JP2011068850A - 高減衰組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】極性基を有しないベースポリマを用いることで温度依存性の問題を解消し、かつ良好な加工性を維持しながら、現状よりもさらに減衰性能に優れた高減衰部材を形成しうる高減衰組成物を提供する。
【解決手段】極性基を有しない2種以上のジエン系ポリマをベースポリマとして、前記ベースポリマの総量100質量部に、100〜180質量部のシリカ、10〜60質量部の液状ゴム、3〜50質量部のロジン誘導体、および0.1〜10質量部のイミダゾール系化合物を配合した高減衰組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、振動エネルギーの伝達を緩和したり吸収したりする高減衰部材のもとになる高減衰組成物に関するものである。
例えばビルや橋梁等の建築物、産業機械、航空機、自動車、鉄道車両、コンピュータやその周辺機器類、家庭用電気機器類、さらには自動車用タイヤ等の幅広い分野において、振動エネルギーの伝達を緩和したり吸収したりする、すなわち免震、制震、制振、防振等をするために、ゴム等をベースポリマとして含む高減衰部材が用いられる。
前記高減衰部材は、振動が加えられた際のヒステリシスロスを大きくして減衰性能を高める、すなわち前記振動のエネルギーを効率よく速やかに減衰できるようにするために、前記ベースポリマを含み、損失正接tanδのピークが高減衰部材の使用温度域に入るように調整した高減衰組成物によって形成するのが一般的である。
すなわち、前記高減衰組成物を所定の立体形状に形成するとともに、ベースポリマがゴムである場合は加硫させることで高減衰組成物が形成される。
前記高減衰組成物としては、例えばベースポリマに、減衰性付与剤としてシリカを配合したもの(特許文献1)や、あるいは極性側鎖を有するベースポリマに、2以上の極性基を有するヒンダードフェノール系減衰性付与剤等を配合したもの(特許文献2)等が知られている。
しかし、前記のうち特許文献2に記載された極性側鎖を有するもの等の、分子中に極性基を有するベースポリマは、一般にガラス転移温度Tgが室温(3〜35℃)付近に存在することから、前記ベースポリマを含む高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、最も一般的な使用温度域である前記室温付近において、特に剛性等の特性の温度依存性が大きくなる傾向がある。そのため、かかる特性を織り込んだ上で高減衰部材をシステム設計するのが難しいという問題がある。
一方、特許文献1の高減衰組成物において、ベースポリマとして極性基を有しないものを選択して用いれば前記温度依存の問題は解消できる。すなわち室温付近での、剛性等の特性の温度依存性を小さくして、広い温度範囲で安定した減衰性能を示す高減衰部材を形成することができる。
しかし極性基を有しないベースポリマは、通常、単体では殆ど減衰性能を有しないため、減衰性付与剤としてシリカを配合して高減衰部材にできるだけ高い減衰性能を付与するためには、前記シリカの配合割合を大幅に増加させなければならない。
そしてシリカの配合割合を増加させるほど高減衰組成物の加工性が低下して、所望の立体形状を有する高減衰部材を、特に工場レベルで量産するのが難しくなるという問題がある。また、実験室レベルで少数の高減衰部材を形成することは可能であるが、形成した高減衰部材は硬く、かつ変形し難いため、特に大変形時に破壊されやすいという問題もある。
そこで極性基を有しないベースポリマに、シリカと、有機系の減衰性付与剤としての、2以上の水酸基を有するロジン誘導体、キシレン樹脂、および2以上の水酸基を有するフェノール系老化防止剤のうちの少なくとも1種とを配合した高減衰組成物が提案された(特許文献3)。
前記高減衰組成物によれば、極性基を有しないベースポリマを用いることで温度依存性の問題を解消できる。またシリカと有機系の減衰性付与剤とを併用することで、前記シリカの配合割合を少なくして高減衰組成物の加工性を向上することができる。しかもシリカと有機系の減衰性付与剤とを併用することで、高減衰部材に良好な減衰性能を付与することもできる。
特開平7−41603号公報 特開2000−44813号公報 特開2009−138053号公報
しかし、特許文献3に記載のようにシリカと有機系の減衰性付与剤とを併用することによる、減衰性能を向上する効果には限界がある。有機系の減衰性付与剤を2種以上併用することも検討されているがそれだけでは不十分であり、現状より減衰性能を向上するためには何らかの新たな対策を施す必要がある。
本発明の目的は、極性基を有しないベースポリマを用いることで温度依存性の問題を解消し、かつ良好な加工性を維持しながら、現状よりもさらに減衰性能に優れた高減衰部材を形成しうる高減衰組成物を提供することにある。
本発明は、ベースポリマとして、極性基を有しないジエン系ポリマを2種以上含有するとともに、前記ベースポリマの総量100質量部あたり100質量部以上、180質量部以下のシリカ、10質量部以上、60質量部以下の液状ゴム、3質量部以上、50質量部以下のロジン誘導体、および0.1質量部以上、10質量部以下のイミダゾール系化合物を含有していることを特徴とする高減衰組成物である。
本発明によれば、前記のようにベースポリマとして極性基を有しないジエン系ポリマを選択して用いることにより、高減衰部材の特性の、室温付近での温度依存性を小さくして温度依存の問題を解消することができる。そのため広い温度範囲で安定した減衰性能を示す高減衰部材を形成できる。
