JP2006131871A - 防振ゴム組成物及び防振ゴム部材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、動倍率が小さく、かつ耐熱性が高い防振ゴム組成物、及び該防振ゴム組成物を用いた防振ゴム部材を提供することにある。
本発明の別の目的は、高減衰かつ低動倍率で、耐久性が高い防振ゴム組成物、及び該防振ゴム組成物を用いた防振ゴム部材を提供することにある。
<1> 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムのうちの少なくとも1種のゴムからなるゴム成分と、加硫剤として下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物及び/又は下記一般式(2)で表されるビスマレイミド化合物のうちの少なくとも1種と、シリカゲルと、シランカップリング剤とを含有することを特徴とする防振ゴム組成物。
また、本発明によれば、高減衰かつ低動倍率で、耐久性が高い防振ゴム組成物、及び該防振ゴム組成物を用いた防振ゴム部材を提供することにある。
本発明の防振ゴム組成物は、第1の態様によると、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムのうちの少なくとも1種のゴムからなるゴム成分と、加硫剤として下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物及び/又は下記一般式(2)で表されるビスマレイミド化合物のうちの少なくとも1種と、シリカゲルと、シランカップリング剤とを含有することを特徴としている。以下、ゴム成分をはじめとする各成分について説明する。
ゴム成分としては、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)等のジエン系ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR、EPDM)、ブチルゴム(IIR)等のオレフィン系ゴム、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)等のハロゲン化ブチルゴム、その他ポリウレタンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン等を含めた合成ゴム類、天然ゴム等が例示され、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。これらの中でも、前記ゴム成分が、天然ゴム、又は、天然ゴムと、ブタジエンゴム、イソプレン、スチレンブタジエンゴム、EPDM、ブチルゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群より選択される少なくとも1種とのブレンド材料が好適であり、より具体的には、天然ゴム単独、天然ゴムとブタジエンゴムの併用、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムの併用のいずれかが好適である。
(ビスマレイミド化合物)
本発明の防振ゴム組成物には、加硫剤として、加硫剤として下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物及び/又は下記一般式(2)で表されるビスマレイミド化合物のうちの少なくとも1種を含有する。
上記のビスマレイミド化合物の中でも、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド又はN,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドが効果が顕著な点で特に好ましい。
本発明の防振ゴム組成物は、前記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物に加え、さらに、前記ゴム成分100重量部に対して硫黄を0.1〜2.0重量部の割合で含有することが好ましい。硫黄の含有量が0.1重量部以下では加硫が有効に進行しないことがあり、2.0重量部を超えると、耐熱性、コンプレッションセット性が悪化することがある。
本発明の防振ゴム組成物は、シリカゲルを含有するが、該シリカゲルの含有量としては、ゴム成分100重量部に対して、5〜150重量部含有することが好ましい。5重量部未満では、静バネ定数が低く、防振ゴムになり得ないことがあり、150重量部を超えると、ゴムに混練することが困難になる。
本発明の防振ゴム組成物に含有する前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド、ビス〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕テトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができ、中でも、硫黄原子又は窒素原子を含有する分子構造であることが好ましい。
