JP2003049022A - 高減衰ゴム組成物およびそれを用いた制振装置 - Google Patents
高減衰ゴム組成物およびそれを用いた制振装置Info
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Abstract
しかも注型方式によって容易に製造することが可能な加
工性に優れた高減衰ゴム組成物を提供する。 【解決手段】 制振装置の粘弾性体として好適な高減衰
ゴム組成物であり、平均分子量1000〜50000の範囲にあ
るイソプレンゴム100重量部、BET比表面積が50m2/
g以上のシリカ微粒子5〜100重量部、加硫剤0.5〜10重
量部を主成分とする。
Description
な高減衰ゴム組成物及びそれを用いた制振装置に関す
る。
する目的や、音響設備の防音等に対して、従来、種々の
種類の制振装置が開発され使用されている。特に、建築
物においては風に対する揺れの低減や耐震補強を目的と
して、高減衰ゴム組成物を使用した粘弾性ダンパーや制
振壁が制振装置として最近使用され始めている。
される環境温度は一定の場合が少なく、安定して減衰性
能を発揮するためには、環境温度の変化に対し、減衰性
能の変化が少ない制振装置が望まれている。
が多用されているが、ブチル系ゴムは、高い制振効果が
得られる温度範囲が狭いという欠点がある。これに対
し、シリコーンゴムはブチル系ゴムに比べ減衰性能は劣
るが、温度変化に対する物性変化が少ないため、シリコ
ーンゴムの減衰性能を改善して制振用ゴム材料として利
用することが提案されている(特開平3-281663号、特開
平1-19824号など)。
あるが、制振用ゴム材料を用いた制振装置としては、例
えば2枚の平行な鋼板(外部鋼板という)の間に高減衰ゴ
ム材料を挟んで1枚の鋼板(内部鋼板という)を挿入した
構造のものがある。このような制振装置では、振動によ
って外部鋼板と内部鋼板とが相対移動するときに、間に
ある高減衰ゴム材料がせん断変形し、履歴を伴う変形を
発揮して制振する。このような制振装置は、外部鋼板と
内部鋼板との間の間隙にゴム組成物を注入後、硬化させ
ることによって製造することが一般的であり、最も好適
な方法である。
コーン生ゴムを主成分とする高減衰ゴムは、注型によっ
て成型することが困難であり、プレス成型で形成される
ため、複雑な構造の制振装置に適用する場合、高価な金
型や多数の製造工程が必要であった。
能の変化が少なく、しかも注型方式によって容易に製造
することが可能な加工性に優れた高減衰ゴム組成物を提
供することを目的とする。また本発明は、このような高
減衰ゴム組成物を用いることにより、製造が容易で且つ
減衰性能に優れた制振装置を提供することを目的とす
る。
明の高減衰ゴム組成物は、平均分子量1000〜50000の範
囲にあるイソプレンゴム100重量部、シリカ微粒子5〜10
0重量部、加硫剤0.5〜10重量部を主成分とするものであ
り、好適には、シリカ微粒子は、BET比表面積が50m
2/g以上のものである。
℃、振動数0.1Hz〜5.0Hz、歪み100%〜2
00%の範囲において、等価減衰定数が0.2〜0.4
の範囲内にある。また振動数0.3Hz、歪み100%
変形時の0℃における貯蔵剪断弾性率G’(0)と40℃
における貯蔵剪断弾性率G’(40)の比G’(0)/G’(40)
が1.0〜2.0であり、広い温度範囲にわたって安定
した減衰特性を示す。
衰ゴム組成物を用いたものであり、具体的には、第1の
基材と、粘弾性体を介して前記基材と平行に配置される
第2の基材とからなり、粘弾性体は上記高減衰ゴム組成
物を硬化させたゴムである。第1の基材と第2の基材
は、互いに平行な板状部材であっても、同心円上に配置
される円筒状(円柱状)部材であってもよい。
記構造の制振装置を注型方式で製造する方法であり、具
体的には第1の基材と、前記第1の基材と平行に配置さ
れた第2の基材との間に、前記高減衰ゴム組成物を注型
により充填した後、加硫硬化させることを特徴とするも
のである。このような構造の制振装置は、例えば制振壁
として、或いは粘弾性ダンパーとして建築物の梁間また
