JP2007262310A - ゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

ゴム組成物およびゴム架橋物 Download PDF

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剛史 大石
Shinya Ikeda
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Abstract

【課題】温度帯域で、低硬度かつ高い振動吸収性を有するゴム組成物を提供する。
【解決手段】架橋性を有するゴム成分(A)100質量部と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B)10〜100質量部と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)0.1〜20質量部とからなり、前記熱可塑性エラストマー(B)は、ポリ芳香族ビニルブロックを2つ以上有する、芳香族ビニル−イソプレンブロック共重合体(a)10〜98質量%、芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体(b)0〜85質量%、および重量平均分子量が5,000〜300,000のポリイソプレン(c)2〜66質量%を含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)の0℃におけるtanδが0.2以上であり、かつtanδのピークが−20℃以下ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、免震装置や制振装置等に用いることが可能なゴム組成物およびゴム架橋物に関するものである。
近年、騒音や振動に関る諸問題に対し、関心が高まり、これらを防振・制振材料等により抑制しようとする取り組みがなされている。例えば、金属層間に粘弾性を有する中間層を持った複層構造の制振鋼板等が提案されている。
また、建築業界等では、建物や建物内部の機器設備などを地震災害から保護する技術として積層ゴムを使用した免震技術が注目されている。一般に、免震とは、地震動に対する振動絶縁を意味し、具体的には建物を積層ゴムで支持して建物の固有周期を長く与えることで、地震応答を低減する方法が採られている。
これらの制振・免震技術に求められるゴム材料は、ゴム材料の柔らかさと、高い減衰特性(高いtanδ値)を持ち、かつ、これらの特性の、温度依存性(周波数依存性)が少なく、さらに良好なクリープ特性を有することが好ましい。
従来より、このような用途に用いられるゴム組成物には、高減衰特性を持たせるために、樹脂、軟化剤等の配合によって対応していた。しかしながら、これらの樹脂、軟化剤を配合すると、クリープ特性が大きく悪化したり、また、温度依存性や破壊特性等が悪化する場合が多いという課題がある。
例えば特許文献1には、ゴム成分にスチレン−イソプレンブロック共重合体を導入し、架橋して得られる防振ゴムが示されている。しかしながら、このようなゴム材料は、低温特性に問題があり、常温での十分なゴム材料の柔らかさを得ることができないといった問題を有するものであった。
特開2005−255883号公報
本発明は、広い温度帯域で、低硬度かつ高い振動吸収性を有し、さらにクリープ特性も良好な振動吸収性ゴム材料を得ることが可能なゴム組成物を提供することを主目的とする。
本発明者は、前記実情に鑑み鋭意検討した結果、ゴム成分と、特定の組成を有する熱可塑性エラストマーとを共に架橋させることにより、前記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、以下の1〜5の発明が提供される。
1.架橋性を有するゴム成分(A)100質量部と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B)10〜100質量部と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)0.1〜20質量部とからなり、前記熱可塑性エラストマー(B)は、ポリ芳香族ビニルブロックを2つ以上有する、芳香族ビニル−イソプレンブロック共重合体(a)10〜98質量%、芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体(b)0〜85質量%、および重量平均分子量が5,000〜300,000のポリイソプレン(c)2〜66質量%を含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)の0℃におけるtanδが0.2以上であり、かつtanδのピークが−20℃以下にあることを特徴とするゴム組成物。
2.前記熱可塑性エラストマー(B)のビニル結合含有量が20質量%以下であることを特徴とする前記1に記載のゴム組成物。
3.前記架橋剤(C)が、硫黄、硫黄供与体、有機過酸化物からなる群から選択される一種または二種以上の架橋剤であることを特徴とする前記1または2に記載のゴム組成物。
4.架橋性を有するゴム成分(A)と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B)と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)とからなるゴム組成物を架橋してなり、70℃、24時間後の圧縮永久ひずみ率が50%以下、50℃および0℃におけるtanδが0.1以上、室温における硬さが80以下であることを特徴とするゴム架橋物。
5.免震装置または制振装置に用いられることを特徴とする前記4に記載のゴム架橋物。
本発明のゴム組成物を用いることにより、耐圧縮永久ひずみ性に優れ、広い温度帯域で、低硬度かつ振動吸収性の高い振動吸収性ゴムを得ることができるといった効果を奏する。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、架橋性を有するゴム成分(A)100質量部と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B)10〜100質量部と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)0.1〜20質量部とからなり、前記熱可塑性エラストマー(B)は、ポリ芳香族ビニルブロックを2つ以上有する、芳香族ビニル−イソプレンブロック共重合体(a)10〜98質量%、芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体(b)0〜85質量%、および重量平均分子量が5,000〜300,000のポリイソプレン(c)2〜66質量%を含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)の0℃におけるtanδが0.2以上であり、かつtanδのピークが−20℃以下にあることを特徴とする。
