JP2010202716A - ブロック共重合体組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の工程により、ケイ素原子に直接結合したアルコキシ基を1分子あたり2個以上有するアルコキシシラン化合物をカップリング剤として用いて得られるカップリングブロック共重合体とトリブロック共重合体とを含んでなるブロック共重合体組成物を製造する。
【選択図】なし
Description
(2):上記(1)の工程で得られる溶液に、共役ジエン単量体を添加して重合し、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する工程
(3):上記(2)の工程で得られる溶液に、ケイ素原子に直接結合したアルコキシ基を1分子あたり2個以上有するアルコキシシラン化合物をカップリング剤として添加することにより、溶液中の活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の一部をカップリングして、上記カップリングブロック共重合体を形成する工程
(4):上記(3)の工程で得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加して重合することにより、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体を形成し、次いで、重合停止剤を添加することにより、当該活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体の活性末端を失活させて上記トリブロック共重合体を形成する工程
(5):上記(4)の工程で得られる溶液から、重合体成分を回収する工程
流速0.35ml/分のテトラヒドロフランをキャリアとする高速液体クロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。装置は、東ソー社製HLC8220、カラムは昭和電工社製Shodex KF−404HQを3本連結したもの(カラム温度40℃)、検出器は示差屈折計および紫外検出器を用い、分子量の較正はポリマーラボラトリー社製の標準ポリスチレン(500から300万)の12点で実施した。
上記の高速液体クロマトグラフィにより得られたチャートの各ブロック共重合体に対応するピークの面積比から求めた。
Rubber Chem. Technol.,45,1295(1972)に記載された方法に従い、ブロック共重合体をオゾンと反応させ、水素化リチウムアルミニウムで還元することにより、ブロック共重合体のイソプレン重合体ブロックを分解した。具体的には、以下の手順で行なった。すなわち、モレキュラーシーブで処理したジクロロメタン100mlを入れた反応容器に、試料を300mg溶解した。この反応容器を冷却槽に入れ−25℃としてから、反応容器に170ml/minの流量で酸素を流しながら、オゾン発生器により発生させたオゾンを導入した。反応開始から30分経過後、反応容器から流出する気体をヨウ化カリウム水溶液に導入することにより、反応が完了したことを確認した。次いで、窒素置換した別の反応容器に、ジエチルエーテル50mlと水素化リチウムアルミニウム470mgを仕込み、氷水で反応容器を冷却しながら、この反応容器にオゾンと反応させた溶液をゆっくり滴下した。そして、反応容器を水浴に入れ、徐々に昇温して、40℃で30分間還流させた。その後、溶液を撹拌しながら、反応容器に希塩酸を少量ずつ滴下し、水素の発生がほとんど認められなくなるまで滴下を続けた。この反応の後、溶液に生じた固形の生成物をろ別し、固形の生成物は、100mlのジエチルエーテルで10分間抽出した。この抽出液と、ろ別した際のろ液とをあわせ、溶媒を留去することにより、固形の試料を得た。このようにして得られた試料につき、上記の重量平均分子量の測定法に従い、重量平均分子量を測定し、その値をスチレン重合体ブロックの重量平均分子量とした。
それぞれ上記のようにして求められた、ブロック共重合体の重量平均分子量から、対応するスチレン重合体ブロックの重量平均分子量を引き、その計算値に基づいてイソプレン重合体ブロックの重量平均分子量を求めた。
上記の高速液体クロマトグラフィの測定における、示差屈折計と紫外検出器との検出強度比に基づいて求めた。なお、予め、異なるスチレン単位含有量を有する共重合体を用意し、それらを用いて、検量線を作成した。
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
プロトンNMRの測定に基づき求めた。
2枚のフィルムを用いて、一方を成形時の溶融流れ方向に沿って測定し、他方を成形時の溶融流れ垂直方向に沿って測定した。測定手順は以下の通りである。ORIENTEC社製のテンシロン万能試験機RTC−1210を用いて、引張速度300mm/minで100%まで伸張させ、その過程における50%伸張時の引張応力を測定し、50%伸張時におけるフィルムの引張弾性率を求めた。なお、引張弾性率が高いものほど高い弾性率を有すると言え、(溶融流れ方向の引張弾性率/溶融流れ垂直方向の引張弾性率)の比が1に近いものほど引張弾性率の異方性が小さい。
ASTM 412に準拠して上記のテンシロン万能試験機を用いて測定した。具体的には、サンプル形状はDieAを使用し、伸張前の標線間距離を40mmとしてフィルムを伸び率200%で伸張させ、そのままの状態で10分間保持した後、はね返させることなく急に収縮させて、10分間放置後、標線間距離を測定し、下式に基づいて永久伸びを求めた。
永久伸び(%)=(L1−L0)/L0×100
L0:伸張前の標線間距離(mm)
L1:収縮させて10分間放置後の標線間距離(mm)
なお、この測定では、2枚のフィルムを用いて、一方を成形時の溶融流れ方向に沿って測定し、他方を成形時の溶融流れ垂直方向に沿って測定し、それぞれの値を記録した。
