JP5711549B2 - 導電性ローラおよび画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、熱可塑性エラストマ組成物を用いて形成される導電性ローラ、および前記導電性ローラを備える画像形成装置に関するものである。
レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の、いわゆる電子写真法を利用した画像形成装置においては、概略下記の工程を経て、紙(プラスチックフィルム等を含む、以下同様)の表面に画像が形成される。
光導電性を有する感光体の表面を一様に帯電させた状態で露光して、前記表面に、形成画像に対応する静電潜像を形成する(帯電工程→露光工程)。
前記静電潜像に、あらかじめ帯電させたトナーを選択的に付着させて、前記静電潜像をトナー像に顕像化する(現像工程)。
前記トナー像を紙の表面に転写し(転写工程)、さらに定着させる(定着工程)。
前記転写工程においては、例えば感光体の表面に形成したトナー像を、転写ベルトの外周面に保持して搬送途上の紙の表面に転写したり、前記トナー像を一旦、中間転写ベルトの外周面に転写したのち紙の表面に転写したりする場合がある。
かかる転写ベルトまたは中間転写ベルトを用いた転写工程は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色のトナーからなるトナー像を重ねてフルカラー画像を形成する、いわゆるフルカラー対応の画像形成装置等において広く普及している。
また前記転写工程は、例えばA4サイズの紙の表面に毎分50枚以上といった高速で画像形成する高速対応の画像形成装置や、あるいは液体を媒体としたトナーを用いる画像形成装置等においても採用されている。
前記各工程のうち帯電工程、現像工程(そのうちトナーの帯電過程、および帯電させたトナーの静電潜像への付着過程)、転写工程等において、導電性ないし半導電性を有するローラ(以下「導電性ローラ」と総称する場合がある)が広く用いられる。
また前記導電性ローラは、トナー像を紙の表面に転写後に感光体、転写ベルト、もしくは中間転写ベルトの表面に残留したトナーを除去するクリーニング工程にも用いられる。
例えば転写工程では、前記導電性ローラが、トナー像を紙あるいは中間転写ベルトに転写させるための転写ローラとして用いられる。前記転写ローラは、感光体の表面に直接に、または転写ベルトや中間転写ベルトを間に挟んだ状態で、所定の圧接力によって前記感光体に圧接させた状態で配設される。
そして感光体と転写ローラとの間に所定の電位差を生じさせた状態で、両者の間に紙、紙と転写ベルト、もしくは中間転写ベルトを挟んだ状態で回転させることで、前記感光体の表面に形成されたトナー像が、前記電位差に基づいて紙または中間転写ベルトの表面に転写される。
前記導電性ローラとして、従来は、架橋(加硫)性を有するゴム中に導電剤を含有させる等して導電性を付与したゴム組成物を調製し、前記ゴム組成物を押出成形等によって成形したのちゴムを架橋させて形成されたローラ本体を備えるものが用いられてきた。
しかし、架橋されたゴムからなるローラ本体はリサイクルできる用途が限られている。例えば粉砕して、樹脂やゴム等の充填剤、増量剤等として使用する以外に適当な用途が見出せない。そのため近時、前記導電性ローラのローラ本体を、熱可塑性エラストマ組成物を用いて形成することが検討されている。前記熱可塑性エラストマ組成物は、加熱により再溶融させて任意の形状に成形することが可能であるため、リサイクルできる用途が限られないという利点がある。
例えば特許文献1、2等には、スチレン系熱可塑性エラストマとオレフィン系樹脂とをマトリクス樹脂として含む導電性熱可塑性エラストマ組成物を用いて、前記ローラ本体を形成することが記載されている。
前記導電性熱可塑性エラストマ組成物は、前記マトリクス樹脂中に、ジエン系ゴム等の架橋性ゴムの架橋物、イオン導電性エラストマの架橋物、およびイオン導電性塩を分散させたものである。
前記導電性熱可塑性エラストマ組成物は、マトリクス樹脂中で、架橋性ゴムとイオン導電性エラストマとを、いわゆる動的架橋によってそれぞれ別個に架橋させるとともに架橋物を分散させて調製される。
また前記導電性熱可塑性エラストマ組成物は硬いので、石油系もしくは脂肪油系のオイル、例えばパラフィン系オイルを軟化剤として配合して、架橋ゴム等と同等程度の柔軟性を付与するのが一般的である。
しかしローラ本体にできるだけ高い柔軟性を付与するべく、例えば特許文献3に記載されているように多量のオイルを配合した場合には、過剰のオイルがローラ本体の外周面にブリードしやすく、ブリードしたオイルが、画像形成装置内でローラ本体と接触している部材等に移行して様々な問題を生じるおそれがある。
例えば、導電性ローラが前記転写ローラである場合は、ブリードしたオイルが感光体の表面に移行して形成画像の画像濃度が局部的に低下するといった画像不良を生じやすくなる。
オイルの移行は、前記ローラ本体を感光体と直接に接触させている場合に限らず、前記感光体との間に転写ベルトや中間転写ベルトを挟んで配設している場合にも生じうる。その場合、ブリードしたオイルは前記転写ベルト等の幅方向の両端を乗り越えるように拡がって、特に感光体の両端部に移行する。その結果、前記感光体の両端部に対応する形成画像の両端部の画像濃度が低下するといった別の画像不良を生じやすくなる。
オイルの配合割合を減らせば、かかる画像不良は解消できるが、その場合はローラ本体が硬くなって、感光体の表面に対して圧接させた際のニップ変形量が小さくなる。そのため転写ローラの場合は、特に形成画像の幅方向の中央部において、トナーの紙への転写不良を生じやすくなり、前記中央部において画像濃度が低下するといった別の画像不良を生じやすくなる。
特許文献4には、前記導電性熱可塑性エラストマ組成物に、さらにシクロデキストリンを配合してオイルのブリードを抑制することが記載されている。
しかしシクロデキストリンによる効果は未だ十分ではなく、特に高温高湿環境下で感光体に圧接させる等してローラ本体に負荷をかけた状態では、オイルのブリードと、それに伴う各種の画像不良の発生とを確実に防止することはできない。
また、配合する成分が増加する分、導電性熱可塑性エラストマ組成物の、ひいては導電性ローラのコストアップに繋がるという問題もある。
導電性熱可塑性エラストマ組成物からなるローラ本体に柔軟性を付与する別の手法として、前記ローラ本体に多孔質構造を導入することが知られている。
例えば特許文献5には、ローラ本体のもとになる導電性熱可塑性エラストマ組成物に熱膨張性マイクロカプセルを配合して、ローラ本体を多孔質構造とすることが記載されている。
しかし熱膨張性マイクロカプセルを配合した導電性熱可塑性エラストマ組成物は、成形時等の加工性が低いという問題がある。
また熱膨張性マイクロカプセルに代えて、導電性熱可塑性エラストマ組成物に、加熱によって発泡する発泡剤を配合し、例えば押出成形時の熱によって前記発泡剤を発泡させて、ローラ本体を多孔質構造とする場合もある。
しかしその場合には、特にローラ本体に高い柔軟性を付与するべく、導電性熱可塑性エラストマ組成物に多量の発泡剤を配合すると、押出成形によって形成される、ローラ本体のもとになる円筒体の外周面に凹凸を生じたり、前記円筒体が割れ(チューブ割れ)たりしやすいという問題がある。
特許第4121797号公報 特開2008−045029号公報 特開2008−013691号公報 特開2008−307073号公報 特開2008−308516号公報
本発明の目的は、軟化剤のブリードによる種々の画像不良や、あるいは多孔質構造を導入することによる種々の問題等を生じることなしに、低硬度で柔軟性に優れる上、リサイクル等も容易なローラ本体を備え、画像形成装置の転写ローラ等として好適に使用しうる導電性ローラと、前記導電性ローラを備えた画像形成装置とを提供することにある。
前記課題を解決するため、発明者は、熱可塑性エラストマ組成物に配合する軟化剤の種類について検討した。その結果、前記軟化剤として、従来のオイルに代えて水素添加ポリイソブテンを単独で使用すればよいことを見出した。
