JP6194192B2 - アディポネクチン産生促進剤 - Google Patents

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本発明は、アディポネクチン産生促進剤に関する。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン(生理活性物質)の1つであり、近年では人体の健康維持に最も重要な役割を果たすものとして注目されている。アディポネクチンの血中濃度は、μg/mLオーダーに達する。
アディポネクチンの作用として、例えば、(i)血管保護の作用による動脈硬化の抑制、(ii)脂肪細胞のインスリン感受性を高めることによる抗II型糖尿病作用、(iii)内臓脂肪のサイズを小さくすることによる脂肪燃焼作用、その他、(iv)メタボリックシンドロームの改善、高血圧の予防、抗ガン作用、脳卒中の予防、心筋梗塞の予防、高脂血症の改善、コレステロールの正常化、老化防止、血栓の予防、インフルエンザの予防、生活習慣病の予防が知られている。
アディポネクチンの分泌は内臓脂肪と相関しており、内臓脂肪が蓄積すると血液中のアディポネクチンは減少する。したがって、肥満時にはアディポネクチンの分泌が低下し、例えば動脈硬化が進行する可能性がある。このようなアディポネクチンの血中濃度は、例えば生活習慣病のリスクの指標として、健康診断の測定項目に挙げられることもある。
アディポネクチン産生促進剤に関して、多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながら、アディポネクチン産生促進剤の選択肢を増すことや、その効能の観点から、さらなる検討が必要である。
特開2012−006865号公報 特開2013−060382号公報
本発明は、新規なアディポネクチン産生促進剤を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、酵素処理ヘスペリジンが生体内、特に人体内におけるアディポネクチン量の増大に大きく寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[11]に関する。
[1]酵素処理ヘスペリジンを有効成分として含むアディポネクチン産生促進剤。
[2]酵素処理ヘスペリジンが、α−グルコシルヘスペリジンを含む前記[1]に記載のアディポネクチン産生促進剤。
[3]酵素処理ヘスペリジンが、ヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチンのいずれか一方または双方と、α−グルコシルヘスペリジンとを含む混合物である前記[1]または[2]に記載のアディポネクチン産生促進剤。
[4]酵素処理ヘスペリジンが、α−グルコシルヘスペリジンとしてモノグルコシルヘスペリジンを含有する前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
[5]酵素処理ヘスペリジンを、ヘスペレチン換算で、0.005質量%以上含む前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
[6]ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重の酵素処理ヘスペリジンが投与または摂取される量で使用される前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
[7]ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重の酵素処理ヘスペリジンが、血中の中性脂肪濃度が30mg/dL以上200mg/dL未満であるヒトに対して投与または摂取される量で使用される前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤を含有する、食品または医薬品。
[9]虚血性心疾患、脳血管障害および糖尿病から選ばれる疾病に対する治療または予防のために用いられる前記[8]に記載の食品または医薬品。
[10]α−グルコシルヘスペリジンを有効成分として含むアディポネクチン産生促進剤。
[11]ヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチンのいずれか一方または双方と、α−グルコシルヘスペリジンとからなる混合物を含む前記[10]に記載のアディポネクチン産生促進剤。
本発明によれば、新規なアディポネクチン産生促進剤を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を好適態様も含めて詳細に説明する。