また本発明によれば、シリカの配合割合を前記範囲内に制限するとともに、軟化剤として機能する液状ゴムを含有させることにより、高減衰組成物の加工性を向上することもできる。
しかも本発明によれば、
(1) ベースポリマとしてジエン系ポリマを2種以上併用するとともに、
(2) シリカ、および有機系の減衰性付与剤としてのロジン誘導体に加えて、さらに前記液状ゴムとイミダゾール系化合物とを併用すること
により、後述する実施例、比較例の結果からも明らかなように、高減衰部材の減衰性能を現状よりさらに向上することもできる。
すなわちベースポリマとしてジエン系ポリマを2種以上併用することで、高減衰部材の大変形時に、前記2種以上のジエン系ポリマの分子間でずれを生じさせることができ、このずれによって新たな減衰効果を発現させることができる。そのためベースポリマが単体である場合に比べて高減衰部材の減衰性能を向上できる。
またベースポリマとしてジエン系ポリマを選択して用いることで、他のベースポリマを用いる場合に比べて、例えば高減衰組成物を所定の高減衰部材の立体形状に成形し、加硫するのと同時に取り付け用の金具等と加硫接着する際に、前記金具等への接着性を向上することもできる。そのため前記金具等から剥離することなく変形できる高減衰部材の変形量をこれまでよりも大きくできる。このことも、高減衰部材の減衰性能を向上できる原因の一つとなる。
またロジン誘導体は、それ自体が減衰性付与剤として機能するだけでなく、前記ロジン誘導体中の水酸基が、シリカ表面の水酸基と相互作用することによって、前記シリカの、ベースポリマを始めとする有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きもする。
同様にイミダゾール系化合物も、前記イミダゾール系化合物中の窒素の非共有電子対が、シリカ表面の水酸基と相互作用することによって、前記シリカの、前記有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きをする。
そのためこれら添加剤の働きによって、シリカを、高減衰部材中で減衰性付与剤としてより一層良好に機能させて、高減衰部材の減衰性能を向上できる。
したがって本発明の高減衰組成物によれば、これらの現象の相乗効果によって、温度依存性の問題を解消し、かつ良好な加工性を維持しながら、現状よりもさらに減衰性能に優れた高減衰部材を形成することが可能となる。
そのため、例えば
例えば本発明の高減衰組成物を形成材料として用いて、高減衰部材としての建築物の制震用ダンパを形成する場合には、1つの建築物中に組み込む前記制震用ダンパの数量を減らすことができる。また温度依存性が小さいことから、例えば温度差の大きい建築物の外壁付近にも前記制震用ダンパを設置することができる。
液状ゴムとしては、液状アクリロニトリルブタジエンゴム(以下「液状NBR」と略記することがある)、および液状スチレンブタジエンゴム(以下「液状SBR」と略記することがある)からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
このうち液状NBRは、その分子中の非共有電子対が、シリカ表面の水酸基と相互作用することによって、前記シリカの、前記有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きをする。
また液状SBRは、その分子中のスチレン部分の二重結合と、ブタジエン鎖中の二重結合とのπ電子相互作用によって、前記シリカの、前記有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きをする。
本発明の高減衰組成物は、前記シリカ100質量部あたり10質量部以上、20質量部以下のシラン化合物をも含んでいるのが好ましい。
前記シラン化合物は、前記シリカの、ベースポリマを始めとする有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上するための分散剤として機能する。そのためシリカを、高減衰部材中で、減衰性付与剤としてより一層良好に機能させて、高減衰部材の減衰性能をさらに向上できる。
また本発明の高減衰組成物は、フェノール系老化防止剤をも含んでいるのが好ましい。前記フェノール系老化防止剤は、単に老化防止剤として機能するだけでなく、前記フェノール系老化防止剤中の水酸基が、シリカ表面の水酸基と相互作用することによって、前記シリカの、ベースポリマを始めとする有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きもする。そのためシリカを、高減衰部材中で、減衰性付与剤としてより一層良好に機能させて、高減衰部材の減衰性能をさらに向上できる。
本発明によれば、極性基を有しないベースポリマを用いることで温度依存性の問題を解消し、かつ良好な加工性を維持しながら、現状よりもさらに減衰性能に優れた高減衰部材を形成しうる高減衰組成物を提供することができる。
本発明の実施例、比較例、従来例の高減衰組成物からなる高減衰部材の減衰性能を評価するために作製する高減衰部材のモデルとしての試験体を分解して示す分解斜視図である。 同図(a)(b)は、前記試験体を変位させて変位量と荷重との関係を求めるための試験機の概略を説明する図である。 前記試験機を用いて試験体を変位させて求められる、変位量と荷重との関係を示すヒステリシスループの一例を示すグラフである。
本発明の高減衰組成物は、ベースポリマとして、極性基を有しないジエン系ポリマを2種以上含有するとともに、前記ベースポリマの総量100質量部あたり100質量部以上、180質量部以下のシリカ、10質量部以上、60質量部以下の液状ゴム、3質量部以上、50質量部以下のロジン誘導体、および0.1質量部以上、10質量部以下のイミダゾール系化合物を含有していることを特徴とするものである。
