JP2005036143A - 架橋効率向上用組成物及びそれを含む熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

架橋効率向上用組成物及びそれを含む熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱可塑性エラストマーを架橋剤を用いて動的架橋する際に、架橋効率を向上することができ、かつ得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善することができる架橋効率向上用組成物、及びそれを含む熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の架橋効率向上用組成物は、(a)エチレン系共重合体ゴム100重量部、(b)結晶性オレフィン系樹脂20〜300重量部、および(c)架橋剤2〜30重量部を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋効率向上用組成物に関する。特に、本発明は、熱可塑性エラストマーを架橋剤を用いて動的架橋する際に、架橋効率を向上することができ、かつ得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善することができる架橋効率向上用組成物に関する。また、本発明は、該架橋効率向上用組成物を含む熱可塑性エラストマー組成物にも関する。
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性及びリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
熱可塑性エラストマーの中でも、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
また、これらのエラストマー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラストマーとして、さらに広く多用されている。
しかしながら、これらの水素添加ブロック共重合体を用いた熱可塑性エラストマー組成物は、なおもゴム的特性、例えば、耐油性、加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があり、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
しかしながら、上記特許文献に開示されている水添ブロック共重合体の架橋組成物は、高温時、特に100℃以上における圧縮永久歪みがなおも不十分であり、機械強度が低下し易いという問題があり、従来の加硫ゴム用途で要求されている性能レベルに到達していないのが現状である。また押出成形では、高温時の溶融張力が低いために形状保持性が悪化し、射出成形では成形サイクルが長くなるなど、成形加工面の問題点も多い。
また、高温の圧縮永久歪みや耐油性が改善されたものとして、オレフィン樹脂及びオレフィン共重合体ゴムを動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物も多数知られている(例えば、特許文献6〜13)。しかし、これらの組成物も高温の圧縮永久歪みが十分ではない。これを改善するためには高ムーニー粘度のゴムを使用する必要があるが、そうすると押出・射出成形性が劣るという問題が生じる。また、環境面を考慮してハロゲン系の架橋剤や架橋促進剤を用いない場合には、動的架橋において混練時間が長くなるという問題もある。
特開昭59−6236号公報 特開昭63−57662号公報 特公平3−49927号公報 特公平3−11291号公報 特公平6−13628号公報 特公昭61−26641号公報 特開平2−113046号公報 特開平3−17143号公報 特開平3−234744号公報 特開平1−132643号公報 特開平2−255733号公報 特開2002−220493号公報 特表2001−524563号公報
本発明者らは、上記の欠点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性エラストマーを架橋剤を用いて動的架橋する際に特定の組成物を添加すると、相容性が良く、高温領域における圧縮永久歪みおよび成形加工性がより向上し、柔軟かつオイルブリードの起こらない熱可塑性エラストマー組成物をより短い混練時間で得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、
(a)エチレン系共重合体ゴム100重量部、
(b)結晶性オレフィン系樹脂20〜300重量部、
(c)架橋剤2〜30重量部
を含むことを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(a)エチレン系共重合体ゴムのムーニー粘度が10〜180(ML1+4、125℃)であることを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、(c)架橋剤がフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれか1つの発明において、(c)架橋剤がアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂であることを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれか1つの発明において、(d)架橋促進剤0.01〜0.5重量部をさらに含むことを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、熱可塑性エラストマーと架橋剤からなる組成物(A)100重量部および第1〜5のいずれか1つの発明で得られた架橋効率向上用組成物2〜30重量部を含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、熱可塑性エラストマーと架橋剤からなる組成物(A)が、
(a)エチレン系共重合体ゴム100重量部、
(b)結晶性オレフィン系樹脂20〜300重量部、
(c)架橋剤2〜30重量部
