JP2007002886A - ガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物及びガスケット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記の成分(a)、(b)及び(c)を含有することを特徴とするガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物。
(a)一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表され、重量平均分子量が15万〜100万であるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいエラストマー性重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)
(b)数平均分子量が700〜3000のブテン系液状重合体
(c)オレフィン系樹脂
【選択図】 なし
Description
しかしながら、加硫ゴム製ガスケットは、複雑な加硫工程を経るため大がかりな設備を必要とする上、イオウ、加硫促進剤、充填剤などの添加物を用いるため、特に、注射器の主用途である医療用などでは、溶出する可能性もあり安全衛生上好ましくない。
即ち、本発明の要旨は、下記の成分(a)、(b)及び(c)を含有することを特徴とするガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物及び該組成物を用いたガスケットに存する。
(b)数平均分子量が700〜3000のブテン系液状重合体
(c)オレフィン系樹脂
本発明のガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性エラストマーは、一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいエラストマー性重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)を含有することを必須とする。
されるブロック共重合体、又は、一般式[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合
体で表されるブロック共重合体の少なくとも何れか一方を含んでいるのが必須であるが、特に、一般式[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体を含んでいるのが、適当
なゴム弾性となりやすい点で好ましい。
また、エラストマー性重合体ブロックBにおける重合体を構成する単量体としては、重合体としてエラストマー性が発現される限り限定されるものではないが、使用温度がTg以上となるものが好ましい。また、ゴム弾性に優れている点では、共役ジエンからなるものが好ましい。該共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。このうちブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、ゴム弾性はブタジエンやイソプレンに劣るが、ガスバリア性に優れている点では、イソブチレンが好ましく、共役ジエンとイソブチレンの両方を含んでいる物が両方の長所を併せ持ったものとできることから、特に好ましい。
本発明における成分(a)のブロック共重合体としては、前記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であるのが好ましく、その場合、重合体ブロックB中の二重結合の水素添加率は、30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのが更に好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。水素添加率を高くすると、ガスケットとして耐熱性や耐候性などが向上する傾向となる。
B)n −A]で表されるブロック共重合体の両方が含まれている場合に異なっていてもよいが(例;[(A−B)2]と一般式[(A−B)3−A]等)、合成が容易な点からは、nは共に1であるのが好ましい。また、一般式[(A−B)n]でnが2以上の場合、複
数の重合体ブロックA及びBは、各々異なっていてもよいが(例;[A1−B1−A2−B2]、[A−B1−A−B2]、[A1−B−A2−B]等)、同一である方が合成容易なため好ましい。一般式[(A−B)n −A]中に重合体ブロックA、Bが複数ある場合についても同様に、各重合体ブロックA、Bは、異なってもよいが、同一である方が合成容易なため好ましい。更に、一般式[(A−B)n]及び一般式[(A−B)n −A]として、
各々、複数種の共重合体ブロックが含まれていてもよいが(例;[(A1−B1)n]と[
(A2−B2)n]、[(A1−B1)n −A1]と[(A2−B2)n −A2]等)、同一であ
る方が合成容易なため好ましい。また、一般式[(A−B)n]で表されるブロック共重
合体と[(A−B)n−A]で表されるブロック共重合体が両方含まれている場合、両ブ
ロック共重合体中の重合体ブロックA及びBは、各々、異なってもよいが(例;[(A1
−B1)n]と[(A2−B2)n −A2]等)、同一である方が合成容易なため好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、2種類以上のブロック共重合体を含んでいても良く、共役ジエンの共重合体とイソブチレンの共重合体の両方を含んでいるのが好ましい。
これらのブロック共重合体は、例えば、クレイトンポリマー社製「KRATON−G」、クラレ社製「セプトン」、旭化成社製「タフテック」として、それぞれ市販されている。
イソブチレン系ブロック共重合体は、例えば、一般式(CR1R2X)nR3 で表される
化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分とイソブチレンを主成分としない単量体成分を重合させることにより得られる。なお、式中Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアシロキシ基、R1、R2は、各々独立に水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基、R3は芳香族又は脂肪族の多価炭化水素基、nは1〜6の自然数を示す。Xのハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上
