JP2001200103A - 建築物振動減衰用粘弾性体 - Google Patents

建築物振動減衰用粘弾性体

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JP2001200103A
JP2001200103A JP2000013481A JP2000013481A JP2001200103A JP 2001200103 A JP2001200103 A JP 2001200103A JP 2000013481 A JP2000013481 A JP 2000013481A JP 2000013481 A JP2000013481 A JP 2000013481A JP 2001200103 A JP2001200103 A JP 2001200103A
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building
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polymer
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JP2000013481A
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Kazumasa Nakakita
一誠 中北
Atsushi Shimada
島田  淳
Atsushi Miyaji
淳 宮地
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Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】建築用ダンパー等を構成する振動減衰材料とし
て好適な建築物振動減衰用粘弾性体、および、建築物振
動減衰用粘弾性体を用いた建築用ダンパー、建築用アイ
ソレータを提供。 【解決手段】ポリマー100重量部中、分子量が10万
以下の低分子量ポリマーを25〜49重量部、および、
ポリノルボルネンゴムを4〜16重量部含有するポリマ
ーを含み、下記(1)〜(5)の条件を満たす建築物振
動減衰用粘弾性体:(1)200%変形時の等価減衰定
数が0.24以上、(2)200%変形時の動的剪断弾
性係数が0.127[MPa]以上、(3)3%変形時
の動的剪断弾性係数が6.86[MPa]以下、(4)
−10℃と20℃での複素弾性率(E* )の比が4.0
以下、(5)3%変形時と200%変形時との動的剪断
弾性係数の比が40以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物振動減衰用
粘弾性体に関し、詳しくは、大変形時に高い減衰性を示
し、剛性の歪み依存性、温度依存性が低く、建築物の振
動減衰用に使用される建築用ダンパー、建築用アイソレ
ータを構成する振動減衰材料として好適な建築物振動減
衰用粘弾性体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物では、地震や風等の外乱に
よって生ずる振動を吸収し減衰させ、さらにその伝達を
緩和軽減するために、建築用ダンパーや建築用アイソレ
ータが利用されている。建築用ダンパーは、それを構成
する素材のエネルギー吸収能力を利用して、振動エネル
ギーを吸収するものであって、鋼材等の金属に現れる塑
性効果を利用したもの、オイル等の粘性効果を利用した
ものがあるが、近年、建築用ダンパーとして、粘弾性体
からなる粘弾性シートと鋼板とを交互に積層した長尺の
積層体であって、粘弾性体の特性を利用したブレースダ
ンパー(粘弾性ダンパーとも言われる)が検討されてい
る。これらのダンパーは、建築構造物の補強部材とし
て、建築物の柱と梁に斜方向に張設される。建築用アイ
ソレータは、振動を吸収し、あるいはその伝達を防止す
る装置であって、鋼板とゴム板とを交互に積層した免震
ゴムなどがある。上下階の柱間に設置されるものや、剛
体建築物と基礎土台との間に設置されるものなどがあ
る。
【0003】これらの建築用ダンパーや建築用アイソレ
ータには、地震による震動のような大きな揺れを減衰さ
せるばかりでなく、風などによる震動のような小さな揺
れに対しても高い減衰性が要求される。従来の建築用ダ
ンパーや建築用アイソレータに用いられる振動減衰材料
の粘弾性体は、歪みに対する剛性の依存性が大きく、特
に低振幅時に剛性が高くなるという問題点を持ってい
る。従って、地震のように大きな揺れに対しては十分な
制震効果を発揮しても、風のような小さな揺れに対して
は十分な制震効果を発揮できなかった。従来の振動減衰
材料としては、天然ゴムと石油系炭化水素樹脂とを配合
した、破断特性やクリープ特性に優れ、大変形の振動減
衰性が良好な振動減衰材料(特開平9−25363号、
特開平9−25364号各公報参照)、天然ゴムとアク
リロニトリル−ブタジエンゴムとポリエーテル系可塑剤
とを配合して加硫させた振動減衰材料(特開平4−21