を含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、組成物(A)における(c)架橋剤がフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7又は8の発明において、組成物(A)における(c)架橋剤がアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂であることを特徴とする架橋効率向上用組成物が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第7〜9のいずれか1つの発明において、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(B)架橋促進剤0.01〜0.5重量部をさらに含むことを特徴とする記載の熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第7〜10のいずれか1つの発明において、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(C)非芳香族系ゴム用軟化剤10〜300重量部をさらに含むことを特徴とする記載の熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第7〜11のいずれか1つの発明において、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(D)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、および共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体3〜80重量部をさらに含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第7〜12のいずれか1つの発明において、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(E)有機過酸化物0.01〜0.5重量部をさらに含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
本発明の架橋効率向上用組成物は、熱可塑性エラストマーを架橋剤を用いて動的架橋する際に、架橋効率を向上することができ、かつ得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善することができる。
以下、本発明の架橋効率向上用組成物の構成成分および製造、ならびに該架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマーおよびその用途について詳細に説明する。
1. 架橋効率向上用組成物の構成成分
成分(a):
成分(a)はエチレン系共重合体ゴム(a)であり、例えば、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等のα−オレフィンが共重合してなるエラストマーあるいはこれらと非共役ジエンとが共重合してなるエチレン系共重合体ゴムが挙げられる。
上記非共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−ノルボルネン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等を挙げることができる。
エチレン系共重合体ゴム(a)の具体例としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。これらの中では、フェノール樹脂架橋剤の架橋性の点からエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。
成分(a)のエチレン含有量の範囲は、40〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは50〜75重量%である。特に60〜75重量%の範囲では、成分(a)の結晶性が高く、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が良好であり、架橋効率を向上する効果が高く、かつ架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が高いため非常に好ましい。また、非共役ジエン含有量は、0.5〜15重量%が好ましく、さらに好ましくは4〜8重量%である。
成分(a)は、そのムーニー粘度ML1+4(125℃)が10〜180であることが好ましく、より好ましくは20〜160である。成分(a)のムーニー粘度ML1+4(125℃)が10未満であると、得られる組成物の架橋による分子量の増大に限界があり、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。180を超えると、架橋による分子量の増大が著しく、架橋ゲル(ブツ)が生成しやすいことから、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。
また、成分(a)は、DSCにおける融点が50℃未満であることが好ましく、より好ましくは45℃未満、さらに好ましくは40℃未満である。ここで、DSCによる融点は、示差走査熱量計(DSC)によって得られるピークトップ融点であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求める値である。
成分(b):
成分(b)は結晶性オレフィン系樹脂であり、後述する熱可塑性エラストマー組成物の分散性を向上させて熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪み、成形性を向上させ、また熱可塑性エラストマー組成物を得る際の物性発現までの混練時間を短縮させる目的で用いられる。
成分(b)の例としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1等のオレフィンの単独重合体、またはこれらのオレフィンを主体とする共重合体が挙げられる。
これらの中で特に、エチレンもしくはプロピレンの単独重合体、またはエチレンもしくはプロピレンを主体とする結晶性の共重合体が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性エチレン系重合体、プロピレンホモ重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性プロピレン系共重合体が挙げられる。ここで、エチレンもしくはプロピレンの共重合体に用いるα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のα−オレフィン、例えば、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。エチレンもしくはプロピレンを主体とする結晶性の共重合体としては、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体等の結晶性エチレン系重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1三元共重合体等の結晶性プロピレン系重合体が挙げられる。
また、本発明の架橋効率向上用組成物及びそれを用いた熱可塑性エラストマー組成物における成分(b)を合成する際に使用される触媒は、チーグラー・ナッタ系触媒やシングルサイト系触媒(メタロセン系触媒等)が挙げられる。
本発明の架橋効率向上用組成物を用いた熱可塑性エラストマー組成物において耐油性を要求される場合は、特に結晶性プロピレン系樹脂が成分(b)として好ましい。結晶性プロピレン系樹脂の融点は、130℃以上が好ましく、より好ましくは140℃以上であり、さらに好ましくは150℃以上である。
