JP2006314296A - チーズ風味付与材およびこれを用いた加工食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛋白分解酵素で加水分解された卵白加水分解物の新たな有効利用として新規なチーズ風味付与材およびこれを用いた加工食品を提供する。
【解決手段】 有効成分として蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物が含有されてなるチーズ風味付与材、および当該チーズ風味付与材が添加され、加熱処理が施されてなるチーズ風味を有する加工食品。
【選択図】 無し

Description

本発明は、新規なチーズ風味付与材およびこれを用いた加工食品に関する。
卵白は、アミノ酸バランスに優れた良質な蛋白質であり、安価で容易に入手できることから、様々な食品の食材として広く利用されている。また、卵白を蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物は、原料卵白では得られなかった機能を発揮する場合があり、従来より、当該卵白の酵素加水分解物の有効利用について検討されている。
例えば、卵白の酵素加水分解物の抗酸化機能を利用した酸化安定性に優れた高度不飽和脂肪酸を含む油脂組成物(特許文献1)あるいは抗酸化力を有した調味料(特許文献2)、血圧降下作用を有する卵白の酵素加水分解物(特許文献3)、卵白の酵素加水分解物を利用した塩味の増強方法等が提案されており、更なる卵白の酵素加水分解物の有効利用が望まれている。
特開平2−218796号公報 特開昭51−61670号公報 特開平3−280835号公報 特開平7−289198号公報 特開昭56−109551号公報 特開昭56−124342号公報
そこで、本発明の目的は、蛋白分解酵素で加水分解された卵白加水分解物の新たな有効利用として新規なチーズ風味付与材およびこれを用いた加工食品を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく上記卵白加水分解物の有効利用について鋭意研究を重ねた結果、焼き菓子等の加熱処理を施す加工食品に上記卵白加水分解物を添加するならば意外にも当該加工食品がチーズ風味を有することを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 有効成分として蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物が含有されているチーズ風味付与材、
(2) 前記卵白加水分解物の平均分子量が300〜5000である(1)記載のチーズ風味付与材、
(3) 前記蛋白分解酵素がアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼである(1)又は(2)のいずれかに記載のチーズ風味付与材、
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載のチーズ風味付与材が添加され、加熱処理が施されてなるチーズ風味を有する加工食品、
(5) 加工食品が焼成食品である(4)記載の加工食品、
(6) 加工食品が焼き菓子である(4)記載の加工食品、
(7) チーズ風味付与材の添加量が製品全体に対し前記卵白加水分解物として0.1〜10%である(4)乃至(6)のいずれかに記載の加工食品、
(8) 加工食品が乳アレルギー者用である(4)乃至(7)のいずれかに記載の加工食品、
である。
なお、特開昭56−109551号公報(特許文献5)には、甘味がマイルドで上品であり、甘味がいつまでも舌やのどに残らず、後味がすっきりした菓子、飲料類を提供するために、動物たん白加水分解物を添加することが提案されており、前記動物たん白の1つとして卵白が挙げられている。また、特開昭56−124342号公報(特許文献6)にも、乳製品のミルキー感を改善するために、動物たん白加水分解物を添加することが提案されており、前記動物たん白の1つとして卵白が挙げられている。
しかしながら、特許文献5および特許文献6においても、動物たん白塩酸加水分解物である「アミリッチAR(味の素(株)製)」しか実証されておらず、蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物がチーズ風味付与材としての機能を有するか否かについては何ら記載されていない。
本発明によれば、蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物の有効利用として、当該酵素分解物が含有されている新規なチーズ風味付与材を提供できる。また、本発明のチーズ風味付与材を用いるならば、単にチーズ風味を有する加工食品を提供できるばかりでなく、チーズそのものを用いなくても加工食品にチーズ風味を付与できることから、チーズ等の乳蛋白質でアレルギー症状を発現し乳アレルギーで悩む方々用のチーズ風味を有する加工食品として提供できる。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明のチーズ風味付与材は、有効成分として蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物が含有されていることを特徴とする。
