JP2007061250A - 鳩目穴かがりミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】 鳩目穴かがり縫目の縫目長さが変わった場合に、交換作業が簡単な針板については交換するが、交換作業が複雑な糸切り装置については交換しないようにし、縫目長さが異なる鳩目穴かがり縫目の縫製作業の簡単化、迅速化を図ること。
【解決手段】 複数種類の針板10a〜10d,11a〜11dのクロスプレートへの取付け位置は、縫目長さの最大の長さを含み、所定長さだけ夫々短い長さのときに、平面視において糸切り装置20に対して縫製終了位置が一定位置となるように予め決められており、複数種類の針板10a〜10d,11a〜11dにより縫製される鳩目穴かがり縫目HNの脚部の長さが長くなるほど、針板10a〜10d,11a〜11dの後端部が徐々に後方寄り、即ち、糸切り装置20から遠ざかる位置に取付けられる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、鳩目穴かがりミシンに関し、特に 鳩目穴かがり縫目の縫目長さが異なる場合に、針板を交換する場合でも、糸切り装置の糸切り刃を交換しなくてもよいようにしたものに関する。
従来、針棒やルーパーを有する鳩目穴かがりミシンにおいては、鳩目穴かがり縫いに供する被縫製物を載置する送り台が設けられ、鳩目穴かがり縫いが縫い終わった時点で、送り台の内部に装備された糸切り装置により、下糸と芯糸とが同時に切断されるようになっている。
例えば、特許文献1に記載の鳩目穴かがりミシンの糸切り装置は、上メスと下メスとが右送り板の縫目中心ラインから右方に離れた位置において、段ネジで回動可能に枢着される一方、糸切り駆動腕に連結リンクが連結され、その連結リンクに、上メスリンクを介して上メスの一端部が連結されるとともに、下メスリンクを介して下メスの一端部が連結されている。
糸切りに際してシリンダが進出駆動されると、糸切りリンク腕が回動され、糸切り駆動腕を介して連結リンクが移動するので、上メスと下メスとが同時に相互に接近する方向に回動し、鳩目穴かがり縫いの縫い終わり位置の近傍位置おいて、上メスと下メスとにより鳩目穴かがり縫目から延びる下糸と芯糸を同時に切断するようになっている。
ところで、鳩目穴かがり縫目の縫目長さとして、18mm〜36mmが一般に実用に供されている。そこで、縫目長さの範囲が、例えば、第1縫目グループ「18mm〜22mm」、第2縫目グループ「22mm〜26mm」、第3縫目グループ「26mm〜32mm」、第4縫目グループ「32mm〜36mm」のように、4mm毎に4つのグループに区分され、この区分されたグループ毎に使用する第1〜第4針板と第1〜第4上メスとが夫々セットで準備されている。
そこで、作業者は、第1,第2針板については、鳩目穴かがり縫目の鳩目部が右送り板の第1,第2専用の取付け位置に取付け、或いは、第3,第4針板については、鳩目穴かがり縫目の鳩目部を右送り板の第3,第4専用の取付け位置に取付ける。このように、針板を交換した場合、鳩目穴かがり縫目の脚部の長さが長くなる寸法だけ鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が糸切り刃に接近し、或いは、鳩目穴かがり縫目の脚部の長さが短くなる寸法だけ鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が糸切り刃から離隔するので、使用する針板に応じた糸切り刃をセットで使用するようにして、切断した下糸の糸端長さがほぼ一定になるようにしてある。
特開2001−321589号公報 (第4〜6頁、図1,図4)
前述したように、特許文献1に記載の鳩目穴かがりミシンの糸切り装置のように、縫製する鳩目穴かがり縫目の縫目長さが変わる毎に、縫目長さに最適な針板に交換するのと同時に、その針板に応じた糸切り刃に交換する必要がある。この場合、針板の交換はクロスプレートの上面にビス止めすることから、容易に交換できる。しかし、上メスの交換に際しては、クロスプレートを取外してから、段ネジを取外し、更に駆動系の連結リンクの連結を切り離す必要がある為、その交換作業に多大の作業時間や労力を費やすこと、複数種類の上メスを準備する必要があること、等の問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消する為になされたものであり、鳩目穴かがり縫目の縫目長さが変わった場合に、交換作業が簡単な針板については交換するが、交換作業が複雑な糸切り装置については交換しないようにし、縫目長さが異なる鳩目穴かがり縫目の縫製作業の簡単化、迅速化を図ることを目的とするものである。
請求項1の鳩目穴かがりミシンは、上下駆動される針棒と、送り台とこの送り台に固定され被縫製物を載せる左右1対のクロスプレートとを含む送り装置と、1対のクロスプレートに着脱可能に装備される1対の針板と、被縫製物の鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置から延びる糸を切断する糸切り装置と、ハンマーとメスとを含む穴開け機構とを有する鳩目穴かがり縫目において、1対の針板は、鳩目穴かがり縫目の脚部の前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした針板に交換するように複数種類の針板を有し、糸切り装置は脚部の長さの異なる鳩目穴かがり縫目に共通に適用可能に構成され、平面視において糸切り装置に対して相対的な鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が一定位置となるように、複数種類の針板のサイズとクロスプレートへの取付け位置が設定されたものである。
