JP3709369B2 - 皮膚化粧料及び美容用飲食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を活発化する作用を有するコラーゲン産生促進剤、コラーゲンの減少・変性に関与するコラゲナーゼ活性を阻害するコラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞を増殖させる作用を有する線維芽細胞増殖作用剤、線維芽細胞によるヒアルロン酸の産生を活発化する作用を有するヒアルロン酸産生促進剤、エラスチンの減少・変性に関与するエラスターゼ活性を阻害するエラスターゼ阻害剤、及び皮膚の老化予防・改善作用を有する抗老化剤に関するものである。また、本発明は、皮膚の老化予防・改善作用を付与した皮膚化粧料及び美容作用を付与した飲食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
皮膚の真皮及び表皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックスによって構成されている。若い皮膚においては、これらの皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
【0003】
ところが、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンは産生量が減少すると共に架橋による弾性低下を起こし、また、エラスチンは分解・変質を起こす。外的因子の影響や加齢に伴う線維芽細胞の増殖率低下もコラーゲンの産生量の減少、天然保湿因子であるヒアルロン酸の産生量の低下を引き起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるから、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ、くすみ等の老化症状を呈するようになる。
【0004】
このように、皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の真皮マトリックス成分の減少・変性と、線維芽細胞の増殖率の低下とが関与している。
【0005】
近年、上記変化を誘導する因子として、特にマトリックス系プロテアーゼの関与が指摘されている。マトリックス系プロテアーゼの中でも、コラゲナーゼ、即ちMMP−1(マトリックスメタロプロテアーゼ)は、皮膚の真皮マトリックスの主な構成成分であるタイプI,IIIコラーゲンを分解する酵素として知られるが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワ形成等の大きな要因となることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の第一の目的は、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を促進して皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するコラーゲン産生促進剤を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第二の目的は、コラゲナーゼ阻害作用を通じてコラーゲンの減少・変性を抑制し、皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するコラゲナーゼ阻害剤を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の第三の目的は、線維芽細胞増殖作用を通じて線維芽細胞を賦活化し、皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有する線維芽細胞増殖作用剤を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の第四の目的は、ヒアルロン酸の産生を促進して皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するヒアルロン酸産生促進剤を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の第五の目的は、エラスターゼ阻害作用を通じてエラスチンの減少・変性を抑制し、皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するエラスターゼ阻害剤を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の第六の目的は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用又はエラスターゼ阻害作用を有する物質を有効成分として含有する抗老化剤を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の第七の目的は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用又はエラスターゼ阻害作用を有し、皮膚の老化を防止及び/又は改善する上で有用な皮膚化粧料を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の第八の目的は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用又はエラスターゼ阻害作用を有し、皮膚の老化を防止及び/又は改善する上で有用な美容用飲食品を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及び抗老化剤は、クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とし、本発明の皮膚化粧料及び美容用飲食品は、クスノハガシワ抽出物を配合したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「クスノハガシワ抽出物」には、クスノハガシワを抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0016】
抽出原料として用いる植物は、クスノハガシワ(学名:Mallotus philippinensis Mueller-Argoviensis,中国名:呂宋楸毛(ルソンシュウモウ))は、トウダイグサ科に属する常緑小高木であって、広東、広西、湖南、雲南、四川、浙江、福建、江西、台湾などに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0017】
抽出原料として用いる植物の構成部位は特に限定されるものではなく、例えば、葉部、花部、根部、樹皮、枝部等の構成部位を抽出原料として用いることができる。これらのうち特に樹皮を抽出原料として用いることが好ましい。
【0018】