また、本発明の架橋効率向上用組成物及びそれを用いた熱可塑性エラストマー組成物の相容性が良く混練時間を短くしたい場合や短期(48時間未満)の圧縮永久歪みを要求する場合には、特に、シングルサイト触媒で合成されたエチレン系樹脂が成分(b)として好ましい。
成分(b)は、DSCによる融点が、好ましくは50〜180℃、より好ましくは60〜170℃である。ここで、DSCによる融点は、示差走査熱量計(DSC)によって得られるピークトップ融点であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求める値である。
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して20〜300重量部、好ましくは20〜250重量部、より好ましくは30〜150重量部である。300重量部を超えると、結晶性が高くなりすぎ、同時に、得られる架橋効率向上用組成物自体の圧縮永久歪みも低下してしまうことから、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。20重量部未満では、得られる架橋効率向上用組成物における流動性が不足することから、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。
成分(c):
成分(c)は、エチレン系共重合体ゴム(a)を架橋することができる架橋剤であり、有機過酸化物および硫黄系架橋剤を除くいずれの架橋剤も用いることができる。例えば、フェノール樹脂類、マレイミド類及び珪素含有架橋剤等が挙げられ、その中でもフェノール樹脂系架橋剤が好ましい。
好ましいフェノール樹脂系架橋剤はレゾール樹脂と呼ばれ、アルキル置換フェノール又は非置換フェノールの、アルカリ媒体中のアルデヒドとの縮合、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合、又は二官能性フェノールジアルコール類の縮合により製造される。アルキル置換されたフェノールのアルキル置換基は典型的に1乃至約10の炭素原子を有する。p−位において1乃至約10の炭素原子を有するアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類又はフェノール樹脂が好ましい。それらのフェノール樹脂系架橋剤は、典型的には熱硬化性樹脂であり、フェノール樹脂架橋剤またはフェノール樹脂と呼ばれる。熱可塑性加硫ゴムのフェノール樹脂による架橋の具体的な例が、米国特許第4,311,628号、米国特許第2,972,600号及び3,287,440号に記載されており、これらの技術も本発明で用いることができる。
好ましいフェノール樹脂系架橋剤の例は、一般式(I):
Figure 2005036143
(式中、Qは、−CH2−及び−CH2−O−CH2−から成る群から選ばれる二価基であり、mは0又は1乃至20の正の整数であり、R’は有機基である)
により定義される。好ましくは、Qは、二価基−CH2−O−CH2−であり、mは0又は1乃至10の正の整数であり、R’は20未満の炭素原子を有する有機基である。なおより好ましくは、mは0又は1乃至5の正の整数であり、R’は4乃至12の炭素原子を有する有機基である。
上記フェノール樹脂の中では、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、臭素化アルキルフェノール樹脂等が好ましく、環境面から臭素化していないものが望ましいが、末端の水酸基を臭素化したものであっても良く、特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
上記フェノール系架橋剤の製品例としては、タッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、PR−4507(群栄化学工業社製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、Vulkaresen E(Hoechst社製)、Vulkaresen 105E(Hoechst社製)、Vulkaresen 130E(Hoechst社製)、Vulkaresol 315E(Hoechst社製)、Amberol ST 137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジンPR−22193(住友デュレズ社製)、Symphorm−C−100(Anchor Chem.社製)、Symphorm−C−1001(Anchor Chem.社製)、タマノル531(荒川化学社製)、Schenectady SP1059(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1045(Schenectady Chem.社製)、CRR−0803(U.C.C社製)、Schenectady SP1055(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1056(Schenectady Chem.社製)、CRM−0803(昭和ユニオン合成社製)、Vulkadur A(Bayer社製)が挙げられ、その中でもタッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)が好ましく使用される。
上記珪素含有架橋剤としては、一般的に、少なくとも1つのSiH基を有する水素化珪素化合物が含まれる。それらの化合物は、ヒドロシリル化触媒の存在下で不飽和ポリマーの炭素炭素二重結合と反応する。本発明を実施するのに有用な水素化珪素化合物には、メチル水素ポリシロキサン類、メチル水素ジメチル−シロキサンコポリマー類、アルキルメチルポリシロキサン類、ビス(ジメチルシリル)アルカン類、ビス(ジメチルシリル)ベンゼン及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
好ましい水素化珪素化合物は、式:
Figure 2005036143

(式中、各Rは、1乃至20の炭素原子を有するアルキル、4乃至12の炭素原子を有するシクロアルキル及びアリールから独立して選ばれ、mは1乃至約50の値を有する整数であり、nは1乃至約50の値を有する整数であり、pは、0乃至約6の値を有する整数である)により定義され得る。
成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、2〜30重量部であり、好ましくは5〜25重量部である。成分(c)の配合量が前記上限値を超えると、得られる架橋効率向上用組成物の成形性が低下し、ブツができやすくなることから、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。一方、前記下限値未満では、得られる架橋効率向上用組成物の圧縮永久歪みが不十分であることから、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。
