JP2006129826A - α−リポ酸の劣化抑制方法およびα−リポ酸劣化抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【発明の課題】人体に安全な、α−リポ酸の劣化抑制剤を提供する。
【解決手段】フラボノール配糖体を添加することにより、α−リポ酸の劣化、特に光による劣化を有意に防止することができる。
【選択図】なし
【解決手段】フラボノール配糖体を添加することにより、α−リポ酸の劣化、特に光による劣化を有意に防止することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、α−リポ酸の劣化抑制方法およびα−リポ酸劣化抑制剤に関する。さらに詳しくは、α−リポ酸の特に光による劣化を顕著に抑制する方法および該抑制剤に関する。
α−リポ酸は別名チオクト酸、ALA(alpha-lipoic acid)、1,2−ジチオラン−3−ペンタン酸といい、ビタミン様物質に分類されビタミンB14とも称されている。該化合物は生体内でミトコンドリア中に存在し、解糖で生じたピルビン酸の脱炭酸に関与するピルビン酸脱炭酸酵素やα−ケトグルタール酸脱炭酸酵素の補酵素中のたんぱく質のリシン残基と共有結合した形で存在してクエン酸回路を維持するのに無くてはならないコファクターとなっている。
フリーラジカルは非常に反応性の高い物質で、過剰のフリーラジカルは細胞の老化を促進し、組織障害、DNA破壊、その他の障害を引き起こし各種疾患の基になっていることが良く知られている。
α−リポ酸は体内に吸収されるとNADHによりジヒドロ−α−リポ酸に還元され、金属キレート力を強め、各種活性酸素やフリーラジカルの補足力を増強させ、各種疾患の予防や治療に寄与することになる。また、糖尿病患者におけるフリーラジカルによる高血糖症、虚血症の改善、多発性ニューロパシーを抑制して神経細胞の障害を防ぐことが良く知られている。さらに金属キレート力が強い為水銀やカドミウムなどの有害金属汚染を防ぐのにも有効である。
しかしながら、α−リポ酸は結晶若しくは粉末など固形状態では比較的安定であるが、溶液状態では安定性が低下し,特に光に暴露されると短時間に光分解を受け、イオウ化合物特有の臭気の発生と濁りを生じるといった問題があり、医薬品としての用途のほかサプリメント用途としてカプセルや打錠品といった形状で使用されてきた。(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)
本発明の目的は光の暴露を受けることにより短時間に分解してイオウ化合物特有の臭気の発生と溶液中にあっては濁りが生じるといった大きな欠点を解決し、α−リポ酸の劣化を有意に抑制することにより、α−リポ酸を含有した飲食物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フラボノール配糖体を添加することにより、α−リポ酸の光の暴露による劣化が顕著に改善されることを見いだした。このことにより、機能性素材としてのリポ酸を含有した各種飲食物が提供できることを確認できた。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げるものである:
項1.フラボノール配糖体を添加することを特徴とするα−リポ酸の劣化抑制方法。
項2.α−リポ酸1重量部に対して、フラボノール配糖体を0.05重量部以上添加する、項1記載のα−リポ酸の劣化抑制方法。
項3.フラボノール配糖体を含有することを特徴とするα−リポ酸劣化抑制剤。
項4.項2記載のα−リポ酸劣化抑制剤を有効量含有するα−リポ酸含有飲食品。
項1.フラボノール配糖体を添加することを特徴とするα−リポ酸の劣化抑制方法。
項2.α−リポ酸1重量部に対して、フラボノール配糖体を0.05重量部以上添加する、項1記載のα−リポ酸の劣化抑制方法。
項3.フラボノール配糖体を含有することを特徴とするα−リポ酸劣化抑制剤。
項4.項2記載のα−リポ酸劣化抑制剤を有効量含有するα−リポ酸含有飲食品。
