JP6148902B2 - 制震ダンパー用高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパー - Google Patents

制震ダンパー用高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパー Download PDF

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本発明は、高減衰ゴム組成物に関するものであり、詳しくは、建築分野における制震や免震等の用途に好適な制震ダンパー用高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパーに関するものである。
建築分野における制震装置や免震装置は、地震や風等による振動、大型車の走行等による交通振動等から、建築物に対する振動を抑制する目的で使用される。そのため、制震装置や免震装置等に用いられる減衰材料には、建築物の剛性にあわせて小振幅から大振幅までの振動吸収性能が求められる。
高減衰材においては、ガラス転移付近で減衰(tanδ)が最も高くなるが、その前後の温度領域では極端に減衰が低下するため、使用場所に制限を受けやすい。例えば、常温付近にガラス転移点がある材料を使用すると、常温付近のピーク温度付近では、高tanδを発揮するが、高温時に減衰特性が小さくなる。このため、各メーカーにて、高減衰の温度領域を広くする高減衰材の開発がされている(特許文献1および2参照)。
特開2004−35648号公報 国際公開第01/074964号公報
ところで、ビル用制震ダンパーの開発においては、大地震のエネルギーを吸収する為に、高減衰材による高歪みの高減衰化は必須特性である。一方、ビル用制震ダンパーにおいては、台風や大地震後に発生する中小地震による長周期の振動(特に高層ビルにおいて観測される低〜中歪みの長周期振動)に対する減衰特性の安定化への要求も、近年高くなってきている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高歪みに対する高減衰性に優れるとともに、低歪みや中歪みの長周期振動に対する減衰特性の安定性に優れる制震ダンパー用高減衰ゴム組成物およびそれを用いてなる制震ダンパーの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)を主成分とし下記の(B)成分を、下記の(A)および(C)成分の合計量100重量部に対して、20〜80重量部含有するとともに、下記の(C)成分を、(A)および(C)成分の合計量に対し30重量%以下の割合で含有する制震ダンパー用高減衰ゴム組成物を第1の要旨とする。また、本発明は、上記制震ダンパー用高減衰ゴム組成物の硬化体を構成部材として用いてなる制震ダンパーを第2の要旨とする。
(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー。
(B)黒鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、気相成長炭素繊維(VGCF)および酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つである、17W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導性フィラー。
(C)未架橋ゴム。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、制震ダンパー用高減衰ゴム組成物のポリマーとして、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを用いると、低〜中歪みの長周期振動に対する減衰特性に優れる一方、高歪みの減衰特性に劣ることから、その改善のため、本発明者らはフィラーを配合することを検討した。高歪みの減衰特性を高めるには、通常、フィラーとしてシリカが配合されるが、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーにシリカを配合した場合、その制震ダンパーに低〜中歪みの長周期振動が加えられると、ポリマーと充填剤及び充填剤同士の摩擦エネルギーにより、材料自体の発熱・温度上昇が生じ、ポリマーが軟化傾向となり、特性変化が促されるおそれがある。そこで、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーに特定の熱伝導性フィラーを特定の割合で添加し、それにより、高歪みの減衰特性を高めつつ、そのフィラーの熱伝導性(放熱性)によって材料自体の発熱・温度上昇を抑えることで、ポリマーの軟化を抑えて、低〜中歪みの長周期振動に対する減衰特性の低下を抑えることができることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)を主成分とし特定の熱伝導性フィラー(B)を特定の割合で含有するとともに、未架橋ゴム(C)を所定の割合で含有するものである。そのため、高歪みに対する高減衰性に優れるとともに、低歪みや中歪みの長周期振動に対する減衰特性の安定性に優れるようになる。これにより、大地震による高歪みの減衰特性とともに、台風や大地震後に発生する中小地震による低〜中歪みの長周期振動の減衰特性が要求される、高層ビル用制震ダンパーの材料として、優れた機能を発揮することができる。
動的剪断特性の評価方法を説明するための模式図である。 荷重−歪みループ曲線を示すグラフ図である。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物(以下、「高減衰ゴム組成物」と略する。)は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)を主成分とし、特定の熱伝導性フィラー(B)を特定の割合で含有するとともに、未架橋ゴム(C)を、(A)および(C)成分の合計量に対し30重量%以下の割合で含有するものである。ここで、上記高減衰ゴム組成物の「主成分」とは、その高減衰ゴム組成物の特性に大きな影響を与えるもののことであり、高減衰ゴム組成物全体の50重量%以上を占めることを意味する。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)は、スチレン−イソプレンジブロック成分(SIジブロック成分)の含有量が、50〜78重量%の範囲が好ましい。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は、50,000〜300,000の範囲が好ましく、特に好ましくは150,000〜230,000の範囲である。なお、上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に準じて、測定した値である。