成分(d)(任意成分):
成分(d)は架橋促進剤であり、成分(c)の架橋剤の機能をより効果的に向上させるために任意成分として用いられる。成分(c)としてフェノール樹脂架橋剤を用いる場合は、成分(d)として酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二塩化スズ等が使用される。なお、酸化亜鉛を成分(d)として用いる際には、分散剤として、ステアリン酸金属塩等を併用することができる。上記架橋促進剤の中でも酸化亜鉛が特に好ましい。
成分(d)の配合量は、配合する場合、成分(a)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部である。成分(d)の配合量が前記上限値を超えると、得られる架橋効率向上用組成物と熱可塑性エラストマー組成物との相容性が悪化し、架橋効率を向上する効果および架橋効率向上用組成物を用いて得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善する効果が悪化する。
本発明においては、成分(c)として非ハロゲン系架橋剤を使用し、成分(d)として酸化亜鉛を使用する組み合わせが好ましく、その中でも非ハロゲン系フェノール架橋剤と酸化亜鉛との組み合わせが特に好ましい。上記組み合わせの場合、ハロゲン供与体が無くとも、成分(c)と成分(d)の添加量を上記の範囲とすることにより、高温領域における良好な圧縮永久歪みを発現することができる。
また、(c)架橋剤と(d)架橋促進剤との比率(重量比)は、(d)/(c)=0.03/100〜50/100が好ましく、より好ましくは0.2/100〜6/100であり、さらに好ましくは0.5/100〜3/100である。
2.架橋効率向上用組成物の製造
本発明の架橋効率向上用組成物は、上記成分(a)〜(c)、および必要に応じて成分(d)を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて混合することにより製造することができる。溶融混練の方法は特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは160〜200℃であり、架橋を十分に進行させるためには混練時間を5〜30分とることが好ましい。
こうして製造された架橋効率向上用組成物は、以下に述べるように、熱可塑性エラストマーを架橋剤を用いて動的架橋する際にこれを添加することによって、架橋効率を向上することができ、かつ得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや成形加工性を改善することができる。架橋効率向上用組成物は上記した組成を有するが、相容性の点から、添加されるべき組成物に近い組成を有するのが好ましい。
3.熱可塑性エラストマー組成物
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマーと架橋剤とからなる組成物(A)に、必要に応じてその他の成分を加え、これに上記で得られた架橋効率向上用組成物を加えて溶融混練混合することにより得られる。架橋効率向上用組成物の量は、組成物(A)100重量部に対して2〜20重量部、好ましくは3〜15重量部である。架橋効率向上用組成物の量が上限を超えると、折り曲げ白化や屈曲疲労が悪化する。溶融混練の方法は、架橋効率向上用組成物の製造に関して上記した方法と同様である。
上記組成物(A)は、好ましくは、下記成分
(a)エチレン系共重合体ゴム100重量部、
(b)結晶性オレフィン系樹脂1種20〜300重量部、および
(c)架橋剤2〜30重量部
を含む。
上記組成物(A)における成分(a)は、その具体例として、上記架橋効率向上用組成物における成分(a)に関して記載したものが挙げられるが、エチレン含有量の範囲は、40〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは50〜75重量%である。特に60〜75重量%の範囲では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の製造性と高温での圧縮永久歪み、引張強度のバランスがよく非常に好ましい。また、非共役ジエン含有量は、0.5〜8重量%が好ましく、さらに好ましくは4〜8重量%である。ムーニー粘度ML1+4(125℃)は10〜180であることが好ましく、より好ましくは20〜160である。成分(a)のムーニー粘度ML1+4(125℃)が10未満であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが低下し、180を超えると成形性が低下する。また、組成物(A)における成分(a)は、DSCにおける融点が50℃未満であることが好ましく、より好ましくは45℃未満、さらに好ましくは40℃未満である。
上記組成物(A)における成分(b)は、熱可塑性エラストマー組成物の硬度調節、成形性向上、耐熱性の発現の目的で用いられる。その具体例として、上記架橋効率向上用組成物における成分(b)に関して記載したものが挙げられる。組成物(A)における成分(b)は、DSCによる融点が好ましくは50〜180℃、より好ましくは60〜170℃である。
組成物(A)における成分(b)の配合量は、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して20〜300重量部、好ましくは20〜250重量部、より好ましくは30〜150重量部である。300重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが悪化する。20重量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みや製造性が著しく低下する。
上記組成物(A)における成分(c)は、その具体例として、上記架橋効率向上用組成物における成分(c)に関して記載したものが挙げられる。組成物(A)における成分(c)の配合量は、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して、2〜30重量部であり、好ましくは5〜25重量部である。成分(c)の配合量が前記上限値を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が著しく減少し、製造・成形が困難となる。また、圧縮永久歪みも悪化する。一方、前記下限値未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが悪化する。
熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて、以下に説明する成分(B)〜(E)をさらに含み得る。
成分(B)(任意成分):