本発明に用いられるゴム成分(A)は、後述する架橋剤(C)により、架橋させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般にゴム材料として使用されるゴム成分であれば用いることができる。
具体的には、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等を挙げることができ、中でも、汎用性がある点で、天然ゴム(NR)やエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等が好適に用いられる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)は、ポリ芳香族ビニルブロックを2つ以上有する、芳香族ビニル−イソプレンブロック共重合体(a)、芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体(b)、および重量平均分子量が5,000〜300,000のポリイソプレン(c)を含有する。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)中に含有させる芳香族ビニル−イソプレンブロック共重合体(a)(以下、「(a)成分」ともいう。)は、ポリ芳香族ビニルブロックを2つ以上有するものであり、重合体ブロックを少なくとも3つ有するものである。
(a)成分中のポリ芳香族ビニルブロックは、(a)成分の重合体鎖において、芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位として含有する部分をいう。ポリ芳香族ビニルブロックは、芳香族ビニル単量体単位含有量が80質量%以上のものが好ましく、芳香族ビニル単量体を単独重合したものが特に好ましい。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンなどが挙げられる。なかでも、スチレンが好ましく使用できる。
(a)成分中のポリ芳香族ビニルブロックは、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲であれば、芳香族ビニル単量体と、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体とを共重合したものであってもよい。芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン単量体が好ましく挙げられる。
(a)成分中のポリ芳香族ビニルブロックの重量平均分子量は、好ましくは8,000〜100,000、より好ましくは12,000〜70,000、特に好ましくは14,000〜50,000である。ポリ芳香族ビニルブロックの重量平均分子量が小さすぎると、本発明のゴム組成物をゴム架橋物とした際、形状保持性が低下する傾向にあり、逆に大きすぎるとゴム組成物の流動性が悪くなり、成形性に劣る傾向がある。
(a)成分中のポリ芳香族ビニルブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
(a)成分中のポリイソプレンブロックは、(a)成分の重合体鎖において、イソプレン単位を主たる構成単位として含有する部分をいう。ポリイソプレンブロックは、イソプレン単位含有量が80質量%以上のものが好ましく、イソプレンを単独重合したものが特に好ましい。
(a)成分中のポリイソプレンブロックは、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲であれば、イソプレンと、イソプレンと共重合可能な単量体とを共重合したものであってもよい。イソプレンと共重合可能な単量体としては、前記の芳香族ビニル単量体;1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン,1,3−ペンタジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体;が好ましく挙げられる。
(a)成分中の芳香族ビニル単量体単位含有量は、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは13〜40質量%である。
(a)成分におけるイソプレン単位中のビニル結合含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5〜10質量%である。ビニル結合含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物のtanδのピーク温度が高くなり、低温時における振動吸収性が劣る傾向にある。
(a)成分の重量平均分子量は、好ましくは100,000〜1,000,000、より好ましくは110,000〜920,000、特に好ましくは120,000〜880,000である。
(a)成分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)中の(a)成分の割合は、10〜98質量%、好ましくは20〜94質量%、より好ましくは35〜85質量%である。この割合が少なすぎると、本発明のゴム組成物を架橋させた際、ゴム架橋物としての形状保持性が低下して使用に適さず、逆に多すぎるとゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が低下する恐れがある。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー(B)中に含有させる芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体(b)(以下、「(b)成分」ともいう。)は、ただ1つのポリ芳香族ビニルブロックとただ1つのポリイソプレンブロックとからなるブロック共重合体である。
(b)成分中のポリ芳香族ビニルブロックは、(b)成分の重合体鎖において、芳香族ビニル単量体単位を主たる構成単位として含有する部分をいう。ポリ芳香族ビニルブロックは、芳香族ビニル単量体単位含有量が80質量%以上のものが好ましく、芳香族ビニル単量体単位のみからなるものがより好ましい。
芳香族ビニル単量体としては、上述したものと同様のものが挙げられる。中でも、スチレンが好ましく使用できる。