前記各成分のうちベースポリマである極性基を有しないジエン系ポリマとしては、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、およびスチレンブタジエンゴム(SBR)が挙げられる。
本発明では、前記ジエン系ポリマの2種以上をベースポリマとして併用する。併用する2種以上のジエン系ポリマの組み合わせは任意に設定できるが、中でも温度依存性が特に小さく、かつシリカ等の充填剤の高充填が可能な天然ゴムをベースとして、IR、BR、およびSBRからなる群より選ばれた少なくとも1種の合成ゴムを配合するのが好ましい。
前記天然ゴムをベースとする配合系において、ベースポリマの総量中に占める天然ゴムの含有割合は50質量部以上、特に60質量部以上であるのが好ましく、90質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。
シリカとしては、その製法によって分類される湿式法シリカ、乾式法シリカのいずれを用いてもよい。またシリカとしては、減衰性付与剤として機能して高減衰部材の減衰性能を向上する効果を向上することを考慮すると、BET比表面積が100〜400m/g、特に200〜250m/gであるものが好ましい。BET比表面積は、例えば柴田化学器械工業(株)製の迅速表面積測定装置SA−1000等を使用して、吸着気体として窒素ガスを用いる気相吸着法で測定した値でもって表すこととする。
前記シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のNipsil(登録商標)KQ等が挙げられる。
シリカの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり100質量部以上、180質量部以下である必要がある。
配合割合が前記範囲未満では、高減衰部材の減衰性能を向上する効果が得られない。
また配合割合が前記範囲を超える場合には高減衰組成物の加工性が低下して、所望の立体形状を有する高減衰部材を、特に工場レベルで量産するのが難しくなる。また、実験室レベルで少数の高減衰部材を形成することは可能であるが、形成した高減衰部材は硬く、かつ変形し難いため、特に大変形時に破壊されやすいという問題もある。
なおシリカの配合割合は、高減衰組成物の良好な加工性を維持しつつ、高減衰部材の減衰性能をより一層向上することを考慮すると、前記範囲内でも135質量部以上、特に150質量部以上であるのが好ましい。
液状ゴムとしては、室温(3〜35℃)で液状を呈する種々のゴムが挙げられる。中でも液状NBR、および/または液状SBRが好ましい。
このうち液状NBRは、その分子中の非共有電子対が、シリカ表面の水酸基と相互作用することによって、前記シリカの、前記有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きをする。
また液状SBRは、その分子中のスチレン部分の二重結合と、ブタジエン鎖の二重結合とのπ電子相互作用によって、前記シリカの、前記有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させる働きをする。
液状NBRとしては、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体であって前記室温で液状を呈する種々のNBRが挙げられる。かかる液状NBRとしては、いずれも日本ゼオン(株)製のNipol(登録商標)1312(中高ニトリル)、DN601(中ニトリル)等の1種または2種以上が挙げられる。
また液状SBRとしては、スチレンとブタジエンの共重合体であって前記室温で液状を呈する種々のSBRが挙げられる。かかる液状SBRとしては、サートマー社製のRICON(登録商標)100(分子量:4500、1,2−ビニル含量:70%、スチレン含量:25%)、181(分子量:3200、1,2−ビニル含量:30%、スチレン含量:28%)、184(分子量:8600、1,2−ビニル含量:30%、スチレン含量:28%)、(株)クラレ製のクラプレン(登録商標)L−SBR−820〔分子量Mn:8500、溶融粘度350Pa・S(38℃)、比重:0.95g/cc、ガラス転移点:−14℃〕等の1種または2種以上が挙げられる。
液状ゴムの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部以上、60質量部以下である必要がある。
配合割合が前記範囲未満では、軟化剤としての液状ゴムの量が不足するため、前記各成分の混合物を混練して高減衰組成物を調製することができない。
また配合割合が前記範囲を超える場合には高減衰組成物が軟らかくなりすぎて加工性が低下するため、高減衰部材を製造するために前記高減衰組成物を混練したり任意の形状に成形加工したりするのが困難になる。
なお液状ゴムの配合割合は、高減衰組成物の良好な加工性を維持しつつ、高減衰部材の減衰性能をより一層向上することを考慮すると、前記範囲内でも35質量部以上であるのが好ましい。
ロジン誘導体としては、例えばロジンと多価アルコール(グリセリン等)とのエステルやロジン変性マレイン酸樹脂等の、構成成分としてロジンを含む樹脂であって、減衰性付与剤として機能して高減衰部材の減衰性能を向上する効果を有する種々の誘導体が挙げられる。
またロジン誘導体の軟化点は120℃以上であるのが好ましく、180℃以下、特に160℃以下であるのが好ましい。
