JP4601602B2 - ゴマ含有調味料 - Google Patents

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本発明は、長期保存後においてもゴマ風味に優れたゴマ含有調味料に関する。
ゴマは、特有の風味を有し昔より健康に良いといわれている。また、近年、ゴマの微量成分の研究が進み、ゴマの微量成分であるポリフェノールの一種である「リグナン」に肝機能を改善する効果、コレステロールの上昇を抑え血圧をさげる効果、二日酔いの防止、抗アレルギー、脂質代謝促進など、様々な生理機能を有することが判明し、注目されている。
このような状況下、ゴマの食材としての利用が見直され、ゴマドレッシング、ゴマだれ、ゴマ和えの素など、調味料への利用と需要が拡大している。これらの調味料は、ゴマの風味を引き出すため様々な工夫がなされている。例えば、特開平9−197号公報(特許文献1)には、胡麻油と胡麻ペーストを特定量含有させた酸性調味料が記載されている。また、特開2001−95525号公報(特許文献2)には、焙煎胡麻の水蒸気蒸留留出油を含有させた酸性調味料が記載されている。しかしながら、上記特許文献記載の調味料は、いずれも製造後間もなくはゴマ風味に優れているものの、長期間保存後もゴマ風味に優れているとは言い難いものであった。
一方、特開2006−230208号公報(特許文献3)には、長期間保存後のゴマ風味を改善するために、トレハロースを含有させた液状調味料が記載されている。しかしながら、得られた調味料は、長期間保存後のゴマ風味を改善するものの、満足できるものとは言い難く、更なる検討が要望されている。
特開平9−197号公報 特開2001−95525号公報 特開2006−230208号公報
そこで、本発明の目的は、長期保存後においてもゴマ風味に優れたゴマ含有調味料を提供するものである。
本発明者は、ゴマペーストや切りゴマなどのゴマ粉砕物を含有した調味料は製造直後においてゴマ風味に優れていることから、当該調味料について上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ゴマ粉砕物を含有した調味料に脱脂卵黄の加水分解物と卵白酵素分解物とを併用するならば、意外にも長期保存後においてもゴマ風味に優れたゴマ含有調味料となることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ゴマ粉砕物を含有したゴマ含有調味料であって、脱脂卵黄の加水分解物と卵白酵素分解物とを含有しているゴマ含有調味料、
(2)調味料に対するゴマ粉砕物の含有量が5%以上である(1)のゴマ含有調味料、
(3)脱脂卵黄の加水分解物が酸加水分解物、あるいは酸分解および酵素分解を併用した分解物である(1)または(2)のゴマ含有調味料、
(4)卵白酵素分解物の平均分子量が300〜5000である(1)乃至(3)のいずれかのゴマ含有調味料、
(5)卵白酵素分解物の酵素がアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼである(1)乃至(4)のいずれかのゴマ含有調味料、
(6)調味料に対する脱脂卵黄の加水分解物の含有量が0.01〜2%である(1)乃至(5)のいずれかのゴマ含有調味料、
(7)調味料に対する卵白酵素分解物の含有量が0.01〜2%である(1)乃至(6)のいずれかのゴマ含有調味料、
(8)ゴマ含有調味料がゴマ和えの素である(1)乃至(7)のいずれかのゴマ含有調味料、
である。
本発明によれば、ゴマペーストや切りゴマなどのゴマ粉砕物を含有させることで製造直後もゴマ風味に優れているのに加え、更に長期保存後もゴマ風味に優れている。したがって、ゴマを含有させた調味料の更なる需要の拡大が期待される。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明においてゴマ含有調味料とは、白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマ、茶ゴマなどゴマ、あるいはこれらを焙煎した煎りゴマなどの粉砕物を含有させた調味料である。当該ゴマ粉砕物を含有させることにゴマ風味に優れた調味料となり、特に、ゴマ粉砕物を5%以上、好ましくは10%以上含有させたものはゴマ風味に優れている。ここで、ゴマ粉砕物とは、ゴマを粉砕したものであって、何れの方法で得られたものでもよい。例えば、ゴマ粒子を截断した切りゴマ、すり潰して粉砕したすりゴマ、ペースト状となるまで粉砕したゴマペースト、またはこれらの混合物などが挙げられる。
