JP2006024550A - 非水系二次電池の正極用電極板およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池容量のバラツキが少なく、サイクル寿命に優れた非水系二次電池を提供する。
【解決手段】活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる合剤塗料を調製する工程aと、合剤塗料を集電体上に塗布する工程bとを有し、合剤塗料を調製する工程aが、活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有する非水系二次電池の正極用電極板の製造法。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池の正極用電極板およびその製造法に関する。
近年、携帯用電子機器の電源として用いられているリチウムイオン二次電池は、非水系二次電池の主流となっている。リチウムイオン二次電池は、一般に、正極合剤を担持した正極集電体からなる正極と、負極合剤を担持した負極集電体からなる負極とを具備する。正極合剤は、遷移金属とリチウムとの複合酸化物からなる正極活物質、導電材等を含み、負極合剤は、リチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料等からなる負極活物質を含む。リチウムイオン二次電池は高電圧で高容量であるが、充放電サイクルに伴って容量低下が起こるため、その改善が望まれている。
充放電サイクルに伴う容量低下の原因の一つとして、電極の電子伝導性の低下が挙げられる。電子伝導性の低下は、充放電に伴う正極の膨張・収縮により、導電材からなる導電ネットワーク構造が部分的に破断されることにより生じる。部分的に導電ネットワーク構造が破断されても十分な電子伝導性を確保するためには、合剤に含まれる導電材の含有率を増やすか、合剤に含まれる不導体である結着材や増粘剤の含有率を減らすことが考えられる。
しかし、導電材自身は電池容量に寄与しないので、多量の導電材を使用すれば電池容量の低下につながる。そこで、正極合剤に含まれる結着材や増粘剤の含有率を低減することが望まれている。
また、環境負荷低減の観点からは、合剤塗料の分散媒に水を用いることが望ましい。合剤塗料は、合剤を集電体に担持させる際に、合剤を分散媒となる液状成分と混合して調製される。そこで、とりわけ分散媒に水を用いた場合について、結着材や増粘剤の含有率を減らす取り組みがなされている。
従来、結着材としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂が用いられている(特許文献1参照)。しかし、フッ素系樹脂は粘着性が低く、分子鎖の絡み合いにより結着性を発現するものである。そのため、結着材の含有率が減少すると、集電体から合剤が脱離し易くなり、容量低下を招く。
そこで、結着材として2―エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルとの共重合体を用いることが提案されている(特許文献2参照)。この提案によれば、結着材と増粘剤との総量を、活物質100重量部あたり2.6重量部まで減量可能である。また、導電材量を活物質100重量部あたり5重量部まで低減しても、良好なサイクル寿命が得られている。
しかし、活物質以外の材料である導電材、結着材および増粘剤の配合量を減量していくと、次第に分散媒となる液状成分にこれらの材料を均一分散することが困難となる。そのため合剤塗料が不安定になり、合剤塗料を集電体上に塗布して乾燥する際に塗膜に剪断力が加わると、導電材が再凝集を起こし易くなる。その結果、集電体上の位置によって、塗布される合剤の重量がばらつくことになる。
合剤塗料が不安定になる原因は様々であるが、水からなる分散媒を用いる場合には、導電材と分散媒との表面自由エネルギー差が大きい点に主な原因がある。表面自由エネルギー差の大きな材料同士は、親和性が低くなる。導電材と分散媒との親和性が低いと、導電材の再凝集が起こりやすくなる。
従来の合剤塗料の一般的な調製工程は、活物質、結着材等からなる配合物に、分散媒である液状成分を全量一括で加えて混練する一段階の工程からなる。しかし、上記のような工程では導電材に十分な剪断力がかからないため、得られた合剤塗料中の合剤の分散状態、合剤塗料の粘度等が不安定になりやすい。安定な合剤塗料を調製するには、合剤を液状成分に分散させる方法に十分に配慮する必要がある。
上記に鑑み、導電材と結着材と分散媒とを混練した後、活物質を添加して更に混練する提案(特許文献3参照)、導電材と分散媒とを混練した後、活物質と結着材とを添加して更に混練する提案(特許文献4参照)、結着材と分散媒とを混練した後、活物質と導電材とを添加して更に混練する提案(特許文献5参照)、導電材と分散媒とを混練した後、活物質を添加して更に混練し、次いで結着材を添加して混練する提案(特許文献6参照)等がなされている。
しかし、上記提案では、いずれも分散媒が一括でほぼ全量配合されるため、導電材に十分な剪断力がかからない状態で合剤塗料が混練される。このような方法では、合剤の分散状態、粘度等を安定させることは困難である。
また、導電材と結着材と活物質との配合物に、量を調整しながら分散媒を添加することにより、必要な分散媒量を低減し、乾燥時間を短縮する提案(特許文献7参照)、同様の方法により、塗料における合剤の分散状態や、合剤と集電体との結着性を向上させる提案(特許文献8参照)、活物質と導電材と分散媒に溶解させた結着材との配合物に、微量の分散媒を複数回に分割して添加する提案(特許文献9参照)等もなされている。
上記提案では、いずれも分散媒が分割添加されるため、導電材に剪断力をかけた状態で合剤塗料が混練される。しかし、いずれの提案でも分散媒に導電材との親和性の高い有機溶剤が用いられている。有機系の分散媒を用いる場合、配合物に剪断力をかけすぎると、かえって導電材の凝集が促される。従って、有機溶剤の排出に関する問題がある他、活物質に対する結着材や導電材の添加量を減量することができないという問題が生じる。
そこで、分散媒に水を用い、増粘剤に水溶性高分子であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を用い、固練りされた配合物に増粘剤の水溶液を複数回に分割して添加する方法が提案されている(特許文献10参照)。この提案によれば、合剤塗料中の凝集物を低減できるため、合剤塗料の集電体上への塗布工程において、生産歩留を向上させることができる。
しかし、この提案では、目に見えない微細な凝集物まで低減することは困難である。具体的には、導電材と分散媒との親和性の低さに起因する導電材の再凝集により、集電体上の位置によって、塗布される合剤の重量がばらつくという問題が発生する。その結果、極板の位置によって容量がばらつくため、電池のサイクル寿命が低下する。このような不具合は、調製後に暫く放置された合剤塗料を用いて電極板を製造する場合に特に顕著となる。
また、従来、増粘剤は予め分散媒となる液状成分に溶解させて、溶液として用いられている。しかし、通常難溶性である増粘剤の溶解を促進して溶液を効率的に調製するためには、ホモジナイザー等の強力な撹拌装置を用いる必要がある。ホモジナイザー等によれば、増粘剤と分散媒との配合物に強い対流を加えることが可能であるが、増粘作用の根源である増粘剤の分子間の絡みを破壊してしまうため、増粘剤の作用が低減するという問題がある。
特開平8−339828号公報 特開平11−25956号公報 特開平9−213309号公報 特開平10−144302号公報 特開平11−144714号公報 特開平11−213989号公報 特開平7−161350号公報 特開2000−353516号公報 特開2001−167756号公報 特開2000−348713号公報
本発明は、増粘剤が水溶性高分子からなり、分散媒となる液状成分が水からなる合剤塗料を調製する場合に、導電材と分散媒との親和性の低さに起因する導電材の再凝集を効果的に抑制し得る電極板の製造法を提供することを目的とする。本発明は、また、増粘剤の分子間の絡みの破壊を抑制し、増粘剤の作用を高めることを目的とする。
本発明は、非水系二次電池の正極用電極板の製造法であって、活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる合剤塗料を調製する工程aと、合剤塗料を集電体上に塗布する工程bとを有し、合剤塗料を調製する工程aが、活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有する製造法に関する。
本発明の製造法では、合剤塗料を調製する工程が、上記のように、一次混練と二次混練からなる。一次混練は、言い換えれば、活物質、導電材および粉末状の増粘剤からなる配合物を、分散媒となる液状成分で湿潤させ、固練りする工程である。一次混練は、粉末状の増粘剤を活物質および導電材と混合する点に大きな特徴がある。
合剤塗料の調製工程が複数の混練工程からなる場合、一般的に一次混練における剪断力が高いほど、導電材等の均一分散は容易となる。本発明は、合剤塗料の調製工程において増粘剤の配合方法を改良することにより、増粘作用の低減を防止するとともに一次混練における剪断力を向上させる点に主な特徴を有する。
二次混練工程では、結着材Cを、追加の液状成分に分散させた状態で、一次混練物に添加することが好ましい。
二次混練工程では、少なくとも追加の液状成分を、複数回に分割して一次混練物に添加することが好ましい。
追加の液状成分は、一次混練物を得る際に用いる液状成分Eと同じであることが好ましい。
結着材Cは、粒子状であることが好ましく、特にアクリロニトリル単位を有するゴム粒子を少なくとも含むか、アクリロニトリル単位を有するゴム粒子のみからなることが好ましい。
合剤に含まれる導電材Bの量は、100重量部の活物質Aに対し、1〜2.5重量部であることが好ましい。
合剤に含まれる結着材Cの量は、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部であることが好ましい。
合剤に含まれる増粘材Dの量は、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜0.8重量部であることが好ましい。
増粘剤Dの1重量%水溶液の粘度は、25℃で2.5〜18Pa・sであることが好ましい。増粘剤Dは、少なくともカルボキシメチルセルロースを含むか、カルボキシメチルセルロースのみからなることが好ましい。
BET法で測定される活物質Aの比表面積は、0.2〜0.8m/gであることが好ましい。活物質Aは、少なくとも遷移金属とリチウムとの複合酸化物からなることが好ましい。
本発明の製造法は、さらに、集電体上に塗布された合剤塗料を乾燥させ、乾燥塗膜から、空隙の占める体積割合が18〜28%の合剤層を得る工程cを有することが好ましい。工程cは、乾燥塗膜をプレスする工程を含むことが好ましい。