一方、(A)成分とともに用いられる特定の熱伝導性フィラー(B)としては、17W/m・K以上の熱伝導率を有するものが用いられ、好ましくは20〜1200W/m・K、より好ましくは200〜1200W/m・Kの熱伝導率を有するものが用いられる。上記熱伝導率は、例えば、プローブ法、レーザーフラッシュ法などにより測定される。
上記熱伝導性フィラー(B)としては、その熱伝導率が上記規定を満たすものが用いられ、具体的には、黒鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、気相成長炭素繊維(VGCF)、酸化亜鉛が用いられる。なかでも、より放熱性に優れる観点から、黒鉛、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛が好ましく用いられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
上記熱伝導性フィラー(B)の平均粒径は、0.1〜50μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは1〜10μmの範囲のものである。すなわち、その平均粒径が上記範囲内であると、分散性もよく、所望の減衰性能が得られるからである。なお、上記平均粒径は、体積平均粒径であり、例えば、母集団から任意に抽出される試料を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することにより導き出すことができる。
そして、上記熱伝導性フィラー(B)の、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100重量部(以下、「部」と略す)に対する割合は、20〜80部の範囲である。すなわち、上記熱伝導性フィラー(B)の割合が少な過ぎると、低歪みや中歪みの長周期振動に対する所望の減衰特性が得られず、逆に多過ぎると、分散不良による特性低下を引き起こすおそれがある。
つぎに、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)とともに用いられる未架橋ゴム(C)は、先に述べたように、(A)および(C)成分の合計量に対し30重量%以下の割合で含有するものである。よって、本発明では、その高減衰ゴム組成物が、未架橋ゴム(C)を不含とするものであってもよい。なお、減衰性能の観点から、(A)および(C)成分の合計量に対する(C)成分の割合は0〜30重量%の範囲が好ましい。
上記未架橋ゴム(C)としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン(CM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムや、天然ゴム(NR)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)との相溶性の点で、BR、SBR、EPM、EPDM、IRが好ましい。
なお、本発明の高減衰ゴム組成物には、上記(A)〜(C)成分に加えて、炭酸カルシウム(D)、液状ポリマー(E)、天然アスファルト、粘着付与剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等を、必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
上記炭酸カルシウム(D)としては、単なる炭酸カルシウムの他、ロジン酸処理炭酸カルシウム、リグニン処理炭酸カルシウム、脂肪酸第四級アンモニウム塩処理炭酸カルシウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。本発明の高減衰ゴム組成物において、上記のような炭酸カルシウムを配合すると、剛性の温度依存性を良好に保ちつつ、減衰性能がさらに向上するため、好ましい。
上記炭酸カルシウム(D)の、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100部に対する割合は、10〜120部の範囲が好ましく、特に好ましくは40〜80部の範囲である。すなわち、上記範囲で炭酸カルシウム(D)を配合すると、剛性の温度依存性を良好に保ちつつ、減衰性能がさらに向上するようになる。
上記液状ポリマー(E)としては、例えば、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレン−イソプレンゴム(液状SI)、液状スチレン−エチレン・プロピレンゴム(液状SEP)、液状イソプレン−ブタジエンゴム(液状IR−BR)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。このような液状ポリマーを併用すると、剛性の温度依存性を低温側へシフトさせることができ、常温領域(通常、0〜30℃)での剛性の温度依存性が小さくなるとともに、常温領域での減衰定数(he)が大きくなり、減衰性能が向上するという効果が得られるため、好ましい。
上記液状ポリマー(E)は、ガラス転移温度(Tg)が−55℃以下のものが好ましく、特に好ましくは−60℃以下である。すなわち、上記液状ポリマーのガラス転移温度(Tg)が、−55℃よりも高いと、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)のTgを充分に下げられず、温度依存性が悪くなる傾向がみられるからである。なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、DSC測定法(示差走査熱量測定法)に準拠して求めた値である。
また、上記液状ポリマー(E)は、静粘度が70〜1000Pa・s/38℃の範囲のものが好ましく、特に好ましくは280〜950Pa・s/38℃の範囲である。すなわち、上記液状ポリマーの静粘度が小さすぎると、コンパウンドの剛性が低下する傾向がみられ、逆に静粘度が高すぎると、分子量が高くなり、エントロピー弾性により、減衰性能が低下する傾向がみられるからである。なお、上記静粘度は、JIS K 7117に準拠し、B型粘度計を用いて、温度38℃で測定した値である。