本発明は、上記ゴマ粉砕物を含有したものであって、脱脂卵黄の加水分解物と卵白酵素分解物とを含有した調味料である。前記二種類の成分を含有させることにより、長期保存後においてもゴマ風味に優れたゴマ含有調味料となる。特に、ゴマ粉砕物を5%以上、更には10%以上含有した調味料は、製造後まもなくはゴマ風味に優れているものの、長期間保存するとゴマ風味が弱くなることから、本発明は好適である。このようなゴマ粉砕物を5%以上、更には10%以上含有した調味料としては、例えば、ゴマ粉砕物を主成分としたゴマ和えの素などが挙げられる。
本発明において脱脂卵黄とは、卵黄から卵黄脂質を除去したものをいう。脱脂卵黄は、例えば、通常鳥卵を割卵分離して得られる卵黄液を、一旦乾燥して乾燥卵黄としたものに、例えばアルコール(90〜99容量%の含水アルコール)を作用させてアルコールに可溶な卵黄脂質(主に、トリグリセリド、コレステロール及びリン脂質)を抽出し、濾過により卵黄脂質を含有したアルコール画分を除去後、濾過残渣を乾燥させて得られる。なお、この脱脂卵黄には、卵黄蛋白に対し数10重量%の卵黄脂質が残存した状態のものも含まれる。
また、本発明において脱脂卵黄の加水分解物は、上記の脱脂卵黄を酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸など)、酵素(例えば、蛋白質分解酵素(パパイン、パンクレアチンなど)、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)などの一種又は二種以上の方法を組み合わせて加水分解することにより得られる。特に、酸加水分解物、あるいは酸分解及び酵素分解を併用した分解物は、後述の卵白酵素分解物と組み合わせることで長期保存後においてもよりゴマ風味に優れたものとなり好ましい。
また、マヨネーズ様食品全重量に対する脱脂卵黄の加水分解物の含有量は、0.01〜2%が好ましく、0.05〜1.5%がより好ましい。含有量が前記範囲より少ないと卵白酵素分解物と組み合わせたとしても長期保存後にゴマ風味に優れた調味料が得られ難く、一方、前記範囲より多くしても含有量に応じた期待できる程の効果が得られ難い傾向となる。
本発明に使用する脱脂卵黄の加水分解物の代表的な調製方法を以下に説明するが、これらの方法に限定するものではない。
まず、原料に用いる脱脂卵黄の調製方法の一例を説明する。
鳥卵を割卵し、卵白液から分離して得られる卵黄液を、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)法あるいは凍結乾燥(フリーズドライ)法などの乾燥手段により乾燥する(乾燥は必須ではないが、乾燥により次工程の卵黄脂質の抽出除去が容易となる)。次に、乾燥卵黄1部にアルコール(エタノール濃度約90〜99容量%、水分濃度約10〜1容量%)5〜20部を作用させてアルコールに可溶な卵黄脂質(主に、トリグリセリド、コレステロール及びリン脂質)を抽出し、フィルタープレス、圧搾濾過等の濾過方法により卵黄脂質を含有したアルコール画分を除去し、必要に応じ濾過残渣に前記アルコールをさらに作用させて抽出・濾過後、濾過残渣を乾燥させて水分やアルコールを蒸発させる。
次に、加水分解の処理法の一例を説明する。
A.酸加水分解法:
脱脂卵黄1部に対し、5〜40部の0.5〜6mol/Lの塩酸、あるいは0.25〜7.5mol/Lの硫酸を添加し、例えば常圧下では50〜100℃で30分〜24時間程度処理し、中和後、濾過、必要に応じ更に脱塩し、脱脂卵黄の酸分解物の水溶液を得る。
B.酵素分解法:
脱脂卵黄1部に対し、10〜40部の清水を加え、蛋白質分解酵素、例えばパパイン、パンクレアチン等を脱脂卵黄に対し0.5〜20%となるように添加し、酵素の至適pH及び温度にて5〜40時間程度処理し、加熱により酵素を失活後、濾過し脱脂卵黄の酵素分解物の水溶液を得る。
C.アルカリ加水分解法:
脱脂卵黄1部に対し、5〜40部の0.5〜3mol/Lの水酸化ナトリウム、あるいは水酸化カリウムを添加し、例えば常圧下では40〜100℃で30分〜8時間程度処理し、中和後、濾過、必要に応じ更に脱塩し、脱脂卵黄のアルカリ分解物の水溶液を得る。
D.酸分解及び酵素分解を併用した方法:
脱脂卵黄1部に対し、5〜40部の0.5〜6mol/Lの塩酸、あるいは0.25〜7.5mol/Lの硫酸を添加し、例えば常圧下では50〜100℃で30分〜24時間程度処理し、次に、蛋白質分解酵素の至適pHに調整後、蛋白質分解酵素を卵殻膜の乾物に対し0.1〜20%となるように添加し、酵素の至適温度にて5〜40時間程度処理し、加熱より酵素を失活後、濾過、必要に応じ脱塩し、脱脂卵黄の分解物の水溶液を得る。
