JP2016069565A - ブロック共重合体組成物およびフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体の弾性率や永久伸びを改良する種々の検討が行われている。
(1)少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとを有してなるブロック共重合体100重量部に対して、芳香族ビニル重合体25〜150重量部、及び脂肪酸アミド0.2〜10重量部を含有するブロック共重合体組成物。
(2)前記ブロック共重合体として、下記の式(A)で表されるブロック共重合体A、及び下記の式(B)で表されるブロック共重合体Bからなるブロック共重合体混合物を含有してなる(1)に記載のブロック共重合体組成物。
(3)前記(1)又は(2)に記載のブロック共重合体組成物を成形してなるフィルム。
(4)膜厚の平均値に対する膜厚の標準偏差の比(標準偏差/平均値)の割合が15%以下であり、破断強度が20MPa以上であり、かつ破断伸びが650%以上である請求項3に記載のフィルム。
本発明のブロック共重合体組成物は、少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとを有してなるブロック共重合体と、芳香族ビニル重合体、及び脂肪酸アミドを含有する組成物である。
その配合割合は、前記ブロック共重合体100重量部に対して 芳香族ビニル重合体25〜150重量部、及び脂肪酸アミド0.2〜10重量部である。
本発明に用いるブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(I)」ということがある。)は、芳香族ビニル単量体を重合して得られる芳香族ビニル単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される芳香族ビニル重合体ブロックと、共役ジエン単量体を重合して得られる共役ジエン単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される共役ジエン重合体ブロックとを、それぞれ少なくとも1つ有してなるものである。ブロック共重合体(I)は、本発明のブロック共重合体組成物の重合体成分として用いられる。
なお、本明細書において、特に説明がない限り、「ブロック共重合体」とは、ピュアブロック共重合体、ランダムブロック共重合体、及びテーパーブロック構造を有する共重合体のいずれの態様も含む意味である。
ブロック共重合体(I)が有する芳香族ビニル重合体ブロックは、芳香族ビニル単量体を重合して得られる芳香族ビニル単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである。
これらの芳香族ビニル単量体は、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、入手容易性の観点から、スチレン、アルキル基を置換基として有するスチレン類が好ましく、スチレンを用いることが特に好ましい。
芳香族ビニル重合体ブロックに含まれ得る芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)等の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸化合物;無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の不飽和カルボン酸エステル単量体;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の好ましくは炭素数が5〜12の非共役ジエン単量体;等が挙げられる。
ブロック共重合体(I)が有する共役ジエン重合体ブロックは、共役ジエン単量体を重合して得られる共役ジエン単量体単位を主たる繰り返し単位として構成される重合体ブロックである。
これらの共役ジエン単量体は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンを用いることが好ましく、イソプレンを用いることが特に好ましい。
共役ジエン重合体ブロックをイソプレン単位で構成することにより、柔軟性に優れ、小さい永久伸びを有するブロック共重合体を得ることができる。
これらの中でも、本発明に特に好ましく用いられるブロック共重合体(I)としては、Ar−D−Arまたは(Ar−D)n−Xとして表される芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体を挙げることできる。
また、ブロック共重合体(I)の個々の重合体ブロックの重量平均分子量も特に限定されず、芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量は、通常6,000〜400,000、好ましくは6,000〜370,000である。
また、共役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量は、通常20,000〜400,000、好ましくは35,000〜350,000である。共役ジエン重合体ブロックの重量平均分子量がこのような範囲にあると、フィルム状に成形した後、高い弾性率と小さい永久伸びとが高いレベルで両立され、さらには、良好な成形性で成形可能なブロック共重合体組成物、及びこの組成物を成形して得られるフィルムが得られやすくなる。
最も一般的な製造法としては、アニオンリビング重合法により、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とをそれぞれ逐次的に重合して重合体ブロックを形成し、必要に応じて、カップリング剤を反応させてカップリングを行う方法を挙げることができる。この方法については、後述するブロック共重合体混合物の項の中で詳述する。