集電体には、裏表両面に前記合剤層を担持せず、かつ、リードが接続されない露出部を、少なくとも1箇所形成することが好ましい。
本発明は、さらに、非水系二次電池の正極用電極板に関し、具体的には、活物質Aと、導電材Bと、結着材Cと、増粘剤Dとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなる合剤層、および合剤層を担持する集電体を具備する非水系二次電池の正極用電極板であって、合剤層に含まれる導電材Bの量が、100重量部の活物質Aに対し、1〜2.5重量部であり、合剤層に含まれる増粘材Dの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜0.8重量部である正極用電極板に関する。
本発明の正極用電極板において、BET法で測定される活物質Aの比表面積は、0.2〜0.8m/gであることが好ましい。また、合剤層に含まれる結着材Cの量は、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部であることが好ましい。結着材Cは、粒子状であることが好ましく、少なくともアクリロニトリル単位を有するゴム粒子を少なくとも含むか、アクリロニトリル単位を有するゴム粒子のみからなることが好ましい。また、増粘剤Dは、少なくともカルボキシメチルセルロースを含むか、カルボキシメチルセルロースのみからなることが好ましく、増粘剤Dの1重量%水溶液の粘度は、25℃で2.5〜18Pa・sであることが好ましい。さらに、合剤層に占める空隙の体積割合は、18〜28%であることが好ましく、集電体は、裏表両面に合剤層を担持せず、かつ、リードが接続されない露出部を少なくとも1箇所有することが好ましい。
本発明の製造法の好ましい実施形態を以下に例示する。
(第1実施形態)
本実施形態は、活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる合剤塗料を調製する工程aと、合剤塗料を集電体上に塗布する工程bとを有し、合剤塗料を調製する工程aが、活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有し、合剤に含まれる導電材Bの量が、100重量部の活物質Aに対し、1〜2.5重量部であり、合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である非水系二次電池の正極用電極板の製造法に関する。
本実施形態は、合剤に含まれる結着材と増粘剤の量を減量する場合に、相対的に電池内の導電材と非水電解液との接触面積が増大して、電池の高温保存時におけるガス発生量が増大するのを抑制することに主眼を置いている。本実施形態においては、合剤に含まれる導電材の量が制限されているため、電池の高温保存時における電池内でのガス発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる含む合剤塗料を調製する工程aと、合剤塗料を集電体上に塗布する工程bとを有し、合剤塗料を調製する工程aが、活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有し、合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部であり、増粘剤Dの1重量%水溶液の粘度が、25℃で2.5〜18Pa・sである非水系二次電池の正極用電極板の製造法に関する。
本実施形態においては、増粘剤や導電材の含有量が少なく、かつ導電材等の分散状態が均一であり、その分散状態が長期に亘り維持される安定な合剤塗料を得ることができる。従って、電池容量のバラツキが少なく、良好なサイクル寿命を有し、かつ高容量な非水系二次電池を提供することができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる合剤塗料を調製する工程aと、合剤塗料を集電体上に塗布する工程bとを有し、合剤塗料を調製する工程aが、活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有し、BET法で測定される活物質Aの比表面積が、0.2〜0.8m/gであり、合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である非水系二次電池の正極用電極板の製造法に関する。
本実施形態は、BET法で測定される活物質の比表面積の範囲を限定することにより、過充電状態の電池の発熱を抑制することに主眼を置いている。本実施形態においては、電池容量のバラツキが少なく、良好なサイクル寿命を有し、かつ高容量な非水系二次電池を提供することができ、さらに、従来では成し得なかった非水系二次電池の高容量設計と高度な安全性との両立が可能である。
(第4実施形態)
本実施形態は、活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる合剤塗料を調製する工程aと、合剤塗料を集電体上に塗布する工程bと、集電体上に塗布された合剤塗料を乾燥させ、乾燥塗膜から、空隙の占める体積割合が18〜28%の合剤層を得る工程cとを有し、合剤塗料を調製する工程aが、活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有し、合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である非水系二次電池の正極用電極板の製造法に関する。
本実施形態は、非水系二次電池の内部短絡等の不具合に対する安全性を高めることや、正極、負極およびセパレータを具備する電極群による非水電解液の含浸を容易かつ迅速に行うことに主眼を置いている。
本実施形態の製造法の中間製品である合剤塗料の乾燥塗膜は、優れた柔軟性を有するため、乾燥塗膜を高圧力でプレスしても、集電体の破断等は抑制される。従って、乾燥塗膜を高度に圧縮し、空隙の占める体積割合を18〜28%と低くした合剤層を得る場合にも、集電体の破断等が抑制され、生産歩留まりが低下することがない。
正極と負極とをセパレータを介して捲回して得られる電極群においては、最外周を構成する正極集電体の両面に合剤層を形成せず、露出部とすることが望まれる。最外周の正極集電体の露出部は、内部短絡等の不具合に対する安全機構となることが知られているからである。しかし、集電体上に乾燥塗膜と露出部との境界がある場合、通常は集電体の破断等を生じずに乾燥塗膜を高度に圧縮することは困難である。一方、本実施形態によれば、そのような場合にも集電体の破断等を生じることなく、空隙の占める体積割合が18〜28%の合剤層を得ることが可能である。
本実施形態では、合剤層に占める空隙の体積割合が28%以下に制御されているため、導電材が形成する導電ネットワークの緩みが抑制され、極めて良好な容量維持率が得られる。また、正極、負極およびセパレータを具備する電極群による非水電解液の含浸を、容易かつ迅速に行うことができ、高い生産性を達成することができる。電極群による非水電解液の含浸が迅速になるのは、増粘剤が粉末状態で活物質と混練される場合、合剤層中に含浸の障壁となる遊離した増粘剤が残存しにくいためと考えられる。また、合剤層中に完全に分散した増粘剤には、ゴム粒子の均一分布を促進する作用があるため、極めて柔軟性に優れた合剤層が得られるものと考えられる。
本発明によれば、導電材等の分散状態が均一であり、その分散状態が長期に亘り維持される安定な合剤塗料を得ることができる。すなわち、本発明によれば、増粘剤溶液を用いる従来の方法と比較して、一次混練中の配合物の粘性が高いため、配合物に高い剪断力が印加されて、導電材等の分散状態の良好な合剤塗料が得られる。そのため、集電体上の位置によって、塗布される合剤の重量がばらつくことがなく、均一な電極板を得ることができる。従って、本発明によれば、電池容量のバラツキが少なく、かつ良好なサイクル寿命を有する非水系二次電池を提供することができる。
本発明は、活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含む合剤塗料を調製する工程と、合剤塗料を集電体上に塗布する工程とを有する非水系二次電池の正極用電極板の製造法に関し、合剤塗料の調製工程は一次混練と二次混練からなる。一次混練で増粘剤を粉末状態のまま用いることにより、増粘剤が有する増粘作用が最大限に発揮されるとともに、導電材等の合剤構成材料の分散状態も従来に比べて向上する。
増粘剤と結着材とを別の工程で配合する理由について述べる。
一般的に増粘剤は、活物質に吸着しやすいため、増粘作用が十分に発揮されにくい。従って、導電材を均一分散させるためには長時間の混練を行い、導電材に十分な剪断力を付与する必要がある。一方、結着材は、混練時間が長くなると、界面活性剤の脱離等により、逆に凝集する傾向がある。従って、結着材と増粘剤を同時に配合すると、混練時間の長さに関わらず、結着材や導電材の塗料中での分布が不均一になり、これらの減量を図ることができない。一方、増粘剤と結着材とを別の工程で配合する場合には、工程毎にそれぞれに適した混練条件を採用できる。従って、両者の均一分散が可能となり、両者の使用量を大幅に減量しても、充分な結着性を得ることができ、結果として電極板の高容量化を図ることが可能となる。
増粘剤を粉末状態で配合する理由について述べる。
増粘剤を分散媒に溶解した溶液は、塗料の調製に適した粘性を有しており、ハンドリングも容易である。そのため、合剤塗料の調製工程では、増粘剤を溶液状態で、活物質、導電材等と一括混練するのが一般的である。しかし、増粘剤は一般的に分散媒に対して難溶性であるため、増粘剤溶液を調製するためには、強制的に増粘剤分子間の絡みを破壊するような処理を行う必要がある。例えばホモジナイザー処理は、上述のように、増粘剤の溶解を促進する代わりに、増粘作用の根源である分子間の絡みを破壊し、増粘剤の作用を劣化させてしまう。
一次混練で、増粘剤を粉末状態で配合する場合、増粘剤の作用が損なわれることがないため、少量の増粘剤しか用いない場合でも十分に一次混練中の配合物の粘性を向上させることができる。また、一次混練中の配合物の粘性が高いため、配合物に高い剪断力が印加され、導電材等の塗料中での分散性が高められる。従って、合剤塗料が長期に亘って安定化し、集電体上の位置によって、塗布される合剤の重量がばらつくことがなく、結果として電池のサイクル寿命も向上する。
一次混練では、まず、活物質、導電材および粉末状態の増粘剤を含む配合物に、分散媒である液状成分を添加し、配合物を液状成分で湿潤させる。そして、粘度の高い状態で配合物の一次混練を行い、導電材と増粘剤を分散媒中に均一分散させる。液状成分の使用量は、一次混練物の固形分の含有率が70〜90重量%となる範囲であることが好ましい。一次混練は、配合物のいわゆる固練り工程に相当する。なお、配合物は、活物質、導電材および粉末状態の増粘剤以外に、適量の種々の添加剤を含んでもよい。
