明 細 書 ラジカル反応抑制剤及びラ ジカル反応抑制方法並びにその用途 技術分野
本発明は、 新規なラ ジカル反応抑制剤及びその用途、 よ り 詳細 には、 グルコ ースが 4 個、 a — 1 , 3 と α — 1 , 6 結合で環状に 結合 した非還元性の糖質、 即ち、 サイ ク ロ {→ 6 ) — α — D —グ ルコ ピラノ シルー ( 1 → 3 ) 一 α — D _ダルコ ピラ ノ シル一 ( 1 → 6 ) — a — D — ダルコ ピラノ シル一 ( 1 → 3 ) — (K — D —グル コ ピラ ノ シルー ( 1 →}で示される環状四糖 (以下、 単に 「環状四 糖」 と い う 。)、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との 混合物を有効成分とする新規なラ ジカル反応抑制剤、 該ラ ジカル 反応抑制剤と と も に不飽和化合物を含む組成物、 及び、 該抑制剤 を不飽和化合物を含む組成物に含有させる こ とを特徴とする ラ ジ カル反応の抑制方法に関する ものである。 背景技術
脂質、 染料、 合成高分子をは じめとする有機化合物を主体とす る製品が、 その保存中 に異臭の発生、 変色 , 退色、 硬化、 分解、 変性などによ り 品質劣化や機能低下を起こすこ とはよ く 知 られて いる。 また、 飲食品や医薬品などの場合には、 ラ ジカル反応によ リ生 じる過酸化物が、 タ ンパク質、 ペプチ ド及び Z又はアミ ノ 酸 などの不飽和化合物以外の成分を変性させ、 該製品の品質や機能 の一層の低下を もた らすこ とが知 られている。 しかも、 近年、 ラ ジカル反応によ り 生 じる過酸化物は、 細胞、 組織に対する傷害作
用がある こ とから生活習慣病をは じめとする各種疾患との関連も 注目 されている。
このよ う な品質劣化や機能の低下、 ひいては ヒ 卜の健康に害を 及ぼすと さえいわれる成分の生成をもた らす主要な反応は、 有機 化合物が無触媒下に起こす化学反応である。 つま り 、 ラ ジカル化 し易い有機化合物ほど上記のよ うな品質劣化、 すなわち化学的変 ィ匕を起こ し易いと いえる。 そ して、 ラ ジカル化の し易さ は、 分子 内 に不飽和結合が存在するか否か、 な らびに、 その存在様式と密 接に関連している と いわれている。 更に、 有機化合物のラ ジカル が何 らかの原因で一旦生成する と、 該ラ ジカルとその近傍に存在 する他の未反応の分子や分子状酸素との間で多様な反応が連鎖的 に進行し、 よ り 大きな品質劣化や機能低下を引 き起こすこ と とな る。 有機化合物のラ ジカル化は、 光照射や加温など日常的に起こ り 得る環境条件下で容易に誘発されるため、 ラ ジカルによ り 連鎖 的に進行する反応 (以下、 「ラ ジカル反応」 と い う。) による製品 の化学的変化は、 食品分野、 化粧品分野、 医薬品分野、 化学工業 品分野などの広範な分野で起こ り 得る問題である。 このため、 ラ ジカル反応を阻止、 抑制する こ とは、 特定の分野に限らず、 製品 の品質や機能を保持する上で極めて重要な課題のひとつである。
こ の課題を解決するための手段と して、 現在のと ころ、 各分野 において最も汎用されている手段は、 一般にラ ジカルス力 べン ジ ヤ ー と呼ばれる物質、 すなわち、 既に存在 しているラ ジカルと反 応し、 それ自体が化学的に変化する こ と によ り ラ ジカルの反応性 を阻止ない しは抑制する物質を製品又はその原料に添加する こ と である。 しか しながら、 ラ ジカルスカ ベンジャ ーによる ラ ジカ レ 反応の抑制効果は際限なく 持続する ものではないと い う 欠点があ
る。
このよ う な状況をふまえて、 例えば、 特開 2 0 0 1 - 1 2 3 1 9 4 号公報 (以下、 「特許文献 1 J と言う 。) には、 (¾ , α — 卜 レ ハロ ース及び/又はマルチ トールを含有せ しめる こ と によ り 、 脂 肪酸類からの揮発性アルデヒ ドの産生を抑制する方法が提案され ている。 しか しながら、 現在の多様な食生活に対応するためには、 継続的に摂取 しても、 食品の味、 香り 、 食感などの風味の低下を もた らすこ とがなく 、 しかも、 安全なラ ジカル反応の抑制効果を 有する機能性に優れた食品素材のさ らなる開発が望まれている。
一方、 本発明者ら は、 国際公開 W O 0 1 Ζ 9 0 3 3 8 号明細 書 (以下、 「特許文献 2 」 と言う 。)、 或いは、 国際公開 W Ο 0 2 / 1 0 3 6 1 号明細書 (以下、 「特許文献 3 」 と言う 。) において、 環状四糖が、 脂質の劣化抑制や夕 ンパク質の変性抑制効果を有す る こ とを開示 したものの、 その実体につ いては依然と して不明で あ り 、 また、 これら特許文献 1 〜 3 には、 環状四糖、 又は、 この 環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合 が、 不飽和化合物の ラ ジカル化、 或いは、 それに続く 一連のラ ジカル反応の進行を抑 制する こ と につ いてはなんら記載されていない。 発明の開示
本発明は、 不飽和化合物がラ ジカル反応を起こ して分解が進行 し、 それを含む組成物の保存中 に異臭の発生、 褐変、 退色、 硬化、 分解、 変性などが発生する こ と に加え、 ラ ジカル反応によ り 生成 する過酸化物が、 さ ら に、 共存するタ ンパク質、 ペプチ ド、 ア ミ ノ酸などの不飽和化合物以外の成分を修飾する こ と に起因する製 品の品質や機能の一層の低下を改善するために、 ラ ジカルの生成
及びラジカル反応の進行 (ラジカル反応によ リ 生成 した過酸化物 が、 さ ら に、 共存するタ ンパク質、 ペプチ ド類、 ア ミ ノ 酸類など の不飽和化合物以外の成分を修飾、 変性させる反応も含む) を抑 制、 阻止するためのラジカル反応抑制剤を提供する こ とを第一の 課題と し、 該ラ ジカル反応抑制剤を用いた不飽和化合物のラ ジカ ルの生成及びラ ジカル反応を抑制する方法を提供する こ とを第二 の課題と して、 該ラ ジカル反応抑制剤を含有するラ ジカル反応が 抑制された組成物を提供する こ とを第三の課題とする ものである 本発明者らは、 上記の課題を解決する 目 的で、 糖質を用いる ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の抑制並びタ ンパク質の変性抑制 の方法について長年に渡 り 研究を進めてきた。 その結果、 環状四 糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物が、 不飽和化合物のラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行の抑制 に 強く 働く こ と、 さ ら には、 該ラ ジカル反応によ り生 じた過酸化物 が、 タ ンパク質をは じめとする不飽和物質以外の成分を修飾乃至 変性させる こ とを抑制する こ とを新たに見いだ し、 ラ ジカル反応 抑制剤を確立する と と も に、 それを用 いたラ ジカルの生成抑制方 法及びラ ジカル反応の抑制方法を確立 し、 更に、 ラ ジカル反応抑 制剤を含有する組成物を確立する こ と によ り 、 本発明を完成する に至った。 即ち、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖 質誘導体との混合物がラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行を 抑制できる こ とを明 らかに し、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と 環状四糖の糖質誘導体との混合物を有効成分と して含有するラ ジ カル反応抑制剤を確立 し、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応が発 生する前、 または、 発生 している有機の不飽和化合物を含む反応 系に上記のラ ジカル反応抑制剤を含有させる こ とで、 ラ ジカルの
生成及びラジカル反応の進行を抑制する方法を確立 し、 更に、 不 飽和化合物を含有する食品、 化粧品、 医薬品、 化学工業品などに ラ ジカル反応抑制剤を含有させた組成物を確立する こ と によ り 、 本発明を完成する に至っ た。 発明を実施するための最良の形態
本発明で使用される環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖 の糖質誘導体との混合物は、 その由来や製法は問わず、 発酵法、 酵素法、 有機合成法などによ り製造されたものでもよ く 、 それら の方法によ り 得られる反応液は、 環状四糖、 又は、 この環状四糖 と環状四糖の糖質誘導体との混合物を含む溶液と して、そのまま、 部分精製して、 或いは、 高純度に精製して使用する こ と も 自 由で ある。 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体と の混合物は、 例えば、 本発明者らが、 特許文献 2 に開示 した、 パ ノ ースを α —イ ソマル 卜 シル転移酵素によ って環状四糖に変換す る方法、 或いは、 特許文献 3 に開示した、 澱粉から直接 α —イ ソ マル 卜 シルダルコ糖質生成酵素及び α — ィ ソマル 卜 シル転移酵素 を組み合わせて環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質 誘導体との混合物を製造する方法などの、 澱粉質或いはそれ由来 の糖質を原料と した酵素法によ り 製造する こ とができる。 これら の製造方法は、 豊富で安価な澱粉質を原料と し、 高効率かつ安価 に環状四糖やその誘導体を製造できる こ とから、 工業的に有利 に 実施できる。 また、 環状四糖には、 無水非晶質、 無水結晶、 1 含 水結晶、 5 含水結晶が存在 し、 その何れを使用する こ と も可能で ある。 さ ら に、 環状四糖のう ち無水結晶、 1 含水結晶及び無水非 晶質のものは、 優れた脱水能を有 している こ とか ら、 不飽和化合
物を含有する含水物を粉末、 固化する場合には、 該含水物に添加 する こ と によ り脱水剤 と しても作用 し、 環状四糖を有効成分と し て含有する高品質の粉末、 固型製品の製造に有利 に使用できる。
また、 本発明でい う 環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合 物とは、 環状四糖と と もに環状四糖に 1 種又は 2 種以上のダ リ コ シル基が 1 個又は 2 個以上結合した環状四糖の糖質誘導体との混 合物、 或いは、 該環状四糖と環状四糖の糖質誘導体と と も にそれ ら糖質以外の糖質を含有する ものをい う 。 環状四糖と環状四糖の 糖質誘導体との混合物は、 例えば、 α — イ ソマル 卜シルグルコ糖 質生成酵素及び α — ィ ソマル 卜 シル転移酵素を組み合わせて澱粉 に作用させて得られる糖液のよ う に、 環状四糖と環状四糖分子の 1 個又は 2 個以上の 0 Η基に、 1 個又は 2 個以上のグルコ ースが 結合 した糖質誘導体及び/又は該糖質誘導体とグルコ ース、 マル 卜才 リ ゴ糖、 マル 卜デキス ト リ ンなどの糖質混合物、 或いは、 そ れらを、 イ オン交換樹脂などで部分精製 したものや高純度に精製 したものであ ってもよ い。 また、 糖質組成物中 に環状四糖を含ん でいる ものであれば、 例えば、 本発明者等が国際公開 W Ο 0 2 / 0 7 2 5 9 4 号明細において開示した方法などによ り 、 環状四 糖と環状四糖に 1 個又は 2 個以上のグルコ ー スの結合した環状四 糖の糖質誘導体との混合物に、 さ ら に、 例えば、 サイ ク ロマル ト デキス 卜 リ ングルカ ノ 卜ラ ンスフ ェラ一ゼ、 β 一ガラク 卜 シダー ゼ、 £¾ 一ガラク 卜 シダ一ゼ、 リ ゾチームなどの糖転移能を有する 酵素の 1 種又は 2 種以上を、 該酵素の基質となる単糖、 才 リ ゴ糖 及びノ又は多糖の存在下で作用させて、 環状四糖と環状四糖に 1 個又は 2 個以上のグルコ ースの結合 した糖質誘導体の 1 個又は 2 個以上の任意の 0 Η 基に、 さ ら に、 1 個又は 2 個以上の α — D —
ダルコ ビラ ノ シル基、 ;8 — D —ガラク 卜 ビラ ノ シル基、 0 — D — キ 卜サミニル基などのダリ コ シル基の 1 種又は 2 種以上を転移さ せて得られる糖質誘導体、 或いは、 それを部分精製したものや高 純度に精製 したものであっ てもよい。
本発明でいう不飽和化合物とは、 炭素鎖に、 炭素—炭素間の不 飽和結合 (以下、 単に 「不飽和結合 J と い う 。) すなわち、 二重結 合又は三重結合を有する炭化水素、 な らびに斯かる炭化水素にお ける水素原子を他の元素や基などで置換した誘導体を意味し、 脂 肪酸類、 アルコ ール類、 単純脂質類、 複合脂質類、 テルペン類、 合成高分子類、 ビニル類などに属する化合物を挙げる こ とができ る。