各種加水分解法で得られた脱脂卵黄の加水分解物の水溶液は、所望により凍結乾燥(フリーズドライ)または噴霧乾燥(スプレードライ)などの乾燥法で乾燥物としてもよい。
次に、卵白酵素分解物について詳述する。まず、本発明で用いる卵白酵素分解物を製造する際に使用する原料卵白としては、例えば、鶏卵を割卵し卵黄と分離して得られた生卵白、冷凍卵白、スプレードライ又はフリーズドライなどの乾燥処理を施した乾燥卵白の水戻ししたもの、特定の卵白蛋白(例えば、リゾチームなど)を除去した卵白などが挙げられる。またこれらの卵白に酵母又はグルコースオキシダーゼなどによる脱糖処理、殺菌処理又は熱蔵処理等の一種または二種以上の処理を施したものも使用できる。
本発明において、卵白酵素分解物を製造する際に使用する蛋白質分解酵素としては、例えば、動物由来(例えば、ペプシン、キモトリプシン、トリプシン、パンクレアチンなど)、植物由来(例えば、パパイン、ブロメライン、フィシンなど)、微生物由来(例えば、乳酸菌、枯草菌、放線菌、カビ、酵母など)のエンドプロテアーゼおよびエキソプロテアーゼ、ならびにこれらの粗精製物および菌体破砕物などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、本発明のゴマ含有調味料に添加したとき、当該分解物の呈味性の影響が出難いものを得るためには、蛋白分解酵素として、アスペルギルス(Aspergillus)属菌起源の中性プロテアーゼを使用して卵白を加水分解するのが好ましい。ここで、市販されているアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼとしては、例えば、商品名:プロテアーゼP「アマノ」3G(起源:Aspergillus melleus、天野エンザイム(株))、商品名:スミチームFP(起源:Aspergillus oryzae、新日本化学工業(株))、商品名:デナチームAP(起源:Aspergillus oryzae、ナガセケムテックス(株))などが挙げられる。
蛋白分解酵素により加水分解して卵白酵素分解物を得る製造方法としては、例えば、アスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼを例に挙げると、卵白のpHを6.5〜9.5、好ましくはpH7に調整し、この卵白にアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼを添加し、ゆっくりと攪拌しながら、35〜60℃、好ましくは45〜55℃にて2〜24時間保持する。次に、この液を加熱殺菌処理し、次いで冷却し卵白酵素分解物の水溶液を得る。また、得られた卵白酵素分解物の水溶液を、所望により凍結乾燥(フリーズドライ)または噴霧乾燥(スプレードライ)などの乾燥法で乾燥物としてもよい。
なお、pH、温度条件および加熱時間は、使用する蛋白分解酵素の種類および組み合わせに応じて適宜調整するのが好ましい。また、pHの調整に使用する酸材としては、特に限定するものではないが、有機酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸など、無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などが挙げられ、これらの一種または二種以上を適宜選択し使用すると良い。
本発明において、前記卵白酵素分解物の含有量は、製品全体に対し0.01〜2%が好ましく、0.05〜1.5以上がより好ましい。また、前記卵白酵素分解物の加水分解の程度は、当該加水分解物の平均分子量が300〜5000が好ましく、500〜3000がより好ましい。卵白加水分解物の含有量が前記範囲より少ないと、あるいは平均分子量が前記範囲より大きいと、上述した脱脂卵黄の加水分解物と組み合わせたとしても長期保存後にゴマ風味に優れた調味料が得られ難く、一方、含有量が前記範囲より多くしても含有量に応じた期待できる程の効果が得られ難い傾向となる。また、分解物の平均分子量が前記範囲より小さいと、製造方法によっては卵白加水分解物自身が異臭を生じる場合があり好ましくない。