すなわち本発明は、マトリクス樹脂としてのスチレン系熱可塑性エラストマ、およびポリプロピレン、
ジエン系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋性ゴム、ならびに
軟化剤としての、前記スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり300質量部以下の水素添加ポリイソブテンを含む熱可塑性エラストマ組成物中で前記架橋性ゴムを動的架橋させるとともに、さらにイオン導電性エラストマ、およびイオン導電性塩を含有させた導電性熱可塑性エラストマ組成物からなるローラ本体を備えることを特徴とする導電性ローラである。
前記水素添加ポリイソブテンは、前記熱可塑性エラストマ中で、オイルに代わる軟化剤として良好に機能する。また前記水素添加ポリイソブテンは、特にスチレン系熱可塑性エラストマとの相溶性に優れているとともに、一般にオイルよりも分子量が大きい中分子量のポリマであり、しかも分子中に二重結合を含まない化学的に不活性で安定した構造を有するため、たとえ高温高湿環境下で負荷をかけても容易にブリードしたりしない。
そのため、前記熱可塑性エラストマ組成物によれば、軟化剤のブリードによる種々の画像不良を生じることなしに、低硬度で柔軟性に優れる上、リサイクル等も容易な導電性ローラのローラ本体を形成することができる。
しかも、柔軟性を確保するために敢えて多孔質構造を導入する必要もないため、前記多孔質構造を導入することによる種々の問題を生じるおそれもない。ただし本発明は、多孔質構造を否定するものではない。水素添加ポリイソブテンによって適度な柔軟性が確保されるため、先に説明した種々の問題を生じない程度の多孔質構造であれば、ローラ本体に導入することができる。
前記イオン導電性エラストマは架橋性を有し、前記架橋性ゴムとは別個に動的架橋されているのが好ましい。これにより、ローラ本体の導電性をさらに向上できる。またイオン導電性エラストマやイオン導電性塩がローラ本体の外周面にブルームしたりブリードしたりするのを防止できる。
本発明は、前記本発明の導電性ローラを備えることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の画像形成装置によれば、前記軟化剤のブリードによる種々の画像不良等を生じることなしに、常に良好な画像を形成することができる。
本発明によれば、軟化剤のブリードによる種々の画像不良や、あるいは多孔質構造を導入することによる種々の問題等を生じることなしに、低硬度で柔軟性に優れる上、リサイクル等も容易なローラ本体を備え、画像形成装置の転写ローラ等として好適に使用しうる導電性ローラと、前記導電性ローラを備えた画像形成装置とを提供することができる。
本発明の導電性ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1の例の導電性ローラを転写ローラとして組み込んだ、画像形成装置としてのレーザープリンタの一例の内部構成を説明する概略断面図である。 前記導電性ローラのローラ抵抗値を測定する方法を説明する図である。
〈熱可塑性エラストマ組成物〉
本発明の導電性ローラのもとになる熱可塑性エラストマ組成物は、マトリクス樹脂としてのスチレン系熱可塑性エラストマ、およびポリプロピレン、
ジエン系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋性ゴムを含み、かつ
軟化剤として水素添加ポリイソブテンを含むことを特徴とするものである。
(スチレン系熱可塑性エラストマ)
前記のうちスチレン系熱可塑性エラストマとしては、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマが好ましい。
前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマは、水素添加によって二重結合が飽和されているため低硬度で柔軟性に優れる上、耐久性にも優れている。そのため導電性ローラの耐久性を向上できる。
また、前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマは二重結合を含まないため、架橋性ゴムを動的架橋させる際に前記架橋を阻害するおそれがない上、自身は架橋されないため、動的架橋後の熱可塑性エラストマ組成物に所望の可塑性と柔軟性とを付与できる。
前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマとしては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、およびスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)からなる群より選ばれた少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマの水素添加物が好ましい。特にSEEPSの水素添加物が好ましい。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレンとしては、少なくともプロピレンを繰り返し単位として含む任意のポリマ、すなわちプロピレンのホモポリマや、前記プロピレンとエチレン、ブテン−1等とのコポリマなどがいずれも使用可能である。
前記ポリプロピレンは、特に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマとの併用系において、熱可塑性エラストマ組成物の成形時等の加工性を向上する働きをする。また、後述する導電性エラストマ等と相溶化しやすいという利点もある。
(架橋性ゴム)
架橋性ゴムのうちジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、およびアクロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等の1種または2種以上が挙げられる。
またエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)としては、繰り返し単位としてエチレン、プロピレン、およびジエンを少なくとも含む三元以上の共重合ゴムがいずれも使用可能である。
前記架橋性ゴムとしては、前記ジエン系ゴム、およびEPDMのうち、特にEPDMが好ましい。前記EPDMは、主鎖が飽和炭化水素からなり二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気、紫外線を含む光照射等の環境下に長時間曝されても主鎖の切断が起こりにくい。そのため導電性ローラの耐オゾン性、耐紫外線性、耐熱性等を向上できる。
水素添加ポリイソブテン
水素添加ポリイソブテンは、先に説明したように、特にスチレン系熱可塑性エラストマとの相溶性に優れている上、分子中に二重結合を含まない、化学的に不活性で安定した構造を有しているため、たとえオイルと同等程度の分子量を有するものであっても、オイルに比べてブリードを防止する効果に優れており、軟化剤として使用可能である。
しかしブリードをより一層確実に防止することを考慮すると、水素添加ポリイソブテンとしては、軟化剤として通常に用いられるオイルよりも分子量の大きいものを用いるのが好ましい。
中でも、軟化剤として広く普及しているパラフィン系オイル〔出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW−380、数平均分子量:750〕よりも数平均分子量が大きい水素添加ポリイソブテン、特に数平均分子量が980以上である水素添加ポリイソブテンを使用するのが好ましい。
なお水素添加ポリイソブテンの数平均分子量は、2650以下であるのが好ましい。数平均分子量が前記範囲を超える高分子量の水素添加ポリイソブテンは粘度が高すぎるため、マトリクス樹脂その他の成分と混練して熱可塑性エラストマ組成物を調製するために特殊な機器を要する上、成形時等の加工性が低下するといった問題を生じるおそれがある
