JP2009173906A - 高減衰ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高減衰で、かつ、低温から高温領域の圧縮永久歪みが小さい高減衰ゴム組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)を主成分とし、下記の(B)および(C)成分を含有する高減衰ゴム組成物とする。
(A)ハロゲン化ブチルゴム。
(B)非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂。
(C)反応型アルキルフェノール樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、振動吸収材料等の用途に適した高減衰ゴム組成物に関するものであり、詳しくは、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、自動車用制振材、建築・住宅分野における制震,制振,免震等の用途に好適な高減衰ゴム組成物に関するものである。
一般に、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、自動車用制振材、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途には、振動エネルギーを効率よく吸収する高減衰ゴム組成物からなるゴム材が用いられる。そして、上記高減衰ゴム組成物には、従来から、ブチル系ゴム組成物が用いられている(特許文献1参照)。
特開平3−126742号公報
通常、上記のような用途における高減衰材は、圧縮された場合の変形量が大きく、また、荷重を受ける部位に対しては使用上制限を受けやすい。例えば、免震構造体のように、地震のエネルギーを吸収するものでは、高減衰化は必須特性であるとともに、建造物の荷重を受け続ける場合に圧縮方向への変形(へたり)が重要な問題となる。また、一般家電製品においても、振動を低減する為に高減衰材が使用され、これが常時の荷重を受ける部品である場合、その部品に対して、高減衰化と圧縮永久歪み特性は背反特性となっている。
しかしながら、ブチル系ゴムは、本来、圧縮永久歪みが良くない。特に、高温領域では、へたりが生じやすい傾向にある。
一方、ゴムに、樹脂(粘着付与剤)を添加し、その樹脂の塑性変形により振動エネルギーを吸収して減衰性を出す手法も提案されている。しかし、単純に樹脂を多く添加すると、圧縮変形後に元にもどらず、へたりが大きくなる傾向がある。また、ゴムに、カーボンブラック,シリカ等の充填材を多量に配合し、その充填材同士の摩擦により減衰性を出す手法も提案されている。この手法では、へたりは少ないが、しかし、ゴム組成物を調製する際の混練時に、その摩擦による発熱によりゴム焼けが生じ、加工性の悪化を引き起こす懸念があるため、充填材の多量配合により減衰性を出すにしても限界がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高減衰で、かつ、低温から高温領域の圧縮永久歪みが小さい高減衰ゴム組成物の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の高減衰ゴム組成物は、下記の(A)を主成分とし、下記の(B)および(C)成分を含有するという構成をとる。
(A)ハロゲン化ブチルゴム。
(B)非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂。
(C)反応型アルキルフェノール樹脂。
すなわち、本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、加硫速度が速く、架橋密度が良好なハロゲン化ブチルゴム(塩素化ブチルゴム,臭素化ブチルゴム等)をポリマーとして採用することを想起した。そして、このポリマーに、へたりを出さずに高減衰性を発現するため実験を重ねた結果、非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂を添加すると良好になることを突き止めた。すなわち、上記脂環族飽和炭化水素樹脂は、その塑性変形による高減衰性の発現とともに、上記ポリマーとの相溶性が良好であるため、ミクロ分散化されやすく、しかも、圧縮永久歪みに対してマトリックスであるポリマーの特性を悪化させ難いといった性能を示すことから、このような結果になったと考えられる。そして、上記ポリマーと樹脂との架橋剤として、反応型アルキルフェノール樹脂を用いることにより、その加硫体は、低温から高温の圧縮永久歪みが良好になることを見いだし、本発明に到達した。
本発明において、従来の硫黄加硫系ではなく、上記のように反応型アルキルフェノール樹脂による樹脂架橋系を選定することにより、低温から高温の圧縮永久歪みが良好になる理由は、S−S結合よりも樹脂架橋のほうが耐熱性が良好で(S−S結合は、高温圧縮により切れやすいため、へたりが発生しやすい)、また、低温時においても、架橋構造の違いから、樹脂架橋のほうが耐圧縮永久歪み性が良好であり、さらにその分散性による樹脂架橋鎖の均一性も好条件として影響しているためと推測される。なお、上記の反応型アルキルフェノール樹脂による樹脂架橋は、ハロゲン化ポリマーおよびハロゲン化金属により活性化されるため、本発明においてハロゲン化物は必須である。