クスノハガシワ抽出物に含有されるコラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用又はエラスターゼ阻害作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、クスノハガシワからこれらの作用を有する抽出物を得ることができる。例えば、抽出原料を乾燥した後、そのまま、又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。この際、抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、クスノハガシワは、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0019】
抽出溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0020】
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0021】
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。
【0022】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比を7:3〜2:8(重量比)とすることができる。
【0023】
抽出処理は、クスノハガシワに含有される可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下において任意の装置を用いることができる。
【0024】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、通常1〜3時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は抽出原料の通常5〜15倍量(重量比)であり、抽出温度は、通常、常温〜95℃である。
【0025】
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0026】
得られた抽出液はそのままでもコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤又は抗老化剤として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が利用しやすい。クスノハガシワからの抽出物の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができ、クスノハガシワからの抽出物を粉末状、果粒状、錠剤状等、任意の剤形に製剤化することができる。
【0027】
クスノハガシワ抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚化粧料や美容用飲食品などに添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0028】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を活発化して真皮層に十分なコラーゲンを補給することによって、皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0029】
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、コラーゲンの減少、変性等に関与するコラゲナーゼ活性を阻害して、コラーゲンの減少、変性等によって生じる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0030】
本発明の線維芽細胞増殖作用剤は、本線維芽細胞の増殖を通じて、線維芽細胞によるコラーゲン、フィブロネクチン、ムコ多糖等の体内間質物質の産生量を増加させ、皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0031】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、線維芽細胞によるヒアルロン酸の産生を活発化させ、ヒアルロン酸の減少、変性等によって生じる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0032】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスチンの減少、変性等に関与するエラスターゼ活性を阻害して、エラスチンの減少、変性等によって生じる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0033】
本発明の抗老化剤は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用及びエラスターゼ阻害作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。本発明の抗老化剤は、皮膚の老化防止と改善に多面的に作用して皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0034】
〔皮膚化粧料〕
クスノハガシワ抽出物は、皮膚の老化を防止及び/又は改善する作用を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているので、皮膚化粧料に配合するのに好適である。皮膚化粧料には、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤又は抗老化剤のいずれか1種を配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0035】
クスノハガシワ抽出物を配合し得る皮膚化粧料の種類は特に限定されず、その具体例としては、肌に対するものとして、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤、リップクリーム、口紅等が挙げられる。
【0036】
本発明の皮膚化粧料におけるクスノハガシワ抽出物の配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は標準的な抽出物に換算して約0.001〜10重量%である。
【0037】
本発明の皮膚化粧料には、クスノハガシワ抽出物のコラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用、エラスターゼ阻害作用の妨げにならない限り、皮膚化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を使用することができる。本発明の皮膚化粧料は、皮膚の老化防止・改善に関し、クスノハガシワ抽出物のみが主剤となるものに限られるわけではない。
【0038】