4746号公報)や、特に建築分野における骨格構造形
成材料の衝撃的な変位や振動を吸収する粘弾性ダンパー
を構成する素材として好適な高減衰性ポリウレタン化合
物(特開平10−330451号公報参照)等がある
が、これらは減衰性や剛性の歪み依存性については考慮
されていない。また、剛性の温度依存性が大きいという
問題点も持っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、大変形時に高い減衰性を示し、剛性の歪み依存性、
温度依存性が低く、建築物の振動減衰用に使用される建
築用ダンパー、建築用アイソレータを構成する振動減衰
材料として好適な建築物振動減衰用粘弾性体、および、
建築物振動減衰用粘弾性体を用いた建築用ダンパー、建
築用アイソレータを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
検討を進めた結果、等価減衰定数、動的剪断弾性係数、
複素弾性率等、およびこれらの物性を達成する組成とし
て、好適な範囲が存在し、この物性を満足する粘弾性体
によりなる建築用ダンパー、建築用アイソレータが優れ
た減衰性能を示すことを知見し、本発明を完成した。す
なわち、本発明は、ポリマー100重量部中、分子量が
10万以下の低分子量ポリマーを25〜49重量部、お
よび、ポリノルボルネンゴムを4〜16重量部含有する
ポリマーを含み、下記(1)〜(5)の条件を満たす建
築物振動減衰用粘弾性体を提供する: (1)200%変形時の等価減衰定数(heq(200
%))が0.24以上、(2)200%変形時の動的剪
断弾性係数(Geq(200%))が0.127[MP
a]以上、(3)3%変形時の動的剪断弾性係数(Geq
(3%))が6.86[MPa]以下、(4)振動数2
0Hz、振幅10±2%伸長での、−10℃と20℃で
の複素弾性率(E* )の比((−10℃、2%変形時の
複素弾性率E* )/(20℃、2%変形時の複素弾性率
* ))が4.0以下、(5)3%変形時の動的剪断弾
性係数(Geq(3%))と、200%変形時の動的剪断
弾性係数(Geq(200%))との比(Geq(3%))
/(Geq(200%))が40以下。
【0006】さらに、前記ポリマー100重量部に対
し、窒素吸着比表面積が150〔m2/g〕以上のカー
ボンブラックを60〜100重量部含有するのが好まし
い。
【0007】さらに、前記ポリマー100重量部に対
し、C9 系の芳香族不飽和炭化水素の(共)重合体及び
/又はC9 系の芳香族不飽和炭化水素とC5 系の脂肪族
不飽和炭化水素との共重合体である熱可塑性炭化水素樹
脂を50〜70重量部含有するのが好ましい。
【0008】さらに、前記ポリマー100重量部に対
し、加硫系として、イオウを1.5〜3重量部、スルフ
ェンアミド系加硫促進剤を0.8〜2.5重量部含有す
るのが好ましい。
【0009】本発明は、前記建築物振動減衰用粘弾性体
を用いた建築用ダンパーを提供する。
【0010】さらに、本発明は、前記建築物振動減衰用
粘弾性体を用いた建築用アイソレータを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の建築物振動減衰用粘弾性体(以下、本発明の粘
弾性体と記す)は、下記の物性を有する。
【0012】(1)2軸剪断試験機による0.5Hz、
200%変形時の等価減衰定数(heq(200%))が
0.24以上、好ましくは0.25以上である。なお、
eq(200%)は、引張速度500mm/minで、
200%繰り返し伸張させた際の5回目の、粘弾性体に
かかる応力と、応力増加期の歪み、応力減少期の歪みを
測定しこれよりヒステリシスカーブを得て、ヒステリシ
スカーブに囲まれた面積を、応力増加期のヒステリシス
カーブとヒステリシスカーブの最大値を与える点からお
ろした垂線と歪みの大きさを与える軸とで囲まれた面積
で割った面積比として算出した。これは、粘弾性体に働
いた応力に対する、粘弾性体の、変形、発熱等によるエ
ネルギー損失(ロス)の比に相当する。heq(200
%)が上記範囲であれば、地震等により建築物に大きな
変形が加わった場合、粘弾性体によるエネルギーロスが
十分に大きく、減衰性が大きくなり、ひいては粘弾性体
を用いた建築用ダンパーや建築用アイソレータ等による
減衰性が大きくなり、建築物の変形の振動の吸収を高め
ることができる。
【0013】(2)2軸剪断試験機による0.5Hz、
200%変形時の動的剪断弾性係数(Geq(200
%))が0.127[MPa]以上、好ましくは0.2
94[MPa]以上である。Geq(200%)が上記範
囲であることにより、粘弾性体に大変形が加わった場合
の剛性が低くなりすぎず、本発明の粘弾性体を用いた建
築用ダンパーや建築用アイソレータ等を使用した建築物
が、地震等に対して大変形時にある程度の剛性を保つこ
とができる。
【0014】(3)2軸剪断試験機による0.5Hz、
3%変形時の動的剪断弾性係数(Geq(3%))が6.
