熱可塑性エラストマー;水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製
「セプトン4077」)
・熱可塑性樹脂;ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)「ノバテックPP」)
・軟化剤;パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルP
W−380」)
・有機過酸化物;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日
本油脂(株)製「パーヘキサ25B−40」(純度40%))
・樹脂架橋剤;フェノール系樹脂架橋剤(田岡化学(株)製「タッキロール250−II
I」)
・架橋助剤;亜鉛華(三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」)
ゴムローラを以下の工程で製造した。
まず、材料の計量を行い、表1に示した量のEPDMゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、軟化剤、有機過酸化物、樹脂架橋剤および架橋助剤を配合し、タンブラーに投入し10分混合した。その後、200℃で2軸押出機(アイベック(株)製HTM38)にてEPDMゴムを動的架橋してエラストマー組成物を作製し、押し出してペレット化した。
次に、このペレットを単軸押出機(笠松加工研究所(株)製、φ50押出機)を用いて20rpm、温調190℃〜230℃の条件下チューブ状に押し出し、外径22mm、内径18mmの押出成形品を得た。このチューブ状押出成形品を15mm幅に定寸カットし、その中空部に芯金を挿入して固着し、ゴムローラを得た。
まず、材料の計量を行い、表1に示した量のEPDMゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、軟化剤、有機過酸化物、樹脂架橋剤および架橋助剤を配合し、タンブラーに投入し10分混合した。その後、200℃で2軸押出機(アイベック(株)製HTM38)にてEPDMゴムを動的架橋してエラストマー組成物を作製し、押し出してペレット化した。
次に、このペレットを単軸押出機(笠松加工研究所(株)製、φ50押出機)を用いて20rpm、温調190℃〜230℃の条件下チューブ状に押し出し、外径22mm、内径18mmの押出成形品を得た。このチューブ状押出成形品を15mm幅に定寸カットし、その中空部に芯金を挿入して固着し、ゴムローラを得た。
ゴムローラの試験方法を示す。
(硬度)
JIS K 6253に準拠して、雰囲気温度23℃にて測定した。
(耐摩耗性)
実施例および比較例の各ゴムローラを給紙ローラとして複写機に取付け、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、A4サイズの紙(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製PPC用紙)20,000枚を10時間かけて通紙し、通紙前後のゴムローラの質量を測定することにより摩耗量を求めた。表1には比較例1の摩耗量を100とした場合の指数で示しており、指数が大きいほど耐摩耗性が優れている。
(硬度)
JIS K 6253に準拠して、雰囲気温度23℃にて測定した。
(耐摩耗性)
実施例および比較例の各ゴムローラを給紙ローラとして複写機に取付け、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、A4サイズの紙(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製PPC用紙)20,000枚を10時間かけて通紙し、通紙前後のゴムローラの質量を測定することにより摩耗量を求めた。表1には比較例1の摩耗量を100とした場合の指数で示しており、指数が大きいほど耐摩耗性が優れている。
(摩擦係数)
図1に示す装置を用いて摩擦係数の評価を行った。
実施例および比較例の各ゴムローラ1とプレート3の間に、ロードセル5に接続したA4サイズのPPC用紙4(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製)を挟み、黒矢印で示すようにゴムローラ1の芯金2に250gfの荷重Wを加え、ゴムローラ1をプレート3に圧接させた。ついで、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、ゴムローラ1を矢印aの示す方向に周速300mm/秒で回転させ、白矢印で示す方向に発生した力F(gf)をロードセル5によって測定した。そして、この測定値F(gf)と荷重W(W=250gf)とから下記式1により摩擦係数μを求めた。
表1には比較例1の摩擦係数を100とした場合の指数で示しており、指数が大きいほど摩擦係数が高く紙の搬送力が優れている。
μ=F(gf)/W(gf)…(式1)
図1に示す装置を用いて摩擦係数の評価を行った。
実施例および比較例の各ゴムローラ1とプレート3の間に、ロードセル5に接続したA4サイズのPPC用紙4(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製)を挟み、黒矢印で示すようにゴムローラ1の芯金2に250gfの荷重Wを加え、ゴムローラ1をプレート3に圧接させた。ついで、温度23℃、相対湿度55%の条件下で、ゴムローラ1を矢印aの示す方向に周速300mm/秒で回転させ、白矢印で示す方向に発生した力F(gf)をロードセル5によって測定した。そして、この測定値F(gf)と荷重W(W=250gf)とから下記式1により摩擦係数μを求めた。
表1には比較例1の摩擦係数を100とした場合の指数で示しており、指数が大きいほど摩擦係数が高く紙の搬送力が優れている。
μ=F(gf)/W(gf)…(式1)
比較例2〜6のゴムローラは比較例1のゴムローラに比して耐摩耗性または摩擦係数のいずれかが劣っているが、実施例1,2のゴムローラは比較例1のゴムローラに比して耐摩耗性および摩擦係数ともに優れていることが確認できた。
1 ゴムローラ
2 芯金
3 プレート
4 PPC用紙
5 ロードセル
2 芯金
3 プレート
4 PPC用紙
5 ロードセル
Claims (5)
- ジエン系ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴムの少なくとも1種を含むゴム成分100質量部に対し、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物を2〜150質量部、軟化剤を50〜250質量部、および架橋剤として有機過酸化物を0.2〜3.0質量部と樹脂架橋剤を2〜20質量部含み、
前記ゴム成分が前記架橋剤による動的架橋で前記熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物中に分散されていることを特徴とするエラストマー組成物。 - 前記熱可塑性エラストマーが水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載のエラストマー組成物。
- 請求項1または請求項2に記載のエラストマー組成物から成形されていることを特徴とするゴムローラ。
- JIS K6253に準拠して測定した硬度が20以上50以下である請求項3に記載のゴムローラ。
- 画像形成装置の紙送りローラとして用いられる請求項3または請求項4に記載のゴムローラ。
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