素添加ポリイソブテンとしては、例えば日油(株)製のパールリーム(登録商標)18(数平均分子量:1000)、パールリーム24(数平均分子量:1350)等の少なくとも1種が挙げられる。
前記各成分を含む熱可塑性エラストマ組成物を原材料として導電性熱可塑性エラストマ組成物を調製し、前記導電性熱可塑性エラストマ組成物を用いて、画像形成装置の転写ローラ等として使用できる本発明の導電性ローラを作製す
〈導電性熱可塑性エラストマ組成物〉
本発明の導電性ローラのもとになる導電性熱可塑性エラストマ組成物は、前記熱可塑性エラストマ組成物中で架橋性ゴムを動的架橋させるとともに、さらにイオン導電性エラストマ、およびイオン導電性塩を所定の割合で配合することによって調製される。
架橋性ゴムを動的架橋させるためには、例えば前記熱可塑性エラストマ組成物にさらに架橋剤(加硫剤)を加えて、加熱下で混練すればよい。これにより、架橋性ゴムがマトリクス樹脂中に微細分散した状態で加硫される。
(架橋性ゴムの架橋剤)
架橋剤としては、架橋性ゴムを架橋反応させることができる種々の架橋剤が使用可能である。前記架橋剤としては、特に樹脂架橋剤が好ましい。
樹脂架橋剤は、加熱によって架橋性ゴムに架橋反応を起こさせることができる合成樹脂であり、通常の硫黄架橋系(硫黄と加硫促進剤等との併用系)のようにブルームを生じない上、架橋性ゴムの架橋後の圧縮永久ひずみや機械的特性の低下を小さくでき、耐久性を向上できるといった利点を有している。
また樹脂架橋剤によれば、硫黄架橋系に比べて架橋時間を短くできる。そのため、例えば熱可塑性エラストマ組成物のもとになる各成分を押出機内で加熱しながら混練して架橋性ゴムを動的架橋させる際に、前記押出機内に滞留している短い時間内で架橋反応を十分に進行させることができる。
樹脂架橋剤としては、フェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等の1種または2種以上が挙げられ、特にフェノール樹脂が好ましい。
またフェノール樹脂としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノールもしくはレゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドもしくはフルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が好ましい。フェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂を用いることもできる。
特にベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールとホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、架橋性ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富み、架橋反応の開始時間を比較的早くできるため好ましい。
アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基としては炭素数が1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基が好ましい。またアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。
さらに硫化−p−tert−ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
(イオン導電性エラストマ)
イオン導電性エラストマとしては、エチレンオキサイド(EO)単位、プロピレンオキサイド(PO)単位、およびアリルグリシジルエーテル(AGE)単位のうちの2つ以上を含む共重合体の1種または2種以上が挙げられる。
中でもエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド(EO-PO)共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル(EO−PO−AGE)共重合体が好ましい。
前記2種の共重合体は、それぞれその分子中に含まれるエチレンオキサイド(EO)単位やプロピレンオキサイド(PO)単位、特にEO単位の機能によってイオン導電性塩由来のイオンを安定化させて、ローラ本体の電気抵抗値を低減させる働きをする。
EO−PO共重合体は、EO単位の含有率が55モル%以上、95モル%以下、特に65モル%以上、92モル%以下であるのが好ましい。
EO単位の含有率が前記範囲未満では、先に説明した、EO単位の機能によってイオン導電性塩由来のイオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。また含有率が前記範囲を超える場合にはEO単位が結晶化して、やはりイオン導電性塩由来のイオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。
またEO−PO−AGE共重合体は、EO単位の含有率が55モル%以上、95モル%以下、特に65モル%以上、92モル%以下であるのが好ましい。
EO単位の含有率が前記範囲未満では、先に説明した、EO単位の機能によってイオン導電性塩由来のイオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。また含有率が前記範囲を超える場合にはEO単位が結晶化して、やはりイオン導電性塩由来のイオンを安定化させる効果が十分に得られないおそれがある。
EO−PO共重合体、EO−PO−AGE共重合体の数平均分子量Mnは、いずれも10000以上、特に50000以上であるのが好ましい。数平均分子量Mnが前記範囲未満では、イオン導電性エラストマがローラ本体の外周面にブリードしたりブルームしたり、前記ブリードやブルームに伴ってイオン導電性塩がローラ本体の外周面にブルームしたりブリードしたりしやすくなり、感光体やトナー等を汚染するおそれがある。
前記イオン導電性エラストマとしては、架橋性を有するもの、具体的にはEO−PO−AGE共重合体等のAGE単位を有する共重合体を用い、前記イオン導電性エラストマを、架橋性ゴムとは別個に動的架橋させるのが好ましい。これにより、ローラ本体の導電性をさらに向上できる。
また、イオン導電性エラストマがローラ本体の外周面にブリードしたりブルームしたり、前記ブリードやブルームに伴ってイオン導電性塩がローラ本体の外周面にブルームしたりブリードしたりするのをより一層確実に防止できる。
イオン導電性エラストマを架橋性ゴムと別個に動的架橋させて導電性熱可塑性エラストマ組成物を調製するためには、例えば下記(1)〜(3)等の任意の方法を採用することができる。
(1) 先の熱可塑性エラストマ組成物中で架橋性ゴムを架橋させた後、イオン導電性エラストマ、その架橋剤、およびイオン導電性塩を所定の割合で配合してさらに加熱下で混練してイオン導電性エラストマを動的架橋させる。
(2) 逆に、先の熱可塑性エラストマ組成物から架橋性ゴムを除いた各成分に、イオン導電性エラストマ、その架橋剤、およびイオン導電性塩を所定の割合で配合し、加熱下で混練してイオン導電性エラストマを動的架橋させた後、架橋性ゴムとその架橋剤とを所定の割合で配合してさらに加熱下で混練して架橋性ゴムを動的架橋させる。
(3) 先の熱可塑性エラストマ組成物を加熱下で混練して架橋性ゴムを動的架橋させたものと、前記熱可塑性エラストマ組成物から架橋性ゴムを除いた各成分に、イオン導電性エラストマ、その架橋剤、およびイオン導電性塩を所定の割合で配合し、加熱下で混練してイオン導電性エラストマを動的架橋させたものとを所定の割合で配合する。
(イオン導電性エラストマの架橋剤、および架橋助剤)
前記イオン導電性エラストマを架橋させるための架橋剤としては、かかる機能を有する種々の架橋剤がいずれも使用可能である。前記架橋剤としては、特に過酸化物架橋剤が好ましい。