本発明のゴマ含有調味料には、上述したゴマ粉砕物、脱脂卵黄の加水分解物および卵白酵素分解物を含有させる他に本発明の効果を損なわない範囲でゴマ含有調味料に通常用いられている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、ゴマ油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリドなどのように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂などの食用油脂、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋などの処理を施した化工澱粉、並びに湿熱処理澱粉などの澱粉類、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガムなどのガム質、食酢、クエン酸、乳酸、レモン果汁などの酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、みりん、醤油などの各種調味料、卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸化澱粉などの乳化材、動植物のエキス類、からし粉、胡椒などの香辛料、並びに各種蛋白質やこれらの分解物などが挙げられる。
以下、本発明のゴマ含有調味料について、実施例、比較例並びに試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
まず、本発明で用いる脱脂卵黄の加水分解物(調製例1〜3)および卵白酵素分解物(調製例4〜7)の調製例について具体的に説明する。
[調製例1:脱脂卵黄の(酸)加水分解物]
A.脱脂卵黄の調製
鶏卵を割卵し、卵白液から分離して得られた卵黄液10kgを、噴霧乾燥法により水分を除去し乾燥卵黄4.8kgを得た。この乾燥卵黄4kgに95容量%含水エタノール(エタノール95容量%)20Lを加え、30℃で30分間攪拌後、濾過により卵黄脂質を含有したアルコール画分を除去した。さらに、濾過残渣を95容量%含水エタノール2Lで洗浄後、濾過し、残渣中の卵黄脂質を除去した。次に、この濾過残渣を減圧下50℃で含水エタノールを除去して脱脂卵黄1.7kgを得た。なお、この脱脂卵黄は、卵黄脂質を約15重量%含有していた。
B.脱脂卵黄の加水分解物の調製
前述の方法で得られた脱脂卵黄1kgに2mol/L塩酸溶液を10L加え、90℃で3時間処理した。次に、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和後、濾過し、電気透析で脱塩し、得られた溶液を噴霧乾燥し脱脂卵黄の酸加水分解物を得た。
[調製例2:脱脂卵黄の(アルカリ)加水分解物]
調製例1の脱脂卵黄1kgに2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を10L加え、70℃で3時間処理した。次に、3mol/L塩酸溶液で中和した後、濾過し、電気透析で脱塩し、得られた溶液を噴霧乾燥し脱脂卵黄のアルカリ加水分解物を得た。
[調製例3:脱脂卵黄の(酸および酵素)加水分解物]
A.脱脂卵黄の調製
鶏卵を割卵し、卵白液から分離して得られた卵黄液10kgを、噴霧乾燥法により水分を除去し乾燥卵黄4.8kgを得た。この乾燥卵黄4kgに98容量%含水エタノール(エタノール98容量%)20Lを加え、30℃で30分間攪拌後、濾過により卵黄脂質を含有したアルコール画分を除去した。さらに、濾過残渣を98容量%含水エタノール2Lで2回洗浄・濾過し残渣中の卵黄脂質を除去した。次に、この濾過残渣を減圧下50℃で含水エタノールを除去して脱脂卵黄1.5kgを得た。なお、この脱脂卵黄は、卵黄脂質を約4重量%含有していた。
B.脱脂卵黄の加水分解物の調製
前述の方法で得られた脱脂卵黄1kgに1.5mol/L塩酸溶液を15L加え、90℃で2時間処理した。次に、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整後、蛋白分解酵素(ナガセ生化学工業株式会社製、商品名「食品用精製パパイン」)20gを添加し50℃で6時間処理した。次に、この酵素処理液を90℃で30分間加熱処理を行い酵素を失活させ、活性炭2kgで脱色後、濾過し、得られた水溶液を電気透析で脱塩し凍結乾燥して、脱脂卵黄の酸分解および酵素分解を併用した分解物を得た。
[調製例4:卵白酵素分解物]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、この液卵白にAspergillus oryzae起源の中性プロテアーゼ(商品名「スミチームFP」、新日本化学工業(株)製)200gを添加し、液温を45℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら8時間酵素処理を行った。次いで、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白酵素分解物を得た。得られた卵白酵素分解物の平均分子量は約1400であった。なお、本発明の卵白酵素分解物の平均分子量は、ホルモル滴定法により算出した値である。
