JP4553859B2 - 酸性水中油型乳化食品 - Google Patents

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Description

本発明は、長期間保存しても乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品に関する。詳しくは、高濃度の食用油脂、および乳化材として少なくとも卵黄が配合されたマヨネーズ等の高粘度の酸性水中油型乳化食品において、グルタミン酸ソーダが添加されていない、あるいは殆ど添加されていないにも拘らず長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品に関する。
カロリー訴求型でない通常のマヨネーズは、高濃度の食用油脂、および乳化材として卵黄が配合され、当該食用油脂が水中油型に乳化している。この水中油型乳化物の乳化状態は、高濃度食用油脂が配合されているので、乳化物中に分散している油滴同士が接触した状態となっており、油滴の表面が乳化材である卵黄に少なくとも覆われている。そのため、通常のマヨネーズは、卵黄で覆われた油滴同士の接触による摩擦で粘性を発現することより、澱粉やガム質等の増粘材を添加しなくても高粘度を呈する。これに対し、カロリー訴求型のマヨネーズタイプは、そもそも食用油脂の配合量が低いため、油滴同士が接触した状態でなく、油滴同士の摩擦による粘性の発現が期待できないことから、澱粉やガム質等の増粘材を添加しないと高粘度を呈さない。
一方、市販のマヨネーズやカロリー訴求型等のマヨネーズタイプ等の酸性水中油型乳化食品には、調味料としてグルタミン酸ソーダが添加されている。グルタミン酸ソーダは、昆布の旨味成分として発見された成分で、現在はサトウキビの糖蜜を原料に発酵法で製せられ、安価で優れた旨味を呈する調味料である。
しかしながら、グルタミン酸ソーダは、上述のとおり発酵法で製していることから、添加物的イメージが拭えず、グルタミン酸ソーダを添加しない酸性水中油型乳化食品が要望されている。
そこで、発明者らは、グルタミン酸ソーダが添加されていない、食用油脂が高濃度配合されたマヨネーズ、および食用油脂が低濃度配合されたカロリー訴求型のマヨネーズタイプをそれぞれ試作した。その結果、食用油脂が低濃度しか配合されていないカロリー訴求型のマヨネーズタイプは、澱粉やガム質等の増粘材が乳化安定材として作用するためか、グルタミン酸ソーダを添加しなくても、長期間にわたり乳化安定性を有していた。しかしながら、食用油脂を高濃度配合した通常のマヨネーズの場合は、保存中に多数の斑点状の油脂の分離が観察され、長期間にわたり乳化安定性に優れたものが得られないとの問題があった。
特開昭48−36374号公報
そこで、本発明の目的は、高濃度の食用油脂、および乳化材として少なくとも卵黄が配合された高粘度の酸性水中油型乳化食品、つまり、製品全体に対し食用油脂が60%以上、および乳化材として少なくとも卵黄が配合され、粘度が100Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品において、グルタミン酸ソーダの添加量が製品全体に対し0.05%以下とグルタミン酸ソーダが添加されていない、あるいは殆ど添加されていないにも拘らず長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上述した酸性水中油型乳化食品に蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を添加するならば意外にも長期間にわたり乳化安定性に優れた乳化食品が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 製品全体に対し食用油脂が60%以上、および乳化材として少なくとも卵黄が製品全体に対し生卵黄換算で5〜20%配合され、粘度が100Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品において、グルタミン酸ソーダの添加量が製品全体に対し0.05%以下であって、蛋白分解酵素により加水分解した平均分子量が300〜5000である卵白加水分解物が添加されている酸性水中油型乳化食品、
(2) 前記卵白加水分解物の添加量が製品全体に対し0.05%以上である(1)記載の酸性水中油型乳化食品、
) 前記蛋白分解酵素がアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼである(1)又は(2)記載の酸性水中油型乳化食品、
である。
なお、酸性水中油型乳化食品に蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を添加することは、既に、特開昭48−36374号公報(特許文献1)に開示されている。
しかしながら、特許文献1に係る発明は、サラダドレッシングのような食用油脂が低濃度しか配合しない低粘度の乳化物を対象とするものである。また、特許文献1に係る発明は、卵黄を乳化材として使用しない代わりに卵白加水分解物を使用することにより清涼感を付与し乳化安定性を有した乳化物を提供することを目的とするものであり、本発明者等の検証によると、このような乳化材として卵黄を用いない系では、グルタミン酸ソーダを添加しない場合でも、長期間にわたり乳化安定性を有している。
したがって、特許文献1に係る発明は、そもそも本発明のような高濃度の食用油脂、および乳化材として少なくとも卵黄が配合された高粘度の酸性水中油型乳化食品を対象とするものでなく、更に前記酸性水中油型乳化食品においては、グルタミン酸ソーダを添加しないと保存中の乳化安定性を損なうこと、ならびに当該保存中の乳化安定性を卵白加水分解物を添加することにより改善できることについては何ら記載も示唆もされていない。
本発明によれば、高濃度の食用油脂、および乳化材として少なくとも卵黄が配合された高粘度の酸性水中油型乳化食品、つまり、製品全体に対し食用油脂が60%以上、および乳化材として少なくとも卵黄が配合され、粘度が100Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品において、グルタミン酸ソーダが添加されていない、あるいは殆ど添加されていないにも拘らず長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品を提供できる。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明の酸性水中油型乳化食品は、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散し水中油型に乳化されたpH4.6以下の酸性乳化食品であって、高濃度の食用油脂、および乳化材として少なくとも卵黄が配合された高粘度の酸性水中油型乳化食品、つまり、製品全体に対し食用油脂が60%以上、好ましくは65%以上、および乳化材として少なくとも卵黄が配合され、粘度が100Pa・s以上、好ましくは120Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品である。