ロジン誘導体の軟化点が前記範囲未満では、高減衰部材の減衰性能を向上する効果が十分に得られないおそれがある。一方、軟化点が前記範囲を超える場合には高減衰組成物の加工性が低下するため、高減衰部材を製造するために前記高減衰組成物を混練したり任意の形状に成形加工したりするのが容易でなくなるおそれがある。
なお軟化点は、日本工業規格JIS K2207−1996「石油アスファルト」所載の軟化点試験方法(環球法)によって測定した値でもって表すこととする。
前記ロジン誘導体としては、いずれもハリマ化成(株)製の商品名ハリエスターシリーズのうちMSR−4(軟化点:127℃)、DS−130(軟化点:135℃)、AD−130(軟化点:135℃)、DS−816(軟化点:148℃)、DS−822(軟化点:172℃)、ハリマ化成(株)製の商品名ハリマックシリーズのうち145P(軟化点:138℃)、135GN(軟化点:139℃)、AS−5(軟化点:165℃)等の1種または2種以上が挙げられる。
ロジン誘導体の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下である必要がある。
配合割合が前記範囲未満では、高減衰部材の減衰性能を向上する効果が得られない。
また配合割合が前記範囲を超える場合には高減衰組成物の加工性が低下するため、高減衰部材を製造するために前記高減衰組成物を混練したり任意の形状に成形加工したりするのが困難になる。
なおロジン誘導体の配合割合は、高減衰組成物の良好な加工性を維持しつつ、高減衰部材の減衰性能をより一層向上することを考慮すると、前記範囲内でも10質量部以上、特に30質量部以上であるのが好ましい。
イミダゾール系化合物としては、分子中にイミダゾール環を有する種々の化合物のうち、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等の1種または2種以上が挙げられる。
イミダゾール系化合物の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり0.1質量部以上、10質量部以下である必要がある。
配合割合が前記範囲未満では、高減衰部材の減衰性能を向上する効果が得られない。
また配合割合が前記範囲を超える場合には、前記各成分の混合物を混練して高減衰組成物を調製することができない。
なおイミダゾール系化合物の配合割合は、高減衰組成物の良好な加工性を維持しつつ、高減衰部材の減衰性能をより一層向上することを考慮すると、前記範囲内でも1質量部以上、5.0質量部以下であるのが好ましい。
本発明の高減衰組成物は、前記各成分に加えて、さらにシラン化合物を含有してもよい。前記シラン化合物としては、式(a):
Figure 2011068850
〔式中、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つはアルコキシ基を示す。ただしR、R、R、およびRが同時にアルコキシ基であることはなく、他はアルキル基またはアリール基を示す。〕
で表され、シランカップリング剤やシリル化剤等の、シリカの分散剤として機能しうる種々のシラン化合物が挙げられる。特にヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシランが好ましい。
シラン化合物の配合割合は、シリカ100質量部あたり10質量部以上、20質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、高減衰部材の減衰性能を向上する効果が得られないおそれがある。また前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、加硫成形時に発泡等のおそれがある。
本発明の高減衰組成物には、さらに石油樹脂、クマロン樹脂等の、ロジン誘導体以外の他の減衰性付与剤を配合してもよい。前記他の減衰性付与剤の配合割合は、高減衰部材の減衰特性に応じて適宜設定すればよい。
また本発明の高減衰組成物には加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等の、ジエン系ポリマを加硫させるための添加剤を適宜の割合で配合してもよい。このうち老化防止剤としては、先に説明したように単に老化防止剤として機能するだけでなく、分子中の水酸基がシリカ表面の水酸基と相互作用することによって、前記シリカの、ベースポリマを始めとする有機系の各成分に対する親和性、相溶性を向上させて、高減衰部材の減衰性能をさらに向上させる働きもする、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系のフェノール系老化防止剤が好ましい。前記フェノール系老化防止剤の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下であるのが好ましい。
また老化防止剤としては、前記フェノール系老化防止剤と他の老化防止剤とを併用してもよい。
さらに本発明の高減衰組成物には、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の充填剤を適宜の割合で配合してもよい。
本発明の高減衰組成物は、前記各成分を任意の混練機を用いて混練して得られ、前記高減衰組成物を所定の立体形状に成形するとともに加硫することで、所定の減衰特性を有する高減衰部材を形成できる。
本発明の高減衰組成物を用いて形成できる高減衰部材としては、例えばビル等の建造物の基礎に組み込まれる免震用ダンパ、建築物の構造中に組み込まれる制震(制振)用ダンパ、吊橋や斜張橋等のケーブルの制振部材、産業機械や航空機、自動車、鉄道車両等の防振部材、コンピュータやその周辺機器類、あるいは家庭用電気機器類等の防振部材、さらには自動車用タイヤのトレッド等が挙げられる。