また、上記液状ポリマー(E)は、数平均分子量(Mn)が10,000〜70,000の範囲が好ましく、特に好ましくは30,000〜50,000の範囲である。すなわち、上記液状ポリマーの数平均分子量(Mn)が小さすぎると、低粘度となり剛性が低下する傾向がみられ、逆に数平均分子量(Mn)が高すぎると、エントロピー弾性により、減衰性能が低下する傾向がみられるからである。なお、上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に準じて、測定した値である。
上記液状ポリマー(E)の、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100部に対する割合は、10〜100部の範囲が好ましく、特に好ましくは20〜40部の範囲である。すなわち、液状ポリマーの配合量が少なすぎると、減衰性能への効果が劣る傾向がみられ、逆に液状ポリマーの配合量が多すぎると、剛性が低下する傾向がみられるからである。
つぎに、上記天然アスファルトの配合量は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100部に対して、1〜50部の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜30部の範囲である。すなわち、上記天然アスファルトが少なすぎると、減衰性能の向上効果に乏しく、逆に天然アスファルトが多すぎると、温度依存性が悪くなる傾向がみられるからである。
また、上記粘着付与剤は、減衰性能や接着性の向上を目的として用いられるものであり、例えば、水添脂環族系炭化水素樹脂、クマロン樹脂、ロジン、ロジンエステル、ケトン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が好適に用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記可塑剤は、硬度の調整等を目的とするものであり、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等の合成可塑剤、パラフィン系オイル,アロマオイル等の鉱物油があげられる。
上記加硫剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物、アルキルフェノール樹脂等があげられる。上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、ベンゾチアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤等があげられる。
上記老化防止剤としては、例えば、芳香族第二級アミン系老化防止剤、特殊ワックス系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記老化防止剤の配合量は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100部に対して、1〜20部の範囲が好ましく、特に好ましくは4〜8部の範囲である。すなわち、上記老化防止剤が少なすぎると、劣化速度が速くなり、逆に老化防止剤が多すぎると、ブルームが多くなり、接着性に悪影響を与える傾向がみられるからである。
本発明の高減衰ゴム組成物は、例えば、上記A成分およびB成分、さらに必要に応じてその他の成分等を、ニーダー,プラネタリーミキサー,混合ロール,2軸スクリュー式攪拌機等を用いて混練することにより得ることができる。そして、この高減衰ゴム組成物を、溶融温度以上に加熱して溶融させ、これを型枠内に流し込み、放冷して所定形状に成形することにより、高減衰ゴム組成物の製品として用いることができる。そして、この高減衰ゴム組成物の製品(硬化体)を構成部材として、制震ダンパーを作製することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)〕
日本ゼオン社製、クインタック3520(SIジブロック成分含量:78重量%)
〔天然ゴム(NR)〕
RSS#3RSS#3
〔老化防止剤(i)〕
住友化学社製、アンチゲン6C
〔老化防止剤(ii)〕
精工化学社製、ノンフレックスRD
〔老化防止剤(iii)〕
BASF社製、イルガノックス1010
〔ワックス(i)〕
日本精蝋社製、OZOACE−0062
〔ワックス(ii)〕
精工化学社製、サンタイトS
〔加工助剤〕
日油社製、サクラビーズ
〔炭酸カルシウム〕
脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、白艶華CC)
〔シリカ〕
東ソー・シリカ社製、ニプシールER(熱伝導率:1.5W/m・K)
〔カーボンブラック〕
東海カーボン社製、シーストSO(熱伝導率:15W/m・K)
〔水酸化アルミニウム〕
昭和電工社製、ハイジライトH42S(熱伝導率:20W/m・K)
〔黒鉛〕
伊藤黒鉛工業社製、AGB−5(熱伝導率:200W/m・K)
〔実施例1〜9、比較例1,2、参考例1〕
下記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これらをニーダーで混練して、目的とするゴム組成物を調製した。
Figure 0006148902
Figure 0006148902
このようにして得られた実施例および比較例のゴム組成物を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を上記表1および表2に併せて示した。
〔減衰力比率〕
図1に示すようなサンプルを用いて、ゴム組成物の動的剪断特性の評価を行った。すなわち、ブラスト処理を施した金具2(大きさ140mm×80mm、厚み9mm)に、ゴム用2液接着剤を塗布した後、上記金具2間にゴム組成物を挟み、乾燥を行った。これを100℃で5分間熱プレス成型して、試料(大きさ70mm×80mm、厚み5mm)1を作製した。そして、これを、矢印方向に加振させて、図2に示す荷重−歪みループ曲線に基づいて、動的剪断特性の評価を行った。すなわち、加振機(鷲宮製作所社製、DYNAMIC SERVO)と、入力信号発振機(横河電気社製、シンセサイズドファンクションゼネレータFC320)と、出力信号処理機(小野測器社製、ポータブルFFTアナライザーCF−3200)を用いて、下記の数式(1)および(2)に従い、所定の条件(下記の試験条件(i)および(ii)。雰囲気温度:20℃。)における等価剛性(Keq)を求め、荷重−歪みループ曲線に囲まれた面積(履歴ループ面積:ΔW)を求めたうえで、等価減衰係数(Ceq)を求めた。なお、試験条件(i)は、台風・中小地震・長周期地震に対する性能評価に相当し、試験条件(ii)は、マグニチュード5以上の大地震に対する性能評価に相当する。