本発明の酸性水中油型乳化食品が、上述のとおり食用油脂の濃度が特定以上であること、乳化材として少なくとも卵黄を用いること、ならびに粘度が特定以上であるのは、このような酸性水中油型乳化食品では、グルタミン酸ソーダの添加量をある一定以下に減らすと保存中に多数の斑点状の油脂の分離が生じ長期間にわたり乳化安定性を保ち難くなる。そして、本発明は、これを解決したものであり、本発明の効果が発現し易い領域を示したものである。なお、上記粘度は、BH型粘度計を用い、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で、2回転後の示度から換算した値である。
本発明の酸性水中油型乳化食品で用いる食用油脂としては、食品に供される油脂であればいずれのものでも良い。このような食用油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂、あるいは各種スパイスオイル等調味油等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いると良い。
また、本発明で用いる卵黄としては、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品において、乳化材として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、鶏卵を割卵し卵白と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA<sub>1</sub>、ホスフォリパーゼA<sub>2</sub>、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩若又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いても良い。
本発明において卵黄の配合量は、マヨネーズ等の食用油脂を高濃度配合した酸性水中油型乳化食品で使用されている一般的な量を配合するれば良く、具体的には、製品全体に対し生卵黄換算で2〜20%が好ましく、5〜20%がより好ましい。また、本発明は、乳化材として少なくとも卵黄が配合されていれば良いが、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸処理澱粉等の乳化食品の乳化材と使用されているものと組み合わせて用いても良い。
本発明は、上述した酸性水中油型乳化食品において、グルタミン酸ソーダの添加量が製品全体に対し0.05%以下とグルタミン酸ソーダが添加されていない、あるいは殆ど添加されていないにも拘らず長期間にわたり乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化食品とするために、蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物が添加されていることを特徴とする。
ここで、本発明で用いるグルタミン酸ソーダとしては、旨味調味料として「グルタミン酸ソーダ」と称し市販されているものであればいずれのものでも良い。また、グルタミン酸ソーダは、一般的に、サトウキビの糖蜜を原料に発酵法で製せられているが、本発明では、前記製法に限定するものではない。
市販のマヨネーズ等の酸性水中油型乳化食品は、旨味調味料として原料にグルタミン酸ソーダが添加されている。しかしながら、グルタミン酸ソーダの添加量をある一定以下に減らすと、保存中に多数の斑点状の油脂の分離が観察され乳化安定性が損なわれ易くなる。そこで、本発明のグルタミン酸ソーダの添加量は、保存中の乳化安定性が損なわれ易くなる領域、具体的には製品に対し0.05%以下、より損なわれ易くなる領域、0.03%以下であり、本発明は、前記領域で好適に作用する。なお、前記グルタミン酸ソーダの添加量には、添加しない場合も含まれる。
また、本発明で用いる蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物において、当該卵白加水分解物を製造する際に使用する原料卵白としては、例えば、鶏卵を割卵し卵黄と分離して得られた生卵白、冷凍卵白、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理を施した乾燥卵白の水戻ししたもの、特定の卵白蛋白(例えば、リゾチーム)を除去した卵白等が挙げられる。またこれらの卵白に酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、殺菌処理又は熱蔵処理等の1種又は2種以上の処理を施したものも使用できる。
本発明において、卵白加水分解物を製造する際に使用する蛋白質分解酵素としては、例えば、動物由来(例えば、ペプシン、キモトリプシン、トリプシン、パンクレアチン)、植物由来(例えば、パパイン、ブロメライン、フィシン)、微生物由来(例えば、乳酸菌、枯草菌、放線菌、カビ、酵母)のエンドプロテアーゼおよびエキソプロテアーゼ、ならびにこれらの粗精製物および菌体破砕物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、本発明の酸性水中油型乳化食品に添加したとき、呈味改善作用を有する卵白加水分解物を得るためには、蛋白分解酵素として、アスペルギルス(Aspergillus)属菌起源の中性プロテアーゼを使用して卵白を加水分解するのが好ましい。また、市販されているアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼとしては、例えば、商品名:プロテアーゼP「アマノ」3G(起源:Aspergillus melleus、天野エンザイム(株))、商品名:スミチームFP(起源:Aspergillus oryzae、新日本化学工業(株))、商品名:デナチームAP(起源:Aspergillus oryzae、ナガセケムテックス(株))等が挙げられる。