成分(B)は架橋促進剤であり、組成物(A)における成分(c)の架橋剤の機能をより効果的に向上させるために任意成分として用いられる。その具体例としては、上記架橋効率向上用組成物における成分(d)に関して記載したものが挙げられる。すなわち、組成物(A)における成分(c)としてフェノール樹脂架橋剤を用いる場合は、成分(B)として酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二塩化スズ等が使用される。なお、酸化亜鉛を成分(B)として用いる際には、分散剤として、ステアリン酸金属塩等を併用することができる。上記架橋促進剤の中でも酸化亜鉛が特に好ましい。成分(B)の配合量は、配合する場合、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部であり、好ましくは0.05〜0.3である。成分(B)の配合量が前記上限値を超えると架橋が均一に起こらなくなり、また、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が低下し製造・成形が困難となり、折り曲げ白化性、耐屈曲疲労性、耐オイルブリード性が悪化し、同時に圧縮永久歪みが悪化する。一方、前記下限値未満では架橋効率が低下し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが悪化する。
なお、本発明においては、組成物(A)における成分(c)として非ハロゲン系架橋剤を使用し、成分(B)として酸化亜鉛を使用する組み合わせが好ましく、その中でも非ハロゲン系フェノール架橋剤と酸化亜鉛との組み合わせが特に好ましい。上記組み合わせの場合、ハロゲン供与体が無くとも、組成物(A)における成分(c)と成分(B)の添加量を上記の範囲とすることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の高温領域における良好な圧縮永久歪みを発現することができる。
また、組成物(A)における成分(c)と成分(B)との比率(重量比)は、(B)/(c)=0.03/100〜50/100が好ましく、より好ましくは0.2/100〜6/100であり、さらに好ましくは0.5/100〜3/100である。
成分(C)(任意成分):
成分(C)は非芳香族系ゴム用軟化剤であり、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性付与、成形加工性改良の目的で用いられる。
非芳香族系ゴム用軟化剤としては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素);イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素);及びこれらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンは、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。
室温で液状である非芳香族系ゴム用軟化剤の市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
また、非芳香族系ゴム用軟化剤には、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
成分(C)の配合量は、配合する場合、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して、10〜300重量部であり、好ましくは20〜150重量部である。成分(C)の配合量が前記上限値を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体表面にブリードが生じやすくなる。
成分(D)(任意成分):
成分(D)は、以下で説明する(D−1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、(D−2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、および(D−3)共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体であり、必要に応じて本発明における組成物(A)に含有させることができる。成分(D)は非芳香族系ゴム用軟化剤(C)を保持し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性を調整するために用いられる。
成分(D−1):
成分(D−1)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体であり、(D−1−1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体、および(D−1−2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体を包含する。
成分(D−1−1)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
成分(D−1−1)は、芳香族ビニル化合物を3〜60重量%、好ましくは5〜50重量%含む。
成分(D−1−1)の数平均分子量は、好ましくは150,000〜500,000、より好ましくは、170,000〜400,000、更に好ましくは200,000〜350,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。
成分(D−1−1)の具体例としては、スチレンとブタジエンとの共重合体(SBR)等が挙げられる。
成分(D−1−2)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
成分(D−1−2)は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは20〜50重量%含む。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または、共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは、70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
成分(D−1−2)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
成分(D−1−2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
成分(D−1−2)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。
成分(D−1−2)の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
成分(D−2):