予め準備された複数種類の針板は、鳩目穴かがり縫目の縫製可能な縫目範囲の特定長さにおいて、糸切り装置に対する縫製終了位置が一定位置となるように、複数種類の針板のサイズとクロスプレートへの取付け位置が設定されている為、鳩目穴かがり縫目の脚部の長さの異なる鳩目穴かがり縫目を縫製するに際して、脚部の前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした1対の針板に交換するするが、糸切り装置を交換しなくても、切断した糸の糸端長さがほぼ一定になる。
請求項2の鳩目穴かがりミシンは、請求項1において、前記送り装置は送り台をX方向とこれに直交するY方向とに移動駆動するX方向電動モータとY方向電動モータと、複数種類の針板のサイズを特定するための入力手段と、メスが鳩目穴かがり縫目の鳩目部に対応する縫製基準位置を、複数種類の針板サイズ毎に記憶した縫製基準位置記憶手段とを有し、ハンマーによる穴開け時のメスの取付け位置を共通にする為に、入力手段によって特定された針板のサイズに基づいて、縫製開始時にY方向電動モータを駆動させて、縫製基準位置記憶手段に記憶された縫製基準位置に送り台を移動させる送り台制御手段を設けたものである。
請求項3の鳩目穴かがりミシンは、請求項1又は2において、少なくとも前記Y方向電動モータは回転量を検出するエンコーダ手段を有し、送り台制御手段はエンコーダ手段から出力されるエンコーダ信号をカウントするカウント手段と、送り台が縫製基準位置に移動した場合、カウント手段のカウント値をリセットするリセット手段とを有するものである。
請求項1の発明によれば、針棒と送り装置と1対の針板と糸切り装置と穴開け機構とを有する鳩目穴かがり縫目において、1対の針板は、鳩目穴かがり縫目の脚部の前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした針板に交換するように複数種類の針板を有し、糸切り装置は脚部の長さの異なる鳩目穴かがり縫目に共通に適用可能に構成され、平面視において糸切り装置に対して相対的な鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が一定位置となるように、複数種類の針板のサイズとクロスプレートへの取付け位置が設定されたので、鳩目穴かがり縫目の脚部の長さの異なる鳩目穴かがり縫目を縫製するに際して、脚部の前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした1対の針板に交換するにしても、糸切り装置を交換しなくても、鳩目穴かがり縫目の縫製終了時に切断した糸の糸端長さがほぼ一定になる。それ故、交換作業が簡単な1対の針板については交換するが、交換作業が複雑な糸切り装置については交換する必要がなく、縫目長さが異なる鳩目穴かがり縫目の縫製作業の簡単化、迅速化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、前記送り装置は送り台をX方向とこれに直交するY方向とに移動駆動するX方向電動モータとY方向電動モータと、複数種類の針板のサイズを特定するための入力手段と、メスが鳩目穴かがり縫目の鳩目部に対応する縫製基準位置を、複数種類の針板サイズ毎に記憶した縫製基準位置記憶手段とを有し、ハンマーによる穴開け時のメスの取付け位置を共通にする為に、入力手段によって特定された針板のサイズに基づいて、縫製開始時にY方向電動モータを駆動させて、縫製基準位置記憶手段に記憶された縫製基準位置に送り台を移動させる送り台制御手段を設けたので、1対の針板のメスに対する取付け位置が異なり、鳩目穴かがり縫目の鳩目部に対応する縫製基準位置が異なった場合でも、入力手段により特定された針板のサイズに対応する縫製基準位置に基づいて、送り台制御手段により送り台が所定の縫製基準位置に移動される為、ハンマーによる穴開け時のメスの取付け位置を共通にでき、しかも鳩目穴かがり縫目の正規の位置に精度良く鳩目穴を形成することができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
請求項3の発明によれば、少なくとも前記Y方向電動モータは回転量を検出するエンコーダ手段を有し、送り台制御手段はエンコーダ手段から出力されるエンコーダ信号をカウントするカウント手段と、送り台が縫製基準位置に移動した場合、カウント手段のカウント値をリセットするリセット手段とを有するので、鳩目穴かがり縫目の長さに応じた1対の針板に交換されて電源が投入されると、送り台の原点設定が行われた後、装着された針板に応じた縫製基準位置に送り台が移動されたときに、カウント手段のカウント値がリセットされる為、それ以降において、その針板により縫製可能な鳩目穴かがり縫目を形成するに際して、原点設定処理を省略して、縫製基準位置から直ぐに縫製開始できる為、縫製サイクルタイムを短縮でき、作業能率が格段に向上する。その他請求項1又は2と同様の効果を奏する。
本実施形態の鳩目穴かがりミシンは、鳩目穴かがり縫目の縫目長さを段階的に大きくした針板であって、糸切り装置に対して相対的な鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が一定位置となるように、サイズ及び形状とクロスプレートへの取付け位置を異ならせた複数種類の針板が準備されており、縫目長さが異なる場合、その縫目長さに最適な針板に交換するだけで、糸切り装置の糸切り刃を交換しなくてもよいようにしてある。
