JP2007051115A - 脂溶性薬剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、脂溶性成分の生体内吸収性が改善されていて、しかも製剤として安定な脂溶性薬剤組成物、特にカプセル用脂溶性薬剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 脂溶性成分及び乳化剤を含有し、該乳化剤がグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含有することを特徴とする脂溶性薬剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂溶性成分及び乳化剤を含有する脂溶性薬剤組成物、とりわけカプセル用脂溶性薬剤組成物に関する。
従来脂溶性成分を含有するソフトカプセルを使用する場合、胃や腸等の体内での吸収率が低く、吸収速度が遅いという問題があった。この問題を解決すべく、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する自己乳化型油脂組成物が知られている(特許文献1及び2参照)。しかし、それら組成物の自己乳化力は充分とはいえず、且つ組成物が高粘度である為、取扱い難いという問題がある。
また、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びポリグリセリンラウリン酸エステルを乳化剤として含有する自己乳化型油脂組成物をソフトカプセルに充填することが知られている(特許文献3及び4参照)。しかし、それら組成物中のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有率は、いずれも15〜60重量%と高く、ソフトカプセル中の脂溶性成分の含有量が低くなるという問題がある。さらにソフトカプセル中の乳化剤の含有量が多いと、口内で噛む咀嚼型ソフトカプセル等では、味が悪く、不快感を与えることになる。
特公平4−74339 特開昭61−12632 特開2004−115544 特開2004−135681
本発明は、脂溶性成分の生体内吸収性が改善されていて、しかも製剤として安定な脂溶性薬剤組成物、特にカプセル用脂溶性薬剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルを脂溶性成分に配合することにより、上記課題が解決されることを見いだした。さらに、グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルの配合比率、脂溶性成分中のグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルの含有率、並びにグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルのHLB値を特定の数値にすることで、より効果的に上記課題が解決されることを見いだし、これらの知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
(1)脂溶性成分及び乳化剤を含有し、該乳化剤がグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含有することを特徴とする脂溶性薬剤組成物、
(2)脂溶性薬剤組成物に含有されるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとグリセリン不飽和脂肪酸エステルとの比率が、1:4〜4:1(質量部)であることを特徴とする前記(1)に記載の脂溶性薬剤組成物、
(3)脂溶性薬剤組成物中におけるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとグリセリン不飽和脂肪酸エステルの合計の含有割合が、1〜6質量%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の脂溶性薬剤組成物、
(4)HLB値が6以上であるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとHLB値が6未満であるグリセリン不飽和脂肪酸エステルであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の脂溶性薬剤組成物、
(5)グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルが、グリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステルであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の脂溶性薬剤組成物、
(6)グリセリン不飽和脂肪酸エステルが、グリセリンモノオレートであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の脂溶性薬剤組成物、および
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の脂溶性薬剤組成物を含有することを特徴とするソフトカプセル、に関する。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、水性溶液中で脂溶性成分が速やかに十分に分散することができるため、腸等の体内での吸収率及び吸収速度を高めることができる。
また本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、使用される乳化剤の界面張力低下能が優れているため、組成物に対する乳化剤の含有量を少なくすることができ、脂溶性成分の含有量を多くすることができる。したがって、例えば本発明に係る脂溶性薬剤組成物をカプセルに封入する際、脂溶性薬剤組成物の量が従来の自己乳化型油脂組成物の封入量より少量であっても、本発明では上記のように乳化剤の量が少量でよいから、十分量の脂溶性成分(例えば脂溶性薬剤等)を含有する脂溶性薬剤組成物をカプセルに封入し得る。
さらに、本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、該脂溶性薬剤組成物中での経時変化や環境変化による乳化剤の結晶析出や沈殿を防止することができるので、例えば製剤的に安定なカプセル剤を提供できる。
また、乳化剤の含有量が少ないため、食する際にも味、風味が乳化剤により損なわれることなく、良好である。
本発明に係る脂溶性成分としては、親油性であれば特に限定されないが、例えば食用油又は親油性の医薬品もしくは食品、香料、脂溶性色素等が挙げられる。食用油としては、例えば、なたね油、大豆油、サフラワー油、向日葵油、米糠油、コーン油、綿実油、ごま油、小麦胚芽油、月見草油又は紫蘇油等が挙げられる。