〔アディポネクチン産生促進剤〕
本発明の第1のアディポネクチン産生促進剤は、酵素処理ヘスペリジンを有効成分として含む。本発明の第2のアディポネクチン産生促進剤は、α−グルコシルヘスペリジンを有効成分として含み、好ましくはヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチンのいずれか一方または双方と、α−グルコシルヘスペリジンとからなる混合物を含む。
以下では、単に「本発明のアディポネクチン産生促進剤」または「本発明の促進剤」と記載するときは、第1および第2の発明を含む。また、酵素処理ヘスペリジンおよびα−グルコシルヘスペリジンを総称して、「有効成分A」ともいう。
本発明のアディポネクチン産生促進剤に含まれる有効成分Aは生体吸収性に優れている。よって、前記促進剤を例えば経口摂取することで、有効成分Aの作用により、生体内、特に人体内におけるアディポネクチンの産生を促進する。また、有効成分Aには、厳しい摂取量の規制などは課されていない。
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、風味を劣化させることなく液状にも、ペースト状にも、固形状にも調製することができ、そのまま経口摂取する上でも、または食品もしくは医薬品(医薬部外品を含む。以下同じ。)に配合して使用する上でも好適である。
[酵素処理ヘスペリジン]
酵素処理ヘスペリジンとは、ヘスペリジンの糖に関する酵素処理により生成する、α−グルコシルヘスペリジン(モノグルコシルヘスペリジンを含む。)、7−グルコシルヘスペレチンその他のヘスペリジン誘導体をいう。ただし、酵素処理ヘスペリジンからは、ヘスペレチンは除外される。
上記「ヘスペリジンの糖に関する酵素処理」としては、例えば、ヘスペリジンに対して酵素処理により糖(グルコース)を付加すること、ヘスペリジンのα−1,6−ラムノシド結合を酵素処理により切断すること、が挙げられる。
酵素処理ヘスペリジンは、通常は、ヘスペリジンに結合したグルコースの個数が異なる化合物の混合物、例えば、モノグルコシルヘスペリジンとそれ以外のα−グルコシルヘスペリジンとからなる混合物を含む。また、酵素処理ヘスペリジンは、一般的には酵素処理によって製造されるため、未反応のヘスペリジンやその他の誘導体、例えば7−グルコシルヘスペレチンを含むこともある。
酵素処理ヘスペリジンは、本発明の効果などを考慮すると、少なくともα−グルコシルヘスペリジンを含み、さらにヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチンのいずれか一方または双方を含む混合物であることが好ましい。
酵素処理ヘスペリジンの市販品としては、例えば、東洋精糖(株)製の商品「αGヘスペリジンPS」、「αGヘスペリジンPA−T」が挙げられる。「αGヘスペリジンPS」には、モノグルコシルヘスペリジン85質量%、ヘスペリジン1質量%、7−グルコシルヘスペレチン10質量%が含まれおり、ヘスペレチンは含まれていない。「αGヘスペリジンPA−T」には、モノグルコシルヘスペリジン85質量%、ヘスペリジン10質量%が含まれており、7−グルコシルヘスペレチンおよびヘスペレチンは含まれていない。
《α−グルコシルヘスペリジン》
α−グルコシルヘスペリジンは、式(1)で表され、ヘスペリジンのルチノース単位中のグルコース残基に、α−1,4結合により1つ以上のグルコースが結合した化合物である。このうち、前記グルコース残基にグルコースが1つだけ結合した化合物(式(1)中のnが0の化合物)を、モノグルコシルヘスペリジンという。
Figure 0006194192
式(1)中、nは、0または1以上、例えば1〜19の整数である。
α−グルコシルヘスペリジンは、α−グルコシル糖化合物(例:サイクロデキストリン、澱粉部分分解物)の共存下で、ヘスペリジンに糖転移酵素(例:サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase, EC 2.4.1.19)などの、ヘスペリジンにグルコースを付加する機能を有する酵素)を作用させることにより産生することができる。
酵素処理により、ヘスペリジン1分子あたり、1または複数(2〜20程度)のグルコースが結合する。したがって、酵素処理により得られるα−グルコシルヘスペリジンは、通常、結合したグルコースの個数が異なるもの、すなわちモノグルコシルヘスペリジンおよびそれ以外のα−グルコシルヘスペリジンを含む混合物となっている。