本発明でい う脂肪酸類と は、カルボキ シル基を 1 又は 2 個有 し、 分岐構造、 環状構造及び 又はヒ ド ロ キシル基を有する こ と もあ る鎖式化合物な らびにその塩を意味する。 具体例 と しては、 才 レ イ ン酸、 パルミ 卜 レイ ン酸、 ネルボン酸、 ッズ酸、 卜 ゥハク酸、 パクセ ン酸などのモノ エン型脂肪酸 (二重結合を 1 個有する)、 リ ノ ール酸、 リ ノ レン酸、 ァラキ ド ン酸、 エイ コサペンタエン酸、 ド コサペンタエン酸、 ド コ サへキサェン酸、 プロスタグラ ンジン、 卜 ロ ンボキサン、 ロイ コ 卜 リ エンなどのポ リ ェン型脂肪酸 (二重 結合を 2 個以上有する)、 リ リ ン酸、 キ シメニン酸、 エ リ 卜 ロゲン 酸、 ク レぺニン酸、 マイ コ マイ シンなどのアセチ レン型脂肪酸(三 重結合を 1 個以上有する)、厶コ ン酸などのポ リ ェンジカルボン酸 型脂肪酸( 2 個以上の二重結合と 2 個のカルボキシル基を有する) などが挙げられる。
アルコ ール類とは、 鎖式炭化水素の水素原子を水酸基で置換 し た化合物を意味 し、 水酸基を 1 個有する 1 価アルコ ールと、 水酸
基を 2 個以上有する多価アルコ ールとを含む。 具体例と しては、 才 レイルアルコ ールが挙げられる。
単純脂質類とは、 構成原子が炭素原子、 水素原子及び酸素原子 からな リ 、 分子中 に脂肪酸類化合物に相当する炭化水素鎖を有す る有機化合物を意味し、 代表的なもの と しては、 脂肪酸類化合物 とアルコ ール類化合物との脱水縮合物 (エステル) ならびにその 相当物が挙げられる。 具体的と しては、 アルコ ール部分が 1 価ァ ルコ ールであるォ レイ ン酸デシル及び才 レイ ン酸才クチル ドデシ ル、 アルコ ール部分がプロ ピ レンダ リ コ ールである ジ才 レイ ン酸 プロ ピ レング リ コ ール、 アルコ ール部分がグ リ セロ ールであ り 、 脂肪酸部分が上記に例示したよ うな不飽和脂肪酸であっ て、 1 分 子中 に 1 個、 2 個又は 3 個の脂肪酸部分を含むモノ ァシルグリ セ ロ ーノレ、 ジァ シルグ リ セロ ールならびに 卜 リ ア シルグ リ セ ロール (以上 3 種をま とめて 「中性脂肪」 と い う場合がある)、 アルコ 一 ル部分がグ リ セ リ ン重合体であ り 、 脂肪酸部分が上記に例示した よ う な不飽和脂肪酸であるポ リ ダ リ セ リ ン脂肪酸エステル、 アル コ ール部分がシ ョ 糖である (シ ョ 糖脂肪酸エステル)、 シ ョ 糖モノ 才 レア— 卜、 シ ョ 糖モノ リ ノ ラー 卜及びシ ョ 糖ジ才 レア一 卜など が挙げられる。 なお、 通常 「油脂」 と呼ばれる ものは ト リ ァシル グ リ セロールを主体とする油溶性物質を含む組成物であ り 、また、 油脂はさ ら に、 常温で液体の 「脂肪油」 と常温で個体の 「脂肪」 と に分類されてお り 、 これらは通常不飽和化合物を含んでいるの で、 当然ながら本発明の対象とな り 得る。
複合脂質類とは、 上記で定義した単純脂質類と同 じく 分子中 に 脂肪酸類化合物に相当する炭化水素鎖を有する一方、 構成原子と して炭素原子、 水素原子及び酸素原子に加えて、 リ ン原子や窒素
原子などを含む有機化合物を意味する。 複合糖脂質類は一般に、 グリ セ口 リ ン脂質、 グ リ セ 口糖脂質、 スフ イ ンゴ リ ン脂質、 ス フ ィ ンゴ糖脂質の 4 種に大別され、 さ ら に本発明においてはこれ ら の誘導体や部分分解物、 例えば、 セラ ミ ドなども複合脂質類に含 まれる ものである。 具体例と しては、 グリ セ 口 リ ン脂質と しては、 レシチン (ホスフ ァチジルコ リ ン)、 ホスフ ァチジルエタ ノ ーソレア ミ ン、 ホスフ ァチジルイ ノ シ 卜一ルなどが、 グ リ セ口糖脂質と し ては、 分子内に 1 個又は 2 個以上のダルコ シル基やガラク 卜 シル 基などの糖残基を有するジァシルグ リ セ ロ ールなどが、 スフ ィ ン ゴリ ン脂質と しては、 スフ イ ンゴミエ リ ンなどが、 スフ イ ンゴ糖 脂質と しては、 セ レブ口 シ ド、 セラ ミ ドなどがそれぞれ挙げられ る。
テルペン類とは、 ィヒ学式 C H 2 = C ( C H 3 ) C H = C H 2で表 されるイ ソ プレンを構成単位とする有機化合物を意味し、 鎖状構 造を有する ものと環状構造を有する ものがある。 また、 本発明 に おいては、 イ ソプレン構造を部分的に含む複合テルペンもテルべ ン類に含まれる ものとする。 具体例と しては、 モノ テルペン、 ジ テルペン、 卜 リ テルペン、 スク ア レン、 テ 卜ラテルペン、 カ ロ テ ノ イ ドなどのほか、 α —カ ロテン、 β 一 力 口テン、 ァスタキサ ン チン、 カ ンタキサンチン、 アブシジン酸、 ビタ ミ ン A、 ビタ ミ ン E などの複合テルペンが挙げられる。
合成高分子類と は、 有機化学的に合成された高分子物質を意味 し、 合成ゴム、 熱硬化性樹脂、 熱可塑性樹脂に大別される。 合成 ゴムの多く は不飽和結合を有 しているので本発明の有効な対象で あ り 、 具体例と しては、 イ ソプレ ンゴム、 ブタ ジエンゴム、 スチ レン一 ブタ ジエンゴム、 二 卜 リ レゴム、 ニ 卜 リ レーイ ソプレン ゴ
厶などが挙げられる。 また、 熱硬化性樹脂の例と しては不飽和ポ リ エステル樹脂などが挙げられる。
ビニル類と は、 化学式 C H 2 = C H —で表される ビニル基、 ィ匕 学式 C H 2 = C =で表される ビニ リ デン基若 し く は化学式一 C H = C H —で表される ビニ レン基を有する有機化合物を意味する。 具体例と しては、 エチ レン、 プロ ピ レン、 ブチレン、 イ ソブチ レ ンなどの才 レフ ィ ン炭化水素、 ブタ ジエン、 イ ソ プレンなどのポ リ エン炭化水素、 酢酸ビニル、 ラ ウ リ ン酸 ビニルなどの酸ビニル エステル、 アク リ ル酸メチリレ、 アク リ ル酸ェチルなどのアク リ ル 酸エステル、 メタク リ ル酸メチル、 メ タク リ ル酸ェチルなどのメ タ ク リ ル酸エステル、 ラ ウ リ ル ビニルエーテルなどの ビニルエー テルのほか、 塩化ビニル、 塩化ビニ リ デン、 スチ レン、 ァク リ ロ 二 卜 リ ル、 アク リ ルア ミ ド、 マ レイ ン酸、 ビタ ミ ン D、 ビタ ミ ン K 、 さ ら には、 同 じ特許出願人による特許第 3 2 3 2 5 1 2 号公 報 (特願平 1 1 一 3 4 3 2 1 1 号) に開示されたスチ リ ル色素、 同 じ特許出願人による国際公開 W O 0 1 / 0 4 0 3 8 2 号明細 書 (国際特許出願 P C T / J Ρ Ο Ο / Ο δ Ζ θ δ 号) に開示され たイ ン ド レニン系ペンタ メチンシァニン色素、 同 じ特許出願人に よる特開 2 0 0 2 — 2 1 2 4 5 4 号公報 (特願 2 0 0 0 — 4 1 0 0 1 号) に開示された 卜 リ メチンシァニン色素、 同 じ特許出願人 による国際公開 W O 0 1 Ζ 0 6 2 8 5 3 号明細書 (国際特許出 願 P C T / J Ρ Ο 0 / Ο 9 2 5 7 号) 明細書に開示された 卜 リ メ チンシァニン色素、 同 じ特許出願人による 国際公開 W O 0 1 / 0 1 9 9 2 3 号明細書 (国際特許出願 P C T / J Ρ 0 0 / 0 6 3 1 2 号) に開示されたジメチン系スチ リ ル色素、 同 じ特許出願人 による特開 2 0 0 1 — 3 2 1 7 9 号公報 (特願 2 0 0 0 — 2 0 3
8 7 3 号) に開示されたスチ リ ル色素、 同 じ特許出願人による特 開 2 0 0 1 — 3 2 3 1 7 9 号公報(特願 2 0 0 0 - 2 7 5 7 6 4 ) に開示された非対称型イ ン ド レニン系ペンタメチンシァニ ン色素 同 じ特許出願人による国際公開 W O 0 0 / 0 6 1 6 8 7 号明細 書 (国際特許出願 P C T Z J P 0 0 / 0 2 3 4 9 号) に開示され た非対称型 卜 リ メチン系シァニン色素、 化粧品原料基準 ( 日本公 定書協会編、 『化粧品原料基準 第二版注解 I 』、 1 9 8 4 年、 薬事日報社発行) に収載されている感光素 1 0 1 号 (別名 ブラ 卜 ニン)、 感光素 2 0 1 号 (別名 ピオニン)、 感光素 3 0 1 号 (別名 夕カナール)、 感光素 4 0 1 号 (別名ルミネキス) などが挙げられ る。
本発明でいう ラ ジカル化は特定の原因 に限定される ものではな い。 例えば、 不飽和化合物は一般に、 無触媒下で光照射や加温な どによ り 、 また、 金属触媒などの適宜の触媒の作用 によ り 、 さ ら に、 活性酸素などの他のラ ジカルの作用によ り ラジカル化する こ とが知 られている。
本発明のラ ジカル反応抑制剤は、 不飽和化合物又は不飽和化合 物を含む組成物を原材料、 添加物、 製品などと して扱う分野であ つ て、 且つ、 不飽和化合物の化学的変化の回避が求め られる諸種 の分野、 例えば、 飲食品分野、 農林水産分野、 化粧品分野、 医薬 品分野、 日 用品分野、 化学工業分野、 染料分野、 塗料分野、 建材 分野、 香料分野、 化学薬品分野、 合成繊維分野、 色素分野、 感光 色素分野、 光記録媒体分野ならびに、 これ らの分野で利用 される 原材料、 又は添加物の製造分野などの極めて広範な分野において 有用である。
飲食品分野にあっ ては、 不飽和化合物である脂質と と も にタ ン
パク質を含有する組成物が大部分を占める こ とから、 脂質のラ ジ カル化、 該ラ ジカル反応の進行を抑制する と と も に、 ラ ジカル反 応によって生 じる脂質過酸化物がタ ンパク質を修飾、 変性させる 過程を抑制する こ とのできる本発明のラ ジカル反応抑制剤は、 夕 ンパク変性抑制剤と して飲食品の風味 (品質) 保持に極めて有利 に利用できる。 しかも、 本発明のラ ジカル反応抑制剤は、 過酸化 物を含有する飲食品を摂取した場合であっても、 過酸化物によ つ て組織や組織に存在する酵素が修飾、 変性する こ とが効果的に抑 制される こ と に加え、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖 の糖質誘導体との混合物が、 食物繊維作用や体脂肪の蓄積を抑制 する作用なども有 している こ とから、 健康食品用の原料と しても 有利 に利用できる。
さ ら に、 本発明のラ ジカル反応抑制剤は、 活性などを失い易 い 各種生理活性物質又はこれを含む健康食品、 医薬品などの安定化 剤と して有利 に適応できる。 例えば、 イ ンター フ ェ ロ ン一 α 、 ィ ンタ ーフ ェ ロ ン一 j8 、 イ ンターフ ェ ロ ン一 τ 、 ッモア ' ネク ロ シ ス ' フ ァ ク タ a 、 ッモア · ネク ロ シス · フ ァ ク タ β 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ遊走阻止因子、 コ ロニー刺激因子、 卜 ラ ンスフ ァ ー フ ァ ク タ一、 イ ンタ ーロ イキン類などの リ ンホカ イ ン含有液、 ィ ンシュ リ ン、 成長ホルモ ン、 プロ ラクチン、 エ リ 卜 ロポェチン、 卵細胞刺激ホルモン、 胎盤ホルモンなどのホルモン含有液、 B C G ワ クチン、 日本脳炎ワ クチン、 は しかワ クチン、 ポ リ オ生ワ ク チン、 痘苗、 破傷風 卜キソイ ド、 ハブ抗毒素、 ヒ 卜免疫グロ プ リ ンなどの生物製剤含有液、 フ ィ コ シァニン、 フ ィ コ エ リ 卜 リ ンを は じめとする色素タ ンパク質、 リ パーゼ、 ェラスタ 一ゼ、 ゥ ロ キ ナーゼ、 プロテアーゼ、 ;8 — ア ミ ラーゼ、 イ ソア ミ ラーゼ、 グル
カ ナーゼ、 ラク ターゼ、 補体系などの酵素や血液成分などのぺプ チ ド或いはタ ンパク質の変性を抑制 し、 それらの生理活性を安定 に保持する こ とができるので、 高品質の健康食品、 医薬品或いは 試薬などの製造にも有利 に利用できる。
また、 特に、 組織や細胞レベルのラ ジカルの発生及びそれに引 き続く 一連のラ ジカル反応を抑制する こ とから、 生体内で発生す る ラ ジカルの生成を伴う炎症反応の抑制剤と して、 ァ 卜 ピーをは じめとする皮膚炎、 湿疹、 蓴麻疹、 虫刺され、 火傷、 日 焼け、 免 疫反応を介する各種の炎症性疾患、 口 内炎、 歯肉炎、 結膜炎、 胃 炎、 大腸炎、 潰瘍性大腸炎、 ク ロ ー ン病などの臓器の炎症性疾患 などの予防、 治療にも有利 に利用できる。
本発明のラ ジカル反応抑制剤は、 環状四糖、 又は、 この環状四 糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を、 環状四糖の無水物と し ての換算で約 1 wノ w % (以下、 本明細書では特に断らない限 り 、 w / w %を単に% と表記する。) 以上、 望ま し く は、 1 0 %以上、 さ ら に望ま し く は 3 0 %以上含有する ものが好適である。 本発明 のラ ジカル反応抑制剤は、 不飽和化合物のラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行の抑制効果を発揮出来ればよ く 、 有効成分であ る環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混 合物のみで構成されていてもよい し、 該糖質と と も に、 環状四糖 の製造工程において共存するグルコ ース、 イ ソマル 卜ース、 マル 卜ース、 マル 卜 卜 リ オース、 マル 卜デキス 卜 リ ンな ど、 環状四糖 及び環状四糖の糖質誘導体以外の糖質を含有 していてもよい。 逆 に、 本発明のラ ジカル反応抑制剤を使用する組成物が、 ア ミ ノ 酸 などのよ う に分子内 にア ミ ノ 基を有する物質を含む場合には、 グ ルコ ースをは じめとする還元性糖類が混在する とメ ーラー ド反応
