JP5255289B2 - 導電性成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
従来、この種の導電性部材に導電性を付与する方法としては、ポリマー中に金属酸化物の粉末やカーボンブラック等の導電性充填剤を配合した電子導電性ポリマー組成物を用いる方法と、ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ポリマー組成物を用いる方法がある。
また、電子導電性ポリマー組成物を用いた導電性部材の電気抵抗値は印加電圧に依存する問題がある。特に導電性充填剤としてカーボンブラックを用いた場合この傾向が顕著に現れる。さらに、カーボンブラック等の導電性充填剤を配合しすぎると成形加工も行いにくくなる。
また、従来のイオン導電剤を用いる場合には効率的に電気抵抗を下げられないという問題があった。そのためイオン導電剤を多量に入れると、今度はブリードが起こったり、圧縮永久ひずみや硬度等の力学的物性が悪化したりするなどの問題が出てくる。
具体的には、特開2004−51829号公報(特許文献1)および特開2004−269854号公報(特許文献2)において、熱可塑性樹脂あるいは/および熱可塑性エラストマー中に架橋可能なゴムあるいは/および熱可塑性エラストマーを動的架橋させて分散させているエラストマー組成物に、エーテルやエステル構造を有するポリマーとフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩とを配合することで導電化した動的架橋熱可塑性エラストマー組成物、および当該組成物を用いた導電性部材を提供している。
具体的には、前記製品を例えば転写ローラなどとして他の部材と接触させて使用する際には、ある程度のニップが必要となるため低硬度化という要求は避けられない。しかし、低硬度化を目的として軟化剤を大量に配合すると、表面の粘着力が高くなることで接触している他の部材に軟化剤がブリードしたり、摩擦係数が高いために耐摩耗性が悪くなったりする等の問題が発生し得る。また、低硬度化すると表面の粘着力が高くなることでトナーの付着による不具合も発生し得る。このように二律背反性を克服しなければならないケースが頻繁に出てきていた。
エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とをEPDM:NBR=100:0〜5:95で配合したゴム成分が、ポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラストマーのいずれか一方または両方の混合物中に、動的架橋されて分散されている熱可塑性エラストマー組成物に、
相溶化剤としてエチレンーアクリル酸エステルーグリシジルメタクリレート重合体またはエチレンーアクリル酸エステルー無水マレイン酸重合体が、前記熱可塑性エラストマー組成物中のゴム成分100質量部に対して1〜20質量部が含まれ、
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル(EO−PO−AGE)共重合体とフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩とを配合して、導電化した動的架橋熱可塑性エラストマー組成物からなり、
前記動的架橋熱可塑性エラストマー組成物からなるシート状またはロール状の成形品の表面が紫外線照射処理されており、
温度23℃、湿度55%の条件下におけるJIS K6253のショアA硬度が80以下40以上であり、ポリブチレンテレフタレート(PBT)で作成したシートに対する摩擦係数が1.0以下0.3以上である、画像形成装置に装着される導電性成形品を提供している。
なかでもゴム比重を低減するために比重の小さい低ニトリルNBRを用いることが好ましい。より具体的にはアクリロニトリル含量が15〜25%、好ましくは15〜20%のNBRを用いることが好適である。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン系モノマーを主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物を主体とするブロック(B)のブロック共重合体および該ブロック共重合体の共役ジエン重合単位を水素添加したものを例示することができる。前記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンまたはt−ブチルスチレンなどを例示することができる。これらモノマーは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。スチレン系モノマーとしては、なかでもスチレンが好ましい。また前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどを例示することができる。これらは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記配合量が2質量部未満であると、ゴム成分を樹脂マトリックス中に分散できず加工がしにくくなると共に、本発明の導電性成形品の強度および耐摩耗性が低下する。一方、前記配合量が150質量部を超えると硬度が高くなり、例えば画像形成装置用部材として用いたときに転写不良や搬送不良などの問題が生じる可能性があることに因る。
前記混合物においてスチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンとの混合割合は、使用するエラストマーおよび樹脂の種類に応じて適切な混合割合を決定できるが、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレンが1質量部以上100質量部以下であることが好ましい。ポリプロピレンの混合量が1質量部未満であると熱可塑性樹脂を混合した効果が見られないからであり、ポリプロピレンの混合量が100質量部より多いと混合物がエラストマーでなくなるからである。熱可塑性樹脂のポリプロピレンの混合量は、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して20〜80質量部であることがより好ましい。