86[MPa]以下、好ましくは4.90[MPa]以
上である。Geq(3%)が上記範囲であることにより、
小変形時におけるせん断剛性が低く、本発明の粘弾性体
を用いた建築用ダンパーや建築用アイソレータ等のせん
断剛性が低くなり、小変形時における減衰効果を損なう
ことがなく、これにより小振幅時に剛性が高くなるとい
う一般の粘弾性体の問題点を避けることができる。
【0015】(4)振動数20Hz、振幅10±2%伸
長での、−10℃と20℃での複素弾性率(E* )の比
((−10℃、2%変形時の複素弾性率E* )/(20
℃、2%変形時の複素弾性率E* )=(E* −10/2
0))が4.0以下、好ましくは3.4以下である。本
発明の粘弾性体の複素弾性率E* の比、(E* −10/
20)は、粘弾性体の複素弾性率E* の温度依存性を表
し、上記範囲であれば、粘弾性体の複素弾性率E* の温
度依存性が低く、本発明の粘弾性体の減衰性能が発揮さ
れる適用温度範囲が十分に広く好ましい。特に、低温
時、粘弾性体が硬くなることなく、寒冷地や冬季であっ
ても減衰性能に優れる。なお、複素弾性率E* の温度依
存性は、JIS K 7198に記載の方法に準拠し
て、−10℃、20℃において、粘弾性体に、振動数2
0Hzで10%の初期伸長を加えた上で、±2%の変形
(ひずみ)を加え、粘弾性スペクトロメータを用いて測
定した応力と変位とから複素弾性率を求め、得られた値
の比を算出することにより求めることが出来る。この値
が1に近いほど温度依存性が小さい。
【0016】(5)3%変形時の動的剪断弾性係数(G
eq(3%))と、200%変形時の動的剪断弾性係数
(Geq(200%))との比((Geq(3%))/(G
eq(200%)=(Geq3%/200%))が40以
下、好ましくは20以下である。本発明の粘弾性体の動
的剪断弾性係数の比、(Geq3%/200%)は、粘弾
性体の動的剪断弾性係数の歪み依存性を表し、上記範囲
であれば、粘弾性体の剛性の歪み依存性が低く、地震に
よる震動のような大きな揺ればかりでなく、風などによ
る震動のような小さな揺れに対しても、減衰性能に優れ
る。
【0017】上記(1)〜(5)の条件をみたすことに
より、本発明の粘弾性体は、地震による震動のような大
きな揺れに対しても減衰性に優れるばかりでなく、風な
どによる振動のような小さな揺れに対しても減衰性を示
し、さらにせん断剛性の温度依存性が小さい。このよう
な本発明の粘弾性体は、ポリマー100重量部中、分子
量が10万以下の低分子量ポリマーを25〜49重量
部、ポリノルボルネンゴムを4〜16重量部を含み、さ
らに、その他のポリマー分を合わせてポリマーとする。
分子量が10万以下の低分子量ポリマーを配合すること
により、微少変形時の粘弾性体のモジュラス(動的剪断
弾性係数Geq)の急激な上昇を低減することができる。
さらに本発明の粘弾性体を粘弾性シートとして用いる建
築用ダンパーや建築用アイソレータの動的剪断弾性係数
(Geq)を低くすることができる。本発明に用いる低分
子量のポリマーとしては、分子量が10万以下である。
分子量が10万以下の低分子量ポリマーとしては、具体
的には、分子量が10万以下の液状ポリイソプレン、液
状ポリブタジエン、液状スチレン・ブタジエンゴム、液
状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状ポリクロロ
プレン、液状ポリ(オキシプロピレン)等が挙げられ
る。これらの中でも、液状ポリイソプレン(液状I
R)、液状ポリブタジエン(液状BR)が、ゴムとの相
溶性がよいので好ましい。分子量が10万以下の低分子
量ポリマーの配合量は、本発明の粘弾性体に含有される
ポリマーの合計100重量中、25〜49重量部であ
り、30〜40重量部が好ましい。この範囲であると、
得られる本発明の粘弾性体の微少変形時のモジュラスを
低くできる。49重量部超用いると、大変形時のモジュ
ラスが低下し、加工性(密着性)も低下する。
【0018】本発明の粘弾性体のポリマーは、ポリノル
ボルネンゴムを含有する。ポリノルボルネンゴムを含有
すると、大変形時の減衰性が優れたものとなる。ポリノ
ルボルネンゴムは、一般にエチレンとシクロペンタジエ
ンからディールスアルダー反応により得られるノルボル