以下、本発明について詳細に説明をする。
本発明は、α−リポ酸の劣化、特に光による劣化を抑制するために、フラボノール配糖体を添加することを特徴とする。
本発明は、α−リポ酸の劣化、特に光による劣化を抑制するために、フラボノール配糖体を添加することを特徴とする。
本発明で用いるフラボノール配糖体は、ルチン、イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、酵素処理イソクエルシトリンおよびミリシトリンから選ばれる1種または2種以上を用いることができ、また、上記フラボノール配糖体を高濃度含む植物の抽出物を用いることができる。例えば、エンジュ花蕾抽出物、ダッタンソバ、ヤマモモ抽出物、ラフマ抽出物等が挙げられる。
これらのフラボノール配糖体高濃度含有植物の抽出に使用される溶媒は、特に制限されず、水、極性有機溶媒または非極性有機溶媒のいずれであってもよいが、好ましくは水、極性有機溶媒またはこれらの混合物(含水極性有機溶媒)である。ここで極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;またはアセトン、酢酸エチル、酢酸メチルなどを例示することができる。抽出溶媒として、好ましくは水、低級アルコール及びこれらの混合物(含水アルコール)であり、より好ましくは水、エタノール及びこれらの混合物(含水エタノール)である。
抽出方法としては、一般に用いられる方法を広く採用することができる。制限はされないが、例えば上記の羅布麻を抽出溶媒の中に浸漬する方法(浸漬法)又は抽出溶媒に羅布麻を入れて加温しながら還流する方法(加熱還流法)等を挙げることができる。なお、浸漬法による場合は加熱(加温、高温)、室温又は冷却(低温)条件下のいずれであってもよく、また静置した状態の浸漬または攪拌しながらの浸漬のいずれであってもよい。
かかる抽出操作により得られた抽出物は、各種の固液分離手段に供され、溶媒に不溶な残渣(不溶性固形分)が除去される。ここで固液分離手段としてはデカンテーション、濾過、遠心分離または圧搾などの各種の固液分離手段を用いることができる。かくして得られる抽出液(濾液、上清、圧搾液)はそのままの状態で、またはさらに水、エタノール等の極性有機溶媒またはこれらの混合液で希釈して使用することができる。また、抽出溶媒を留去して一部濃縮または乾燥(減圧乾燥、凍結乾燥、スプレードライなどを含む)して、ペースト状(またはエキス粘稠物)または粉末状態(またはエキス乾燥物)の状態で用いることもできる。また抽出液を濃縮若しくは乾燥した後、該濃縮物若しくは乾燥物をさらに非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶媒(好ましくは、水やエタノール等の極性有機溶媒またはこれらの混合液)に溶解もしくは懸濁して用いてもよい。
また、抽出液は、必要に応じて濃縮若しくは乾燥した後に、脱臭または脱色等を目的として精製処理を行ってもよい。かかる精製方法は、特に制限されず、慣用されている精製法を任意に組み合わせて実施することができ、具体的には各種の樹脂処理法(吸着法、イオン交換法、ゲルろ過法など)、超臨界抽出法、膜処理法(限外濾過膜処理法、逆浸透膜処理法、イオン交換膜処理法など)、溶媒分画法および活性炭処理法等を例示することができる。
α−リポ酸の劣化抑制に用いるフラボノール配糖体の配合割合は、α−リポ酸1重量部に対してフラボノール配糖体0.05重量部以上、好ましくは0.05〜500重量部、さらに好ましくは0.5〜100重量部である。0.05重量%より少ないとα−リポ酸の劣化抑制が充分でなく、500重量部以上ではフラボノール配糖体由来の苦味など呈味の問題が生じる。
本発明のα−リポ酸の劣化抑制方法はフラボノール配糖体を添加することによって実施することができる。
本発明のα−リポ酸劣化抑制剤は、使用に先立ってα-リポ酸に添加、混和若しく浸潤させてもよく、単独で別々に使用してよく、液体、顆粒、または粉末の形態で食品に利用することもでき、添加時期は特に限定されるものではなく飲食品の製造工程中任意の時点で使用できる。