ここで、前記卵白加水分解物を製造する際に使用する原料卵白としては、例えば、鶏卵を割卵し卵黄と分離して得られた生卵白、冷凍卵白、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理を施した乾燥卵白の水戻ししたもの、特定の卵白蛋白(例えば、リゾチーム)を除去した卵白等が挙げられる。またこれらの卵白に酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、殺菌処理又は熱蔵処理等の1種又は2種以上の処理を施したものも使用できる。
また、前記卵白加水分解物を製造する際に使用する蛋白質分解酵素としては、例えば、動物由来(例えば、ペプシン、キモトリプシン、トリプシン、パンクレアチン)、植物由来(例えば、パパイン、ブロメライン、フィシン)、微生物由来(例えば、乳酸菌、枯草菌、放線菌、カビ、酵母)のエンドプロテアーゼおよびエキソプロテアーゼ、ならびにこれらの粗精製物および菌体破砕物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、本発明の加熱処理を施す加工食品に添加したとき、チーズ風味付与機能に優れ、更に呈味改善機能も有する卵白加水分解物を得るためには、蛋白分解酵素として、アスペルギルス(Aspergillus)属菌起源の中性プロテアーゼを使用して卵白を加水分解するのが好ましい。このようなアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼの市販品としては、例えば、商品名:プロテアーゼP「アマノ」3G(起源:Aspergillus melleus、天野エンザイム(株))、商品名:スミチームFP(起源:Aspergillus oryzae、新日本化学工業(株))、商品名:デナチームAP(起源:Aspergillus oryzae、ナガセケムテックス(株))等が挙げられる。
蛋白分解酵素により加水分解して卵白加水分解物を得る製造方法としては、例えば、アスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼを例に挙げると、卵白のpHを6.5〜9.5、好ましくはpH7に調整し、この卵白にアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼを添加し、ゆっくりと攪拌しながら、35〜60℃、好ましくは45〜55℃にて2〜24時間保持する。次に、この液を加熱殺菌処理し、次いで冷却した後、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理により、粉末状の卵白加水分解物を得ることができる。
なお、pH、温度条件および加熱時間は、使用する蛋白分解酵素の種類および組み合わせに応じて適宜調整するのが好ましい。また、pHの調整に使用する酸材としては、特に限定するものではないが、有機酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等、無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択し使用すると良い。
また本発明で用いる卵白加水分解物は、当該加水分解の程度が平均分子量として300〜5000が好ましく、500〜3000がより好ましい。卵白加水分解物の平均分子量が前記範囲を外れると、後述の加熱処理を施す加工食品に添加したとき十分なチーズ風味を付与し難く好ましくない。更に、卵白加水分解物の平均分子量が下限値を下回ると、製造方法によっては卵白加水分解物自身が異臭を生じる場合があり好ましくない。
以上、本発明のチーズ風味付与材に用いる蛋白分解酵素で加水分解した卵白加水分解物について詳述したが、本発明のチーズ風味付与材は、上記卵白加水分解物を有効成分として含有する。したがって、本発明では、チーズ風味付与材として上記卵白加水分解物をそのまま用いても良く、また本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、増量材、固結防止材等の賦形材等と組み合わせても良い。