このように、本発明の高減衰ゴム組成物は、ハロゲン化ブチルゴムに、非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂と、反応型アルキルフェノール樹脂とを含有するものである。そのため、高減衰で、かつ、低温から高温領域の圧縮永久歪みが小さいといった性能を発揮することができる。また、本発明の高減衰ゴム組成物からなる部材は、架橋密度が良好であり、耐熱性にも優れ、高温でのへたりが生じにくい。そして、本発明の高減衰ゴム組成物は、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、自動車用制振材、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途に有利に用いることができる。
特に、上記各成分に加え、酸化亜鉛を含有すると、本発明の高減衰ゴム組成物は、より架橋密度が良好となる。
また、上記各成分に加え、窒素吸着比表面積が60m2 /g以下のカーボンブラックを含有すると、加硫によりポリマー(A成分)と上記カーボンブラックとの間に摩擦が発生し、減衰性が向上するため、その減衰向上した分、脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)を減量することができ、温度依存性を良好にすることができる。また、このようにして脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)を減量することにより、練り加工性および成型加工性も良好となる。さらに、その高減衰ゴム組成物の加硫体の粘着性も低下し、べたつきが少なくなることにより、金型粘着が少なくなり、扱いやすくなる。
また、上記ハロゲン化ブチルゴムに、レギュラーブチルゴムを45重量%未満の割合で含有すると、ハロゲン化ブチルゴムの加硫速度に起因する、ゴム練り時の焼けが解消され、本発明の高減衰ゴム組成物のポットライフが、より長くなる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の高減衰ゴム組成物は、ハロゲン化ブチルゴム(A成分)を主成分とし、非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)と、反応型アルキルフェノール樹脂(C成分)とを含有するものである。なお、本発明において、上記「主成分」とは、組成物の特性に大きな影響を与えるもののことであり、通常は、全体の55重量%以上を意味する。また、本発明において、上記「非極性」とは、「極性を有する」の対語であり、全く極性を有しないことを意味するものではない。
上記A成分のハロゲン化ブチルゴムとしては、好ましくは、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)や臭素化ブチルゴム(Br−IIR)が用いられる。そして、これらのハロゲン化ブチルゴムは、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、上記ハロゲン化ブチルゴムに、レギュラーブチルゴムを45重量%未満の割合で含有すると、ハロゲン化ブチルゴムの加硫速度に起因する、ゴム練り時の焼けが解消され、本発明の高減衰ゴム組成物のポットライフがより長くなるため、好ましい。
上記B成分の脂環族飽和炭化水素樹脂は、水酸基,カルボキシル基等の極性基を有しないものが用いられる。そして、上記脂環族飽和炭化水素樹脂としては、例えば、重量平均分子量が300〜4000の範囲のもので、軟化点が60〜150℃(好ましくは90〜140℃)の範囲のものが選定される。これらは、単独であるいは二種以上併せて用いられる。なお、上記特定の脂環族飽和炭化水素樹脂は、市販のものでは、アルコンP90、アルコンP140(ともに荒川化学工業社製)が好ましく用いられる。
上記特定の脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)の配合量は、ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100重量部(以下、「部」と略す)に対して5〜60部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、15〜40部の範囲である。すなわち、この範囲内であると、圧縮永久歪みが、より良好になるからである。なお、上記特定の脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)の配合量が下限未満であると、圧高減衰性の効果が不充分となる。逆に、上記特定の脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)の配合量が上限を超えた場合、粘着性が強くなり、練り込み加工性が悪化する傾向がみられるようになる。
上記C成分の反応型アルキルフェノール樹脂としては、例えば、田岡化学工業製の臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体(タッキロール250)、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体(タッキロール201)等があげられる。これらは、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