前記過酸化物架橋剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス[(tert−ブチル)パーオキシイソプロピル]ベンゼン、ジ(tert−ブチルパーオキシ)ベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジtert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキセン等の1種または2種以上が挙げられる。特にジ(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンが好ましい。
前記過酸化物架橋剤とともに架橋助剤を併用してもよい。架橋助剤は、自身が架橋するとともにイオン導電性エラストマとも反応して架橋して全体を高分子化する働きをする。前記架橋助剤を用いて共架橋することにより架橋密度を向上させることができる。
前記架橋助剤としては、例えば多官能性モノマー、メタクリル酸あるいはアクリル酸の金属塩、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、複素環ビニル化合物、アリル化合物、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマ類、ジオキシム類等の1種または2種以上が挙げられる。
詳しくはトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド等の1種または2種以上が挙げられ、特にN,N′−m−フェニレンビスマレイミドが好ましい。
(イオン導電性塩)
イオン導電性塩としては、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンと、陽イオンとの塩が好ましい。前記塩は、イオン導電性ゴムによるイオン導電性をさらに向上して、ローラ本体の電気抵抗値を低減する効果に優れている。
イオン導電性塩を構成する、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとしては、例えばフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン等が挙げられる。
また前記陰イオンとともにイオン導電性塩を構成する陽イオンとしてはナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属のイオンや、あるいはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族元素のイオン、遷移元素のイオン、両性元素の陽イオン、第4級アンモニウムイオン、イミダゾリウム陽イオン等が挙げられる。特にリチウムイオンと組み合わせたリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、CFSOLi、CSOLi、(CFSONLi、(CSONLi、(CSO)(CFSO)NLi、(FSO)(CFSO)NLi、(C17SO)(CFSO)NLi、(CFCHOSONLi、(CFCFCHOSONLi、(HCFCFCHOSONLi、〔(CFCHOSONLi、(CFSOCLi、および(CFCHOSOCLiからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
中でも前記効果の点で、CFSOLi(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、(CFSONLi〔ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム〕が好ましく、特にトリフルオロメタンスルホン酸リチウムが好ましい。
イオン導電性塩は、あらかじめイオン導電性エラストマ中に分散させた状態で、前記熱可塑性エラストマ組成物を構成する他の成分と配合するのが好ましい。これによりイオン導電性塩を、イオン導電性エラストマ中により一層良好に偏在させた状態で、導電性熱可塑性エラストマ組成物中に微細に分散させることができる。
そのためローラ本体のイオン導電性をさらに向上できる上、例えば導電性ローラに電界をかけつづける等してもイオン導電性塩がローラ本体の外周面に移動するのを抑制して、前記イオン導電性塩のブルームにより感光体等が汚染されるのを防止できる。
(相溶化剤)
導電性熱可塑性エラストマ組成物には、さらに相溶化剤を配合してもよい。
前記相溶化剤は、イオン導電性エラストマをマトリクス樹脂中に微細に分散させるとともに、イオン導電性塩を、前記イオン導電性エラストマとの良好な親和性に基づいて前記イオン導電性エラストマ中に偏在させた状態で前記マトリクス樹脂中に微細に分散させる働きをする。
前記相溶化剤としては、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、およびエチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
前記エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、および/またはエチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート共重合体は、アクリル酸エステル単位の含有率が0.1質量%以上、30質量%以下、中でも1質量%以上、20質量%以下、特に3質量%以上、15質量%以下であるのが好ましい。無水マレイン酸単位の含有率は0.05質量%以上、20質量%以下、中でも0.1質量%以上、15質量%以下、特に1質量%以上、10質量%以下であるのが好ましい。またグリシジルメタクリレート単位の含有率は0.05質量%以上、20質量%以下、中でも0.1質量%以上、15質量%以下、特に1質量%以上、10質量%以下であるのが好ましい。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の1種または2種以上が挙げられる。
(ポリエステル系熱可塑性エラストマ)
導電性熱可塑性エラストマ組成物には、さらにポリエステル系熱可塑性エラストマを配合してもよい。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマは、ローラ本体の電気抵抗値を調整しやすくする働きをする。しかもポリエステル系熱可塑性エラストマは、架橋性ゴムを動的架橋させる際に前記架橋を阻害するおそれがない。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマとしては、硬度、弾性率、加工性などによって分類される適当なグレードのものを使用することができる。例えば、ポリエステルポリエーテル系熱可塑性エラストマまたはポリエステルポリエステル系熱可塑性エラストマ等が挙げられ、複数種を混合しても良い。
中でもポリエステル系熱可塑性エラストマとしては、高融点ポリエステル構成成分と低融点ソフトセグメント構成成分とからなる熱可塑性エラストマが好ましい。より具体的には、高融点ポリエステル構成成分だけで重合体を形成した場合の融点が150℃以上であり、低融点ソフトセグメント構成成分のみで測定した場合の融点ないし軟化点が80℃以下であるポリエステル系熱可塑性エラストマが好ましい。
特にポリエステル系熱可塑性エラストマとしては、芳香環を有するポリエステルからなるハードセグメントとポリエーテルおよび/またはポリエステルからなるソフトセグメントとから構成される共重合体が好ましい。
芳香環を有するポリエステルからなるハードセグメントの構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル等の賛成成分と、炭素数が1〜25のグリコールまたはそのエステル形成性誘導体とが挙げられる。
前記酸性成分としてはテレフタル酸が好ましい。特にテレフタル酸を単独で用いるのがより好ましいが、その他の酸成分と必要に応じて組み合わせることもできる。テレフタル酸とその他の酸成分を組み合わせて用いる場合、テレフタル酸が全酸成分の70モル%以上、好ましくは75モル%以上を占めることが好適である。