このようなブロック共重合体混合物を用いることで、ブロック共重合体組成物に、より高い弾性率とより小さい永久伸びを付与することができる。
芳香族ビニル重合体ブロックの芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、前記ブロック共重合体(I)が有する芳香族ビニル重合体ブロックを形成する芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられる。
芳香族ビニル重合体ブロックに含まれ得る芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位を構成する単量体としては、前記ブロック共重合体(I)が有する芳香族ビニル重合体ブロックを形成する芳香族ビニル単量体単位以外の単量体と同様のものが挙げられる。
共役ジエン重合体ブロックの共役ジエン単量体単位を構成するために用いられる共役ジエンとしては、前記ブロック共重合体(I)が有する共役ジエン重合体ブロックを形成する共役ジエン単量体と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンを用いることが好ましく、イソプレンを用いることが特に好ましい。
共役ジエン重合体ブロックをイソプレン単位で構成することにより、柔軟性に優れ、より低い永久伸びを有するブロック共重合体組成物を得ることができる。
Mw(Ar1a)がこの範囲を外れると、得られる組成物の永久伸びが不十分となるおそれがある。
ブロック共重合体Aをこのように構成することによって、より低い永久伸びとより高い弾性率とを有し、弾性に富んだブロック共重合体組成物を得ることができる。
また、ブロック共重合体A全体としての重量平均分子量も、特に限定されないが、通常50,000〜500,000であり、70,000〜470,000であることが好ましく、90,000〜450,000であることがより好ましい。
また、ブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(Db)のビニル結合含有量は、ブロック共重合体Aの共役ジエン重合体ブロック(Da)のビニル結合含有量と実質的に等しいことが好ましい。
共役ジエン重合体ブロック(Db)の重量平均分子量(Mw(Db))がこの範囲であることにより、より低い永久伸びとより高い弾性率とを有し、弾性に富んだブロック共重合体組成物を得ることができる。
Mw(Db)/Mw(Da)の値をこのようにすることで、得られるブロック共重合体組成物が、より高い弾性率を有し、弾性に富んだものとなる。
また、ブロック共重合体B全体としての重量平均分子量も、特に限定されないが、通常、60,000〜800,000であり、80,000〜600,000であることが好ましく、100,000〜400,000であることがより好ましい。
(2):上記工程(1)で得られる活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する工程(2)。
(3):上記工程(2)で得られる活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、その活性末端に対して官能基が1モル当量未満となる量の、2官能性のカップリング剤を添加し、ブロック共重合体Bを形成する工程(3)。
(4):上記工程(3)で得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加し、ブロック共重合体Aを形成する工程(4)。
(5):上記工程(4)で得られる溶液から、ブロック共重合体混合物を回収する工程(5)。
まず、溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合する。
用いる重合開始剤としては、一般的に芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とに対し、アニオン重合活性があることが知られているものを用いることができる、例えば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物等が挙げられる。
次に、前記工程(1)で得られた活性末端を有する芳香族ビニル重合体を含有する溶液に、共役ジエン単量体を添加する。この共役ジエン単量体の添加により、活性末端から共役ジエン重合体鎖が形成され、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液が得られる。この際に用いる共役ジエン単量体の量は、通常、得られる共役ジエン重合体鎖が、目的とするブロック共重合体Bの共役ジエン重合体ブロック(Db)の重量平均分子量の半分の重量平均分子量を有するように決定される。
この活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有する溶液に、その活性末端に対して官能基が1モル当量未満となる量で、2官能性のカップリング剤を添加する。
これらのカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
次いで、得られる溶液に芳香族ビニル単量体を添加する。
溶液に芳香族ビニル単量体を添加すると、カップリング剤と反応せずに残っていた活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の末端から、芳香族ビニル重合体鎖が形成される。この芳香族ビニル重合体鎖は、ブロック共重合体混合物を構成する、ブロック共重合体Aの比較的大きい重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロック(Ar2a)を構成することとなるものである。
