JP2005281706A - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を含有し、かつ(イ)/(ロ)の割合が20/80〜80/20(重量比)であって、(イ)と(ロ)との合計量を100重量部とした時に、(ハ)を1〜300重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で、混練機を用いて、100〜400℃の範囲で熱処理することを含む、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
(イ)モノビニル芳香族炭化水素−共役ジエンのブロック共重合体の水素添加物(Mw=20万〜45万、分子量≧40万の重合体含量:5重量%以上、分子量≦20万の重合体含量:20重量%以下)(ロ)ゴム用軟化剤(ハ)オレフィン系重合体。
【選択図】 なし
Description
即ち、本発明の目的は、熱可塑性エラストマーの優れた柔軟性、ゴム弾性、耐候性、機械的強度等の物性を損なうことなく、かつ軟化剤のブリードが少なく、高温でのゴム弾性(圧縮永久歪)が良好で、成形加工性に優れ、成形歪の少ない成形品を与えることができる、水添ブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
〔1〕下記(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を含有し、かつ(イ)/(ロ)の割合が20/80〜80/20(重量比)であって、(イ)と(ロ)との合計量を100重量部とした時に、(ハ)を1〜300重量部含む混合物を架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
(イ)重量平均分子量(以下「Mw」と記す)が20万〜45万のブロック共重合体の水素添加物であって、該ブロック共重合体の水素添加物中の分子量40万以上の重合体の割合が5重量%以上、かつ分子量20万以下の重合体の割合が20重量%以下である、下記一般式(1)又は(2)で示されるブロック共重合体の水素添加物、に存している。
(ロ)ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系重合体。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記のような優れた特性を有しているので、食品用途、日用雑貨用途、玩具・運動用具用途、デスクマットなどの文具用途、自動車内外装用途、土木シート・防水シートなどの土木・建築用途、AV・家電機器用途、OA・事務機器用途、衣料・履物用途、テキスタイル用途、カテーテルや医療機器のガスケット・キャップ類等の医療用途、紙オムツ・生理用品等の衛生用品、化学・鉱工業用資材、包装輸送用資材、農・畜・水産資材等の分野で広く用いることができる。
特に本発明の組成物に基づく成形品は加熱滅菌処理が施されるような医療機器用に用いると上述の効果が顕著に発揮されて好適である。
GPC:HLC−8020(東ソー製)
検出器:示差屈折率計RI−8010(東ソー製)
データ処理機:TriSEC(GPC Module Ver.3.0−ac)(Viscotek製)
カラム:TSKgel GMHHR 3本(東ソー製)
溶媒:テトラヒドロフラン(関東化学製 試薬特級)
温度:40℃
流速:1ml/min
注入量:0.1ml
濃度:2mg/ml
検量線:標準ポリスチレン(A−2500、A−5000、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−380、F−850(以上東ソー製))のGPC測定を行い、3次式で検量線を作成。また、BHTの溶出時間を用いて流量を補正。
重合体ブロック(A)の前記共重合体中に占める割合は10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。重合体ブロック(A)が10重量%未満の場合には、得られる熱可塑性エラストマーの機械的強度やゴム弾性が劣る傾向となる。また、重合体ブロック(A)が40重量%を越えると、柔軟性およびゴム弾性が劣る傾向になるとともに軟化剤がブリードしやすくなり、やはり好ましくない。
また、こうしたブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、あるいは特開昭59−133203号公報および特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。この水素添加処理においては、重合体ブロック(B)中のオレフィン性二重結合の少なくとも50%、好ましくは80%以上が水素添加され、かつ重合体ブロック(A)中の芳香族不飽和結合の25%以下のみが水素添加されるようにして行うのがよい。
本発明で(ロ)成分として用いられるゴム用軟化剤としては、特に制限はされないが鉱物油系又は合成樹脂系のものが好適である。
合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が使用できる。
本発明で(ハ)成分として用いられるオレフィン系重合体としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ポリブテン−1およびポリ4−メチルペンテン−1等が挙げられ、この内好ましいものはエチレン系重合体およびプロピレン系重合体である。中でもプロピレン系共重合体が特に好ましい。
このような配合成分として用いられるものは、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、架橋剤、架橋助剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物、前記必須成分以外の熱可塑性樹脂、前記必須成分以外のエラストマー、及びフィラー等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得るための方法としては、種々の方法があるが、中でも、上記成分(イ)〜(ハ)を前述の配合割合の範囲内で、必要に応じて付加的配合成分の項に記載したような添加物と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により混合し、次いでその混合物をバンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の混練機を用いて溶融混練した後、更に上記混練機により、過酸化物等の架橋剤の存在下で動的に熱処理してもよいし、溶融混練すると同時に、架橋剤を加えて動的に熱処理しても良い。動的に熱処理する時に、架橋助剤や酸化防止剤を併用してもよい。
上記〔2〕のビス、トリ或いはポリフェノール系化合物としては、4,4−ジヒドロキシジフェニル、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等が例示できる。
上記〔4〕の多価フェノールまたはその誘導体としては、ジ−tert−ブチルヒドロキシ等が例示できる。
上記〔6〕のジフェニルアミン系化合物としては、p−イソプロキシジフェニルアミン等が挙げられる。
上記〔7〕のp−フェニレンジアミン系化合物としては、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等を示すことができる。
