JP2009235336A - 高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパー - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性を低下させることなく、優れた減衰性能を得ることができる高減衰ゴム組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(D)を必須成分とする高減衰ゴム組成物である。
(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー。
(B)未架橋ゴム。
(C)液状ポリマー。
(D)アルキルフェノール樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、高減衰ゴム組成物に関するものであり、詳しくは、建築分野における制震や免震等の用途に好適な高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパーに関するものである。
建築分野における制震装置や免震装置は、地震や風等による振動、大型車の走行等による交通振動等から、建築物に対する振動を抑制する目的で使用される。そのため、制震装置や免震装置等に用いられる減衰材料には、建築物の剛性にあわせて小振幅から大振幅までの振動吸収性能が求められる。また、建築分野において安定した減衰性能を発揮するためには、建築物の外気雰囲気において安定した減衰性能が求められることになり、剛性の温度依存性が小さいことが望まれる。従来、このような用途に用いられる減衰材料としては、ガラス転移温度(Tg)の高いアクリル系ポリマーやエポキシ系ポリマー等からなる高分子材料、あるいはゴムやポリジエン系熱可塑性エラストマー(TPE)等に、ガラス転移温度(Tg)の高いポリマーや軟化点の高い粘着付与剤等を配合してなる高分子材料が用いられている。
上記高分子材料(減衰材料)により、大きな減衰性能を発現させる場合、主にtanδ(損失係数)ピークの存在するガラス転移温度(Tg)領域が用いられることになる。ところが、このガラス転移温度(Tg)領域は、ガラス状態からゴム状態へと急激な変化を起こす領域であるため、剛性の温度依存性が極めて大きいという難点がある。例えば、10℃の等価剛性と、30℃の等価剛性との比は、ほとんどの場合2倍以上となってしまう。そのため、上記のような高分子材料(減衰材料)を用いてなるダンパー等の制振装置は、環境温度によって性能の変化が著しいという難点がある。また、これらの温度依存性を改良するために、シリコーン系の材料を使用する例もみられるが、材料コストが大幅にアップするため、建築費用の負担増加に繋がるという難点がある。
これらの問題を解決するため、例えば、熱可塑性エラストマーと、ポリオレフィン樹脂と、石油系樹脂またはテルペン系樹脂と、液状ポリマーとを含有する建築用振動減衰エラストマー組成物(特許文献1参照)や、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック(a)、およびイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体(A)であって、前記重合体ブロック(b)を末端に有するブロック共重合体(A)を含有する制振材組成物(特許文献2参照)が提案されている。
上記特許文献1に記載の建築用振動減衰エラストマー組成物は、基本的には、石油系樹脂またはテルペン系樹脂を用いることにより、tanδピークを高温側にシフトさせるとともに高減衰化し、さらに液状ポリマーを用いることにより、tanδピークを低温側にシフトさせて高減衰化するものと推察される。しかし、このものは、低温側のtanδを使用しているため、常温領域での温度依存性を小さくすることはできない。一方、上記特許文献2に記載の制振材組成物は、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)を主成分とし、石油系樹脂によりtanδピークを常温側にシフトさせているため、常温領域での剛性の温度依存性がやや大きいという難点もある。また、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックポリマー(SIBS)を用いる場合には、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)に比べて、コストが約2倍高くなるという難点もある。
そこで、これらの問題を解決するため、本出願人は、特定のジブロックポリマーと、特定の液状ポリマーとを必須成分とする高減衰エラストマー組成物についてすでに出願を行っている(特許文献3)。
特開2004−35648号公報 国際公開第01/074964号公報 特開2007−70595号公報
しかしながら、上記特許文献3に記載のものは、液状ポリマーを大量に添加すると減衰定数は大幅に向上するが、剛性が低下する傾向がみられ、この点で改良の余地がある。このように、剛性を低下させることなく、優れた減衰性能を得ることができる高減衰ゴム組成物は存在しないのが実情であり、したがって、剛性を低下させることなく、優れた減衰性能を得ることができる高減衰ゴム組成物が待望されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、剛性を低下させることなく、優れた減衰性能を得ることができる高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパーの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(D)を必須成分とする高減衰ゴム組成物を第1の要旨とする。また、本発明は、上記高減衰エラストマー組成物を構成部材として用いてなる制震ダンパーを第2の要旨とする。