図1に示すように、鳩目穴かがりミシン1は、デニム(ジーンズ)に用いる流れ閂止め形状の鳩目穴かがり縫目HN(図3参照)を縫製するものであり、上方を開放した略矩形箱状をなすベッド台2と、そのベッド台2に嵌め込むように載置されたベッド部3と、そのベッド部3の後方部から立設される脚柱部4と、その脚柱部4の上部から前方に延びるアーム部5等を有し、ミシンテーブル(図示略)上に載置固定されている。
アーム部5の先端下部には、縫針6aを備えた針棒6が上下動可能に設けられ、詳しく図示はしないが、ミシンモータの駆動により回転する主軸の回転力がカム機構に伝達され、所定幅分だけ左右に揺動しながら上下駆動されるようになっている。この場合、主軸が2回転する毎に、針棒6は左側揺動位置と右側揺動位置とに揺動するようになっている。
また、ベッド部3には、針棒6に対向するように2個のルーパー(図示略)を備えたルーパー土台(図示略)が設けられ、これら2個のルーパーは図示しないカム機構を介して主軸の回転により、針棒6の上下動と調時して駆動されるようになっている。また、針棒6及びルーパー土台はベッド部3内に設けられたθ方向駆動モータ及びギヤ機構からなる回動機構(図示略)により、夫々水平面において、鉛直軸周りに一体的に回動するようになっている。
ベッド部3には、ルーパー土台の後方側に位置して固定配置された鳩目穴を形成する為のメス14(図4参照)が着脱可能に取付けられるとともに、このメス14に対して上方より接離する打ち抜き用ハンマー68(図5参照)が揺動可能に設けられている。このハンマーの先端部には、鳩目穴用のハンマー(図示略)が着脱可能に取付けられ、ベッド部3内に設けられたエアシリンダ65(図5参照)などからなるハンマー駆動機構(図示略)により駆動され、鳩目部と脚部とからなる鳩目穴が加工布に穿孔されるようになっている。ここで、これらメス14とハンマー等から穴開け機構が構成されている。
ベッド部3の上面部には、加工布がセットされる送り台7が設けられている。この送り台7は、全体として薄形の矩形箱状をなし、送り台7の左右方向中央部の上面には、図2に示すように、左右1対のクロスプレート8,9が夫々設けられている。右側クロスプレート8の前後方向の途中部に右針板10がビス12(図3参照)により着脱可能に固着され、左側クロスプレート9の前後方向の途中部に左針板11がビス12(図3参照)により着脱可能に固着されている。また、両クロスプレート8,9の略前端側部分には、後述する糸切り装置を覆うようにカバー板13で覆われている。
ここで、鳩目穴かがり縫目HNの縫目長さを段階的に大きくした複数種類(例えば、4種類)の針板10a〜10d,11a〜11dであって、糸切り装置20に対して相対的な鳩目穴かがり縫目HNの縫製終了位置が一定位置となるように、サイズ及び形状とクロスプレート8,9への取付け位置を異ならせた複数種類の針板10a〜10d,11a〜11dが準備されている。
この場合、図4に示すように、右針板10aと左針板11aを組にして、右針板10bと左針板11bを組にして、右針板10cと左針板11cを組にして、右針板10dと左針板11dを組にして対応するクロスプレート8,9に複数本のビス12により取付けるようになっている。この場合、各針板10a〜10d,11a〜11d毎に、8mm分の異なる長さの鳩目穴かがり縫目HNを縫製できるようになっている。
即ち、縫目長さ範囲「14mm〜22mm」の鳩目穴かがり縫目HNaを縫製できる第1針板10a,11aと、縫目長さ範囲「22mm〜30mm」の縫目長さの鳩目穴かがり縫目HNbを縫製できる第2針板10b,11bと、縫目長さ範囲「26mm〜34mm」の縫目長さの鳩目穴かがり縫目HNcを縫製できる第3針板10c,11cと、縫目長さ範囲「34mm〜42mm」の縫目長さの鳩目穴かがり縫目HNdを縫製できる第4針板10d,11d等、複数種類の針板10,11が予め用意されている。
これら複数種類の第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11dのクロスプレート8,9への取付け位置は、縫目長さ範囲において、縫目長さの最大の長さを含み、所定長さだけ夫々短い長さのときに、平面視において糸切り装置20に対して縫製終了位置が一定位置となるように予め決められている。
具体的には、第1針板10a、11aの場合、縫目長さの最大の長さは、22mmとなり、第2針板10b、11bの場合、縫目長さの最大の長さは、30mmとなる。また、所定長さだけ夫々短い長さとは、第1針板10a、11aの場合、縫目長さの範囲は、14mm〜22mmであるため、各第1針板10a、11aの縫目長さが最大の箇所から所定長として4mm短い場合、22mm−4mm=18mmとなる。
一方、第2針板10b、11bの場合、縫目長さの範囲は、22mm〜30mmであるため、同様に、30mm−4mm=26mmとなる。従って、第1針板10a、11aを用いて、縫目長さを18mmとした際の縫製終了位置と、第2針板10b、11bを用いて、縫目長さを26mmとした際の縫製終了位置とは、平面視において、糸切装置20に対して一定位置(同じ位置)となる。