は梁と柱の間に架設され、粘弾性体の剪断変形により制
振性能を発揮する。この際、粘弾性体として上記高減衰
ゴム組成物を硬化してなるゴム材料を使用することによ
り、高い減衰性能を発揮でき、且つ温度変化に対しても
減衰性能の変化が少なく環境の変化に対応できる。
振装置に用いる粘弾性体について詳細に説明する。本発
明の高減衰ゴム組成物は、平均分子量が1000〜50000
の、常温で液状のポリイソプレンを含む。分子量範囲を
上記範囲とすることにより、成型品の加工性を改善する
ことができ、特に制振装置を注型方式によって成型する
ことが可能となる。また平均分子量が1000未満では、硬
化後のゴム材の剛性が低く、変形しやすくなる。また平
均分子量が50000を超えると、注型方式による成型が困
難になる。
能を向上させるために添加される。シリカ微粒子とし
て、乾式法シリカ、湿式法シリカ、およびこれらの表面
がオルガノシラン、オルガノシロキサンオリゴマー、ヘ
キサメチルジシラザン等で処理された疎水化処理シリカ
微粉末が例示される。好適にはそのBET比表面積が、5
0m2/g以上、より好適には100〜300m2/gの
ものを用いる。BET比表面積が50m2/g以上のものを
用いることにより十分な減衰性能を得ることができる。
但し、300m2/gを超えると混練り時にシリカ微粉
末の分散性が不十分となり、逆に減衰性能が低下する傾
向を示すようになるので300m2/g以下とすること
が望ましい。
の配合量を100重量部とするとき、5〜100重量
部、好適には10〜60重量部とする。5重量部未満で
は十分な減衰性能を得ることができず、また100重量
部を超えると混練り時にシリカの分散性が不十分とな
り、亀裂が入りやすくなるとともに、減衰性能も低下す
る。加硫剤としては、イオウ華、脱酸イオウ、イオウ
末、沈降イオウ、コロイドイオウ等のイオウを用いる。
加硫剤の添加量は0.5〜10重量部とする。このよう
な範囲で、十分な硬化反応が得られ、また十分な減衰性
能が得られる。
亜鉛等の無機加硫促進剤やジベンゾチアジルジスルフィ
ド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチル
チウラムジスルフィド、ジ−O−トリルグアニジン、ジ
エチルジチオカルバミン酸テルル、2−メルカプトベン
ゾチアゾール等の有機加硫促進剤を添加することができ
る。更に上記成分の他、後述する減衰性能を阻害しない
範囲で、公知の各種添加剤、例えば、増量充填剤、顔
料、耐熱剤、難燃剤、内部離型剤、可塑剤などを添加す
ることができる。
ム、シリカ微粒子及び各添加剤を混合し、成形型に注ぎ
硬化させることにより所望の形状のゴム材を製造するこ
とができる。また制振装置を製造する場合には、粘弾性
体を設けるべき構造材間の間隙に注入し硬化させること
ができる。
動数0.1Hz〜5.0Hz、歪み100%〜200%
の範囲において、等価減衰定数heqが0.2〜0.4
の値を有するものとなる。従って一般的な建築物が設置
される環境において、建築物で問題となる振動に十分対
応できる減衰性能が得られる。またこの粘弾性体は、0
℃における貯蔵剪断弾性率G’(0)と40℃における貯
蔵剪断弾性率G’(40)の比G’(0)/G’(40)が1.0〜
2.0であり、極めて温度依存性が少ない。
して用いた本発明の制振装置の実施形態を説明する。
性ダンパーに適用した一実施形態を示す断面図である。
この粘弾性ダンパー1は、二枚の外部鋼板2と、この間
に一定の間隙をもって挿入された一枚の中間鋼板3と、
外部鋼板2と中間鋼板3との間に挟着された高減衰性ゴ
ム層4からなる。二枚の外部鋼板2は基端部でライナー
5を介して締結されている。高減衰性ゴム層4は、外部
鋼板2と中間鋼板3を図示するように配置した状態で、
外部鋼板2と中間鋼板3との間に注ぎ、硬化させること
によって粘弾性体としたものである。
端部と中間鋼板3の基端部を各々梁または柱に固定する
ことにより、梁・柱間に設置される。本発明の粘弾性ダ
ンパー1を設置した建築物が、風、地震等により振動す
ると、外部鋼板2と中間鋼板3が相対変形し、これによ