成分(D−2)は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物であり、(D−2−1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体の水添物、(D−2−2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水添物を包含する。
成分(D−2−1)は、上記成分(D−1−1)を水素添加して得られる水添ランダム共重合体である。
成分(D−2−1)は、引張特性、耐加熱変形性の観点から、メルトマスフローレート(ASTM D 1238準拠、230℃、荷重21.18Nで測定)が12g/10分以下のものが好ましく、6g/10分以下のものが更に好ましい。
成分(D−2−1)における芳香族ビニル化合物含有量は、柔軟な樹脂組成物を得るという目的から、25重量%以下が好ましい。20重量%以下ならより好ましい。また同じ目的から、共役ジエン化合物の炭素-炭素二重結合の少なくとも90%、好ましくは100%が水素添加されたものが好ましい。
成分(D−2−1)として、例えばダイナロン1320P(ジェイエスアール社)等が挙げられる。
成分(D−2−2)は、上記した成分(D−1−2)を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
成分(D−2−2)における水素添加率は任意であるが、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいて、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいては、イソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
成分(D−2−2)は、重合体ブロックAが成分全体の5〜70重量%の割合で存在するのが好ましい。さらに、成分全体の重量平均分子量は、150,000〜500,000が好ましく、さらに好ましくは200,000〜400,000である。重量平均分子量が200,000を下回ると、オイルブリードを生じる。
成分(D−2−2)の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
この中でも、柔軟性付与効果に優れ、オイルブリードが極めて少ない点で、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)が最も好ましい。
成分(D−2−2)は、上記した成分(D−1−2)を水素添加処理することにより製造される。水素添加処理は、公知の方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
成分(D−3):
成分(D−3)は、共役ジエン化合物重合体の水素添加物であり、例えば、ブタジエンの重合体を水素添加して得られる、結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。成分(D−3)は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、共役ジエン化合物重合体の水素添加物の重量平均分子量は、500,000以下であり、好ましくは200,000〜450,000である。重量平均分子量が500,000を超えると、押出・射出成形性が悪化し、重量平均分子量が200,000を下回ると、オイルブリードを生じ、圧縮永久歪みが悪化する。
上記成分(D)の中でも、柔軟性付与効果に優れ、オイルブリードが極めて少ない点で、成分(D−2−2)が好ましく、中でもスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)がさらに好ましく、その中でも分子量の点でセプトン4077(クラレ株式会社製)、が最も好ましい。
成分(D)の配合量は、配合する場合、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して、3〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。成分(D)の配合量が前記上限値を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが低下する。
成分(E)(任意成分):
成分(E)は有機過酸化物であり、これは、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みをさらに向上させる目的で用いられる。
成分(E)としては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、琥珀酸パーオキサイド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル及びベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(1分半減期温度147℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(1分半減期温度179℃)および2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(1分半減期温度194℃)等が好ましい。
成分(E)の配合量は、配合する場合は、組成物(A)における成分(a)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部であり、好ましくは0.05〜0.3重量部である。配合量が0.5重量部を超えると有機過酸化物による分解反応が優先され、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが低下する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウァラステナイト、クレー)、発泡剤(有機系、無機系)、難燃剤(水和金属化合物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
4.用途
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高温領域における圧縮永久歪みに優れ、押出成形性、射出成形性に優れるので、ブロー成形法、押出成形法、射出成形法、熱成形法、弾性溶接(elasto−welding)法、圧縮成形法等により成形される次のような用途に用いることができる。
