JP2007014290A - 酸性水中油型乳化食品の製造方法 - Google Patents

酸性水中油型乳化食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 長期間保存しても乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品の製造方法を提供する。
【解決手段】 乳化材としてホスフォリパーゼA処理卵黄を用いた酸性水中油型乳化食品の製造方法であって、前記ホスフォリパーゼA処理卵黄を配合した水相と食用油脂を配合した油相とを製品のpHより0.5以上高い状態で乳化処理を施して水中油型乳化物を製した後に、酸材を添加してpHを調整する酸性水中油型乳化食品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、簡便な製造方法により乳化状態の保存安定性が改善され長期間保存しても乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品を提供できる酸性水中油型乳化食品の製造方法に関する。
卵黄は、卵黄リン脂質、卵黄油およびコレステロール等の卵黄脂質と卵黄蛋白との複合体からなる卵黄リポ蛋白質を主成分としており、当該卵黄リポ蛋白質は優れた乳化力を有すると共にコク味を有する。また卵黄は、安価で入手が容易であることから、様々な加工食品の食材として汎用されている。したがって、酸性水中油型乳化食品で代表されるマヨネーズや乳化ドレッシング等においても乳化材として従来より汎用されている。
しかしながら、近年、酸性水中油型乳化食品に様々な原料を使用するようになり、卵黄を乳化材として用いた従来のものでは、長期間にわたり乳化安定性を保つことが難しい場合があった。また、近年、家族の少人数化に伴いマヨネーズやドレッシング等の調味料の使用期間が延びていることから、酸性水中油型乳化食品の賞味期限を延長したいとの要望があるものの従来の卵黄を乳化材として用いたものや従来の製造方法では、賞味期限を延長することは難しい状況であった。
このような状況下、酸性水中油型乳化食品の乳化状態を長期間に渡り保つ技術として、様々な技術が提案されている。例えば、特開2001−138号公報(特許文献1)には、卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質の構成リン脂質にリン脂質分解酵素であるホスホリパーゼAを作用させリン脂質の1位あるいは2位の脂肪酸残基を加水分解してリゾリン脂質としたホスフォリパーゼA処理卵黄を乳化材として使用する技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1で提案されているホスフォリパーゼA処理卵黄を乳化材として用いる技術は、従来の卵黄を用いた酸性水中油型乳化食品と比較し、確かに乳化安定性は向上するものの、未だ満足できるものとは言い難い状況であった。したがって、酸性水中油型乳化食品において、更なる乳化状態の保存安定性を改善する技術の出現が要望されている。
特開2001−138号公報
そこで、本発明の目的は、長期間保存しても乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品の製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく乳化材として用いる卵黄、ならびに各処理工程について鋭意研究を重ねた。その結果、乳化材としてホスフォリパーゼA処理卵黄を用い、従来法である食酢等の酸材を全量配合した水相と食用油脂を配合した油相を単に乳化して酸性水中油型乳化食品を製造するのではなく、製品のpHより特定以上高い状態で一旦、水中油型乳化物を製した後に、酸材を添加しpH調整するならば意外にも簡便な製造方法に拘らず乳化状態の保存安定性が改善され長期間にわたり乳化安定性に優れた乳化食品が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 乳化材としてホスフォリパーゼA処理卵黄を用いた酸性水中油型乳化食品の製造方法であって、前記ホスフォリパーゼA処理卵黄を配合した水相と食用油脂を配合した油相とを製品のpHより0.5以上高い状態で乳化処理を施して水中油型乳化物を製した後に、酸材を添加してpHを調整する酸性水中油型乳化食品の製造方法、
(2) 前記ホスフォリパーゼA処理卵黄の配合量が製品に対し生卵黄換算で0.5〜15%である(1)の酸性水中油型乳化食品の製造方法、
(3) 前記酸材が食酢である請求項1又は2記載の酸性水中油型乳化食品の製造方法、
である。
本発明の製造方法によれば、簡便な製造方法により乳化状態の保存安定性が改善され長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品を提供できる。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
本発明で得られる酸性水中油型乳化食品は、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散し水中油型に乳化され、常温流通を可能ならしめるためにpHを4.6以下に調整された酸性乳化食品である。このような酸性水中油型乳化食品としては、代表的には、例えば、マヨネーズ、乳化ドレッシング等の酸性水中油型乳化調味料等が挙げられるが、本発明は、これらの乳化食品に限定するものではない。