つまり、平面視において糸切り装置20に対して相対的な鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が一定位置となるとは、各第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11dにおいて、共通の基準位置(例えば、最大長さの位置、または、最短長さの位置)から各針板の縫製範囲内において、同じ長さ離れた位置を縫製終了位置としたときに、平面視において、糸切装置20と該各縫製終了位置との距離が同じになることである。
即ち、複数種類の第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11dにより縫製される鳩目穴かがり縫目HNの脚部HNeの長さが長くなるほど、針板10a〜10d,11a〜11dの後端部が徐々に後方寄り、即ち、糸切り装置20から遠ざかる位置に取付けられる。
但し、右針板10a及び左針板11aと右針板10b及び左針板11bとを夫々組にして使用する場合には、縫針6aとメス14の鳩目部14aの先端までの距離は54mmに設定され、右針板10c及び左針板11cと右針板10d及び左針板11dとを組にして使用する場合には、縫針6aとメス14の鳩目部14aの先端までの距離は66mmに設定される。
ここで、図4は、電源投入時に原点設定された送り台7のベッド部3に対する原点位置を示しており、第1針板(右針板10aと左針板11a)を使用する場合と、第3針板(右針板10cと左針板11c)を使用する場合には、縫製後に鳩目穴を加工布に穿孔する正規の穿孔位置MPが、メス14の位置に対して4mmだけ前方にズレた位置、つまり送り台7自体が4mmだけ前方にズレた位置である。それ故、縫製開始に際して、送り台7を4mmだけ後方に移動させる必要がある。
また、第2針板(右針板10bと左針板11b)を使用する場合と、第4針板(右針板10dと左針板11d)を使用する場合には、縫製後に鳩目穴を加工布に穿孔する正規の穿孔位置MPが、メス14の位置に対して4mmだけ後方にズレた位置、つまり送り台7自体が4mmだけ後方にズレた位置である。それ故、縫製開始に際して、送り台7を4mmだけ前方に移動させる必要がある。
ベッド部3内には、この送り台7を、X方向駆動モータ15の駆動によりX方向(左右方向)に送り移動させるX方向移動機構(図示略)と、Y方向駆動モータ16の駆動によりY方向(前後方向)に送り移動させるY方向移動機構(図示略)とが設けられている。ここで、これら送り台7、X方向移動機構及びY方向移動機構により、被縫製物を送る送り装置が構成されている。
送り台7の上面には加工布を保持する左右1対の布押えレバー17,18が設けられ、これら布押えレバー17,18の先端部に布押え(図示略)が夫々取付けられている。これら布押えレバー17,18が図示外のエアシリンダにより駆動され、上側の退避位置と下側の押圧位置とに切換えられる。
次に、送り台7の内部に設けられ、下糸と芯糸を切断する糸切り装置20について説明する。
この糸切り装置20は、右側クロスプレート8の上面に回動可能に支持された上刃部材21及び下刃部材22と、これら両刃部材21,22を糸切り作動させる糸切り作動機構23と、その糸切り作動機構23を駆動する糸切り用エアシリンダ24等で構成されている。
図2,図3に示すように、右側クロスプレート8の上面のうちの右針板10の直ぐ前側において、下側に位置する下刃部材22と、その下刃部材22の上側に位置する上刃部材21とが第1段ネジ26で回動可能に支持されている。上刃部材21の嘴状先端部分に上刃21aが形成されるとともに、切断する下糸と芯糸とを保持する為の糸保持具27が固着されている。但し、下刃部材22は右針板10の一部を構成し、糸切断位置を鳩目穴かがり縫目HNの縫い終わり位置に極力接近させるようになっている。
図2,図3に示すように、送り台7の内部の前端部に糸切り用エアシリンダ24が左右方向向きに配設され、そのピストンロッド24aの先端部に、平面視ほぼU字形状の連結部材28が固着されている。この糸切り用エアシリンダ24は、糸切りに際して、図示外のバルブユニットから圧縮エアを受け、ピストンロッド24aを進出駆動するようになっている。
その連結部材28の後側に、上刃部材21と下刃部材22を作動させる糸切り作動機構23であって、リンク機構からなる糸切り作動機構23が設けられている。次に、その糸切り作動機構23について説明する。
図3に示すように、右側クロスプレート8の下面に、ほぼく字形状の第1作動リンク30の屈曲部が回動支点として第2段ネジ31により回動可能に支持されている。その第1作動リンク30の前端部には下向きの支軸32の上端部が固着され、その支軸32にコロ部材33が回転可能に支持されている。その第1作動リンク30の直ぐ後側において、駆動軸34が右側クロスプレート8の下側からその上側に貫通して回動可能に支持されている。
その駆動軸34の下端部、つまり右側クロスプレート8の下側に突出する下端部に、平面視ほぼく字形状の駆動リンク35の屈曲部が回動支点として固着されている。更に、第1作動リンク30の後端部と第1連結リンク36の右端部とが第1ピン37で連結され、その第1連結リンク36の左端部と駆動リンク35の前端部とが第2ピン38で連結されている。
一方、右側クロスプレート8の上側において、平面視ほぼV字形状の第2作動リンク39の屈曲部が回動支点として駆動軸34の上端部、つまり右側クロスプレート8の上側に突出する上端部に固着されている。第2作動リンク39の第1アーム部39aの先端部と第2連結リンク40の左端部とが第3ピン41で連結され、その第2連結リンク40の右端部と下刃部材22に突出状に形成された下刃連結部22bとが第4ピン42で連結されている。