具体的な用途としては、例えば、自動車部品として、ライティングガスケット、3Dエクスチェンジブロークリーンエアダクト、フーロシールヒンジカバー ベリーパン (ロボテックエクストゥルージョンガスケット)、カップホルダー、サイドブレーキグリップ 、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、IPスキン 、フラッパードアシール、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ 、サスペンションカバーブーツ(ストラットカバーブーツ)、ガラスガイド、インナーベルトラインシール 、ルーフガイド 、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウィンドガスケット 、コーナーモールディング 、グラスエンキャプシュレーション(ロボテックエクストゥルージョン)、フードシール 、グラスエンキャプシュレーション(射出成形)、グラスランチャンネル 、セカンダリーシール 等が挙げられる。また、工業部品としては、高層ビルのカーテンウォールガスケット、窓枠シール、金属類/補強繊維類への接着、パーキングデッキシール、エキスパンションジョイント、地震対策用エキスパンションジョイント、住宅窓ドアシール(例えば共押出等)、住宅ドアシール、手すり表皮、歩行用マット(シート)、足ゴム、洗濯機排水ホース(PPとの二色成形等)、洗濯機フタのシール、エアコンモーターマウント、排水管シール(PPとの二色成形等)、ライザーチューブ、(PVC等)パイプ継手パッキン、キャスターホイール、プリンタロール、ダクトホース、ワイヤー&ケーブル、注射器シュリンジガスケット等が挙げられる。さらに、日用品・部品として、スピーカーサラウンド、ヘアブラシグリップ、かみそりグリップ、化粧品グリップ・フット、歯ブラシグリップ、日用品ブラシグリップ、ほうきの毛先、台所用品グリップ、計量スプーングリップ、枝切りバサミグリップ、ガラス耐熱容器フタ、園芸用品グリップ、ハサミグリップ、ステイプラーグリップ、コンピュータマウス、ゴルフバッグ部品、壁塗りコテグリップ、チェーンソーグリップ、スクリュードライバーグリップ、ハンマーグリップ、電気ドリルグリップ、研磨機グリップ、目覚まし時計等に好ましく使用できる。
さらに詳しい具体的な用途としては、例えば、ウェザーシールのような乗り物部品、カップ、カップリングディスク及びダイヤフラムカップのようなブレーキ部品、恒速度継手及びラック伝達継手のようなブーツ、チューブ、シーリングガスケット、油圧又は空気圧作動式装置の部品、Oリング、ピストン、弁、弁座、バルブガイド及び他の弾性ポリマー系部品、又は金属/プラスチック組み合わせ物質のような他の物質と組み合わされた弾性ポリマー、Vベルト、布表面仕上げVを有する切頭されたリブを有する(with truncated ribs containing fabric faced Vs)歯付きベルト、研削短繊維強化V又は短繊維フロック加工されたVを有する成形ゴムを含む伝動ベルト等が挙げられる。
次に、実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた評価方法及び原料は以下の通りである。
1.評価方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを用いて測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。
(3)引張強さ、100%モジュラス、伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(4)圧縮永久歪み:JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚さプレスシートを使用した。25%変形の条件にて、120℃×22時間で測定した。
(5)製造性・:容量3Lの加圧ニーダー型ミキサーにて製造し(設定温度は180℃で10〜30分混練)、次の基準で評価した。
○:熱可塑性の混練物が排出された。
×:排出されたものは熱可塑性ではない。
(6)押出成形性:40mm押出機で17mm径の丸棒を、130〜140℃で押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:良い
△:表面外観や形状は良好だが僅かにドローダウンがある
×:悪い
(7)射出成形性:120t射出成形機で130mm×130mm×2mmのシートを130〜150℃で射出成形し、その外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
○:良い
△:ヒケも外観は良好だが僅かにフローマークがある
×:悪い
(8)折り曲げ白化性:2mm厚プレスシートを180度折り曲げクリップで固定し、1時間放置し、クリップをはずした際の状態を次の基準で評価した。
○:折り目に割れ、白化、しわがない
×:折り目に割れ、白化、しわがある
(9)耐屈曲疲労性:JIS K 6260に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、幅25mm、長さ150mmに打抜いて使用した。往復運動におけるつかみ具間の最大距離は75mmで、最少距離は18mmとした。この往復運動を毎分300回の速さで1000000回行った後、試験片をはずした際の状態を目視で確認し、次の基準で評価した。
○:亀裂なし
×:亀裂あり
(10)耐オイルブリード性:180℃、予熱2分/加圧2分、圧力50kg/cm2の熱プレスで得られた130×160×2mm厚のシートをクラフト紙に挟んで、直径70mm円盤状の500gの重りをのせ、室温(23℃)で168時間放置後のクラフト紙の状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められない
△:クラフト紙にかすかにオイルブリードの痕跡が認められる
×:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められる
2.使用原料
成分(a):
(1)Nordel IP 4760P:EPDM、デュポンダウエラストマー社製、比重:0.88g/cm3、ムーニー粘度ML1+4(125℃):60 重量平均分子量:170,000 エチレン:67% ENB:4.9%、融点5℃
(2):Nordel IP 4770R:EPDM、デュポンダウエラストマー社製、密度:0.88g/cm3、ムーニー粘度ML1+4(125℃):70、重量平均分子量:200,000、エチレン:70%、ENB:4.9%、融点5℃
成分(b):
(3)Novatec BC08AHA:ポリプロピレン、日本ポリケム(株)製、密度:0.902g/cm3、硬さ:94(ShoreA)、MFR(230℃、21.18N荷重):80dg/分、重量平均分子量:100,000
(4)HF461X(旧製品名PA189V):ポリプロピレン、PolyMirae Company Ltd.(Montell社とDAELIM社の合弁会社)製、 MFR(230℃、21.18N荷重):800dg/分
成分(c):
(5)Tackirol201:アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学(株)製
成分(d)および(B):
(6)亜鉛華2種:酸化亜鉛;堺化学(株)製
成分(C):