記炭素数1〜6のアルコキシル基及びアシロキシ基としては、特に限定されず、例えば、前者としては、メトキシ基、エトキシ基、n−又はイソプロポキシ基等が挙げられ、後者としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基等が挙げられる。上記一般式(CR1R2X)nR3で表わされる化合物は、重合開始剤となるものであり、ルイス酸等の存在下で炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になるものと考えられる。
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH3)2)3C6H3]、1,3
,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3,5−(ClC(CH3)2)3C6H3〕、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−
ブチル)ベンゼン〔1,3−(C(CH3)2Cl)2-5−(C(CH3)3)C6H3〕等が具体例として挙げられる。これらの中でも特に好ましいのは、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]、トリス(1−クロル−1−メ
チルエチル)ベンゼン[(ClC(CH3)2)3C6H3]である。なお、ビス(1−クロ
ル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン又はジクミルクロライドとも呼ばれ、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン又はトリクミルクロライドとも呼ばれる。
t2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等
の有機金属ハロゲン化物等を好適に使用することができる。中でも、触媒としての能力、工業的な入手の容易さから、TiCl4、BCl3、SnCl4が好ましい。ルイス酸の使
用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性又は重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は、上記一般式(CR1R2X)nR3で表される化合物に対して、0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
また、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックと水添されていてもよいイソブチレン系の重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーを製造する方法は、特に制限はないが、例えば、3つ以上のカチオン重合開始点を有する化合物の存在下に、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック及び水添されていてもよいイソブチレン系の重合体ブロックを重合する方法、ビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック及び水添されていてもよいイソブチレン系の重合体ブロックを重合して、ジブロック共重合体を製造後、多官能性化合物をカップリング剤(結合剤)として用いて、上記ジブロック共重合体をカップリング(結合)させる方法、等が挙げられる。上記多官能性化合物としては、1分子あたり3つ以上のカップリング可能な反応点(官能基)を有する化合物の他、1分子あたり2つの反応点を有する化合物が重合又は反応することにより重合体を形成して3つ以上の反応点(官能基)を有することができる場合を用いてもよい。
本発明のガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性エラストマーは、ブテン系液状重合体を含有することを必須とする。
ブテン系液状重合体としては、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン等の単独重合体、及びそれらを主成分とする共重合体等が挙げられるが、中でも、耐酸素透過性が良好な理由から、イソブテンの単独重合体、或いは、イソブテンを主成分とする1−ブテン又は/及び2−ブテンとの共重合体が好ましい。
本発明のガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性エラストマーは、成分(c)のオレフィン系樹脂を含有することを必須とする。
オレフィン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とした、プロピレン、1−ブテン等の他のα−オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のビニル単量体等との共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とした、エチレン、1−ブテン等の他のα−オレフィン等との共重合体等のプロピレン系樹脂;1−ブテンの単独重合体、1−ブテンを主成分とした、エチレン、プロピレン等の他のα−オレフィン等との共重合体等のブテン系樹脂等が挙げられる。これらのうち、密度が0.88g/cm3を超えるものが好ましく、耐熱
性に優れる理由から、プロピレン系樹脂が好ましく、具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、JIS K7203に準拠して測定した曲げ弾性率が200MPa以上、好ましくは300MPa以上、5GPa以下のものが好適である。また、JIS K7210に準拠して温度230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレートの下限が0.05g/10分であるのが好ましく、0.1g/10分であるのが特に好ましく、上限が200g/10分であるのが好ましく、100g/10分であるのが特に好ましい。メルトフローレートが上記下限以上である方が、熱可塑性エラストマー組成物としての成形加工性が良くなってガスケットの表面外観が良好になり易い傾向にあり、一方、上記上限以下である方が、ガスケットの機械的強度などが良好な傾向となる。
本発明において、前記成分(a)、(b)及び(c)を必須成分として含有する熱可塑性エラストマー組成物は、成分(a)と(b)の合計量に対する、成分(a)及び(b)の含有量(質量)が、各々、成分(a)の下限が30%であるのが好ましく、40%であるのが更に好ましく、同上限が70%であるのが好ましく、60%であるのが更に好ましく、成分(b)の上限が70%であるのが好ましく、60%であるのが更に好ましく、同下限が30%であるのが好ましく、40%であるのが更に好ましい。成分(a)が上記下限以上で、成分(b)が上記上限以下である方が、熱可塑性エラストマー、ひいてはガスケットとしての耐熱性(高温滅菌後の復元性)が良好になる傾向にあると共に、成分(b)のブリードによるガスケット表面のべたつきが生じ難い傾向となり、一方、成分(a)が上記上限以下で、成分(b)が上記下限以上である方が、熱可塑性エラストマーの成形加工性が良好になる傾向となると共に、ガスケットとしての柔軟性、ガスバリア性等が良好になる傾向となる。