また、モノグルコシルヘスペリジンは、糖加水分解酵素を、2以上のグルコースが結合したα−グルコシルヘスペリジンに作用させ、ヘスペリジンに結合したグルコースを1つだけ残して切断することにより産生することができる。糖加水分解酵素としては、α−1,4−グルコシド結合をグルコース単位で切断するグルコアミラーゼ活性を有する酵素、例えばグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)が挙げられる。
α−グルコシルヘスペリジンは、アディポネクチン産生能の観点から、ヘスペレチン換算で、酵素処理ヘスペリジン全体の5質量%以上含まれることが好ましく、30質量%以上含まれることがより好ましい。ここでは、酵素処理ヘスペリジンのヘスペレチン換算の総質量に対する、α−グルコシルヘスペリジンのヘスペレチン換算の総質量の割合である。
また、モノグルコシルヘスペリジンは、α−グルコシルヘスペリジン全体の70質量%以上含まれることが好ましい。なお、α−グルコシルヘスペリジン中のモノグルコシルヘスペリジンの割合は、グルコアミラーゼによる酵素処理の温度・時間条件などにより調節することが可能であり、さらに酵素処理ヘスペリジンの混合物からモノグルコシルヘスペリジンを精製・分取する方法も公知である。
《ヘスペリジン》
ヘスペリジンは、式(2)で表され、ヘスペレチンの7位の水酸基にβ−ルチノース(6−O−α−L−ラムノシル−β−D−グルコース)が結合した化合物、すなわちヘスペレチン配糖体である。
Figure 0006194192
ヘスペリジンの入手・調製方法は特に限定されるものではなく、試薬もしくは精製物として一般的に製造販売されている化合物を使用しても、または柑橘類(ミカン、オレンジ等)の外皮などの原料から抽出して調製した化合物を使用してもよい。
《7−グルコシルヘスペレチン》
7−グルコシルヘスペレチンは、式(3)で表され、ヘスペレチンの7位の水酸基にβ−D−グルコースが結合した化合物、換言すればヘスペリジンのルチノース単位中のラムノース残基が切断された化合物である。
Figure 0006194192
7−グルコシルヘスペレチンは、α−1,6−ラムノシド結合を切断するラムノシダーゼ活性を有する酵素、例えばヘスペリジナーゼをヘスペリジンに作用させることにより産生することができる。
〈アディポネクチン産生促進剤の調製〉
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、酵素処理ヘスペリジンまたはα−グルコシルヘスペリジン等を用いることで調製することができ、その調製方法は、特に制限されない。本発明の促進剤の形態は、特に制限されず、液状、ペースト状、粉末状および顆粒状のいずれであってもよい。
本発明の第1のアディポネクチン産生促進剤において、酵素処理ヘスペリジンの含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、酵素処理ヘスペリジンのヘスペレチン換算の含有量は、通常0.005質量%以上、好ましくは0.015〜50質量%、より好ましくは0.025〜40質量%である。含有量が前記範囲にあると、前記促進剤を少量で人体に投与しても、アディポネクチンの産生が効率的に進む。
酵素処理ヘスペリジンのヘスペレチン換算の含有量とは、アディポネクチン産生促進剤の総質量に対する、酵素処理ヘスペリジンをヘスペレチンとして換算した場合の総質量の割合を意味する。
本発明の第2のアディポネクチン産生促進剤において、α−グルコシルヘスペリジンの含有量は、通常0.008質量%以上、好ましくは0.024質量%以上、より好ましくは0.04質量%以上である。また、α−グルコシルヘスペリジンのヘスペレチン換算の含有量は、通常0.004質量%以上、好ましくは0.012〜40質量%、より好ましくは0.02〜32質量%である。
α−グルコシルヘスペリジンのヘスペレチン換算の含有量とは、アディポネクチン産生促進剤の総質量に対する、α−グルコシルヘスペリジンをヘスペレチンとして換算した場合の総質量の割合を意味する。
また、モノグルコシルヘスペリジンは、α−グルコシルヘスペリジン全体の10質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
本発明では、これらの含有量が前記範囲にあると、本発明のアディポネクチン産生促進剤を少量で人体に投与しても、アディポネクチンの産生が効率的に進む。
本発明の第2のアディポネクチン産生促進剤において、α−グルコシルヘスペリジン、ヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチン等の各成分は、それぞれの精製物を別々に添加してもよい。