樹脂架橋剤は加熱等によってゴム成分に架橋反応を起こさせる合成樹脂であり、硫黄と加硫促進剤とを併用する場合に比べ、ブルームが生じにくく圧縮永久ひずみも小さく、物性低下も小さく、精度維持や耐久性に優れる点で好ましい。さらに、硫黄架橋系に比べ架橋時間が短いため、押出機内に滞留している短い時間内に動的架橋を進行させることができる。
前記塩とともにEO−PO−AGE共重合体を配合することにより、当該共重合体が塩由来のイオンを安定化してくれ、電気抵抗値の低減のために著しい効果が得られるという利点がある。
EO−PO−AGE共重合体中、アリルグリシジルエーテルの共重合比率は1モル%以上10モル%以下とすることが好ましい。1モル%未満ではブリードや他の部材の汚染の発生が起こり易くなる一方、10モル%を超えると引張強さや疲労特性、耐屈曲性等が悪化しやすい。
EO−PO−AGE共重合体の数平均分子量は1万以上が好ましく、3万以上がより好ましい。この理由はブリードブルームや感光体汚染を防止するためである。
官能X1〜X6としては、R−SO2−(式中、Rはフッ素原子で置換されている炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)で示される基等が挙げられる。ここで炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1,1−ジメチルプロピル基等のアルキル基;例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、もしくは2−ペンテニル基等のアルケニル基;例えば、エチニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基もしくは2−ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。置換基としてのフッ素原子の数および置換位置は化学的に許容される範囲であれば特に限定されない。
なかでも、官能X1〜X6としては、安定性、コスト、取扱い性の点からCnHmF(2n−m+1)−SO2−(nは1以上8以下の整数を表し、mは0以上16以下の整数を表す。)であることが好ましい。
また化学式5で示される陽イオンにおいては、R15あるいはR16がより強い電子供与性を有する方が窒素原子上の正電荷を安定化させることにより陽イオンとしての安定度を高め、より解離度が高くなり、その結果として導電付与性能に優れた塩にすることができる。従って、R15あるいはR16は電子供与性基が好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。
なお、本発明において前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩として、前記例示したような化合物1種類を単独で用いてもよいし、複数種を併用しても良い。
陰イオン吸着剤としては、MgとAlを主成分とする合成ハイドロタルサイト、Mg−Al系,Sb系,Ca系等の無機イオン交換体やアニオンを連鎖中に固定するイオン席を有する(共)重合体等の公知の化合物が有用である。具体的には、合成ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製「キョーワード−2000」、「キョーワード−1000」)、アニオン交換性イオン交換樹脂(日本錬水(株)製「ダイアノンDCA11」)等が挙げられる。
相溶化剤としては、前記のように、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート共重合体またはエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体を配合している。
アクリル酸エステル成分の含量は0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。また、グリシジルメタクリレートまたは無水マレイン酸の含量は0.05〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。
前記相溶化剤の配合量が1質量部未満であると、相溶化剤としての効果が十分でなく、ゴム成分、熱可塑性樹脂または/および熱可塑性エラストマー、EO−PO−AGE共重合体、塩とがうまく混合されず、組成物の均一性が損なわれるため加工性が悪化する。一方、前記相溶化剤の配合量が20質量部を超えると、相溶化効果は飽和しているためそれ以上向上せず、逆に硬度が高くなるなどのデメリットが大きくなってくる。
成形方法としては、押出成形を用いている。これは、押出成形を用いれば、表面を滑らかに加工でき、かつ連続成形することができるため量産性に優れているからである。
このように、導電性成形品の表面部分に紫外線照射することで酸化膜を形成することにより、酸化膜が誘電層となり導電性成形品の誘電正接を低減でき、例えば導電性成形品をトナー搬送用部材として用いる場合トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができるようになる。そして、酸化膜の形成は紫外線照射により行わせることが、処理時間が早く、コストも低いことから好ましい。
前記紫外線照射処理は公知の方法に従って行うことができる。例えば導電性成形品の表面と紫外線ランプとの距離やゴム成分の種類等により異なるが、波長が100〜400nm、より好ましくは100〜300nmの紫外線を30秒〜30分、好ましくは1分〜10分程度照射することが好適である。そして、ロール状の場合は回転させながら照射するなど導電性成形品の表面全体に均一に紫外線照射がなされるようにする。