ネンを開環重合して得られるゴムである。このゴムは、
分子量が200万以上と極めて高く、ガラス転移温度が
35℃であって、室温で樹脂状もしくは粉末状である。
一般に、ポリノルボルネン単味の粉末状で用いることも
でき、また、油や樹脂を加えた油展品、樹脂伸展品とし
て用いることもできる。ポリノルボルネンゴムの配合量
は、油展品や樹脂伸展品から油や樹脂を差引いたポリマ
ー分として、本発明の粘弾性体に含有されるポリマーの
合計100重量中、4〜16重量部であり、8〜12重
量部が好ましい。この範囲であると、大変形時の減衰性
能を高めることができる。16重量部超では、剛性の温
度依存性が大きくなり、微少変形時のモジュラスが大き
くなり好ましくない。また、ポリノルボルネンを含有す
る粘弾性体をロール等で混練する際、粘弾性体がロール
に密着して剥がれないということなく混練でき、練り効
率すなわち加工性が良好となり好ましい。
【0019】本発明の粘弾性体のポリマーに、分子量が
10万以下の低分子量ポリマー、ポリノルボルネンゴム
以外に含有することのできるその他のポリマー分として
は、上記本発明の特性(1)〜(5)を損なわないポリ
マーなら特に限定はなく、例えば、天然ゴム(NR)、
イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ク
ロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SB
R)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合
体(SIS)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチ
ルゴム(臭素化、塩素化等)、エチレン−プロピレン−
ジエンゴム(EPDM)、エポキシ化天然ゴム、tra
ns−ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム(SB
R)等が挙げられる。さらに、本発明の粘弾性体が上記
特性(1)〜(5)を有する範囲で、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイ
ロン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。これら
の中でも、天然ゴム、イソプレンゴムは減衰性、加工性
等のバランスがよく好ましく、また、ブタジエンゴム
は、耐寒性に優れ好ましい。スチレン・ブタジエンゴム
は、耐老化性、加工性等のバランスがよく好ましい。こ
れらのポリマーは1種単独でも2種を併用してもよい。
このようなその他のポリマーの配合量は、上述の分子量
が10万以下の低分子量ポリマーとポリノルボルネンゴ
ムと共に合わせて合計でポリマーが100重量部となる
量とする。
【0020】本発明の粘弾性体に好ましく用いられるカ
ーボンは、窒素吸着比表面積(N2SA)が150〔m
2 /g〕以上であり、より好ましくは150〜200
〔m2/g〕である。N2 SAが150〔m2 /g〕以
上のカーボンを用いると、弾性率が低減し、減衰性能が
高い。N2 SAがこのような範囲の値をとるカーボンと
しては、SAFがある。このようなカーボンブラックの
配合量は、ポリマー100重量部に対し、好ましくは6
0〜100重量部、より好ましくは70〜90重量部で
ある。この範囲であれば、粘弾性体製造時の加工性(未
加硫時粘度)が良好で、得られる本発明の粘弾性体の大
変形時の減衰性が大きく、微少変形時の動的剪断弾性係
数(Geq)が低減される。
【0021】本発明の粘弾性体に好ましく用いられる熱
可塑性炭化水素樹脂は、C9 系の芳香族不飽和炭化水素
の(共)重合体及び/又はC9 系の芳香族不飽和炭化水
素とC5 系の脂肪族不飽和炭化水素との共重合体であ
る。このような熱可塑性樹脂を配合すると、大変形時の
減衰性を高めることができる。C9 系の芳香族不飽和炭
化水素としては、ナフサの熱分解により得られるC9
分中に含まれるα−メチルスチレン、o−ビニルトルエ
ン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等のビニ
ル置換芳香族炭化水素等があげられる。また、C9 系の
芳香族不飽和炭化水素と共重合されるC5 系の脂肪族不