炭素数が1〜25のグリコールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
中でも、芳香環を有するポリエステルからなるハードセグメントの構成成分としてはポリブチレンテレフタレートが好ましい。
またポリエーテルからなるソフトセグメントとしては、例えばポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール等のポリアルキレンエーテルグリコールが挙げられる。アルキレン部分の炭素数は、前記例示化合物における2および4に限らず2〜20、特に2〜10であるのが好ましい。
ポリエステルポリエーテル系熱可塑性エラストマにおいて、ポリエーテルからなるソフトセグメントは全質量の15質量%以上、75質量%以下であるのが好ましい。
ポリエステルポリエーテル系熱可塑性エラストマは、ソフトセグメントである分子鎖の弾性率が低温低湿状態と高温高湿状態との間で変化しにくく安定しているため、導電性熱可塑性エラストマ組成物における抵抗値の環境依存性をより小さくできる。
ポリエステルからなるソフトセグメントとしてはラクトン類を用いることが好ましい。ラクトン類のなかでもカプロラクトンが最も好ましいが、その他としてエナンラクトンまたはカプリロテクトン等も使用することができ、これらラクトン類の2種以上を併用することもできる。
ポリエステルポリエステル系熱可塑性エラストマにおいて、芳香族ポリエステルとラクトン類との共重合割合は用途に応じて選定され得るが、標準的な比率としては質量比で芳香族ポリエステル/ラクトン類が97/3〜5/95、より一般的には95/5〜30/70の範囲であるのが好ましい。
(その他の成分)
導電性熱可塑性エラストマ組成物には、さらに充填剤を配合してもよい。
充填剤は、ローラ本体の機械的強度を高めるために機能する。
前記充填剤としては、シリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の1種または2種以上が挙げられる。
また導電性熱可塑性エラストマ組成物には、さらに発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、および気泡防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の添加剤を配合してもよい。
(各成分の配合割合)
前記各成分の配合割合は任意に設定できる。
ただしマトリクス樹脂のうちスチレン系熱可塑性エラストマの配合割合は、架橋性ゴム100質量部あたり10質量部以上、特に30質量部以上であるのが好ましく、100質量部以下、特に70質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、導電性熱可塑性エラストマ組成物に良好な熱可塑性を付与できないおそれがある。また架橋性ゴムの架橋物やイオン導電性エラストマ、イオン導電性塩等の各成分を、マトリクス樹脂中に良好に分散できないおそれもある。
またスチレン系熱可塑性エラストマは、先に説明したように水素添加ポリイソブテンとの相溶性に優れており、前記水素添加ポリイソブテンの吸着成分として機能する。そのため、配合割合が前記範囲未満では、導電性熱可塑性エラストマ組成物に対する水素添加ポリイソブテンの相溶性が低下して、その一部が相溶化しなくなるおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、相対的に架橋性ゴムの架橋物の量が少なくなるため、ローラ本体に良好な機械的特性や耐久性を付与できないおそれがある。また水素添加ポリイソブテンンの量が少なくなるため、ローラ本体に良好な柔軟性を付与できないおそれもある。さらに、相対的にイオン導電性エラストマやイオン導電性塩の量が少なくなるため、ローラ本体に良好な導電性を付与できないおそれもある。
ポリプロピレンの配合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり5質量部以上、特に10質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、先に説明した、熱可塑性エラストマ組成物、ひいては導電性熱可塑性エラストマ組成物の成形時等の加工性を向上する効果が不十分になるおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、ローラ本体の柔軟性が低下するおそれがある。
水素添加ポリイソブテンの配合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり300質量部以下である必要がある。
配合割合がこの範囲を超える場合には、導電性熱可塑性エラストマ組成物に対する水素添加ポリイソブテンの相溶性が低下して、その一部が相溶化しなくなってブリードするおそれがある。
なお水素添加ポリイソブテンの配合割合は、上記範囲でもスチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり150質量部以上、特に200質量部以上であるのが好まし
配合割合が前記範囲未満では、水素添加ポリイソブテンを軟化剤として機能させて、ローラ本体に柔軟性を付与する効果が十分に得られないおそれがある。また、押出成形によって形成される、ローラ本体のもとになる円筒体の外周面に凹凸を生じたりするおそれもある
これに対し、配合割合が前記範囲内であれば、ブリードや前記各種の問題等を生じることなしに、ローラ本体に良好な柔軟性を付与することができる。
なおスチレン系熱可塑性エラストマは、前記のように水素添加ポリイソブテンの吸着成分として機能するため、前記スチレン系熱可塑性エラストマの配合割合を、水素添加ポリイソブテン基準で規定することもできる。
すなわちスチレン系熱可塑性エラストマの配合割合は、水素添加ポリイソブテン100質量部あたり25質量部以上、中でも28質量部以上、特に33質量部以上であるのが好ましく、70質量部以下、中でも67質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、スチレン系熱可塑性エラストマによって、水素添加ポリイソブテンを十分に吸着させることができないため、前記水素添加ポリイソブテンのブリードが発生するおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、相対的に水素添加ポリイソブテンの量が少なくなるため、前記水素添加ポリイソブテンを軟化剤として機能させて、ローラ本体に柔軟性を付与する効果が十分に得られないおそれがある。
イオン導電性エラストマの配合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり10質量部以上、特に30質量部以上であるのが好ましく、70質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、イオン導電性エラストマによる、先に説明したイオン導電性塩由来のイオンを安定化させる効果が十分に得られず、ローラ本体に良好な導電性を付与できないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のイオン導電性エラストマがローラ本体の外周面にブルームしたりブリードしたりするおそれもある。
イオン導電性塩の配合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、ローラ本体に良好な導電性を付与できないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のイオン導電性塩がローラ本体の外周面にブルームしたりブリードしたりするおそれもある。