液状成分には、増粘剤を溶解するものを用いる必要があるが、一次混練において、増粘剤を完全に溶解させる必要はない。増粘剤が液状成分で十分に膨潤し、かつ一次混練物中に均一に分散するまで、混練を行えばよい。
次に、一次混練物に結着材と分散媒とを添加しながら二次混練を行い、集電体への塗布に最適な粘度に調整された合剤塗料を調製する。二次混練で追加する液状成分の量は、二次混練物の固形分の含有率が50〜80重量%となる範囲であることが好ましい。
二次混練では、結着材Cを追加する液状成分の少なくとも一部に分散させた状態で、一次混練物に添加することが好ましい。通常、結着材Cは、液状成分に分散した状態で商業的に入手可能である。
追加する液状成分は、複数回、好ましくは2回に分割して一次混練物に添加することが好ましい。分割の回数を2回以上に増やしても、合剤塗料の安定性はそれほど変わらない。結着材Cについても、複数回に分割して一次混練物に添加することができる。
増粘剤は、少なくとも水溶性高分子を含んでいる。よって、一次混練および二次混練で合剤の分散媒として用いる液状成分は、少なくとも水を含むことが要求される。なお、分散媒には、水と水以外の液状成分との混合物を用いることもできるが、環境負荷を低減する観点等からは、水を単独で分散媒として用いるか、もしくは水を主成分として例えば90重量%以上含む液状成分を分散媒として用いることが好ましい。
水溶性高分子は、水に溶解して粘性を有する水溶液を与える。水溶性高分子には、例えばポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース、メチルセルロースの変性体等が挙げられる。これらのうちでは、メチルセルロースの変性体、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)が、塗料に好適な粘性を付与でき、塗料中での分散性も良好であることから、特に好ましく用いられる。水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤の使用量は、特に限定されないが、塗料に好適な粘性を付与し、かつ高容量の極板を得る観点から、活物質100重量部あたり0.1〜1.5重量部が一般的である。ただし、より優れた電池特性を実現する観点からは、活物質100重量部あたり0.2〜0.8重量部の増粘剤を用いることが好ましく、0.2〜0.6重量部の増粘剤を用いることが特に好ましい。増粘剤が少なすぎると、塗料に好適な粘性を付与することが困難となり、固形分の沈降が起こりやすくなることがある。また、増粘剤が多すぎると、高容量の極板が得られなくなることがある。
導電材は、少なくとも炭素材料を含む。導電材には、炭素材料と炭素材料以外の材料との混合物を用いることもできるが、導電材の90〜100重量%が炭素材料であることが好ましい。炭素材料には、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックや、各種グラファイトなどを好ましく用いることができる。炭素材料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤量が特定されない場合には、導電材の使用量は、活物質100重量部あたり1〜5重量部が適量である。導電材の量が少なすぎると、十分な導電ネットワークを形成することが困難となり、放電特性が低下することがある。導電材の量が多すぎると、容量低下を招く他、導電材と非水電解液との接触面積が増加するため、電池の高温保存時に多量のガスが発生することがある。あまりに多量のガスが発生すると、電池ケースの変形、安全装置の誤作動、正極と負極の変形による容量低下等を誘発することがある。一方、本発明者らの知見によれば、増粘剤量と導電材量との間には相互依存関係が見られることから、活物質100重量部あたり0.2〜0.8重量部の増粘剤を用いる場合には、活物質100重量部あたり1〜2.5重量部の導電材を用いることが好ましく、1〜2.2重量部の導電材を用いることが特に好ましい。
炭素材料からなる導電材は、疎水性を有するため、水を含む液状成分中では分散状態が安定せず、再凝集しやすい。よって、導電ネットワーク構造の形成も妨げられやすい。一方、本発明者らの知見によれば、増粘剤に用いる水溶性樹脂は、親水性の官能基を有することから、界面活性剤のような働きがあり、疎水性材料である導電材の分散状態を安定化させる機能を有する。
増粘剤量が活物質100重量部当たり0.2〜0.8重量部であるとき、導電材量を1〜2.5重量部とすることにより、導電材に効率的に増粘剤を吸着させることができ、導電材の分散状態を安定化させる効果が大きくなる。すなわち、増粘剤の界面活性剤としての機能を効率よく活用することができる。導電材量が2.5重量部を超えると、全ての導電材の分散状態を安定化させるほどに増粘剤量が存在しないため、導電材の一部は再凝集するものと考えられる。凝集した状態の導電材は、導電ネットワークの形成にほとんど役立たず、単なる体積ロスを招き、結果として容量低下を生じることになる。不必要な導電材は、ガス発生源を低減する観点からも、極力減らさなければならない。
活物質100重量部あたり0.2〜0.8重量部の増粘剤を用い、活物質100重量部あたり1〜2.5重量部の導電材を用いる場合、増粘剤には、カルボキシル基などの官能基を有するカルボキシメチルセルロースを用いることが特に望ましい。カルボキシメチルセルロースは、水溶性高分子の中でも官能基が多く、界面活性剤としての機能が高いからである。
適度な粘性を有する水溶液を与える観点から、水溶性高分子の1重量%水溶液の粘度は、25℃で2.5〜18Pa・sであることが好ましく、6〜10Pa・sであることが特に好ましい。1重量%水溶液の粘度が2.5Pa・s未満では、一次混練中の配合物の粘性が不足することがある。また、1重量%水溶液の粘度が18Pa・sを超えると、一次混練中の配合物の粘性が過剰に高くなったり、塗料中の合剤の分散性が若干ながら低下したりすることがある。よって、集電体に塗布される合剤重量のバラツキを高度に抑制することが困難になることがある。
また、水溶性高分子の1重量%水溶液の粘度が、25℃で2.5〜18Pa・sである場合、水溶性高分子の分子量は、界面活性剤としての機能を発揮するのに好適な大きさとなる。よって、上記粘度範囲の水溶性高分子は、界面活性剤としての機能も高くなり、導電材の分散を促進しつつ、適度な粘度を合剤塗料に付与することができる。1重量%水溶液の粘度が2.5Pa・s未満では、導電材の分散性が十分に高められず、また、合剤塗料の流動性が高くなりすぎて、合剤塗料を集電体上に塗布する際に塗りムラを生じることがある。また、1重量%水溶液の粘度が18Pa・sを超えても、導電材の分散性が十分に高められず、また、合剤塗料が流動しにくくなり、やはり塗りムラを生じることがある。このような塗りムラは、電池特性の低下を招く。
本発明では、どのような結着材を用いてもよいが、粒子状の結着材を用いることが好ましい。粒子状の結着材は、水等に微粒子状態で安定に分散されていることが好ましい。粒子状の結着材には、ゴム粒子を用いることが好ましいが、これに限定されない。結着材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子状の結着材には、アクリロニトリル単位を有するゴム粒子、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、SBRの変性体等が好ましく用いられるが、特に、アクリロニトリル単位を有するゴム粒子が好ましい。アクリロニトリル単位のような極性基を含有するゴム粒子は、活物質に吸着しやすいため、活物質同士の密着性や活物質と集電体との密着性を高めることができ、結着材の使用量の減量が可能となる。
アクリロニトリル単位を有するゴム粒子の代表例として、アクリロニトリルとアクリレートとの共重合体、アクリロニトリルとアクリル酸との共重合体、アクリロニトリルとアクリレートとアクリル酸との共重合体等が挙げられる。ゴム弾性と結着性とのバランスの観点からは、特に、アクリロニトリルとアクリレートとアクリル酸との共重合体が好ましい。
上記の他に、結着材には、例えばフッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂は、水等に微粒子状態で安定に分散されていることが好ましい。フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFEの変性体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDFの変性体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体(PTFE−HFP)等を用いることができる。
結着材の使用量は、特に限定されないが、高容量の極板を得る観点から、活物質100重量部あたり0.1〜3重量部が一般的であり、0.2〜1.4重量部であることが好ましく、0.2〜1.1重量部が特に好ましい。結着材の量を、活物質100重量部当り1.4重量部以下とすることにより、塗料中の合剤の分散性を高めると同時に、極めて高容量な電極板を得ることが可能である。結着材の量が1.4重量部を超えると、分散状態の高い合剤塗料が得られても、それを電極板の高容量化に十分に活かすことができない場合がある。結着材の量は、容量の点では少ない方が好ましいが、活物質100重量部当り0.2重量部未満になると、結着性が低下し、生産歩留の低下を招くことがある。
活物質には、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を用いることが望ましい。活物質には、従来報告されている種々の複合酸化物を用いることができる。例えば、コバルト酸リチウム等のリチウムコバルト酸化物、リチウムコバルト酸化物のコバルトの一部をアルミニウム、マグネシウム等で置換した共晶酸化物、ニッケル酸リチウム等のリチウムニッケル酸化物、リチウムニッケル酸化物のニッケルの一部をコバルト等で置換した共晶酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムマンガン酸化物のマンガンの一部をニッケル、コバルト等で置換した共晶酸化物等を用いることができる。複合酸化物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
粒子状の結着材を用いる場合、活物質の選択は以下に配慮して行う必要がある。本発明の目的の一つは、高容量な電極板を得ることであるから、従来よりも少量で高い結着力を得ることができる粒子状の結着材を用いている。一方、粒子状の結着材以外の結着材、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には、過充電時にリチウムイオンの過剰放出を抑制し、結晶構造の破壊や発熱を抑止する機能がある。このような機能は、PTFEが活物質表面を被覆して、充放電反応に寄与する活物質領域を減少させることに基づくものである。しかし、粒子状の結着材を用いて結着材を従来よりも減量する場合、活物質表面の結着材による被覆面積が減少するため、過充電時の発熱量が多くなり、安全性が低下することが懸念される。