などによ り該組成物中の有効成分及び/又は該組成物自体の品質 低下が特に問題となる こ とが予想される場合には、 本発明のラ ジ カル反応剤と して、 環状四糖を、 9 8 %以上、 望ま し く 9 9 %以 上、 さ ら に望ま しく は 9 9 . 5 %以上含有する ものが好適であ り 、 或いは、 環状四糖、 又は、 環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との 混合物と共存する還元性の糖質に水素添加 して、 その還元性を低 減 したものを使用する こ と も可能である。 また、 環状四糖は安定 な糖質なので、 本発明のラ ジカル反応抑制剤を使用する組成物の 品質を低下させない限 り 、 必要に応じて、 ラ ジカルス力 べンジャ 一の他、 分散性を高めた り 、 増量などの 目 的に応じて、 還元性糖 質類、 非還元性糖質類、 糖アルコ ール類、 水溶性多糖類、 無機塩 類、 乳化剤、 酸化防止剤及びキ レ一 卜作用を有する物質から選ば れる 1 種又は 2 種以上と併用する こ と も随意である。 さ ら に必要 であれば、 公知の着色料、 着香料、 保存料、 安定剤などを適量併 用する こ と も随意である。 このよ う に して得られたラ ジカル反応 抑制剤は、 その形状を問わず、 例えば、 シラ ッ プ、 マスキ ッ ト、 ペース 卜、 粉末、 結晶、 顆粒、 錠剤などの何れの形状であ っ ても よい。
また、 本発明のラ ジカル反応抑制剤と併用される非還元性糖類 と しては、 卜 レ八 ロ ース ( α, α — 卜 レノ、 ロ ース、 a , j8 — 卜 レ ハロ ース或いは ) 8 , β — 卜 レハロ ースの 1 種又は 2 種以上の組み 合わせ) が、 又、 糖アルコ ール類と してはマルチ トールが、 何れ も、 優れた脂質の変敗抑制効果や脂質か らのアルデヒ ド類の生成 を抑制する効果を有する点か ら望ま し く 、 α , α — 卜 レハロ ース は、 それらの効果が極めて高いこ とか ら、 特に望ま しい。
本発明のラ ジカル反応抑制剤は、 その各々 の使用分野において
通常使用される酸化防止方法と組み合わせて用 いる こ と によ り 、 単独の使用よ り も更に効率的にラ ジカル反応を抑制する こ とがで きる。 酸化防止方法と しては、 例えば、 抗酸化剤、 脱酸素剤、 ラ ジカルス力 ベンジャ ー、 金属のキ レー 卜剤などとの併用や、 本発 明のラ ジカル反応抑制剤を含有する組成物を、 カ プセルへ封入 し た り 、 コ ーティ ング処理、 密封容器での保存、 不活性ガスの封入 などによ り 酸素との接触の遮断、 さ ら には、 遮光、 低温保存など からえ ら ばれる 1 種又は 2 種以上を適宜組み合わせて使用する こ とができる。
本発明でい う ラ ジカルスカベンジャ ーとは、 反応中 に生 じる ラ ジカルを効率的に捉えるために使用 される化合物であれば、 何れ でもよ く 、ラ ジカル反応抑制剤の使途に応じて 1 種又 2 種以上が、 適宜選択される。 例えば、 ァスコルビン酸、 ァスコ ル ビン酸誘導 体、 ビタ ミ ン B 2、 ビタ ミ ン B 2誘導体、 ヘスペ リ ジ ン、 ルチン或 いはその誘導体などの ビタ ミ ン類、 ポ リ フ エ ノ ール類などのフ ラ ボノ イ ド類、 ジブチルヒ ド ロキシ トルエン、 没食子酸プロ ピル、 ジフ エ二ル ピク リ ルヒ ド ラ ジル、 力'ル ビノ キシル、 ハイ ド ロキ ノ ン、 ハイ ド ロ キノ ン誘導体などを挙げる こ とができ、 また、 前記 不飽和化合物の中から も、 例えば、 ビタ ミ ン A、 ビタ ミ ン Eやそ れらの誘導体などに代表されるテルペン類、 ド コサペンタエン酸、 ド コサへキサェン酸などに代表される不飽和脂肪酸のよ うな不飽 和化合物を、 その用途に応じて適宜使用する こ と も 自 由である。
本発明でい う 、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖 質誘導体との混合物を含有させる、 或いは、 それら を有効成分と する ラ ジカル反応抑制剤を含有させる とは、 当該成分とそれ以外 の成分が直接接触できる よ う に、 その利用 目 的 に応 じて、 原料の
段階から製品の段階に至るまでの適宜の工程、 或いは、 既存の製 品に対 して、 例えば、 混和、 混捏、 溶解、 融解、 分散、 懸濁、 乳 化、 浸漬、 浸透、 散布、 塗布、 被覆、 噴霧、 注入、 晶出、 固化な どの方法で接触させる こ とを意味する。 また、 本発明で使用する 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合 物の形態に特に制限はなく 、 例えば、 シラ ッ プ、 マスキ ッ ト、 固 状物及び粉末の 1 種又は 2 種以上を適宜選択して使用する こ とが できる。
環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混 合物を含有させる量は、 不飽和化合物のラ ジカルの生成抑制及び 又はラ ジカル反応の進行の抑制効果を発揮できる量であればよ く 、 特に制限はないが、 通常、 不飽和化合物に対 して、 環状四糖 の無水物と しての換算で約 0 . 0 1 %以上約 9 9 . 9 %未満、 さ ら に好ま し く は、 約 1 . 0 %以上約 9 0 %未満をできるだけ均一 に含有せ しめるのが好適である。 通常 0 . 0 1 %未満では、 不飽 和化合物のラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行を効果的に抑 制する には不充分である。
以下、 実験例 に基づいて環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状 四糖の糖質誘導体との混合物による、 不飽和化合物のラ ジカルの 生成抑制及び/又はラ ジカル反応の進行の抑制についてよ り 詳細 に説明する。 実験 1 一 1 環状四糖及び環状四糖の糖質誘導体の調製
特許文献 3 に開示された実施例 2 の方法に準 じて、 固形分あた り 環状四糖 6 1 . 7 %、 環状四糖の糖質誘導体 5 . 1 %を含有す る シラ ッ プを調製 した。 同様に、 特許文献 3 に開示された実施例
3 の方法に準じて、 タ ピ才力澱粉を原料と して調製 した環状四糖 と環状四糖の糖質誘導体との混合物を含有する シラ ッ プを、 特許 文献 3 の実施例 5 に記載の方法に準 じて精製、 濃縮、 乾燥 · 結晶 化して、 純度 9 8 . 5 %の環状四糖 5 含水結晶を得た。 さ ら に、 前記環状四糖 5 含水結晶をさ ら に、 特許文献 3 に開示された実験 3 1 或いは実験 3 2 の方法に準 じて乾燥 し、 環状四糖 1 含水結晶 粉末及び環状四糖無水結晶粉末を調製 した。 実験 1 一 2 ラ ジカル生成抑制に及ぼす環状四糖の影響
. ラ ジカル生成抑制に及ぼす環状四糖の影響を調べるための実験 は次のよ う に して行った。 1 m M過酸化水素 ( H 2 0 2 ) 溶液 5 0 I に順次、 8 9 m M 5 , 5 — ジメチルー 1 — ピロ リ ン一才キ シ ド ( D M P O、 和光純薬株式会社販売) 溶液 5 0 μ I 、 実験 Ί 一 1 で調製した環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を含有 する シラ ッ プ、 環状四糖 5 含水結晶、 環状四糖 1 含水結晶或いは、 環状四糖無水結晶を、 各々 環状四糖と しての換算で 1 5 m Μ、 3 8 m M、 7 5 m M、 1 5 O m M となるよ う に調製 した水溶液 5 0 β I 又は蒸留水 5 0 I 、 各 1 m Mの硫酸鉄、 ジエチ レン 卜 リ ア ミ ン— N , N , N,, N ", N "— 5 酢酸 ( D T P A、 和光純薬株式 会社販売) 溶液 5 0 μ. I を添加混合 して反応を開始させ、 電子ス ピン共鳴スペク トル ( E S R ) 測定用セルに入れて、 測定装置に セ ッ 卜 して、 反応開始一定時間後の ヒ ド ロキシラ ジカルの生成量 を測定 した。 なお、 陽性対照と して、 環状四糖に代えて、 ラ ジカ ル生成抑制効果のある こ とが知 られてい る な , α - 卜 レ八ロ ース ((株) 林原商事販売、 商品名 『 ト レハ』) を使用 して、 同様の測 定を行った。 E S R の測定には(株)日本電子製装置「 F r e e R
結
a d i c a I M o n i t o r J E S — F R 3 0 J を用い、 ヒ ド ロキシラ ジカルの生成量は、ス ピン 卜ラ ッ プ剤と して使用 した 5 , 5 — ジメチルー 1 一 ピロ リ ン一才キシ ド 一 0 H ( ヒ ド ロキシラ ジ カル) に特有の 4 つのシグナル ピーク の内、 測定開始後最初に観 察される ピーク と、 J E S — F R 3 0 装置に装着されている外部 標準の M n 2 +の ピーク の高さ との比を求めて、相対値と して表 1
棚
に示す。 なお、 環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を含 有するシラ ッ プ、 環状四糖 5 含水結晶、 環状四糖 1 含水結晶或い は、 環状四糖無水結晶は何れも同様の 5 , 5 — ジメチル _ 1 ー ピ 卜
口 リ ン一才キシ ド ー O H ( ヒ ド ロキシラ ジカリレ) に特有の 4 つの シグナル ピークを示 したので、 環状四糖 5 含水結晶を使用 した場 合の結果のみを示す。
表 1
ヒ ドロキシラジカル生成量
(生成率 (%) ) 糖質の濃度 (mM) 0 15 38 75 150 環状四糖 0.265 0.228
(9) (8) a , ー ト レノヽロース 0.692
(23) 各糖質濃度のヒ ドロキシラジカル生成量
生成率 (%) X 1 0 0 糖質無添加のヒ ドロキシラジカル生成量
ヒ ド ロ キシラジカルの生成は環状四糖の添加量の増加と とも に 減少 し、糖質無添加の場合と比較して、 7 5 m Μ濃度の時で約 8 %
の生成率とな り 、 1 5 O m M濃度では約 4 %の生成率となっ た。 , α — 卜 レハロ ースの場合も、 同 じ濃度での ヒ ド ロ キシラ ジ力 ルの生成率は、 ほぼ同 じ値を示 した。 しか し、 3 8 m Μ以下の低 い濃度範囲で、 その生成率は、 糖質無添加の場合と比較して、 環 状四糖を添加 した場合には、 1 5 m M濃度で約 3 4 % 、 3 8 m M 濃度で約 9 % となって、 ヒ ド ロキシラジカルの生成が強く 抑制さ れたのに対して、 a , α — 卜 レ ノ、ロ ースを添加 した場合には、 5 m Μ濃度で約 6 6 % 、 3 8 m M濃度で 2 3 % とな り 、 環状四糖を 添加 した場合に比 して 2 倍以上の ヒ ド ロ キシラ ジカルの生成率と なった。 この結果よ り 、 環状四糖の ヒ ド ロキシラ ジカル生成抑制 効果は α , a - 卜 レハロ ースよ り も明 らかに大き い こ とが判明 し た。 実験 1 一 3 低比重リ ポタ ンパク質 ( L D L ) 酸化抑制に及ぼす 環状四糖の影響
低比重 リ ポタ ンパク質 ( L D L ) 酸化抑制に及ぼす環状四糖の 影響を調べるための実験は次のよ う に して行った。 すなわち、 0 . 5 m g / m l 低比重 リ ポタ ンパク質 ( L D L ) — リ ン酸緩衝食塩 水 ( P B S 、 p H 7 . 4 ) 2 . 5 m l と、 実験 1 — 1 で調製 した 環状四糖 5 含水結晶、 環状四糖 1 含水結晶、 環状四糖無水結晶の 何れかの 1 0 0 m M P B S 溶液 2 . 5 m I 、 或いは、 環状四糖無 添加の P B S 溶液 2 . 5 m l とを混合後、 1 0 0 m M 2 , 2 ' — 了 ゾビス ( 2 — ア ミ ジノ プロ ノ ン) 二塩酸塩 ( A A P H ) — P B S ( p H 7 . 4 ) 溶液 5 0 I を添加、 混合し、 3 7 °Cで反応を行 つ た。 反応は、 経時変化を求めるために、 2 4 0 分間継続した。 各反応液は、 反応開始 0 、 3 0 、 6 0 、 1 2 0 、 1 8 0 、 2 4 0
分のものについて、 L D L酸化物の増加に比例 して増大する吸光 度 ( 2 3 4 n m ) を測定した。 実験によ り得 られた L D L酸化物 の量 ( 2 3 4 n m吸光度) の経時変化を表 2 に示す。 なお、 環状 四糖 5 含水結晶、 環状四糖 1 含水結晶或いは、 環状四糖無水結晶 は何れも同様の酸化抑制パターンを示したので、 環状四糖 5 含水 結晶を使用 した場合の結果のみを示す。 また、 0 . 5 m g / m l 低比重 リ ポタ ンパク質 ( L D L ) の P B S溶液 2 . 5 m l と、 実 験 1 一 1 で調製した環状四糖 5 含水結晶を 2 m M、 1 0 m M或い は 2 O m M となるよ う に溶解 した P B S 溶液 2 . 5 m I 、 或いは、 環状四糖無添加の P B S 溶液 2 . 5 m I とを混合後、 同様に 2 3 4 n mの吸光度を測定 して、 低比重 リ ポタ ンパク質 ( L D L ) の A A P H酸化に対する環状四糖の影響を調べた。 環状四糖の添加 量と反応 1 2 0 分後の L D L の酸化量 ( 2 3 4 n m吸光度) の関 係を表 3 に示す。