相溶化剤の配合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり1質量部以上、特に5質量部以上であるのが好ましく、30質量部以下、特に20質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、相溶化剤の機能が不足して、イオン導電性エラストマをマトリクス樹脂中に微細に分散できないため、前記イオン導電性エラストマが、押出成形時に、ローラ本体のもとになる円筒体の外周面において押出方向に沿って筋状に分離したりするおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、逆にローラ本体の強度が低下したり硬度が上昇したりするおそれがある。
ポリエステル系熱可塑性エラストマの配合割合は、スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、70質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、ポリエステル系熱可塑性エラストマを配合することによる先に説明した効果が十分に得られないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、ローラ本体の強度が低下したり硬度が上昇したりするおそれがある。
樹脂架橋剤等の、架橋性ゴムの架橋剤の配合割合は、前記架橋性ゴム100質量部あたり2質量部以上、特に5質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下、特に15質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、架橋性ゴムの架橋が不十分となって、ローラ本体に良好な機械的特性や耐久性を付与できないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には架橋性ゴムの架橋物が硬くなりすぎて、ローラ本体の柔軟性が低下するおそれがある。
過酸化物架橋剤等の、イオン導電性エラストマの架橋剤の配合割合は、前記イオン導電性エラストマ100質量部あたり1質量部以上、特に5質量部以上であるのが好ましく、15質量部以下、特に10質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、先に説明した架橋させる効果が十分に得られないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には分子切断による機械的特定の低下が起こったり、分散不良等を生じて、成形時等の加工性が低下したりするおそれがある。
架橋助剤の配合割合は、イオン導電性エラストマ100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.3質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下、特に1質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、架橋助剤を配合することによる先に説明した効果が十分に得られないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、成形時等の加工性が低下したり、ローラ本体の導電性が低下(抵抗値が上昇)したりするおそれがある。
充填剤の配合割合は、架橋性ゴム100質量部あたり1質量部以上、特に5質量部以上であるのが好ましく、30質量部以下、特に20質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、前記充填剤を配合することによる先に説明した効果が十分に得られないおそれがある。
一方、配合割合が前記範囲を超える場合には、ローラ本体の柔軟性が低下するおそれがある。
その他の成分の配合割合は、任意に設定することができる。
(導電性熱可塑性エラストマ組成物の調製)
イオン導電性エラストマと架橋性ゴムとを別個に動的架橋させて、前記各成分を含む導電性熱可塑性エラストマ組成物を調製するには、先に説明した(1)〜(3)等の任意の方法を採用することができる。
混練には押出機、バンバリミキサ、ニーダ等を用いることができ、特に押出機が好ましい。押出機を用いる場合、前記押出機のスクリュー部内で、混合物を連続的に加熱しながら混練して架橋性ゴムやイオン導電性エラストマを動的架橋させて混練物を調製でき、前記混練物をノズル先端から順次押し出して連続的に次工程(例えばペレット化の工程等)に送ることができるため、導電性熱可塑性エラストマ組成物の生産性を向上できる。
架橋性ゴムはハロゲンの存在下で動的架橋させるのが好ましい。そのためには、ハロゲン化された樹脂架橋剤を用いればよい。また塩化第二スズ、塩化第二鉄、塩化第二銅等のハロゲン供与性物質を添加してもよい。
〈導電性ローラ〉
図1は、本発明の導電性ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の導電性ローラ1は、前記導電性熱可塑性エラストマ組成物からなる円筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを備えている。
前記ローラ本体2は、前記導電性熱可塑性エラストマ組成物を、押出成形機を用いて加熱しながら混練して溶融させた状態で、前記ローラ本体2の断面形状、すなわち円環状に対応するダイを通して長尺の円筒状に押出成形し、冷却して固化させたのち所定の長さにカットして製造される。押出成形の条件は任意に設定できる。
ローラ本体2またはその前駆体である筒状体の外周面5は、研磨処理等をして所定の表面粗さ、および外径に調整してもよい。
シャフト4は、導電性ローラ1を構成するために導電性とされる。前記導電性のシャフト4としては、例えばアルミニウムやその合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されたものが好ましい。またセラミックや硬質樹脂等によって形成し、その外周面に、ローラ本体2と電気的に接続される導電膜等を設けた複合構造のシャフト4も好ましい。
ローラ本体2の外周面5は、コーティング層で被覆してもよい。前記コーティング層は、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂等のエマルションや溶液、あるいはゴムラテックス等にフッ素樹脂の粉末等を分散させたコーティング剤を塗布し、乾燥し、さらに必要に応じて焼きつけて形成できる。前記コーティング層で被覆することにより、外周面5の表面エネルギーをコントロールして、前記外周面5に紙粉が付着したりトナーが固着したりするのを抑制したり、摩擦係数や表面抵抗を調整したりすることができる。
〈画像形成装置〉
本発明の画像形成装置は、前記本発明の導電性ローラを備えることを特徴とする。
本発明では、前記導電性ローラを、先に説明した各工程の下記いずれのローラとして使用することもできる。
帯電工程で感光体の表面を帯電させる帯電ローラ。
現像工程のうち、トナーの帯電過程でトナーをかく拌しながら帯電させる帯電ローラ。
現像工程のうち、静電潜像への付着過程で帯電させたトナーを感光体表面の静電潜像に選択的に付着させてトナー像に現像する現像ローラ
転写工程で、前記トナー像を紙または中間転写ベルトの表面に転写させる転写ローラ。
クリーニング工程で、感光体、転写ベルト、もしくは中間転写ベルトの表面に残留したトナーを除去するクリーニングローラ。
特に、先に説明したように本発明の導電性ローラは、軟化剤として水素添加ポリイソブテンを用いていることにより、前記軟化剤の、ローラ本体の外周面へのブリードと、感光体等への移行とを生じないため、前記感光体に直接に、あるいは転写ベルト、中間転写ベルトを介して接触する転写ローラとして好適に使用することができる。
図2は、図1の例の導電性ローラを転写ローラとして組み込んだ、画像形成装置としてのレーザープリンタの一例の内部構成を説明する概略断面図である。
図2を参照して、この例のレーザープリンタ6は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(B)の各色のトナーからなるトナー像を重ねてフルカラー画像を形成する、フルカラー対応のレーザープリンタであって、一対のベルト駆動ローラ7、8間に掛け渡された転写ベルト9を備えている。
