JP4790149B2 - 免震用ゴム組成物及び免震構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、免震用ゴム組成物及び免震構造体に関し、特に戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント、実験設備等の比較的軽量の建築物に好適な免震用ゴム組成物及び免震構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数個の鋼板等の剛性を有した硬質板と、粘弾性的性質を有したゴム等の軟質板とを交互に積層した免震構造体が、中層、低層のビルや橋梁等の免震装置のゴム支承片として広く用いられている。このような免震構造体は、軟質板としてゴム材料等の弾性体を、硬質板として金属板を使用するのが一般的である。
【0003】
前記免震構造体の軟質板を構成するゴム等の弾性体は、下記のようなばね特性を有するように設計されるのが一般である。即ち、ゴム等の弾性体のばね剛性をK、搭載荷重をMとして、水平方向の固有振動数fHは下記式のように表される。
【0004】
【数1】
【0005】
この固有振動数fHは、建物や橋梁などの搭載重量Mと、ゴムなどの弾性体のばね剛性Kとの比で決まるので、ビルや橋梁などの搭載荷重Mの大きいものの免震装置の場合、軟質板を構成する弾性体はばね剛性の大きい材料、即ち、高弾性材料が用いられることが一般的である。
【0006】
この場合、ばね剛性Kと等価バネ剛性Gとの関係は、軟質板の受圧面積をA、厚みをLとすると下記式のように表される。
K=G(A/L)
【0007】
従って、ばね剛性Kを低くするためには、(1)ゴム自体の等価バネ剛性Gを低下させる、(2)軟質板の間に位置する硬質板の面積を減少させる、(3)軟質板の厚みLを大きくする、などの方法が考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ビル、橋梁等の重量の大きいものに用いられていた免震構造体を戸建用住宅などの軽量物に適用すると、搭載重量Mが小さいので、軟質板層を構成する弾性体を低弾性の材料で設計し、免震構造体のばね剛性Kを小さく設計する必要がある。固有振動数fHを例えば0.5Hzに保ちながら、この低弾性材料に、高減衰性を同時に付与すると、免震構造体のクリ−プが大きくなり、長期間の使用において、ゴムなどの弾性体が重量に耐えられず、へたりが生じてしまうという問題があった。
【0009】
このため、等価バネ剛性Gが小さい、低弾性タイプの免震構造体を得るべく、軟質板層を形成する免震用ゴム組成物の配合組成についても種々の検討がなされている。例えば、シリカ(ホワイトカーボン)を充填剤として配合することが検討されているが、歪依存性が大きくなり、高弾性(高ロス)であるという問題がある。また、チクソ剤を配合することが検討されているが、弾性率及び加硫速度が向上し、バンバリーミキサーが使用できず、工場作業性(混錬作業、圧延作業)に劣るという問題があり、工場作業性と低弾性(低ロス)とを同時に達成することは困難であった。
【0010】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低弾性でありながら工場作業性が向上し得る免震用ゴム組成物及び免震構造体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、下記の免震用ゴム組成物及び免震構造体を提供する。
【0012】
請求項1の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、ゴム成分と樹脂成分を含むことを特徴とする免震用ゴム組成物である。
【0013】
請求項2の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、ゴム成分と樹脂成分と未加硫ゴム硬化剤を含むことを特徴とする免震用ゴム組成物である。
【0014】
請求項3の発明は、ゴム成分が、ジエン系ゴムである請求項1又は2記載の免震用ゴム組成物である。
【0015】
請求項4の発明は、ゴム成分が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムである請求項3記載の免震用ゴム組成物である。
【0016】
請求項5の発明は、樹脂成分が、テルペン樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項記載の免震用ゴム組成物である。
【0017】
請求項6の発明は、樹脂成分が、芳香族変性テルペン樹脂であり、かつ軟化点が90〜120℃である請求項5記載の免震用ゴム組成物である。
【0018】
請求項7の発明は、未加硫ゴム硬化剤が、ヒドラジンの硫酸塩と無機フィラーとの混合物を主成分としたものである請求項2乃至6のいずれか1項記載の免震用ゴム組成物である。
【0019】
請求項8の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、100℃でのフローテスター粘度が80000(poise)以上であることを特徴とする免震用ゴム組成物である。
【0020】
請求項9の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、100℃でのフローテスター粘度が80000(poise)以上である請求項1乃至7のいずれか1項記載の免震用ゴム組成物である。
【0021】
請求項10の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体であって、
前記軟質板層が、請求項1乃至9のいずれか1項記載の免震用ゴム組成物から形成されると共に、所定の剪断試験における等価バネ剛性G(剪断率100%時)が10kgf/cm2以下であることを特徴とする免震構造体である。
【0022】
請求項11の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体であって、