本発明において、前記成分(a)、(b)及び(c)を必須成分として含有する熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、熱可塑性樹脂、ゴム、添加剤、充填材等の成分を含有していても構わないが、前記(a)〜(c)の必須成分を50質量%以上含んでいるのが好ましく、80質量%以上含んでいるのが特に好ましい。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、着色剤の他、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーに通常用いられる各種添加剤等を挙げることができる。
これらの成分は、前記必須成分(a)〜(c)のいずれかに予め含有させておいても、各成分の混合又は溶融混練時に配合するなどしてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常、前記各成分を均一に混合し、溶融混練することにより得られる。混合は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて行う。溶融混練は、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等の混練装置等を用いて、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは110〜280℃の温度で、好ましくは10秒〜30分、特に好ましくは20秒〜20分間行う。混練は、各成分を一括して混練しても、また各成分を分割して混練装置に供給する多段分割混練法を用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、架橋剤の存在下で動的に熱処理されて部分架橋されていてもよく、該処理により、熱可塑性エラストマー組成物、ひいてはガスケットに耐熱性等を付与することができる。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物;硫黄;フェノール系、マレイミド系、オキシム系、ポリアミン系等の架橋剤等が用いられるが、中でも、有機過酸化物が架橋の制御を行ないやすいため好ましい。好適な有機過酸化物としては、具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類;アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類等が挙げられる。中でも、1分間の半減期温度が140℃以上のものが好ましく、具体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が好ましい。架橋剤の使用量は、通常、成分(a)〜(c)の合計量(質量比)に対し、下限が0.1〜3%、好ましくは0.1〜%である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ガスバリア性及び耐熱性(高温滅菌後の復元性)が優れている。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のうち好ましいものは、後述の実施例に記載の条件で測定した水蒸気透過度が4.0g/m2・24h未満である。また、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物のうち好ましいものの酸素透過度は、後述の実施例に記載の条件で測定した場合、1×10-11モル/m2・秒・Pa未満である。そして、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のうち好ましいものの耐熱性は、後述の実施例に記載の条件で評価法で外観の変化が無い。
本発明のガスケットは、例えば、前記熱可塑性エラストマー組成物を、通常の射出成型法、押し出し成形、ブロー成形で成型することなどして作製される。成形温度は、熱可塑性エラストマーの組成等によって異なるが、好ましくは150〜250℃、より好ましくは170〜240℃である。ガスケットの形状は、用途に応じた適切な形状、サイズとなるが、通常は、円筒状で直径5〜50mmである。
本発明のガスケット用組成物からなるガスケットは、ガラス、PET等の各種素材を用いた注射器等に装着し用いることが可能であり、特に、密封性、ガスバリア性(特に、耐水蒸気透過性)、耐熱性(高温滅菌後の復元性)、及び安全衛生性、ゴム弾性、成形加工性が必要とされる分野に好適に用いることができる。
実施例、比較例で用いた各成分を以下に示す。
<成分>
成分(a−1):スチレン重合体ブロック−ブタジエン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33質量%、ブタジエンブロック中の水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000、ブタジエンブロック中の1,2−結合の割合37%、)。
成分(a′)(比較例用):スチレン重合体ブロック−ブタジエン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量31質量%、ブタジエンブロック中の水素添加率98%以上、重量平均分子量100,000、ブタジエンブロック中の1,2−結合の割合37%)。
、1−ブテン等が共重合したイソブテン共重合体、数平均分子量980、40℃での動粘度9500cst、流動点−7.5℃、引火点220℃)。
成分(b−2):日本石油化学(株)社製「HV300」(イソブチレンを主成分とし、1−ブテン等が共重合したイソブテン共重合体、数平均分子量1,400、40℃での動粘度26000cst、流動点0℃、引火点236℃)。
成分(B−2)(比較例用):日本石油化学(株)社製「HV3000」(イソブチレ
ンを主成分とし、1−ブテン等が共重合したイソブテン共重合体、数平均分子量3,700)。
成分(c−1):プロピレン単独重合体樹脂(日本ポリケム社製「EA9」、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重))。