蛋白分解酵素により加水分解して卵白加水分解物を得る製造方法としては、例えば、アスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼを例に挙げると、卵白のpHを6.5〜9.5、好ましくはpH7に調整し、この卵白にアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼを添加し、ゆっくりと攪拌しながら、35〜60℃、好ましくは45〜55℃にて2〜24時間保持する。次に、この液を加熱殺菌処理し、次いで冷却した後、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理により、粉末状の卵白加水分解物を得ることができる。
なお、pH、温度条件および加熱時間は、使用する蛋白分解酵素の種類および組み合わせに応じて適宜調整するのが好ましい。また、pHの調整に使用する酸材としては、特に限定するものではないが、有機酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等、無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択し使用すると良い。
本発明において、前記卵白加水分解物の添加量は、製品全体に対し0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましい。また、前記卵白加水分解物の加水分解の程度は、当該加水分解物の平均分子量が300〜5000が好ましく、500〜3000がより好ましい。卵白加水分解物の添加量が前記の量を下回ったり、あるいは平均分子量が前記範囲を外れると、酸性水中油型乳化食品のグルタミン酸ソーダの添加量を0.05%以下とした場合、保存中に斑点状の油脂の分離が観察される場合があり長期間にわたり乳化安定性に優れたものが得られないこともあり好ましくない。更に、分解物の平均分子量が下限値を下回ると、製造方法によっては卵白加水分解物自身が異臭を生じる場合があり好ましくない。
本発明の酸性水中油型乳化食品には、上述の原料以外に本発明の効果を損なわない範囲で各種原料を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、食塩、砂糖、醤油、味噌、核酸系旨味調味料等の各種調味料、食酢、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、柑橘果汁等の酸材、香辛料、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉等の増粘材等が挙げられる。
本発明の酸性水中油型乳化食品の製造方法は、酸性水中油型乳化食品であるマヨネーズ等の一般的な製造方法により製すれば良い。例えば、本発明で用いる卵白加水分解物とその他の水相原料をミキサー内で均一として水相部調製した後、当該水相部を攪拌させながら油相部である食用油脂を徐々に注加して粗乳化物を製する。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミル、高圧ホモゲナイザー等の乳化機で仕上げ乳化して酸性水中油型乳化食品を製する。また、必要に応じ得られた酸性水中油型乳化食品に更に殺菌処理を施しても良い。
以下、本発明の酸性水中油型乳化食品について、実施例、比較例ならびに参考例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
まず、本発明で用いる蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物の調製例を示す。
[調製例1]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、この液卵白にAspergillus oryzae起源の中性プロテアーゼ(商品名「スミチームFP」、新日本化学工業(株)製)200gを添加し、液温を45℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら8時間酵素処理を行った。次いで、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を得た。得られた卵白加水分解物の平均分子量は約1400であった。なお、本発明の卵白加水分解物の平均分子量は、ホルモル滴定法により算出した値である。
[調製例2]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、イースト(オリエンタル酵母(株)製)300gを添加し、液温を35℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら4時間脱糖処理を行った。次いで、得られた脱糖処理液にAspergillus melleus起源の中性プロテアーゼ(商品名「プロテアーゼP(アマノ)」、天野エンザイム(株)製)300gを添加し、液温を50℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら12時間酵素処理を行った。さらに、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を得た。得られた卵白加水分解物の平均分子量は約1250であった。
[調製例3]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、イースト(オリエンタル酵母(株)製)300gを添加し、液温を35℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら4時間脱糖処理を行った。その後、液温を65℃まで昇温した後、65℃にて30分間攪拌した。次いで、得られた脱糖処理液にAspergillus oryzae起源の中性プロテアーゼ(商品名「デナチームAP」、ナガセケムテックス(株)製)150gを添加し、液温を55℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら6時間酵素処理を行った。さらに、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を得た。得られた卵白加水分解物の平均分子量は約1200であった。
[実施例1]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgの酸性水中油型乳化食品を製した。つまり、サラダ油以外の原料をミキサーで均一に混合し水相部を調製した後、当該水相部を攪拌させながらサラダ油を徐々に注加して粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミルで仕上げ乳化し、500mL容量の透明三層ラミネートの可撓性容器に充填した。なお、蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物は、調製品1で得られたものを使用した。
<配合割合>
サラダ油 70%
生卵黄 8%
食酢(酸度9%) 6%
食塩 1.8%
卵白加水分解物(調製例1) 1%
砂糖 0.4%
辛子粉 0.3%
核酸系旨味調味料 0.03%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
合計 100%
得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が180Pa・s、pHが4.1であり、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[比較例1]
実施例1において、調製例1で得られた卵白加水分解物を除いた以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が180Pa・s、pHが4.0であり、保存中に多数の斑点状の油脂の分離が観察された。
[実施例2]
実施例1において、調製例1で得られた卵白加水分解物に代えて調製例2で得られた卵白加水分解物を用い配合量を0.6%に変えた以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が185Pa・s、pHが4.1であり、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[実施例3]
実施例1において、調製例1で得られた卵白加水分解物に代えて調製例3で得られた卵白加水分解物を用い配合量を0.2%に変え、更にグルタミン酸ソーダを0.03%加配した以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が185Pa・s、pHが4.0であり、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[比較例2]
実施例3において、調製例3で得られた卵白加水分解物を除いた以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が180Pa・s、pHが4.0であり、保存中に多数の斑点状の油脂の分離が観察された。
[比較例3]
実施例1において、調製例1で得られた蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物に代えて下記で得られた酸加水分解物を用いた以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が175Pa・s、pHが4.1であり、保存中に多数の斑点状の油脂の分離が観察された。
<酸加水分解による卵白加水分解物の調製方法>
乾燥卵白(キユーピー(株)製)10kgに1.5mol/L塩酸溶液を100L加え、90℃で3時間処理した。次いで、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和後、濾過し、電気透析で脱塩し、スプレードライを行って酸加水分解による卵白加水分解物を得た。得られた卵白加水分解物の平均分子量は約200であった。
[参考例1]
実施例1において、調製例1で得られた卵白加水分解物を除き、グルタミン酸ソーダを0.5%加配した以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が185Pa・s、pHが4.1であり、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[参考例2]
実施例1において、調製例1で得られた卵白加水分解物を除き、グルタミン酸ソーダを0.1%加配した以外は、実施例1に準じ酸性水中油型乳化食品を製した。得られた酸性水中油型乳化食品は、粘度が180Pa・s、pHが4.0であり、長期間にわたり乳化安定性に優れていた。
[試験例]
上記実施例1乃至3、比較例1乃至3、ならびに参考例をそれぞれ35℃で6週間保存し、各週の保存状態を目視にて観察した。なお、35℃での1週間の保存は、室温で1ヶ月間保存したことに相当する。また、表中「MSG」とは、グルタミン酸ソーダの略称である。
Figure 0004553859
表1より、グルタミン酸ソーダを通常の量配合した参考例1および2の酸性水中油型乳化食品は、長期間にわたり乳化安定性に優れている。しかしながら、前記食品よりグルタミン酸ソーダをある一定以下、具体的には0.05%以下に単に減らした比較例1および2の酸性水中油型乳化食品は、保存中に斑点状の油脂の分離が観察された。これに対し、蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を添加した実施例1乃至3のいずれの酸性水中油型乳化食品(本発明品)も、グルタミン酸ソーダの添加量が製品全体に対し0.05%以下とグルタミン酸ソーダが添加されていない(実施例1および2)、あるいは殆ど添加されていない(実施例3)にも拘らず保存中に斑点状の油脂の分離は観察されず、本発明品は、長期間にわたり乳化安定性に優れていることが理解される。また、実施例1および比較例3の結果から、卵白加水分解物として酵素分解したものを添加しないと上記保存中の乳化安定性が望めないことが理解される。

Claims (3)

  1. 製品全体に対し食用油脂が60%以上、および乳化材として少なくとも卵黄が
    製品全体に対し生卵黄換算で5〜20%配合され、粘度が100Pa・s以上である酸性水中油型乳化食品において、グルタミン酸ソーダの添加量が製品全体に対し0.05%以下であって、蛋白分解酵素により加水分解した平均分子量が300〜5000である卵白加水分解物が添加されていることを特徴とする酸性水中油型乳化食品。
  2. 前記卵白加水分解物の添加量が製品全体に対し0.05%以上である請求項1記載の酸性水中油型乳化食品。
  3. 前記蛋白分解酵素がアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼである請求項1又は2記載の酸性水中油型乳化食品。
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