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、常温から飲食に適した温度の水に対する溶解安定性にも優れるため、固形状に限らず液状、ペースト状の食品または医薬品などを製造する上でも好適である。
〈アディポネクチン産生促進剤の用途〉
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、例えば、長期間にわたる継続的な投与または摂取により血中のアディポネクチン濃度を増大させることができる。したがって、本発明の促進剤は、血中のアディポネクチン濃度の低下に起因する疾病の予防または改善に有用である。
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、例えば、(i)血管保護の作用による動脈硬化の抑制、(ii)脂肪細胞のインスリン感受性を高めることによる抗II型糖尿病作用、(iii)内臓脂肪のサイズを小さくすることによる脂肪燃焼作用、その他、(iv)メタボリックシンドロームの改善、高血圧の予防、抗ガン作用、脳卒中の予防、心筋梗塞の予防、高脂血症の改善、コレステロールの正常化、老化防止、血栓の予防、インフルエンザの予防、生活習慣病の予防に寄与する。
また、本発明のアディポネクチン産生促進剤は、有効成分A(酵素処理ヘスペリジンおよびα−グルコシルヘスペリジン)に基づく作用、例えば、中性脂肪低下作用、コレステロール値低下作用、毛細血管の強化作用、抗アレルギー作用、温浴効果、骨密度改善作用をも有する。
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、そのまま摂取ないし投与することもでき、また食品および医薬品から選ばれる少なくとも1種の用途に利用することができ、例えば、食品または医薬品などの原料と混合して使用することもできる。
例えば、本発明の促進剤は、そのままの形態で生体に経口投与してもよく、また医薬品に配合してこれを経口投与してもよい。同様に、本発明の促進剤は、そのままの形態で人体または動物が経口摂取してもよく、また食品に配合してこれを経口摂取してもよい。
本発明の第1のアディポネクチン産生促進剤は、生体、特にヒトに対して、ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重の酵素処理ヘスペリジンが投与または摂取される量で使用されることが好ましい。前記の投与量または摂取量は、ヘスペレチン換算で、好ましくは1日あたり1.2〜33mg/kg体重であり、より好ましくは1日あたり2.4〜17mg/kg体重である。
本発明の第2のアディポネクチン産生促進剤は、生体、特にヒトに対して、ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重のα−グルコシルヘスペリジンが投与または摂取される量で使用されることが好ましい。前記の投与量または摂取量は、ヘスペレチン換算で、好ましくは1日あたり1.2〜33mg/kg体重であり、より好ましくは1日あたり2.4〜17mg/kg体重である。
このように本発明では、上記促進剤を、ヒトに少量投与することまたはヒトが少量摂取することでも、アディポネクチンを効率良く産生することができる。前記効果は、特に血中の中性脂肪濃度が例えば30mg/dL以上200mg/dL未満、好ましくは30mg/dl以上150mg/dl未満、より好ましくは50〜90mg/dLであるヒトに対して効果を発揮する。
投与または摂取期間は、例えば10日以上、好ましくは21〜70日である。例えば、このような期間にわたって上記促進剤を毎日投与または摂取することで、アディポネクチンの産生がより進行する。
上記量の有効成分Aを投与または摂取できるよう、1日あたり1回でまたは複数回にわけて、本発明のアディポネクチン産生促進剤を投与または摂取することができる。
本発明において、アディポネクチンの産生促進作用は、中性脂肪値が通常(例:30mg/dL以上200mg/dL未満)のヒトであっても、また中性脂肪値が高め(例:200mg/dL以上)のヒトであっても現れる。
その他、本発明のアディポネクチン産生促進剤の投与または摂取により、(i)中性脂肪値が高めのヒトでは中性脂肪値が顕著に低減される、(ii)悪玉コレステロール(LDL−コレステロール)の減少(特に中性脂肪が高めのヒトで減少)、および善玉コレステロール(HDL−コレステロール)の増加(特に中性脂肪が通常のヒトで増加)という効果も期待することができる。したがって、虚血性心疾患(例:心筋梗塞、狭心症)、脳血管障害(例:脳梗塞、脳出血、脳血栓、クモ膜下出血)、糖尿病等の疾病の治療用の医薬(向上剤)、あるいは前記疾病の予防・改善用の健康食品としての利用も期待できる。