上記工程を経て得られるブロック共重合体A及びブロック共重合体Bを含有する溶液から、目的とするブロック共重合体混合物を回収する。
また、反応終了後に、反応液に前記重合停止剤を添加して、更に必要に応じて、酸化防止剤等の添加剤を添加してから、得られた溶液に直接乾燥法やスチームストリッピング等の公知の方法を適用することにより、ブロック共重合体混合物として回収することもできる。
以上のようにして得られるブロック共重合体混合物は、常法に従い、ペレット形状等に加工してから使用に供してもよい。
本発明のブロック共重合体組成物は、ブロック共重合体(I)のみを重合体成分として含むものであってよいが、例えば、前記したブロック共重合体A及びブロック共重合体Bの他、それら以外の重合体成分を含むものであってもよい。
本発明のブロック共重合体組成物に含まれ得るブロック共重合体(I)以外の重合体成分としては、ブロック共重合体(I)以外の芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体、共役ジエン単独重合体、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体、及びこれらの分岐型重合体;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂;等が挙げられる。
本発明に用いる芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を有する高分子である。
本発明においては、通常、下記(α)〜(γ)から選ばれる少なくとも1種の芳香族ビニル重合体が用いられる。
(α)芳香族ビニル単量体の重合体
(β)芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体
(γ)芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体
芳香族ビニル単量体の重合体の単量体単位としては、例えば、スチレン、p−、m−又はo−メチルスチレン、2,4−、2,5−、3,4−又は3,5−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン;o−、m−又はp−クロロスチレン、o−、m−又はp−ブロモスチレン、o−、m−又はp−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン;o−、m−又はp−クロロメチルスチレン等のハロゲン化置換アルキルスチレン;p−、m−又はo−メトキシスチレン、o−、m−又はp−エトキシスチレン等のポリアルコキシスチレン;o−、m−、又はp−カルボキシメチルスチレン等のカルボキシアルキルスチレン;p−ビニルベンジルプロピルエーテル等のアルキルエーテルスチレン;p−トリメチルシリルスチレン等のアルキルシリルスチレン;さらにはビニルベンジルジメトキシホスファイド等が挙げられ、特に一般的なものとしてスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上を混合して使用してもよい。
次に芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体について説明する。かかる芳香族ビニル単量体−共役ジエン系ブロック共重合体は、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとからなるジブロック共重合体である。芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体は単独で用いてもよいし、芳香族ビニル単量体の含有率の異なる2種以上の芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体を混合して用いてもよい。さらに、芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体は、共重合可能なモノマーをも重合させたものでもよいし、それらの混合物であってもよい。また、芳香族ビニル単量体の重合体との混合物であってもよい。
芳香族ビニル単量体と共重合可能なモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族不飽和カルボン酸エステルを挙げることができる。
本発明において、芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体は、水素添加される前の共役ジエン単量体単位に基づく不飽和二重結合に対し、水素が添加されたものである。芳香族ビニル単量体−共役ジエンブロック共重合体中の全構成単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有率は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは65重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。前記含有率が60重量%以上であれば、フィルムの透明性が維持され、また前記含有率が90重量%以下であれば、伸不足に起因する耐キレ性の低下を抑えられ、またポリマー作製上の観点からは水素添加における還元触媒の安全化の効果を確保できるため好ましい。
本発明のブロック共重合体組成物は、上記のブロック共重合体(I)、芳香族ビニル重合体に加えて、脂肪酸アミドを含有してなる。