ショアA硬度が80を超える場合は固すぎて、40を下回る場合は軟らかすぎて、本発明の導電性成形品の用途範囲が狭くなるからである。PBTで作成したシートに対する摩擦係数が1.0を超えると表面の粘着性が高く、トナーの付着や耐久性の低下などの問題が生じる傾向にある。
具体的には、例えばロール状の導電性成形品は、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ローラ、トナーを感光体に付着させるための現像ローラ、トナー像を感光体等から用紙または中間転写ベルト等に転写するための転写ローラ、トナーを搬送するためのトナー供給ローラ、転写ベルトを内側から駆動するための駆動ローラ、紙の搬送に寄与する紙送りローラ(より具体的には給紙機構を構成する給紙ローラ、搬送ローラもしくは排紙ローラ等)、残留しているトナーを除去するためのクリーニングローラとして用いられる。
シート状の導電性成形品は、例えば画像形成装置に装着される導電性シートまたは静電防止フィルムとして用いられることが好ましい。
シームレスベルト状の導電性成形品は、搬送ベルト、転写ベルト、中間転写ベルト、定着ベルト、現像ベルトまたは感光体基体用ベルト等として用いられる。
ゴム成分としてはEPDMとNBRを含む。その配合量は、EPDM:NBR=100:0〜10:90としている。EPDMの比率を全ゴム成分中の50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは95〜100質量%とすれば本発明の導電性成形品の耐候性を高めることができるため、用途によってはEPDMの比率を高めることが有効である。この理由は、EPDMゴムは主鎖が飽和炭化水素からなり主鎖に二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気または光線照射等の環境下に長時間曝されても分子主鎖切断が起こりにくいためである。
スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレンが30〜50質量部としている。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンの混合物は、EPDMゴム100質量部に対し20〜120質量部の割合で含まれていることが好ましく、40〜100質量部の割合で含まれていることがより好ましく、50〜90質量部の割合で含まれていることがさらに好ましい。
フェノール樹脂の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノールもしくはレゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドもしくはフルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂を用いることもできる。
特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。
さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
架橋助剤の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、さらには1〜10質量部であることがより好ましい。
過酸化物の配合量に関し、下限はゴム成分100質量部に対し0.5質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることが特に好ましい。また、上限はゴム成分100質量部に対し2.5質量部以下が好ましく、2.0質量部以下が特に好ましい。
前記共架橋剤としては、例えば多官能性モノマー、メタクリル酸あるいはアクリル酸の金属塩、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、複素環ビニル化合物、アリル化合物、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマー類、ジオキシム類等が挙げられる。
過酸化物とともに共架橋剤を配合する場合、当該共架橋剤の配合量は共架橋剤の種類または用いる他の成分との関係で適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して好ましくは5質量部以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以上15質量部以下とする。
EO−PO−AGE共重合体の配合量はゴム成分100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
前記塩において陰イオンと対になり塩を構成する陽イオンは、アルカリ金属であることが好ましく、中でもリチウムイオンがより好ましい。具体的に、前記塩としてはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムが特に好ましい。
フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、EO−PO−AGE共重合体100質量部に対し1〜20質量部の割合で配合されている。好ましくは5〜15質量部の割合である。
相溶化剤としての三元共重合体とはオレフィン成分(c1)とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(c2)と不飽和カルボン酸単位(c3)からなる三元共重合体である。
オレフィン成分(c1)としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のエチレン系炭化水素を挙げることができる。
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(c2)成分の具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸またはメタクリル酸とアルコールとのエステル化物を挙げることができ、この中でもアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルが好ましい。