更に、第2作動リンク39の第2アーム部39bの先端部と第3連結リンク43の前端部とが第5ピン44で連結され、その第3連結リンク43の後端部と上刃部材21に突出状に形成された上刃連結部21bとが第6ピン45で連結されている。ここで、右側クロスプレート8の上面部には、図3に2点鎖線で示すように、ほぼV字形状の凹部8aが形成され、第2連結リンク40と第3連結リンク43とがその凹部8aに収容されている。その為、第2作動リンク39と、下刃部材22と、上刃部材21の上刃連結部21bとが右側クロスプレート8の上面に接するように配設されている。
ところで、右側クロスプレート8の下側において、駆動リンク35に前後方向向きの板部材46の後端部が固着され、その板部材46の前端部と右側クロスプレート8の下面に固着したビス47とに亙って引っ張りコイルバネ48が掛装されている。それ故、これら複数のリンク30,35,36,39,40,43からなるリンク機構を介して、第1作動リンク30は、右側クロスプレート8の下面に固着した待機位置規制ビス49に当接して、常には、図3に示す待機位置に弾性付勢されている。
それ故、下刃部材22は、図3に示すように、右針板10の一部として機能する待機位置に位置し、上刃部材21は左針板11の方に大きく開いた待機位置に位置している。この状態で、縫製終了に際して糸切り用エアシリンダ24が駆動されると、前述したように、第1作動リンク30及び駆動リンク35の回動により、上刃部材21と下刃部材22とが相反する方向に回動され、下刃部材22の回動途中において、第2作動リンク39の駆動軸34と、第2連結リンク40の第3ピン41及び第4ピン42とが一直線上に位置する状態が所定期間に亙って続く。
このときに、前述したように、第2作動リンク39が回動しているにも関わらず、下刃部材22が実質的に回動停止した状態で、上刃部材21だけが時計回り方向へ、つまり下刃部材22に向かって回動し続ける。それ故、下刃部材22が実質的に回動停止した状態で、上刃部材21だけの回動により下糸と芯糸とが切断される。
次に、鳩目穴かがりミシン1の制御系の概要について、図5のブロック図に基づいて説明する。
鳩目穴かがりミシン1の制御装置50(これが送り台制御手段に相当する)は、CPU51とROM52とRAM53及び不揮発性メモリ54等を含むマイクロコンピュータと、そのマイクロコンピュータにデータバスなどのコモンバス55を介して接続された入力インターフェース56a及び出力インターフェース56b等から構成されている。
入力インターフェース56aには、起動・停止スイッチ57と、布押えに連結された布押えスイッチ58と、タイミング信号発生器59と、送り台7のX方向原点位置を設定するX方向原点センサ60及び送り台7のY方向原点位置を設定するY方向原点センサ61からの原点信号と、ディップスイッチ62からの設定信号と、操作パネル63からの設定値信号と、後述するエンコーダX15a及びエンコーダY16aからのエンコーダ信号とが夫々供給される。
出力インターフェース56bからは、ミシンモータ64の為の駆動回路65と、θ方向駆動モータ66の為の駆動回路67と、打ち抜き用ハンマー68を駆動するエアシリンダ69に連結された電磁切換え弁70の為の駆動回路71と、送り台7を移動駆動するX方向駆動モータ15の為の駆動回路72と、Y方向駆動モータ16の為の駆動回路732に加えて、操作パネル63の各々に駆動信号や駆動パルス信号が供給される。
ディップスイッチ62は、2つの設定スイッチを有し、これら2つの設定スイッチの組合せで4種類の縫目長さ範囲「14〜22mm」、「22〜30mm」、「26〜34mm」、「34〜42mm」を択一的に設定可能になっている。ここで、縫目長さの範囲「14〜22mm」を第1縫目グループGP1とし、縫目長さの範囲「22〜30mm」を第2縫目グループGP2とし、縫目長さの範囲「26〜34mm」を第3縫目グループ3GP3とし、縫目長さの範囲「34〜42mm」を第4縫目グループGP4とする。
X方向駆動モータ15とY方向駆動モータ16(これがY方向電動モータに相当する)の各々は、400ステップのステッピングモータからなり、夫々オープンループにより駆動制御される。X方向駆動モータ15とY方向駆動モータ16に、400本の細線を等間隔で放射状に描いたエンコーダディスクが夫々固着され、X方向駆動モータ15のエンコーダディスクを読み取り可能にエンコーダX15aが設けられるとともに、Y方向駆動モータ16のエンコーダディスクを読み取り可能にエンコーダY16aが設けられている。
即ち、駆動モータ15,16が1ステップ(ステップ角が0.9 °)駆動されると、エンコーダX15aとエンコーダY16aは夫々1つのエンコーダ信号を入力インターフェース56aに出力するようになっている。ここで、これらエンコーダX15a,エンコーダY16aがエンコーダ手段に相当する。また、タイミング信号発生器59は、鳩目穴かがりミシン1の主軸に連係させて設けられ、主軸の回転位相を検出して、鳩目穴かがり縫いに際して、各種の位相信号を出力するものである。
ROM52には、複数種類の閂止め縫目を有する穴かがり縫目NHの縫目データと、各種の穴かがり縫目データと、これら縫目データに基づいてモータ15,16,58,60及び電磁切換え弁70を駆動制御して送り台7や回転機構等の縫製機構を駆動するための駆動制御プログラム、後述する本願特有の送り台移動制御のための制御プログラムなどが格納されている。