前記転写ベルト9は、ベルト駆動ローラ7、8を、図中に実線の矢印で示す方向に一定速度で回転させることで、図において転写ベルト9の右方向に配設された給紙部から1枚ずつ供給される紙(いずれも図示せず)を、図中に一点鎖線の矢印で示すように左方向に一定速度で搬送するためのものである。
前記転写ベルト9の、前記一点鎖線の矢印で示す紙の搬送途上の4箇所には、前記転写ベルト9上を搬送される紙の表面に、前記各色のトナー像を重ねてフルカラー画像を形成するための、4つの画像形成ユニット10〜13が配設されている。
前記4つの画像形成ユニット10〜13は、紙の搬送方向の上流側(右側)から下流側(左側)へかけてイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびブラック(B)の順に配設されている。
各画像形成ユニット10〜13は、それぞれドラム状の感光体14を備えている。なお以下では、右端の画像形成ユニット10についてのみ説明するが、その他の画像形成ユニット11〜13についても、同様の部材により同様に構成されている。
感光体14の周囲には、その表面を一様に帯電させるための帯電ローラ15、帯電させた表面を露光して静電潜像を形成するための露光部16、前記静電潜像にトナーを接触させてトナー像に現像するための現像ローラ17が、順に配設されている。
また現像ローラ17の背後には、各色のトナーを収容した容器18から、一定量のトナーを帯電させながら現像ローラ17に供給するための供給ローラ19が設けられている。
感光体14は、転写ベルト9の表面に接触させて設けられている。また転写ベルト9の、前記感光体14が接触された表面と反対面には、各画像形成ユニット10〜13ごとに、本発明の導電性ローラ1が、転写ローラとして配設されている。各導電性ローラ1は、対応する感光体14に対して、前記転写ベルト9をはさんで所定の圧接力で圧接させた状態で配設されている。
前記各部を備えたこの例のレーザープリンタ6を用いて、紙の表面にフルカラー画像を形成するには、まずベルト駆動ローラ7、8を、図中に実線の矢印で示す方向に一定速度で回転させることで、先に説明した図示しない給紙部から、紙を1枚ずつ、図中に一点鎖線の矢印で示すように左方向に一定速度で搬送する。
また各画像形成ユニット10〜13を、前記紙の搬送タイミングに合わせて順次駆動させて、それぞれの感光体14の表面に、各色のトナー像を形成する。
そして各感光体14と、対応する導電性ローラ1との間に所定の電位差を生じさせた状態で、両者の間に転写ベルト上を搬送される紙を通過させることで、前記感光体14の表面に形成されたトナー像を、前記電位差に基づいて紙表面に転写させる。
この操作を、各画像形成ユニット10〜13ごとに行うことで、前記紙の表面に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(B)の各トナーからなるフルカラー画像が形成される。
このあと紙を、図示しない定着部に送って、前記フルカラー画像を前記紙の表面に定着させると一連の画像形成が完了する。
前記各部を備えたこの例のレーザープリンタ6においては、前記のように本発明の導電性ローラ1を転写ローラとして用いているため、軟化剤のブリードによる種々の画像不良等を生じることなしに、常に良好な画像を形成することができる。
なお本発明の画像形成装置は、図の例のレーザープリンタには限定されない。例えば画像形成ユニットを1つのみ備えたモノクロ対応のレーザープリンタに、本発明の構成を適用することもできる。前記モノクロ対応のレーザープリンタは転写ベルトを有していてもよいし、転写ベルトを有さず、転写ローラを直接に、感光体の表面に接触させていてもよい。
また、転写ベルトに代えて中間転写ベルトを備えたフルカラー対応、あるいはモノクロ対応のレーザープリンタに、本発明の構成を適用してもよい。
さらに画像形成装置はレーザープリンタには限定されず、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等であってもよい。
その他、本発明の用紙を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
(ローラ抵抗値)
前記転写ローラとして本発明の導電性ローラ1を使用する場合、前記導電性ローラ1は、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下で測定される、印加電圧2000Vでのローラ抵抗値が1010Ω以下、特に10Ω以下であるのが好ましい。
図2は、導電性ローラ1のローラ抵抗値を測定する方法を説明する図である。
図1、図2を参照して、本発明では前記ローラ抵抗値を、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
すなわち一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム20を用意し、前記アルミニウムドラム20の外周面21に、その上方から、ローラ抵抗値を測定する導電性ローラ1の、ローラ本体2の外周面5を当接させる。
また前記導電性ローラ1のシャフト4とアルミニウムドラム20との間に直流電源22、および抵抗23を直列に接続して計測回路24を構成する。直流電源22は、(−)側をシャフト4、(+)側を抵抗23と接続する。抵抗23の抵抗値rは、ローラの抵抗値に応じて100Ω〜10kΩの範囲で調整する。
次いでシャフト4の両端部にそれぞれ300gの荷重Fをかけてローラ本体2をアルミニウムドラム20に圧接させた状態で、前記アルミニウムドラム20を回転(回転数:75rpm)させながら、前記両者間に、直流電源22から直流2000Vの印加電圧Eを印加した際に、抵抗23にかかる検出電圧Vを計測する。
前記検出電圧Vと印加電圧E(=2000V)とから、導電性ローラ1のローラ抵抗Rは、基本的に式(i′):
R=r×E/(V−r) (i′)
によって求められる。ただし式(i′)中の分母中の(−r)の項は微小とみなすことができるため、本発明では式(i):
R=r×E/V (i)
によって求めた値でもって導電性ローラ1のローラ抵抗値とすることとする。
比較例1
(導電性熱可塑性エラストマ組成物の調製)
架橋性ゴムとしてのEPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM670F〕のペレットに、
* 水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ〔SEEPSの水素添加物、(株)クラレ製のセプトン(登録商標)4077〕、
* ポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製のノバテック(登録商標)PP〕、
* 軟化剤としてのポリブテン〔前出の日油(株)製の日油ポリブテン30N、数平均分子量:1350〕、および
* 樹脂架橋剤〔臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製のタッキロール(登録商標)250−III〕、
を加えて、タンブラーを用いてドライブレンドした。
次いで前記ブレンド物を、2軸押出機〔(株)アイペック製のHTM38〕のスクリュー部内で、回転数200rpm、設定温度200℃で加熱しながら混練して架橋性ゴムを動的架橋させながらノズル先端から押し出し、連続的に所定の長さにカットしてペレット化した。
次に前記ペレットに、
* イオン導電性エラストマとしてのEO−PO−AGE共重合体〔日本ゼオン(株)製のゼオスパン(登録商標)8030〕、
* 前記EO−PO−AGE共重合体中にイオン導電性塩としてのトリフルオロメタンスルホン酸リチウム〔三光化学工業(株)製〕を練りこんで分散させた混合物〔イオン導電性エラストマ:イオン導電性塩(質量比)=10:1〕、