(b)成分中のポリ芳香族ビニルブロックは、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲であれば、芳香族ビニル単量体と、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体とを共重合したものであってもよい。芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、上述したものと同様のものを好ましく挙げることができる。
(b)成分中のポリ芳香族ビニルブロックの重量平均分子量は、好ましくは8,000〜100,000、より好ましくは12,000〜70,000、特に好ましくは14,000〜50,000である。
(b)成分中のポリ芳香族ビニルブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
(b)成分中のポリイソプレンブロックは、(b)成分の重合体鎖において、イソプレン単位を主たる構成単位として含有する部分をいう。ポリイソプレンブロックは、イソプレン単位含有量が80質量%以上のものが好ましく、イソプレン単位のみからなるものがより好ましい。このイソプレン単位含有量が少なすぎると、本発明のゴム組成物を架橋して得られたゴム架橋物の振動吸収性が劣る傾向にある。
(b)成分中のポリイソプレンブロックは、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲であれば、イソプレンと、イソプレンと共重合可能な単量体とを共重合したものであってもよい。イソプレンと共重合可能な単量体としては、前記の芳香族ビニル単量体;1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体;が好ましく挙げられる。
(b)成分の芳香族ビニル単量体単位含有量は、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは13〜40質量%である。
(b)成分におけるイソプレン単位中のビニル結合含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5〜10質量%である。ビニル結合含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物のtanδのピーク温度が高くなり、低温時における振動吸収性が劣る傾向にある。
(b)成分の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜250,000、より好ましくは55,000〜230,000、特に好ましくは60,000〜220,000である。
(b)成分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)中の(b)成分の割合は、0〜85質量%、好ましくは1〜75質量%、より好ましくは5〜55質量%である。(b)成分が多すぎると、本発明のゴム組成物を架橋した際、形状保持性が低下する傾向にある。
(a)成分の製造方法は特に限定されず、一般に公知の製造方法が採用でき、例えば、アニオンリビング重合法により、ポリ芳香族ビニルブロックおよびポリイソプレンブロックを、それぞれ逐次的に重合する方法や、リビング性の活性末端を有するブロック共重合体を製造した後、それとカップリング剤とを反応させてカップリングしたブロック共重合体として製造する方法が採用できる。
(b)成分の製造方法は特に限定されず、一般に公知の製造方法が採用でき、例えば、アニオンリビング重合法により、ポリ芳香族ビニルブロックおよびポリイソプレンブロックを、逐次的に重合する方法が採用できる。
なお、(a)成分と(b)成分は、上記のようにそれぞれ別々に製造してもよいが、それぞれの重合工程を1つにまとめて、(a)成分と(b)成分の混合物として製造することもできる。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー(B)中に含有させるポリイソプレン(c)(以下、「(c)成分」ともいう。)の重量平均分子量は5,000〜300,000、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは30,000〜100,000である。この重量平均分子量が小さすぎると、本発明のゴム組成物を架橋させて得られたゴム架橋物の振動吸収性が低下し、逆に大きすぎると、ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が劣ったり、ゴム架橋物の硬さが高くなりすぎたりする。
(c)成分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
(c)成分は、その重合体鎖において、イソプレン単位を主たる構成単位として含有する。(c)成分は、イソプレン単位含有量が80質量%以上のものが好ましく、イソプレン単位のみからなるものがより好ましい。
(c)成分は、イソプレンの単独重合体であることが好ましいが、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、イソプレンおよびイソプレンと共重合可能な単量体の共重合体であってもよい。イソプレンと共重合可能な単量体としては、前記の芳香族ビニル単量体、およびブタジエン、1,3−ペンタジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体が好ましく挙げられる。
(c)成分におけるイソプレン単位中のビニル結合含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5〜10質量%である。ビニル結合含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物のtanδのピーク温度が高くなり、低温時における振動吸収性が劣る傾向にある。
(c)成分の製造方法は特に限定されず、一般に公知の製造方法が採用でき、例えば、重合溶媒中、アニオン重合開始剤を用いてイソプレンを重合する方法が採用できる。
熱可塑性エラストマー(B)中の(c)成分の割合は、2〜66質量%であることを要し、好ましくは5〜55質量%、より好ましくは10〜35質量%である。(c)成分が少なすぎると、本発明のゴム組成物から得られるゴム架橋物の振動吸収性が劣り、逆に多すぎるとゴム架橋物としての形状保持性が低下して、使用に適さなくなる。