本発明の劣化抑制剤を用いたα−リポ酸を添加して作られる飲食物としては、特に制限はされないが、例えば、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、果実飲料、粉末飲料、スポーツ飲料、紅茶飲料、緑茶飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリンなどのプリン類;ゼリー、ババロア及びヨーグルトなどのデザート類;ミルクアイスクリーム、アイスキャンディーなどの冷菓類;チューインガムや風船ガムのガム類;マーブルチョコレートなどのコーティングチョコレートの他、メロンチョコレートなどの香味を付与したチョコレートなどのチョコレート類;ハードキャンディー、ソフトキャンディー、キャラメル、ドロップなどのキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかきなどの焼き菓子類;コーンスープ、ポタージュスープなどのスープ類、ドレッシング、ケチャップ、マヨネーズ、たれ、ソースなどのソース類;ハム、ソーセージ、焼き豚などの畜肉加工品;魚肉ソーセージ、蒲鉾などの水産練り製品;バター、マーガリン、チーズなどの油脂製品類などの加工食品を例示することができる。
本発明によれば、α−リポ酸の劣化を有意に抑制することのできるα−リポ酸劣化抑制方法並びにα−リポ酸劣化抑制剤を提供することができる。このため、本発明のα−リポ酸劣化抑制方法並びにα−リポ酸劣化抑制剤を適用することにより、自然光や白熱灯や蛍光灯などの人工光によるα-リポ酸の分解を防ぎ、含量低下や分解臭の発生防止効果を期待できるα−リポ酸を含有した飲食品を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品を表し、文中の「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
参考例1
ルチン2gをイオン交換水1000mlに分散させ、ナリンギナーゼ「アマノ」(アマノエンザイム社製)をルチン1gに対して30ユニット量を添加して60℃で8時間混合した。次いでロータリーエバポレータを用いて50mlまで濃縮後冷却し、析出した黄色固形物を吸引ろ過で分離した。黄色固形物を加熱したメタノールを用いて再結晶して析出してきた結晶を分離後真空デシケータ-中で乾燥させることによりイソクエルシトリン0.9gを得た。
ルチン2gをイオン交換水1000mlに分散させ、ナリンギナーゼ「アマノ」(アマノエンザイム社製)をルチン1gに対して30ユニット量を添加して60℃で8時間混合した。次いでロータリーエバポレータを用いて50mlまで濃縮後冷却し、析出した黄色固形物を吸引ろ過で分離した。黄色固形物を加熱したメタノールを用いて再結晶して析出してきた結晶を分離後真空デシケータ-中で乾燥させることによりイソクエルシトリン0.9gを得た。
参考例2
ルチン1gとデキストリン5gを60℃に加熱したイオン交換水1000mlに加えて苛性ソーダ液でpH8に調整し、次いでCGTase(天野エンザイム株式会社製,商品名コンチザイム,600U/ml)20ユニット/ルチンg量を添加して6時間混合した。希塩酸でpH5に調整後セパビーズ SP-825(三菱化学製)50mlを充填したカラムにSV4で通液し、50ml量のイオン交換水で洗浄後50容量%エタノール200mlで脱着した。得られた黄色液をロータリーエバポレータで50mlまで濃縮後凍結乾燥させることにより酵素処理ルチン1.3gを得た。
ルチン1gとデキストリン5gを60℃に加熱したイオン交換水1000mlに加えて苛性ソーダ液でpH8に調整し、次いでCGTase(天野エンザイム株式会社製,商品名コンチザイム,600U/ml)20ユニット/ルチンg量を添加して6時間混合した。希塩酸でpH5に調整後セパビーズ SP-825(三菱化学製)50mlを充填したカラムにSV4で通液し、50ml量のイオン交換水で洗浄後50容量%エタノール200mlで脱着した。得られた黄色液をロータリーエバポレータで50mlまで濃縮後凍結乾燥させることにより酵素処理ルチン1.3gを得た。