次に、上記チーズ風味付与材が添加された本発明の加工食品について詳述する。まず、本発明の加工食品は、加熱処理が施されていることを特徴とする。このように本発明の加工食品が加熱処理を施しているものに限定されているのは、以下のような理由による。つまり、本発明のチーズ風味付与材は、有効性成分として蛋白分解酵素で加水分解した卵白加水分解物を含有するものであるが、当該卵白加水分解物自体はチーズ風味を有するものでない。したがって、本発明のチーズ風味付与材も、チーズあるいはチーズフレーバー等、チーズ風味を有する食材が添加されている場合を除き、それ自体がチーズ風味を有するものではない。しかしながら、如何なる理由によるかは不明であるが、本発明の風味付与材を添加して加熱処理を施した加工食品は、チーズ風味を有することから、本発明の飲食は、加熱処理が施されていることを特徴とする。
ここで、加熱処理とは、料理の分野で一般的に行われている、焼成、フライ、煮る、蒸す、炒める等の他、レトルト処理も含まれる。具体的には、80℃以上で加熱処理することをいう。このような加熱処理を施し、チーズ風味が要望される加工食品としては、例えば、クッキー、スポンジケーキ、ボーロ、せんべい、パン、パン用フィリング又はトッピング、グラタン又はドリア等の焼成食品、パスタソース、スープ、カレー、流動食等のレトルトあるいはホットパック食品、その他フラワーペースト等の加熱加工食品等が挙げられる。上記加工食品中でも焼成食品は、本発明のチーズ風味付与材によるチーズ風味が発現し易いことから好ましく、特に、クッキー、スポンジケーキ、ボーロ又はせんべい等の焼き菓子は、更にチーズ風味がより発現し易いことからより好ましい。
チーズ風味付与材の加工食品への添加量は、加工食品の種類、加熱処理条件あるいは所望するチーズ風味の程度等により異なるが、チーズ風味付与材の有効成分である蛋白分解酵素で加水分解した卵白加水分解物として0.1〜10%が好ましく、0.5〜6%がより好ましい。チーズ風味付与材の添加量が前記範囲の下限値より少ないと、本発明のチーズ風味付与材を加工食品に添加してもチーズ風味が発現し難く、一方、前記範囲の上限値より多いと苦味を生じる場合があり、添加した加工食品の食味を損なう場合があり好ましくないからである。
また、本発明の加工食品には、本発明の効果を損なわない範囲で各種原料を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、卵黄、乳原料、食用油脂等の各種食材、食塩、砂糖、醤油、味噌等の各種調味料、小麦粉、強力粉、中力粉、薄力粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉等の澱粉類、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム等のガム質、デキストリン、サイクロデキストリン、デキストリンアルコール、果糖液糖ブドウ糖等の糖類、食酢、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、柑橘果汁等の有機酸、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸化処理澱粉等の乳化材、香辛料、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、香料、防腐剤等が挙げられる。
また、本発明のチーズ風味付与材を添加した加工食品は、チーズ自体を添加しなくても、チーズ風味を有するものである。したがって、本発明の加工食品は、チーズ等の乳蛋白質でアレルギー症状を発現し乳アレルギーで悩む方々用のチーズ風味を有する加工食品として提供できる。
以下、本発明のチーズ風味付与材およびこれを用いた加工食品について、実施例、比較例ならびに試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
まず、蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を有効成分として含有されたチーズ風味付与材の実施例及び比較例を以下に示す。
[実施例1]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、イースト(オリエンタル酵母(株)製)300gを添加し、液温を35℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら4時間脱糖処理を行った。次いで、得られた脱糖処理液にAspergillus melleus起源の中性プロテアーゼ(商品名「プロテアーゼP(アマノ)」、天野エンザイム(株)製)300gを添加し、液温を50℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら12時間酵素処理を行った。さらに、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を得、当該卵白加水分解物からなるチーズ風味付与材を製した。前記卵白加水分解物の平均分子量は約1250であった。なお、卵白加水分解物の平均分子量は、ホルモル滴定法により算出した値である。