脂肪族モノアミドは、炭化水素基と1個のアミド基(−NHCO)とが結合してなる化合物であれば特に限定されないが、炭素数12以上の高級飽和脂肪酸のモノアミド(すなわち、炭素数12以上の鎖状アルキル基と1個のアミド基(−NHCO)とが結合してなる化合物)が好ましく用いられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、本発明においては、互着防止の観点から、脂肪酸モノアミドが好適に用いられる。
脂肪酸アミドの含有量がこの範囲であると、フィルムに成形した場合、膜厚変動が少ないフィルムを得ることができ、かつ、成形性に優れるブロック共重合体組成物が得られるので好ましい。
ポリエチレンワックスは、一般的に、エチレンの重合又はポリエチレンの分解により製造されるが、本発明では、どちらのポリエチレンワックスを用いてもよい。また、ポリエチレンワックスは市販品を入手可能であり、その具体例としては、「A−C ポリエチレン」(Honeywell社製)、「三井ハイワックス」(三井化学社製)、「サンワックス」(三洋化成工業社製)、「エポレン」(Eastman Chemical社製)を挙げることができる。
本発明の第2は、本発明のブロック共重合体組成物を成形してなるフィルムである。
本発明のフィルムは、本発明のブロック共重合体組成物を成形して得られるものであるので、強くて伸縮性に富み、しかも膜厚変動が少ないものである。
T−ダイを用いた押出成形の具体例としては、単軸押出機や二軸押出機に装着したT−ダイから、150〜250℃で溶融したブロック共重合体組成物を押出し、引き取りロールで冷却しながら、巻き取る方法が挙げられる。引き取りロールで冷却する際に、フィルムを延伸してもよい。また、フィルムを巻き取る際に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、不織布又は離型紙からなる基材の上にブロック共重合体組成物の溶融物をコーティングしながらフィルム化してもよいし、ブロック共重合体組成物の溶融物をこれらの基材で挟み込むようにしてフィルム化してもよい。そのようにして得られたフィルムは、基材と一体の形態のままで使用しても、基材から剥がして使用してもよい。
本発明のフィルムが膜厚の均一性に優れることは、例えば、試料となるフィルムを成形時の溶融流れ方向に沿って30cmの長さで切り取り、このフィルムの中央部において、溶融流れ方向に沿った2cm間隔毎、15点についてフィルムの厚さを、デジタル測厚器(東洋精機社製、測定精度:0.001mm単位)を用いて測定し、これら測定値から求められる、膜厚の平均値に対する膜厚の標準偏差の比(標準偏差/平均値)の割合が、通常、15%以下、好ましくは12%以下、より好ましくは9%以下であることから確認することができる。
本発明のフィルムの破断強度は、好ましくは20MPa以上、より好ましくは22MPa以上である。フィルムの破断強度は実施例に記載した方法により求めることができる。
本発明のフィルムの破断伸びは、好ましくは650%以上、より好ましくは700%である。フィルムの破断伸びは実施例に記載した方法により求めることができる。
また、本発明のフィルムの永久伸びは、通常、10以下、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。フィルムの永久伸びは、実施例に記載した方法により求めることができる。
更に、その他用途に応じ、公知の方法に従って適宜加工し、例えば、伸縮性湿布用基材、手袋、手術用手袋、指サック、止血バンド、避妊具、ヘッドバンド、ゴーグルバンド、輪ゴム等の伸縮性部材として用いることができる。
〔ブロック共重合体及びブロック共重合体混合物の重量平均分子量及び分子量分布〕
流速0.35ml/分のテトラヒドロフランをキャリアとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として、数平均分子量及び重量平均分子量を求め、分子量分布はこれらの値から計算して求めた。装置は、東ソー社製HLC8320、カラムは昭和電工社製Shodex KF−404HQを3本連結したもの(カラム温度40℃)、検出器は示差屈折計及び紫外検出器を用い、分子量の較正は東ソー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施した。
上記の高速液体クロマトグラフィにより得られたチャートの各ブロック共重合体に対応するピークの面積比から求めた。
Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従い、ブロック共重合体をオゾンと反応させ、水素化リチウムアルミニウムで還元することにより、ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックを分解した。具体的には、以下の手順で行なった。すなわち、モレキュラーシーブで処理したジクロロメタン100mlを入れた反応容器に、試料を300mg溶解した。この反応容器を冷却槽に入れ−25℃としてから、反応容器に170ml/minの流量で酸素を流しながら、オゾン発生器により発生させたオゾンを導入した。反応開始から30分経過後、反応容器から流出する気体をヨウ化カリウム水溶液に導入することにより、反応が完了したことを確認した。次いで、窒素置換した別の反応容器に、ジエチルエーテル50mlと水素化リチウムアルミニウム470mgを仕込み、氷水で反応容器を冷却しながら、この反応容器にオゾンと反応させた溶液をゆっくり滴下した。そして、反応容器を水浴に入れ、徐々に昇温して、40℃で30分間還流させた。その後、溶液を撹拌しながら、反応容器に希塩酸を少量ずつ滴下し、水素の発生がほとんど認められなくなるまで滴下を続けた。この反応の後、溶液に生じた固形の生成物をろ別し、固形の生成物は、100mlのジエチルエーテルで10分間抽出した。この抽出液と、ろ別した際のろ液とをあわせ、溶媒を留去することにより、固形の試料を得た。このようにして得られた試料につき、上記の重量平均分子量の測定法に従い、重量平均分子量を測定し、その値をスチレン重合体ブロックの重量平均分子量とした。