本発明で用いる熱可塑性エラストマー(B)においては、(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計量に対する芳香族ビニル単量体単位含有量が5〜40質量%の範囲にあることが好ましく、10〜30質量%の範囲にあることがより好ましい。この含有量が少なすぎると、本発明のゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物としての形状保持性が低下して、使い難くなる傾向にあり、逆に多すぎると、ゴム組成物の粘度が高くなり、加工性が劣ったり、ゴム架橋物の硬さが高くなりすぎたりする。
また本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)においては、ビニル結合含有量が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは3〜10質量%の範囲内である。ビニル結合含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物のtanδのピーク温度が高くなり、低温時における振動吸収性が劣る傾向にある。
本発明において、熱可塑性エラストマー(B)は、ゴム成分(A)100質量部に対し、10〜100質量部の範囲内で用いられるものであるが、特に15質量部〜80質量部用いられることが好ましく、より好ましくは20質量部〜60質量部の範囲内である。
本発明で用いる熱可塑性エラストマー(B)の製造方法は特に限定されない。別個に製造した(a)成分、(b)成分および(c)成分を混練して製造してもよく、あるいはこれらを溶液の状態で混合し、重合体を分離して乾燥することにより製造してもよい。
また、(a)成分と(b)成分の混合物として製造されたものに、別途製造された(c)成分を混合して製造してもよい。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)は、0℃におけるtanδが、0.2以上であり、好ましくは0.25以上である。0℃におけるtanδが低すぎると、本発明のゴム組成物を架橋させて得られるゴム架橋物が、低温域において、振動吸収性に劣る傾向にある。
また、上記熱可塑性エラストマー(B)は、tanδのピーク値の温度が−20℃以下にあり、好ましくは−25℃以下、より好ましくは−30℃以下である。tanδのピーク値の温度が高すぎると、本発明のゴム組成物を架橋させて得られるゴム架橋物の低温時における振動吸収性が劣る場合がある。
また、本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)の室温における硬度は、80以下であることが好ましく、より好ましくは70以下、特に好ましくは10〜60の範囲内である。室温における硬度が高すぎると、ゴム架橋物とした際、振動の減衰性に劣る傾向にある。なお、上記硬度の測定は、デュロメーターのタイプAを用いて測定する。
また本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B)の室温における24時間後の圧縮永久ひずみは、40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。室温における24時間後の圧縮永久ひずみが高すぎると、ゴム架橋物としての耐久性が低下する場合がある。なお、上記圧縮永久ひずみの測定は、JIS K6262の方法に準じて行われたものとする。
本発明に用いられる架橋剤(C)は、上記ゴム成分(A)および上記熱可塑性エラストマー(B)を共に架橋することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、硫黄、硫黄供与体、有機過酸化物からなる群から選択される一種または二種以上の架橋剤を好ましく用いることができる。
硫黄としては、粉末硫黄、硫黄華、脱酸硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄などのいずれをも単独で、又は二種以上併せて使用することができる。硫黄供与体は、熱解離により放出される活性硫黄により加硫作用を及ぼすもので、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N,N'−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド、2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどが例示され、これらを単独で又は複数併せて使用することができる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられ、これらは単独で、または二種以上を併用して用いることができる。
上記架橋剤(C)の含有量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲内で用いられるが、中でも0.2質量部〜15質量部の範囲内で用いられることが好ましく、より好ましくは、0.3質量部〜10質量部の範囲内である。
また、上記ゴム成分(A)および熱可塑性エラストマー(B)の総量を100質量部とした場合の上記架橋剤(C)の含有量は、0.2質量部〜10質量部の範囲内で用いられることが好ましく、より好ましくは、0.3質量部〜5質量部の範囲内である。
また本発明に用いられるゴム組成物には、架橋促進剤が含有されていてもよい。このような架橋促進剤としては、上記架橋剤の架橋促進剤として、通常使用されているものであれば特に限定されるものではなく、架橋剤が硫黄または硫黄供与体の場合には、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。また、架橋剤が有機化酸化物の場合には、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、多官能メタクリレートモノマー、N,N'−m−フェニレンジマレイミド、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。本発明においては特に架橋性等の面からトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
また上記架橋促進剤の含有量は、上記ゴム成分(A)および熱可塑性エラストマー(B)の総量を100質量部とした場合、それに対して、好ましくは0.1〜20質量部の範囲内、より好ましくは0.2〜15質量部の範囲内、特に好ましくは0.3〜10質量部の範囲内である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりするおそれがある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強度が著しく低下したり、圧縮永久ひずみが大きすぎたりする可能性がある。