本発明によれば、ベースポリマとしての2種以上のジエン系ポリマの組み合わせおよび配合割合、前記ベースポリマへのシリカ、液状ゴム、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物等の配合割合等を前記範囲内で調整することにより、前記それぞれの用途に適した優れた減衰性能を有する高減衰部材を得ることができる。
特に本発明の高減衰組成物を用いて建築物の構造中に組み込まれる制震用ダンパを形成した場合には、前記制震用ダンパが振動の減衰性能に優れるため、1つの建築物中に組み込む制震用ダンパの数量を減らすことができる。また温度依存性が小さいことから、例えば温度差の大きい建築物の外壁付近にも前記制震用ダンパを設置することができる。
以下の実施例、比較例、従来例における高減衰組成物の調製、および試験を、特記した以外は温度20±1℃、相対湿度55±1%の環境下で実施した。
〈実施例1〉
ベースポリマとしての天然ゴム〔SMR(Standard Malaysian Rubber)−CV60〕70質量部、およびSBR〔JSR(株)製のJSR1502〕30質量部に、シリカ〔東ソー・シリカ(株)製のNipsil KQ〕135質量部、液状NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol 1312〕35質量部、ロジン誘導体〔ロジン変性マレイン酸樹脂、軟化点139℃、ハリマ化成(株)製のハリマック135GN〕10質量部、イミダゾール系化合物としての1,2−ジメチルイミダゾール〔四国化成工業(株)製の1,2DMZ〕2.5質量部、フェニルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−103〕23質量部、およびビスフェノール系老化防止剤〔大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)NS−30〕2.5質量部と、下記表1に示す各成分とを配合し、密閉式混練機を用いて混練して高減衰組成物を調製した。
Figure 2011068850
表1中の各成分は下記のとおり。
ジシクロペンタジエン系石油樹脂:軟化点105℃、丸善石油化学(株)製のマルカレッツ(登録商標)M−890A
クマロン樹脂:軟化点90℃、日塗化学(株)製のエスクロン(登録商標)G−90
ベンズイミダゾール系老化防止剤:2-メルカプトベンズイミダゾール、大内新興化学(株)製のノクラックMB
キノン系老化防止剤:丸石化学品(株)製のアンチゲンFR
5%オイル処理粉末硫黄:加硫剤、鶴見化学工業(株)製
スルフェンアミド系加硫促進剤:N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学(株)製のノクセラー(登録商標)NS
チウラム系加硫促進剤:大内新興化学(株)製のノクセラーTBT-N
酸化亜鉛2種:加硫促進助剤、三井金属鉱業(株)製
ステアリン酸:加硫促進助剤、日油(株)製の「つばき」
カーボンブラック:充填剤、三菱化学(株)製のダイアブラック(登録商標)G
〈実施例2〜4、比較例1、2〉
ベースポリマとしての天然ゴムとSBRの総量100質量部に対するシリカの配合割合を80質量部(比較例1)、100質量部(実施例2)、150質量部(実施例3)、180質量部(実施例4)、および190質量部(比較例2)とし、かつシリカに対するフェニルトリエトキシシランの割合が、実施例1と同じ(シリカ:フェニルトリエトキシシラン=135:23)となるように、前記ベースポリマの総量100質量部に対するフェニルトリエトキシシランの配合割合を13.6質量部(比較例1)、17質量部(実施例2)、25.6質量部(実施例3)、30.6質量部(実施例4)、および32.4質量部(比較例2)としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈従来例1〉
ベースポリマとしての天然ゴム〔SMR−CV60〕100質量部に、シリカ〔東ソー・シリカ(株)製のNipsil KQ〕135質量部、ロジン誘導体〔ハリマ化成(株)製のハリマック135GN〕10質量部、液状ポリイソプレンゴム〔軟化剤、クラレ(株)製のLIR50〕35質量部、およびフェニルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−103〕23質量部と、前記表1に示した各成分とを配合し、密閉式混練機を用いて混練して高減衰組成物を調製した。なお表1に示す各成分のうちスルフェンアミド系加硫促進剤の配合割合は1質量部、チウラム系加硫促進剤の配合割合は0.7質量部に変更した。
前記各実施例、比較例、従来例の高減衰組成物について下記の各試験を行ない、その特性を評価した。
〈減衰特性評価〉
(試験体の作製)
実施例、比較例、従来例で調製した高減衰組成物をシート状に押出成形したのち打抜いて、図1に示すように円板1(厚み5mm×直径25mm)を作製し、前記円板1の表裏両面に、それぞれ加硫接着剤を介して厚み6mm×縦44mm×横44mmの矩形平板状の鋼板2を重ねて積層方向に加圧しながら150℃に加熱して円板1を構成する高減衰組成物を加硫させると共に、前記円板1を2枚の鋼板2と加硫接着させて、高減衰部材のモデルとしての減衰特性評価用の試験体3を作製した。
(変位試験)