本発明は、上記酸性水中油型乳化食品の製造方法において、当該乳化食品の乳化材としてホスフォリパーゼA処理卵黄を用いること、ならびに前記ホスフォリパーゼA処理卵黄を配合した水相と食用油脂を配合した油相とを製品のpHより0.5以上高い状態で乳化処理を施して水中油型乳化物を製した後に、酸材を添加してpHを調整することを特徴とする。
ここで、ホスフォリパーゼA処理卵黄とは、卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質(卵黄リン脂質、卵黄油およびコレステロール等の卵黄脂質と卵黄蛋白の複合体)の構成リン脂質にリン脂質分解酵素であるホスフォリパーゼAあるいはホスフォリパーゼAを作用させてリン脂質の1位あるいは2位の脂肪酸残基を加水分解してリゾリン脂質とした卵黄をいう。また、本発明で用いるホスフォリパーゼA処理卵黄の前記酵素処理による加水分解の程度としては、リゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計量に対するリゾホスファチジルコリンの割合がイアトロスキャン法(TLC−FID法)で分析した場合、その値(本発明の「リゾ化率」)が、10〜80%が好ましく、30〜70%がより好ましい。リゾ化率が前記値より低いと、後述する本発明の製造方法を行なったとしても乳化状態の保存安定性が十分に改善され難く、一方、リゾ化率を前記値より高くしたとしても、それ以上の乳化安定性の改善効果が得られ難く、またホスフォリパーゼA処理卵黄の製造コストもかかり高価となり好ましくないからである。
また、本発明で用いるホスフォリパーゼA処理卵黄としては、上記酵素処理に加えその他の処理を組み合わせたものを用いても良い。このような処理としては、例えば、ショ糖等の糖類あるいは食塩等の塩類の添加混合処理、脱糖処理、超臨界二酸化炭素あるいは亜臨界二酸化炭素処理によるトリグリセリドおよびコレステロールの除去処理、噴霧乾燥、凍結乾燥等による乾燥処理、酵素失活処理等の処理が挙げられる。
ホスフォリパーゼA処理卵黄の配合量は、食用油脂の配合量や他の原料、例えば、乳化材との組み合わせ等にもよるが、製品に対し生卵黄換算で0.5〜15%が好ましく、1〜12%がさらに好ましい。配合量が前記値より少ないと、後述する本発明の製造方法を行なったとしても乳化状態の保存安定性が十分に改善され難く、一方、配合量を前記値より多くしたとしても、それ以上の乳化安定性の改善効果が得られ難く、製品も高価となり好ましくないからである。なお、卵白を含有した全卵等をホスフォリパーゼAで処理したホスフォリパーゼA処理全卵等を用いた場合は、当該酵素処理された卵黄部分がホスフォリパーゼA処理卵黄に相当する。
また、本発明で用いる食用油脂としては、食品に供される油脂であればいずれのものでも良い。このような食用油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂、あるいは各種スパイスオイル等調味油等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いると良い。また、食用油脂の配合量は、酸性水中油型乳化食品に配合される一般的な量、具体的には、10〜80%を配合すれば良い。
また、本発明で用いる酸材としては、食品に供されるものであればいずれのものでも良く、例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸、あるいは前記有機酸を主成分として含有した食酢、柑橘果汁等の天然原料等が挙げられる。特に、食酢は、酢酸を主成分としたもので、安価でpHを効率よく下げることができることから好ましい。
以上、本発明の製造方法で用いる必須の原料について説明したが、本発明は、、更に当該製造方法に特徴を有する。本発明の製造方法は、まず、ホスフォリパーゼA処理卵黄を配合した水相と食用油脂を配合した油相とを製品のpHより0.5以上、好ましくは0.8以上高い状態で乳化処理を施して水中油型乳化物を製する。つまり、本発明は、製品のpHより0.5以上、好ましくは0.8以上高い状態を維持したままで水相と油相を乳化して水中油型乳化物を製する。
従来の酸性水中油型乳化物の製造方法は、一般的に、まず食酢等の酸材の全量、卵黄等の乳化材、並びにその他の水相原料を均一に混合して水相を調製し、その後、当該水相を攪拌させながら油相である食用油脂を徐々に注加して粗乳化物を製する。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミル、高圧ホモゲナイザー等の乳化機で精乳化して酸性水中油型乳化食品を製している。したがって、水相と油相を乳化する際には、既に水相に全量の酸材が配合され製品のpHと略同等のpHを有した水相を用いていることから、製品のpHと略同等の状態で水相と油相が乳化されている。