本発明で用いるゴム組成物には、さらに必要に応じて、(a)成分、(b)成分および(c)成分以外のエラストマーのほか、一般に公知の、熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂、充填剤、補強繊維、軟化剤、発泡剤、発泡助剤、酸化防止剤、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤などの配合剤を所望量配合することができる。
(a)成分、(b)成分および(c)成分以外のエラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンおよびその変性物、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
粘着付与樹脂は、天然樹脂系粘着付与樹脂と合成樹脂系粘着付与樹脂とに大別される。天然樹脂系粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などが挙げられる。ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジンなどのロジン類;水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジン類;変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステルなどのロジンエステル類などが例示される。テルペン系樹脂としては、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン(リモネン)系などのテルペン樹脂のほか、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが例示される。
合成樹脂系粘着付与樹脂は、付加重合系粘着付与樹脂と重縮合系粘着付与樹脂とに大別される。付加重合系粘着付与樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合系(C5−C9系)石油樹脂、水素添加石油樹脂、脂環族系石油樹脂などの石油樹脂類;クマロン・インデン樹脂;スチレン系、置換スチレン系などのピュア・モノマー系石油樹脂が挙げられる。重縮合系粘着付与樹脂としては、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などのフェノール系樹脂およびキシレン樹脂などが挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
充填剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、各種の金属粉、木粉、ガラス粉、セラミックス粉などの他、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー;ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラー;が挙げられる。
補強繊維としては、例えば、ワラ、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバーなどの短繊維および長繊維が挙げられる。
軟化剤としては、例えば、芳香族系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油;ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状重合体;などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル・テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などのヒンダードフェノール系化合物;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのチオジカルボキシレートエステル類;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイトなどの亜燐酸塩類などが挙げられる。
滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタンワックスなどの炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸系、硬化油のような脂肪酸系滑剤;ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、ラウリルアミド、パルミチルアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、高級脂肪酸のモノアミド、メチレンビスステロアミド、エチレンビスステロアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスラウリルアミド、高級脂肪酸ビスアミド、N−ステアリルオレイルアミド、N−ステアリルエルシルアミド、N−ステアリルパルミトアミド、複合型アミド、特殊脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑材;
n−ブチルステアレート、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、エステル系ワックス、特殊脂肪酸エステル、芳香族脂肪酸エステル、複合エステル系のような脂肪酸エステル系滑材;高級アルコール、高級アルコール系複合型、高級アルコールエステル、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロールのような脂肪族アルコール系滑材;グリセリン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、脂肪酸部分エステルのような脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル系滑材;シリコーンオイル、ポリオルガノシロキサン、ジステアリルエポキシヘキソヒドロキシフタレート、ナトリウムアルキルサルフェート、長鎖脂肪族化合物、非イオンエステル系活性剤、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロック共重合体、四フッ化エチレン樹脂粉末などが挙げられる。これらの滑剤は、単独でも2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のゴム組成物を調製する方法としては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合手順は特に限定されないが、先ず、熱による反応や分解を起こしにくい成分を充分に混ぜ合わせた後、熱による反応や分解を起こしやすい成分、例えば架橋剤、架橋促進剤などを、反応や分解を起こさない温度で短時間に混合する手順を採ると好ましい。