上記懸念を払拭し、高度な安全性を確保する観点から、本発明では、BET法により測定される比表面積が0.2〜0.8m/gである活物質を用いることが好ましい。結着材による活物質表面の被覆に代わり、活物質の比表面積を0.2〜0.8m/gに制御することで、良好な充放電特性を保持しつつ、過充電時の安全性の低下を回避することができる。
活物質のBET法による比表面積が0.8m/gを超えると、過充電状態の電池の発熱量が安全性を保持し得る上限に近づくことになる。なお、過充電状態の電池の安全性を極めて高度に維持する観点からは、比表面積を0.5m/g以下とすることがより望ましい。一方、活物質のBET法による比表面積が0.2m/g未満になると、過充電時の発熱は確実に抑制されるが、活物質の充放電反応面積が低下するため、リチウムイオンの移動抵抗が増加する。従って、高率放電時の放電容量が低下することがある。
正極用電極板を作製する際、調製された合剤塗料は、集電体上に塗布し、乾燥する。その後、乾燥塗膜の圧延等を行うことにより、合剤層が形成される。本発明では、合剤層に占める空隙の体積割合(以下、空隙率)を、18〜28%、好ましくは18〜25%に制御することが好ましい。合剤層の空隙率は、どのような方法で制御してもよいが、圧力を制御した圧延により、乾燥塗膜をプレスするのが一般的である。
合剤層の空隙率が18%未満でも電池特性上は申し分ないが、空隙率18%未満の合剤層を有する正極を含む電極群の場合、非水電解液を含浸させる注液工程に比較的長い時間がかかるため、生産性が大幅に低下する。一方、合剤層の空隙率が28%を超える場合、電池のサイクル寿命特性が、若干ではあるが、低下することがある。
合剤層の空隙率は、以下の方法で求めることができる。
まず、合剤の組成と合剤を構成する材料の比重とから、合剤層の理論体積Aを求める。理論体積Aは空隙率が0%の合剤層の体積に相当する。また、合剤層の実測体積Bを求める。空隙率Pは次式より求められる。
P(%)={(B−A)/B}×100
正極と負極とをセパレータを介して捲回して得られる電極群においては、最外周を構成する正極集電体の両面に合剤層を形成せず、露出部として、内部短絡等の不具合に対する安全機構を形成することが望まれる。そこで、好ましい態様では、集電体の両面それぞれに、合剤層を担持せず、かつ、リードが接続されない露出部、すなわち電極群の最外周に配置される安全機構としての露出部を、正極1枚当り、少なくとも1つ形成する。
集電体の両面それぞれに合剤層を担持しない露出部を設ける場合、圧延等を行う際の集電体上には、乾燥塗膜と露出部との境界が存在する。このような場合、通常は前記境界で集電体の破断等を生じさせずに乾燥塗膜を圧延し、空隙率が18〜28%の合剤層を得ることは困難である。しかし、本発明の製造法の中間製品である合剤塗料の乾燥塗膜には、粒子状の結着材が極めて均一に分布しているため、優れた柔軟性を有する。従って、乾燥塗膜を高圧力でプレスし、合剤層の空隙率を18〜28%に制御しても、集電体の破断等は抑制される。ただし、合剤層の空隙率を18%未満に制御する場合、乾燥塗膜の圧延等の際に、集電体上の乾燥塗膜と露出部との境界に過剰な応力がかかるため、前記境界で集電体の破断が生じやすくなる。
すなわち、本発明によれば、集電体に電極群の最外周に配置される露出部を設ける場合でも、集電体の破断等の不具合を生じさせることなく、高容量の電極板を得ることができ、電池の高容量化を図ることが可能である。
集電体に合剤層を担持しない露出部を設ける方法としては、他に、圧延により得られた合剤層の一部を、機械的に剥離させて除去することも考えられる。しかし、そのような方法は非効率的である上、電極板の破損を併発しやすいという欠点がある。効率的な方法としては、集電体の所定位置に露出部が残るように、合剤塗料の間欠塗工を行ったり、集電体の所定位置をマスキングテープ等で保護してから合剤塗料の塗工や圧延を行う方法が挙げられる。なお、間欠塗工は、例えばダイコート、コンマリバースコート等により行うことができる。
非水系二次電池は、正極用電極板と、負極用電極板と、これらの間に介在するセパレータと、非水電解液とを具備する。負極用電極板の製造法は、特に限定されず、従来どおりの方法で作製することができる。活物質には、公知のものを特に限定なく、用いることができる。例えば、各種天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、シリサイド等のシリコン系複合材料、各種合金材料等を用いることができる。
負極用電極板の結着材にも、フッ素樹脂やゴム粒子やポリオレフィン粒子が好ましく用いられる。フッ素樹脂としては、PVDF、PVDFの変性体等が挙げられる。また、ゴム粒子としては、SBR、SBRの変性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いることも可能である。負極によるリチウムイオン受入れ性の向上の観点からは、ゴム粒子を用いることが好ましい。ゴム粒子を用いる場合には、CMC等のセルロース樹脂を増粘剤として併用することが好ましい。
非水電解液には、溶質を溶解した非水溶媒が用いられる。溶質には、LiPF、LiBF等のリチウム塩が好ましく用いられるが、これらに限定されない。非水溶媒には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等の炭酸エステルが好ましく用いられるが、これらに限定されない。非水溶媒は、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
非水電解液には、正極もしくは負極上に良好な皮膜を形成する添加剤を添加することが好ましい。このような皮膜は、過充電時の電池の安全性を向上させるものである。添加剤としては、例えばビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、VCやCHBの変性体等を用いることができる。
セパレータは、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる微多孔フィルムが用いられる。微多孔フィルムは、1種のポリオレフィンからなる単層フィルムもしくは2種以上のポリオレフィンからなる複合フィルムであるのが一般的である。セパレータの厚みは特に限定されないが、10〜25μmであることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
《実施例1》
図1に示すフローチャートに沿って正極用電極板を作製した。
(i)正極用電極板の作製
〈一次混練〉
活物質には、BET法で測定される比表面積が1.4m/gのコバルト酸リチウムを用いた。このコバルト酸リチウムは、炭酸リチウムと四酸化三コバルトとの混合物を750℃で4.5時間仮焼後、900℃で7.5時間焼成し、得られた焼成物を解砕して篩いにかけたものである。
活物質100重量部と、導電材であるアセチレンブラック(AB)を4重量部と、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を粉末状態で0.4重量部とを配合し、配合物に所定量の水を添加した後、双腕式練合機で攪拌し、固形分の含有率が80重量%の一次混練物を得た。
CMCには、第一工業製薬(株)製の「セロゲン4H」を用いた。このCMCの1重量%水溶液は、25℃環境下で、1.7Pa・sの粘度を有した。粘度測定にはB型粘度計を用いた。
ここで、粘度測定で用いたCMC水溶液の調製法について詳述する。
CMC水溶液の粘度は、攪拌法に大きく依存するため、以下の方法に準じて測定した。まず、内容積300mlの共栓三角フラスコ中に、CMCを2.3g投入し、蒸留水200mlを加えた後、三角フラスコを激しく振とうした。次いで、三角フラスコの内容物を約18〜20時間放置した。その後、三角フラスコの内容物に蒸留水を追加して、CMCの1重量%水溶液とし、その水溶液を、マグネチックスターラで5分間攪拌し、CMCを完全に溶解させた。こうして得られた水溶液の粘度を、25℃で、B型粘度計で測定した。
〈二次混練〉
次に、一次混練物に、活物質100重量部あたり、結着材を2.4重量部と、所定量の水とを、2回に分けて半分ずつ添加し、双腕式練合機で攪拌し、固形分の含有率が70重量%の二次混練物、すなわち合剤塗料を得た。
結着材には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体(PTFE−HFP)を用いた。PTFE−HFPは水に微粒子状態で安定に分散された状態で用いた。水分散液中のPTFE−HFPの含有率は60重量%であった。
〈塗布工程〉
得られた合剤塗料を24時間静置して保管した後、厚み15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥して、両面の合剤と集電体との合計厚みが約240μmになるように、乾燥塗膜を形成した。次いで、合計厚みが160μmとなるように、乾燥塗膜をプレスし、正極合剤層(空隙率31%)とした。その後、正極合剤層を両面に担持した集電体からなる正極用電極板を、56mm幅にスリットし、正極を得た。
(ii)負極用電極板の作製
活物質100重量部と、結着材であるSBR変性体1重量部と、増粘剤であるCMCを1重量部との配合物に、所定量の水を添加し、双腕式練合機で攪拌し、固形分の含有率が50重量%の合剤塗料を調製した。
ここで、活物質には、人造黒鉛である日立化成(株)製の「MAG−D」を用いた。また、結着材には、日本ゼオン(株)製の「BM−400B」(SBR変性体の含有率40重量%)を用いた。
また、CMCには、正極用電極板で用いたのと同じものを用いた。ここでは、CMCの2重量%水溶液を調製し、その水溶液を活物質100重量部あたり50重量部添加した。
得られた合剤塗料を厚み10μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥して、両面の合計厚みが約250μmの乾燥塗膜を形成した。次いで、合計厚みが180μmとなるように、乾燥途膜をプレスし、負極合剤層とした。その後、負極合剤層を両面に担持した集電体からなる負極用電極板を、59mm幅にスリットし、負極を得た。
(iii)非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(MEC)との体積比3:3:2の混合溶媒100重量部に、ビニレンカーボネート(VC)を3重量部添加した後、LiPFを1モル/Lの濃度で溶解させて非水電解液とした。
(iv)電池の組立
正極と負極とを、厚み20μmのポリエチレン製微多孔フィルムからなるセパレータ(セルガード(株)製の#2320)を介して捲回し、極板群を構成した。得られた極板群を、内面にNiメッキを施した鉄製の電槽缶内に挿入し、非水電解液を5.5g注液してから電槽缶を封口した。こうして得られた電池は、円筒型18650のリチウムイオン二次電池であり、公称容量は2000mAhである。