図2(a)に示すように前記試験体3を2個用意し、前記2個の試験体3を、一方の鋼板2を介して1枚の中央固定治具4にボルトで固定すると共に、それぞれの試験体3の他方の鋼板2に、1枚ずつの左右固定治具5をボルトで固定した。そして中央固定治具4を、図示しない試験機の上側の固定アーム6に、ジョイント7を介してボルトで固定し、かつ2枚の左右固定治具5を、前記試験機の下側の可動盤8に、ジョイント9を介してボルトで固定した。
次にこの状態で、可動盤8を図中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向に押し上げるように変位させて、図(b)に示すように試験体3のうち円板1を、試験体3の積層方向と直交方向に歪み変形させた状態とし、次いでこの状態から、可動盤8を図中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向と反対方向に引き下げるように変位させて図(a)に示す状態に戻す操作を1サイクルとして、前記試験体3の円板1を繰り返し歪み変形、すなわち振動させた際の、前記変位量(mm)と荷重(N)との関係を示すヒステリシスループH(図3参照)を求めた。
測定は、前記操作を3サイクル行って3回目の値を求めた。また最大変位量は、円板1を挟む2枚の鋼板2の、積層方向と直交方向のずれ量が、前記円板1の厚みの100%、または300%となるように設定した。
次いで、前記測定により求めた図3に示すヒステリシスループHのうち最大変位点と最小変位点とを結ぶ、図中に太線の実線で示す直線Lの傾きKeq(N/mm)を求め、前記傾きKeq(N/mm)と、円板1の厚みT(mm)と、円板1の断面積A(mm)とから、式(1):
Figure 2011068850
により等価せん断弾性率Geq(N/mm)を求めた。
なお等価せん断弾性率Geq(N/mm)は、前記ずれ量が100%のときの等価せん断弾性率Geq100(N/mm)と、ずれ量が300%のときの等価せん断弾性率Geq300(N/mm)とを求めた。
また図3中に斜線で示した、ヒステリシスループHの全表面積で表される吸収エネルギー量ΔWと、同図中に網線で示した、前記直線Lと、グラフの横軸と、直線L1とヒステリシスループHとの交点から前記横軸におろした垂線L2とで囲まれた領域の表面積で表される弾性歪みエネルギーWとから、式(2):
Figure 2011068850
により等価減衰定数Heqを求めた。
なお等価減衰定数Heqは、前記ずれ量が100%の時の等価減衰定数Heq100と、ずれ量が300%の時の等価減衰定数Heq300とを求めた。このうち等価減衰定数Heq100が大きいほど、試験体3は減衰性能に優れていると判定できる。実施例、比較例、従来例の場合は等価減衰定数Heq100が0.4以上であるものを減衰性能良好、0.4未満であるものを減衰性能不足として評価した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2011068850
表2の従来例1と実施例1〜4の結果を比較すると、従来組成である従来例1の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は等価減衰定数Heq100が0.4未満であって減衰性能が不十分であるのに対し、本発明の構成である実施例1〜4の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、いずれも前記等価減衰定数Heq100が0.4以上であって減衰性能に優れていることが判った。
そしてこのことから、ベースポリマとして2種以上のジエン系ポリマを併用するとともに、前記ベースポリマに、シリカ、液状NBR、ロジン誘導体、およびイミダゾール系化合物を含有させることで、従来に比べて減衰性能に優れた高減衰部材を形成しうる高減衰組成物が得られることが確認された。
また、比較例1と実施例1〜4の結果を比較すると、シリカを、ベースポリマの総量100質量部あたり100質量部未満の範囲で配合した比較例1の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、等価減衰定数Heq100が0.4未満であって減衰性能が不十分であることが判った。そしてこのことからシリカの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり100質量部以上である必要があることが確認された。
また、比較例2と実施例1〜4の結果を比較すると、シリカを、ベースポリマの総量100質量部あたり180質量部を超えて配合した比較例2の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、ずれ量が300%である大変形時に破壊されてしまうことが判った。そしてこのことからシリカの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり180質量部以下である必要があることが確認された。
さらに実施例1〜4の結果を比較すると、シリカの配合割合は、前記範囲内でもベースポリマの総量100質量部あたり135質量部以上、特に150質量部以上であるのが好ましいことが確認された。
〈実施例5、6、比較例3、4〉
ベースポリマとしての天然ゴムとSBRの総量100質量部に対する液状NBRの配合割合を7質量部(比較例3)、10質量部(実施例5)、60質量部(実施例6)、および70質量部(比較例4)としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
前記各実施例、比較例の高減衰組成物について前記の各試験を行ない、その特性を評価した。結果を、実施例1の結果と併せて表3に示す。
Figure 2011068850