り高減衰性ゴム層4が剪断変形し、履歴を伴う抵抗力を
発揮することにより、制振効果が得られる。この際、気
候の変動等により温度が変化する場合でも、通常の温度
変化の範囲では、高減衰性ゴム層の減衰特性の温度依存
性が低いので、安定した制振効果を得ることができる。
は制振装置を建築物の梁と柱との間に設置する場合を説
明したが、本発明の制振装置は、建築物に限らず、車両
等のダンパーとしても適用することができる。また制振
装置を構成する構造材として板状体の組み合わせを例示
したが、一組の部材間に粘弾性体を挟んで組み合わせた
構造のものであれば、構造材の形状は任意に変更するこ
とができる。例えばシリンダとシリンダ内挿入されるロ
ッドとを組み合わせ、これらシリンダとロッドとの間に
粘弾性体を挟着した構造であってもよい。また構造材の
材料についても、鋼鉄に限らず、合金めっき鋼、ステン
レス鋼、アルミニウム等を用いることができる。
明する。
に示すイソプレンゴム(平均分子量29000)を主成分とす
る高減衰性ゴム組成物を注入後、硬化させて、高減衰ゴ
ム層4を形成し、制振装置を製造した。
を用いた以外は実施例1と同様にして、図1に示す構造
の制振装置を製造した。
成分とするものを用いた以外は実施例1と同様にして、
図1に示す構造の制振装置を製造した。
レー(比較例2)及びカーボンブラックHAF(比較例3)を
それぞれ100重量部、55重量部用いて、それ以外は実施例
1と同様にして、図1に示す構造の制振装置を製造し
た。
装置について、温度0℃、20℃、40℃、周波数0.
3Hz、歪み100%の条件で3回正弦波加振し、各温
度における貯蔵剪断弾性率G’および等価減衰定数he
qを測定した。測定値は、3回加振して得られた結果の
うち3回目の値を採用した。また貯蔵剪断弾性率の温度
依存性を調べるために、0℃における値G’(0)と40
℃における値G’(40)の比を求めた。結果を表2に示
す。
で製造した制振装置は使用する温度範囲全域にわたっ
て、貯蔵剪断弾性率、等価減衰定数共に変動が少なく安
定した減衰性能を発揮することがわかる。特に貯蔵剪断
弾性率については、比較例1では、温度変化によって大
幅に値が変化するのに対し、極めて安定した値を示し
た。またシリカ微粒子の代わりに、クレー或いはカーボ
ンブラックを用いたものでは、貯蔵剪断弾性率の温度変
化はなかったものの、等価減衰定数が0.1以下と低く、
制振装置としての減衰特性を満たしていなかった。
ソプレンゴムとシリカ微粒子とを配合することにより注
型による成型が可能であり、温度による特性変動が抑制
された高減衰ゴム組成物を提供することができる。また
本発明によれば、上記高減衰ゴム組成物を利用すること
により減衰性能が高く、温度変化による減衰性能の変化
が少ない制振装置を提供することができる。
ある。
Claims (6)
- 【請求項1】 平均分子量1000〜50000の範囲にあるイ
ソプレンゴム100重量部、シリカ微粒子5〜100重量部、
加硫剤0.5〜10重量部を主成分とする高減衰ゴム組成
物。 - 【請求項2】 前記シリカ微粒子は、BET比表面積が
50m2/g以上である請求項1記載の高減衰ゴム組成物。 - 【請求項3】 第1の基材と、粘弾性体を介して前記基
材と平行に配置される第2の基材とからなる制振装置に
おいて、前記粘弾性体が請求項1又は2に記載の高減衰
ゴム組成物を硬化させたゴムである制振装置。 - 【請求項4】 第1および第2の基材の一方が、円柱状
部材又は円筒状部材であり、他方は前記円柱状部材又は
円筒状部材に対し同心円上に配置された円筒状部材であ
ることを特徴とする請求項3記載の制振装置。 - 【請求項5】 第1および第2の基材は、平行に配置さ
れた板状部材であることを特徴とする請求項3記載の制
振装置。 - 【請求項6】 第1の基材と、前記第1の基材と平行に
配置された第2の基材との間に、請求項1又は2に記載
の高減衰ゴム組成物を注型により充填した後、加硫硬化
させることを特徴とする制振装置の製造方法。
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