(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー。
(B)未架橋ゴム。
(C)液状ポリマー。
(D)アルキルフェノール樹脂。
すなわち、本発明者らは、剛性を低下させることなく、優れた減衰性能を得ることができる高減衰ゴム組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーと、未架橋ゴムと、液状ポリマーとを含有するゴム組成物に、粘着付与剤を添加することで、剛性の低下を防ぐことを想起した。そして、アルキルフェノール樹脂に着目し実験を重ねたところ、これを用いると、剛性が高くなり剛性の低下を防ぐことができるとともに、優れた減衰性能も得られることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明の高減衰ゴム組成物は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーと、未架橋ゴムと、液状ポリマーと、アルキルフェノール樹脂とを含有するものである。このように、粘着付与剤としてアルキルフェノール樹脂を用いると、剛性が高くなり剛性の低下を防ぐことができるとともに、優れた減衰性能も得ることができる。また、本発明の高減衰ゴム組成物は、剛性が高く硬いため、例えば、制振ダンパー等に用いる場合には、体積を小さくすることができ、コストダウンが可能となる。これに対し、剛性が低く軟らかい材料の場合は、所望の剛性と減衰性を得るためには、材料を多く使用する必要があるため、体積が大となり、コストアップに繋がる。
また、上記アルキルフェノール樹脂として、非反応型アルキルフェノール樹脂を用いると、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーとの樹脂架橋が生じないため、減衰性能がさらに向上する。
また、上記特定の未架橋ゴムもしくは特定の液状ポリマーを用いると、減衰性能がさらに向上する。
そして、上記液状ポリマーもしくはアルキルフェノール樹脂の配合量が特定の範囲であれば、より一層減衰性能が向上する。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の高減衰ゴム組成物は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)と、未架橋ゴム(B成分)と、液状ポリマー(C成分)と、アルキルフェノール樹脂(D成分)とを用いて得ることができる。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)は、スチレン−イソプレンジブロック成分(SIジブロック成分)の含有量が、50〜78重量%の範囲が好ましい。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、50,000〜300,000の範囲が好ましく、特に好ましくは150,000〜230,000の範囲である。なお、上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に準じて、測定した値である。
つぎに、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)とともに用いられる未架橋ゴム(B成分)としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン(CM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムや、天然ゴム(NR)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)との相溶性の点で、BR、SBR、EPM、EPDM、IRが好ましい。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)と、未架橋ゴム(B成分)との混合割合は、重量比で、A成分/B成分=60/40〜95/5の範囲が好ましく、特に好ましくはA成分/B成分=75/25〜90/10の範囲である。すなわち、A成分の重量混合比が小さすぎる(B成分の重量混合比が大きすぎる)と、ゴム弾性やエラストマー弾性が劣る傾向がみられ、逆にA成分の重量混合比が大きすぎる(B成分の重量混合比が小さすぎる)と、減衰性能が劣る傾向がみられるからである。
つぎに、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)および未架橋ゴム(B成分)とともに用いられる液状ポリマー(C成分)としては、例えば、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレン−イソプレンゴム(液状SI)、液状スチレン−エチレン・プロピレンゴム(液状SEP)、液状イソプレン−ブタジエンゴム(液状IR−BR)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。このような液状ポリマー(C成分)を併用すると、剛性の温度依存性を低温側へシフトさせることができ、常温領域(通常、0〜30℃)での剛性の温度依存性が小さくなるとともに、常温領域での減衰定数(he)が大きくなり、減衰性能が向上するという効果が得られる。