前記軟質板層が、請求項1乃至9のいずれか1項記載の免震用ゴム組成物から形成されると共に、所定の剪断試験における1回目の50%変形時の等価バネ剛性(1stG50)と1回目の100%変形時の等価バネ剛性(1stG100)との比(1stG50/1stG100)が1.1以下であることを特徴とする免震構造体である。
【0023】
請求項12の発明は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体であって、
前記軟質板層が、請求項1乃至9のいずれか1項記載の免震用ゴム組成物から形成されると共に、所定の剪断試験における等価減衰定数(heq)が0.03以下であることを特徴とする免震構造体である。
【0024】
本発明によれば、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成する免震用ゴム組成物として、ゴム成分と樹脂成分(特にテルペン樹脂)、又はゴム成分と樹脂成分(特にテルペン樹脂)と未加硫ゴム硬化剤を含むことにより、これら各成分が相乗的に働いて、工場作業性と低弾性(低ロス)とを同時に達成することができると共に、耐収縮性に優れ、硬質板層との密着性が向上し、特に戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント、実験設備等の諸設備、実験装置などの比較的軽量の建築物に好適な免震構造体が得られるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の第1の免震用ゴム組成物は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、ゴム成分と樹脂成分を含むものである。
また、本発明の第2の免震用ゴム組成物は、ゴム成分と樹脂成分と未加硫ゴム硬化剤を含むものである。
【0026】
前記建築物としては、特に制限はないが、例えば、戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント、実験設備等の諸設備、実験装置などが挙げられるが、これに限られるものではない。この建築物の設置面積としては、500m2以下が好ましく、300m2以下がより好ましい。
前記地盤は、前記建築物が設置される地面であり、一般にコンクリート補強等がされている。
【0027】
前記ゴム成分としては、特に制限されないが、ジエン系ゴムが好ましく、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体又はこれらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムが好ましい。
【0028】
前記樹脂成分としては、ロスの発生が少なく、作業性の向上が図れ、ペレット化が可能なものであれば特に制限されないが、テルペン樹脂が好ましく、特に軟化点が90〜120℃、より好ましくは100〜110℃である芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
【0029】
前記テルペン樹脂は、一般に植物の葉、樹、根等から得られる植物精油に含まれるテルペン化合物をフリーデルクラフト触媒の下で、カチオン重合したものである。
このようなテルペン化合物としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、カンフェン、トリシクレン、ザビネン、パラメンタジエン類、カレン類などが挙げられ、これらの中でも、α−ピネン、ジペンテン、リモネンが好ましい。
【0030】
芳香族変性テルペン樹脂は、上記テルペン化合物と芳香族化合物を、フリーデルクラフト触媒のもとでカチオン重合したものである。
【0031】
このような樹脂成分としては、特に制限されないが、YSレジンTO105、YSレジンTO115、YSレジンTO125、YSレジンTO85、YSレジンTR105(いずれもヤスハラケミカル株式会社製)などの市販品を用いることができる。
【0032】
前記樹脂成分の配合量は、特に制限されないが、ゴム成分100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。
樹脂成分の配合量が少なすぎると低弾性率とならず、硬くなってしまう場合がある。一方、多すぎると樹脂成分の分散が悪くなったり、免震構造体(バネ)が柔らかくなりすぎてしまう場合がある。
【0033】
また、本発明の第2の免震用ゴム組成物は、ゴム成分と樹脂成分と未加硫ゴム硬化剤を含むものである。この場合、ゴム成分及び樹脂成分としては、前記第1の免震用ゴム組成物と同じものを用いることができる。
【0034】
前記未加硫ゴム硬化剤としては、未加硫ゴムに配合して擬似架橋などを形成することにより、粘度を向上させることができるものであれば特に制限されないが、例えば、ヒドラジンの硫酸塩と無機フィラーとの混合物を主成分としたものなどが好適である。
【0035】
このような未加硫ゴム硬化剤としては、特に制限されず、例えばグリーンDC(川口化学工業株式会社製)などの市販品を用いることができる。
【0036】
前記未加硫ゴム硬化剤の配合量は、特に制限されないが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。
未加硫ゴム硬化剤の配合量が少なすぎると粘度が上昇しない場合がある。一方、多すぎると圧延作業性が悪化したり、圧延肌が悪くなったりする場合がある。
【0037】
本発明の第1,2に係る免震用ゴム組成物には、上記成分以外にも、目的に応じて適宜選択したその他の成分を本発明の効果を損なわない範囲内において含有していてもよい。
前記その他の成分としては、例えば、カーボンブラック、オイル、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤などの各種添加剤が挙げられる。
なお、カーボンブラックの配合量は、特に制限されないが、ゴム成分100質量部に対して5〜40質量部、好ましくは10〜30質量部である。
【0038】
本発明の免震用ゴム組成物は、100℃でのフローテスター粘度が80000(poise)以上、好ましくは100000(poise)以上、より好ましくは150000(poise)である。