上記反応型アルキルフェノール樹脂(C成分)の配合量は、ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、2〜20部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、3〜15部の範囲である。すなわち、上記反応型アルキルフェノール樹脂(C成分)の配合量が下限未満であると、架橋反応性が悪くなる傾向がみられ、逆に反応型アルキルフェノール樹脂(C成分)の配合量が多すぎると、ゴム物性(破断伸び)が低下する傾向がみられるからである。
上記(A)〜(C)成分に加え、酸化亜鉛(D成分)を含有すると、本発明の高減衰ゴム組成物は、より架橋密度が良好となるため、好ましい。
上記酸化亜鉛(D成分)の配合量は、架橋密度を良好にするため、ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、1〜15部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、3〜10部の範囲である。
なお、本発明の高減衰ゴム組成物においては、上記各成分とともに、カーボンブラック,シリカ等の充填材、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、可塑剤等を必要に応じて適宜に配合することも可能である。
上記カーボンブラックとしては、種々のグレードのカーボンブラックが、単独であるいは二種以上併せて用いられるが、なかでも、窒素吸着比表面積が60m2 /g以下のカーボンブラック(E成分)を含有すると、加硫によりポリマー(A成分)と上記カーボンブラックとの間に摩擦が発生し、減衰性が向上するため、その減衰向上した分、脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)を減量することができる。すなわち、脂肪族飽和炭化水素樹脂の多量添加は、減衰向上に繋がる反面、温度依存性が悪化してしまう問題があったが、上記特定のカーボンブラックを含有することにより、脂肪族飽和炭化水素樹脂の多量添加を行わずに済むため、温度依存性を良好にすることができ、好ましい。また、このようにして脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)を減量することにより、ゴム組成物およびその加硫物の粘着性(べたつき)が抑制されるため、練り加工性および成型加工性も良好となる。さらに、その高減衰ゴム組成物の加硫体の粘着性も低下し、べたつきが少なくなることにより、金型粘着が少なくなり、扱い易くなる。上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、上記観点から、好ましくは9〜30m2 /gの範囲である。なお、上記窒素吸着比表面積は、JIS K 6217に規定されており、単位重量当たりの窒素吸着比表面積(m2 /g)を意味する。
窒素吸着比表面積が60m2 /g以下のカーボンブラック(E成分)としては、例えば、MT級,SRF級,MAF−HS級,FT級,GPF級,FEF級,MAF級といった種々のグレードのカーボンブラックがあげられる。なお、窒素吸着比表面積が60m2 /gより大きいカーボンブラックには、例えば、HAF級,ISAF級,SAF級といったグレードのカーボンブラックがある。
上記カーボンブラックの配合量は、ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、50〜150部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、50〜120部の範囲である。なお、上記カーボンブラックの配合量が上限を超えると、粘度が上昇し、加工性が悪化する等の問題が生じるようになる。
そして、窒素吸着比表面積が60m2 /g以下のカーボンブラック(E成分)を配合する場合、前記特定の脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)の配合量は、ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、3〜50部の範囲にまで減量することができる。すなわち、このように少量であっても、先に述べたような脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)による高減衰性の効果を充分発揮することができるからである。
上記加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸、不飽和脂肪酸亜鉛等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
また、上記加硫助剤の配合量は、上記ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、1〜25部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜10部の範囲である。
上記老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