表 2
各時間の環状四糖添加時の吸光度
生成率 (%) = X 1 0 0
各時間の環状四糖無添加時の吸光度 表 3
吸光度 (、 w 9. 3 4 n m)
環状四糖の濃度 生成率
(mM) 平 均 (%)
0 0.215 100
1 0.163 76
5 0.076 35
10 0.028 13 環状四糖の各濃度の吸光度
生成率 (%) = X 1 0 0
環状四糖無添加の時の吸光度 表 2 に示すよ う に、 環状四糖無添加 ( 0 m M ) の系および環状 四糖添加 ( 5 0 m M ) の系と も に、 反応開始後 6 0 分間は L D L の酸化物が経時的に増加 し、 その後はほぼ平衡に達する こ とが明 らかとなつ た。 2 4 0 分経過時での L D L酸化物の生成は、 糖質 無添加の系と比較 して、 環状四糖を添加 した場合には、 約 2 3 % とな り 、 強い抑制が認め られた。 また、 表 3 か ら明 らかなよ う に、 L D L 酸化物の生成は、 環状四糖の添加量の増加と と も に生成が 減少 し、 糖質無添加の場合と比較 して、 1 0 m Mの添加では約 1 3 % にまで抑制された。 これらの結果よ り 、 環状四糖は L D L の 酸化を効果的に抑制する こ とが判明 した。
実験 1 一 4 リ ノ ール酸のラ ジカル酸化に及ぼす環状四糖の影響 リ ノ ール酸のラ ジカル酸化に及ぼす環状四糖の影響を調べるた めの実験は、 次のよ う に して行っ た。
リ ノ ール酸酸化に及ぼす環状四糖の影響の測定
1 1 . 7 m g / m l リ ノ ール酸一エタ ノ ール溶液 1 m 5 0
m M リ ン酸緩衝液 ( p H 7 . 2 ) 1 m l 、 1 0 0 m 2 , 2 , - ァゾビス ( 2 — アミ ジノ プロパン) 2 塩酸塩 ( A A P H ) 溶液 1 m I 、 実験 1 — 1 で調製 した環状四糖 5 含水結晶の 2 0 0 m M P B S ( 5 0 m M 、 p H 7 . 2 ) 溶液 2 m I を混合 し、 3 7 °Cで静 置 し、 混合後、 0 、 Ί 、 2 、 6 時間で試験標品をサンプリ ングし、 該試験標品中 に生成 した共役ジェン量及びチ才バルビツール酸と の反応生成物 ( T B A R S ) 量を測定 した。 陰性対照と して、 環 状四糖無添加の P B S を使用 して同様の測定を行っ た。 共役ジェ ン量は、 岡村らの方法 (『ジャ ーナル 才ブ ァグリ カルチヤ ラル ア ン ド フー ド ケミ ス ト リ ー』 ( J o u r n a l o f A g r i c u l t u r a l a n d F o o d C h e m i s t r y )、 第 4 2 巻、 1 6 1 2 頁、 ( 1 9 9 4 年)) に従って、 2 3 4 n mの吸光度を測定する こ と によ り求めた。 T B A R S 量は、 大 河原らの方法 (『ジャ ーナル 才ブ リ ピッ ド リ サーチ』 ( J 0 u r n a I o f L i p i d R e s e a r c h )、弟 1 9 巻、 1 0 5 3 頁 ( 1 9 7 8 年)) に従って、 サンプリ ング した各試験標 品をチ才バルビツール酸と反応させた後、 5 3 2 n mの吸光度を 測定する こ と によ り 求めた。 なお、 T B A R S 生成量は、 1 , 1 , 3 , 3 ーテ 卜ラエ 卜キ シプロパンをエタ ノ ールで、 1 0 、 5 0 、 1 0 0 μ g / m I に希釈 した溶液を、 試験標品 と同様にチ才バル ビツール酸と反応させて、 その吸光度を測定し、 生 じる T B A R S 量 (計算値) と、 測定 した吸光度から作成 した検量線を用 いて、 試験標品中の T B A R S 量を求めた。 また、 共役ジェン生成量は、 前記 『ジャ ーナル ォブ ァグ リ カルチヤ ラル ア ン ド フー ド ケミ ス ト リ ー』、 第 4 2 巻、 第 1 6 1 2 頁 ( 〗 9 9 4 年) に記載さ れた、 分子のモル吸光計数に基づき、 以下の実験によ り 得られた
吸光度から計算によ り求めた。 生成する共役ジェン生成量の測定 結果を表 4 に、 T B A R S生成量の測定結果を表 5 に示す。 表 4
各時間の環状四糖添加時の共役ジェン生成量
生成率 (%) = X 1 0 0 各時間の環状四糖無添加時の共役ジェン生成量
表 5
各時間の環状四糖添加時の T B AR S生成量
生成率 (%) X 1 00 各時間の環状四糖無添加時の T BARS生成量
結果
表 4 か ら明 らかなよ う に、 共役ジェンの生成は、 反応開始後 6 時間で、 環状四糖の添加では、 糖質無添加の場合と比較 して、 約 4 0 % にまで抑制された。 また、 表 5 の結果から明 らかなよ う に、 T B A R S の生成は、 反応開始後.6 時間で、 環状四糖の添加では、 糖質無添加の場合と比較して、 約 3 0 % にまで抑制された。 これ らの結果よ り 、 環状四糖は、 リ ノ ール酸のラ ジカル酸化による共 役ジェン生成ならびに T B A R S生成を効果的に抑制する こ とが 判明 した。 実験 1 — 5 脂質過酸化物によるタ ンパク質或いは リ ジン修飾抑 制 に及ぼす環状四糖及び他の糖質の影響
脂質のラ ジカル反応によ り 生成する代表的な脂質過酸化物( 2 , 4 ーデカ ジェナール及びマロ ンジアルデ ヒ ド ( M D A ) ) による夕 ンパク質或いは リ ジンの修飾、 変性に及ぼす各種糖質の影響を、 環状四糖、 マルチ トール、 α , α _ 卜 レハロ ース、 シ ョ 糖或いは それらの混合物を使用 して調べるための実験を、 該脂質過酸化物 がタ ンパク 質或い は リ ジ ン と 反応 して生 じ る アルデ ヒ ド付加体 (タ ンパク カルポニル及び酸化脂質 /ア ミ ノ 酸反応産物 ( 0 L A A R P s ) ) の生成を指標に して、 次のよ う に して行った。 なお、 実験は、 溶液中の糖質の総モル濃度が一定となるよ う 各種糖質溶 液を調製 して行った。 試験用の各種糖質溶液の調製
5 m l の P B S ( 5 0 m M、 p H 7 . 4 ) あた り 、 実験 1 — 1 で調製 した環状四糖 5 含水結晶 5 0 0 m g 、 無水結晶マルチ 卜一
ル ((株) 林原商事販売、 商品名 『マ ビッ ト』) 2 5 0 m g 、 含水 結晶 α, - 卜 レハロース ((株) 林原商事販売、 商品名 『 ト レハ』) 2 5 0 m g 或いはシ ョ糖 (試薬特級 和光純薬販売) 2 5 0 m g を溶解して、 試験用糖質溶液と した。 2 種の糖質を組み合わせた 試験には、 5 m l の P B S あた り 、 環状四糖 2 5 O m g 及びその 他の糖質 1 2 5 m g を、 3 種類の糖質 (環状四糖、 含水結晶 α, α — 卜 レ八ロ ース、 無水結晶マルチ 卜一ル) を組み合わせた試験 では、 環状四糖 1 6 6 . 7 m g及びその他の糖質を各々 8 3 . 3 m g を、 それぞれ溶解して試験用糖質溶液を調製した。 陰性対照 と して P B S を使用 した。 試験方法
調製した各試験用糖質溶液及び陰性対照 5 m I に対 して、各々 、 牛血清アルブミ ン ( B S A ) 又は し — リ ジンを Ί 0 m g添加 して 溶解した後、 脂質過酸化物と して 2, 4 —デカ ジエナ一ル又はマ ロ ンジアルデヒ ド ( M D A ) 2 5 )U g を添カ卩 して、 3 7 °Cで 2 4 時間反応した。 反応終了後、 生成 したアルデヒ ド付加体のタ ンパ ク カルボニル及び酸化脂質 /アミ ノ 酸反応産物( 0 L A A R P s ) を比色法によ り 定量 した。 B S A と脂質過酸化物の反応結果を表 6 に、 L - リ ジンと脂質過酸化物の反応結果を表 7 に示す。 なお、 タ ンパク カルボニル量及び 0 L A A R P s 量は、 バイオケ厶 . バ ィ 才フ イ ジ . ァクタ ( B i o c h i m . B i o p h y s . A c t a )、 第 1 2 5 8 号、 第 3 1 9 ~ 3 2 7 頁 ( 1 9 8 5 年) に記載さ れた、 それぞれの分子のモル吸光計数に基づき、 以下の実験によ り 得られた吸光度から計算によ り求めた。
タ ンパクカルボニル量の測定方法
B S Aを溶解 した試験用糖質液或いは陰性対照と、 脂質過酸化 物との反応終了後、 該溶液 2 m l に 1 2 . 5 m M ジニ ト ロ フ エ二 ル ヒ ド ラジン ( D N P H ) / 2 . 5 N塩酸溶液 2 m l を加え、 室 温で 1 時間放置 し、 これに 3 0 % 卜 リ ク ロ ロ酢酸 ( T C A ) 2 m
I を加え 0 °Cで 1 時間放置 した。 1 0 , 0 0 0 r p mで 1 5 分間 の遠心分離によ り 沈殿物を得、 これをエタ ノ ール /酢酸ェチル
( 1 : 1 ) 2 m l で 4 回洗浄 し、 6 Mグァニジン塩酸塩 Z 2 0 m M N a P i / ト リ フルオル酢酸 ( T F A 、 p H 2 . 3 ) 2 m l を 力 []え、 3 7 °Cで 3 0 分間放置後、 吸光度 ( 3 7 0 n m、 ε = 2 2 , 0 0 0 Μ — 1 c m — 1 ) を測定 した。 また、 L — リ ジンを溶解 した 各試験用糖質液液或いは陰性対照と、 脂質過酸化物との反応終了 後、 該溶液 2 m I にジェチルエーテル 2 m I を加え未反応の脂質 過酸化物を除去 し、 これに、 1 2 . 5 m M D N P H / 2 . 5 N塩 酸溶液 2 m I を加え、 室温で 1 時間放置後、 吸光度 ( 3 7 0 n m 、 ε = 2 2 , 0 0 0 Μ — 1 c m — 1 ) を測定 した。
O L A A R P s の測定方法
B S Aを溶解 した試験用糖質液或いは陰性対照と脂質過酸化物 を反応後、 該溶液 1 m I に、 エー リ ツ ヒ試薬 (ジメチルベンズァ ルデヒ ド 2 0 0 m g 、 エタ ノ ール 2 m l 、 3 . 5 N塩酸 8 m l ) 1 5 0 t I を加え、 4 5 °Cで 3 0 分間放置 した。 これに 3 0 % 卜 リ ク ロ ロ酢酸を 6 0 0 I 力 Qえ、 0 °Cで 1 時間放置 し、 1 0 , 0 0 0 r p mで 1 5 分間の遠心分離によ り 沈殿物を得、 これをエタ ノ ール /酢酸ェチル ( 1 : 1 ) 2 m I で 4 回洗浄し、 6 M グァニ ジ ン塩酸塩 Z 2 0 m M N a P i Z T F A ( p H 2 . 3 ) 1 . 5 m
I を加え、 3 7 °Cで 3 0 分間放置後、 吸光度 ( 5 8 0 n m、 ε =
3 5 , 0 0 0 Μ - 1 c m " 1 ) を測定 した。 また、 L 一 リ ジンを溶 解 した試験用糖質液或いは陰性対照と脂質過酸化物の反応後、 該 溶液 1 m I にジェチルエーテル 2 m I を加え未反応の脂質過酸化 物を除去 し、 エー リ ツ ヒ試薬 1 5 0 μ I を加え、 4 5 °Cで 3 0 分 間放置 した。 これに、 1 2 . 5 m M D N P H / 2 . 5 N塩酸溶液
2 m I を加え、 4 5 °Cで 3 0 分間放置後、 吸光度 ( 5 8 0 n m、 ε = 3 5 , 0 0 0 Μ— 1 c m— 1 ) を測定した。
表 6
アルテ'、ヒド付加体の生成量 (//mo 1 /g -BSA) 測 定 項 目
タンハ°クカルホ"ニル生成量 OL AARP s生成量 (生成率: %) (生成率: %) 添加した過酸化脂質 2, 4 -テ"カシ"工ナ—ル MDA 2, 4-テ、'カシ'、ェナール MDA 無添加 14.16 2.42 4.21 5.83
(100) (100) (100) (100) 添 環状四糖 2.92 4.68
c— (69) (80) a , -トレハロ-ス 8.26 1.45 2.67 3.24 加 (58) (60) (63) (56) マルチ 卜一ノレ 7.51 1.29 2.83 2.78
(53) (53) (67) (48) し
ショ糖 4.77 7.75
(113) (133) た 環状四糖 7.13 1.17 2.48 3.86 a , α—トレ ΛΠ—ス (50) (48) (59) (66) 環状四糖 7.02 1.21 2.88 3.72 マノレチト一ノレ (50) (50) (68) (64) 環状四糖 9.25 1.57 3.15 5.22 ショ糖 (65) (65) (75) (90) 環状四糖 6.78 1.18 2.81 5.18 a, 0: -トレハ[1ース (48) (49) (67) (89) マルチト一ル
—糖質添加時のアルテ " "付加体生成量 ―
生成率 (%) X 1 0 0
糖質無添加時のアルテ"ヒド付加体生成量
了ルテ、 'ヒド付加体の生成量 (〃m o 1 /g - -L -リシ'、ン) 測 定 項 目
タンハ。クカルホ"ニル生成量 0 L AAR P s生成量 (生成率 (%) ) (生成率 (%) ) 添加した脂質過酸化物 2,4-テ、、力シ、、ェナ-ル MD A 2,4-テ "カシ "ェナ-ル MD A 無 添 13.46 6.00 8.12 8.64
(100) (100) (100) (100) 環状四糖添加 6.42 3.93 5.44 3.39