参考例3
ルチンの替わりにイソクエルシトリン1gとデキストリン5gを使用して参考例2記載の方法に準拠して酵素処理イソクエルシトリン1.3gを調製した。
ルチンの替わりにイソクエルシトリン1gとデキストリン5gを使用して参考例2記載の方法に準拠して酵素処理イソクエルシトリン1.3gを調製した。
実験例1 人工気象器によるリポ酸の耐光性試験
表1記載の通り各試料を秤量し、記載量のエタノールおよび/または水に溶解後、水49mlを加えて希釈し、各試験溶液を調製した。各試験溶液にα−リポ酸0.75gをエタノール30mlに溶かした溶液1mlを攪拌しながら加えて均質化し、50ml容無色透明スクリュー管瓶に移した。10,000ルクス、10℃に調整した人工気象器(日本医化器械製作所社製)に入れ、それぞれ24時間と120時間照射して、官能評価と薄層クロマトグラフィにより安定性評価を行った。
表1記載の通り各試料を秤量し、記載量のエタノールおよび/または水に溶解後、水49mlを加えて希釈し、各試験溶液を調製した。各試験溶液にα−リポ酸0.75gをエタノール30mlに溶かした溶液1mlを攪拌しながら加えて均質化し、50ml容無色透明スクリュー管瓶に移した。10,000ルクス、10℃に調整した人工気象器(日本医化器械製作所社製)に入れ、それぞれ24時間と120時間照射して、官能評価と薄層クロマトグラフィにより安定性評価を行った。
薄層クロマトグラフィ条件
メルク社製TLCアルミニウムシート シリカゲル 60F254板の下部から1.5cmの位置に各試料液20μlをスポットして、風乾後溶媒組成(容積比)n−ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=1:1:0.05の混合溶媒を用いて10cm展開する。スポット位置から10cm展開後温風をあてて乾燥する。次いで5%リンモリブデン水溶液を噴霧後加熱して現れる青紫色のスポットを観察して目視評価する。
メルク社製TLCアルミニウムシート シリカゲル 60F254板の下部から1.5cmの位置に各試料液20μlをスポットして、風乾後溶媒組成(容積比)n−ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=1:1:0.05の混合溶媒を用いて10cm展開する。スポット位置から10cm展開後温風をあてて乾燥する。次いで5%リンモリブデン水溶液を噴霧後加熱して現れる青紫色のスポットを観察して目視評価する。
TLC判定基準
◎:α−リポ酸のスポット以外の新たなスポットは認めないか極わずかに検出される
○:新たな分解物に伴うスポットを認める
△:分解物スポットが顕著に認められる
×:α−リポ酸スポットより分解物スポットの方が顕著
××:α−リポ酸スポットは殆ど消失。
◎:α−リポ酸のスポット以外の新たなスポットは認めないか極わずかに検出される
○:新たな分解物に伴うスポットを認める
△:分解物スポットが顕著に認められる
×:α−リポ酸スポットより分解物スポットの方が顕著
××:α−リポ酸スポットは殆ど消失。
官能評価
スクリュー管瓶の蓋を開けて5人でニオイを嗅ぎ、下記の基準で官能評価した平均値で示す。
スクリュー管瓶の蓋を開けて5人でニオイを嗅ぎ、下記の基準で官能評価した平均値で示す。
判定基準
5:未照射品と殆ど差を認めない
4:極わずかに硫化水素様のニオイを感じる
3:硫化水素様のニオイがする
2:強い硫化水素様のニオイ
1:極めて強い硫化水素臭。
5:未照射品と殆ど差を認めない
4:極わずかに硫化水素様のニオイを感じる
3:硫化水素様のニオイがする
2:強い硫化水素様のニオイ
1:極めて強い硫化水素臭。
照射後の薄層クロマトグラフィ(TLC)と官能評価結果