(7)PW−90:正パラフィン系プロセスオイル;出光興産(株)製;平均分子量746
成分(D):
(8)セプトン4077:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS);クラレ(株)製;スチレン含有量30重量%、数平均分子量260,000、重量平均分子量320,000、分子量分布1.23、水素添加率90%以上
成分(E):
(9)パーヘキサ25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン;日本油脂(株)製
実施例1〜2および比較例1〜4
この実施例では、架橋効率向上用組成物の製造を行った。表1に示す成分(a)〜(c)を表1に示す量(重量部)で、容量3Lの加圧ニーダータイプのミキサーに投入し、混練温度180℃で溶融混練して、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形及びプレス成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1に示す。
Figure 2005036143
実施例3〜8および比較例5〜10
この実施例では、上記で得られた架橋効率向上用組成物を用いた熱可塑性エラストマー組成物の製造を行った。表2に示す、組成物(A)を構成する成分(a)〜(c)および成分(B)〜(E)、ならびに上記で得られた架橋効率向上用組成物を、表2に示す量(重量部)で、容量3Lの加圧ニーダータイプのミキサーに投入し、混練温度180℃で溶融混練して、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形、及びプレス成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表2に示す。
Figure 2005036143
表2の実施例3〜8より明らかなように、本発明の架橋効率向上用組成物を添加して得られる熱可塑性エラストマー組成物は、短い混練時間で充分な圧縮永久歪みが得られ、かつ成形加工性も良好であった。
一方、比較例5及び6は、架橋効率向上用組成物の配合量を本発明の範囲外にしたときの熱可塑性エラストマー組成物の評価結果である。架橋効率向上用組成物の配合量が多すぎると、折り曲げ白化、耐屈曲疲労性に劣る(比較例6)。また、少なすぎると、圧縮永久歪みの発現に時間がかり、最終的に示す値も低下し、同時に製造性・成形性も低下する(比較例5)。
比較例7及び8は、架橋効率向上用組成物における成分(b)の配合量を本発明の範囲外にしたときの熱可塑性エラストマー組成物の評価結果である。成分(b)の配合量が多すぎると、混練時間を長くしないと充分な圧縮永久歪みが得られず、30分混練後でも充分な圧縮永久歪みが得られず(比較例8)、少なすぎると、製造性・成形性が低下し、混練時間を長くしないと充分な圧縮永久歪みが得られず、30分混練後でも充分な圧縮永久歪みが得られない(比較例7)。
比較例9及び10は、架橋効率向上用組成物における成分(c)の配合量を本発明の範囲外にしたときの熱可塑性エラストマー組成物の評価結果である。成分(c)の配合量が多すぎると、混練時間を長くしないと充分な圧縮永久歪みが得られず、30分混練後でも充分な圧縮永久歪みが得られないうえ、折り曲げ白化、耐屈曲疲労性に劣り(比較例10)、少なすぎると、混練時間を長くしないと充分な圧縮永久歪みが得られず、30分混練後でも充分な圧縮永久歪みが得られない(比較例9)。

Claims (13)

  1. (a)エチレン系共重合体ゴム100重量部、
    (b)結晶性オレフィン系樹脂20〜300重量部、および
    (c)架橋剤2〜30重量部
    を含むことを特徴とする架橋効率向上用組成物。
  2. (a)エチレン系共重合体ゴムのムーニー粘度が10〜180(ML1+4、125℃)であることを特徴とする請求項1記載の架橋効率向上用組成物。
  3. (c)架橋剤がフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は2記載の架橋効率向上用組成物。
  4. (c)架橋剤がアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の架橋効率向上用組成物。
  5. (d)架橋促進剤0.01〜0.5重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の架橋効率向上用組成物。
  6. 熱可塑性エラストマーと架橋剤からなる組成物(A)100重量部および請求項1〜5のいずれか1項記載の架橋効率向上用組成物2〜20重量部を含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 組成物(A)が、
    (a)エチレン系共重合体ゴム100重量部、
    (b)結晶性オレフィン系樹脂20〜300重量部、
    (c)架橋剤2〜30重量部
    を含むことを特徴とする請求項6記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 組成物(A)における(c)架橋剤がフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項7記載の架橋効率向上用組成物。
  9. 組成物(A)における(c)架橋剤がアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂であることを特徴とする請求項7又は8記載の架橋効率向上用組成物。
  10. 組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(B)架橋促進剤0.01〜0.5重量部をさらに含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(C)非芳香族系ゴム用軟化剤10〜300重量部をさらに含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  12. 組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(D)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水素添加物、および共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体3〜80重量部をさらに含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  13. 組成物(A)における成分(a)100重量部に対して(E)有機過酸化物0.01〜0.5重量部をさらに含むことを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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