表3の比較例3と実施例1、5、6の結果を比較すると、液状NBRを、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部未満の範囲で配合した比較例3の混合物は、軟化剤としての液状NBRの量が足りないため、前記各成分の混合物を混練して高減衰組成物を調製できないことが判った。そしてこのことから液状NBRの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部以上である必要があることが確認された。
また比較例4と実施例1、5、6の結果を比較すると、液状NBRを、ベースポリマの総量100質量部あたり60質量部を超えて配合した比較例4の高減衰組成物は軟らかくなりすぎて加工性が低下したため、高減衰部材を製造するために前記高減衰組成物を混練したり任意の形状に成形加工したりできないことが判った。そしてこのことから液状NBRの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり60質量部以下である必要があることが確認された。
また実施例1、5、6の結果を比較すると、液状NBRの配合割合は、前記範囲内でもベースポリマの総量100質量部あたり35質量部以上であるのが好ましいことが確認された。
〈実施例7〉
液状NBRに代えて、ベースポリマとしての天然ゴムとSBRの総量100質量部に対して35質量部の液状SBR〔サートマー社製のRICON(登録商標)100〕を配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例8、9、比較例5、6〉
ベースポリマとしての天然ゴムとSBRの総量100質量部に対する液状SBRの配合割合を7質量部(比較例5)、10質量部(実施例8)、60質量部(実施例9)、および70質量部(比較例6)としたこと以外は実施例7と同様にして高減衰組成物を調製した。
前記各実施例、比較例の高減衰組成物について前記の各試験を行ない、その特性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2011068850
表4の比較例5と実施例7〜9の結果を比較すると、液状SBRを、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部未満の範囲で配合した比較例5の混合物は、軟化剤としての液状SBRの量が足りないため、前記各成分の混合物を混練して高減衰組成物を調製できないことが判った。そしてこのことから液状SBRの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部以上である必要があることが確認された。
また比較例6と実施例7〜9の結果を比較すると、液状SBRを、ベースポリマの総量100質量部あたり60質量部を超えて配合した比較例6の高減衰組成物は軟らかくなりすぎて加工性が低下したため、高減衰部材を製造するために前記高減衰組成物を混練したり任意の形状に成形加工したりできないことが判った。そしてこのことから液状SBRの配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり60質量部以下である必要があることが確認された。
また実施例7〜9の結果を比較すると、液状SBRの配合割合は、前記範囲内でもベースポリマの総量100質量部あたり35質量部以上であるのが好ましいことが確認された。
〈実施例10〜13、比較例7、8〉
ベースポリマとしての天然ゴムとSBRの総量100質量部に対するロジン誘導体の配合割合を2質量部(比較例7)、3質量部(実施例10)、20質量部(実施例11)、30質量部(実施例12)、50質量部(実施例13)、および55質量部(比較例8)としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
前記各実施例、比較例の高減衰組成物について前記の各試験を行ない、その特性を評価した。結果を、実施例1の結果と併せて表5に示す。
Figure 2011068850
表5の比較例7と実施例1、10〜13の結果を比較すると、ロジン誘導体を、ベースポリマの総量100質量部あたり3質量部未満の範囲で配合した比較例7の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、等価減衰定数Heq100が0.4未満であって減衰性能が不十分であることが判った。そしてこのことからロジン誘導体の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり3質量部以上である必要があることが確認された。
また比較例8と実施例1、10〜13の結果を比較すると、ロジン誘導体を、ベースポリマの総量100質量部あたり50質量部を超えて配合した比較例8の高減衰組成物は加工性が低下したため、高減衰部材を製造するために前記高減衰組成物を混練したり任意の形状に成形加工したりできないことが判った。そしてこのことからロジン誘導体の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり50質量部以下である必要があることが確認された。
さらに実施例1、10〜13の結果を比較すると、ロジン誘導体の配合割合は、前記範囲内でもベースポリマの総量100質量部あたり10質量部以上、特に30質量部以上であるのが好ましいことが確認された。
〈実施例14〜17、比較例9、10〉
ベースポリマとしての天然ゴムとSBRの総量100質量部に対するイミダゾール系化合物の配合割合を0.05質量部(比較例9)、0.1質量部(実施例14)、1質量部(実施例15)、5質量部(実施例16)、10質量部(実施例17)、および13質量部(比較例10)としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