[実施例2]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、この液卵白にAspergillus oryzae起源の中性プロテアーゼ(商品名「スミチームFP」、新日本化学工業(株)製)200gを添加し、液温を45℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら8時間酵素処理を行った。次いで、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を得、当該卵白加水分解物からなるチーズ風味付与材を製した。前記卵白加水分解物の平均分子量は約1400であった。
[実施例3]
液卵白(キユーピー(株)製)180kgをタンクに投入し、クエン酸を用いてpH7に調整した。次に、イースト(オリエンタル酵母(株)製)300gを添加し、液温を35℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら4時間脱糖処理を行った。その後、液温を65℃まで昇温した後、65℃にて30分間攪拌した。次いで、得られた脱糖処理液にAspergillus oryzae起源の中性プロテアーゼ(商品名「デナチームAP」、ナガセケムテックス(株)製)150gを添加し、液温を55℃に保持して、ゆっくり攪拌しながら6時間酵素処理を行った。さらに、得られた酵素処理液をニーダーにて液温97℃で10分間処理した後、10℃以下に冷却し、スプレードライを行い蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物を得、当該卵白加水分解物からなるチーズ風味付与材を製した。前記卵白加水分解物の平均分子量は約1200であった。
[比較例1]
乾燥卵白(キユーピー(株)製)10kgに1.5mol/L塩酸溶液を100L加え、90℃で3時間処理した。次いで、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和後、濾過し、電気透析で脱塩し、スプレードライを行って酸加水分解による卵白加水分解物を得、比較用卵白加水分解物を製した。前記卵白加水分解物の平均分子量は約200であった。
実施例1乃至3で得られた各チーズ風味付与材を添加した加工食品の実施例、および比較例1で得られた比較用卵白加水分解物を添加した加工食品の比較例を以下に示す。
[実施例4]
下記に示す原料を準備しクッキーを製した。つまり、薄力粉、チーズ風味付与材および食塩を粉体混合した。次いで、ショートニングにグラニュー糖を入れ、ホバートミキサーで均一に混合した後、卵黄、清水の順に少量ずつ添加し、更に混合した。得られた混合物に、先の粉体混合物を少量ずつ添加し、こねないようにサックリ混合し均一とした後、冷蔵庫で30分間寝かした。次いで、直径3.5cmの棒状に成形し、冷凍庫で1時間以上凍らせた。次いで、凍った前記サンプルを幅4〜5mmに切り、170℃に温めたオーブンで13〜15分間焼成し、実施例1で得られたチーズ風味付与材を添加したクッキーを製した。得られたクッキーを喫食したところチーズ風味を有していた。また、本実施品は、チーズ等の乳原料を含有していないことから、乳アレルギー者用のクッキーとして利用できる。
<クッキー(焼成前)の配合割合>
薄力粉 44部
グラニュー糖 24部
ショートニング 19.84部
卵黄 8部
チーズ風味付与材(実施例1) 4部
食塩 0.16部
清水 12部
―――――――――――――――――――――――
合計 112部
[実施例5]
実施例4において、原料の実施例1で得られたチーズ風味付与材に代えて実施例2で得られたチーズ風味付与材を用いた以外は、実施例4に準じクッキーを製した。得られたクッキーを喫食したところチーズ風味を有していた。また、本実施品は、チーズ等の乳原料を含有していないことから、乳アレルギー者用のクッキーとして利用できる。
[実施例6]
実施例4において、原料の実施例1で得られたチーズ風味付与材に代えて実施例3で得られたチーズ風味付与材を用いた以外は、実施例4に準じクッキーを製した。得られたクッキーを喫食したところチーズ風味を有していた。また、本実施品は、チーズ等の乳原料を含有していないことから、乳アレルギー者用のクッキーとして利用できる。
[実施例7]
下記に示す原料を準備しレトルトカルボナーラソースを製した。つまり、二重釜に清水を入れ、加熱攪拌しながら牛乳、オリゴ糖アルコール、卵黄、生クリーム、チーズ風味付与材、食塩、マーガリン、グルタミン酸ソーダおよびタマリンドガムを加えて90℃達温後加熱を停止し、次いで、ベーコンおよびブラックペパーを加え仕上げ攪拌しソースを製した。次いで、得られたソースを140gずつ耐熱性レトルトパウチに充填・密封した後、120℃で30分間レトルト処理施し、実施例1で得られたチーズ風味付与材を添加したレトルトカルボナーラソースを製した。得られたレトルトカルボナーラソースを温めてパスタにかけ喫食したところやや弱いもののチーズを用いていないにも拘らずチーズ風味を有していた。