前記各成分を表1に示す配合量(質量部)にて配合したエラストマー組成物の合計量100質量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」)0.1質量部を添加し、圧縮比L/D33、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて、前段110℃、後段200℃としてその間を徐々に昇温しつつ溶融混練し、これをダイよりストランド状に押出し、ペレタイザーにて切り出して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られたペレットをプレス成型して、水蒸気透過度及び酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。
前記ペレットから、厚み0.5mmのシートをプレス成形し、JIS K7129B
法に準拠して、40℃、90%RHでの水蒸気透過度を測定した。4.0g/m2・24h未満
を○:、4.0g/m2・24h以上を×とした。
前記ペレットから、厚み1mmのシートをプレス成形し、JIS K7129B法に
準拠して、23℃での酸素透過度を測定した。1×10-11mol/m2・sec・Pa未満を○、1×10-11モル/m2・sec・Pa以上を×とした。
また、上記ペレットから、インラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)で、射出圧力50MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件で、120mm×80mm×厚み2mmのシートを射出成形して、硬度、耐熱性、高温滅菌後復元性を測定した。結果を表1に示す。
前記厚み2mmの射出成型シートについて、JIS K6253に準拠してJIS A硬度を測定した。
前記厚み2mmの射出成型シートを120℃のギヤオーブン中に720時間静置した後、サンプルの状態を目視で観察し、オーブンに入れる前後で、外観の変化(表面のブリード及びべた付き)が無いものを良好、表面のブリード又はべた付きが生じたものを不良(ブリード)と評価した。
前記厚み2mmの射出成型シートについて、JIS−K6262準拠の圧縮永久歪みの測定治具を用い 以下の方法で加熱による厚み変化から、高温滅菌後復元性を評価した。
該シートを、直径30mmの円盤状に打ち抜きして試験片とした。シート6枚を隙間無く密着するように軽く抑えた状態で重ねた厚み(初期厚み)を測定した(初期厚みが12mm±0.05mmになるサンプルのみ選んだ。)。該6枚重ねサンプルを、上記圧縮永久歪みの測定治具に装着して、23℃ 50%RHの状態で48時間以上放置して圧縮(ここでの厚みは9.51mm)させた後、120℃のオーブンで2時間加熱を行い、取り出して、23℃ 50%RHで16時間放置してから、治具より外し、更に室温(23℃)に30分放置後の厚み(評価後の厚み)を測定した。厚み変化より、以下の式に基づいて、高温滅菌後復元性を残留歪み率として算出し、残留歪み率70%未満を「○」、70%以上を「×」と評価した。
(式中、X:サンプル初期厚み[mm]、Y:評価後の厚み[mm]、Z:残留歪み率[%])
更に、上記ペレットからガスケットを射出成形する際の成型加工性を評価するとともに、得られたガスケットを用いて、その密封性を評価した。結果を表1に示す。
上記ペレットからインラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)で、射出圧力60MPa、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件で、直径23.5mm、厚み6mmのガスケットを射出成形した。射出成形時の成形品外観について、著しい外観不良も無い場合を「良好」、この何れかが認められた場合を「不良」と評価した。
上記ガスケットについて、シリンジとの密着部を含む全体に、シリコンsh200−100csを刷毛によって塗布した。これを、テルモ株社製シリンジ「SS−30ESz」(30mml)の筒体に挿入した(挿入位置は、ガスケット先端稜線20mmlの稜線の目盛りの位置にあわせた。また、該シリンジは、滅菌処理済みであり、押し子、ガスケットを取り外し、筒体部分およびキャップ部分のみを使用した。)。シリンジに、別の注射器等を用いて、先端から20mmlの蒸留水を充填してから、該先端部を市販の付属キャップで封じた。
蒸留水が漏れ無い様に押さえた状態で、シリンジ付属の押し子により、ガスケット部分を5Nの力で押し込み、30秒間保持し、ガスケットとシリンジとの密着面における蒸留水の漏れの程度を目視観察した。ガスケット押し込み方向の後方に蒸留水が染み出して外部に漏れた、又は、ガスケットとシリンジとの密着面に蒸留水が沁みだした場合を「×」、同漏れも染み出しも無かった場合を「○」と評価した。
得られたペレットを用い、熱可塑性エラストマー組成物としての医療衛生性を測定し、結果を表1に示した。医療衛生性は、厚み約0.5mmシートをプレス成形し、日本薬局方の「プラスチック製医薬品容器試験法(プラスチック製水性注射剤容器規格)」及び「輸液用ゴム栓試験法」を実施した。
Claims (6)
- 下記の成分(a)、(b)及び(c)を含有することを特徴とするガスケット用の熱可塑性エラストマー組成物。
(a)一般式[(A−B)n]及び/又は[(A−B)n−A]で表され、重量平均分子量が15万〜100万であるブロック共重合体(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロックを示し、Bは水添されていてもよいエラストマー性重合体ブロックを示し、nは1〜5の整数である。)
(b)数平均分子量が700〜3000のブテン系液状重合体
(c)オレフィン系樹脂 - 前記成分(c)がプロピレン系樹脂である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記重合体ブロックAがスチレンの重合体ブロックであり、重合体ブロックBが共役ジエンの重合体ブロックである請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記重合体ブロックAの含有量(質量)が10〜50%であり、且つ、重合体ブロックBがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン共重合体ブロックである請求項1乃至3の何れかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(a)及び(b)の含有量(質量)が、成分(a)と(b)の合計量に対して、成分(a)が30〜70%、成分(b)が70〜30%であり、且つ、前記成分(c)の含有量(質量)が、成分(a)と(b)の合計量100質量部あたり、1〜50質量部である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1乃至5の何れかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いたガスケット。
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