本発明の皮膚化粧料において、クスノハガシワ抽出物と共に皮膚化粧料構成成分として利用可能なものとしては、以下のものを例示できる。なお、クスノハガシワ抽出物とともに以下の構成成分を併用した場合、クスノハガシワ抽出物と併用された構成成分との間の相乗作用が、通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。
【0039】
収斂剤:クエン酸又はその塩類、酒石酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジユエキス、エイジツエキス、ハマメリスエキス、ゲンノショウコエキス、茶カテキン類、オドリコソウエキス、オトギリソウエキス、ダイオウエキス、ヤグルマソウエキス、キズタエキス、キューカンバーエキス、マロニエエキス、サルビアエキス、メリッサエキス等。
【0040】
殺菌・抗菌剤:安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、感光素101号、感光素201号、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ハロカルバン、レゾルシン、パラクロロフェノール、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、メントール、キトサン、キトサン分解物、ジユエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、ビワエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイヒエキス、ガジュツエキス等。
【0041】
美白剤:アスコルビン酸又はその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、グルコサミン又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸又はその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物又はその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキス(カンゾウ疎水性フラボン、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)等。
【0042】
紫外線吸収剤:β―イソプロピルフラノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、メトキシケイヒ酸メチル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチル安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、酸化チタン、β―カロチン、γ―オリザノール、コメヌカエキス、アロエエキス、カバノキエキス、シラカンバエキス、カミツレエキス、ヘンナエキス、チョウチグルミエキス、イチョウ葉エキス、セイヨウサンザシエキス、油溶性カンゾウエキス等。
【0043】
保湿剤:セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ―オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ、コメヌカエキス等。
【0044】
細胞賦活剤:リボフラビン又はその誘導体、ピリドキシン又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体、α―トコフェロール又はその誘導体、アルニカエキス、ニンジンエキス、ナタネニンジンエキス、ヘチマエキス(サポニン)、シコンエキス、オウバクエキス、ボタンピエキス、シャクヤクエキス、ムクロジエキス、ベニバナエキス、アシタバエキス、ビワ葉エキス、ヒキオコシエキス、ユキノシタエキス、黄杞エキス、サルビアエキス、ニンニクエキス、マンネンロウエキス等。
【0045】
消炎・抗アレルギー剤:アズレン、アラントイン、アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、オキシベンゼン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、感光素301号、感光素401号、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸又はその誘導体、アデノシンリン酸、エストラジオール、エスロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プロゲステロン、コルチコステロン、アルニカエキス、インチンコウエキス、サンシシエキス、ジュウヤクエキス、カンゾウエキス、トウキエキス、ヨモギエキス、ワレモコウエキス、リンドウエキス、サイコエキス、センキュウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、オウレンエキス、シソエキス等。
【0046】
抗酸化・活性酸素消去剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没子食酸プロピル、バイカリン、バイカレイン、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、ローズマリーエキス、メリッサエキス、オウゴンエキス、エイジツエキス、ビワ葉エキス、ホップエキス、ハマメリスエキス、シャクヤクエキス、セージエキス、キナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、シソエキス、イチョウ葉エキス、タイムエキス、カルダモンエキス、キャラウェイエキス、ナツメグエキス、メースエキス、ローレルエキス、クローブエキス、ターメリックエキス、ヤナギタデエキス等。
【0047】
クスノハガシワ抽出物を配合した化粧料を製造する場合、他の化粧品製造原料の選択が制限されることはほとんどなく、以下に例示するような一般的な化粧品基材や助剤はいずれも使用可能である。
【0048】
油脂類:大豆油、アマニ油、キリ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、椿油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、モクロウ、ヤシ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、卵黄油、ホホバ油、月見草油、馬油。
【0049】
ロウ類:カルナウバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、サラシ蜜ロウ、鯨ロウ、セラックス、ラノリン類。
【0050】
炭化水素類:流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワレン、ポリスチレン末。
【0051】