親油性の医薬品もしくは食品としては、例えば脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等)、脂溶性ビタミンC誘導体(例えば、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)、コエンザイムQ10(ユビキノン又はビタミンQともいう。)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、共役リノール酸(CLA)トリグリセライド、CLA、スクワレン、γ−リノレン酸、α−リノレン酸又は中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)等、もしくはそれらを含有する油脂等が挙げられる。香料としては、例えば医薬品添加物又は食品添加物として許容されている天然の花、樹木、果実等の精油等が好ましい。これら脂溶性成分は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明で使用される乳化剤は、少なくともグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含み、さらに所望によりその他の乳化剤を含有していてもよい。
本発明で使用されるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、HLBが6以上のものが好ましい。
グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルは、通常、グリセリン不飽和脂肪酸エステルとジアセチル無水酒石酸とを公知の方法(例えばエステル化反応等)により反応して得られる。グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等の群から選ばれる一種又は二種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
本発明で使用されるグリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば不飽和脂肪酸のモノグリセライド(例えば、グリセリンモノオレート等)、グリセリン酢酸不飽和脂肪酸エステル、グリセリン乳酸不飽和脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸不飽和脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、前記した不飽和脂肪酸のものを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
グリセリン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば炭素数16〜22の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸又はエルシン酸等が挙げられる。
本発明で用いられるグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、自体公知の方法により製造することができる。例えば、攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に、グリセリンと不飽和脂肪酸をモル比で約1:0.8〜1:1.2、好ましくは約1:1で仕込み、触媒として水酸化ナトリウムを加えて攪拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で加熱することにより製造できる。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、該反応の圧力条件は減圧下または常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、酸価約3以下を目安に決められる。反応終了後、得られた反応液を約120℃以上180℃未満、好ましくは約130〜150℃に冷却し、酸を加えて触媒を中和し、好ましくは約15分間〜1時間放置し、未反応のグリセリンが下層に分離した場合はそれを除去し、更に、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて分子蒸留するか、またはカラムクロマトグラフィーもしくは液−液抽出など自体公知の方法を用いて精製することにより、グリセリン不飽和脂肪酸エステルを得ることができる。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとグリセリン不飽和脂肪酸エステルとを、比率約1:4〜4:1(質量部)で含有することが好ましい。脂溶性薬剤組成物におけるジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル1質量部に対するグリセリン不飽和脂肪酸エステルの含有比率が、0.25質量部未満だと水性溶液への脂溶性成分の分散性が悪く、また4質量部を超えると乳化剤の沈澱が生じるからである。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルの合計の含有割合を、脂溶性薬剤組成物に対して約1〜6質量%、好ましくは約1〜3質量%とすることが好ましい。この含有量が1質量%未満であると、脂溶性薬剤組成物の自己乳化性が低下、すなわち脂溶性成分の水性溶液への水分散性が低下するか、または脂溶性成分が水性溶液に分散しない。
なお、上記用語「自己乳化性」とは、予め脂溶性成分に乳化剤を溶解しておき、攪拌せずに水中に前記脂溶性成分と乳化剤との溶解液を滴下するだけで脂溶性成分が水性溶液に分散(乳化)する性質をいう。
自己乳化性(脂溶性成分が水に分散する際の水分散性)を表す指標として平均粒子径等が挙げられる。平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱法、動的光散乱法、画像処理等を用いて測定することができる。本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、水性溶液へ脂溶性薬剤組成物の分散時の脂溶性成分の平均粒子径が、上記三方法のいずれか一方法で測定して約10μm以下であることが好ましい。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物に係る乳化剤は、HLB値が6以上であるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとHLB値が6未満であるグリセリン不飽和脂肪酸エステルとを組み合わせて用いるのがよい。前記組み合わせの乳化剤を含有する場合に特に脂溶性薬剤組成物中の脂溶性成分の水分散性が向上する。HLBが6未満の乳化剤のみが含有されている脂溶性薬剤組成物は、脂溶性成分に対する乳化剤の溶解性については問題ないが、脂溶性成分が水に分散しないという問題がある。また、HLBが6以上の乳化剤のみが含有されている脂溶性薬剤組成物は、脂溶性成分に乳化剤が溶解しにくく乳化剤が沈殿する等の問題があるか、たとえ脂溶性成分に乳化剤が溶解したとしても、該脂溶性薬剤組成物が水性溶液と接した場合、脂溶性成分が水性溶液へ細かく分散されず、脂溶性成分の平均粒子径が細かくならない。