(ゴム架橋物)
次に、本発明のゴム架橋物について説明する。本発明のゴム架橋物は、架橋性を有するゴム成分(A)と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B’)と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B’)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)とからなるゴム組成物を架橋してなり、70℃、24時間後の圧縮永久ひずみ率が50%以下、50℃および0℃におけるtanδが0.1以上、室温における硬さが80以下であることを特徴とするものである。
本発明のゴム架橋物に用いられるゴム成分(A)および架橋剤(C)は、上記ゴム組成物で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明のゴム架橋物に用いられる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B’)としては、芳香族ビニル単量体単位と共役ジエン単量体単位とからなるものであり、ポリ芳香族ビニルブロックおよびポリ共役ジエンブロックからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するものであれば特に限定されるものではない。上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体としては、その共重合体構造として具体的には、1つのポリ芳香族ビニルブロックと1つのポリ共役ジエンブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエンジブロック共重合体や、2つのポリ芳香族ビニルブロックと1つのポリ共役ジエンブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルトリブロック共重合体等が挙げられる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(B’)の具体例としては、上記(a)成分から構成されるもの、上記(a)成分と上記(b)成分とから構成されるもの、さらに、これらに加えて上記(c)成分を含有するものを挙げることができる。
本発明においては、中でも(a)成分、(b)成分および(c)成分からなるものが最も好適に用いられる。
なお、(a)成分、(b)成分および(c)成分の説明、および好適な例であある(a)成分、(b)成分および(c)成分を用いた場合の混合比率等は、ゴム組成物で説明したものと同様である。
本発明のゴム架橋物は、70℃における24時間後の圧縮永久ひずみ率が50%以下であり、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。圧縮永久ひずみ率が高すぎると、本発明のゴム架橋物の耐久性が劣る場合がある。
また、上記ゴム架橋物は、50℃および0℃におけるtanδが0.1以上であり、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上である。50℃および0℃におけるtanδが低すぎると、低温域において振動の減衰性が低下する傾向にある。また、低周波数域における振動の減衰性が低下する傾向にもある。
また上記ゴム架橋物は、室温における硬度が80以下であり、好ましくは70以下、より好ましくは30〜60の範囲内である。室温における硬度が高すぎると、弾性体として機能しないことから、使用することができない場合があるからである。
本発明のゴム架橋物は、上記ゴム成分(A)、上記熱可塑性エラストマー(B’)、および上記架橋剤(C)を有するゴム組成物を一般に公知の成形法により架橋および成形を行って得ることができる。成形法としては、例えば押出成形法、射出成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法などを挙げることができる。
押出成形法には、ゴムの加工で一般的な手順を採用することができる。すなわち、ロール混合などによって調製したゴム組成物を、押出機のフィード口に供給し、スクリューでヘッド部に送る過程でバレルからの加熱により軟化させ、ヘッド部に設けた所定形状のダイスに通すことにより、目的の断面形状を有する長尺の押出成形品(板、棒、パイプ、ホース、異形品など)を得る。バレル温度は、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃である。ヘッド温度は、好ましくは60〜130℃、より好ましくは60〜110℃であり、ダイス温度は、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜100℃である。上記のように押出成形した成形品を電気、熱風、蒸気などを熱源とするオーブンなどで130℃〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃に加熱して架橋(一次架橋)させ、本発明のゴム架橋物を得る。
射出成形法、トランスファー成形法及び圧縮成形法では、製品1個分の又は数個分の形状を有する金型のキャビティに本発明のゴム組成物を充填して賦形し、金型を、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃に加熱することにより架橋(一次架橋)させ、本発明のゴム架橋物を得る。
さらに、必要により、一次架橋させて得られた架橋物を電気、熱風、蒸気などを熱源とするオーブンなどで130℃〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃で1〜48時間加熱して架橋(二次架橋)させ、本発明のゴム架橋物を得ることもできる。