第2の態様における防振ゴム組成物は、充填剤としてシリカゲルとシランカップリング剤とを用いることにより、高耐久・低動倍化を図ることができる。同時に、分子内にエポキシ基及びアミノ基を有する溶液重合末端変性SBRを用いることで、シリカとの親和性が向上し、更なる高耐久化と低動倍化が可能となる。また、溶液重合末端変性SBRのスチレン含有率を選択することで高減衰化も可能となり、減衰性を維持したまま耐久性に劣るブチル系ゴムの配合部数を減少させることができる。また、後述するように、架橋剤にビスマレイミド化合物を使用することでさらなる低動倍化を図ることができる。
第2の態様におけるゴム成分は、溶液重合末端変性SBR及びブチル系ゴムのブレンド材料よりなる。本発明において使用する溶液重合末端変性SBRは、分子内にエポキシ基及びアミノ基を官能基として含むが、該官能基を含むことにより、シリカゲルのゴム中への分散性が向上し低動倍化の効果が発現する。
エポキシ基は、分子内に2個以上含むことが好ましく、同様にアミノ基は1個以上含むことが好ましい。
このような溶液重合末端変性SBRとしては、旭化成(株)製のタフデンE50、同E60、アサブレンE10、同E15などを使用することができる。溶液重合末端変性SBRの製造方法としては特開2002−284930号公報、特開2002−284932号公報に記載されている。
第2の態様におけるシリカゲルの含有量としては、ゴム成分100重量部に対して、10〜100重量部含有することが好ましい。10重量部未満では、静バネ定数が低く、防振ゴムになり得ないことがあり、100重量部を超えると、ゴムに混練することが困難になる。
第2の態様において、シランカップリング剤としては第1の態様と同じものを使用することができ、好ましい例も同様である。本態様におけるシランカップリング剤の配合量はシリカゲルに対して0.1〜10重量%が好ましい。
第2の態様においては、加硫剤として、硫黄とビスマレイド化合物とを必須成分として含む。
硫黄としては、前記ゴム成分100重量部に対して0.1〜1.0重量部の割合で含有することが好ましい。硫黄の含有量が0.1重量部未満では加硫が有効に進行しないことがあり、1.0重量部を超えると、耐熱性、コンプレッションセット性が悪化することがある。
また、ビスマレイミド化合物としては、既述の一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物又は既述の一般式(2)で表されるビスマレイミド化合物の他、N,N’−o−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドを使用することができる。ビスマレイミド化合物の中でも特に、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド又はN,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドが効果が顕著な点で特に好ましい。
窒素吸着比表面積(BET法)70m2/g未満ではゴム物性が著しく悪化し耐久性に劣る場合があり、240m2/gを超えるとゴム成分への分散が困難となる。
また、シリカゲルの含有量が10重量部未満では、ゴム物性が悪化し耐久性に劣る場合があり、100重量部を超えると、ゴムに対する分散が困難となり動倍率が悪化することがある。
シランカップリング剤の配合量が10重量部未満ではカップリング剤の効果が発現されず、動倍率が悪化する。また、10%を超えて添加してもそれ以上の効果は発揮されない。
硫黄の配合量及びビスマレイミドの配合量が前記下限を下回ると架橋密度が低くゴム物性が著しく悪化する。また、上限を超えると耐熱性が悪化する。
本発明の防振ゴム部材は、前記本発明の防振ゴム組成物を用いてなることを特徴としている。すなわち、本発明の防振ゴム部材は、既述の第1の態様及び第2の態様における本発明の防振ゴム組成物を加硫成形してなるものである。
各実施例及び比較例ごとに、表1に示す配合成分を溶融混練して、実施例1〜5及び比較例1〜4の防振ゴム組成物を調製した。
NIPSIL VN3:沈降式シリカ、BET比表面積180〜230m2/g(東ソー・シリカ(株)製)
NIPSIL ER:沈降式シリカ、BET比表面積70〜120m2/g(東ソー・シリカ(株)製)
NIPSIL KQ:沈降式シリカ、BET比表面積215〜285m2/g(東ソー・シリカ(株)製)
SI−69:シランカップリング剤(デグッサ製)
RD:老化防止剤(大内新興化学工業社製)
6C:老化防止剤(大内新興化学工業社製)
ビスマレイミドA:N,N’−m−フェニレンビスマレイミド
ビスマレイミドB:N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド
CZ:加硫促進剤(大内新興化学工業社製)
TBT:加硫促進剤(大内新興化学工業社製)
(1)ムーニー粘度
JIS K6300のムーニー粘度試験に準拠して、ムーニー粘度を測定した。結果を表1に示す。
(2)ゴム硬度Hs
JIS K 6301−1995(25℃、スプリング式硬さ(Aタイプ))に準拠してゴム硬度を測定した。結果を表1に示す。
(3)引っ張り強度(Tb)、伸び、及びMd50(50%応力)
JIS K6251に準拠して引っ張り強度及び伸びについて測定した。結果を表1に示す。
(4)伸長疲労耐久