脂肪酸類:ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘベリン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソルテアリン酸。
【0052】
アルコール類:ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール及びその重合体、ブドウ糖、白糖、コレステロール、フィトステロール、セトステアリルアルコール。
【0053】
エステル類:オレイン酸デシル、ステアリル酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、酢酸ラノリン、乳酸セチル。
【0054】
界面活性剤:陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤。
【0055】
香料:メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、アニス油。
【0056】
〔美容用飲食品〕
クスノハガシワ抽出物は、皮膚の老化を防止及び/又は改善する作用を有するとともに、消化管で消化されるようなものではないことが確認されているので、任意の飲食品や栄養補助食品に配合するのに好適である。飲食品や栄養補助食品には、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤又は抗老化剤のいずれか1種を配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0057】
クスノハガシワ抽出物を配合した飲食品には、皮膚の老化を防止及び/又は改善する作用が付与され、これを美容用飲食品として利用することができる。ここで、「美容用飲食品」とは、美肌又は皮膚の老化の防止及び/又は改善を図ることを目的とした飲食品を意味する。
【0058】
本発明の美容用飲食品は、クスノハガシワ抽出物をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、クスノハガシワを主成分とする栄養補助食品であってもよい。
【0059】
本発明の美容用飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等の任意の助剤を添加して任意の剤形に製剤化することができる。
【0060】
本発明の美容用飲食品におけるクスノハガシワ抽出物の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人1日当たりの抽出物摂取量が約1〜1000mg程度になるようにするのが適当である。
【0061】
クスノハガシワ抽出物を配合し得る飲食品の種類は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げられる。
【0062】
以上説明した本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤、抗老化剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0063】
【実施例】
以下、製造例、試験例及び配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
【0064】
〔製造例1〕
クスノハガシワの樹皮の粗粉砕物300gを抽出溶媒3000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った。その後、ろ過し、ろ液を40℃で減圧下にて濃縮し、さらに減圧乾燥機で乾燥してクスノハガシワ樹皮抽出物を得た。4種類の抽出溶媒を用いて上記抽出処理を行ったところ、抽出物の収率は表1のとおりであった。なお、抽出溶媒が混合物の場合、以下に示す混合比は重量基準によるものである。
【0065】
Figure 0003709369
【0066】
〔製造例2〕
製造例1で用いたものと同じクスノハガシワ樹皮の粗粉砕物300gを抽出溶媒3000mLに投入し、攪拌しながら2時間、80℃に保った後、ろ過して抽出液を得た。3種類の抽出溶媒を用いて上記抽出を行い、表2に示した固形分濃度の抽出液約1500mLを得た。なお、抽出溶媒が混合物の場合、以下に示す混合比は重量基準によるものである。
【0067】
Figure 0003709369
【0068】
〔試験例1〕コラーゲン産生促進作用試験
製造例1及び2で得られた試料1〜7について、下記の試験法によりコラーゲン産生促進作用を試験した。
【0069】
ヒトの線維芽細胞を96wellプレートに播種し、37℃、5%CO−95%airの下にて、試料添加培地(試料濃度:100ppm及び25ppm)(ppm=μg/mL)で数日間培養した後、上清90μLをELISAプレートに移し換え、4℃、一晩でプレートに吸着させた後、溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行った。その後、1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、0.05% Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、抗ヒトコラーゲンタイプI抗体(ウサギIgG;ケミコン社製)を反応させた。溶液を捨て、0.05% Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、HRP標識抗ウサギIgG抗体と反応させた後、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。
【0070】
コラーゲン産生促進率は、標準品を用いて上記ELISAを行い、検量線を作成し、試料無添加時のコラーゲン産生量を100%として算出した。各試料のコラーゲン産生促進率(%)を表3に示す。なお、試料が製造例2による抽出液の場合、「試料濃度」は固形分換算濃度である。
【0071】
Figure 0003709369
【0072】
表3に示される結果より、クスノハガシワ樹皮抽出物が線維芽細胞によるコラーゲンの産生を促進する作用を有することが確認された。また、かかるクスノハガシワ樹皮抽出物のコラーゲン産生促進作用の強さは、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度に依存して変化し、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度を調節することによりコラーゲン産生促進作用の強さを調節できることが確認された。
【0073】
〔試験例2〕コラゲナーゼ阻害作用試験
製造例1及び2で得られた試料1〜7について、下記の試験法によりコラゲナーゼ阻害作用を試験した。
【0074】