不飽和カルボン酸単位(c3)は、不飽和カルボン酸やその無水物により導入され、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。また不飽和カルボン酸単位は、前記3元共重合体中に共重合されていればその形態は限定されず、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(c2)成分の含量は0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。また、不飽和カルボン酸単位(c3)含量は0.05〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。
例えば、適度な柔軟性と弾性を与えるために軟化剤を配合してもよい。
軟化剤としてはオイルや可塑剤が挙げられる。オイルとしては、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油や炭化水素系オリゴマーからなるそれ自体公知の合成油、またはプロセスオイルを用いることができる。合成油としては、例えばα−オレフィンとのオリゴマー、ブテンのオリゴマー、エチレンとα−オレフィンとの非晶質オリゴマーが好ましい。可塑剤としては、フタレート系、アジペート系、セパケート系、ホスフェート系、ポリエーテル系、ポリエステル系等の可塑剤が挙げられ、より具体的には例えばジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチルアジペート(DOA)等が挙げられる。なかでも、軟化剤としてはパラフィン系オイルが好ましく、パラフィンプロセスオイルがより好ましい。
軟化剤の配合量が前記範囲よりも少ないと、軟化剤を添加した効果、すなわち動的架橋時におけるゴム成分の分散性をより良化する効果が得られ難く、また硬度も高くなりやすい。一方、軟化剤を前記範囲より多く配合すると、軟化剤が架橋阻害を起こして十分に動的架橋が行われないため、物性が低下しやすく、また軟化剤がブリードしやすいためである。なお、前記軟化剤の配合量にはゴム成分として油展ゴムを用いた場合の伸展油の量が含まれている。
充填剤としては、例えば、シリカ,カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を挙げることができる。
充填剤は動的架橋熱可塑性エラストマー組成物全質量の15質量%以下で配合するのが好ましい。これは充填剤の配合は組成物の引張強度および引裂強度等の改善には有効であるものの、余り多く配合すると組成物の柔軟性が低下する傾向を示すためである。
まず、本発明の導電性成形品を構成する動的架橋熱可塑性エラストマー組成物を作製する。
前記組成物の作製方法としては特に限定されず、公知方法を用いることができる。組成物に含まれる成分全てを一度に混練してもよいし、一部の成分を予め混練しておいた後残りの成分を混練するというように2段階以上に分けて段階的に混合してもよい。しかし、下記のような方法で作製することが好ましい。
動的架橋させる時の加熱温度は160〜250℃、加熱時間は1〜20分であることが好ましい。動的架橋には、2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等を使用することができる。
前記動的架橋は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素等のハロゲンの存在下に行ってもよい。動的架橋時にハロゲンを存在させるには、上述したハロゲン化された樹脂架橋剤を用いるか、ハロゲン供与性物質を配合すればよい。前記ハロゲン供与性物質としては、塩化第二スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。ハロゲン供与性物質は1種類の物質を単独で用いてもよく、2種以上の物質を併用してもよい。
得られた組成物は、後工程のためにペレット状とするのが良い。これにより良好な成形性を得ることができる。
本発明の導電性成形品がシート状の場合、動的架橋熱可塑性エラストマー組成物を150〜250℃の条件下で樹脂押出機を用いシート状に押し出すことにより、シート状の導電性成形品が得られる。
得られた成形品の表面に紫外線を照射することにより本発明の導電性成形品を得ることができる。
具体的には、本発明の導電性成形品がロール状の場合、紫外線照射機を用い、ロールと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射し、ロールを4回回転させることで、ロール全周(360度)に紫外線を照射し酸化膜を形成することができる。
本発明の導電性成形品がシート状の場合、紫外線照射機を用い、シートと紫外線ランプ間の距離を30cmとして紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を10分間照射し酸化膜を形成することができる。
実施例および比較例を示し、本発明について詳述する。
下記の表1に示す配合からなる組成物を用いてシート状の導電性成形品を製造し、得られた導電性成形品について後述する方法により、押出加工性、硬度および摩擦係数についての評価を行った。評価結果を表1、表2に示した。
・EPDMゴム;住友化学(株)製「エスプレン505A」
・NBR;日本ゼオン(株)製「Nipol DN401LL」
・熱可塑性樹脂;ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP」)
・熱可塑性エラストマー;スチレン系熱可塑性エラストマー((株)クラレ製「セプトン4077」)
・軟化剤;パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−380」)