飽和炭化水素としては、ナフサの熱分解により得られる
5 留分中に含まれるペンテン−(1)、ペンテン−
(2)、2−メチルブテン−(1)、3−メチルブテン
−(1)、2−メチルブテン−(2)等のオレフィン系
炭化水素や、2−メチルブタジエン−(1,3)、ペン
タジエン−(1,2)、ペンタジエン−(1,3)、3
−メチルブタジエン−(1,2)等のジオレフィン系炭
化水素等があげられる。これらは、適当な触媒の存在下
で、フリーデル−クラフツ反応等により重合あるいは共
重合可能である。C9 系の芳香族不飽和炭化水素の
(共)重合体としては、ハイレジンRS−9、ハイレジ
ンRS−21(いずれも東邦化学工業社製)等が、ま
た、C9 系の芳香族不飽和炭化水素とC5 系の脂肪族不
飽和炭化水素との共重合体としては、ハイレジン#9
0、ハイレジンQPA(いずれも東邦化学工業社製)等
が挙げられる。なお、ここで、C9 系の芳香族不飽和炭
化水素の(共)重合体とは、一種のC 9 系の芳香族不飽
和炭化水素の重合体と、二種以上のC9 系の芳香族不飽
和炭化水素の共重合体のいずれをもいう。また、C9
の芳香族不飽和炭化水素とC5 系の脂肪族不飽和炭化水
素との共重合体は、C9 系の芳香族不飽和炭化水素ユニ
ットが60モル%以上であるものが好ましく、90モル
%以上であるものがさらに好ましい。C5 系の脂肪族不
飽和炭化水素ユニットが多くなるに従い、該共重合体の
軟化点が低下する傾向にある。本発明に用いる熱可塑性
炭化水素樹脂は、ポリマーの物性に対し、その分子量及
び二重結合の反応性が影響を与えるので、軟化点(JIS
K2207 )が50〜150℃、臭素価(JIS K2543 )が1
5〜60Br・g/100gの範囲内のものが好まし
い。軟化点の低いものは、使い勝手も悪い。本発明の粘
弾性体は、ポリマー100重量部に対し、熱可塑性炭化
水素樹脂を好ましくは50〜70重量部、より好ましく
は55〜65重量部含有する。上記範囲であれば、大変
形時の減衰性に優れ、また大変形時にある程度の剛性を
保持し剛性の歪み依存性が小さく、温度依存性も小さ
い。さらに、加工性(密着性)も良好である。
【0022】本発明の粘弾性体は、好ましくは、加硫系
として、イオウとスルフェンアミド系加硫促進剤とを特
定量含有する。これによりポリノルボルネン等のポリマ
ー間の共架橋を良好とし架橋密度を高くし、微少変形時
の動的剪断弾性係数(Geq)の上昇の割りには、大変形
時の動的剪断弾性係数(Geq)を大きくすることがで
き、結果として動的剪断弾性係数(Geq)の歪み依存性
が低減される。イオウの配合量は、前述のポリマー10
0重量部に対し好ましくは1.5〜3重量部、より好ま
しくは2〜2.5重量部である。スルフェンアミド系加
硫促進剤としては、N−オキシジエチレン−2−ベンゾ
チアジル・スルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2
−ベンゾチアジル・スルフェンアミド(CZ)等が用い
られる。スルフェンアミド系加硫促進剤の配合量は、ポ
リマー100重量部に対し好ましくは0.8〜2.5重
量部、より好ましくは1.0〜2.0重量部である。イ
オウとスルフェンアミド系加硫促進剤の配合量がこの範
囲であると、動的剪断弾性係数(Geq)の歪み依存性が
低減され、さらに粘弾性体の空気老化性も低く良好であ
る。
【0023】本発明の粘弾性体は、前述した特性(1)
〜(5)を満たし、上記ポリマーを含み、好ましくは上
記カーボン、熱可塑性炭化水素樹脂、もしくは加硫系を
含有し、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、充
填剤、イオウ以外の加硫剤、スルフェンアミド系加硫促
進剤以外の加硫促進剤、老化防止剤、加工助剤等を配合
することができる。
【0024】本発明の粘弾性体の製造方法としては、特
に限定はなく従来公知の方法、例えば、加硫剤、加硫促
進剤以外の各成分を、先ずバンバリーミキサー等で混練
し、ついで、混練ロール機等にて加硫剤、加硫促進剤を
混練する方法を例示することができる。
【0025】本発明の建築物振動減衰用粘弾性体は、上
述の構成を採ることにより、剛性の歪み依存性が低く、
地震波等による大変形時に高い減衰性とある程度の剛性