[調製例5:卵白酵素分解物]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、イースト(オリエンタル酵母(株)製)300gを添加し、液温を35℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら4時間脱糖処理を行った。次いで、得られた脱糖処理液にAspergillus melleus起源の中性プロテアーゼ(商品名「プロテアーゼP(アマノ)」、天野エンザイム(株)製)300gを添加し、液温を50℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら12時間酵素処理を行った。さらに、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白酵素分解物を得た。得られた卵白酵素分解物の平均分子量は約1250であった。
[調製例6:卵白酵素分解物]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、イースト(オリエンタル酵母(株)製)300gを添加し、液温を35℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら4時間脱糖処理を行った。その後、液温を65℃まで昇温した後、65℃にて30分間攪拌した。次いで、得られた脱糖処理液にAspergillus oryzae起源の中性プロテアーゼ(商品名「デナチームAP」、ナガセケムテックス(株)製)150gを添加し、液温を55℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら6時間酵素処理を行った。さらに、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白酵素分解物を得た。得られた卵白酵素分解物の平均分子量は約1200であった。
[調製例7:卵白酵素分解物]
調製例4において、酵素処理時間を短くして平均分子量約6000の卵白酵素分解物を得た。
[実施例1:ゴマ和えの素]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgのゴマ和えの素を製した。つまり、ゴマ油以外の原料をミキサーで混合し均一とした後、当該混合物にゴマ油を添加し均一となるまで混合してゴマ和えの素を製した。次いで、得られたゴマ和えの素を250mL容量の透明三層ラミネートの可撓性容器に充填した。なお、脱脂卵黄の加水分解物としては調製例1で得られた酸分解物、卵白酵素分解物としては調製例4で得られた平均分子量約1400のものをそれぞれ用いた。
<配合割合>
みりん風調味料 20%
すりゴマ 20%
砂糖 15%
醤油 10%
食酢(酸度5%) 6%
ゴマペースト 5%
ゴマ油 5%
食塩 4%
α化澱粉 2%
脱脂卵黄の加水分解物 0.1%
卵白酵素分解物 0.1%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
100%
[実施例2:ゴマ和えの素]
実施例1において、調製例1で得られた脱脂卵黄の酸加水分解物に換えて調製例2で得られた脱脂卵黄のアルカリ加水分解物を用いた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[実施例3:ゴマ和えの素]
実施例1において、調製例1で得られた脱脂卵黄の酸加水分解物に換えて調製例3で得られた酸分解および酵素分解を併用した脱脂卵黄の加水分解物を用いた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[実施例4:ゴマ和えの素]
実施例1において、調製例4で得られた平均分子量約1400の卵白酵素分解物に換えて調製例5で得られた平均分子量約1250の卵白酵素分解物を用いた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[実施例5:ゴマ和えの素]
実施例1において、調製例4で得られた平均分子量約1400の卵白酵素分解物に換えて調製例6で得られた平均分子量約1200の卵白酵素分解物を用いた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[実施例6:ゴマ和えの素]