上記液状ポリマー(C成分)は、ガラス転移温度(Tg)が−55℃以下のものが好ましく、特に好ましくは−60℃以下である。すなわち、上記液状ポリマー(C成分)のガラス転移温度(Tg)が、−55℃よりも高いと、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A成分)のTgを充分に下げられず、温度依存性が悪くなる傾向がみられるからである。なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、DSC測定法(示差走査熱量測定法)に準拠して求めた値である。
また、上記液状ポリマー(C成分)は、静粘度が70〜1000Pa・s/38℃の範囲のものが好ましく、特に好ましくは280〜950Pa・s/38℃の範囲である。すなわち、上記液状ポリマー(C成分)の静粘度が小さすぎると、コンパウンドの剛性が低下する傾向がみられ、逆に静粘度が高すぎると、分子量が高くなり、エントロピー弾性により、減衰性能が低下する傾向がみられるからである。なお、上記静粘度は、JIS K 7117に準拠し、B型粘度計を用いて、温度38℃で測定した値である。
また、上記液状ポリマー(C成分)は、数平均分子量(Mn)が10,000〜70,000の範囲が好ましく、特に好ましくは30,000〜50,000の範囲である。すなわち、上記液状ポリマー(C成分)の数平均分子量(Mn)が小さすぎると、低粘度となり剛性が低下する傾向がみられ、逆に数平均分子量(Mn)が高すぎると、エントロピー弾性により、減衰性能が低下する傾向がみられるからである。なお、上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に準じて、測定した値である。
上記液状ポリマー(C成分)の配合量は、上記A成分とB成分との合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、5〜100部の範囲が好ましく、特に好ましくは20〜60部の範囲である。すなわち、C成分の配合量が少なすぎると、減衰性能への効果が劣る傾向がみられ、逆にC成分の配合量が多すぎると、剛性が低下する傾向がみられるからである。
つぎに、上記A〜C成分とともに用いられる上記アルキルフェノール樹脂(D成分)としては、例えば、非反応型アルキルフェノール樹脂、反応型アルキルフェノール樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、減衰性向上の点で、非反応型アルキルフェノール樹脂が好ましい。
上記非反応型アルキルフェノール樹脂としては、例えば、下記の一般式(1)で表されるアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等があげられる。
Figure 2009235336
また、上記反応型アルキルフェノール樹脂としては、例えば、下記の一般式(2)で表される熱反応型アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等があげられる。
Figure 2009235336
上記一般式(1)および(2)において、Rで表されるアルキル基は、炭素数1〜25が好ましく、特に好ましくは炭素数1〜18である。
上記アルキルフェノール樹脂(D成分)の数平均分子量(Mn)は、200〜2000の範囲が好ましく、特に好ましくは500〜1200の範囲である。なお、上記アルキルフェノール樹脂(D成分)の数平均分子量は、前記液状ポリマー(C成分)の数平均分子量よりも大きいものの方が剛性の低下を防ぐことができるため好ましい。
また、上記アルキルフェノール樹脂(D成分)の配合量は、上記A成分とB成分との合計100部に対して、5〜60部の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜40部の範囲である。すなわち、D成分の配合量が少なすぎると、減衰性能への効果が劣る傾向がみられ、逆にD成分の配合量が多すぎると、粘着性が強くなり、練り加工性が悪化する傾向がみられるからである。
なお、本発明の高減衰ゴム組成物には、上記A〜D成分に加えて、補強性充填材、減衰性充填材、天然アスファルト、粘着付与剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等を、必要に応じて適宜配合しても差し支えない。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記補強性充填材としては、高減衰ゴム組成物の補強性(剛性)を向上させ得るものが好ましく、例えば、シリカ、表面処理シリカ、カーボンブラック、ハイスチレン樹脂、ポリスチレン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、等価せん断弾性率(Ge)、等価減衰係数(Ce)、減衰定数(he)の低下率を低減することができるという点から、カーボンブラック、ハイスチレン樹脂、ポリスチレンが好適に用いられる。また、耐久性が向上する点から、表面処理シリカが好適に用いられる。