前記フローテスター粘度が80000(poise)未満であると密着して圧延作業性が悪くなる。
なお、フローテスター粘度の測定は、島津フローテスターCFT−500形などを用いて行うことができる。
【0039】
次に、本発明の免震構造体は、建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなり、前記軟質板層が、前記本発明の免震用ゴム組成物から形成されるものである。
【0040】
前記軟質板層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜15mm程度が好ましい。
【0041】
前記硬質板層の材料としては、剪断変形した時に座屈現象が生じにくい剛性を付与することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、金属、セラミックス、プラスチックス、FRP、ポリウレタン、木材、紙、これらの組合せなどが挙げられる。
【0042】
前記硬質板層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜5mm程度が好ましい。
前記硬質板層は、例えば公知の接着剤等を用いて、前記軟質板層に接着される。
【0043】
前記軟質板層及び前記硬質板層の形状、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常その板面が、円状、四角状等であることが多いが、本発明においては、これらの中心部が打ち抜かれた形状のものも好適に使用することができる。この中心部が打ち抜かれた形状の軟質板層及び硬質板層を積層してなる免震構造体は、免震機能を適宜調節可能に設計することができる点で有利である。
【0044】
本発明の免震構造体は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記軟質板層及び前記硬質板層を積層してなる構造体の周側面が表面被覆層で覆われていることが好ましい。
【0045】
前記表面被覆層は、免震構造体の耐候性、耐久性等を向上させる目的で設けられ、該表面被覆層の材料としては、例えば、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルゴム、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらは、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等とブレンドして使用してもよい。
【0046】
前記免震構造体の形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記免震構造体の構造としては、前記軟質板層と前記硬質板層とを、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる構造(以下「交互積層構造」ということがある)が好ましい。このような構造を有する免震構造体は、バネ機能を有する点で有利である。
【0047】
本発明の免震構造体は、所定の剪断試験における等価バネ剛性G(剪断率100%時)が10kgf/cm2以下、好ましくは6kgf/cm2以下、より好ましくは4kgf/cm2以下である。
【0048】
また、本発明の免震構造体は、所定の剪断試験における1回目の50%変形時の等価バネ剛性(1stG50)と1回目の100%変形時の等価バネ剛性(1stG100)との比(1stG50/1stG100)が1.1以下、好ましくは1.0〜1.1である。
前記(1stG50/1stG100)が1.1を超えると建築物の設計が困難になる。
【0049】
本発明の免震構造体の等価減衰係数(heq)としては、0.03以下であり、特に0.025以下であることがより好ましい。
【0050】
なお、前記剪断試験は、硬質板層と同じ材質の鉄板2枚を用意し、軟質板層と同じ材質のゴム板1枚を接着することにより、図2に示した断面クランク状の試験片を作製し、この試験片Tを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置を用い、前記2枚の鉄板を互いに逆方向に引っ張り、周波数0.2Hzで剪断率100%となるように3回剪断力を付与した後、剪断率250%となるように3回剪断力を付与し、更に剪断力100%となるように3回剪断力を付与し、最初の剪断力100%となるように剪断力を加えた時の測定値(3回目)と、2回目の剪断力100%となるように剪断力を加えた時の測定値(3回目)を平均し、等価バネ剛性G(剪断率100%時)及び等価減衰定数(heq)を算出する。
【0051】
次に、本発明の免震構造体の一例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の免震構造体の一例を示す概略説明図である。
免震構造体10は、軟質板層16と硬質板層14とを、交互に積層した積層体12の周囲を外皮ゴム18で覆ってなる構造を有し、バネ機能を有する。免震構造体10の両端は、それぞれ板材に固定されてフランジ20を形成している。フランジ20の、一方は建築物(図示せず)に固定され、他方は地盤(図示せず)に固定される。
【0052】
前記硬質板層14は金属で形成されており、軟質板層16は、前記ゴム成分と樹脂成分を含む免震用ゴム組成物、又はゴム成分と樹脂成分と未加硫ゴム硬化剤を含む免震用ゴム組成物で形成されている。なお、この免震構造体10は、円柱形状であり、軸方向の中心部には中空部が形成されている。
【0053】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
【0054】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】
〔実施例1、参考例2、比較例1〕
表1に示す配合組成の免震用ゴム組成物をバンバリーミキサーを用いて調製した。得られた免震用ゴム組成物について、下記方法により、フローテスター粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