上記促進剤を含む食品または医薬品は、これらの製品について一般的に用いられている手法に従って本発明の促進剤を添加することにより製造することができる。本発明の促進剤は、食品または医薬品の製造工程の初期に添加されるか、製造工程の中期または終期に添加されればよく、また添加の手法は、混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等から適切なものを製品の態様に応じて選択すればよい。
本発明のアディポネクチン産生促進剤の有効成分である酵素処理ヘスペリジンまたはα−グルコシルヘスペリジンは、水溶性が良好であるため、水もしくは水分の多い医薬品または食品に添加する際も、均一に溶解ないし分散させることが可能である。
《食品》
食品としては、例えば、発酵食品、パン類、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品(加工乳、脱脂粉乳等)、魚肉加工品、畜産加工品等の加工食品;菓子類等の嗜好食品;油脂類、甘味料、調味料、香辛料等の調理・調味用材料;サプリメント等の健康食品(機能性食品);特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品、育児用食品);特定保健用食品;ゲル化剤や膨張剤等の加工材料;保存食;非常食;宇宙食;水、清涼飲料水、アルコール飲料、茶、コーヒー等の飲料が挙げられる。
《医薬品》
本発明のアディポネクチン産生促進剤をそのまま医薬品として使用することも可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の促進剤を、従来公知の賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤等の添加剤と混合して、液状、ペースト状、粉末状、顆粒状等の形態で製剤化してもよい。
医薬品には、必要に応じて、従来公知の生理活性成分、例えば、コレステロール上昇抑制剤、血圧上昇抑制剤、血中コレステロール調節機能剤、血糖値上昇抑制作用剤、腸内細菌叢改善剤、整腸作用剤、抗ガン作用剤、抗アレルギー作用剤、消化吸収調節作用剤、老化防止剤、抗酸化剤、血行促進剤、免疫調節剤等を配合してもよい。
医薬品としては、経口製剤および非経口製剤のいずれでもよいが、経口製剤が好ましい。経口製剤としては、例えば、カプセル剤、錠剤、散剤(例:顆粒剤、細粒剤)、ドリンク剤、シロップ剤、トローチが挙げられる。非経口製剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、皮膚外用剤、座剤が挙げられる。医薬品としては、その他、うがい薬、歯磨き粉、口中清涼剤、口臭防止剤が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
〔試薬〕
・酵素処理ヘスペリジン(東洋精糖(株)製、商品名「αGヘスペリジンPA−T」:モノグルコシルへスペリジン85質量%、ヘスペリジン10質量%を含む;ヘスペレチン換算量は37質量%である。)
[実施例]
被験者は、成人男性9名(年齢40〜60歳、体重53〜85kg;平均年齢49歳、平均体重70kg;健常者)であった。試験前の被験者を、中性脂肪(TG)値が高いグループ(5名)と中性脂肪(TG)値が通常のグループ(4名)との2つに分類した。
中性脂肪値が高いグループは、TGが217〜681mg/dLであり、平均405.80mg/dLであった。中性脂肪値が通常のグループは、TGが51〜81mg/dLであり、平均64.50mg/dLであった。
上記成人男性9名に8週間(56日間)にわたって1日あたり500mg(ヘスペレチン換算で173mg)のαGヘスペリジンPA−Tを就寝前に毎日経口摂取してもらった。摂取は、100〜200mLの水に500mgのαGヘスペリジンPA−Tを溶解してなる水溶液を被験者が飲むことで行った。試験開始(最初の摂取)の前に採血(5mL)を行うとともに、試験後(最後の摂取の翌日)に採血(5mL)を行った。
上記採血により、血中のアディポネクチン濃度、中性脂肪(TG)濃度、LDL−コレステロール(悪玉コレステロール)濃度、HDL−コレステロール(善玉コレステロール)濃度、ヘモグロビンA1c濃度を測定した。これらの値は、濃度を酵素法により測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0006194192