《比較例1》
図2に示すフローチャートに沿って正極用電極板を作製した。
増粘剤であるCMCを、予めホモジナイザーを用いて水に溶解させ、CMCの2重量%水溶液を調製した。CMCには、実施例1で用いたのと同じものを用いた。この水溶液を、活物質100重量部あたりCMCの量が0.4重量部となるように配合したこと以外、実施例1と全く同様にして、正極用電極板を作製した。正極合剤層の空隙率は31%であった。次いで、得られた正極用電極板を用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
《比較例2》
図3に示すフローチャートに沿って正極用電極板を作製した。
ここでも、増粘剤であるCMCを、予めホモジナイザーを用いて水に溶解させ、CMCの2重量%水溶液を調製した。CMCには、正極用電極板で用いたのと同じものを用いた。このCMC水溶液と、結着材であるPTFE−HFPの水分散液とを、同時に、活物質100重量部あたりCMCの量が0.4重量部およびPTFE−HFPの量が2.4重量部となるように、一括配合した。すなわち、全ての材料を一括で混練して、合剤塗料を調製した。こうして得られた合剤塗料を用いたこと以外、実施例1と同様にして、正極用電極板を作製した。正極合剤層の空隙率は31%であった。次いで、得られた正極用電極板を用いて、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
(評価1)
正極用電極板を以下に示す方法で評価した。結果を表1に記す。
[塗膜の体積抵抗率]
混練直後の合剤塗料を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、乾燥後、四探針法により、塗膜の体積抵抗率を測定した。さらに、混練直後の合剤塗料を24時間放置し、放置後の合剤塗料を用いて、上記と同様に乾燥塗膜を形成し、その体積抵抗率を測定した。
[合剤重量のバラツキ]
合剤塗料をダイコート方式により、厚み15μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗布し、乾燥する際、β線反射により重量を簡易的に測定するβ線重量計により、集電体上に塗布された合剤重量のバラツキを測定した。ここでは、集電体の幅方向にβ線をスキャンしながら、集電体の長手方向2000mに亘る領域を連続的に測定した。
Figure 2006024550
以下、表1の評価結果について記す。
正極用電極板の作製工程において、増粘剤と結着材とを別の工程で配合し、かつ増粘剤を粉末状態で配合して調製した合剤塗料を用いた場合(実施例1)には、体積抵抗率の経時変化を抑制することができた。これは、合剤塗料中の導電材の凝集が抑制されているためと考えられる。また、実施例1では、正極用電極板の集電体の位置による合剤重量のバラツキも小さかった。
一方、正極用電極板の作製工程において、増粘剤と結着材とを別の工程で配合したが、増粘剤を水溶液状態で配合して調製した合剤塗料を用いた場合(比較例1)には、体積抵抗率の経時変化が大きく、しかも正極用電極板の集電体の位置による合剤重量のバラツキも大きかった。これは、CMC水溶液を調製する際に、CMCの増粘作用が一部損なわれ、十分な増粘作用が得られなかったことに加え、一次混練で十分な剪断力を導電材等に印加できなかったためと考えられる。
また、正極用電極板の作製工程において、活物質、導電材、増粘剤および結着材を一括混練して調製した合剤塗料を用いた場合(比較例2)には、体積抵抗率の経時変化および正極用電極板の集電体の位置による合剤重量のバラツキが、さらに大きくなった。これは、CMC水溶液を調製する際に、CMCの増粘作用が一部損なわれたことに加え、十分な剪断力を導電材等に印加できなかったことと、結着材と増粘剤とを一括配合したことから、合剤塗料中での導電材および結着材の分散性が低下したためと考えられる。
(評価2)
次に、得られたリチウムイオン二次電池を以下に示す方法で評価した。結果を表2に記す。
[電池容量のバラツキ]
電極合剤の脱落、クラック等を生じずに完成した電池の良品について、以下の充放電条件Xで慣らし充放電を2回行った。
〈充放電条件X〉
定電流充電:1400mA
充電終止電圧:4.1V
定電流放電:1400mA
放電終止電圧:3V
慣らし充放電を終了した電池は、45℃環境で7日間、充電状態で保存した。
充電は以下の充電条件Yで行った。
〈充電条件Y〉
定電流充電:1400mA
充電終止電圧:4.2V
定電圧充電:4.2V
充電終止電流:100mA
保存後の電池20個の電池容量を測定し、20個の容量のバラツキを調べた。結果を表2に示す。
[200サイクル後の容量維持率]
完成した電池の良品について、上記と同様の慣らし充放電を2回行い、45℃環境で7日間保存した。その後、以下の充放電条件Zで、充放電サイクルを200回繰り返した。そして、1サイクル目に対する200サイクル目の放電容量の割合を容量維持率として求めた。
〈充放電条件Z〉
定電流充電:1400mA
充電終止電圧:4.2V
定電圧充電:4.2V
充電終止電流:100mA
定電流放電:2000mA
放電終止電圧:3V
Figure 2006024550
以下、表2の評価結果について記す。
正極用電極板の作製工程において、増粘剤と結着材とを別の工程で配合し、かつ増粘剤を粉末状態で配合して調製した合剤塗料を用いた場合(実施例1)には、体積抵抗率の経時変化等が抑制されていたことと関連して、電池容量のバラツキが小さく、200サイクル後の容量維持率も良好であった。
一方、正極用電極板の作製工程において、増粘剤と結着材とを別の工程で配合したが、増粘剤を水溶液状態で配合して調製した合剤塗料を用いた場合(比較例1)には、電池容量のバラツキが大きく、200サイクル後の容量維持率も低かった。
また、正極用電極板の作製工程において、活物質、導電材、増粘剤および結着材を一括混練して調製した合剤塗料を用いた場合(比較例2)には、電池容量のバラツキが更に大きくなり、200サイクル後の容量維持率も大きく低下した。
集電体の位置による合剤重量のバラツキの大きな正極用電極板を用いた場合、負極が受ける負荷が局所的に大きくなるため、負極活物質が受け入れられなかったリチウムイオンがリチウム金属として析出しやすくなる。そのため、比較例1、2では200サイクル後の容量維持率が低下したものと推察される。
以上の結果から、サイクル寿命の良好な非水系二次電池を得るためには、一次混練および二次混練からなる本発明の電極板の製造法、すなわち増粘剤を粉末状態で一次混練時に配合する方法が有効であることがわかる。
《実施例2》
以下の変更点以外、実施例1と同様にして、正極用電極板を作製した。
本実施例では、正極用電極板の作製工程の二次混練において、活物質100重量部あたり2.4重量部のPTFE−HFPを結着材として用いる代わりに、活物質100重量部あたり2重量部の2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルとの共重合体からなるゴム粒子(2−EHA−AA−AN)を用いた。2−EHA−AA−ANは水に微粒子状態で安定に分散された状態で用いた。水分散液中の2−EHA−AA−ANの含有率は40重量%であった。
(評価3)
得られた正極電極板と、実施例1の正極電極板とを、以下に示す方法で比較評価した。結果を表3に記す。
[正極合剤の脱落]
正極用電極板から所定幅の正極を切り出し、その正極と負極とセパレータとを用いて実施例1と同様に捲回し(この状態を捲回仕掛品という)、その後一旦捲回を緩めて主に巻芯近くの正極合剤の状態を目視で観察した。実施例1および実施例2について、各々20個ずつ捲回仕掛品の巻芯近くの正極合剤の状態を観察した。正極合剤の脱落もしくは合剤層にクラックが生じていた捲回仕掛品の数量を求めた。
Figure 2006024550
以下、表3の評価結果について記す。
結着材として、ゴム粒子である2−EHAとAAとANを用いた場合(実施例2)、PTFE−HFPを結着材として用いた実施例1よりも、正極合剤の脱落が抑制されていることがわかる。しかも、活物質100重量部当たりの結着材の量は、実施例1よりも実施例2の方が少なくなっている。
このような結果が得られたのは、結着作用の発現機構の違いによるものと考えられる。PTFE−HFPは、それ自身が有する結着性が低く、分子鎖の絡み合いによって結着性を確保している。これに対し、2−EHA−AA−ANのようなゴム粒子は、表層部の粘着成分が結着性を発現する。ゴム粒子は、活物質粒子との点接着が可能であるため、使用量を減量しても結着性を確保することが可能となる。
以上より、一次混練および二次混練からなる電極板の製造法において、増粘剤を粉末状態で一次混練時に配合するとともに、結着材としてゴム粒子を用いることにより、サイクル寿命が良好で、高容量な非水系二次電池を得ることが可能であることがわかる。すなわち、本発明によれば、一次混練において増粘剤を粉末状態で用いることによる活物質以外の材料の減量と、ゴム粒子を用いることによる結着材の減量とが、相乗的に正極板の高容量化に寄与することになる。
《実施例3》
以下の変更点以外、実施例2と同様にして、正極用電極板を作製した。
本実施例では、正極用電極板の作製工程の二次混練において、活物質100重量部あたり、2重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用いる代わりに、活物質100重量部あたり0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部、1.1重量部または1.4重量部の2−EHA−AA−ANを用い、それぞれ電極板1、電極板2、電極板3、電極板4または電極板5を得た。
次いで、得られた電極板1、2、3、4または5を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池1、2、3、4または5を作製した。
(評価4)
得られた電極板1〜5に関し、(評価3)と同様に、[正極合剤の脱落]について評価した。また、得られた電池1〜5の電池容量と、実施例2の電池容量とを、以下に示す方法で比較評価した。結果を表4に記す。
[電池容量]
電極合剤の脱落、クラック等を生じずに完成した電池の良品について、(評価2)の充放電条件Xと同じ条件で慣らし充放電を2回行った。
慣らし充放電を終了した電池は、45℃環境で7日間、充電状態で保存した。充電は(評価2)の充電条件Yと同じ条件で行った。
その後、保存後の電池を(評価2)の充放電条件Zと同じ条件で充放電させた。そして、放電容量から電池容量を求めた。
Figure 2006024550
以下、表4の評価結果について記す。