<フローテスター粘度>
100℃で30kgfの荷重をかけたときの粘度を島津フローテスターCFT−500形を用いて測定した。なお、フローテスター粘度の値が大きいほど高粘度であることを示す。
【0057】
次に、図1に示す構造の免震構造体10を、前記の免震用ゴム組成物で軟質板層16を形成し、軟質板層16の厚みは1.6mmであり、この軟質板層16を35層(総厚み56mm)有している。
【0058】
この場合、免震構造体10における硬質板層14は、外径が225mmで、厚みが1.0mmであり、免振構造体10は、硬質板層14を34層有している。
得られた免震構造体について、下記方法で剪断試験を行い、等価バネ剛性G(剪断率100%時)、1回目の50%変形時の等価バネ剛性(1stG50)と1回目の100%変形時の等価バネ剛性(1stG100)との比(1stG50/1stG100)及び等価減衰定数(heq)を求めた。結果を表1に示す。
【0059】
<剪断試験>
硬質板層14と同じ材質の鉄板(25mm×60mm×厚み2.3mm)2枚を用意し、これら2枚の鉄板の間に、未加硫のゴム板(軟質板)を挟んだ後に加硫して接着し、図2に示した断面クランク状の試験片Tを作製した。
この試験片Tを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置(鷺宮製作所製、型式:EFH−20−8−10)を用い、前記2枚の鉄板を互いに逆方向に引っ張り、周波数0.2Hzで剪断率100%となるように3回剪断力を付与した後、剪断率250%となるように3回剪断力を付与し、更に剪断力100%となるように3回剪断力を付与した。
そして、最初の剪断力100%となるように剪断力を加えた時の測定値(3回目)と、2回目の剪断力100%となるように剪断力を加えた時の測定値(3回目)を平均し、等価バネ剛性G(剪断率100%時)及び等価減衰定数(heq)を算出した。
【0060】
【表1】
*未加硫硬化剤:グリーンDC(川口化学工業株式会社製)
*テルペン樹脂:YSレジンTO105(ヤスハラケミカル株式会社製、芳香族変性テルペン樹脂、軟化点:105℃)
*DPG:加硫促進剤、ジフェニルグアニジン*CZ:加硫促進剤、ノラックCZ(大内新興化学工業(株)製)
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、低弾性でありながら工場作業性が向上した、特に戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント、実験設備等の諸設備、実験装置などの軽負荷の免震装置、防振装置、制振装置、除振装置等に好適な免震用ゴム組成物及び免震構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の免震構造体の一例を示す断面概略説明図である。
【図2】剪断試験で用いるサンプルの形状を示した概略図である。
【符号の説明】
10 免震構造体
12 積層体
14 硬質板層
16 軟質板層
18 ゴム外皮
20 フランジ
T 試験片
Claims (12)
- 建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、ゴム成分と、樹脂成分と、ヒドラジンの硫酸塩と無機フィラーとの混合物を主成分とする未加硫ゴム硬化剤とを含むことを特徴とする免震用ゴム組成物。
- ゴム成分が、ジエン系ゴムである請求項1に記載の免震用ゴム組成物。
- ゴム成分が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムである請求項2に記載の免震用ゴム組成物。
- 樹脂成分が、テルペン樹脂である請求項1から3のいずれかに記載の免震用ゴム組成物。
- 樹脂成分が、芳香族変性テルペン樹脂であり、かつ軟化点が90℃〜120℃である請求項4に記載の免震用ゴム組成物。
- 樹脂成分の配合量が、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜20質量部である請求項1から5のいずれかに記載の免震用ゴム組成物。
- 未加硫ゴム硬化剤の配合量が、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部〜5質量部である請求項1から6のいずれかに記載の免震用ゴム組成物。
- カーボンブラック、オイル、硫黄、及び加硫促進剤の少なくともいずれかを更に含む請求項1から7のいずれかに記載の免震用ゴム組成物。
- 建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体の該軟質板層を形成し、100℃でのフローテスター粘度が80,000(poise)以上である請求項1から8のいずれかに記載の免震用ゴム組成物。
- 建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体であって、前記軟質板層が、請求項1から9のいずれかに記載の免震用ゴム組成物から形成されると共に、所定の剪断試験における等価バネ剛性G(剪断率100%時)が10kgf/cm2以下であることを特徴とする免震構造体。
- 建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体であって、前記軟質板層が、請求項1から9のいずれかに記載の免震用ゴム組成物から形成されると共に、所定の剪断試験における1回目の50%変形時の等価バネ剛性(1stG50)と1回目の100%変形時の等価バネ剛性(1stG100)との比(1stG50/1stG100)が1.1以下であることを特徴とする免震構造体。
- 建築物と地盤との間に配置され、軟質板層と硬質板層とをそれぞれ複数個、交互にかつ地盤表面に水平に積層してなる免震構造体であって、前記軟質板層が、請求項1から9のいずれかに記載の免震用ゴム組成物から形成されると共に、所定の剪断試験における等価減衰定数(heq)が0.03以下であることを特徴とする免震構造体。
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