本発明のゴム架橋物は、広い温度帯域において優れた振動吸収性を発揮することから、振動の周波数や使用環境を選ばずに広い分野で用いることが可能である。例えば、免震装置や、制振装置、防振装置、防音装置、ゴムロール、ゴムベルト等に用いることができ、中でも、免震装置および制振装置に用いるものとして有用である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。以下において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。また、各特性の試験、評価は、下記によった。
(1)損失正接(tanδ)
動的粘弾性測定装置(製品名ARES、テー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用い、8mm平行板、初期ギャップ2mm、0.1%歪とし、1Hzの周波数にて、−20℃〜100℃の範囲を4℃/分の昇温速度にて測定し、0℃および50℃での損失正接(tanδ)を求めた。tanδの値が大きいほど振動吸収性に優れることを表すこととなる。
(2)硬さ(硬度)
ゴム組成物を温度160℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシートを得、それを3号形ダンベルで打ち抜いた試験片を用いて以下の測定を行った。
常温、または−20℃でJIS K6253の硬さ試験に従いデュロメーター硬さ試験機タイプAを用いて硬さをそれぞれ測定した。
(3)圧縮永久ひずみ率
熱可塑性エラストマーの圧縮永久ひずみ率を測定する場合は、熱可塑性エラストマーを150℃のプレス機によって、予熱10分、プレス2分間行った後、プレスした状態のまま、温度を室温まで冷却し、30分後、サンプルを金型から取り出すことによって、直径29mm、高さ12.5mmの円柱型試験片を作製した。JIS K 6262に従い、上記試験片を25%圧縮させたまま、温度23℃または、70℃の環境下に24時間置いた後、圧縮を解放して圧縮永久ひずみ率を測定した。
また、ゴム架橋物の圧縮永久ひずみ率を測定する場合は、ゴム組成物を160℃、20分間のプレスによって成形、架橋して直径29mm、高さ12.5mmの円柱型試験片を作製した。JIS K 6262に従い、上記試験片を25%圧縮させたまま、温度23℃または、70℃の環境下に24時間置いた後、圧縮を解放して圧縮永久ひずみ率を測定した。
(4)成形加工性の評価
ゴム組成物を温度160℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシートを得た。得られたシート表面を観察し、以下に示す基準に基づいて、評価を行った。サーフテストSV−600((株)ミツトヨ製)を使用して、シート表面の粗さを10点において測定し、その10点の平均粗さ(Rz)が10μm以下のものを○とする。また、同上の試験で、10点の平均粗さ(Rz)が10μmを超えるものを×とする。
(参考例1)
耐圧反応器を用い、シクロヘキサン112部、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン(「TMEDA」と略号で示す。)0.00073部およびスチレン11.7部を40℃で攪拌しているところに、重合開始剤n−ブチルリチウム0.0267部を添加し、50℃に重合温度を上げながら、1時間重合した。この時点でのスチレンの重合転化率は100%であった。反応液の一部を採取して、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン重合体ブロックの重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
引き続き、イソプレン36.3部を、反応温度が50℃から60℃の間になるように温度制御しながら1時間かけて添加し、添加終了後にさらに1時間重合した。この時点での重合転化率は100%であった。反応液の一部を採取して、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、スチレン−イソプレンジブロック共重合体((b)成分に相当する。)の重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
次いで、カップリング剤としてジメチルジクロロシラン0.0242部を添加して2時間カップリング反応を行い、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体((a)成分に相当する。)を形成した。この後、反応器に重合停止剤としてメタノール0.04部を添加しよく混合して、上記(a)成分と(b)成分とからなる重合体Iを得た。反応液の一部を採取して、1H−NMR測定により、上記重合体I中のスチレン単位含有量を求め、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、重合体全体の重量平均分子量、および(a)成分と(b)成分の質量比を測定した。また、(a)成分および(b)成分中のビニル結合含有量をH−NMRスペクトルから求めた。具体的には、H−NMRスペクトルにおけるビニル結合に由来するδ値4.7ppm前後のシグナルピークの面積Aと、1,4−結合に由来するδ値5.1ppm前後のシグナルピークの面積Bとにより、ビニル結合含有量(%)=[A/(A+2B)]×100の式に従って求めた。その結果を表1に示す。
(参考例2〜3)
TMEDA、n−ブチルリチウム、スチレン、イソプレン、ジメチルジクロロシランおよびメタノールの量を表1に示すように変更する以外は、参考例1と同様に行い、上記(a)成分と(b)成分とからなる重合体II〜IIIを得た。これらの各測定結果を表1に示す。
(参考例4)
耐圧反応器を用い、シクロヘキサン112部、TMEDA0.00182部およびn−ブチルリチウム0.067部を40℃で攪拌しているところにイソプレン48部を60℃に重合温度を上げながら1時間かけて添加し、イソプレン添加終了後さらに60℃で1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。この後、反応器に重合停止剤としてメタノール0.1部を加えてよく混合してポリイソプレン((c)成分に相当する。)を得た(重合体IV)。ポリイソプレン(重合体IV)の重量平均分子量は81,000であった。
(参考例5)
TMEDA、n−ブチルリチウム、イソプレン、およびメタノールの量を表1に示すように変更する以外は、参考例4と同様に行い、上記(c)成分からなる重合体Vを得た。これらの各測定結果を表1に示す。
Figure 2007262310
[参考例6]
