JP2006016599A - 重合性液晶組成物及び光学異方体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 1)フッ素基を有する側鎖と一般式(h)で表される基を有する側鎖を有し、
【化1】
(h)
(式中、nは0又は1の整数を表わし、Y1及びY2はそれぞれ独立して、単結合、−CH2CH2−等を表わし、Y3は水素原子、アルキル基等を表わす。)
2)フッ素基含有率が3〜30質量%であり、3)一般式(h)で表される基を有する側鎖の全側鎖に対する割合が9〜95モル%であり、4)質量平均分子量が10000〜300000である(メタ)アクリル共重合体(H)を、0.1〜6.0質量%含有する重合性液晶組成物、及び、該重合性液晶組成物を配向機能を有する基板上に塗布し、配向させた状態で重合させて得られる光学異方体を提供する。
【選択図】 なし
Description
また、最近では、従来のバッチ製造と比較して大幅な製造効率向上を目的とした、塗工プロセスを導入したロールツウロール(Roll to Roll)法等の液晶表示装置の製造方法の開発が進んでいる。ロールツロール用途の光学補償シートは、塗工法で作製でき、且つ、得られたシートに他の部材が積層されることを前提として設計される。
前記化合物の疎水性基は液晶分子と相溶しにくいので、空気との界面に偏在しようとする。一方、前記化合物の排除体積効果を有する基は液晶分子と相溶するので、液晶層に入り込もうとする。疎水性基と排除体積効果を有する基との組み合わせにより、空気界面側での液晶性分子の傾斜角を、液晶性分子の種類に限定されることなく、任意に制御できる。従ってより配向に優れた光学異方体を得ることができる。
しかし、該公報に記載された界面活性材料では、表面付近の配向欠陥を完全に改善することができなかった。
1)フッ素基を有する側鎖と一般式(h)で表される基を有する側鎖を有し、
2)フッ素基含有率が3〜30質量%であり
3)一般式(h)で表される基を有する側鎖の全側鎖に対する割合が9〜95モル%であり、
4)質量平均分子量が10000〜300000である
(メタ)アクリル共重合体(H)を
0.1〜6.0質量%含有する重合性液晶組成物を提供する。
本発明で使用する(メタ)アクリル共重合体(H)(以下、アクリル共重合体Hと略す)において、フッ素基を有する側鎖とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基(但し、該基中に存在するメチレン基は、場合によりそれぞれ相互に独立して、−SO2NZ2−又は−CONZ2−で置き換えられていても良い。Z2はアルキル基を表す。またフッ化アルキル基は、ヒドロキシ基、等の置換基を有していても良い)を有する側鎖を表す。フッ化アルキル基が有するフッ素原子の数は、5〜35が好ましく、13〜25が特に好ましい。具体的には、−(CH2)p−(CqHsF2q-s+1)、−(CH2)p−NG−SO2−(CF2)q−CF3、−(CH2)p−NG−CO−(CF2)q−CF3(式中、p、qはそれぞれ独立して1〜17(但し、p+qは2以上17以下を満たす。)の整数を表す。sは0〜9の整数を表す。Gは炭素原子数1〜8のアルキル基又は水素を表す。また各々のメチレン基に結合する水素は、水酸基で置換されていてもよい)等のフッ化アルキル基が好ましい。中でも、pは1〜4でqは2〜16であることが好ましく、pは2〜3でqは5〜16であることがさらに好ましい。qが6〜11であると最も好ましい。
該フッ素を有する側鎖は、エステル結合等を介してアクリル共重合体主鎖に連結している。
本発明で使用するアクリル共重合体Hにおいて、一般式(h)で表される基を有する側鎖は、エステル結合等を介してアクリル共重合体主鎖に連結している。
該基(h)は、単独で配向性を有し、あるいは他の基との相乗効果で配向性を有する性質をもつ。
Y3は中でも、水素原子、フッ素、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基が好ましい。基板面に対して垂直な方向から見たときの光学異方性の大きい光学異方体を得たい場合にはY3として水素原子を選択するのが好ましく、光学異方性の小さい光学異方体を得たい場合は、Y3としてアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を選択するのが好ましい。
前記フッ素基を有するモノ(メタ)アクリレートは、中でも、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基(但し、該基中に存在するメチレン基は、場合によりそれぞれ相互に独立して、−SO2NZ2−又は−CONZ2−で置き換えられていても良い。Z2はアルキル基を表す。またフッ化アルキル基は、ヒドロキシ基、等の置換基を有していても良い)を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。フッ化アルキル基が有するフッ素原子の数は、5〜35が好ましく、13〜25が特に好ましい。具体的には、−(CH2)p−(CqHsF2q-s+1)、−(CH2)p−NG−SO2−(CF2)q−CF3、−(CH2)p−NG−CO−(CF2)q−CF3(式中、p、qはそれぞれ独立して1〜17(但し、p+qは2以上17以下を満たす。)の整数を表す。sは0〜9の整数を表す。Gは炭素原子数1〜8のアルキル基又は水素を表す。また各々のメチレン基に結合する水素は、水酸基で置換されていてもよい)等のフッ化アルキル基が好ましい。中でも、pは1〜4でqは2〜16であることが好ましく、pは2〜3でqは5〜16であることがさらに好ましい。qが6〜11であると最も好ましい。
フッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートは、具体的には、一般式(4)で表される化合物が好ましい。
以下に、本発明で使用するフッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートの具体例を挙げる。
(n=5-11, nの平均=9)
CF3(CF2)7CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)4OCOCH=CH2
CF3(CF2)6COOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C4H9)(CH2)4OCOCH=CH2
CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5CON(C3H7)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7CON(C2H5)CH2CH2OCOCH=CH2
前記基(h)を有するモノ(メタ)アクリレートは、一般式(1)で表される化合物であることが望ましい。
Y3が炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基であると、基(h)の配向力は強まり、液晶化合物に対し配向規制力も有するようになる。一方、Y3が水素原子であると、基(h)の配向力は弱くなり、液晶化合物に対する配向規制力を有さない傾向にある。
一方、Rで表されるスペーサの長さが短すぎると、基(h)の運動性が低下して(メタ)アクリル共重合体H自体の結晶性が高くなり、自己配向能力が強くなる傾向にある。また長すぎるとスペーサ自体の結晶性が増大し、やはり自己配向能力が強くなる傾向にある。
前記配向性の弱い基(h)を有するアクリル共重合体Hは、アクリル共重合体Hを除いた重合性液晶組成物と混合あるいは接触することにより、該重合性液晶組成物の液体−液晶転移温度を低下させる。
(以下、本発明の重合性液晶組成物からアクリル共重合体Hを除いた組成物を、「重合性液晶組成物b」とする。)
アクリル共重合体Hは、重合性液晶組成物中では空気界面付近に偏在するように設計されている(後述)。従って、本発明のアクリル共重合体Hを含有する重合性液晶組成物は、空気界面付近の液体−液晶転移温度が低下し、空気界面からの配向規制力より基板面からの配向規制力が有効に働くことにより、基板側の配向規制力がさらに効果的に界面付近まできちんと伝播した光学異性体を得ることができるようになり、配向欠陥に対してよい効果を生みだしていると考えられる。
このような組み合わせは、基板側の配向規制力が空気界面付近まできちんと伝播した、配向欠陥のない光学異方体を得るうえでなお好ましい。この組み合わせは、特に基板側の配向規制力が略水平配向の場合に特に好ましく用いられ、基板面に対して垂直な方向から見たときの光学的異方性の大きい光学異方体を得ることができる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。重合に際しては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、酢酸エチル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、ジグリム、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル等のアルコ−ル系あるいはエ−テル系溶剤を用いることができる。一般式(h)で表される基を有するモノ(メタ)アクリレートと、フッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートを溶剤に溶解し,脱気あるいは窒素置換などの処置を行い,重合反応が進行しやすくすることが好ましい。
Mwが10000未満では、本発明の課題である配向欠陥を改善させる力が弱く、特に配向性が悪い傾向がある。また、低分子量のため溶出しやすく他の部材を汚染するおそれもある。Mwが300000を越えると、粘度が高すぎてしまい取り扱いに不便を有することや、液晶層と完全に相分離してしまい本発明の効果を発揮できないおそれがある。
アクリル共重合体HのMwは、公知の方法、例えば、モノマーの対溶液濃度や重合開始剤の種類や濃度、溶媒の種類、反応条件等を適宜変化させることで制御可能であるので、目的に応じて条件を選択すればよい。例えば、溶媒として非プロトン溶媒を使用すると、比較的高分子量のアクリル共重合体Hが得られるし、プロトン溶媒を使用すると比較的低分子量のアクリル共重合体Hが得られる。