結着材量が活物質100重量部当り0.1重量部の場合(電池1)、実施例1の場合よりも確率は少ないが、正極合剤の集電体からの脱落が見られた。一方、結着材量が活物質100重量部当り2重量部の場合(実施例2)、電池容量に比較的顕著な低下が見られた。電池容量の低下が比較的顕著となるのは、正極合剤に占める活物質の割合が低下する(設計容量が低下する)とともに、電池反応に対する抵抗成分が増加して、放電容量の低下を助長したためと考えられる。結着材量が活物質100重量部当り1.4重量部の場合(電池5)、電池1〜4に比べると電池容量が小さくなったが、従来に比べれば十分に高い容量が得られていると考えられる。
また、表4より、本発明の製造法のメリットを充分に活かし、高容量な電池を得るためには、結着材量を活物質100重量部当り0.2〜1.4重量部とすることが望ましく、0.2〜1.1重量部とすることが更に望ましいことがわかる。
《実施例4》
以下の変更点以外、実施例3と同様にして、正極用電極板を作製した。
ここでは、正極用電極板の作製工程の二次混練において、実施例3の電池3と同じく、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用いた。
正極用電極板の作製工程の一次混練では、活物質100重量部あたり、3.0重量部、2.5重量部、2.2重量部、2.0重量部、1.0重量部または0.8重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、それぞれ電極板6、電極板7、電極板8、電極板9、電極板10または電極板11を得た。
次いで、得られた電極板6、電極板7、電極板8、電極板9、電極板10または電極板11を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池である電池6、電池7、電池8、電池9、電池10または電池11を作製した。
(評価5)
次に、得られた電池6〜11に関し、(評価2)と同様の方法で、[200サイクル後の容量維持率]について評価した。また、電池保存時のガス発生量を以下の要領で評価した。結果を表5に記す。
[保存時ガス発生量]
完成した電池について、(評価2)の充放電条件Xと同じ条件で慣らし充放電を2回行った。
慣らし充放電を終了した電池は、45℃環境で7日間、充電状態で保存した。充電は(評価2)の充電条件Yと同じ条件で行った。
続いて、さらに電池を60℃環境で20日間保存した。その後、電池内に発生したガス量を、ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
Figure 2006024550
以下、表5の評価結果について記す。
導電材量が活物質100重量部当り3.0重量部の場合(電池6)、60℃保存時のガス発生量が比較的顕著に増加した。これは、結着材量を活物質100重量部当り0.8重量部に減量したことにより、導電材と非水電解液との反応面積が増加したためと考えられる。
導電材量が活物質100重量部当り0.8重量部の場合(電池11)、200サイクル後の容量維持率が比較的顕著に低下した。これは、充放電に伴う正極の膨張および収縮により、導電材による導電ネットワーク構造が部分的に破断され、正極の電子伝導性が大幅に低下したためと考えられる。
導電材量が活物質100重量部当り1重量部以上2.5重量部以下である場合(電池7〜10)、200サイクル後の容量維持率はいずれも良好であり、ガス発生量も少量であった。このことから、導電材量が活物質100重量部当り1重量部以上であれば、導電ネットワーク構造が部分的に破断されても、正極は良好な電子伝導性を維持できることがわかる。また、導電材量が活物質100重量部当り2.5重量部以下、好ましくは2.2重量部以下であれば、高温保存時の電池内におけるガス発生を極めて効果的に抑制できることがわかる。
《実施例5》
以下の変更点以外、実施例4と同様にして、正極用電極板を作製した。
正極用電極板の作製工程の一次混練において、実施例4の電池7と同じく、活物質100重量部あたり、2.5重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、二次混練において、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部、1.4重量部または2.0重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用い、それぞれ電極板12、電極板13、電極板14、電極板15または電極板16を得た。
正極用電極板の作製工程の一次混練において、実施例4の電池10と同じく、活物質100重量部あたり、1.0重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、二次混練において、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部、1.4重量部または2.0重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用い、それぞれ電極板17、電極板18、電極板19、電極板20または電極板21を得た。
正極用電極板の作製工程の一次混練において、実施例4の電池9と同じく、活物質100重量部あたり、2.0重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、二次混練において、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部、1.4重量部または2.0重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用い、それぞれ電極板22、電極板23、電極板24、電極板25または電極板26を得た。
次いで、得られた電極板12〜26を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池である電池12〜26を作製した。
(評価6)
得られた電極板12〜26に関し、(評価3)と同様の方法で[正極合剤の脱落]について評価した。また、得られた電池12〜26に関し、(評価2)と同様の方法で[200サイクル後の容量維持率]、(評価5)と同様の方法で[保存時ガス発生量]について評価した。結果を表6に記す。
Figure 2006024550
以下、表6の評価結果について記す。
まず、導電材量が少ない場合には、200サイクル後の容量維持率は低下するが、保存ガス量は減少する傾向が見られた。一方、結着材量が少ない場合には、200サイクル後の容量維持率は向上するが、保存ガス量は増加する傾向が見られた。
結着材量が活物質100重量部当り0.1重量部の場合、導電材量にかかわらず、正極合剤の集電体からの脱落が見られ、特に導電材量が活物質100重量部当り2.5重量部の場合には、ガス発生量が顕著に増加した。
一方、結着材量が活物質100重量部当り2.0重量部の場合、200サイクル後の容量維持率が大幅に低下した。これは、不導体である結着材の増量により、正極の電子伝導性が大幅に低下したためと考えられる。
以上より、電池の高容量化と容量維持率とガス発生量とのバランスを考慮した場合、結着材量は活物質100重量部当り0.2〜1.4重量部とし、導電材量は活物質100重量部当り1〜2.5重量部とすることが要求されることがわかる。
《実施例6》
以下の変更点以外、実施例5と同様にして、正極用電極板を作製した。
正極用電極板の作製工程の一次混練において、実施例5の電池14と同じく、活物質100重量部あたり、2.5重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、二次混練において、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用い、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部または1.0重量部のCMCを結着材として用い、それぞれ電極板27、電極板28、電極板29または電極板30を得た。
正極用電極板の作製工程の一次混練において、実施例5の電池19と同じく、活物質100重量部あたり、1.0重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、二次混練において、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用い、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部または1.0重量部のCMCを結着材として用い、それぞれ電極板31、電極板32、電極板33または電極板34を得た。
正極用電極板の作製工程の一次混練において、実施例5の電池24と同じく、活物質100重量部あたり、2.0重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、二次混練において、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用い、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部または1.0重量部のCMCを結着材として用い、それぞれ電極板35、電極板36、電極板37または電極板38を得た。
《比較例3》
活物質100重量部あたり、2重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用いたこと以外、比較例1と同様にして、電極板39を作製した。
《比較例4》
活物質100重量部あたり、2重量部のアセチレンブラック(AB)を導電材として用い、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用いたこと以外、比較例2と同様にして、電極板40を作製した。
次いで、得られた電極板27〜40を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池である電池27〜40を作製した。
(評価7)
得られた電極板27〜40に関し、(評価3)と同様の方法で[正極合剤の脱落]について評価した。また、得られた電池27〜40に関し、(評価2)と同様の方法で[200サイクル後の容量維持率]、(評価5)と同様の方法で[保存時ガス発生量]について評価した。結果を表7に記す。
Figure 2006024550
以下、表7の評価結果について記す。
増粘剤量が少ない場合、200サイクル後の容量維持率が低下したり、保存ガス量が増加したりする傾向が見られた。一方、増粘剤量が多い場合、保存ガス量は減少するが、200サイクル後の容量維持率が、増粘剤量が少ない場合と同様に、低下する傾向が見られた。
増粘剤量が少ない場合、200サイクル後の容量維持率が低下するのは、界面活性剤の機能を有する増粘剤量が少ないため、導電剤が十分に分散されず、効率的な導電ネットワーク構造を形成できないためと考えられる。また、保存ガス量が増加するのは、導電剤に吸着している増粘剤量が減少することにより、相対的に電池内の導電材と非水電解液との接触面積が増大するためと考えられる。