(48) (66) (67) (39) a , ct-トレハロース 7.47 3.99 5.72 3.24 加 (55) (67) (70) (38) マノレチト一ノレ 6.81 3.29 5.90 7.23
(51) (55) (73) (84)
,
し
ショ糖 10.92 5.75 7.54 8.13
(81) (96) (93) (94) た 環状四糖 7.13 3.17 5.48 4.86 a , トレ八ロース (53) (53) (67) (56) 環状四糖 7.02 3.21 5.88 4.72 . 糖 マルチト一ル (52) (54) (72) (55) 環状四糖 9· 25 4.57 6.45 6.22
(6.9) , (76) (79) (72) 環状四糖 6.78 3.18 5.81 5.83 a , α—トレハロース (50) (53) • (72) (67) マノレチトール 糖質添加時のアルテ"ヒド付加体生成量
生成率 ( ) X 1 0 0
糖質無添加時のアルテ"ヒド付加体生成量 ίρ口 ^z
表 6 か ら 明 ら かな よ う に、 環状四糖は、 脂質過酸化物の 2 , 4 ー デカ ジエナール或 いはマ ロ ン ジアルデ ヒ ド ( M D A ) の添加 に よ る B S A か ら のタ ンパク カ ルボニル生成を 、 糖質無添加 に比 し
て、 2 , 4 ーデカ ジエナール或いは M D Aの何れの場合にも約 4 5 % に抑制 した。 環状四糖に代えて α, α — 卜 レハロース或いは マルチ トールを添加 した場合にも抑制が認められたものの、 その 程度は、 環状四糖に比 して低いものであった。 また、 2 , 4 —デ カ ジエナ一ル或いは M D Aの添加による B S Aからの O L A A R P s の生成は、 環状四糖の添加では、 糖質無添加の場合に比 して、 2 , 4 —デカ ジエナールでは約 6 9 % に、 M D Αでは約 8 0 % に 抑制された。 L A A R P s の生成は、 a , α — 卜 レハロ ース或い はマルチ トールの添加でも抑制が認め られ、 その程度は、 2 , 4 ーデカ ジエナールの添加では環状四糖とほぼ同程度であ り 、 M D Αの添加では、 環状四糖よ り も、 a , α — ト レハロ ース或いはマ ルチ トールを添加 した場合の方が大きかった。 一方、 シ ョ 糖は、 前記アルデヒ ド付加体の生成を殆ど抑制せず、 逆に、 0 L A A R P s 生成は、 糖質無添加の場合よ り も増加 した。 2 種或いは 3 種 の糖質を混合した場合には、 何れも、 無添加に比 して、 B S A か らのタ ンパク カルボニル生成及び 0 L A A R P s 生成が抑制され てお り 、 シ ョ 糖と組み合わせた場合でも、 これらアルデヒ ドの付 加体の産生が増強される こ とはなかった。
表 7 か ら明 らかなよ う に、 2 , 4 —デカ ジエナール或いは M D Aの添加による、 L 一 リ ジンか らのタ ンパクカルボニルの生成は、 環状四糖の添加によ り 、 糖質無添加の場合に比 して、 2 , 4 ーデ カ ジエナールでは約 4 8 %に、 M D Aでは約 6 6 % に抑制 された。 L 一 リ ジンからの 0 L A A R P s の生成は、環状四糖の添加では、 糖質無添加の場合に比 して、 2 , 4 —デカ ジエナールでは約 6 7 % に、 M D Aでは 3 9 % に抑制された。 また、 2 , 4 —デカ ジエナ ール或いは M D Aの添加による L — リ ジンからのタ ンパクカルボ
ニル及び O L A A R P s の生成は、 環状四糖に代えて α, - 卜 レハロース及びマルチ トールを添加 した場合にも抑制が認められ その程度は、 マルチ トールを添加 した場合に、 2 , 4 —デカ ジエ ナールの添加での夕 ンパクカルボニルの生成の抑制が、 使用 した 糖質中で最も高かっ た以外は、 環状四糖とほぼ同程度か、 それよ り も少し低かった。 一方、 シ ョ糖は、 前記 B S Aの場合と同様に、 アルデヒ ド付加体であるタ ンパクカルボニルゃ 0 L A A R P s.の 生成に対 して、 殆ど抑制効果を示さなかったものの、 これら アル デヒ ド付加体の生成を増強する こ と もなかっ た。 2 種或いは 3 種 の糖質を混合 したものを使用 した場合には、 何れも リ ジンからの タ ンパク カルボニル生成及び 0 L A A R P s 生成が抑制されてお り 、 糖質の組み合わせによ り 、 これら アルデヒ ドの付加体の産生 が増強される こ とはなかった。 これらの結果よ り 、 環状四糖は不 飽和化合物である脂質から ラ ジカル反応によ り 生 じる脂質過酸化 物による B S A或いは L ー リ ジンの修飾、 変性を効果的に抑制す る こ とが判明 した。 また'、 他の糖質と併せて使用 した場合にも、 脂質過酸化物による修飾、 変性を増強 しないこ とが判明 した。 実験 1 一 6 ラ ジカルによる小腸粘膜障害に対する環状四糖の影 響
ラ ジカルによる小腸粘膜障害に対する環状四糖の影響のモデル 系と して、 2 , 2 — ァゾビス ( 2 — ア ミ ジノ プロパ ン) 2 塩酸塩
( A A P H ) による ラ ッ 卜小腸粘膜酵素液の酸化に対する環状四 糖の影響を検討 した。 ラ ッ 卜小腸粘膜の酸化に及ぼす環状四糖の影響の測定
ラ ッ 卜小腸粘膜アセ ト ン粉末 (シグマ社製) 2 g に 5 0 m M P B S ( p H 7 . 2 ) 2 0 m l を添加 し、 氷中でホモジナイズ し、 1 0 , 0 0 0 r p m 1 0 分間遠心分離 した上清を、 ラ ッ 卜小腸粘 膜酵素液 ( 1 O m g タ ンパク質 / m l ) と して使用 した。 ラ ッ ト 小腸粘膜酵素液 0 . 5 m l 、 1 O O m M A A P H溶液 0 . 5 m l 、 実験 1 ― 1 で調製 した環状四糖 5 含水結晶の 2 0 0 m M水溶液 0 5 m I を混合 し、 3 7 °Cで 2 時間、 6 時間反応後の共役ジェ ン生 成量及び、 6 時間反応後 <p T B A R S生成量を測定 した。 表 8 に、 小腸粘膜酵素液ラジカル酸化による共役ジェン生成量の測定結果 を、 表 9 に、 T B A R S生成量の測定結果を示す。 ラ ッ 卜小腸粘膜酵素の酸化に及ぼす環状四糖の影響の測定
前記ラ ッ 卜小腸粘膜酵素液 1 m I 、 1 0 0 m M A A P H溶液 1 m l 、 5 0 m M リ ン酸緩衝液 ( p H 7 . 2 ) 1 m l 、 実験 1 — 1 で調製 した環状四糖 5 含水結晶の 4 0 0 m M水溶液 1 m I を混合 し、 3 7 °Cで 2 時間静置 した後、 スク ラ一ゼ及びマルターゼの活 性を測定 した。 表 1 0 にラ ッ ト小腸粘膜酵素液のラ ジカル酸化に よるスク ラ一ゼ及びマルターゼの活性低下の測定結果を示す。 スク ラーゼ活性の測定法
5 0 m Mマ レイ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液 ( p H 6 . 6 ) に 1 % と なる よ う にシ ョ 糖を溶解 した溶液 0 . 5 m I に、 A A P H — ラ ッ 卜小腸粘膜酵素反応液 0 . 1 m I を添加 し、 3 7 °Cで 3 0 分間反 応後遊離するグルコ ース量を G 0 D法によ り 測定した。 酵素活性 は、 シ ョ 糖よ り 3 7 °Cで 1 分間 に 1 μ m o I のグルコ ースを遊離 する酵素量を 1 単位 ( U ) と した。
マルターゼ活性の測定法
5 0 m Mマ レイ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液 ( p H 6 。 6 ) に 1 % と なるよ う にマル トースを溶解した溶液 0 . 5 m l に、 A A P H — ラ ッ 卜小腸粘膜酵素反応液 0 · 0 5 m I を添加 し、 3 7 °Cで 3 0 分間反応後遊離するグルコ ース量を G O D法によ り 測定 した。 酵 素活性は、 マル トースよ り 3 7 °Cで 1 分間に 2 μ m o I のグルコ ースを遊離する酵素量を 1 単位 ( U ) と した。
表 8
一各時間の環状四糖添加時の共役ジェン生成量
生成率 (%) X 0 0 各時間の環状四糖無添加時の共役ジェン生成量 表 9
T B AR S生成量
1、 / / m (T ―ノ々 、ノノ、、ノ々 Άヽノ
(生成率 (%) ) 環状四糖無添加 6.10
(100) 環状四糖添加 3.71
(61) 各時間の環状四糖添加時の T B AR S生成量
生成率 (%) - X 0 0 各時間の環状四糖無添加時の T BARS生成量
表 1 0
AAPH'添加時の酵素活性
活性残存率 (%) = X 100
A AP H無添加時の酵素活性
表 8 或いは表 9 から明 らかなよ う に、 環状四糖は、 A A P H に よる ラ ッ 卜小腸酵素液の酸化によ り生成する共役ジェン及び丁 B A R S を、 実験 1 — 4 の リ ノ ール酸のラ ジカル化の場合と同様に 効果的に抑制 した。 また、 表 1 0 から明 らかなよ う に、 環状四糖
は、 A A P H による ラ ッ 卜小腸酵素液の酸化によるスク ラーゼ及 びマルターゼの活性低下を効果的に抑制 し、 環状四糖が、 ラジ力 ルの生成及びラ ジカル反応の進行のみでなく 、 ラジカル反応によ リ 生成 した過酸化物によ り 、 共存する酵素タ ンパク質が修飾、 変 性を受ける こ とを抑制する こ とから、 環状四糖は、 ラ ジカル或い はラ ジカル反応による小腸粘膜障害を抑制する こ とが示唆された 以上の実験結果か ら、 本発明を応用 し、 環状四糖、 又は、 この 環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を、 ラ ジカルの生成 及びラ ジカル反応によ り 分解が進行 し、 保存中 に異臭の発生、 退 色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や機能低下が生 じる恐れの ある不飽和化合物を含む物質に含有させる こ と によ り 、 ラ ジカル の生成及びラ ジカル反応の進行を抑制する こ とができる こ とが判 明 した。 さ ら に、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖 質誘導体との混合物は、 不飽和化合物がラ ジカル化されて生じる 過酸物がタ ンパク質やア ミ ノ 酸を修飾、 変性させる こ とを抑制す る こ とができる。 特に、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四 糖の糖質誘導体との混合物は、 ラ ジカルによる細胞溶解 ( 自 己溶 解を含む) や組織の障害を抑制する こ とか ら、 ラ ジカルの発性に よ り 増悪する、 火傷、 皮膚炎、 ア ト ピー性皮膚炎、 潰瘍性大腸炎、 胃炎、 腸炎などの炎症性疾患の予防剤、 治療剤や移植時などの臓 器保存剤と しても有利に利用できる。 このよ う に、 本発明の環状 四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を 有効成分と して含有するラ ジカル反応抑制剤は、 不飽和化合物を 含む物質の安定化に大き く 寄与できる こ とから、 工業的には不飽 和化合物を含有する食品分野、 化粧品分野、 医薬品分野、 化学ェ 業品分野などの広範な分野での製品の生産、 輸送、 保存などにお
いて極めて有利 に利用できる。
以下に、 本発明のラ ジカル反応抑制剤及び該ラ ジカル反応抑制 剤を含有せ しめた組成物の例具体的に挙げて説明する。 しか し、 本発明はこれらの実施例によ っ て限定される ものではない。 実施例 1 ラ ジカル反応抑制剤
特許文献 3 に開示された実施例 2 の方法に準 じて、 馬鈴薯澱粉 か ら、 濃度 8 0 %、 固形物当た り 、 グルコ ース 0 . 6 %、 イ ソマ ル 卜ース 1 . 5 %、 マル トース 1 2 . 3 %、 環状四糖 6 3 . 5 % 、 環状四糖の糖質誘導体 5 . 2 %及 その他の糖質 1 6 . 9 %を含 有する環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を含有する シ ラ ッ プを調製 した。 本品は、 加工飲食品、 化粧品、 医薬部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学工業品を始めとする、 ラ ジカルの生成 及びラ ジカル反応を起こ して分解が進行 し、保存中 に異臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や機能低下が生 じ易い不 飽和化合物を含有する組成物に含有させる こ と によ り 、 ラ ジカル の生成及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 安定に保っためのラ ジ カル反応抑制剤と して好適である。 実施例 2 ラ ジカル反応抑制剤
特許文献 3 に開示 さ れた実施例 9 に記載された方法に準 じて ( 0; —ダルコ シダーゼ及びダルコ ア ミ ラーゼ処理はせず。)、 ト ウ モロ コ シ澱粉から、 濃度 7 3 %、 固形物当た り 、 グルコ ース 4 . 1 %、 マル 卜ース、 イ ソマル 卜 ースなどの二糖類 8 . 1 %、 マル 卜 ト リ オースなどの三糖類 4 . 0 %、 環状四糖 3 6 . 5 %、 環状 四糖の糖質誘導体 1 7 . 6 % , その他の糖質 2 9 . 7 %を含有す