ブロック共重合体組成物の成形性(成形安定性)の指標として、フィルムの伸張粘度を測定した。測定手順は以下の通りである。測定装置としてTAインスツルメント社製のARESレオメーター、測定治具にARES−EVF伸張粘度測定冶具を用い、測定条件として伸張速度10秒−1、測定時間1.5秒、測定温度200℃で行った。サンプルとしてブロック共重合体を、150℃、2分間、熱プレスすることにより作成した厚さ1mmのフィルムを幅10mm、長さ20mm形状に切断したものを用いた。この条件により、フィルムの100%伸張時および350%伸張時の伸張粘度を測定した。100%伸張時の伸張粘度が高すぎると、成形性に劣るといえ、また、350%伸張時の伸張粘度が、100%伸張粘度に比べ低下した場合(350%時伸張粘度/100%時伸張粘度の値が1未満の場合)は、成形安定性に劣るといえる。
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する)2.2ミリモルおよびスチレン1.49kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム147.7ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン5.60kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、カップリング剤としてテトラメトキシシラン28.7ミリモルを添加して2時間カップリング反応を行い、スチレン−イソプレンカップリングブロック共重合体を形成させた。次いで、反応器にメタノール31.0ミリモルを添加することにより、一部のスチレン−イソプレンジブロック共重合体の活性末端を失活させた。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン2.91kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール295.4ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。なお、反応に用いた各試剤の量は、表1にまとめた。得られた反応液の一部を取り出し、各ブロック共重合体およびブロック共重合体組成物の重量平均分子量、各スチレン重合体ブロックの重量平均分子量、各イソプレン重合体ブロックの重量平均分子量、各ブロック共重合体のスチレン単位含有量、ブロック共重合体組成物のスチレン単位含有量ならびにイソプレン重合体ブロックのビニル結合含有量を求めた。これらの値は、表2に示した。
フィルム引き取り速度 :10m/min
押出機温度 :投入口140℃、T−ダイ160℃に調整
スクリュー :フルフライト
押出機L/D :42
T−ダイ :幅300mm、リップ1mm
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレン、テトラメトキシシラン、およびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のブロック共重合体組成物を回収し、ペレットとして、実施例2のフィルムを得た。実施例2のブロック共重合体組成物およびフィルムについては、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2および表3に示す。
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、TMEDA2.3ミリモルおよびスチレン2.20kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム156.0ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン5.60kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。この後、50〜60℃を保つように温度制御しながら、スチレン2.20kgを1時間にわたり連続的に添加した。スチレンの添加を完了した後、さらに1時間重合し、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体を形成させた。スチレンの重合転化率は100%であった。この後、重合停止剤としてメタノール312.0ミリモルを添加してよく混合し反応を停止した。得られた反応液の一部を取り出し、実施例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以下の操作は、実施例1と同様にして、比較例1のブロック共重合体組成物を回収し、ペレットとして、比較例1のフィルムを得て、このフィルムについて測定を行なった。その結果を表3に示す。
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレンおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして、比較例2のブロック共重合体組成物を回収し、ペレットとして、比較例2のフィルムを得た。比較例2のブロック共重合体組成物およびフィルムについては、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2および表3に示す。
耐圧反応器に、シクロヘキサン23.3kg、TMEDA8.6ミリモルおよびスチレン4.50kgを添加し、40℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム285.0ミリモルを添加し、50℃に昇温しながら1時間重合した。スチレンの重合転化率は100%であった。引き続き、50〜60℃を保つように温度制御しながら、反応器にイソプレン5.50kgを1時間にわたり連続的に添加した。イソプレンの添加を完了した後、さらに1時間重合した。イソプレンの重合転化率は100%であった。次いで、カップリング剤としてテトラメトキシシラン67.5ミリモルを添加して2時間カップリング反応を行い、スチレン−イソプレンカップリングブロック共重合体を形成させた。この後、活性末端を有するスチレン−イソプレンブロック共重合体が残留していると考えられる反応液に、メタノール570.0ミリモルを添加してよく混合し、活性末端を失活させた。得られた反応液の一部を取り出し、実施例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。以下の操作は、実施例1と同様にして、比較例3のブロック共重合体組成物を回収し、ペレットとして、比較例3のフィルムを得て、このフィルムについて測定を行なった。その結果は表3に示す。