・架橋剤;フェノール系樹脂架橋剤(田岡化学工業(株)製「タッキロール250−III」)
・架橋助剤;亜鉛華(三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」)
・EO−PO−AGE共重合体;日本ゼオン(株)製「ゼオスパン8100」
・塩;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム
・エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体;アルケマ(株)製「ボンダインLX4110」
ペレット状のEPDM、NBR、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、軟化剤、架橋剤、架橋助剤を上記表に記載の割合で配合し、タンブラーにてドライブレンドを行ってから2軸押出機(アイペック製「HTM38」)にて回転数200rpm、温度200℃で混練し、ゴム成分を動的架橋させて熱可塑性樹脂及び/または熱可塑性エラストマー中に分散させたエラストマー組成物のペレットを作製した。
別途、ペレット状のEO−PO−AGE共重合体と、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩をタンブラーでドライブレンドした後、2軸1軸押出機(モリヤマ製「2TR−75型」)にて温度70℃で混練して押し出し、ペレット化した。
さらに、実施例1〜7では得られた導電性成形品の表面に紫外線を照射した。具体的には、紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200」)を用い、シートと紫外線ランプ間の距離を30cmとして紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を10分間照射した。
(押出加工性)
動的架橋熱可塑性エラストマー組成物のペレットを樹脂押出機でシート状に押し出したときのシートの形状(ゴム肌)を目視にて評価した。
◎;表面の凹凸は非常に細かく、目視では光沢があるように見える。表面は滑らかで全く問題なし。
○;表面に小さな凹凸があるもの、表面は滑らかで問題ないレベル。
×:表面の凹凸が非常に大きく、押出途中で切れるためシートを作製できない。
JIS K6253に準じ、雰囲気温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて測定した。
押し出したシート状の導電性成形品を押出方向に幅15mm、長さ50mmの短冊状に切出してサンプルを作成した。
上記サンプルとポリブチレンテレフタレート(PBT)シートの摩擦係数を表面性測定機(新東科学(株)製「HEIDON−14型」)にて、荷重200gf、速度3,000mm/分の条件で測定した。
測定は5回行い、その平均値を摩擦係数とした。
ゴム成分としてNBRのみを含む比較例4ではシートを作成できないほど押出加工性に劣っており、ゴム成分であるNBRが熱可塑性樹脂中で分散不良を起こしていることがわかる。そして、比較例5に示したように、相溶化剤を配合してもNBRの分散不良は解消させず、依然として押出加工性に劣ることがわかる。また、比較例6に示したように、EPDM:NBR=3:97とわずかにEPDMを配合してもNBRの分散不良は解消させず、依然として押出加工性に劣ることがわかる。
Claims (2)
- エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とをEPDM:NBR=100:0〜5:95で配合したゴム成分が、ポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラストマーのいずれか一方または両方の混合物中に、動的架橋されて分散されている熱可塑性エラストマー組成物に、
相溶化剤としてエチレンーアクリル酸エステルーグリシジルメタクリレート重合体またはエチレンーアクリル酸エステルー無水マレイン酸重合体が、前記熱可塑性エラストマー組成物中のゴム成分100質量部に対して1〜20質量部が含まれ、
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル(EO−PO−AGE)共重合体とフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩とを配合して、導電化した動的架橋熱可塑性エラストマー組成物からなり、
前記動的架橋熱可塑性エラストマー組成物からなるシート状またはロール状の成形品の表面が紫外線照射処理されており、
温度23℃、湿度55%の条件下におけるJIS K6253のショアA硬度が80以下40以上であり、ポリブチレンテレフタレート(PBT)で作成したシートに対する摩擦係数が1.0以下0.3以上である、画像形成装置に装着される導電性成形品。 - 請求項1に記載の導電性成形品の製造方法であって、
前記ゴム成分と、ポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラストマーの一方または両方の混合物と、架橋剤とを混練し、前記ゴム成分を架橋剤により動的架橋させて熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーの一方または両方の混合物中に分散させ前記熱可塑性エラストマー組成物を作成し、
前記EO−PO−AGE共重合体と前記塩との混練物を設け、
前記混練物を前記熱可塑性エラストマー組成物と混練して前記導電化した動的架橋熱可塑性エラストマー組成物を作成し、
前記動的架橋熱可塑性エラストマー組成物を樹脂押出機に投入して、前記シート状またはロール状の成形品を取得し、
前記成形品の表面に紫外線を照射していることを特徴とする導電性成形品の製造方法。
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