る環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を含有する シラ ッ プを調製 した。 本品は、 加工飲食品、 化粧品、 医薬部外品、 医薬 品、 飼料、 餌料、 化学工業品を始めとする、 ラ ジカルの生成及び ラ ジカル反応を起こ して分解が進行 し、 保存中 に異臭の発生、 退 色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や機能低下が生 じ易い不飽 和化合物を含有する組成物に含有させる こ と によ り 、 ラ ジカルの 生成及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 安定に保っためのラ ジカ ル反応抑制剤と して好適である。 実施例 3 ラ ジカル反応抑制剤
特許文献 3 に開示された実施例 4 の方法に準じて、 コ ーンス夕 ーチを原料と して、 実験 1 一 1 の方法と同様方法によ り 、 タ ピ才 力澱粉を原料と して調製 した環状四糖と環状四糖の糖質誘導体と の混合物を含有する シラ ッ プを、 特許文献 3 の実施例 6 及び実施 例 7 記載の方法に準 じて精製、 濃縮、 乾燥 · 結晶化して、 純度 9 9 . 6 %の環状四糖 5 含水結晶を得た。 本品は、 加工飲食品、 化 粧品、 医薬部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学工業品を始めとす る、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応を起こ して分解が進行 し、 保存中 に異臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や 機能低下が生 じ易い不飽和化合物を含有する組成物に含有させる こ と によ り 、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 安定に保っためのラ ジカル反応抑制剤と して利用する こ とができ る。
前記環状四糖 5 含水結晶を さ ら に、 特許文献 3 に開示された実 験 3 1 或いは実験 3 2 の方法に準じて乾燥し、 環状四糖 1 含水結 晶粉末及び環状四糖無水結晶粉末を調製 した。 これらの環状四糖
は、 環状四糖五含水結晶粉末と同様にラ ジカル反応抑制剤と して 有利 に利用できるだけでなく 、 ラ ジカル酸化を受けやすい、 揮発 性香料、 有機色素、 ビタ ミ ン A、 ビタ ミ ン D、 ビタ ミ ン E などの 脂溶性ビタ ミ ンなどを、 ラ ジカル酸化を抑制 しつつ、 常温、 常圧 で粉末化するための乾燥剤と しても極めて有利 に利用できる。 実施例 4 ラ ジカル反応抑制剤
実施例 3 で得た環状四糖 5 含水結晶 6 0 重量部に対 して、 市販 の無水結晶マルチ トール((株)林原商事販売、商品名『マ ビッ 卜』) を 4 0 重量部を混合 し、 粉末混合物を得た。 本品は、 加工飲食品、 化粧品、 医薬部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学工業品を始めと する、ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応を起こ して分解が進行 し、 保存中 に異臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や 機能低下が生 じ易い不飽和化合物を含有する組成物に含有させる こ と によ り 、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 安定に保っためのラ ジカル反応抑制剤と して利用する こ とができ る。 実施例 5 ラ ジカル反応抑制剤
実施例 3 で得た環状四糖 5 含水結晶 5 0 重量部に対して、 市販 の食品級含水結晶 α , α — 卜 レハロ ース ((株) 林原商事販売、 商 品名 『 ト レハ』) 5 0 重量部を混合 し、 粉末混合物を得た。 本品は 加工飲食品、 化粧品、 医薬部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学ェ 業品を始めとする、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応を起こ して 分解が進行 し、 保存中 に異臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性な どの品質劣化や機能低下が生 じ易 い不飽和化合物を含有する組成
物に含有させるこ と によ り 、 ラジカルの生成及びラ ジカル反応の 進行を抑制 し、 安定に保っためのラ ジカル反応抑制剤と して利用 する こ とができる。 また、 本品は、 直接、 或いは、 シュガーエス テルなどを添加 して、 造粒、 さ ら には、 打錠して、 顆粒、 錠剤の 形態での利用 も容易である。 実施例 6 ラ ジカル反応抑制剤
市販の食品級含水結晶 α , a - 卜 レ八ロ ース ((株) 林原商事販 売、 商品名 『 ト レ八』) を、 さ ら に、 水に溶解 し、 6 0 °Cに加熱 し ながら、 減圧濃縮 して、 卜 レハロースの濃度が 7 5 %の溶液を調 製 し、 室温に放置 して結晶を析出させ、 該結晶を水で洗浄する操 作を 2 回 く り 返した後、 乾燥、 粉砕 して調製 した、 純度 9 9 . 8 % の含水結晶 α , α — 卜 レハロ ース粉末 5 0 重量部と、 実施例 3 で 得た環状四糖 5 含水結晶 5 0 重量部とを均質混合して、 粉末混合 物を得た。 本品は、 加工飲食品、 化粧品、 医薬部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学工業品を始めとする、 ラ ジカルの生成及びラ ジ カル反応を起こ して分解が進行し、 保存中に異臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や機能低下が生 じ易い不飽和化 合物を含有する組成物に含有させる こ と によ り 、 ラ ジカルの生成 及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 安定に保っためのラ ジカル反 応抑制剤 と して利用する こ とができる。 本品は、 高純度の環状四 糖及び α , α — 卜 レハロ ースで構成されているので、 反応性が極 めて低く 、 安定なので、 特に、 分子内 にア ミ ノ 基を含み、 還元性 の糖とメ ーラー ド反応を起こ し、 その品質に劣化を来すよ うな組 成物に対 して好適に使用できる。 また、 本品は、 直接、 或いは、 シュガーエステルなどを添加 して、 造粒、 さ ら には、 打錠して、
顆粒、 錠剤の形態での利用も容易である。 実施例 7 ラ ジカル反応抑制剤
実施例 1 で得た環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を 含有する シラ ッ プ 7 0 重量部に対 して、ァス コルビン酸 2 重量部、 ビタ ミ ン E 1 重量部、 グ リ セ リ ン脂肪酸エステル 0 . 5 重量部を 含有する組成物を調製 した。 本品は、 加工飲食品、 化粧品、 医薬 部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学工業品を始めとする、 ラ ジカ ルの生成及びラジカル反応を起こ して分解が進行 し、 保存中に異 臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性などの品質劣化や機能低下が 生 じ易い不飽和化合物を含有する組成物に含有させる こ と によ り ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 安定に保った めのラ ジカル反応抑制剤と して利用する こ とができ る。 実施例 8 ラ ジカル反応抑制剤
実施例 3 で得た環状四糖 5 含水結晶 7 0 重量部に対 して、 ァス コルビン酸 2 —ダルコ シ ド ((株) 林原生物化学研究所販売) 2 重 量部、 酵素処理ルチン 2 重量部 (東洋精糖株式会社販売、 商品名 『 a Gルチン』)、 を混合 し、 粉末混合物を得た。 本品は、 加工飲 食品、 化粧品、 医薬部外品、 医薬品、 飼料、 餌料、 化学工業品を 始めとする、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応を起こ して分解が 進行 し、 保存中 に異臭の発生、 退色、 硬化、 分解、 変性などの品 質劣化や機能低下が生 じ易い不飽和化合物を含有する組成物に含 有させる こ と によ り 、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応の進行を 抑制 し、 安定に保っためのラ ジカル反応抑制剤と して利用する こ とができる。
実施例 9 魚肉練製品
水晒し したスケ 卜 ゥダラの生肉 4, 0 0 0 重量部に対 し、 実施 例 1 で調製 したラ ジカル反応抑制剤 2 0 0 重量部、 クェン酸ナ 卜 リ ウ 厶 5 重量部を加えて、 ス リ 身を製造 し、 一 2 0 °Cで凍結 して 冷凍ス リ 身を製造 した。 冷凍ス リ 身を 9 0 日 間一 2 0 °Cで冷凍保 存後に解凍 し、 グルタ ミ ン酸ナ 卜 リ ウ 厶 8 0 重量部、 馬鈴薯澱粉 2 0 0 重量部、 氷水 3 0 0 重量部、 卜 リ ボ リ リ ン酸ナ ト リ ウム 8 重量部、 食塩 1 2 0 重量部及びマルチ トール 1 0 重量部とを溶解 しておいた水溶液 1 0 0 重量部を加えて擂漬 し、 約 1 2 0 g ずつ を定形 して板付 した。 これらを、 3 0 分間で内部の品温が約 8 0 度になるよ う に蒸 し上げた。 次いで、 室温で放冷したのち、 4 °C で 2 4 時間放置 して魚肉練製品を得た。 スケ 卜 ゥダラの冷凍ス リ 身は、 環状四糖、 及び/又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘 導体との混合物がタ ンパク質に対 して優れた冷凍耐性を付与する ため、 冷凍保存後も、 鮮度が十分に保持されてお り 、 それを原料 と した本品は、 風味良好、 肌面が細やかで、 艷やかな光沢を有 し ていた。 しかも、 本品に含まれる脂質をは じめとする不飽和化合 物の安定性が、 環状四糖、 及び/又は、 この環状四糖と環状四糖 の糖質誘導体との混合物によ り 高め られているばか り でなく 、 ラ ジカル化した不飽和化合物の過酸化物によるタ ンパク質ゃァ ミ ノ 酸の修飾、 変性も抑制 されるので、 保存安定性にも優れている と い う特徴がある。 実施例 1 0 生鮮魚介類の鮮度保持剤
実施例 5 で調製 した環状四糖と α, α — 卜 レハロ ースを等量混
合 した粉末混合物 1 0 0 重量部と、 クェン酸 (結晶) 1 0 重量部、 酵素処理ルチン 1 重量部、 ポ リ フ エ ノ ール 2 重量部とを均一に混 合 し、 粉末状の生鮮魚介類の鮮度保持剤を得た。 本品は、 環状四 糖が、 魚の油脂成分のラ ジカル反応を抑制する こ と に加えて、 環 状四糖、 a , α — ト レ八ロース、 ポ リ フ エ ノ ール、 有機酸、 酵素 処理ルチンが相乗的に作用 して、 魚肉の冷凍変性を抑制する こ と から、生鮮魚介類及びその冷凍品の鮮度保持剤と して好適である。
本品 4 0 0 重量部を 1 2 L の海水に溶解 し、 さ ら に、 細かく 砕 いた市販の氷 4 k g を入れて冷却 した。 この水溶液に、 漁港で水 揚げした直後のアジ 5 k g を、 浸漬処理 し、 1 0 時間後に取り 出 して、 体表及び鰓の状態を観察 したと こ ろ、 水揚げ直後と変わ ら ない外観を呈 していた。 さ ら に、 これを密封容器に入れて、 — 2 0 °Cの冷凍庫で 1 0 日 間保存後、 解凍してその状態を観察 した と こ ろ、 ア ジの体表は全く 変化が起きてお らず新鮮な状態を保っ て いた。 実施例 1 1 米飯
水洗い して水切 り した米 3 0 0 重量部に水を米の 1 . 2 5 倍量 と実施例 4 で調製したラ ジカル反応抑制剤 1 3 . 5 重量部を混合 して浸漬後、 家庭用炊飯器にて炊飯 して米飯を得た。 本品は、 米 飯中の脂質をは じめとする不飽和化合物の安定性が環状四糖によ り 高め られているばか り でなく 、 ラ ジカル化した不飽和化合物の 過酸化物によるタ ンパク 質やア ミ ノ酸の修飾、 変性も抑制される ので、 不快な米糠臭の発生が抑制され、 比較的長期間炊飯直後の 好ま し い風味が保持される と い う特徴がある。 また、 環状四糖は、 澱粉の老化防止効果、 タ ンパク質の冷蔵 · 冷凍変性防止効果を併
せ持っているので、 本品は、 老化や冷凍変性の発生するチル ド冷 蔵用や冷凍保存用の米飯と して有利 に利用できる。 実施例 1 2 粉末油脂