試料溶液(溶媒:0.1mol/L塩化カルシウムを含有する20mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH7.1))50μL、コラゲナーゼ溶液50μL及び基質溶液400μLを混合し、37℃で30分間インキュベーションした。次いで25mmol/Lクエン酸溶液1mLで反応を停止し、酢酸エチル5mLで抽出した。得られた抽出液について、波長320nmの吸光度(対照液:酢酸エチル)を測定した(この吸光度を以下「試料添加,酵素添加時の吸光度」という)。
【0075】
また、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の上記トリス塩酸緩衝液を添加して行った(この吸光度を以下「試料無添加,酵素添加時の吸光度」という)。
【0076】
さらに、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、コラゲナーゼ溶液の代わりに上記トリス塩酸緩衝液を添加して行った(この吸光度を以下「試料添加,酵素無添加時の吸光度」という)。
【0077】
さらに、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の上記トリス塩酸緩衝液を添加するとともに、コラゲナーゼ溶液の代わりに上記トリス塩酸緩衝液を添加して行った(この吸光度を以下「試料無添加,酵素無添加時の吸光度」という)。
【0078】
なお、コラゲナーゼ溶液はシグマ社のコラゲナーゼTypeIVを上記トリス塩酸緩衝液1mLに溶解させ、使用時に50倍に希釈したものを使用した。基質溶液には、上記トリス塩酸緩衝液にBACHEM Fenichemikalien AG社Pz−ペプチドを濃度が0.5mol/Lになるように溶解して使用した。
次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出した。
【0079】
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
[式中、Aは試料添加,酵素添加時の吸光度、Bは試料添加,酵素無添加時の吸光度、Cは試料無添加,酵素添加時の吸光度、Dは試料無添加,酵素無添加時の吸光度を表す。]
【0080】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、コラゲナーゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。試験の結果を表4に示す。
【0081】
Figure 0003709369
【0082】
表4に示される結果より、クスノハガシワ樹皮抽出物がコラゲナーゼ阻害作用を有することが確認された。また、かかるクスノハガシワ樹皮抽出物のコラゲナーゼ阻害作用の強さは、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度に依存して変化し、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度を調節することによりコラゲナーゼ阻害作用の強さを調節できることが確認された。
【0083】
〔試験例3〕線維芽細胞増殖作用試験
製造例1及び2で得られた試料1〜7について、下記の試験法(MTT法(J.Immunol.Method 93,157,1986))により線維芽細胞増殖作用を試験した。
【0084】
25cmの培養フラスコに入れた10%FBS含有培地(α−MEM培地:GIBCO BLR社製,pH7.2)にヒト正常新生児皮膚線維芽細胞(NBIRGB)1×10個を播種し、37℃、5%CO−95%airの下で4日間培養した。次いでトリプシン処理し、遠心分離して細胞を集めた。沈澱として得られた細胞を5%FBS含有培地(α−MEM培地:GIBCO BLR社製,pH7.2)に懸濁し、96ウェルプレートの1穴につき7×10個ずつ分注した。24時間培養後、試料を溶解した5%FBS含有培地を1穴につき100μLずつ加え、37℃、5%CO−95%airの下で3日間培養した。培養後、培地を1穴につき100μLずつ除去し、MTT試薬(3-(4,5-dimethy1-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H tetrazolium bromide, 5mg/mL PBS(-)溶液)20μLを添加し、4.5時間インキュベーションした(増殖した細胞中のミトコンドリア由来の活性酸素がMTT試薬と反応し、黄色であった試薬の色が570nmに吸収のピークを有する青黄色に変わる)。その後、各穴に10重量%ドデシル硫酸ナトリウム−0.01mol/L塩酸溶液を100μLずつ分注し、18時間インキュベーションした。インキュベーション終了後、マイクロプレートリーダーを用いて570nmの吸光度を測定した。570nmの吸光度から650nmの吸光度を差し引くことにより、増殖した細胞による濁度の影響を補正し、「試料添加,細胞添加時の吸光度(570nm-650nm)」を得た。
【0085】
また、上記と同様の操作と吸光度測定を、試料を添加せずに行い、「試料無添加,細胞添加時の吸光度(570nm-650nm)」を得た。
【0086】
さらに、上記と同様の操作と吸光度測定を、細胞を添加せずに行い、「試料添加,細胞無添加時の吸光度(570nm-650nm)」を得た。
【0087】
さらに、上記と同様の操作と吸光度測定を、試料を添加せず、かつ細胞を添加せずに行い、「試料無添加,細胞無添加時の吸光度(570nm-650nm)」を得た。
【0088】
次式により細胞増殖促進率(%)を求め、各試料の線維芽細胞に対する増殖作用を評価した。
【0089】
細胞増殖促進率(%)=[{(A−C)−(B−D)/(B−D)}]×100
[式中、Aは試料添加,細胞添加時の吸光度(570nm-650nm)、Bは試料無添加,細胞添加時の吸光度、Cは試料添加,細胞無添加時の吸光度(570nm-650nm)、Dは試料無添加,細胞無添加時の吸光度(570nm-650nm)を表す。]
【0090】
試料濃度が400ppm、200ppmの場合における細胞増殖促進率(%)を表5に示す。
【0091】
Figure 0003709369
【0092】
表5に示される結果より、クスノハガシワ樹皮抽出物が線維芽細胞増殖作用を有することが確認された。また、かかるクスノハガシワ樹皮抽出物の線維芽細胞増殖作用の強さは、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度に依存して変化し、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度を調節することにより線維芽細胞増殖作用の強さを調節できることが確認された。
【0093】
〔試験例4〕ヒアルロン酸産生促進作用の試験
製造例1及び2で得られた試料1〜7について、下記の試験法によりヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
【0094】