なお、ここでいうフッ素基含有率は、アクリル共重合体Hが有するフッ素原子の総量の質量%を表し、基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する割合とは、全モノマー単位に対する基(h)を有する側鎖のモル%を表す。
一方、前記アクリル共重合体Hのフッ素基含有率が3質量%よりも小さかったり、基(h)の含有率が95モル%よりも大きかったりする場合、基(h)が液晶層に相溶する力が強すぎてしまい、界面付近に偏在しようとする力が弱まり、液晶層中に混ざり込んでしまう傾向にある。これにより、液晶層の配向性を乱したり、転移点の変化などの影響を及ぼしたりするおそれがある。
フッ素基含有率は、原料であるフッ素基を有するモノ(メタ)アクリレートのフッ素基含有率及び共重合する際の配合量から計算する方法や、NMR等により測定することができる。
本発明の重合性液晶組成物は、アクリル共重合体H0.1〜6.0質量%と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基等の重合性基を有する液晶化合物を含有する。
本発明においては、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を示すことが必要であって、使用する各々の重合性液晶化合物の全てが液晶相を示す必要はない。本発明において使用することのできる重合性液晶化合物は、単独で液晶相を示す化合物は勿論のこと、単独では液晶相を示さないが、融点を低下させて液晶相が発現するものや、他の液晶相を示す化合物と混合したときに液晶相を示すもの、液晶を示す化合物と類似した構造を持っていて他の液晶相を示す化合物が形成する液晶相の安定性を著しく低下させないもの等を含む。
前記アクリル共重合体Hは、数種類を併用して使用することもできる。
しかし、添加量を増やしても表面に偏在するアクリル共重合体Hの量は増えないことから、過剰分は液晶層内部に入り込んでいき、6.0質量%を越える量では相分離や層内部の液晶配向性を乱してしまうものと考えられる。
具体的には、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社製の「CB−15」、「C−15」、メルク社製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」、キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」などを挙げることができる。
キラル化合物を添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物の重合体の用途によるが、得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量を添加することが好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
前記基板は、有機、無機を問わず、公知慣用の材質の基板を使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリイミド板、ポリアミド板、ポリメタクリル酸メチル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニル板、ポリテトラフルオロエチレン板、セルロース板、三酢酸セルロース板,ポリエーテルスルホン板、ポリシクロオレフィン板、シリコン板、ガラス板、方解石板等が挙げられる。基板の形状としては、平板の他、曲面を有するものであっても良い。これらの基板は、必要に応じて、電極層、反射防止機能、反射機能を有していてもよい。
例えば、インプレーンスイッチング(IPS)方式の液晶表示素子に使用するようなプレチルト角のごく小さな配向膜を基板上に設ければ、ほとんど水平に配向した重合性液晶層が得られる。
また、TN型液晶表示素子に使用するような配向膜を基板上に設けた場合は、少しだけ配向が傾斜した重合性液晶層が得られ、STN方式の液晶表示素子に使用するような配向膜を使うと、大きく配向が傾斜した重合性液晶層が得られる。
本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布する場合は、バーコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ダイコーティング、キャップコーティング、ディッピング法等の公知慣用のコーティング法を利用すればよい。このとき、塗工性を高めるために、本発明の重合性液晶組成物に公知慣用の有機溶媒を添加しても良い。この場合は、本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布後、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等で有機溶媒を除去する。
あるいは、本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布後、本発明の重合性液晶組成物のネマチック相が発現する温度範囲内で温度を一定時間保つような加熱処理を施しても良い。