大豆サラダ油 1 0 0 重量部及びレシチン 1 重量部に水 1 0 重量 部を室温で混合した後、 これに実施例 5 のラ ジカル反応抑制剤 1 0 0 重量部を混合して粉末化し、 篩にかけて粉末油脂を得た。 本 品 における不飽和化合物は、 環状四糖によ り ラ ジカルの生成及び ラ ジカル反応の進行が抑制され、 又、 a , α — 卜 レハロ ースが不 飽和化合物と会合物を形成する こ と によ って、 その安定性が高め られている う え、 種々 の食品素材と と も に配合された際に、 その 配合される食品素材における不飽和化合物の安定化をも達成する こ とができ、 また、 食品素材がタ ンバク質やアミ ノ 酸を含有する ものにあ っては、 ラ ジカル化した不飽和化合物の過酸化物による タ ンパク質やアミ ノ酸の修飾、 変性も抑制されるので、 マヨネ一 ズ、 ド レ ッ シングなどの調味材料、 高カ ロ リ ー経管栄養剤、 配合 飼料などに有利に利用できる。 実施例 1 3 サラダ ド レ ッ シング
水 4 0 . 8 質量部、 蒸留ホワイ ト ビネガー 2 0 質量部、 植物油 1 5 質量部、 砂糖 5 質量部、 食塩 2 質量部、 ガー リ ッ クパウダー 1 . 0 質量部、 タマネギパウダー 0 . 7 質量部、 グラ ン ドホワ イ 卜 ペッパー 0 . 1 質量部、 キサンタ ンガム 0 . 3 質量部、 ソル ビ ン酸カ リ ウム 0 . 1 質量部、 実施例 3 で調製 した粉末状のラジカ ル反応抑制剤 1 5 質量部を混合 してサラダ ド レッ シングを調製 し た。 本品は、 環状四糖によ り ラ ジカル反応が抑制されるので、 油
性成分のの劣化や、 ガー リ ッ クパウダー、 タマネギパウダー、 グ ラ ン ドホワイ 卜ペ ッパーなどの風味味の劣化が抑制されるので、 長期間、 その品質が安定に保持される。 また、 本品は、 環状四糖 が、 脂肪の代替品 と して、 脂肪のもつク リ ーム様の、 豊かな口 当 た り を付与するので、 植物油を通常の ド レッ シングの半量 しか使 用 して していない にも関わ らず、 ド レ ッ シングの好ま しさ を失わ ず、 旨肪含有時よ り も著し く 低カ ロ リ ーの ド レ ッ シングである。 しかも、 本品は、 その水相に環状四糖を含有 しているので、 砂糖 のみを含有する ド レ ッ シングに比して、 油相 との分離が早く 、 し かも、 その分離度が高い、 高品質のサラダ ド レ ッ シングである。 実施例 1 4 ク リ ーム
シァ分別脂 (融点 3 8 °C ) 8 0 部と菜種ヤシ油 (融点 3 5 °C ) 2 0 部との混合油脂 3 5 質量部、 大豆 レシチン ( H L B 3 ) 0 . 3 質量部、 モノ グ リ セ リ ン脂肪酸エステル ( H L B 3 ) 0 . 0 3 質量部、 へキサグ リ セ リ ンペン夕エステル ( H L B 4 ) 0 . 1 5 質量部、 水 6 0 質量部、 脱脂粉乳 4 質量部、 リ ン酸のアルカ リ 金 属塩 0 . 1 質量部を使用 し、 常法によ り 、 予備乳化を行い、 7 0
K g / c m 2 の加圧条件で均質化後、 1 4 5 °C、 数秒程度の超高 温加熱滅菌処理 し、 7 0 K g / c m 2 の加圧条件にて再均質化し た後、 冷却 し、 約 2 4 時間エージングを行い起泡性乳化物を調製 した。 この起泡性乳化物 1 0 0 質量部に対 して、 実施例 3 で調製 した粉末状のラ ジカル反応抑制剤 8 質量部を加えて、 ケンゥ ッ ド ミ キサーを使用 して、 2 分 4 5 秒間ホイ ッ プして、 オーバーラ ン 7 5 % のク リ ームを調製 した。 本品は、 環状四糖がラ ジカル反応 を抑制するので、 風味の劣化が抑制されてお り 、 5 〜 2 0 °Cで 7
日間保存後のもの、 或いは、 — 2 0 °Cに 1 4 日 間凍結保存後解凍 した したものは、 いずれも、 保形性、 風味、 口溶けがよく 、 また、 冷凍保存時にも、 ひび割れも認められなかった。 実施例 1 5 可食性フ イ ルム
プルラ ン (商品名 『 P I 一 2 0 』、 株式会社林原商事販売) 3 0 重量部、 水 7 0 重量部、 及び実施例 2 で調製 したラ ジカル反応抑 制剤 1 . 5 重量部を加えて完全に溶解 した。 この溶解液 1 0 0 重 量部に対 して、 カ ラギーナン 1 重量部及びレシチン 0 . Ί 重量部 を加えて溶解混合し、 均一な溶液と した。 これを、 常法に したが つて、 ポ リ エステルフ イ ルム上に流延 し、 引取速度 3 m Z分で、 厚さ 0 . 0 3 m mの フ イ ルムと し、 9 0 °Cの熱風で乾燥させて製 品と した。 本品は、 プルラ ンのみを使用 したフ ィ ル-厶 とは違っ て、 水系で速溶せず、 徐々 に溶解、 崩壊する可食性フ イ ルムであ り 、 しかも、 本品に含まれる不飽和化合物の安定性が環状四糖と環状 四糖の糖質誘導体との混合物によ り 高め られているので、 保存安 定性にも優れている とい う特長がある。 従って、 本品は才ブラー 卜などと同様に、食品分野や医薬品分野などで有利 に利用できる。 実施例 1 6 焙煎アーモン ド
精選 したアーモン ド 1 0 0 重量部を常法にょ リ 焙煎し、 この高 温のァ一モン ドを撹拌しつつ、 実施例 5 で調製 したラジカル抑制 剤を予め水に溶解 して 2 0 %水溶液と したもの 3 重量部をできる だけ均一に噴霧混合 し、 次いで、 食塩粉末をまぶして焙煎ァーモ ン ドを得た。 本品は風味の優れた焙煎アーモン ドであ り 、 脂質の ラ ジカル反応が抑制 される こ とか ら、 その保存安定性に優れてお
り 、 そのまま或いは、 製菓 · 製パン用の材料と して好適である。 実施例 1 7 茶飲料
緑茶の茶葉 2 5 g に 7 0 °Cの脱イオン水 8 0 0 g を添加 して 6 分間、 茶の成分を抽出 した後、 濾過によ り 茶葉の残渣を除去 して、 7 0 0 m I の抽出液を得た。 得られた抽出液を脱イオン水で 5 倍 に希釈 して、 L — ァス コルビン酸を 4 5 0 p p m となるよ う に添 加 し、 炭酸水素ナ ト リ ウムによ り 、 p H を 6 . 2 に調整した。 次 いで、 実施例 3 で調製 した環状四糖 5 含水結晶粉末を重量換算で 0 . 2 % となるよ う に添加後、 耐熱性ガラス容器に 3 5 0 m I づ つ分注 · 密閉 し、 1 2 1 °C 、 Ί 0 分間の殺菌を行って茶飲料と し た。 本品は、 環状四糖が、 殆ど甘味がないこ とから、 茶本来の風 味が妨げられる こ と はなく 、 本品は、 2 0 °Cで 6 ヶ月保存後も、 褐変が抑制され、 茶の緑色がよ く 保持されている と と もに香 り も 良好な茶飲料である。 なお、 本品は、 酵素処理ルチンを併用する こ と によ り 、 更に、 その保存安定性が向上する。 実施例 1 8 脂肪含有乳剤
精製大豆油 1 0 0 g に精製大豆 レシチン 1 2 g 及びグリ セ リ ン 2 5 g を加え、 湯浴で加温し、 ポ リ 卜 ロ ンホモジナイザーで乳化 を行っ た後、 μ フルイダィザーを使用 して、 さ ら に乳化した。 得 られた乳化液に予め、 実施例 5 で調製 したラ ジカル反応抑制剤 8 0 g を溶解 した水溶液 2 5 0 m I を加え、さ ら に蒸留水を加えて、 全液量を 1 , 0 0 0 m I に調整した。 次いで、 炭酸水素ナ 卜 リ ウ 厶を加えて、 p H を 7 . 2 に調整 し、 メ ンブラ ンフ ィ ルターで濾 過後、 濾液を 2 5 0 m I のバイ アルに充填 し、 1 2 0 °Cで 2 0 分
間高圧蒸気滅菌を行い環状四糖含有脂肪乳剤を得た。 本品は、 環 状四糖によ り ラジカル反応が抑制されるので、 ブ ド ウ糖などの糖 の使用時に問題となるギ酸をは じめとする有機酸の発生や、 生体 に有害な遊離脂肪酸の生成が抑制されてお り 、 長期に安定な、 脂 肪乳剤であ り 、 そのままで、 或いは、 ア ミ ノ 酸や ビタ ミ ン類など を添加 して、経口或いは非経口的な栄養補給に有利 に利用できる。 実施例 1 9 香料
水 1 0 0 g に H L B 1 5 のシ ョ 糖脂肪酸エステル 5 g 、 実施例 4 で調製 したラジカル反応抑制剤 7 5 g を加えて溶解 し、 8 5 〜 9 0 °Cで 1 5 分間加熱殺菌 した。 この溶液を約 4 0 °Cに冷却後ホ モミキサーで撹拌 しながら、 レモンオイル 1 0 g を混合 して乳化 液を得た。 本品は、 さ ら に、 噴霧乾燥などの方法で乾燥する こ と によ り 、 容易に粉末香料とする こ とができる。 本品及び本品を粉 末化した レモンオイル香料は、 いずれも長期保存による劣化臭の 発生がな く 良好な香気香味を保持 していた。 実施例 2 0 ビタ ミ ン E 製剤
ビタ ミ ン E — 卜 コ フ エ ロール、 和光純薬株式会社製) をェ 夕 ノ ール (試薬特級、 片山化学株式会社販売) に溶解 し、 ビタ ミ ン Ε を Ί 0 %濃度含むエタ ノ ール溶液を調製 した。 実施例 3 で調 製 した環状四糖無水結晶粉末 1 0 g をガラス製の乳鉢に採り 、 そ れにエタ ノ ール又は酢酸を少量添加 しガラス棒でよ く 混合 し、 液 状物質の添加と混合を粉末状態が維持できなく なる直前まで繰 り 返 し、 ビタ ミ ン E製剤を調製 した。 対照と して、 分枝サイ ク ロデ キス ト リ ン粉末 (商品名 『イ ソエ リ ー 卜 P 』、 塩水港精糖株式会社
製造)、特開平 7 — 2 1 3 2 8 3 号に記載の方法に準じて調製した a , α — 卜 レハロース無水結晶粉末、 デキス ト リ ン粉末 (商品名 『パイ ンフ ァ イバー』、 松谷化学株式会社製造)、 及び可溶性澱粉 (試薬特級、 片山化学株式会社販売) を用いて、 同様の方法で ビ 夕 ミ ン Ε製剤を調製 した。 尚、 本実施例に使用 した環状四糖及び 対照と して使用 した各糖質は、 何れも、 予め 8 0 °Cで 1 6 時間真 空乾燥して使用 し、 ビタ ミ ン E · エタ ノ ール含有環状四糖粉末、 及び、 ビタ ミ ン E ■ エタ ノ ール含有分岐サイ ク ロデキス 卜 リ ン粉 末、 ビタ ミ ン Ε · エタ ノ ール含有 α , a — ト レハロ ース粉末、 ビ 夕 ミ ン Ε · エタ ノ ール含有デキス 卜 リ ン粉末、 ビタ ミ ン Ε · エタ ノ ール含有可溶性澱粉粉末を調製した。 次いで、 それぞれの粉末 を五酸化リ ンの入っ たデシケ一夕一中で、 室温で、 5 時間、 減圧 乾燥 してエタ ノ ールを揮散させ、 それぞれ ビタ ミ ン Ε 含有粉末を 調製 した。 得られた 5 種類の糖質と ビタ ミ ン Ε か らなる粉末を、 それぞれ約 0 . 5 g を精秤 して 2 0 m l 容のガラス製バイ アル瓶 5 本に採り 、 密栓し、 常圧、 6 0 °Cで保存 し、 試験標品の、 調製 直後、 保存 1 日 間、 保存 3 日 間、 保存 7 日 間、 保存 1 4 日 間の、 それぞれの時点での ビタ ミ ン E量を調べた。 各試験標品中の ビタ ミ ン E の定量は、 試験標品の入ったバイ アル ビンにエタ ノ ールを 1 0 m I 加えよ く 懸濁 して ビタ ミ ン E を抽出 し、 遠心分離 ( 1 0 , 0 0 0 r p m、 1 0 分間) して得た上清を用 いて、 ガスク ロマ 卜 グラ フ ィ 一法 ( G C ) で各試験標品の ビタ ミ ン E を定量 した。 尚、 G C はカ ラム D B — 1 (内径 0 . 2 5 m m、 長さ 3 0 m、 J & W サイエンス社製) を装着 した G L装置 G C — 1 4 A (島津株式会 社製) を用 いて行っ た。 各 ビタ ミ ン E 含有糖質粉末それぞれ 1 g 当た り の ビタ ミ ン E 量及び調製直後の試験標品の ビタ ミ ン E量を
1 0 0 % と した相対値を、 抑制率と して表 1 1 に示す 表 1 1
残存率は、 調製直後の試験試料中のビタミン E量を 1 0 0 %とした場合の相対値 表 1 1 の結果から明 らかなよ う に、 糖質と して環状四糖を使用 した ビタ ミ ン E製剤粉末は、 ビタ ミ ン E 含有分岐サイ ク ロデキス 卜 リ ン粉末や ビタ ミ ン E 含有 α , α — 卜 レハロ ース粉末、 ビタ ミ ン Ε含有デキス 卜 リ ン粉末、 ビタ ミ ン Ε 含有可溶性澱粉粉末と比 ベ、 残存する ビタ ミ ン Ε 量は高いこ とがわかる。 このよ う に本発 明のラ ジカル反応抑制剤 (環状四糖) を含有する、 ビタ ミ ン E製 剤は、 常圧、 6 0 °Cの過酷な条件です ら、 ラ ジカル反応を抑制 し ビタ ミ ン E の酸化分解を抑制する こ とから、 その粉末化、 製剤化 の工程管理が容易であ り 、 しかも、 該製剤は、 脱酸素剤の併用や 酸素不透過性の力 プセルに封入するなどの通常の ビタ ミ ン E製剤 の保存条件下にあ っ ては、 環状四糖以外の糖質を使用 した ビタ ミ ン E製剤に比 して、 長期間安定な ビタ ミ ン E製剤と して有利 に利 用できる。 実施例 2 1 ビタ ミ ン D錠剤
ビタ ミ ン D と して ビタ ミ ン D 3 (コ レカ ルシフ エ ロ ール、 和光