それぞれ上記のようにして求められた、ブロック共重合体の重量平均分子量から、対応するスチレン重合体ブロックの重量平均分子量を引き、その計算値に基づいてイソプレン重合体ブロックの重量平均分子量を求めた。
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
フィルムを成形時の溶融流れ方向に沿って30cmの長さで切り取り、このフィルムの中央部において、溶融流れ方向に沿った2cm間隔毎、15点についてフィルムの厚さを、デジタル測厚器(東洋精機社製、測定精度:0.001mm単位)を用いて測定し、これら測定値の平均値および標準偏差を得、膜厚の平均値に対する膜厚の標準偏差の比(標準偏差/平均値)の割合を求めた。この値が小さいものほど、フィルムの膜厚の均一性が高いといえ、成形に用いたブロック共重合体組成物の成形性が優れているといえる。
伸縮性フィルム(基材を除いたもの)から、幅25mmのフィルムを作製し、これを試料として用いて、成形時の溶融流れ垂直方向に沿って測定した。測定手順は以下の通りである。ORIENTEC社製のテンシロン万能試験機RTC−1210に試料を無張力でチャック間距離40mmとして固定した。そして、試料が破断するまで500mm/分の速度で延伸し、破断強度を求めた。なお、破断強度の値が低いと、フィルム部材を作製時の際の延伸工程にて、フィルムが破断してしまうおそれがある。
伸縮性フィルム(基材を除いたもの)から、幅25mmのフィルムを作製し、これを試料として用いて、成形時の溶融流れ垂直方向に沿って測定した。測定手順は以下の通りである。ORIENTEC社製のテンシロン万能試験機RTC−1210に試料を無張力でチャック間距離40mmとして固定した。そして、試料が破断するまで500mm/分の速度で延伸し、破断伸びを求めた。なお、破断伸びの値が低いと、フィルム部材を作製時の際の延伸工程にて、フィルムが破断してしまうおそれがある
伸縮性フィルム(基材を除いたもの)から、幅25mmのフィルムを作製し、これを試料として用いて、成形時の溶融流れ垂直方向に沿って測定した。測定手順は以下の通りである。ORIENTEC社製のテンシロン万能試験機RTC−1210に試料を無張力でチャック間距離40mmとして固定した。そして、試料を300mm/分の速度で200%まで延伸し、次いで試料を300mm/分の速度で初期のチャック間距離まで戻した。さらに、その試料を同じ速度でもう一度200%まで伸張させた後、再び同じ速度で初期のチャック間距離まで戻した。2回目の初期のチャック間距離に戻す過程における50%伸張時の引張応力を測定し、50%伸張時におけるフィルムの引張弾性率を求めた。なお、引張弾性率が高いものほど高い弾性率を有すると言える。
基材を取除いた伸縮性フィルムについて、ASTM 412に準拠して上記のテンシロン万能試験機を用いて測定した。具体的には、サンプル形状はDieAを使用し、伸張前の標線間距離を40mmとして伸縮性フィルムを伸び率100%で伸張させ、そのままの状態で10分間保持した後、はね返させることなく急に収縮させて、10分間放置後、標線間距離を測定し、下式に基づいて永久伸びを求めた。
永久伸び(%)=(L1−L0)/L0×100
L0 : 伸張前の標線間距離(mm)
L1 : 収縮させて10分間放置後の標線間距離(mm)
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する)2.3ミリモル、及びスチレン1.55kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム154.7ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン6.00kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、ジメチルジクロロシラン(2官能性カップリング剤)52.1ミリモルを添加して、2時間カップリング反応を行い、ブロック共重合体Bとなるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン2.45kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、ブロック共重合体Aとなる非対称なスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール309.4ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。得られた反応液の一部を取り出し、上記測定方法に従ってブロック共重合体Aとブロック共重合体Bを測定した。
以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を30部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、製造例1のブロック共重合体混合物を回収した。
・重量平均分子量:130,000
・分子量分布:1.03
・Ar1aの重量平均分子量:10,000
・Ar2aの重量平均分子量:74,000
・Daのビニル結合含有量:7
・Daの重量平均分子量:46,000
(製造例1で得られたブロック共重合体B)
・重量平均分子量:118,000
・分子量分布:1.03
・Arbの重量平均分子量:10,000