また、上記老化防止剤の配合量は、上記ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、1〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜5部の範囲である。
上記可塑剤としては、硬度の調整等を目的とするものであり、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP),フタル酸ジ−n−ブチル(DBP)等のフタル酸系可塑剤、ジブチルカルビトールアジペート,ジオクチルアジペート(DOA)等のアジピン酸系可塑剤、セバシン酸ジオクチル(DOS),セバシン酸ジブチル(DBS)等のセバシン酸系可塑剤といった合成可塑剤や、ナフテン系オイル,パラフィン系オイル,アロマオイル等の鉱物油があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
また、上記可塑剤の配合量は、上記ハロゲン化ブチルゴム(A成分)100部に対して、1〜50部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜30部の範囲である。
本発明の高減衰ゴム組成物は、例えば、つぎのようにして調製することができる。すなわち、上記ハロゲン化ブチルゴム(A成分)と、非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂(B成分)と、必要に応じてカーボンブラック等の充填材,酸化亜鉛等の加硫助剤,老化防止剤,可塑剤等を適宜に配合し、これらをバンバリーミキサー等を用いて、90〜140℃で、3〜5分間程度混練を行う。つぎに、これに、反応型アルキルフェノール樹脂(C成分),加硫促進剤等を適宜に配合し、オープンロールを用いて、所定条件(例えば、50℃×5分間)で混練することにより、高減衰ゴム組成物を作製する。なお、このようにして得られた高減衰ゴム組成物を、高温(150〜170℃)で5〜30分間、加硫することにより、目的とする高減衰ゴム(部材)を得ることができる。
本発明の高減衰ゴム組成物は、例えば、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、自動車用制振材、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震ダンパー等の高減衰材料として、好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔塩素化ブチルゴム〕
クロロブチル1066、JSR社製
〔レギュラーブチルゴム〕
ブチル365、JSR社製
〔脂環族飽和炭化水素樹脂(i) 〕
アルコンP140(極性基不含、軟化点140℃)、荒川化学工業社製
〔脂環族飽和炭化水素樹脂(ii)〕
アルコンP90(極性基不含、軟化点90℃)、荒川化学工業社製
〔脂環族飽和炭化水素樹脂(iii) 〕
KR1842(水酸基含有)、荒川化学工業社製
〔非反応樹脂〕
タッキロール101(非反応型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂)、田岡化学工業社製
〔カーボンブラック(i) 〕
SRFカーボン(シーストS(窒素吸着比表面積:27m2 /g)、東海カーボン社製)
〔カーボンブラック(ii)〕
MTカーボン(サーマックスN990(窒素吸着比表面積:9m2 /g)、キャンカーブ社製)
〔カーボンブラック(iii) 〕
MAF−HSカーボン(シースト116HM(窒素吸着比表面積:56m2 /g)、東海カーボン社製)
〔カーボンブラック(iv)〕
HAFカーボン(シースト3(窒素吸着比表面積:79m2 /g)、東海カーボン社製)
〔亜鉛華〕
酸化亜鉛二種、三井金属鉱業社製
〔樹脂加硫剤〕
タッキロール201(反応型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂)、田岡化学工業社製
〔CZ〕
ノクセラーCZ(スルフェンアミド系加硫促進剤)、大内新興化学社製
〔TL〕
アクセルTL(ジチオカルバミン酸系加硫促進剤)、川口化学工業社製
〔S〕
硫黄、鶴見化学工業社製
〔実施例1〕
塩素化ブチルゴム100部と、脂環族飽和炭化水素樹脂(i) 30部と、SRFカーボン53部と、加硫助剤である亜鉛華5部とを配合し、これらをバンバリーミキサーを用いて、90〜140℃で5分間混練を行った。つぎに、これを加硫するため、樹脂加硫剤(反応型アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂)5部を配合し、オープンロールを用いて、約50℃で5分間混練することにより、高減衰ゴム組成物を調製した。
〔実施例2〜6、比較例1〜5〕
下記の表1および表2に示すように、各成分の配合量等を変更する以外は、実施例1に準じて、ゴム組成物を調製した。
Figure 2009173906
Figure 2009173906
このようにして得られた実施例および比較例のゴム組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表3および表4に併せて示した。
〔圧縮永久歪み〕