上記シリカとしては、例えば、結晶性シリカ、無定形シリカ等があげられる。また、上記シリカの平均粒子径は、0.5〜10μmの範囲のものを用いることが好ましい。上記シリカの平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、上記表面処理シリカとしては、例えば、上記シリカの粒子表面を有機ケイ素化合物等により疎水性処理されたもの等があげられる。上記有機ケイ素化合物としては、例えば、ジメチルジクロロジシラザン、モノメチルトリクロロシラン、シリコーンオイル等があげられる。上記表面処理は、例えば、表面未処理のシリカと、そのシリカ粒子表面を充分に処理可能な量の有機ケイ素化合物とを混合することにより行われる。より具体的には、シリカ100部に対して有機ケイ素化合物(例えば、ジメチルジクロロジシラザン)を3〜20部の割合で混合することが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、例えば、FEF、HAF、SAF、SRF等の各種粒径のものを用いることができる。また、上記ハイスチレン樹脂としては、例えば、スチレン(85〜87重量%)とブタジエン(13〜15重量%)とからなるハイスチレンレジンラテックスと、スチレン−ブタジエン共重合ゴムラテックスとを均一混合し、共凝析すること等により得られるものであり、平均的なスチレン含有量が50〜70重量%程度に設定されたもの等があげられる。また、上記ポリスチレンとしては、低分子量タイプ(例えば、三洋化成社製、ハイマーST95)および高分子量タイプのいずれを用いても差し支えない。
上記補強性充填材の配合量は、上記A成分とB成分との合計100部に対して、2〜165部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜113部の範囲である。すなわち、上記補強性充填材が少なすぎると、剛性が小さくなり、逆に多すぎると、伸び等の物性が低下する傾向がみられるからである。
また、上記減衰性充填材としては、高減衰ゴム組成物の減衰性能を向上させ得るものが好ましく、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ロジン酸処理炭酸カルシウム、リグニン処理炭酸カルシウム、脂肪酸第四級アンモニウム塩処理炭酸カルシウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、剛性の温度依存性を良好に保ちつつ、減衰性能がさらに向上する点で、ロジン酸処理炭酸カルシウム、リグニン処理炭酸カルシウム、脂肪酸第四級アンモニウム塩処理炭酸カルシウムが好ましい。
上記減衰性充填材の配合量は、上記A成分とB成分との合計100部に対して、2〜165部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜113部の範囲である。すなわち、上記減衰性充填材が少なすぎると、減衰性能の向上効果が乏しく、逆に多すぎると、伸び等の物性が低下する傾向がみられるからである。
つぎに、上記天然アスファルトの配合量は、上記A成分とB成分との合計100部に対して、1〜50部の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜30部の範囲である。すなわち、上記天然アスファルトが少なすぎると、減衰性能の向上効果に乏しく、逆に天然アスファルトが多すぎると、温度依存性が悪くなる傾向がみられるからである。
また、上記粘着付与剤は、減衰性能や接着性の向上を目的として用いられるものであり、例えば、水添脂環族系炭化水素樹脂、クマロン樹脂、ロジン、ロジンエステル、ケトン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が好適に用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記可塑剤は、硬度の調整等を目的とするものであり、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等の合成可塑剤、パラフィン系オイル,アロマオイル等の鉱物油があげられる。
上記加硫剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物、アルキルフェノール樹脂等があげられる。上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、ベンゾチアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤等があげられる。
上記老化防止剤としては、例えば、芳香族第二級アミン系老化防止剤、特殊ワックス系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記老化防止剤の配合量は、上記A成分とB成分との合計100部に対して、1〜20部の範囲が好ましく、特に好ましくは4〜8部の範囲である。すなわち、上記老化防止剤が少なすぎると、劣化速度が速くなり、逆に老化防止剤が多すぎると、ブルームが多くなり、接着性に悪影響を与える傾向がみられるからである。
本発明の高減衰ゴム組成物は、例えば、上記A成分〜D成分および必要に応じてその他の成分等を、ニーダー,プラネタリーミキサー,混合ロール,2軸スクリュー式攪拌機等を用いて混練することにより得ることができる。そして、この高減衰ゴム組成物を、溶融温度以上に加熱して溶融させ、これを型枠内に流し込み、放冷して所定形状に成形することにより、高減衰ゴム組成物の製品として用いることができる。そして、この高減衰ゴム組成物の製品を構成部材として、制震ダンパーを作製することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔SIS−a(A成分)〕
日本ゼオン社製、クインタック3520(SIジブロック成分含量:78重量%)