また、RAM53には、鳩目穴かがり縫いに際して、操作パネル63を介して選択された鳩目穴かがり縫いの縫目データを格納する縫目データメモリに加えて、各種のワークメモリ、バッファやポインタなどが設けられている。EEPROM(電気的に書き換え可能なROM)等からなる不揮発性メモリ54には、エンコーダX15aとエンコーダY16aから入力されるエンコーダ信号をインクリメント(又はデクリメント)しながら夫々記憶する移動量メモリ54a(これがカウント手段に相当する)と、図6に示すように、縫目長さのグループと、針板のサイズ(第1針板〜第4針板)と、原点設定時におけるメス14に対する縫製基準位置のズレ量とを対応させた縫製基準位置ズレ量テーブル(これが縫製基準位置記憶手段に相当する)とが設けられている。
次に、鳩目穴かがりミシン1の制御装置50により実行される送り台移動制御のルーチンについて、図7のフローチャートに基づいて説明する。但し、図中符号Si(i=11、12、13・・・)は各ステップである。
鳩目穴かがりミシン1に電源が投入されると、この制御が開始され、先ず初期化処理が実行される(S11)。この初期化処理において、X方向原点センサ60及びY方向原点センサ61からの原点信号に基づいて、送り台7がその原点位置に設定される。次に、ディップスイッチ62の設定値が読み込まれる(S12)。
次に、ディップスイッチ62の設定値が読み込まれ、その読み込まれた設定値が第1縫目グループGP1又は第3縫目グループGP3の場合には(S13)、縫製基準位置ズレ量テーブルのデータに基づいてズレ量が読み込まれ、そのズレ量に基づいてY方向駆動モータ16が駆動されて、送り台7が4mmだけ後方の縫製基準位置に移動され(S14)、エンコーダY16aからのエンコーダ信号を常にカウントしているY方向エンコーダカウンタのエンコーダカウント値がリセット(つまり0)に設定され(S16)、この制御を終了する。ここで、S16がリセット手段に相当する。
一方、設定値に基づく縫目長さグループが第2縫目グループGP2又は第4縫目グループGP4の場合には(S13)、Y方向駆動モータ16が駆動されて、送り台7が4mmだけ前方の縫製基準位置に移動され(S15)、S16が実行された後、この制御を終了する。尚、この送り台移動制御は、第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11d及び布押えが交換されて、縫目長さグループGPが変更されるのに伴って、電源が遮断されてディップスイッチ62の設定値が変更され、その後に電源が投入される毎に実行される。
ここで、ディップスイッチ62が入力手段に相当し、ディップスイッチ62の設定値により第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11dのサイズを間接的に特定するようにしたが、操作パネル63により、作業者が第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11dのサイズを予め特定するようにしてもよい。
次に、このように構成された送り台移動制御の作用及び効果について説明する。
ディップスイッチ62により第1縫目グループGP1(第1針板10a,11a)が設定され、電源が投入された場合、図8に示すように、右側クロスプレート8に右針板10aが装着され、左側クロスプレート9に左針板11aが装着され、しかもこれに最適な布押えが装着されている。この場合には、メス14は、縫針6aから54mm離れた位置に固定されている。
この場合、第1縫目グループGP1であるので、先ず、左右両針板10a,11aと糸切り装置20を有する送り台7は、状態Aに示す初期設定位置から状態Bのように、Y方向駆動モータ16の駆動により4mmだけ後方の縫製基準位置に移動される。このとき、縫製後に鳩目穴を加工布に穿孔する正規の穿孔位置MPがメス14の位置に一致する。
このときに、Y方向エンコーダカウント値がリセットされる。それ故、以降において、第1縫目グループGP1に属する縫目長さの鳩目穴かがり縫いが繰返して実行される場合には、Y方向エンコーダカウント値が「0」になる縫製基準位置が採用される。
その後、状態Cのように、送り台7が縫製終了位置NEから縫針6aまでの距離「32mm」だけ前方に移動され、その位置から選択された縫目データにより鳩目穴かがり縫目HNaが縫製される。そして、縫製終了に際して、状態Dのように、送り台7が「32mm」だけ元の位置まで後進移動され、元の縫製基準位置に復帰する。その後、この位置でハンマーにより鳩目穴が形成され、布押えが上昇し、糸切り装置20により下糸と芯糸とが切断される。
ディップスイッチ62により第2縫目グループGP2(第2針板10b,11b)が設定され、電源が投入された場合、図9示すように、右側クロスプレート8に右針板10bが装着され、左側クロスプレート9に左針板11bが装着され、しかもこれに最適な布押えが装着されている。この場合には、メス14は、縫針6aから54mm離れた位置に固定されている。
この場合、第2縫目グループGP2であるので、先ず、左右両針板10b,11bと糸切り装置20を有する送り台7は、状態Aに示す初期設定位置から状態Bのように、Y方向駆動モータ16の駆動により4mmだけ前方の縫製基準位置に移動される。このとき、縫製後に鳩目穴を加工布に穿孔する正規の穿孔位置MPがメス14の位置に一致する。
このときに、Y方向エンコーダカウント値がリセットされる。それ故、以降において、第2縫目グループGP2に属する縫目長さの鳩目穴かがり縫いが繰返して実行される場合には、Y方向エンコーダカウント値が「0」になる縫製基準位置が採用される。