ヒト正常新生児線維芽細胞(NB1RGB)1×10個を、75cm2フラスコを用いて10%FBSを含むα−MEM培地(pH7.2)で37℃、5%CO−95%airの下にて7日間培養した。トリプシン処理により細胞を集め、1%FBSを含むα−MEM培地を用いて2.2×104個/mLに調整し96ウェルプレートに100μLづつ播種し、37℃、5%CO−95%airの下で一晩培養した。翌日、試料(試料濃度:50ppm又は25ppm)を溶解した1%FBSを含むα−MEM培地を各wellに100μLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの下で3日間培養した。
【0095】
培養上清10μLを90μLのPBS(−)で10倍希釈し、その50μLを、あらかじめヒアルロン酸でコーティングしておいたELISAプレートに添加して各種抗体を用いてELISAを行った。ヒアルロン酸の定量は検量線を用いて行った。ヒアルロン酸産生促進率は、試料無添加時の値を100%として、試料濃度が50ppm、25ppmの場合について求めた。その結果を表6に示す。
【0096】
Figure 0003709369
【0097】
表6に示される結果より、クスノハガシワ樹皮抽出物がヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認された。また、かかるクスノハガシワ樹皮抽出物のヒアルロン酸産生促進作用の強さは、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度に依存して変化し、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度を調節することによりヒアルロン酸産生促進作用の強さを調節できることが確認された。
【0098】
〔試験例5〕エラスターゼ阻害作用試験
製造例1及び2で得られた試料1〜7について、下記の試験法によりエラスターゼ阻害作用を試験した。
【0099】
96ウェルプレートを用意し、1穴に対して試料溶液(溶媒:DMSO+水)50μL及びエラスターゼ溶液50μLを添加し、さらに基質溶液100μLを添加し混合した。25℃で15分間反応させた後、波長415nmの吸光度を測定した(この吸光度を以下「試料添加,酵素添加時の吸光度」という)。
【0100】
また、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の溶媒のみを添加して行った(この吸光度を以下「試料無添加,酵素添加時の吸光度」という)。
【0101】
さらに、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、エラスターゼ溶液の代わりに0.2mol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を添加して行った(この吸光度を以下「試料添加,酵素無添加時の吸光度」という)。
【0102】
さらに、上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の溶媒のみを添加するとともに、エラスターゼ溶液の代わりに上記トリス塩酸緩衝液を添加して同じ操作と測定を行った(この吸光度を以下「試料無添加,酵素無添加時の吸光度」という)。
【0103】
なお、エラスターゼ溶液はシグマ社・エラスターゼTypeIII 5mgをpH8の上記トリス塩酸緩衝液1mLに溶解し使用時に250倍に希釈したものを使用した。基質溶液として、シグマ社のN−SUCCINYL−ALA−ALA−ALA p-NITROANILIDEをDMSOに溶解した濃度45.14mg/mLの溶液を上記トリス塩酸緩衝液で100倍に希釈して使用した。
次式によりエラスターゼ阻害率を求めた。
【0104】
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
[式中、Aは試料添加,酵素添加時の吸光度、Bは試料添加,酵素無添加時の吸光度、Cは試料無添加,酵素添加時の吸光度、Dは試料無添加,酵素無添加時の吸光度を表す。]
【0105】
試料濃度が400ppm、200ppmの場合におけるエラスターゼ阻害率(%)を表7に示す。
【0106】
Figure 0003709369
【0107】
表7に示される結果より、クスノハガシワ樹皮抽出物がエラスターゼ阻害作用を有することが確認された。また、かかるクスノハガシワ樹皮抽出物のエラスターゼ阻害作用の強さは、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度に依存して変化し、クスノハガシワ樹皮抽出物の濃度を調節することによりエラスターゼ阻害作用の強さを調節できることが確認された。
【0108】
〔試験例6〕肌荒れ改善作用(皮膚の老化防止・改善作用)の試験
製造例1で得られたクスノハガシワ樹皮50%エタノール抽出物(試料2)を配合した乳液(以下「実施例乳液」という。)を常法に従って調製した。実施例乳液の組成を以下に示す。
【0109】
クスノハガシワ樹皮50%エタノール抽出物 0.1g
セチルアルコール 0.5g
ミツロウ 2.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(10E.0) 1.0g
モノステアリン酸グリセリル 1.0g
ヒアルロン酸 0.1g
プロピレングリコール 5.0g
エタノール 3.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.3g
香料 0.03g
精製水 残部(全量を100mLとする)
【0110】
実施例乳液と、クスノハガシワ樹皮抽出物を含まないほかは実施例乳液と同じ組成の比較例乳液について、下記の評価試験を行った。
【0111】
被験者:21〜44歳の女性多数の中から、皮溝・皮丘が消え、広範囲の角質がめくれている(表8に示す評点が1)、又は皮溝・皮丘が不鮮明で角質が部分的にめくれている(表8に示す評点が2)、肌荒れと判定されたもの20名を選抜して被験者とした。
【0112】
塗布試験:各被験者に、顔の右半分には実施例乳液を、左半分には比較例乳液を、朝夕各1回、30日間塗布させた。
【0113】
[判定1:肌荒れ改善効果]
塗布試験終了後、シルフロ(FLEXICL DEVELOPMENTS LTD製)によるレプリカ法を用いて顔のレプリカをとり、50倍の顕微鏡で皮紋の状態及び角質剥離状態を観察し、表8に示す評価基準で肌の状態を判定した。判定結果を表9に示す。
【0114】
Figure 0003709369
【0115】
Figure 0003709369
【0116】
表9に示されるように、実施例乳液を塗布した領域は、比較例乳液を塗布した領域に比べて顕著に肌荒れ(皮膚の老化)が改善された。
【0117】
[判定2・官能評価]
使用感と肌への効果について、実施例乳液と比較例乳液とを比較した場合の優劣を被験者全員に質問した。回答の集計結果を表10に示す。
【0118】
Figure 0003709369
【0119】
表10に示される結果より、官能評価によっても上記判定1と同様の効果と優れた使用感が確認された。