〔SIS−b(A成分)〕
クラレ社製、ハイブラー5127(ソフトセグメント:ビニル−ポリイソプレン)
〔BR(B成分)〕
旭化成社製、NF35R
〔液状ポリマー(C成分)〕
液状IR−BR〔クラレ社製、クラプレンLIR−390(Tg:−95℃、Mn:48000)〕
〔非反応型アルキルフェノール樹脂(D成分)〕
田岡化学社製、タッキロール101
〔反応型アルキルフェノール樹脂(D成分)〕
田岡化学社製、タッキロール201
〔テルペンフェノール樹脂〕
ヤスハラケミカル社製、YSポリスターT100
〔シリカ〕
東ソー・シリカ社製、ニプシールER
〔炭酸カルシウム〕
脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、白艶華CC)
〔実施例1,2、比較例1,2〕
下記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これらをニーダーで混練して、目的とするゴム組成物を調製した。
Figure 2009235336
このようにして得られた実施例および比較例のゴム組成物を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を上記表1に併せて示した。
〔動的せん断特性〕
図1に示すようなサンプルを用いて、ゴム組成物の動的せん断特性の評価を行った。すなわち、ブラスト処理を施した金具2(大きさ140mm×80mm、厚み9mm)に、ゴム用2液接着剤を塗布した後、上記金具2間にゴム組成物を挟み、乾燥を行った。これを100℃で5分間熱プレス成型して、試料(大きさ70mm×80mm、厚み5mm)1を作製した。そして、これを、矢印方向に加振させて、図2に示す荷重−ひずみループ曲線に基づいて、動的せん断特性の評価を行った。すなわち、加振機(鷲宮製作所社製、DYNAMIC SERVO)と、入力信号発振機(横河電気社製、シンセサイズドファンクションゼネレータFC320)と、出力信号処理機(小野測器社製、ポータブルFFTアナライザーCF−3200)を用いて、所定の条件における、加振の時間に対するせん断変位(δ)と、荷重値(Qd)の解析から、下記の数式(1)〜(3)に従い、等価せん断弾性率(Ge)および減衰定数(he)を求めた。なお、測定条件は、せん断変位(δ):±0.5mm〔せん断ひずみ(γ)10%〕、せん断変位(δ):±5mm〔せん断ひずみ(γ)100%〕、せん断変位(δ):±10mm〔せん断ひずみ(γ)200%〕、周波数(f):0.3Hz、測定温度:20℃であった。なお、せん断ひずみ(γ)10%の低ひずみは、風や交通振動に対する性能評価に相当し、せん断ひずみ(γ)100%は、マグニチュード4以下の中小地震に対する性能評価に相当し、せん断ひずみ(γ)200%は、マグニチュード5以上の大地震に対する性能評価に相当する。
Figure 2009235336
上記結果から、実施例品はいずれも、高剛性で、減衰性能に優れていた。
これに対して、比較例1品は、剛性および減衰性能がいずれも劣っていた。比較例2品は、テルペンフェノール樹脂を用いることにより、比較例1品に比べて、減衰性能は向上するが、等価せん断弾性率(Ge)が低下した。
本発明の高減衰ゴム組成物は、建築用,土木用等の制震ダンパー、建築用の制震壁等の制震装置や免震装置、家電用や電子機器用の制振ダンパー、制振材、衝撃吸収材、自動車用の制振材、衝撃吸収材等に用いることができる。
動的せん断特性の評価方法を説明するための模式図である。 荷重−ひずみループ曲線を示すグラフ図である。

Claims (7)

  1. 下記の(A)〜(D)を必須成分とすることを特徴とする高減衰ゴム組成物。
    (A)スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー。
    (B)未架橋ゴム。
    (C)液状ポリマー。
    (D)アルキルフェノール樹脂。
  2. 上記(D)のアルキルフェノール樹脂が、非反応型アルキルフェノール樹脂である請求項1記載の高減衰ゴム組成物。
  3. 上記(B)の未架橋ゴムが、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、フッ素ゴムおよび天然ゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1または2記載の高減衰ゴム組成物。
  4. 上記(C)の液状ポリマーが、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレン−イソプレンゴム、液状スチレン−エチレン・プロピレンゴムおよび液状イソプレン−ブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
  5. 上記(C)の配合量が、上記(A)と(B)との合計100重量部に対して、5〜100重量部の範囲である請求項1〜4のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
  6. 上記(D)の配合量が、上記(A)と(B)との合計100重量部に対して、5〜60重量部の範囲である請求項1〜5のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の高減衰エラストマー組成物を構成部材として用いてなることを特徴とする制震ダンパー。
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