その後、状態Cのように、送り台7が縫製終了位置NEから縫針6aまでの距離「24mm」だけ前方に移動され、その位置から選択された縫目データにより鳩目穴かがり縫目HNbが縫製される。そして、縫製終了に際して、状態Dのように、送り台7が「24mm」だけ元の位置まで後進移動され、元の縫製基準位置に復帰する。その後、この位置でハンマーにより鳩目穴が形成され、布押えが上昇し、糸切り装置20により下糸と芯糸とが切断される。
ディップスイッチ62により第3縫目グループGP3(第3針板10c,11c)が設定され、電源が投入された場合、図10に示すように、右側クロスプレート8に右針板10cが装着され、左側クロスプレート9に左針板11cが装着され、しかもこれに最適な布押えが装着されている。この場合には、メス14は、縫針6aから66mm離れた位置に固定されている。
この場合、例えば、3縫目グループGP3であるので、先ず、左右両針板10c,11cと糸切り装置20を有する送り台7は、状態Aに示す初期設定位置から状態Bのように、Y方向駆動モータ16の駆動により4mmだけ後方の縫製基準位置に移動される。このとき、縫製後に鳩目穴を加工布に穿孔する正規の穿孔位置MPがメス14の位置に一致する。
このときに、Y方向エンコーダカウント値がリセットされる。それ故、以降において、第3縫目グループGP3に属する縫目長さの鳩目穴かがり縫いが繰返して実行される場合には、Y方向エンコーダカウント値が「0」になる縫製基準位置が採用される。
その後、状態Cのように、送り台7が縫製終了位置NEから縫針6aまでの距離「32mm」だけ前方に移動され、その位置から選択された縫目データにより鳩目穴かがり縫目HNcが縫製される。そして、縫製終了に際して、状態Dのように、送り台7が「32mm」だけ元の位置まで後進移動され、元の縫製基準位置に復帰する。その後、この位置でハンマーにより鳩目穴が形成され、布押えが上昇し、糸切り装置20により下糸と芯糸とが切断される。
ディップスイッチ62により第4縫目グループGP4(第4針板10d,11d)が設定され、電源が投入された場合、図11示すように、右側クロスプレート8に右針板10dが装着され、左側クロスプレート9に左針板11dが装着され、しかもこれに最適な布押えが装着されている。この場合には、メス14は、縫針6aから66mm離れた位置に固定されている。
この場合、第4縫目グループGP4であるので、先ず、左右両針板10d,11dと糸切り装置20を有する送り台7は、状態Aに示す初期設定位置から状態Bのように、Y方向駆動モータ16の駆動により4mmだけ前方の縫製基準位置に移動される。このとき、縫製後に鳩目穴を加工布に穿孔する正規の穿孔位置MPMPがメス14の位置に一致する。
このときに、Y方向エンコーダカウント値がリセットされる。それ故、以降において、第4縫目グループGP4の鳩目穴かがり縫いが繰返して実行される場合には、Y方向エンコーダカウント値が「0」になる縫製基準位置が採用される。
その後、状態Cのように、送り台7が縫製終了位置NEから縫針6aまでの距離「24mm」だけ前方に移動され、その位置から選択された縫目データにより鳩目穴かがり縫目HNdが縫製される。そして、縫製終了に際して、状態Dのように、送り台7が「24mm」だけ元の位置まで後進移動され、元の縫製基準位置に復帰する。その後、この位置でハンマーにより鳩目穴が形成され、布押えが上昇し、糸切り装置20により下糸と芯糸とが切断される。
このように、鳩目穴かがり縫目HNの脚部HNeの前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした針板10,11に交換するように複数種類の針板10a〜10d,11a〜11dを有し、糸切り装置20は脚部HNeの長さの異なる鳩目穴かがり縫目HNに共通に適用可能に構成され、平面視において糸切り装置20に対して相対的な鳩目穴かがり縫目HNの縫製終了位置が一定位置となるように、複数種類の針板10a〜10d,11a〜11dのサイズ及び形状とクロスプレート8,9への取付け位置が設定されたので、鳩目穴かがり縫目HNの脚部HNeの長さの異なる鳩目穴かがり縫目HNを縫製するに際して、脚部HNeの前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした1対の針板10,11に交換するにしても、糸切り装置20を交換しなくても、鳩目穴かがり縫目HNの縫製終了時に切断した糸の糸端長さがほぼ一定になる。
それ故、脚部HNeの長さの異なる鳩目穴かがり縫目HNを縫製するに際して、交換作業が簡単なこれら複数組の針板10a〜10d,11a〜11dについては交換するが、交換作業が複雑な糸切り装置20については交換する必要がなく、縫目長さが異なる鳩目穴かがり縫目HNの縫製作業の簡単化、迅速化を図ることができる。
また、送り台7をX方向とこれに直交するY方向とに移動駆動するX方向駆動モータ15とY方向駆動モータ16とが設けられ、ディップスイッチ62により設定された設定値、つまり針板10,11のサイズが特定されると、その針板10,11のサイズに対応するメス14に対する縫製基準位置とのズレ量が読み込まれ、そのズレ量に基づいて縫製開始時にY方向駆動モータ16を駆動させて、メス14が鳩目穴かがり縫目HNの鳩目部に対応する縫製基準位置に送り台7を移動させるようにしたので、第1〜第4針板10a〜10d,11a〜11dのメス14に対する取付け位置が異なり、鳩目穴かがり縫目HNの鳩目部に対応する縫製基準位置が異なった場合でも、入力手段により特定された針板のサイズに対応する縫製基準位置に基づいて、送り台制御手段により送り台が所定の縫製基準位置に移動されるため、ハンマーによる穴開け時のメス14の取付け位置を共通にでき、しかも鳩目穴かがり縫目の正規の位置に精度良く鳩目穴を形成することができる。