無添加のα−リポ酸水溶液は光に暴露されると分解してイオウ化合物特有の硫化水素様のニオイを呈した。各種試料を添加して検討した結果、ミリシトリン、イソクエルシトリン、ルチン、酵素処理ルチン、酵素処理イソクエルシトリン等のフラボノール配糖体はα−リポ酸の光による分解を抑止して、不快な分解臭の発生を抑止した。一方,酸化防止力が強く、色素の退色防止に効果が強いといわれている茶ポリフェノール、D−(+)−カテキン、エピガロカテキンガレート等のフラボノイド化合物や、クロロゲン酸、グルタチオンなどの他の酸化防止剤はα−リポ酸の分解抑止効果が認められない若しくは効果が少なく、同時に分解に伴う硫化水素様の不快なニオイの生成を抑制することが出来なかった。
実施例1
α−リポ酸100gと酵素処理イソクエルシトリン100gを混合して均質化した。この混合物1gと炭酸水素ナトリウム0.2gを50容量%エタノール10mlに溶かした黄色溶液200μLをイオン交換水1000mlに溶かし、200ml容無着色透明ガラスビンに充填後98℃、15分間殺菌したのち室温まで冷却した。比較対照品として酵素処理イソクエルシトリンを抜いたもの(無添加区)及び酵素処理イソクエルシトリンの代わりにリポ酸水溶液中のL−アスコルビン酸濃度が1000ppmになる量を添加した溶液(L−アスコルビン酸添加区)をそれぞれ調製してガラスビンに充填後、本発明品を添加した試験溶液と同一条件下で殺菌後冷却した。次いでそれぞれの溶液を650ルクスの室内で20日静置したところ、暗所冷蔵保存したものはいずれも澄明でα−リポ酸の分解による異臭は生じていなかった。本発明品を添加して室内で保管したものは澄明で、かつ官能検査においても冷蔵保存したものと殆ど香味の差を感じなかったが、無添加区は白濁して強いイオウ化合物臭を呈していた。L−アスコルビン酸添加区は透明であったが官能評価で強いイオウ化合物臭を呈していた。
α−リポ酸100gと酵素処理イソクエルシトリン100gを混合して均質化した。この混合物1gと炭酸水素ナトリウム0.2gを50容量%エタノール10mlに溶かした黄色溶液200μLをイオン交換水1000mlに溶かし、200ml容無着色透明ガラスビンに充填後98℃、15分間殺菌したのち室温まで冷却した。比較対照品として酵素処理イソクエルシトリンを抜いたもの(無添加区)及び酵素処理イソクエルシトリンの代わりにリポ酸水溶液中のL−アスコルビン酸濃度が1000ppmになる量を添加した溶液(L−アスコルビン酸添加区)をそれぞれ調製してガラスビンに充填後、本発明品を添加した試験溶液と同一条件下で殺菌後冷却した。次いでそれぞれの溶液を650ルクスの室内で20日静置したところ、暗所冷蔵保存したものはいずれも澄明でα−リポ酸の分解による異臭は生じていなかった。本発明品を添加して室内で保管したものは澄明で、かつ官能検査においても冷蔵保存したものと殆ど香味の差を感じなかったが、無添加区は白濁して強いイオウ化合物臭を呈していた。L−アスコルビン酸添加区は透明であったが官能評価で強いイオウ化合物臭を呈していた。
実施例2
α-リポ酸100g、酵素処理イソクエルシトリン300g、イソエリートP(分岐サイクロデキストリン、塩水港製糖製)600gを混合して光安定性に富むα-リポ酸製剤を得た。
α-リポ酸100g、酵素処理イソクエルシトリン300g、イソエリートP(分岐サイクロデキストリン、塩水港製糖製)600gを混合して光安定性に富むα-リポ酸製剤を得た。
実施例3
実施例2のα−リポ酸製剤1gと炭酸水素ナトリウム50mgの混合物を40容量%エタノール10mlに溶かしたものを下記配合処方のアップル果汁入り清涼飲料水1Lに加えて混合した。対照品としてα-リポ酸100mgを95%エタノール5mlに溶かしたものを該清涼飲料水1Lに加えたものを調製し、それぞれを200mlアルミ缶ボトルに充填後85℃15分殺菌してアップル果汁入り清涼飲料水を作成した。
実施例2のα−リポ酸製剤1gと炭酸水素ナトリウム50mgの混合物を40容量%エタノール10mlに溶かしたものを下記配合処方のアップル果汁入り清涼飲料水1Lに加えて混合した。対照品としてα-リポ酸100mgを95%エタノール5mlに溶かしたものを該清涼飲料水1Lに加えたものを調製し、それぞれを200mlアルミ缶ボトルに充填後85℃15分殺菌してアップル果汁入り清涼飲料水を作成した。