重合体Iの30%シクロヘキサン溶液70部に、重合体V((c)成分)の30%シクロヘキサン溶液30部を加え、さらに酸化防止剤2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させた。得られた析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥して、(a)成分、(b)成分および(c)成分を含有する熱可塑性エラストマー(I)を得た。熱可塑性エラストマー(I)の一部を採取して、tanδ、硬さおよび圧縮永久ひずみ率を測定した。その結果を表2に示す。
[参考例7〜10]
参考例1〜5で作製した各重合体の量を表2に示すように変更したこと以外は、参考例6と同様にして熱可塑性エラストマー(II)〜(V)を得た。各熱可塑性エラストマーの一部を採取して、tanδ、硬さおよび圧縮永久ひずみ率を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2007262310
[実施例1]
天然ゴム(SMR CV60(国際規格の記号))70部、熱可塑性エラストマー(I)のペレットを30部、補強剤のカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン(株)製)40部、加工助剤のステアリン酸1部、および酸化亜鉛3部をバンバリーミキサに入れてチャンバー温度60℃、回転数60回転で5分間一次混練を行う。一次混練終了直後のゴム温度は140℃であった。一次混練の終わったゴム組成物を、その後50℃に設定したオープンロールに移し、ロールに巻きつけゴムを冷却させながら、架橋剤の硫黄1部、架橋促進剤のジベンゾチアジルジスルフィド1.5部およびシクロヒキシルベンゾスルフェンアミド1.5部を加えて二次混練を行い、ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を用いて、ゴム架橋物のtanδ、硬さおよび永久圧縮ひずみ率について測定を行った。また、成形加工性の評価についても行った。その結果を表3に示す。
[実施例2〜4]
配合成分および配合量を表3に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。なお、エチレンプロピレンゴムとして、三井化学(株)製のEPT4021(商品名)を使用した。得られたゴム組成物を用いて、ゴム架橋物のtanδ、硬さおよび永久圧縮ひずみ率について測定を行い、成形加工性の評価も行った。その結果を表3に示す。
[比較例1、2]
配合成分および配合量を表3に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を用いて、ゴム架橋物のtanδ、硬さおよび永久圧縮ひずみ率について測定を行い、成形加工性の評価も行った。その結果を表3に示す。
[比較例3]
熱可塑性エラストマー(I)100部を130℃に設定したロールに巻きつけ、補強剤のカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン(株)製)40部、加工助剤のステアリン酸1部を添加し混練を行い、組成物を得た。得られた組成物を用いて、tanδ、硬さおよび永久圧縮ひずみ率について測定を行い、成形加工性の評価も行った。その結果を表3に示す。
[比較例4]
熱可塑性エラストマー(I)100部を130℃に設定したロールに巻きつけ、補強剤のカーボンブラック(シーストSO、東海カーボン(株)製)40部、加工助剤のステアリン酸1部および酸化亜鉛3部を添加し混練を行い、手早く架橋剤の硫黄1部、架橋促進剤のジベンゾチアジルジスルフィド1.5部およびシクロヒキシルベンゾスルフェンアミド1.5部を添加し、組成物を得た。得られた組成物を用いて、tanδ、硬さおよび永久圧縮ひずみ率について測定を行い、成形加工性の評価も行った。その結果を表3に示す。
Figure 2007262310
表3より、熱可塑性エラストマー(B)を用いなかった比較例1では、架橋物の0℃及び50℃におけるtanδ値が低く、振動吸収性に劣ることが分かった。また、ポリイソプレンを用いなかった比較例2では、架橋物の0℃におけるtanδ値が低く、低温における振動吸収性に劣ることが分かった。また、ゴム成分(A)を用いず、且つ架橋していない比較例3では、耐圧縮永久ひずみ性に劣る結果となった。また、ゴム成分(A)を用いなかった比較例4では、架橋物の50℃におけるtanδ値が低く、高温における振動吸収性に劣り、また耐圧縮永久ひずみ性に劣り、成形加工性にも劣ることが分かった。
それに対し、本発明のゴム組成物を用いた実施例1〜4では、振動吸収性、耐圧縮永久ひずみ性及び成形加工性の全ての面において優れており、バランスが取れていた。

Claims (5)

  1. 架橋性を有するゴム成分(A)100質量部と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B)10〜100質量部と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)0.1〜20質量部とからなり、
    前記熱可塑性エラストマー(B)は、ポリ芳香族ビニルブロックを2つ以上有する、芳香族ビニル−イソプレンブロック共重合体(a)10〜98質量%、芳香族ビニル−イソプレンジブロック共重合体(b)0〜85質量%、および重量平均分子量が5,000〜300,000のポリイソプレン(c)2〜66質量%を含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)の0℃におけるtanδが0.2以上であり、かつtanδのピークが−20℃以下にあることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記熱可塑性エラストマー(B)のビニル結合含有量が20質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記架橋剤(C)が、硫黄、硫黄供与体、有機過酸化物からなる群から選択される一種または二種以上の架橋剤であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 架橋性を有するゴム成分(A)と、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー(B’)と、前記ゴム成分(A)および前記熱可塑性エラストマー(B’)を共に架橋することが可能な架橋剤(C)とからなるゴム組成物を架橋してなり、70℃、24時間後の圧縮永久ひずみ率が50%以下、50℃および0℃におけるtanδが0.1以上、室温における硬さが80以下であることを特徴とするゴム架橋物。
  5. 免震装置または制振装置に用いられることを特徴とする請求項4に記載のゴム架橋物。
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