室温下200%伸長を繰り返し、破断までの回数Nを計数した。結果を表1に示す。
(5)熱老化後Tb変化率(%)
熱老化は100℃ギヤオーブンで100時間行い、オーブンから取り出し後、室温で24時間放置後に、Tb(引っ張り強度)を求めた。また、前記初期のTbに対する熱老化100時間後のTbの変化率を示した。
JIS K 6385に準拠して、静的特性試験の両方向負荷方式において、試験片の軸直角方向に変位速度20mm/分で0mm〜+4.5mmの範囲のたわみを3回負荷し、3回目の負荷過程での荷重−たわみの関係を測定し、この関係を用いて同規格に記載の計算方法によりたわみの範囲=1.5〜3.0mmで算出した。
貯蔵バネ定数とも呼ばれ、JIS K 6385に準拠して、動的性質測定試験の非共振方法において、10%(3mm)たわむ荷重の下で、試験片の軸直角方向に振動数100Hz、振幅±0.05mmで条件で測定した。
Ks対比低動倍化効果大きいものを「○」、中程度のものを「△」、動倍率が悪いものを「×」として評価した。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例ごとに、表2に示す配合成分を溶融混練して、実施例6〜9及び比較例5〜7の防振ゴム組成物を調製した。
末端変性SBR A:結合スチレン量32%、油展37.5phr(旭化成、タフデンE60)
末端変性SBR B:結合スチレン量23%、非油展(旭化成、アサプレンE15)
シリカゲルA:BET比表面積190m2/g
シリカゲルB:BET比表面積100m2/g
N550:カーボンブラック(旭カーボン(株)製)
TESPT:シランカップリング剤(デグッサ製)
また、ゴム物性・耐久性において、Tb10MPa以上、Eb300%以上、かつ伸長疲労耐久性が良好な場合を○とし、いずれか1つでも前記の値を下回る場合を×として評価した。
Claims (13)
- 前記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物が、前記ゴム成分100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の防振ゴム組成物。
- 加硫剤として、さらに、硫黄が、前記ゴム成分100重量部に対して0.1〜2.0重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の防振ゴム組成物。
- 前記シリカゲルが窒素吸着比表面積(BET法)230m2/g以下の範囲の湿式シリカであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
- 前記シリカゲルの含有量が、前記ゴム成分100重量部に対して5〜150重量部であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
- 前記シランカップリング剤の含有量が前記シリカゲルに対して0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
- 前記シランカップリング剤が硫黄原子又は窒素原子を含有する分子構造であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
- 前記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物が、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド又はN,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
- 前記ゴム成分中の前記各成分の配合量が、溶液重合末端変性SBRが80〜20重量%であり、ブチル系ゴムが20〜80重量%であることを特徴とする請求項9に記載の防振ゴム組成物。
- 前記シリカゲルの窒素吸着比表面積(BET法)が70〜240m2/gであり、ゴム成分100重量部に対してシリカゲルの配合量が10〜100重量部であり、かつ前記シランカップリング剤が窒素原子又は硫黄原子を含む化学構造であり、シランカップリング剤の配合量がシリカゲルに対して1.0〜10重量%であることを特徴とする請求項9または10に記載の防振ゴム組成物。
- 前記硫黄の配合量が、ゴム成分100重量部に対して0.1〜1.0重量部であり、前記ビスマレイミド化合物の配合量が、ゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部であり、かつ前記ビスマレイミド化合物がN,N’−m−フェニレンビスマレイミド又はN,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドであることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
- 請求項1から12のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物を用いてなることを特徴とする防振ゴム部材。
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