上記ゴム組成物をJIS K 6262に準拠した形状とサイズに成形して160℃×45分の条件でプレス加硫し、加硫ゴムテストピースを作製した。そして、このテストピースを、JIS K 6262に準拠し、温度120℃,試験時間24時間,圧縮率25%の条件(表3および表4における「高温」条件)で治具に固定し、その後、上記テストピースを、上記治具から開放して23℃雰囲気下で30分放置した後、その圧縮永久歪みを測定した。また、温度23℃,試験時間24時間,圧縮率25%の条件(表3および表4における「常温」条件)でも、上記と同様に、加硫ゴムテストピースを治具に固定し、その後、上記治具から開放して23℃雰囲気下で30分放置した後の上記テストピースの圧縮永久歪みを測定した。なお、これらの値が双方とも12%以下(好ましくは10%以下)であれば、へたり難く、圧縮永久歪みに優れていることを示す。そのため、後記の表3および表4において、その値が10%以下であるものを○、10%を超えるが12%以下であるものを△、12%を超えるものを×と評価した。
〔粘弾性特性〕
上記ゴム組成物を160℃×30分の条件でプレス加硫してなるシートを用い、JIS K 6394に準拠し、引張り歪み0.5%,周波数5Hz,測定温度20℃の条件で、粘弾性スペクトロメーター(ユービーエム社製)により損失正接(tanδ)を測定した。なお、tanδの値が0.5以上であれば、減衰性に優れていることを示す。そのため、下記の表3および表4において、「減衰性」の評価として、この基準を満たすものを○、この基準を満たさないものを×と評価した。
Figure 2009173906
Figure 2009173906
上記結果から、実施例品は、常温下であっても高温下であっても、圧縮永久歪みの値が小さい(特に、実施例1〜5品は、常温下であっても高温下であっても10%以下の圧縮永久歪みである)ことから、温度依存によりへたりが生じない(温度依存性に優れている)ことがわかる。また、tanδ(粘弾性特性)の値が、いずれも0.5以上であるため、高減衰であることがわかる。なお、実施例3品のように、ポリマーとして、塩素化ブチルゴムにレギュラーブチルゴムを併用した場合、塩素化ブチルゴムを単独で用いたときよりもゴム組成物のポットライフが長くなった。また、実施例のゴム組成物のポリマーである塩素化ブチルゴムに代えて、臭素化ブチルゴムを用いた場合も、上記実施例と同様、優れた結果が得られた。
これに対して、比較例1品および比較例2品は、非反応型アルキルフェノール樹脂の配合により減衰性を出しているが、圧縮永久ひずみ特性に温度依存がみられる。比較例3品は、減衰性を出すための材料を全く配合しておらず、減衰性が顕著に悪い。比較例4品は、圧縮永久歪みに劣る。比較例5品は、実施例に近い配合組成であるが、その材料である脂環族飽和炭化水素樹脂が、水酸基を含有するものであるため、所望の圧縮永久歪み特性も、減衰性も得られず、実施例に比べ、これらの特性に劣ることがわかる。

Claims (10)

  1. 下記の(A)を主成分とし、下記の(B)および(C)成分を含有することを特徴とする高減衰ゴム組成物。
    (A)ハロゲン化ブチルゴム。
    (B)非極性の脂環族飽和炭化水素樹脂。
    (C)反応型アルキルフェノール樹脂。
  2. 上記(A)成分のハロゲン化ブチルゴムが、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)および臭素化ブチルゴム(Br−IIR)の少なくとも一つである請求項1記載の高減衰ゴム組成物。
  3. 上記(B)成分の脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合が、上記(A)成分のハロゲン化ブチルゴム100重量部に対して、5〜60重量部の範囲に設定されている請求項1または2記載の高減衰ゴム組成物。
  4. 上記(C)成分の反応型アルキルフェノール樹脂の含有割合が、上記(A)成分のハロゲン化ブチルゴム100重量部に対して、2〜20重量部の範囲に設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
  5. 上記(A)〜(C)成分に加え、下記の(D)成分を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
    (D)酸化亜鉛。
  6. 上記(D)成分の酸化亜鉛の含有割合が、上記(A)成分のハロゲン化ブチルゴム100重量部に対して、1〜15重量部の範囲に設定されている請求項5記載の高減衰ゴム組成物。
  7. 上記(A)〜(C)成分に加え、下記の(E)成分を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
    (E)窒素吸着比表面積が60m2 /g以下のカーボンブラック。
  8. 上記(B)成分の脂環族飽和炭化水素樹脂の含有割合が、上記(A)成分のハロゲン化ブチルゴム100重量部に対して、3〜50重量部の範囲に設定されている請求項7記載の高減衰ゴム組成物。
  9. 上記(A)成分が、ハロゲン化ブチルゴムに、レギュラーブチルゴムを45重量%未満の割合で含有するものである請求項1〜8のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物の加硫体。
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