架橋剤、架橋助剤及び酸化防止剤の使用量は、成分(イ)〜(ハ)からなる混合物100重量部に対して、架橋剤は0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部、架橋助剤は0〜5重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部、また酸化防止剤は0〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部とするのがよい。
架橋剤の添加量が0.1重量部未満では得られるエラストマー状組成物の成形加工性改良効果が小さく、射出成形時のゲート近傍でのデラミネーションの発生や、成形歪による高温時の変形が起こりやすくなる。また、この添加量が3重量部を超えると、架橋が速く起こりすぎるためか、成形加工性が悪化すると共に、機械的強度や伸びが低下する。
溶融混練等の動的熱処理の温度は、一般に100℃〜400℃の範囲、好ましくは150℃〜300℃の範囲、特に好ましくは180℃〜280℃の範囲である。又、処理時間は10秒間〜30分間、好ましくは20秒間〜20分間とするのがよい。
中でも、本発明の組成物を用いて成形された成形品を注射器用ガスケット、ダイアライザー部品、輸液用キャップ類等の医療機器用に使用するのが好適である。
これは、本発明の組成物が高温における圧縮永久歪が小さいため、組み立て後に加熱・滅菌処理が行なわれても嵌合強度やシール性が損なわれないためである。
<評価方法>
測定試料は、全てインラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械(株)製小型射出成形機:IS90B)にて、射出圧力500kg/cm2、射出温度220℃、金型温度30℃の条件下にて成形し、120mm×80mm×2mm厚シートの横方向打ち抜きにより作成した。
JIS−K6301に準拠し、JIS−A硬度を測定した。
(2)ゴム弾性
JIS−K6301に準拠し、70℃、100℃、及び130℃における圧縮永久歪(22時間)〔%〕を測定した。
(3)軟化剤のブリード
射出成形シートを常温下で30日間静置した後に表面のベタツキの有無を目視にて評価した。
上記の成形条件で得られた射出成形シートにおいて、ショートショットが無く、かつゲート近傍でのデラミネーションやフローマーク等の著しい外観不良が無い場合、成形加工性を良好とした。
(5)高温時の変形(成形歪)
射出成形シートを110℃のギヤオーブン中に60分間放置した後の、シートの変形の有無を確認した。
実施例および比較例で用いた各配合成分は次の通りである。
(イ)成分(イ−1〜イ−3)
モノビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物のブロック構造、重合体ブロック(A)および(B)を構成する単量体、重合体ブロック(A)の含有量、重量平均分子量、分子量40万以上の重合体含有量、分子量20万以下の重合体含有量は表1に示す通りである。
(ロ−1)鉱物油系ゴム用軟化剤:パラフィン系オイル
出光興産社製「PW380」
40℃動粘度:381.6cst
流動度 :−15℃
引火点 :300℃
(ハ)成分
(ハ−1)オレフィン系樹脂:ポリプロピレン
三菱ポリプロ「MA2P」(三菱化学(株)製)
MFR:22g/10分(230℃,2.16kg)
(ハ−2)オレフィン系樹脂:プロピレン・エチレン共重合体
三菱ポリプロ「BC1」(三菱化学(株)製)
MFR:33g/10分(230℃,2.16kg)
表2に示す配合量(重量部)にて配合した組成物の合計量100重量部に対して、架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(10時間半減期温度:118℃)0.3重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.45重量部、及びフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」)0.05重量部を添加し、L/D=33、シリンダー径45mmの二軸押出機を用いて200℃の温度にて溶融混練すると同時に動的に熱処理を行って熱可塑性エラストマー組成物を得た。
この組成物を用いて前記の通り射出成形を行なってシートとし、得られたシートを上記の評価に供した。これらの評価結果を表2に示す。
<比較例6,7>
架橋剤及び架橋助剤を添加しなかったこと以外は上記実施例と同様にして、表2に示す配合にて組成物を作成し、評価を行った。結果を表2に併せて示す。
表2に示す実施例1〜4の結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例1〜4に比べて柔軟性、ゴム弾性、成形加工性のバランスに優れ、かつ軟化剤のブリードが無く、さらに70℃での圧縮永久歪は同等であるものの、100℃以上の圧縮永久歪が、比較例の51〜61%に対して、41〜49%(100℃)、或いは比較例の63〜75%に対して52〜58%(130℃)と、著しく優れていることがわかる。
また、比較例6、7に比べ、デラミネーション等の成形不良も起きず、成形歪が少なくなっている。
Claims (6)
- 下記(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を含有し、かつ(イ)/(ロ)の割合が20/80〜80/20(重量比)であって、(イ)と(ロ)との合計量を100重量部とした時に、(ハ)を1〜300重量部含む混合物を、架橋剤の存在下で、混練機を用いて、100〜400℃の範囲で熱処理することを含む、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
(イ)重量平均分子量(以下「Mw」と記す)が20万〜45万のブロック共重合体の水素添加物であって、該ブロック共重合体の水素添加物中の分子量40万以上の重合体の割合が5重量%以上、かつ分子量20万以下の重合体の割合が20重量%以下である、下記一般式(1)又は(2)で示されるブロック共重合体の水素添加物。
式中Aはモノビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロック、Bは共役ジエン単位からなる重合体ブロックであり、nは1〜5の整数を示す。
(ロ)ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系重合体 - (イ)成分のブロック共重合体がスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びスチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種のブロック共重合体である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- (ロ)成分のゴム用軟化剤が鉱物油系ゴム用軟化剤である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- (ハ)成分のオレフィン系重合体がプロピレン系重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- (ハ)成分のオレフィン系重合体がプロピレン単独重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン系重合体である請求項4に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 架橋剤を(イ)、(ロ)、(ハ)の3成分の合計量に対して0.1〜3重量%用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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