【0120】
判定1及び2の結果より、クスノハガシワ樹皮抽出物を配合した皮膚化粧料が皮膚の老化防止・改善作用(肌荒れ改善作用)を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れていることが確認された。
【0121】
〔配合例1〕
下記の組成の乳液を常法により製造した。
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例1の試料3) 0.1g
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例2の試料5) 1g
ホホバオイル 4g
オリーブオイル 2g
スクワラン 2g
セタノール 2g
モノステアリン酸グリセリル 2g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 2g
1,3−ブチレングリコール 3g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1g
黄杞エキス 0.1g
イチョウ葉エキス 0.1g
コンキオリン 0.1g
オウバクエキス 0.1g
カミツレエキス 0.1g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0122】
〔配合例2〕
下記組成の化粧水を常法により製造した。
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例1の試料1) 0.2g
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例2の試料5) 2g
グリセリン 3g
1,3−ブチレングリコール 3g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
油溶性甘草エキス 0.1g
海藻エキス 0.1g
キシロビオースミクスチャー 0.5g
クジンエキス 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0123】
〔配合例3〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例1の試料3) 0.1g
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例2の試料5) 1g
流動パラフィン 5g
サラシミツロウ 4g
セタノール 3g
スクワラン 10g
ラノリン 2g
ステアリン酸 1g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3g
1,3−ブチレングリコール 6g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
酵母抽出液 0.1g
シソ抽出液 0.1g
シナノキ抽出液 0.1g
ジユ抽出液 0.1g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0124】
〔配合例4〕
下記組成のパックを常法により製造した。
クスノハガシワ樹皮抽出物(製造例2の試料5) 5g
ポリビニルアルコール 15g
ポリエチレングリコール 3g
プロピレングリコール 7g
エタノール 10g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
酢酸トコフェロール 0.1g
セージ抽出液 0.1g
トウキ抽出液 0.1g
ニンジン抽出液 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0125】
〔配合例5〕
下記の混合物を打錠して,錠剤状栄養補助食品を製造した。
クスノハガシワ樹皮水抽出物(製造例1の試料2) 50重量部
粉糖(ショ糖) 188重量部
グリセリン脂肪酸エステル 12重量部
【0126】
〔配合例6〕
下記の混合物を顆粒状に形成して栄養補助食品を製造した。
クスノハガシワ樹皮水抽出物(製造例1の試料1) 34重量部
ビートオリゴ糖 1000重量部
ビタミンC 167重量部
ステビア抽出物 10重量部
【0127】
【発明の効果】
本発明により、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及び抗老化剤が提供される。本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、エラスターゼ阻害剤及び抗老化剤は、皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに有用である。
【0128】
また、本発明により、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用又はエラスターゼ阻害作用が付与された皮膚化粧料が提供される。本発明の皮膚化粧料は、皮膚の適用した場合の使用感と安全性に優れているとともに、皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに有用である。
【0129】
さらに、本発明により、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用又はエラスターゼ阻害作用が付与された美容用飲食品が提供される。本発明の飲食品は、皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに有用である。

Claims (7)

  1. クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
  2. クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とするコラゲナーゼ阻害剤。
  3. クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする線維芽細胞増殖作用剤。
  4. クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
  5. クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤。
  6. クスノハガシワ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
  7. 前記抽出物が、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、ヒアルロン酸産生促進作用及びエラスターゼ阻害作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有することを特徴とする請求項6記載の抗老化剤。
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