そして、上記各試験において、比較例1(フィラーにシリカを用いたもの)の等価減衰係数(Ceq)を基準(1.00)とし、等価減衰係数の比率(試験条件(i)における減衰力比率(i)、および試験条件(ii)における減衰力比率(ii))を求めた。なお、低〜中歪みの長周期振動(試験条件(i))に対しては、減衰力比率の低いものが求められ、高歪み(試験条件(ii))に対しては、減衰力比率の高いものが求められる。
・試験条件(i):剪断歪み(γ)50%、繰り返し回数2000回、周波数(f)5Hz
・試験条件(ii):剪断歪み(γ)200%、繰り返し回数2回、周波数(f)0.5Hz
Figure 0006148902
〔発熱温度(i)〕
上記試験条件(i)終了直後の試料のゴム部分に対し、K熱電対によってその温度を測定して、試験前後の上記ゴム部分の温度差(発熱温度(i))を求めた。
前記表1および表2の結果から、実施例の試料は、充填剤にシリカを用いた比較例1の試料に比べ、試験条件(i)での減衰力比率が低く、発熱温度も低い。そのため、低〜中歪みの長周期振動によるゴムの軟化が抑えられ、減衰特性に優れることがわかる。また、充填剤にシリカを用いた比較例1の試料に比べ、高歪み(試験条件(ii))での減衰力比率は差ほど低くないため、高歪みにおける減衰特性も、従来のシリカ配合のものと同程度に維持されていることがわかる。
なお、比較例2の試料はフィラーレスであり、試験条件(i)での減衰力比率は良好であるが、高歪み(試験条件(ii))での減衰力比率が低過ぎ、高歪みにおける減衰特性に劣る。また、参考例1の試料は、フィラーにカーボンブラックを用いており、高歪みにおける減衰特性は良好であるが、低〜中歪みの長周期振動では、発熱温度の上昇がみられ、同程度のフィラー配合量の実施例(実施例1,2)に比べ減衰特性が悪い結果となった。さらに、参考例1では、高充填にすると粘度上昇による加工性悪化につながり高充填が困難であった。
本発明の高減衰ゴム組成物は、建築用,土木用等の制震ダンパー、建築用の制震壁等の制震装置や免震装置、家電用や電子機器用の制振ダンパー、制振材、衝撃吸収材、自動車用の制振材、衝撃吸収材等に用いることができる。なかでも、高層ビル用制震ダンパーの材料として、優れた機能を発揮することができる。

Claims (10)

  1. 下記の(A)を主成分とし下記の(B)成分を、下記の(A)および(C)成分の合計量100重量部に対して、20〜80重量部含有するとともに、下記の(C)成分を、(A)および(C)成分の合計量に対し30重量%以下の割合で含有することを特徴とする制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
    (A)スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー。
    (B)黒鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、気相成長炭素繊維(VGCF)および酸化亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つである、17W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導性フィラー。
    (C)未架橋ゴム。
  2. 上記熱伝導性フィラー(B)が、黒鉛である請求項1記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
  3. 上記熱伝導性フィラー(B)の平均粒径が、0.1〜50μmの範囲である請求項1または2記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
  4. 上記未架橋ゴム(C)が、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、フッ素ゴムおよび天然ゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜のいずれか一項に記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
  5. 上記(A)および(B)成分に加え、下記の(D)成分を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
    (D)炭酸カルシウム。
  6. 上記炭酸カルシウム(D)の含有割合が、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100重量部に対して、10〜120重量部の範囲である請求項記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
  7. 上記(A)および(B)成分に加え、下記の(E)成分を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
    (E)液状ポリマー。
  8. 上記液状ポリマー(E)が、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレン−イソプレンゴム、液状スチレン−エチレン・プロピレンゴムおよび液状イソプレン−ブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
  9. 上記液状ポリマー(E)の含有割合が、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(A)と未架橋ゴム(C)との合計量100重量部に対して、10〜100重量部の範囲である請求項または記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか一項に記載の制震ダンパー用高減衰ゴム組成物の硬化体を構成部材として用いてなることを特徴とする制震ダンパー。
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