また、少なくともY方向駆動モータ16は回転量を検出するエンコーダY16aが設けられ、エンコーダY16aから出力されるエンコーダ信号をカウントする移動量メモリ54aと、送り台7が縫製基準位置に移動する毎に移動量メモリ54aのカウント値をリセットするようにしたので、鳩目穴かがり縫目HNの長さに応じた1対の針板10,11に交換されて電源が投入されると、送り台7の原点設定が行われた後、送り台7が装着された針板10,11に応じた縫製基準位置に移動されたときの移動量メモリ54aのカウント値がリセットされる為、それ以降において、その針板10,11を使用する鳩目穴かがり縫目HNを形成するに際して、原点設定処理を省略して、縫製基準位置から縫製開始でき、縫製サイクルタイムを短縮でき、作業能率が格段に向上する。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。
1〕電源投入時における送り台7の原点位置を、第1,第3縫目グループGP1,GP3を設定した場合の縫製基準位置に一致するように設定するようにしてもよく、第2,第4縫目グループGP2,GP4を設定した場合の縫製基準位置に一致するように設定してもよい。
2〕複数種類の針板10a〜10d,11a〜11dは、縫目長さ範囲を「4mm」とするように、段階的に大きくした針板であってもよい。
3〕本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者でれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
本発明の実施形態に係る鳩目穴かがりミシンの斜視図である。 送り台の平面図である。 糸切り装置の平面図である。 複数種類の針板を装着した場合の送り台の原点位置を示す説明図である。 鳩目穴かがりミシンの制御系のブロック図である。 縫製基準位置ズレ量テーブルの設定値を示す図表である。 送り台移動制御のフローチャートである。 縫目長さグループGP1の針板を使用する場合の縫製制御の説明図である。 縫目長さグループGP2の針板を使用する場合の縫製制御の説明図である。 縫目長さグループGP3の針板を使用する場合の縫製制御の説明図である。 縫目長さグループGP4の針板を使用する場合の縫製制御の説明図である。
符号の説明
1 鳩目穴かがりミシン
6 針棒
7 送り台
8 右側クロスプレート
9 左側クロスプレート
10a〜10d 右針板
11a〜11d 左針板
14 メス
16 Y方向駆動モータ
16a エンコーダY
20 糸切り装置
21 上刃部材
22 下刃部材
50 制御装置
54a 移動量メモリ
61 Y方向原点センサ
HN 鳩目穴かがり縫目

Claims (3)

  1. 上下駆動される針棒と、送り台とこの送り台に固定され被縫製物を載せる左右1対のクロスプレートとを含む送り装置と、1対のクロスプレートに着脱可能に装備される1対の針板と、被縫製物の鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置から延びる糸を切断する糸切り装置と、ハンマーとメスとを含む穴開け機構とを有する鳩目穴かがり縫目において、
    前記1対の針板は、鳩目穴かがり縫目の脚部の前後方向長さの所定長増大毎に前後方向長さを段階的に大きくした針板に交換するように複数種類の針板を有し、
    前記糸切り装置は前記脚部の長さの異なる鳩目穴かがり縫目に共通に適用可能に構成され、
    平面視において前記糸切り装置に対して相対的な鳩目穴かがり縫目の縫製終了位置が一定位置となるように、複数種類の針板のサイズとクロスプレートへの取付け位置が設定されたことを特徴とする鳩目穴かがりミシン。
  2. 前記送り装置は前記送り台をX方向とこれに直交するY方向とに移動駆動するX方向電動モータとY方向電動モータと、
    前記複数種類の針板のサイズを特定するための入力手段と、
    前記メスが鳩目穴かがり縫目の鳩目部に対応する縫製基準位置を、前記複数種類の針板サイズ毎に記憶した縫製基準位置記憶手段とを有し、
    前記ハンマーによる穴開け時の前記メスの取付け位置を共通にする為に、前記入力手段によって特定された針板のサイズに基づいて、縫製開始時に前記Y方向電動モータを駆動させて、前記縫製基準位置記憶手段に記憶された縫製基準位置に送り台を移動させる送り台制御手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の鳩目穴かがりミシン。
  3. 少なくとも前記Y方向電動モータは回転量を検出するエンコーダ手段を有し、前記送り台制御手段は前記エンコーダ手段から出力されるエンコーダ信号をカウントするカウント手段と、前記送り台が縫製基準位置に移動した場合、前記カウント手段のカウント値をリセットするリセット手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鳩目穴かがりミシン。
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