を示し、微少変形時の剛性が低いため風等による小変形
に対しても減衰効果を示す。さらに剛性の温度依存性が
低いので、四季を通じて安定した減衰性能を発揮する。
このような本発明の建築物振動減衰用粘弾性体は、建築
用ダンパー、建築用アイソレータを構成する建築用減衰
材料としての粘弾性シートとして好適に用いることがで
きる。本発明において建築用ダンパーは、そのせん断変
形時のエネルギーロスをダンピング効果とし良好に利用
し得る形状であればよく、形状は特に限定されない。好
ましくは、本発明の粘弾性体を長尺のシート状にし、鋼
板等の金属板と多層に貼り合わせて構成する。好ましく
は、本発明の建築用ダンパーは重力方向に対し斜方向と
なるよう設置され、例えば建築物の柱と梁とに張設され
る。本発明において建築用アイソレータは、鋼板等の金
属板と、本発明の粘弾性体からなる粘弾性シートを交互
に積層した構造を採るのが好ましく、その形状は限定さ
れないが、円形、方形、あるいは多角形としてもよい。
好ましくは、本発明の建築用アイソレータは、軸方向が
重力方向であるよう設置され、例えば、剛性建築物と基
礎土台との間に設置される。このように、本発明の粘弾
性体を、建築用ダンパー、建築用アイソレータの粘弾性
シートとして用いると、建築用ダンパー、建築用アイソ
レータは、高い減衰性能を示し、その減衰性および剛性
は温度依存性が低く、広い適用温度範囲で優れた制震性
能を発揮する。また、振幅の大きな振動ばかりでなく、
小さな振動にも十分な制震性能を示す。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 (実施例1〜12、比較例1〜12)下記第1表に示す
組成で混合して、得られた組成物を148℃で60分間
加熱加硫し、粘弾性体を得た。下記の方法で、未加硫時
の粘弾性体について加工性を、得られた粘弾性体につい
て、動的貯蔵弾性率を求めその温度依存性を評価した。
【0027】<加工性(ロール密着性)>第1表に示す
組成で混合した後、得られた組成物に硫黄、加硫促進剤
(CZ)、加硫助剤(ステアリン酸)を8インチの試験
用練りロール機で混練した際の、組成物のロールへの密
着性を目視にて評価した。表中、○は組成物がロールに
ほとんど密着せず混練を極めて良好に行えたことを、×
はロールへの組成物の密着が顕著で混練が困難であった
ことを示す。 <温度依存性>得られた粘弾性体を、JIS K 71
98に記載の方法に準拠して、−10℃、20℃におい
て、振動数20Hzで10%の初期伸長を加えた上で、
±2%の変形(ひずみ)を加え、粘弾性スペクトロメー
タを用いて応力と変位を測定した。測定した応力と変位
とから複素弾性率を求め、−10℃、20℃での複素弾
性率の比、((−10℃、2%変形時の複素弾性率
* )/(20℃、2%変形時の複素弾性率E* )=
(E* −10/20))を算出して評価した。結果を第
1表に示す。
【0028】実施例1〜12、比較例1〜12の組成で
未加硫の粘弾性シート(厚さ10mm)を作製し、鋼板
(100mm×100mm×20mm)2枚と重ね合わ
せ、130℃で90分間加熱加硫接着し、粘弾性積層体
サンプルを作製した。作製したサンプルを用いて、振動
吸収特性、動的剪断弾性係数Geqを測定した。 <振動吸収特性>上記サンプルを用いて、2軸剪断試験
機による0.5Hz、200%歪時の等価減衰定数heq
を求め振動吸収特性として評価した。 <動的剪断弾性係数Geq>上記サンプルを用いて、2軸
剪断試験機による0.5Hz、3%、200%歪時の動
的剪断弾性係数を測定した。 <歪み依存性>3%歪時の動的剪断弾性係数を、200
%歪時の動的剪断弾性係数で割って歪み依存性として評
価した。結果を第1表に併せて記す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】<表中の各成分> 低分子量ポリマー BRX5000:液状BRゴム、日本ゼオン社製 分子量5,000 ポリマー分以外の液状BR分はオイル分として計算。 ポリマー100重量部の中には含まない。 液状IR:LIR−50、クラレ社製 分子量50,000 NSX15AR:ポリノルボルネン、日本ゼオン社製、
60重量%油展品ポリマー分を「内ポリノルボルネン」と