・Dbのビニル結合含有量:7
・Dbの重量平均分子量:46,000
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」と称する)1.4ミリモル及びスチレン0.89kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム94.9ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン5.20kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、引き続き50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン0.89kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、活性末端を有するスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。次いで、重合停止剤としてメタノール64.1ミリモルを添加して、混合することにより、活性末端を有するスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体のうちの一部の活性末端を失活させて、ブロック共重合体Bとなるスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。この後、さらに引き続き50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン1.72kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、ブロック共重合体Aとなる、活性末端を有するスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。最後に、重合停止剤としてメタノール64.1ミリモルを添加して、混合することにより、活性末端を有するスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体の活性末端を全て失活させて、重合反応を完了した。得られた反応液の一部を取り出し、上記測定方法に従ってブロック共重合体Aとブロック共重合体Bを測定した。
以上のようにして得られた反応液100部(重合体成分を30部含有)に、酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.3部を加えて混合し、混合溶液を少量ずつ85〜95℃に加熱された温水中に滴下して溶媒を揮発させて析出物を得て、この析出物を粉砕し、85℃で熱風乾燥することにより、製造例2のブロック共重合体混合物を回収した。
・重量平均分子量:184,000
・分子量分布:1.07
・Ar1aの重量平均分子量:10,000
・Ar2aの重量平均分子量:75,000
・Daのビニル結合含有量:7
・Daの重量平均分子量:99,000
(製造例2で得られたブロック共重合体B)
・重量平均分子量:119,000
・分子量分布:1.07
・Arbの重量平均分子量:10,000
・Dbのビニル結合含有量:7
・Dbの重量平均分子量:49,500
製造例1で得られたブロック共重合体混合物の粉砕物100部と、芳香族ビニル重合体としてポリスチレン(PSジャパン社製「PSJ433」)67部と、脂肪酸モノアミドとして「ダイヤミッド(登録商標)L−200」(日本化成社製)1.7部と、をT−ダイを装着した二軸押出機に投入した。そして、この二軸押出機内において、これらを200℃で加熱溶融、混練することにより、ブロック共重合体組成物を構成し、これを20分間連続してPET製離型フィルムに挟み込むようにして押し出すことにより、平均厚さ0.05mmのフィルム状に成形した。このようにして得られた実施例1のフィルムについて、膜厚測定、破断強度および破断時の伸びを測定し、また、引張弾性率および永久伸びを測定した。これらの結果を表1に示す。なお、フィルムの成形条件の詳細は、以下の通りである。
配合物処理速度 : 5kg/時間
フィルム引き取り速度 : 4m/分
押出機温度 : 投入口100℃、T−ダイ200℃に調整
スクリュー : フルフライト
押出機L/D : 30
T−ダイ : 幅200mm、リップ0.5mm
二軸押出機に投入する成分の種類および量を表1に示す通りに変更したこと以外は、それぞれ、実施例1と同様にして、ブロック共重合体組成物を構成し、実施例2〜6および比較例1〜4のフィルムを得た。これらのフィルムにつき、実施例1と同様の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
Claims (4)
- 少なくとも1つの芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックとを有してなるブロック共重合体100重量部に対して、芳香族ビニル重合体25〜150重量部、および脂肪酸アミド0.2〜10重量部を含有するブロック共重合体組成物。
- 前記ブロック共重合体として、下記の式(A)で表されるブロック共重合体A、および下記の式(B)で表されるブロック共重合体Bからなるブロック共重合体混合物を含有する請求項1に記載のブロック共重合体組成物。
- 請求項1または2に記載のブロック共重合体組成物を成形してなるフィルム。
- 膜厚の平均値に対する膜厚の標準偏差の比(標準偏差/平均値)の割合が15%以下であり、破断強度が20MPa以上であり、かつ破断伸びが650%以上である請求項3に記載のフィルム。
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