これに対し、本発明の製造方法は、製品のpHより0.5以上、好ましくは0.8以上高い状態で水相と油相とを乳化処理を施す。これにより、後述の試験例に示しているとおり乳化状態の保存安定性が改善され長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品が得られる。具体的な製造方法としては、乳化後の乳化物のpHと乳化前の水相のpHが略一致することから、水相を調製する際に、酸材の全量を配合しないか、あるいは一部しか配合せずにホスフォリパーゼA処理卵黄を配合した水相のpHを製品である酸性水中油型乳化食品のpHより0.5以上、好ましくは0.8以上高くなるように調節し水相を調製する。そして、このように製品のpHより高い状態の水相を用い、常法に則り、当該水相を攪拌させながら油相である食用油脂を徐々に注加して乳化することにより、水相と油相とを製品のpHより高い状態で乳化処理を施すこととなり、本発明の水中油型乳化物である粗乳化物が得られる。
次に、本発明は、酸材を添加してpHを調整し、酸性水中油型乳化食品を製造する。具体的には、水相と油相とを乳化した上記本発明の水中油型乳化物である粗乳化物に酸材を添加して製品のpHに調整し、当該pH調整後の粗乳化物に精乳化を施して酸性水中油型乳化食品を製造する。あるいは粗乳化物に精乳化を施して精乳化物を製した後、当該精乳化物に酸材を添加して製品のpHに調整し酸性水中油型乳化食品を製造すると良い。
以上、本発明の酸性水中油型乳化食品の製造方法に説明したが、本発明は、本発明の効果を損なわない範囲で酸性水中油型乳化食品に使用される各種原料を適宜選択し配合させることが出来る。例えば、食塩、砂糖、醤油、味噌、核酸系旨味調味料等の各種調味料、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉等の増粘材、卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸化処理澱粉等の乳化材、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、香辛料、色素等が挙げられる。
また、本発明は、簡便な製造方法により乳化状態の保存安定性が改善され長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品を提供できることから、乳化安定性が保ち難い高脂肪低蛋白の乳化食品に好適である。具体的には、製品に対し食用油脂が60%以上、より好適には70%以上、更に好適には75%以上であり、かつ蛋白質(ペプタイド及びアミノ酸を含む)が0.5%以下の酸性水中油型乳化食品である。また、前記蛋白質配合量の場合のホスフォリパーゼA処理卵黄の配合量としては、ホスフォリパーゼA処理卵黄の原料卵黄である例えば生卵黄には蛋白質が16.5%含有しており(五訂食品成分表2001、女子栄養大学出版部発行より)、グルタミン酸ソーダや核酸系旨味調味料等の酸性水中油型乳化食品の食味の調整に使用される蛋白質系調味料の配合量を考慮し、好ましくは0.5〜3%、より好ましくは1〜2.5%である。
以下、本発明の酸性水中油型乳化食品について、実施例、比較例並びに試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgの酸性水中油型乳化食品を製した。つまり、ホスフォリパーゼA処理卵黄、食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ及び清水をミキサーで均一に混合し食酢を除く水相を調製した。得られた水相部のpHは5.8であった。次に前記水相を攪拌させながら油相であるサラダ油を徐々に注加して水中油型乳化物である粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物に酸材である食酢を添加混合した後にコロイドミルで精乳化し酸性水中油型乳化食品を得た。そして、得られた酸性水中油型乳化食品を500mL容量の可撓性容器に充填した。なお、ホスフォリパーゼA処理卵黄は生卵黄をホスフォリパーゼAで処理したリゾ化率50%のものを用いた。また粗乳化物、粗乳化物に酸材である食酢を添加混合したもの及び酸性水中油型乳化食品のそれぞれのpHは5.8、4.0及び4.0であった。
<配合割合>
油相 サラダ油 75%
水相 ホスフォリパーゼA処理卵黄 5%
食塩 1.5%
砂糖 0.5%
グルタミン酸ソーダ 0.3%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
小計 95%
食酢(酸度9%) 5%
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
得られた酸性水中油型乳化食品は、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[比較例1]
実施例1において、水相の調製の際に、ホスフォリパーゼA処理卵黄に換えて生卵黄を用い、また食酢の全量を配合して水相を調製した。得られた水相部のpHは4.1であった。次に前記水相を攪拌させながら油相であるサラダ油を徐々に注加して水中油型乳化物である粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミルで精乳化し酸性水中油型乳化食品を得た。そして、得られた酸性水中油型乳化食品を500mL容量の可撓性容器に充填した。なお、粗乳化物及び酸性水中油型乳化食品のpHはいずれも4.1であった。
得られた酸性水中油型乳化食品は、実施例1で得られたものと比較し、明らかに長期間にわたり乳化安定性に優れたものとは言い難いものであった。