純薬株式会社製) をエタ ノ ール (試薬特級、 片山化学株式会社販 売) に溶解 し、 ビタ ミ ン D を 3 %濃度含むエタ ノ ール溶液を 1 . 5 m I を、実施例 3 で調製した環状四糖無水粉末を 8 g に添加 し、 実施例 2 0 と同様の方法によ り粉末化 し、 減圧乾燥 して、 環状四 糖を含有する ビタ ミ ン D 3 製剤粉末を調製 した。 対照と して、 実 施例 2 0 で使用 した分枝サイ ク ロデキス 卜 リ ン粉末 (商品名 『ィ ソエ リ ー 卜 P』)、 実施例 2 0 で使用 した α, α — 卜 レノ \ ロ ース無 水結晶粉末、 無水結晶マル 卜 ー ス (株式会社林原商事販売、 商品 名 『フ ァ イ ン 卜一ス』)、 及び、 セルロ ース (商品名 『フナセル S F』、 フナコ シ株式会社製造) を糖質と して使用 し、 環状四糖を含 有する ビタ ミ ン D 3 製剤粉末を調製したと同様の方法によ り 、 そ れぞれの糖質を含有する ビタ ミ D 3 粉末を調製 した。 得 られた 各々 の糖質を含有する ビタ ミ ン D 3 粉末を、 それぞれ約 0 . 3 g を採 リ 、 打錠機で 2 0 0 K gノ c m 2、 2 分間力 [].圧 して、 各々 の 糖質を含有する ビタ ミ ン D 3 錠剤を調製 した。 得られた錠剤を精 秤した後、 各々 の糖質を含有する ビタ ミ ン D 3 錠剤について、 1 個ずつ 5 本の 2 0 m I 容のガラス製バイ アル瓶に入れ、 密栓 し、 常圧、 6 0 °Cで保存 し、 試験標品の、 調製直後、 保存 2 時間、 保 存 1 日 間、 保存 2 日 間、 保存 7 日 間の、 それぞれの時点の ビタ ミ ン D 3 量を調べるための試験標品 と した。 錠剤中の ビタ ミ ン りの 定量は、 試験標品の入ったバイ アル瓶に、 7 0 %エタ ノ ール水溶 液を 1 O m I 加えガラス棒で錠剤を粉砕 して ビタ ミ ン D 3 を抽出 した後、 全量を 5 0 m l と し、 さ ら に、 違心分離 ( 1 0 , 0 0 0 r p m、 1 0 分間) して得た上清を精密濾過し、 得られた濾過液 の吸光度を 2 6 5 n mの波長で測定した。 ビタ ミ ン D 3 量は、 波 長 2 6 5 n m における吸光度係数 E 1 ¾を 4 7 5 と して計算 した。
各々 の糖質を含有する ビタ ミ ン D 3 錠剤それぞれ 1 g 当た り の ビ 夕 ミ ン D 3 量及び調製直後の試験標品の ビタ ミ ン D量を 1 0 0 % と した相対値を、 抑制率と して表 1 2 に示す。
表 1 2
残存率は、 調製直後の試験試料中のビタミン D量を 1 0 0 %とした場合の相対値 表 1 2 の結果か ら明 らかなよ う に、 分岐サイ ク ロデキス ト リ ン 含有 ビタ ミ ン D 3錠剤、 a , α — 卜 レ八 ロ ース含有 ビタ ミ ン D 3 錠剤、 デキス 卜 リ ン含有 ビタ ミ ン D 3錠剤、 可溶性澱粉含有 ビ夕 ミ ン D 3錠剤が、保存開始 7 日 目 には 5 3 - 7 5 %の ビタ ミ ン D 3 残存量であるのに対 し、 環状四糖含有 ビタ ミ ン D 3錠剤は、 9 0 % の ビタ ミ ン D 3が残存 し、 1 4 日 間の保存後にも、 他の糖質を含 有する錠剤が、 何れも約 4 0 %或いはそれ以下の ビタ ミ ン D 3残 存量で しかないの に対 して、 環状四糖を含有する錠剤では、 その 6 1 %が残存 している こ とが確認された。 このよ う に本発明のラ ジカル反応抑制剤 (環状四糖) を含有する ビタ ミ ン D 3錠剤は、 他の糖質を含有する錠剤に比 して、 常圧、 6 0 °Cの過酷な条件で す ら、 ラ ジカル反応を抑制 し、 ビタ ミ ン D 3 の酸化分解を抑制す る こ とか ら、 その粉末化、 錠剤化の工程管理が容易であ り 、 しか も、 該錠剤は、 脱酸素剤の併用や酸素不透過性の皮膜でコ 一ティ
ングするなどの通常の ビタ ミ ン D 3錠剤の保存条件下にあ っ ては 環状四糖以外の糖質を含有する ビタ ミ ン D 3錠剤に比して、 長期 間安定な ビタ ミ ン D 3錠剤と して有利 に利用できる。 実施例 2 2 皮膚外用化粧ク リ ーム
精製水 4 8 重量部にプロ ピ レンダ リ コ ール 5 重量部と実施例 8 で調製したラ ジカル反応抑制剤 1 0 重量部とを加え、 7 0 °Cにま で加温 して水相部を調製 した。 一方、 スク ヮ ラ ン 4 0 重量部、 還 元ラ ノ リ ン 1 5 重量部、 ミ ツロ ウ Ί 0 重量部、 ォ レイルアルコ ー ル 8 重量部、 脂肪酸グ リ セ リ ン 5 重量部、 モノ 才 レイ ン酸ポ リ オ キシエチ レンソル ビタ ン ( 2 0 E . 0 . ) 3 重量部、 親油型モノ ス テア リ ン酸グ リ セ リ ン 3 重量部、 グ リ チルリ チン酸ジカ リ ウム 1 重量部、 藍の水抽出液 2 重量部と香料な らびに抗酸化剤の適量を 7 0 °Cの条件下で均一な状態にまで混合 し、 油相部を調製した。 この油相部を上記の水相部に加えて、 常法に したがい予備乳化 し た後、 ホモミ キサーで均一に乳化 し、 冷却 して、 水中油型の皮膚 外用ク リ ームを得た。 本品は皮膚に対 して優れた保湿性を発揮す る う え、 その保湿性の主体である油性成分における不飽和化合物 の安定性が環状四糖並びに α , - 卜 レハロ ースによ り 高め られ ているので、 保存安定性に優れた高品質の皮膚外用剤と して有利 に利用できる。 また、 該ク リ ームは、 環状四糖によ り脂質のラ ジ カル反応が抑制されるだけでなく 、 グ リ チル リ チン酸及び/又は 藍の成分に由来する ヒアル口ニダ一ゼ活性阻害作用をは じめとす る種々 の作用 によ り 、 皮膚の炎症が抑制され、 その結果、 シミ 、 しわやこ じわの発生などに代表される皮膚の老化が抑制され、 は り のあるみずみず しい肌を維持する効果を奏する こ とができる。
実施例 2 3 点眼剤
実施例 6 で調製したラ ジカル反応抑制剤 4 . 5 重量部、 塩化ナ ト リ ウム 0 . 4 重量部、 塩化カ リ ウム 0 . 1 5 重量部、 リ ン酸 2 水素ナ ト リ ウム 0 . 2 重量部、 硼砂 0 . 1 5 重量部、 ァス コル ビ ン酸 2 -ダルコ シ ド (株式会社林原生物化学研究所販売) 0 . 1 重量部を滅菌精製水に溶解 し、 全量を 1 0 0 m I と して、 公知の 方法によ り 無菌製剤を調製 して点眼剤を調製した。 p H は 7 . 3 に 調整した。 本品は、 ラ ジカル反応抑制剤に含有される環状四糖が 眼の炎症を抑制する と と も に、 α, α — 卜 レハロ ースが眼の粘膜 を乾燥から保護する効果を発揮 し、 しかも、 ァス コルビン酸 2 — ダルコ シ ドが、 酵素的によ り徐々 に分解されて ビタ ミ ン Cの持続 的な給源となる こ とから、 本点眼剤は、 眼の疲労の回復や、 ァ レ ルギー性の眼の炎症や ド ライ アイなどの眼性疾患の予防、 治療、 或いは、 洗眼剤 と して有利 に利用でき る。 実施例 2 4 外傷治療用軟膏
実施例 3 の方法によ り 調製 した環状四糖 5 含水結晶粉末 5 0 0 重量部に感光素 1 0 1 号を 0 . 0 2 重量部添加混合後、更に 1 0 % プルラ ン水溶液 2 0 0 重量部を加えて混合 し、 適度の伸び、 付着 性を有する外傷治療用軟膏を得た。 本品は創傷面に直接塗るか、 ガ一ゼなどに塗るなど して患部に使用する こ と によ り 、 切傷、 擦 リ 傷、 火傷、 水虫などの外傷を治療する こ とができる。 また、 本 品は、 環状四糖が、 感光素 1 0 1 号のラ ジカル反応を抑制 して製 剤を安定化する と と も、 ラ ジカル反応に起因する患部の炎症を抑 制するので、 その治療期間が短縮され、 創面もきれいに回復する
こ とができる。 しかも、 環状四糖は、 サイ ク ロデキス 卜 リ ンで報 告されているよ うな溶血作用がなく 、 逆に、 溶血を抑制する作用 がある こ とから、 本発明の外傷治療用軟膏は出血性の外傷に対 し ても有利に使用できる と い う特徴を有 している。 実施例 2 5 イ ンタ一 フ エ ロ ン一 α含有座剤
イ ンター フ ェ ロ ン一 α製剤 (大塚製薬株式会社販売、 商品名 Γ才 一アイエフ 0 I F注射用 1 , 0 0 0 万単位」) を 0 . 1 m I の蒸留 水に溶解 し、 その 0 . 1 重量部を、 実施例 6 の方法によ り調製 し た環状四糖の粉末をガラス容器に入れ、 予め 1 4 0 °Cに加熱した オイルバス中にそのガラス容器を 3 0 分間保持 して調製 した環状 四糖の 1 含水結晶 0 . 9 重量部とを均質に混合 したものと、 予め 4 0 °Cに加温溶解した油脂性基剤のフ ァ ーマゾル 9 重量部とを混 合し、 これを型に流 し、 冷却 してイ ンタ ーフ ェ ロ ン一 α含有座剤 を得た。 本品 1 g は、 イ ンターフ ェ ロ ン活性 1 0 0 万単位を含有 している。 本品は、 イ ンターフ ェ ロ ン一 αが安定化された座剤で あ り 、 ヘルぺスウィルス感染症、 肝炎、 悪性腫瘍をは じめとする イ ンターフ ェ ロ ン一 α 感受性疾患の治療に有利 に利用できる。 実施例 2 6 酵素剤
微生物由来の乳酸脱水素酵素 (東洋紡株式会社製、 フナコ シ株 式会社販売、 4 2 9 単位 / £ ) 4 m g を 1 0 m l の脱イオン水 に溶解 した酵素剤の水溶液 0 . 3 m I と、 脱イオン水に実施例 4 で調製 した環状四糖を 3 . 5 % となるよ う に溶解 した水溶液 0 . 3 m I を凍結乾燥用ガラス容器 (液溜ま り 部の直径 1 0 m m、 高 さ 5 0 m m ) 内で穏ゃかに撹拌、 混合後、 常法によ り 凍結乾燥 し
て、 乳酸脱水素酵素の粉末標品を調製 した。 本品は、 環状四糖に よ り 、 凍結乾燥時の冷凍、 乾燥変性が抑制されるために、 製造時 の活性に酵素活性が減少する こ と もな く 、 また、 室温、 冷蔵、 或 いは冷凍保存でも活性は長期間安定に保持される。 さ ら に、 本品 の水溶液を約 4 乃至約一 1 °Cで冷蔵保存、 或いは、 それを凍結 し て保存 した場合にも、 その酵素活性は長期間安定に保持する こ と が可能である。 実施例 2 7 凍結乾燥補体製剤
モルモ ッ 卜から血液を採取後、 血清画分を分離し、 その 1 重量 部に対 して、 予め実施例 5 のラ ジカル反応抑制剤 1 重量部を生理 食塩水 (株式会社大塚製薬工場製造、 商品名 『大塚生食注』) 9 重 量部に溶解 しておいた溶液 1 重量部を加え、 均質になる よ う に撹 拌溶解 し、 0 . 2 m I ずつ 2 m I 容の管瓶に分注 し、 常法に従つ て、 最終到達温度 2 5 °Cの乾燥条件で、 凍結乾燥 した。 本品は、 本品に含まれる脂質をは じめとする不飽和化合物の安定性が環状 四糖によ り 高め られているため、 血清中の不飽和化合物のラ ジカ ル化によ り 生成する過酸化物による補体の修飾、 変性が抑制 され るので、 補体の持つ一連の酵素反応系やその他の生理活性は、 冷 蔵或いは室温で長期保存 した場合にも安定に保持される と い う 特 徴がある。 しかも、 環状四糖は、 凍結及び/又は乾燥による変性 からタ ンパク質を保護するために、 凍結乾燥時の補体の活性の低 下も抑制されるので、 本品は、 高品質の臨床診断或いは免疫学の 試験用の試薬と して有利 に利用できる。 実施例 2 8 塩化ビニル樹脂
塩化ビニル樹脂 1 0 0 重量部、 テ トラ ヒ ド ロ フラ ン 5 0 0 重量 部、 ステア リ ン酸バ リ ウム 0 . 0 0 1 重量部、 ステア リ ン酸亜鉛 0 . 0 0 1 重量部に実施例 3 で調製 した環状四糖無水結晶粉末 0 . 6 重量部を添加 して、 均質になるよ う に混合し、 更に、 1 8 0 DC に加温して、 5 分間混練し、 厚さ 0 . 5 m mのシー トを作成 した。 本品は、 添加 した環状四糖によ リ紫外線などに起因するラ ジカル 反応が抑制されるため、 耐光性に優れた塩化ビ二ル樹脂である。 また、 本品は環状四糖を添加する こ と によ り 、 その耐熱性も向上 する こ とから、 環状四糖は、 樹脂の安定化剤と して好適である こ とが判明 した。 産業上の利用の可能性
本発明は、 ラ ジカルの生成及びラ ジカル反応を起こ して不飽和 化合物の分解が進行する こ と、 さ ら には、 不飽和化合物の過酸化 物によるタ ンパク質などの修飾、 変性をも抑制するために、 グル コ ースを構成糖とする非還元性糖質である環状四糖、 又は、 この 環状四糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物が、 ラ ジカルの生成 及びラ ジカル反応の抑制作用が強い こ とを見出 し、 ラ ジカルの生 成及びラ ジカル反応が発生する前、 または、 発生 している有機の 不飽和化合物を含む反応系に上記の環状四糖、 又は、 この環状四 糖と環状四糖の糖質誘導体との混合物を有効成分とするラ ジカル 反応抑制剤を含有させる こ とで、 不飽和化合物のラ ジカルの生成 及びラ ジカル反応の進行を抑制 し、 さ ら には、 不飽和化合物の過 酸化物によるタ ンパク質などの修飾、 変性を も抑制するものであ る。 しかも、 環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四糖の糖質誘 導体との混合物は、 食品 と して安全で、 且つ、 非常 に安定である
こ とから、 本発明による環状四糖、 又は、 この環状四糖と環状四 糖の糖質誘導体との混合物を含有する ラ ジカル反応抑制剤の利用 分野は、 食品分野、 農林水産分野、 化粧品分野、 医薬部外品、 医 薬品分野を含めて、 日用品分野、 化学工業分野、 染料分野、 塗料 分野、 建材分野、 香料分野、 化学薬品分野、 合成繊維分野、 色素 分野、 感光色素分野、 光記録媒体分野など多岐に渡る。 本発明は、 この様に顕著な作用効果を有する発明であ リ 、 産業上の貢献は誠 に大き く 、 意義のある発明である。