<レトルトカルボナーラソースの配合割合>
牛乳 60部
オリゴ糖アルコール 8部
卵黄 5部
生クリーム 5部
チーズ風味付与材(実施例1) 4部
食塩 1.2部
マーガリン 1部
グルタミン酸ソーダ 0.8部
タマリンドガム 0.2部
清水 6.7部
ベーコン 8部
ブラックペパー 0.1部
――――――――――――――――――――――
合計 100部
[比較例2]
実施例4において、原料の実施例1で得られたチーズ風味付与材に代えて比較例1で得られた比較用卵白加水分解物を用いた以外は、実施例4に準じクッキーを製した。得られたクッキーを喫食したところチーズ風味を有していなかった。
[比較例3]
下記に示す原料を準備しマヨネーズを製した。つまり、サラダ油以外の原料をミキサーで均一に混合し水相部を調製した後、当該水相部を攪拌させながらサラダ油を徐々に注加して粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミル、高圧ホモゲナイザー等の乳化機で仕上げ乳化し、500mL容量の透明三層ラミネートの可撓性容器に充填し、実施例1で得られたチーズ風味付与材を添加したマヨネーズを製した。得られたマヨネーズをカットレタスにかけ喫食したところチーズ風味を有していなかった。
<マヨネーズの配合割合>
サラダ油 70部
生卵黄 8部
食酢(酸度9%) 6部
チーズ風味付与材(実施例1) 4部
食塩 1.8部
砂糖 0.4部
辛子粉 0.3部
グルタミン酸ソーダ 0.3部
清水 9.2部
―――――――――――――――――――――――
合計 100部
実施例1乃至3のいずれかで得られた蛋白分解酵素で加水分解した卵白加水分解物からなるチーズ風味付与材は、実施例4乃至7の結果より、チーズ風味付与機能を有していたのに対し、比較例1で得られた酸加水分解した比較用卵白加水分解物は、比較例2の結果より、チーズ風味付与機能を有していなかった。これより、チーズ風味付与機能を有するには、有効成分として蛋白分解酵素で加水分解した卵白加水分解物を含有させなければならないことが理解される。また、本発明のチーズ風味付与材を添加した実施例4乃至7の加工食品は、チーズ風味を有していたのに対し、比較例3の加工食品は、本発明のチーズ風味付与材を添加したにも拘らずチーズ風味を有していなかった。これより、本発明のチーズ風味付与材は、加熱処理を施した加工食品でないとチーズ風味付与機能を発現し難いことが理解される。また、実施例4および実施例7の結果より、加熱処理を施した加工食品でも焼成食品のほうが本発明のチーズ風味付与材の付与機能が発現し易いことが理解される。
[試験例]
本発明のチーズ風味付与材の添加量による加工食品への影響を調べるために、加工食品のチーズ風味および苦味により評価した。つまり、実施例4において、実施例1で得られたチーズ風味付与材の卵白加水分解物としての添加量を表1に示す量に変更し、その増減を薄力粉で調整した以外は、実施例4に準じてクッキーを製した。そして、得られたクッキーを喫食し、チーズ風味および苦味を評価した。なお、焼成後のクッキーの質量が焼成前の配合から清水を除いた量とほぼ一致したことから、製品全体(クッキー)に対してのチーズ風味付与材の卵白酵素加水分解物としての添加量は、例えば、実施例4の場合、4%とし、他の添加量も同様に試験を行なった。
Figure 2006314296
表1より、本発明のチーズ風味付与材の添加量が製品全体に対し卵白加水分解物として0.1〜10%の範囲にある加工食品は、苦味も少なくチーズ風味を有することが理解される。特に、0.5〜6%の範囲あるものはより好ましいことが理解される。

Claims (8)

  1. 有効成分として蛋白分解酵素により加水分解した卵白加水分解物が含有されていることを特徴とするチーズ風味付与材。
  2. 前記卵白加水分解物の平均分子量が300〜5000である請求項1記載のチーズ風味付与材。
  3. 前記蛋白分解酵素がアスペルギルス属菌起源の中性プロテアーゼである請求項1又は2のいずれかに記載のチーズ風味付与材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のチーズ風味付与材が添加され、加熱処理が施されてなるチーズ風味を有することを特徴とする加工食品。
  5. 加工食品が焼成食品である請求項4記載の加工食品。
  6. 加工食品が焼き菓子である請求項4記載の加工食品。
  7. チーズ風味付与材の添加量が製品全体に対し前記卵白加水分解物として0.1〜10%である請求項4乃至6のいずれかに記載の加工食品。
  8. 加工食品が乳アレルギー者用である請求項4乃至7のいずれかに記載の加工食品。
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