増粘剤量が多い場合、保存ガス量は減少するのは、相対的に電池内の導電材と非水電解液との接触面積が減少するためと考えられる。しかし、不導体である結着材の増量により、正極の電子伝導性が低下するため、200サイクル後の容量維持率が低下したものと考えられる。
以上より、電池の高容量化と容量維持率とガス発生量とのバランスを考慮した場合、増粘剤量は活物質100重量部当り0.2〜0.8重量部とし、導電材量は活物質100重量部当り1〜2.5重量部とすることが要求されることがわかる。
《実施例7》
以下の変更点以外、実施例3の電池3と同様に、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用いて、正極用電極板を作製した。
ここでは、増粘剤の種類を変化させた。すなわち、25℃における1重量%水溶液の粘度が2.5Pa・s、6.0Pa・s、10.0Pa・s、18.0Pa・sまたは22.0Pa・sであるCMCを、活物質100重量部あたり0.4重量部用いて、それぞれ電極板41、電極板42、電極板43、電極板44または電極板45を得た。
次いで、得られた電極板41〜45を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池である電池41〜45を作製した。
(評価8)
得られた電極板41〜45および実施例3の電極板3に関し、(評価1)と同様の方法で[合剤重量のバラツキ]について評価した。また、得られた電池41〜45および実施例3の電池3に関し、(評価2)と同様の方法で[電池容量のバラツキ]および[200サイクル後の容量維持率]を評価した。結果を表8に記す。
Figure 2006024550
以下、表8の評価結果について記す。
1重量%水溶液の粘度が1.7Pa・sである増粘剤を用いた場合、増粘剤の粘性が比較的低いため、集電体への合剤塗料の塗りむらがある程度生じた。従って、電池容量のバラツキが実施例の電池よりも比較的大きくなり、200サイクル後の容量維持率は比較的低くなった。
1重量%水溶液の粘度が22.0Pa・sである増粘剤を用いた場合、増粘剤の粘性が高すぎるため、集電体への合剤塗料の塗りむらが生じた。従って、電池容量のバラツキは大きく、200サイクル後の容量維持率は低くなった。合剤塗料の塗りむらの大きい電池45の電極板を正極に用いた場合、負極が受ける負荷が局所的に大きくなるため、負極活物質が受け入れられなかったリチウムイオンがリチウム金属として析出しやすくなる。そのため、電池45では200サイクル後の容量維持率が大きく低下したものと推察される。
1重量%水溶液の粘度が2.5〜18Pa・sである増粘剤を用いた電池41〜44では、集電体へ塗布された合剤重量のバラツキや電池容量のバラツキが小さく、200サイクル後の容量維持率も非常に優れている。特に、1重量%水溶液の粘度が2.5〜10Pa・sである増粘剤を用いた電池41〜43では、集電体へ塗布された合剤重量のバラツキや電池容量のバラツキが、極めて小さくなっている。なお、CMC水溶液の粘度があまり高くなると、CMCの粘性が塗料の分散性に寄与するよりも、単に塗料の粘り気の上昇に寄与する傾向が強くなる。そのため、集電体に塗布された合剤重量のバラツキ等が若干大きくなったものと考えられる。
《実施例8》
以下の変更点以外、実施例3の電池3と同様に、活物質100重量部あたり、0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として用いて、正極用電極板を作製した。
ここでは、活物質の比表面積を変化させた。すなわち、BET法で測定される比表面積が0.8m/g、0.5m/g、0.2m/gまたは0.1m/gであるコバルト酸リチウムを用いて、それぞれ電極板46、電極板47、電極板48または電極板49を得た。
なお、比表面積の異なるコバルト酸リチウムは、その原料の一つである四酸化三コバルトの比表面積を変化させたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。
次いで、得られた電極板46〜49を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池である電池46〜49を作製した。
(評価9)
得られた電池46〜49および実施例3の電池3に関し、(評価2)と同様の方法で[200サイクル後の容量維持率]を評価した。また、得られた電池46〜49および電池3の過充電時の安全性と高率放電特性とを、以下に示す方法で比較評価した。結果を表9に記す。
[過充電時の安全性]
完成した電池の良品について、(評価2)の充放電条件Xと同じ条件で慣らし充放電を2回行った。
慣らし充放電を終了した電池は、45℃環境で7日間、充電状態で保存した。充電は(評価2)の充電条件Yと同じ条件で行った。
次に、保存後の電池を400mAの定電流で電池電圧が3Vになるまで放電し、次いで2000mAの定電流で充電し、電槽缶(電池ケース)の温度が90℃を示した時点で充電を停止した。そして、充電停止後の電池温度を観測し、最高到達温度を測定した。
[高率放電特性]
(2C/0.2C容量比)
完成した電池の良品について、(評価2)の充放電条件Xと同じ条件で慣らし充放電を2回行った。
慣らし充放電を終了した電池は、45℃環境で7日間、充電状態で保存した。充電は(評価2)の充電条件Yと同じ条件で行った。
その後、保存後の電池を25℃で、以下の充放電条件Vで充放電させ、0.2C放電における放電容量を求めた。
〈充放電条件V〉
定電流充電:1400mA
充電終止電圧:4.2V
定電圧充電:4.2V
充電終止電流:100mA
定電流放電:400mA
放電終止電圧:3V
続いて、同じ電池を25℃で、以下の充放電条件Wで充放電させ、2C放電における放電容量を求めた。
〈充放電条件W〉
定電流充電:1400mA
充電終止電圧:4.2V
定電圧充電:4.2V
充電終止電流:100mA
定電流放電:4000mA
放電終止電圧:3V
得られた0.2C放電における放電容量に対する、2C放電における放電容量の割合(2C/0.2C容量比)を百分率で求めた。
Figure 2006024550
以下、表9の評価結果について記す。
BET法で測定される正極活物質の比表面積が0.1m/gである場合、正極活物質の反応面積が小さいため、200サイクル後の容量維持率が若干低下した。また、過充電時の電池の安全性は申し分ないものの、高率放電特性の指標となる2C/0.2C容量比は、比較的大きく低下した。
また、BET法で測定される比表面積が0.8m/gを超える場合、実用上問題のないレベルではあるが、過充電時の電池の最高到達温度が120℃を上回った。なお、比表面積が1.4m/gの場合、2C/0.2C容量比は非常に優れていたが、比表面積が0.8m/gに比べて優位性は無かった。
以上の結果から明らかなように、過充電時の電池の高度な安全性を維持しつつ、サイクル寿命と高率放電特性との良好なバランスを得るためには、BET法で測定される正極活物質の比表面積は0.2〜0.8m/gである望まれる。
《実施例9》
以下の変更点以外、実施例1と同様にして、正極用電極板を作製した。
本実施例では、正極用電極板の作製工程の二次混練において、活物質100重量部あたり2.4重量部のPTFE−HFPを結着材として用いる代わりに、活物質100重量部あたり、0.1重量部、0.2重量部、0.8重量部、1.1重量部、1.4重量部または2.0重量部の2−EHA−AA−ANを用い、それぞれ電極板50、電極板51、電極板52、電極板53、電極板54または電極板55を得た。ここでは全ての電極板の合剤層の空隙率を22%に制御した。
2−EHA−AA−ANは水に微粒子状態で安定に分散された状態で用いた。水分散液中の2−EHA−AA−ANの含有率は40重量%であった。
次いで、得られた電極板50、51、52、53、54または55を用いて、実施例1と同様にして、それぞれリチウムイオン二次電池50、51、52、53、54または55を作製した。
(評価10)
得られた電極板50〜55および電池50〜55に関し、(評価3)と同様に、[正極合剤の脱落]について評価し、(評価4)と同様に、[電池容量]について評価した。結果を表10に記す。
Figure 2006024550
以下、表10の評価結果について記す。
結着材量が活物質100重量部当り0.1重量部の場合(電池50)、幾つかの電極板で正極合剤の集電体からの脱落が見られた。また、結着材量が活物質100重量部当り2重量部の場合(電池55)、電池容量に比較的顕著な低下が見られた。電池容量の低下が比較的顕著となるのは、正極合剤に占める活物質の割合が低下する(設計容量が低下する)とともに、電池反応に対する抵抗成分が増加して、放電容量の低下を助長したためと考えられる。一方、電池51〜54の電極板では、いずれも正極合剤の集電体からの脱落はほとんど見られず、電池容量も高容量であった。結着材量が活物質100重量部当り1.4重量部の場合(電池54)には、電池A〜Dに比べると電池容量が小さくなったが、それでも従来に比べれば十分に高い容量が得られていると考えられる。
《実施例10》
正極合剤層の空隙率を22%にして、実施例3の電池3と同じリチウムイオン二次電池である電池56を作製した。すなわち、電池56の正極合剤層は、活物質100重量部あたり0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として含んでいる。なお、電池56(すなわち電池3)の電極群の最外周に位置する正極集電体の両面には、合剤層が担持されている。
電極群の最外周に位置する正極集電体の両面を合剤層を担持しない露出部としたこと以外、電池3と同じく正極合剤層の空隙率が22%のリチウムイオン二次電池である電池57を作製した。すなわち、電池57の正極合剤層は、活物質100重量部あたり0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として含んでいる。なお、裏表両面に合剤層を担持しない正極集電体の露出部を形成するために、集電体への合剤塗料の塗布はダイコートを用いて間欠的に行った。
(評価11)
得られた電池56および57を以下に示す方法で比較評価した。結果を表11に記す。
[釘刺し試験]
完成した電池について、(評価2)の充放電条件Xと同じ条件で慣らし充放電を2回行った。
慣らし充放電を終了した電池は、(評価2)の充電条件Yと同じ条件で充電した後、45℃環境で7日間、充電状態で保存した。次いで保存後の電池を400mAの定電流で電池電圧が3Vになるまで放電した。
次に、保存後の電池を以下の条件(充電条件V)で充電した。
〈充電条件V〉
定電流充電:1400mA
充電終止電圧:4.25V
定電圧充電:4.25V
充電終止電流:100mA
充電後の電池に対して、その側面から、2.5mm径の鉄製丸釘を、20℃環境下で、5mm/秒の速度で貫通させ、そのときの発熱状態を観測した。電池の貫通箇所における最高到達温度を表11中に示す。