アップル果汁入り清涼飲料水処方
グラニュー糖 60 g
1/5濃縮透明リンゴ果汁40 g
クエン酸(無水) 1 g
クエン酸三ナトリウム 0.5g
アップルエッセンス 1 ml
清水にて 全量 1000mlとする。
グラニュー糖 60 g
1/5濃縮透明リンゴ果汁40 g
クエン酸(無水) 1 g
クエン酸三ナトリウム 0.5g
アップルエッセンス 1 ml
清水にて 全量 1000mlとする。
本発明品を添加した清涼飲料水と対照品であるα-リポ酸のみを添加した清涼飲料水をそれぞれガラスコップに入れ照度500ルクスの室内で1時間放置後官能評価したところ、本発明品の酵素処理イソクエルシトリンを添加した飲料はアルミ缶ボトルに入れて遮光しておいたものと差は認められなかったが、対照品飲料は強いイオウ臭を呈していた。
実施例4
果糖ぶどう糖液糖1000g、クエン酸(無水)10gにイオン交換水1000mlを加えて混合後レモンエッセンス5mlを添加してレモンシロップを調製した。
果糖ぶどう糖液糖1000g、クエン酸(無水)10gにイオン交換水1000mlを加えて混合後レモンエッセンス5mlを添加してレモンシロップを調製した。
200ml用無色透明ガラスビンにレモンシロップ40mlと冷却した炭酸水160mlを加え、次いでα−リポ酸1gを95%エタノールに溶かして精確に50mlとした溶液80μlとルチン1gを95%(容量)エタノールに溶かして50mlとした溶液400μlを加えてルチン入り炭酸飲料を作成した。比較対照飲料としてルチンのエタノール溶液を添加していないもの(無添加品)とルチンの替わりにL-アスコルビン酸100mgを添加した飲料を準備した。それぞれの飲料を照度8000ルクス、10℃に調整した人工気象器中で13時間照射した。照射後未照射飲料と照射飲料のそれぞれを0.45μmのフィルターを通した後、高速液体クロマトグラフィにより飲料中のα-リポ酸濃度を求めた結果を表3に示す。
高速液体クロマトグラフィ条件
カラム:充填剤ODS,内径4.6mm、長さ250mm(ト−ソ製 TSK-GEL ODS-80TM)。
移動相:メタノール/アセトニトリル/0.085%リン酸=13/1/5。
検出器:紫外線検出器 210nm。
検量線:α-リポ酸水溶液 50ppm、70ppm、90ppmを用いて検量線を求める。
測定:試料液20μlを注入し、α−リポ酸のピーク面積と検量線のピーク面積の比較から含量を求める。同一試料について3回測定を繰返して平均値でもってα-リポ酸量とする。
カラム:充填剤ODS,内径4.6mm、長さ250mm(ト−ソ製 TSK-GEL ODS-80TM)。
移動相:メタノール/アセトニトリル/0.085%リン酸=13/1/5。
検出器:紫外線検出器 210nm。
検量線:α-リポ酸水溶液 50ppm、70ppm、90ppmを用いて検量線を求める。
測定:試料液20μlを注入し、α−リポ酸のピーク面積と検量線のピーク面積の比較から含量を求める。同一試料について3回測定を繰返して平均値でもってα-リポ酸量とする。
この結果から明らかなように、人工気象器で照射したルチンを添加した飲料中のα−リポ酸含量は未照射飲料中に含まれるものと同じで照射による影響は見られなかったがL−アスコルビン酸添加試験区及び無添加区飲料では照射の間に白濁を生じ、L−アスコルビン酸添加飲料α-リポ酸の含量及び無添加飲料中のα-リポ酸残存量はそれぞれ67.7%と66.8%に低下していた。
実施例5
牛乳500g、砂糖100g、水あめ62・5g、果糖ぶどう糖液糖50g、サンナイス※YK500*(冷菓用安定剤)2g、ミルククリームエッセンス1.5ml、水284gにα−リポ酸100mgと炭酸水素ナトリウム40mgの混合物を40%エタノール5mlに溶かした溶液と、ヤマモモ抽出物製剤(ミリシトリン含量3%品)2gを添加混合した後、殺菌、冷却後透明なプラスチック容器に充填し、凍結させてラクトアイスを調製した。比較対照品としてヤマモモ抽出物製剤を除いたものを調製した。ヤマモモ抽出物製剤入りラクトアイスと比較対照品を3000ルクス蛍光灯下8時間照射したのち官能検査を行ったところヤマモモ抽出物を添加したものは未照射品と差は認められなかったが、対照品はα−リポ酸の分解物由来の不快なイオウ化合物臭がした。