して示した。 カーボンブラック:SAF級、テストカーボン N2 SA=195 シリカ:トクシールGU、(株)トクヤマ社製 亜鉛華:亜鉛華3号、正同化学社製 ステアリン酸:LUNAC YA、花王社製 老化防止剤:オゾノン6C、精工化学社製 熱可塑性炭化水素樹脂:エクスソロンV120(クマロ
ンインデン樹脂、新日鉄化学工業社製) アロマオイル:出光興産社製 硫黄:粉末イオウ、軽井沢精練所製 加硫促進剤CZ:ノクセラーCZ、大内新興化学社製
【0033】
【発明の効果】本発明の建築物振動減衰用粘弾性体は、
剛性の歪み依存性が低く、地震波等による大変形時に高
い減衰性とある程度の剛性を示し、微少変形時の剛性が
低いため風等による小変形に対しても減衰効果を示す。
さらに剛性の温度依存性が低いので、四季を通じて安定
した減衰性能を発揮する。従って、建築用ダンパー、建
築用アイソレータの振動減衰材料としての粘弾性シート
として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 9:00 C08L 9:00 65:00) 65:00) (72)発明者 宮地 淳 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 Fターム(参考) 3J048 AA01 BA18 BD04 EA38 4J002 AC011 AC031 AC032 AC061 AC062 AC071 AC072 AC081 AC082 AC091 AC092 BB151 BB181 BB241 BC084 BC094 BP011 CD181 CE003 CH022 DA036 FD016 GL00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリマー100重量部中、分子量が10万
    以下の低分子量ポリマーを25〜49重量部、および、
    ポリノルボルネンゴムを4〜16重量部含有するポリマ
    ーを含み、下記(1)〜(5)の条件を満たす建築物振
    動減衰用粘弾性体: (1)200%変形時の等価減衰定数(heq(200
    %))が0.24以上、(2)200%変形時の動的剪
    断弾性係数(Geq(200%))が0.127[MP
    a]以上、(3)3%変形時の動的剪断弾性係数(Geq
    (3%))が6.86[MPa]以下、(4)振動数2
    0Hz、振幅10±2%伸長での、−10℃と20℃で
    の複素弾性率(E* )の比((−10℃、2%変形時の
    複素弾性率E* )/(20℃、2%変形時の複素弾性率
    * ))が4.0以下、(5)3%変形時の動的剪断弾
    性係数(Geq(3%))と、200%変形時の動的剪断
    弾性係数(Geq(200%))との比(Geq(3%))
    /(Geq(200%))が40以下。
  2. 【請求項2】さらに、前記ポリマー100重量部に対
    し、窒素吸着比表面積が150〔m2/g〕以上のカー
    ボンブラックを60〜100重量部含有する請求項1に
    記載の建築物振動減衰用粘弾性体。
  3. 【請求項3】さらに、前記ポリマー100重量部に対
    し、C9 系の芳香族不飽和炭化水素の(共)重合体及び
    /又はC9 系の芳香族不飽和炭化水素とC5 系の脂肪族
    不飽和炭化水素との共重合体である熱可塑性炭化水素樹
    脂を50〜70重量部含有する請求項1または2に記載
    の建築物振動減衰用粘弾性体。
  4. 【請求項4】さらに、前記ポリマー100重量部に対
    し、加硫系として、イオウを1.5〜3重量部、スルフ
    ェンアミド系加硫促進剤を0.8〜2.5重量部含有す
    る請求項1〜3のいずれかに記載の建築物振動減衰用粘
    弾性体。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の建築物振
    動減衰用粘弾性体を用いた建築用ダンパー。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の建築物振
    動減衰用粘弾性体を用いた建築用アイソレータ。
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