Figure 2006024550
以下、表11の評価結果について記す。
電極群最外周に位置する正極集電体が合剤層を担持する場合、釘刺し試験では比較的顕著な発熱が認められた(電池56)。釘刺しにより正極と負極とが接触すると、短絡反応が起こる。電池56の電極群の最外周には、比較的抵抗の高い正極合剤層が存在するため、発熱が徐々に進行するものと考えられる。電池56の発熱状態は、実用上は問題ないレベルであるが、より高い安全性を追求する観点からは、さらに低い発熱レベルが望まれる。
電極群最外周に位置する正極集電体に、裏表に合剤層を担持しない集電体の露出部を設けた場合、釘刺しによる発熱が大幅に抑制された(電池57)。これは、釘が抵抗の低い正極集電体(アルミニウム)と直接的に接触できるため、比較的瞬時に電圧低下が起こり、短絡反応を完了させることができたためと考えられる。
以上のように、短絡に対する高度な安全性を追求する観点からは、電極群最外周に位置する正極集電体に、裏表に合剤層を担持しない集電体の露出部を設けることが望まれる。本発明によれば、このような構成を有する電池の生産性を飛躍的に高めることができる。
《実施例11》
乾燥塗膜を圧延する際の圧力を制御して、正極合剤層の空隙率を15%、18%、25%、28%または31%にしたこと以外、実施例10の電池57の電極板(電極板57)と同じ電極板58、電極板59、電極板60、電極板61または電極板62を作製した。すなわち、これらの電極板の正極合剤層は、活物質100重量部あたり0.8重量部の2−EHA−AA−ANを結着材として含んでいる。
次いで、電極板58、59、60、61または62を用いたこと以外、実施例10の電池57と同じリチウムイオン二次電池である電池58、59、60、61または62を作製した。すなわち、これらの電池の電極群の最外周に位置する正極集電体には、両面に合剤層を担持しない露出部が設けられている。
(評価12)
電極板57〜62および電池57〜62に関し、(評価11)と同様に[釘刺し試験]について評価し、(評価2)と同様に[200サイクル後の容量維持率]について評価し、さらに以下に示す方法で評価した。結果を表12に記す。
[非水電解液の注液性]
電槽缶内に挿入された電極群に、非水電解液を5回に分割して含浸させた。各回における非水電解液の注液量と減圧条件とを以下に示す。
(a)1回目〜3回目
1.1gの非水電解液を電槽缶内に注液後、電槽缶内を10kPaまで減圧し、そのまま1分間放置後、大気圧に開放した。
(b)4回目
1.1gの非水電解液を電槽缶内に注液後、電槽缶内を10kPaまで減圧し、そのまま3分間放置後、大気圧に開放した。
(c)5回目
1.1gの非水電解液を電槽缶内に注液後、電槽缶内を10kPaまで減圧し、そのまま3分間放置後、大気圧に開放した。続いて、再度、電槽缶内を10kPaまで減圧し、そのまま3分間放置後、大気圧に開放した。
5回の電解液の注入工程を終了後、電極群の上部に滞留した電解液が電極群内部に完全に浸透するまでの時間を測定した。
[集電体上の合剤層と露出部との境界の状態]
所定の空隙率が達成されるまで圧延された正極合剤層と正極集電体の露出部との境界において、集電体の部分的破断の有無を目視で観察した。
Figure 2006024550
以下、表12の評価結果について記す。
まず、正極合剤層の空隙率が15%の場合(電池58)、電解液が電極群に完全に浸透するまでに、かなりの長時間を要した。合剤層の空隙率が15%では、合剤層中の細孔が少な過ぎるため、正極内部に吸入されるべき電解液が滞留してしまい、電極群内部の空気が外部に抜けにくくなり、電解液の注液性が低下したものと考えられる。
また、正極合剤層の空隙率が15%の場合、集電体上の合剤層と露出部との境界において、集電体の部分的破断が観察された。柔軟性に富む合剤層を形成する場合でも、合剤層の空隙率を小さくしすぎると、乾燥塗膜の圧延時に、集電体上の合剤層と露出部との境界に過剰の応力がかかるものと考えられる。
さらに、正極合剤層の空隙率が15%の場合、釘刺し試験では、最高到達温度が比較的高くなった。これは、充電時に極板の膨張等が起こり、電極群内部に応力が発生し、集電体上の合剤層と露出部との境界が破断し、集電体露出部が安全機構として機能しなかったためと考えられる。
次に、正極合剤層の空隙率が31%の場合(電池62)、実用上は申し分のないレベルであるが、電池のサイクル寿命特性が若干低下する傾向が見られた。これは、合剤層内に過剰な空隙が確保されているため、導電材を介した導電ネットワークが緩んで不十分となり、電池反応が経時的に減少するためと考えられる。
一方、正極合剤層の空隙率が18〜28%の場合(電池59〜61)、いずれの評価においても良好な結果が得られた。表12の結果より、電池の内部短絡に対する安全性、サイクル寿命および生産性ならびに電池容量のバランスを考慮する場合、正極合剤層の空隙率を18〜28%に制御することが望まれ、18〜25%に制御することが好ましいことがわかる。
本発明は、電池容量のバラツキが少なく、サイクル寿命に優れた非水系二次電池を得る場合に好適である。本発明の好ましい態様によれば、電池の更なる高容量化、ガス発生の抑制、安全性の向上などを実現することもできる。本発明は、特にリチウムイオン二次電池のようなポータブル電子機器用の高容量の非水系二次電池において有用である。
本発明に係る正極合剤塗料の調製工程を示すフローチャートである。 比較例1に係る正極合剤塗料の調製工程を示すフローチャートである。 比較例2に係る正極合剤塗料の調製工程を示すフローチャートである。

Claims (26)

  1. 非水系二次電池の正極用電極板の製造法であって、
    活物質A、導電材B、結着材Cおよび増粘剤Dを含む合剤と、増粘剤Dを溶解する液状成分Eとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなり、液状成分Eが少なくとも水からなる合剤塗料を調製する工程aと、
    前記合剤塗料を集電体上に塗布する工程bとを有し、
    前記合剤塗料を調製する工程aが、
    活物質A、導電材Bおよび粉末状態の増粘剤Dを含む配合物を、液状成分Eとともに混練して、一次混練物を得る一次混練工程と、
    前記一次混練物を、結着材Cおよび追加の液状成分とともに混練して、二次混練物を得る二次混練工程とを有する製造法。
  2. 前記二次混練工程において、結着材Cを、前記追加の液状成分に分散させた状態で、前記一次混練物に添加する、請求項1記載の製造法。
  3. 前記二次混練工程において、少なくとも前記追加の液状成分を、複数回に分割して前記一次混練物に添加する、請求項1記載の製造法。
  4. 前記追加の液状成分が、液状成分Eからなる、請求項1記載の製造法。
  5. 結着材Cが、少なくともアクリロニトリル単位を有するゴム粒子からなる、請求項1記載の製造法。
  6. BET法で測定される活物質Aの比表面積が、0.2〜0.8m/gである、請求項1記載の製造法。
  7. 前記合剤に含まれる導電材Bの量が、100重量部の活物質Aに対し、1〜2.5重量部である、請求項1記載の製造法。
  8. 前記合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である、請求項1記載の製造法。
  9. 前記合剤に含まれる増粘材Dの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜0.8重量部である、請求項1記載の製造法。
  10. 増粘剤Dの1重量%水溶液の粘度が、25℃で2.5〜18Pa・sである、請求項1記載の製造法。
  11. 前記合剤に含まれる導電材Bの量が、100重量部の活物質Aに対し、1〜2.5重量部であり、前記合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である、請求項1記載の製造法。
  12. 前記合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部であり、増粘剤Dの1重量%水溶液の粘度が、25℃で2.5〜18Pa・sである、請求項1記載の製造法。
  13. 増粘剤Dが、少なくともカルボキシメチルセルロースからなる、請求項10記載の製造法。
  14. BET法で測定される活物質Aの比表面積が、0.2〜0.8m/gであり、前記合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である、請求項1記載の製造法。
  15. 活物質Aが、少なくとも遷移金属とリチウムとの複合酸化物からなる、請求項6記載の製造法。
  16. さらに、前記集電体上に塗布された合剤塗料を乾燥させ、乾燥塗膜から、空隙の占める体積割合が18〜28%の合剤層を得る工程cを有し、前記合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である、請求項1記載の製造法。
  17. 前記工程cが、前記乾燥塗膜をプレスする工程を含む、請求項16記載の製造法。
  18. 前記集電体において、裏表両面に前記合剤層を担持せず、かつ、リードが接続されない露出部を、少なくとも1箇所形成する、請求項16記載の製造法。
  19. 活物質Aと、導電材Bと、結着材Cと、増粘剤Dとを含み、導電材Bが少なくとも炭素材料からなり、増粘剤Dが少なくとも水溶性高分子からなる合剤層、および前記合剤層を担持する集電体を具備する非水系二次電池の正極用電極板であって、
    前記合剤層に含まれる導電材Bの量が、100重量部の活物質Aに対し、1〜2.5重量部であり、
    前記合剤層に含まれる増粘材Dの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜0.8重量部である正極用電極板。
  20. BET法で測定される活物質Aの比表面積が、0.2〜0.8m/gである、請求項19記載の正極用電極板。
  21. 前記合剤に含まれる結着材Cの量が、100重量部の活物質Aに対し、0.2〜1.4重量部である、請求項19記載の正極用電極板。
  22. 結着材Cが、少なくともアクリロニトリル単位を有するゴム粒子からなる、請求項19記載の正極用電極板。
  23. 増粘剤Dが、少なくともカルボキシメチルセルロースからなる、請求項19記載の正極用電極板。
  24. 増粘剤Dの1重量%水溶液の粘度が、25℃で2.5〜18Pa・sである、請求項19記載の正極用電極板。
  25. 前記合剤層に占める空隙の体積割合が18〜28%である、請求項19記載の正極用電極板。
  26. 前記集電体は、裏表両面に前記合剤層を担持せず、かつ、リードが接続されない露出部を少なくとも1箇所有する、請求項25記載の正極用電極板。
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