[比較例2]
実施例1において、水相の調製の際に、食酢の全量を配合して水相を調製した。得られた水相部のpHは4.0であった。次に前記水相を攪拌させながら油相であるサラダ油を徐々に注加して水中油型乳化物である粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミルで精乳化し酸性水中油型乳化食品を得た。そして、得られた酸性水中油型乳化食品を500mL容量の可撓性容器に充填した。なお、粗乳化物及び酸性水中油型乳化食品のpHはいずれも4.0であった。
得られた酸性水中油型乳化食品は、実施例1で得られたものと比較し、長期間にわたり乳化安定性に優れたものとは言い難いものであった。
[比較例3]
実施例1において、ホスフォリパーゼA処理卵黄に換えて生卵黄を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法で酸性水中油型乳化食品を製した。なお、粗乳化物、粗乳化物に酸材である食酢を添加混合したもの及び酸性水中油型乳化食品のそれぞれのpHは5.8、4.1及び4.1であった。
得られた酸性水中油型乳化食品は、実施例1で得られたものと比較し、長期間にわたり乳化安定性に優れたものとは言い難いものであった。
[実施例2]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgの酸性水中油型乳化食品を製した。つまり、ホスフォリパーゼA処理卵黄、食塩、オクテニルコハク酸化処理澱粉、砂糖、グルタミン酸ソーダ、核酸系旨味調味料、濃縮レモン果汁及び清水をミキサーで均一に混合し食酢を除く水相を調製した。得られた水相部のpHは4.4であった。次に前記水相を攪拌させながら油相であるサラダ油を徐々に注加して水中油型乳化物である粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物に酸材である食酢を添加混合した後にコロイドミルで精乳化し酸性水中油型乳化食品を得た。そして、得られた酸性水中油型乳化食品を500mL容量の可撓性容器に充填した。なお、ホスフォリパーゼA処理卵黄は生卵黄をホスフォリパーゼA2で処理したリゾ化率60%のものを用いた。また粗乳化物、粗乳化物に酸材である食酢を添加混合したもの及び酸性水中油型乳化食品のそれぞれのpHは4.4、3.6及び3.6であった。
<配合割合>
油相 サラダ油 75%
水相 ホスフォリパーゼA処理卵黄 1.5%
食塩 1%
オクテニルコハク酸化処理澱粉 0.5%
砂糖 0.5%
グルタミン酸ソーダ 0.1%
濃縮レモン果汁 0.1%
核酸系旨味調味料 0.01%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
小計 95%
食酢(酸度9%) 5%
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
得られた酸性水中油型乳化食品は、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[比較例4]
実施例2において、水相の調製の際に、ホスフォリパーゼA処理卵黄に換えて生卵黄を用い、また食酢の全量を配合して水相を調製した。得られた水相部のpHは3.6であった。次に前記水相を攪拌させながら油相であるサラダ油を徐々に注加して水中油型乳化物である粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミルで精乳化し酸性水中油型乳化食品を得た。そして、得られた酸性水中油型乳化食品を500mL容量の可撓性容器に充填した。なお、粗乳化物及び酸性水中油型乳化食品のpHはいずれも3.6であった。
得られた酸性水中油型乳化食品は、実施例2で得られたものと比較し、長期間にわたり乳化安定性に優れたものとは言い難いものであった。
[試験例]
実施例1及び2、並びに比較例1乃至4で得られた各酸性水中油型乳化食品を45℃で保存し、乳化状態を目視で観察した。結果を表1に示す。
Figure 2007014290
表1より、ホスフォリパーゼA処理卵黄を用い製品のpHより0.5以上高い状態で乳化処理を施した実施例1及び2の酸性水中油型乳化食品は、ホスフォリパーゼA処理卵黄を用いなかった、および/または製品のpHより0.5以上高い状態で乳化処理を施さなかった比較例1乃至4の酸性水中油型乳化食品と比較し、長期間保存しても乳化安定性に優れていることが理解される。なお、比較例1で得られた酸性水中油型乳化食品は、常温で10ヶ月程度安定である。

Claims (3)

  1. 乳化材としてホスフォリパーゼA処理卵黄を用いた酸性水中油型乳化食品の製造方法であって、前記ホスフォリパーゼA処理卵黄を配合した水相と食用油脂を配合した油相とを製品のpHより0.5以上高い状態で乳化処理を施して水中油型乳化物を製した後に、酸材を添加してpHを調整することを特徴とする酸性水中油型乳化食品の製造方法。
  2. 前記ホスフォリパーゼA処理卵黄の配合量が製品に対し生卵黄換算で0.5〜15%である請求項1記載の酸性水中油型乳化食品の製造方法。
  3. 前記酸材が食酢である請求項1又は2記載の酸性水中油型乳化食品の製造方法。
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