実施例1において、調製例4で得られた平均分子量約1400の卵白酵素分解物に換えて調製例7で得られた平均分子量約6000の卵白酵素分解物を用いた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[比較例1:ゴマ和えの素]
実施例1において、脱脂卵黄の加水分解物と卵白酵素分解物とを含有しなかった以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[比較例2:ゴマ和えの素]
実施例1において、卵白酵素分解物を含有せず、脱脂卵黄の加水分解物の含有量を0.1%から0.2%に変えた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[比較例3:ゴマ和えの素]
実施例1において、脱脂卵黄の加水分解物を含有せず、卵白酵素分解物の含有量を0.1%から0.2%に変えた以外は、同様の方法でゴマ和えの素を製した。
[試験例]
実施例1〜6、および比較例1〜3で得られた各ゴマ含有調味料であるゴマ和えの素を35℃で8週間保存し、各週ごとのゴマ風味を喫食により評価した。なお、35℃で1週間の保存は、常温(20℃)で1ヶ月の保存に相当する。また、表中、「−」は、ゴマ風味に優れていることを意味し、「+」が増えるにつれゴマの風味が劣化していることを意味する。
Figure 0004601602
表1より、脱脂卵黄の加水分解物と卵白酵素分解物とを含有させた実施例1〜6で得られたゴマ含有調味料であるゴマ和えの素は、両成分を含有させなかった比較例1、いずれかの加水分解物を前記実施例の両成分の合計量含有させた比較例2または3で得られたゴマ含有調味料と比較し、長期保存後においてもゴマ風味に優れていることが理解される。特に、酸分解、あるいは酸分解および酵素分解を併用した、脱脂卵黄の加水分解物と、平均分子量300〜5000の範囲にある卵白酵素分解物とを含有させた実施例1、3〜5で得られたゴマ含有調味料は、優れていた。
[実施例7:ゴマドレッシング]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgのゴマドレッシングを製した。つまり、サラダ油およびゴマ油以外の原料をミキサーで混合し均一とした。次いで、前記混合物を高速ミキサーに移し、混合物を高速で攪拌させながらサラダ油およびゴマ油を注加して乳化を施しゴマドレッシングを製した。次いで、得られたゴマドレッシングを200mL容量のガラス瓶に充填した。なお、脱脂卵黄の加水分解物としては調製例1で得られた酸分解物、卵白酵素分解物としては調製例4で得られた平均分子量約1400のものをそれぞれ用いた。
得られたゴマドレッシングを35℃で8週間保存したところ、保存後もゴマ風味に優れていた。
<配合割合>
サラダ油 30%
ゴマ油 10%
醤油 20%
食酢(酸度4%) 10%
すりゴマ 8%
砂糖 5%
食塩 2%
卵黄 1%
キサンタンガム 0.1%
脱脂卵黄の加水分解物 0.2%
卵白酵素分解物 0.2%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――
100%

Claims (8)

  1. ゴマ粉砕物を含有したゴマ含有調味料であって、脱脂卵黄の加水分解物と卵白酵素分解物とを含有していることを特徴とするゴマ含有調味料。
  2. 調味料に対するゴマ粉砕物の含有量が5%以上である請求項1記載のゴマ含有調味料。
  3. 脱脂卵黄の加水分解物が酸加水分解物、あるいは酸分解および酵素分解を併用した分解物である請求項1または2記載のゴマ含有調味料。
  4. 卵白酵素分解物の平均分子量が300〜5000である請求項1乃至3のいずれかに記載のゴマ含有調味料。
  5. 卵白酵素分解物の酵素がアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼである請求項1乃至4のいずれかに記載のゴマ含有調味料。
  6. 調味料に対する脱脂卵黄の加水分解物の含有量が0.01〜2%である請求項1乃至5のいずれかに記載のゴマ含有調味料。
  7. 調味料に対する卵白酵素分解物の含有量が0.01〜2%である請求項1乃至6のいずれかに記載のゴマ含有調味料。
  8. ゴマ含有調味料がゴマ和えの素である請求項1乃至7のいずれかに記載のゴマ含有調味料。
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