HLB値(Hydrophile Lipophile Balance)とは、界面活性剤の親水性を示す数値をいい、通常エチレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤について、親油基に付加された親水基が無限に長く親水性が最も大きい仮想的な化合物を考えて、この化合物のHLB値を20と定め、また、親水基の全く無い親油性の化合物についてこのHLB値を0と定めて、それらとの相対値として対象となる化合物の親油性と親水性のバランスを表す指標をいう。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、脂溶性成分に上記した乳化剤を溶解することにより製造することができる。溶解する際には、約60〜80℃に加温することが好ましく、また例えば加熱用のコイル、ジャケット、邪魔板等を備えた通常撹拌に使用される攪拌機を用いて攪拌することが好ましい。撹拌機で使用する撹拌翼の形状は、かい十字型、プロペラ型、ファンタービン型等のいずれであっても良い。
本発明で使用され得るその他の乳化剤としては、例えばポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル等が挙げられる。
また、本発明に係る脂溶性薬剤組成物には、必要に応じて、例えばジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソールもしくはビタミンCパルミチン酸エステル等の酸化防止剤又はプロピオン酸等の保存剤等を添加することができる。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、該組成物を封入されたカプセル剤として製剤化され、医薬又は食品等とされるのが好ましい。カプセル剤はハードカプセル又はソフトカプセルのいずれも好ましく用いることができる。
ハードカプセルは、カプセルに充填する脂溶性薬剤組成物の漏出などを防止できる、例えばカプセルボディーとキャップを一体化したもの等がより好ましい。
ソフトカプセルは、通常のソフトカプセル基剤、例えばゼラチン、水溶性高分子(例えば、寒天、カラギナン、ファーセレラン、ジェランガム、ネーティブジェランガム、デンプン、加工デンプン、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類、セルロース誘導体等)、糖質(例えばトレハロース、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、シュクロース、ソルビトール、マルトース等)及びグリセリン等の1種又は2以上を適宜混合して調製されるソフトカプセル皮膜、あるいは特開2005−170929、特開2005−170863、特開2004−351007、特開2004−167084、特開2002−360665、特開2001−247453、特開平11−001427等に記載のソフトカプセル皮膜等が使用され得る。ソフトカプセルは、例えばトウモロコシ由来の天然タンパク質等をコーティング等した腸溶性ソフトカプセル、又は味付けや香り付けをした咀嚼用カプセル、あるいは超薄膜ソフトカプセル(特開2001−288075)等も好ましく使用し得る。カプセル皮膜には、例えば防腐剤、着色剤、不透明化剤、着香剤、矯味剤等も必要により適宜添加して調製することができる。
ソフトカプセルは、従来用いられているソフトカプセルの製法、例えばロータリー式全自動ソフトカプセル成型機を用いた打ち抜き法、二枚のゼラチンシート間に本発明に係る脂溶性薬剤組成物を入れ、金型で両面から圧縮して打ち抜く平板法或いは二重ノズルを用いた滴下法(シームレスカプセル等)等を用い、成型、乾燥することにより製造することができる。
製造されたソフトカプセルの包装形態は、一般的に知られている形態を用いることができ、例えば、ビン充填、アルミ包装、PTP包装等が挙げられる。
また、本発明の脂溶性薬剤組成物は、水分散性が容易であるため、脂溶性成分を水に分散又は乳化して製造される加工食品(例えば、ドレッシング等)、乳飲料又は健康食品等にも利用し得る。
以下に本発明を実施例および比較例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.脂溶性薬剤組成物の製造
実施例1〜4及び比較例1〜6の脂溶性薬剤組成物を製造した。
(実施例1)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)(製品名:トナリンTG−80、コグニス社製)に、グリセリンモノオレート(3g)(製品名;エマルジーOL−100H、理研ビタミン社製)及びグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(3g)(パノダンAB−100V、ダニスコ社製)を添加し、70℃に加温した後、攪拌機で攪拌して溶解することにより脂溶性薬剤組成物を製造した。
(実施例2)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(42g)(製品名;アクターM−107FR、理研ビタミン社製)及びビタミンE(54g)(製品名;理研Eオイル800、理研ビタミン社製)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)の代わりにグリセリンモノオレート(1g)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(実施例3)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりになたね油(94g)(製品名;ボーソー油脂社製)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(実施例4)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(85g)及びコエンザイムQ10(製品名;Bio−Q10、三菱ガス化学社製)(10g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)の代わりにグリセリンモノオレート(2g)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(比較例1)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(97g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)及びグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(3g)の代わりにグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(3g)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(比較例2)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりになたね油(97g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)及びグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(3g)の代わりにジグリセリンモノレート(3g)(製品名;ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(比較例3)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりになたね油(94g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)及びグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(3g)の代わりにヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(3g)(製品名;ポエムPR−300、理研ビタミン社製)及びデカグリセリンラウリン酸エステル(3g)(製品名;SYグリスターML750、阪本薬品工業社製)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(比較例4)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(94g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)及びグリセリンジアセチル酒石酸オレイン酸エステル(3g)の代わりにヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(3g)及びデカグリセリンラウリン酸エステル(3g)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(比較例5)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(95g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)の代わりにヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(2g)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
(比較例6)
共役リノール酸(CLA)トリグリセライド(94g)の代わりになたね油(85g)及びコエンザイムQ10(10g)を使用し、またグリセリンモノオレート(3g)の代わりにプロピレングリコールオレイン酸エステル(2g)(製品名;リケマールPO−100、理研ビタミン社製)を使用すること以外は、実施例1と同様にして脂溶性薬剤組成物を製造した。
2.脂溶性薬剤組成物の自己乳化性及び平均粒子径の測定
水道水100gに対して、実施例1〜4及び比較例1〜6の脂溶性薬剤組成物をそれぞれ1g添加して、脂溶性薬剤組成物の自己乳化性及び平均粒子径を測定した。平均粒子径は、散乱式粒度分布測定機LA−950(堀場製作所)を用いて、レーザー回析法により測定した。自己乳化性は、液体の状態を目で見て測定し、以下の基準に従って記号化した。
○:均一に白濁して安定である
△:一旦白濁して乳化するが、時間とともに油相と水相が分離する
×:白濁せずに油相と水相が分離する
その結果を表1に示す。
3.脂溶性薬剤組成物の結晶性の測定
実施例1〜4及び比較例1〜6の脂溶性薬剤組成物を20℃の恒温槽にそれぞれ保存し、1ヶ月間観測することにより結晶性を評価した。組成物が白濁したり、沈殿物の生成が認められた場合に、結晶性ありとした。その結果を表1に示す。
Figure 2007051115
4.ソフトカプセルの製造
ゼラチン(5kg)を、60〜70℃に加温した精製水4.6kgに、攪拌しながら、少量ずつ添加し、均一に分散させた。攪拌下、分散液の温度を80〜90℃として、ゼラチンを完全に溶解させた。ゼラチン溶解後、濃グリセリン1.5kgを加え均一に混合した。ついで穏やかに攪拌しながら室温まで冷却し、ゼラチンシートを製造した。カプセル鋳型を持つ一対の回転ローラーに、2枚のゼラチンシートを送り、実施例1〜4、比較例1〜6の脂溶性薬剤組成物をそれぞれ100mg注入し、充填して、連続的にカプセルを成形し、打ち抜いてソフトカプセルを製造した。
5.本発明に係る組成物を含有するソフトカプセルの味及び風味の評価
4で製造した実施例1〜4及び比較例1〜6の脂溶性薬剤組成物を含有するソフトカプセルの味及び風味を、下記表2に示す評価基準に従い10名のパネラーで評価した。
Figure 2007051115
結果は10名の評点の平均値として求め、以下の基準に従って記号化した。
◎:極めて良好 平均値3.5以上
○:良好 平均値2.5〜3.4
△:やや悪い 平均値1.5〜2.4
×:悪い 平均値1.4以下
結果を表3に示した。
Figure 2007051115
結果として、実施例1〜4の組成物を封入したソフトカプセルは、味及び風味が良好であることがわかった。
本発明に係る脂溶性薬剤組成物は、カプセル充填用の組成物として有用である。

Claims (4)

  1. 脂溶性成分及び乳化剤を含有し、該乳化剤がグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含有することを特徴とする脂溶性薬剤組成物。
  2. 脂溶性薬剤組成物に含有されるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとグリセリン不飽和脂肪酸エステルとの比率が、1:4〜4:1(質量部)であることを特徴とする請求項1に記載の脂溶性薬剤組成物。
  3. 脂溶性薬剤組成物中におけるグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルとグリセリン不飽和脂肪酸エステルの合計の含有割合が、1〜6質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂溶性薬剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂溶性薬剤組成物を含有することを特徴とするソフトカプセル。
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