牛乳500g、砂糖100g、水あめ62・5g、果糖ぶどう糖液糖50g、サンナイス※YK500*(冷菓用安定剤)2g、ミルククリームエッセンス1.5ml、水284gにα−リポ酸100mgと炭酸水素ナトリウム40mgの混合物を40%エタノール5mlに溶かした溶液と、ヤマモモ抽出物製剤(ミリシトリン含量3%品)2gを添加混合した後、殺菌、冷却後透明なプラスチック容器に充填し、凍結させてラクトアイスを調製した。比較対照品としてヤマモモ抽出物製剤を除いたものを調製した。ヤマモモ抽出物製剤入りラクトアイスと比較対照品を3000ルクス蛍光灯下8時間照射したのち官能検査を行ったところヤマモモ抽出物を添加したものは未照射品と差は認められなかったが、対照品はα−リポ酸の分解物由来の不快なイオウ化合物臭がした。
本発明によれば、α−リポ酸の劣化を有意に抑制することのできるα−リポ酸劣化抑制方法並びにα−リポ酸劣化抑制剤を提供することができる。すなわち、本発明のα−リポ酸劣化抑制方法並びにα−リポ酸劣化抑制剤を適用することにより、光安定性が悪く短期間に含量低下をきたし、不快な分解臭を伴う為一般食品に使用することが困難であったα-リポ酸を含有した各種飲食品を提供することができる。
Claims (4)
- フラボノール配糖体を添加することを特徴とするα−リポ酸の劣化抑制方法。
- α−リポ酸1重量部に対してフラボノール配糖体を0.05重量部以上添加する、請求項1記載のα−リポ酸の劣化抑制方法。
- フラボノール配糖体を含有することを特徴とするα−リポ酸劣化抑制剤。
- 請求項3記載のα−リポ酸劣化抑制剤を有効量含有するα−リポ酸含有飲食物。
Priority Applications (1)
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JP2004324951A JP2006129826A (ja) | 2004-11-09 | 2004-11-09 | α−リポ酸の劣化抑制方法およびα−リポ酸劣化抑制剤 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008099683A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-05-01 | Sanei Gen Ffi Inc | 高甘味度甘味料の呈味改善方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0222229A (ja) * | 1988-01-28 | 1990-01-25 | Peter Koeltringer | 神経細胞及び神経繊維の疾患もしくは傷害の治療に用いる組み合わせ調合剤 |
JP2002293711A (ja) * | 2001-03-23 | 2002-10-09 | General Topics Srl | リポ酸及びポリエノール脂肪酸に基づく有効成分 |
JP2005343880A (ja) * | 2004-06-02 | 2005-12-15 | Ito:Kk | レドックス制御組成物 |
JP2006045100A (ja) * | 2004-08-03 | 2006-02-16 | Nisshin Pharma Inc | α−リポ酸含有カプセル剤 |
-
2004
- 2004-11-09 JP JP2004324951A patent/JP2006129826A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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