* 相溶化剤としてのエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体〔アルケマ社製のボンダイン(登録商標)LX4110〕、
* 過酸化物架橋剤としてのジ(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン〔日油(株)製のパーブチル(登録商標)P〕、
* 架橋助剤としてのN,N′−m−フェニレンビスマレイミド〔川口化学工業(株)製のアクター(登録商標)PBM−R〕、
* ポリエステル系熱可塑性エラストマ〔東レ・デュポン(株)製のハイトレル(登録商標)3078〕、
* 充填剤としてのカーボンブラック〔東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕、および
* 顔料としての酸化チタン〔チタン工業(株)製のクロノスKR−380N〕
を加えて、タンブラーを用いてドライブレンドした。
次いで前記ブレンド物を、2軸押出機〔(株)アイペック製のHTM38〕のスクリュー部内で、回転数200rpm、設定温度200℃で加熱しながら混練してイオン導電性エラストマを動的架橋させながらノズル先端から押し出し、連続的に所定の長さにカットして導電性熱可塑性エラストマ組成物のペレットを作製した。
前記導電性熱可塑性エラストマ組成物を構成する各成分の配合量は、表1に示すとおりとした。
Figure 0005711549
次に前記ペレットを、単軸押出成形機〔(株)サンエヌティー製、φ50〕のスクリュー部内で、回転数20rpm、ノズル先端部の設定温度200℃で加熱しながら混練して溶融させた状態で、前記スクリュー部の先端に接続した代の口金を通して筒状に押出成形して、ローラ本体のもとになる筒状体を作製した。筒状体の外径は12.5mm、内径は4.6mmであった。
得られた筒状体の通孔にステンレス鋼製のシャフトを圧入し、次いで前記筒状体を長さ216mmにカットして導電性ローラを製造した。
実施例1
軟化剤として、ポリブテンに代えて、水素添加ポリイソブテン〔前出の日油(株)製のパールリーム(登録商標)24、数平均分子量:1350〕を配合するとともに、その配合量を75質量部としたこと以外は比較例1と同様にして導電性熱可塑性エラストマ組成物のペレットを作製し、導電性ローラを製造した。
〈実施例2〜4、比較例2
軟化剤としての水素添加ポリイソブテンの配合量を100質量部(実施例3)、125質量部(実施例4)、150質量部(実施例5)、および175質量部(比較例2)としたこと以外は実施例1と同様にして導電性熱可塑性エラストマ組成物のペレットを作製し、導電性ローラを製造した。
比較例3
軟化剤として、ポリブテンに代えて、同量のパラフィン系オイル〔前出の出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW−380、数平均分子量:750〕を配合したこと以外は比較例1と同様にして導電性熱可塑性エラストマ組成物のペレットを作製し、導電性ローラを製造した。
比較例4
軟化剤として、ポリブテンに代えて、同量のパラフィン系オイル〔前出の出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW−380、数平均分子量:750〕を配合するとともに、熱膨張性マイクロカプセル〔松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフェアー(登録商標)F170D〕1.5質量部を配合したこと以外は比較例1と同様にして導電性熱可塑性エラストマ組成物のペレットを作製し、導電性ローラを製造した。
〈ブリード評価〉
実施例、比較例で製造した導電性ローラを転写ローラとして、レーザープリンタ〔ヒューレットパッカード社製のHP LaserJet P1606 dn〕に組み込み、温度30℃、相対湿度80%の環境下でA4サイズの紙〔富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製のPPC用紙〕を1%印字設定で3000枚通紙後に黒ベタ印刷した。そして白抜けの有無を観察して、下記の基準で、ローラ本体にブリードが発生しているか否かを評価した。
○:白抜けは全く見られなかった。ブリードは全く発生していないと評価した
×:明らかな白抜けが見られたものだけでなく、ごく僅かでも白抜けが見られたものもブリードが発生していると評価した。
〈押出成形時の加工性評価〉
実施例、比較例で作製した導電性熱可塑性エラストマ組成物のペレットを用いて、前記のように押出成形によって作製した、ローラ本体のもとになる筒状体の外周面を観察して、下記の基準で押出成形時の加工性を評価した。
○:筒状体の外周面は良好で全く問題は見られなかった。加工性は極めて良好と評価した。
△:筒状体の外周面に凹凸が見られたが、ごく僅かであった。加工性は、製品使用には問題ないレベルと評価した。
×:押出成形の途中で筒状体が途切れて良好な成形が困難であった。また得られた筒状体の外周面にははっきりとした凹凸が見られた。加工性は不良と評価した。
〈硬さ測定〉
実施例、比較例で作製した導電性熱可塑性エラストマ組成物のJIS−A硬さを、日本工業規格JIS K6253に準拠して、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定した。JIS−A硬さが45以下のものを柔軟性良好とした。
以上の結果を表2、表3に示す。
Figure 0005711549
Figure 0005711549
表3の比較例3の結果より、軟化剤としてパラフィン系オイルを配合した場合には、特に高温高湿環境下で前記パラフィン系オイルのブリードが発生することが判った。また比較例4の結果より、軟化剤としてパラフィン系オイルを配合するとともに、さらに熱膨張性マイクロカプセルを配合した場合には、押出成形時の加工性が低下することが判った。
これに対し、表2、表3の実施例1〜4の結果より、前記パラフィン系オイルに代えて、軟化剤として水素添加ポリイソブテンを配合した場合には、良好な加工性を維持しながら、前記高温高湿環境下でのブリードの発生を抑制できることが判った。
また実施例1と比較例1の結果より、軟化剤としては、ポリブテンよりも水素添加ポリイソブテンの方がブリードを生じないことが判った。
さらに実施例1〜4、比較例2の結果より、前記水素添加ポリイソブテンの配合割合は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり300質量部以下である必要があり、かかる範囲内でも150質量部以上、特に200質量部以上であるのが好ましことが判った。
1 導電性ローラ
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
6 レーザープリンタ
7、8 ベルト駆動ローラ
9 転写ベルト
10〜13 画像形成ユニット
14 感光体
15 帯電ローラ
16 露光部
17 現像ローラ
18 容器
19 供給ローラ
20 アルミニウムドラム
21 外周面
22 直流電源
23 抵抗
24 計測回路

Claims (3)

  1. マトリクス樹脂としてのスチレン系熱可塑性エラストマ、およびポリプロピレン、
    ジエン系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋性ゴム、ならびに
    軟化剤としての、前記スチレン系熱可塑性エラストマ100質量部あたり300質量部以下の水素添加ポリイソブテンを含む熱可塑性エラストマ組成物中で前記架橋性ゴムを動的架橋させるとともに、さらにイオン導電性エラストマ、およびイオン導電性塩を含有させた導電性熱可塑性エラストマ組成物からなるローラ本体を備えることを特徴とする導電性ローラ。
  2. 前記イオン導電性エラストマは架橋性を有し、前記架橋性ゴムとは別個に動的架橋されている請求項1に記載の導電性ローラ。
  3. 請求項1または2に記載の導電性ローラを備えることを特徴とする画像形成装置。
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