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレンおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして、比較例4のブロック共重合体組成物を回収し、ペレットとして、比較例4のフィルムを得た。比較例4のブロック共重合体組成物およびフィルムについては、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表2および表3に示す。
スチレン、n−ブチルリチウム、TMEDA、イソプレンおよびメタノールの量を、それぞれ表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして、比較製造例のブロック共重合体組成物を製造し、ペレットとした。このブロック共重合体組成物について、実施例1と同様の測定を行なった。これらの値は、表2に示した。
用いるペレットを比較例4で得たペレット65部と比較製造例で得たペレット35部とを混合したものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5のフィルムを得た。この比較例5のフィルムについては、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表3に示す。
Claims (6)
- Ar1−D1−Ar2(Ar1およびAr2は、それぞれ、芳香族ビニル重合体ブロックを表わし、D1は共役ジエン重合体ブロックを表わす)で表わされるトリブロック共重合体と、
(Ar1−D2)n−X(D2は共役ジエン重合体ブロックを表わし、Xはカップリング剤の残基を表わし、nは2以上の整数である)で表わされる、カップリングブロック共重合体と、
を含んでなるブロック共重合体組成物を製造する方法であって、下記の(1)〜(5)の工程を有してなることを特徴とするブロック共重合体組成物の製造方法。
(1):溶媒中で重合開始剤を用いて、芳香族ビニル単量体を重合して、活性末端を有する芳香族ビニル重合体を形成する工程
(2):上記(1)の工程で得られる溶液に、共役ジエン単量体を添加して重合し、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する工程
(3):上記(2)の工程で得られる溶液に、ケイ素原子に直接結合したアルコキシ基を1分子あたり2個以上有するアルコキシシラン化合物をカップリング剤として添加することにより、溶液中の活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の一部をカップリングして、上記カップリングブロック共重合体を形成する工程
(4):上記(3)の工程で得られる溶液に、芳香族ビニル単量体を添加して重合することにより、活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体を形成し、次いで、重合停止剤を添加することにより、当該活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエン−芳香族ビニルブロック共重合体の活性末端を失活させて上記トリブロック共重合体を形成する工程
(5):上記(4)の工程で得られる溶液から、重合体成分を回収する工程 - 上記トリブロック共重合体のAr1およびAr2で表わされる2つの芳香族ビニル重合体ブロックが、互いに実質的に異なる重量平均分子量を有する、請求項1に記載のブロック共重合体組成物の製造方法。
- 上記のAr1で表わされる芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量が6000〜20000であり、上記のAr2で表わされる芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量が40000〜400000である、請求項2に記載のブロック共重合体組成物の製造方法。
- さらに、Ar1−D2で表わされるジブロック共重合体を含んでなる、上記ブロック共重合体組成物を製造する方法であって、
上記(2)の工程と上記(4)の工程との間に、さらに、下記(3´)の工程を有してなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のブロック共重合体組成物の製造方法。
(3´):上記(2)の工程で得られる溶液に、重合停止剤を添加することにより、溶液中の活性末端を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の一部の活性末端を失活させて上記ジブロック共重合体を形成する工程 - 請求項1〜4のいずれかに記載のブロック共重合体組成物の製造方法により製造されてなる、ブロック共重合体組成物。
- 芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを有してなり、上記トリブロック共重合体より大きな重量平均分子量を有し、かつ、全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量が、上記カップリングブロック共重合体より大きく、上記トリブロック共重合体より小さい重合体成分をさらに含有してなる、請求項5に記載のブロック共重合体組成物。
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