アディポネクチンの産生は内臓脂肪と相関しており、内臓脂肪が蓄積すると血液中のアディポネクチン量は減少することから、アディポネクチンの血中濃度は生活習慣病等の発症リスクの指標として用いることができる。一方、中性脂肪は身体のエネルギー源として重要であるが、これが増え過ぎると皮下脂肪または内臓脂肪として蓄積されるため、肥満や脂肪肝の原因になり、また動脈硬化を助長する。
表1より、8週間にわたるアディポネクチン産生促進剤の摂取により、アディポネクチン濃度が9名平均で7.98μg/mLから9.07μg/mLへと上昇した。したがって、本発明の促進剤を少量摂取することにより、アディポネクチンを効率よく産生できることがわかる。
中性脂肪値が高いグループでは、中性脂肪濃度が405.80mg/dLから250.60mg/dLへと顕著に低下するとともに、アディポネクチン濃度が6.76μg/mLから7.22μg/mLへと上昇した(試験前後比1.07)。中性脂肪が通常のグループでは、アディポネクチン濃度が9.50μg/mLから11.38μg/mLへと大きく上昇した(試験前後比1.20)。
また、アディポネクチン産生促進剤の摂取によって、悪玉コレステロール濃度の大きな増加や善玉コレステロール濃度の大きな低下等は見られず、全体(9名平均)としてはむしろ当該摂取によって、悪玉コレステロール濃度は低下し、善玉コレステロール濃度は上昇した。
したがって、本発明のアディポネクチン産生促進剤は、コレステロール等の増減に特に悪影響を与えることなく、中性脂肪値が高い場合(例:200mg/dL以上)にこれを低下させる効果があるとともに、アディポネクチン濃度を上昇させ;中性脂肪値が通常の場合(例:30mg/dL以上200mg/dL未満)にアディポネクチン濃度をより上昇させる効果があることがわかる。

Claims (10)

  1. 酵素処理ヘスペリジンを有効成分として含み、
    ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重の酵素処理ヘスペリジン、血中の中性脂肪濃度が30mg/dL以上150mg/dL未満であるヒトに対して投与するまたは摂取させるための
    アディポネクチン産生促進剤。
  2. 酵素処理ヘスペリジンが、α−グルコシルヘスペリジンを含む請求項1に記載のアディポネクチン産生促進剤。
  3. 酵素処理ヘスペリジンが、ヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチンのいずれか一方または双方と、α−グルコシルヘスペリジンとを含む混合物である請求項1または2に記載のアディポネクチン産生促進剤。
  4. 酵素処理ヘスペリジンが、α−グルコシルヘスペリジンとしてモノグルコシルヘスペリジンを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
  5. 酵素処理ヘスペリジンを、ヘスペレチン換算で、0.005質量%以上含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
  6. 血中の中性脂肪濃度が50〜90mg/dLであるヒトに対して投与するまたは摂取させるための請求項1〜5のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のアディポネクチン産生促進剤を含有し、
    ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重の酵素処理ヘスペリジンを、血中の中性脂肪濃度が30mg/dL以上150mg/dL未満であるヒトに対して投与するまたは摂取させるための食品または医薬品。
  8. 虚血性心疾患、脳血管障害および糖尿病から選ばれる疾病に対する治療または予防のために用いられる請求項に記載の食品または医薬品。
  9. α−グルコシルヘスペリジンを有効成分として含み、
    ヘスペレチン換算で、1日あたり0.1〜50mg/kg体重のα−グルコシルヘスペリジン、血中の中性脂肪濃度が30mg/dL以上150mg/dL未満であるヒトに対して投与するまたは摂取させるための
    アディポネクチン産生促進剤。
  10. ヘスペリジンおよび7−グルコシルヘスペレチンのいずれか一方または双方と、α−グルコシルヘスペリジンとからなる混合物を含む請求項に記載のアディポネクチン産生促進剤。
JP2013129112A 2013-06-20 2013-06-20 アディポネクチン産生促進剤 Active JP6194192B2 (ja)

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