前記各実施例、比較例の高減衰組成物について前記の各試験を行ない、その特性を評価した。結果を、実施例1の結果と併せて表6に示す。
Figure 2011068850
表6の比較例9と実施例1、14〜17の結果を比較すると、イミダゾール系化合物を、ベースポリマの総量100質量部あたり0.1質量部未満の範囲で配合した比較例9の高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、等価減衰定数Heq100が0.4未満であって減衰性能が不十分であることが判った。そしてこのことからイミダゾール系化合物の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり0.1質量部以上である必要があることが確認された。
また比較例10と実施例1、14〜17の結果を比較すると、イミダゾール系化合物を、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部を超えて配合した比較例10の混合物は、混練して高減衰組成物を調製できないことが判った。そしてこのことからイミダゾール系化合物の配合割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部以下である必要があることが確認された。
さらに実施例1、14〜17の結果を比較すると、イミダゾール系化合物の配合割合は、前記範囲内でもベースポリマの総量100質量部あたり1質量部以上、2.5質量部以下であるのが好ましいことが確認された。
〈実施例18〉
ベースポリマとしての天然ゴム〔SMR−CV60〕60質量部、およびSBR〔JSR(株)製のJSR1502〕40質量部に、シリカ〔東ソー・シリカ(株)製のNipsil KQ〕135質量部、液状NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol 1312〕35質量部、ロジン誘導体〔ハリマ化成(株)製のハリマック135GN〕10質量部、イミダゾール系化合物としての1,2−ジメチルイミダゾール〔四国化成工業(株)製の1,2DMZ〕2.5質量部、フェニルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−103〕23質量部、およびビスフェノール系老化防止剤〔大内新興化学工業(株)製のノクラックNS−30〕2.5質量部と、前記表1に示す各成分とを配合し、密閉式混練機を用いて混練して高減衰組成物を調製した。
〈実施例19〉
ベースポリマとしての天然ゴム〔SMR−CV60〕70質量部、およびBR〔宇部興産(株)製のUBEPOL(登録商標)BR130B〕30質量部に、シリカ〔東ソー・シリカ(株)製のNipsil KQ〕135質量部、液状NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol 1312〕35質量部、ロジン誘導体〔ハリマ化成(株)製のハリマック135GN〕10質量部、イミダゾール系化合物としての1,2−ジメチルイミダゾール〔四国化成工業(株)製の1,2DMZ〕2.5質量部、フェニルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE−103〕23質量部、およびビスフェノール系老化防止剤〔大内新興化学工業(株)製のノクラックNS−30〕2.5質量部と、前記表1に示す各成分とを配合し、密閉式混練機を用いて混練して高減衰組成物を調製した。
前記両実施例の高減衰組成物について前記の各試験を行ない、その特性を評価した。結果を、実施例1の結果と併せて表7に示す。
Figure 2011068850
表7の各実施例の結果より、ベースポリマとして天然ゴムにSBRまたはBRを添加した高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、いずれも減衰特性に優れることが確認された。
1 円板
2 鋼板
3 試験体
4 中央固定治具
5 左右固定治具
6 固定アーム
7 ジョイント
8 可動盤
9 ジョイント

Claims (5)

  1. ベースポリマとして、極性基を有しないジエン系ポリマを2種以上含有するとともに、前記ベースポリマの総量100質量部あたり100質量部以上、180質量部以下のシリカ、10質量部以上、60質量部以下の液状ゴム、3質量部以上、50質量部以下のロジン誘導体、および0.1質量部以上、10質量部以下のイミダゾール系化合物を含有していることを特徴とする高減衰組成物。
  2. 前記液状ゴムは、液状アクリロニトリルブタジエンゴム、および液状スチレンブタジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の高減衰組成物。
  3. 前記シリカ100質量部あたり10質量部以上、20質量部以下のシラン化合物をも含有している請求項1または2に記載の高減衰組成物。
  4. フェノール系老化防止剤をも含有している請求項1ないし3のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  5. 建築物の制震用ダンパの形成材料として用いる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
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