このような熱処理をすることで、単に塗布するだけの塗工方法と比べて、配向欠陥の少ない均質な光学異方体を作製することができる。
また、このようにして均質な配向処理を行った後、液晶相が相分離を起こさない最低の温度、即ち過冷却状態となるまで冷却し、該温度において液晶相を配向させた状態で重合すると、より配向秩序が高く、透明性に優れる光学異方体を得ることができる。
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を保持できる温度とし、重合性液晶組成物の熱重合の誘起を避けるため、可能な限り30℃以下とすることが好ましい。尚、液晶組成物は、通常、昇温過程において、C(固相)−N(ネマチック)転移温度(以下、C−N転移温度と略す。)から、N−I転移温度範囲内で液晶相を示す。一方、降温過程においては、熱力学的に非平衡状態を取るため、C−N転移温度以下でも凝固せず液晶状態を保つ場合がある。この状態を過冷却状態という。本発明においては、過冷却状態にある液晶組成物も液晶相を保持している状態に含めるものとする。紫外線照射強度は、1W/m2〜10kW/m2の範囲が好ましい。特に、5W/m2〜2kW/m2の範囲が好ましい。紫外線強度が1W/m2未満の場合、重合を完了させるのに多大な時間がかかる。一方、2kW/m2を超える強度では、重合性液晶組成物中の液晶分子が光分解する傾向にあることや、重合熱が多く発生して重合中の温度が上昇し、重合性液晶のオーダーパラメーターが変化して、重合後のフィルムのリタデーションに狂いが生じる可能性がある。
(合成例1 基(h)を有するモノアクリレートA−1の合成)
17gの4−フェニルフェノール(0.1モル)をN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)120mLに溶解し、攪拌しながら、15.2gの炭酸カリウム粉末(0.11モル)を加え、90℃に加熱しながら1時間攪拌した。該混合物に、6−クロロ−1−ヘキサノール(14.3g,0.11モル)を滴下し、12時間攪拌しながら反応させた。ガスクロマトグラフィーで原料由来のピークが消失したのを確認した後、反応液を水で希釈し、析出した固体を濾取した。得られた固体をエタノールから再結晶し、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニルベンゼン23gを得た。(収率85%)
合成例1において、4−フェニルフェノールの代わりに4−シアノ−4−ヒドロキシビフェニルを使用した他は合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート (1−シアノ−4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)フェニル)ベンゼン 19.4gを得た。以下、(A−2)と略す。
合成例1において、4−フェニルフェノールの代わりに4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェノールを使用した他は合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート (1−ペンチル−4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)フェニル)トランスシクロヘキシル19.4gを得た。以下、(A−3)と略す。
合成例1において、6−クロロー1−ヘキサノールの代わりに12−ブロモ−1−ドデカノールを使用し、4−フェニルフェノールの代わりに4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェノールを使用した他は合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート(1−ペンチル−4−(12−アクリロイルオキシドデシルオキシ)フェニル)トランスシクロヘキシル25gを得た。以下、(A−4)と略す。
合成例1において、4−フェニルフェノールの代わりに4−シクロヘキシルフェノールを使用した他は合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート 4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)フェニルトランスシクロヘキシル15gを得た。以下、(A−5)と略す。
合成例1において、4−フェニルフェノールの代わりに4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノールを使用した他は合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート (1−プロピル−4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)フェニル)トランスシクロヘキシル15gを得た。以下、(A−6)と略す。
合成例1において、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニルベンゼンの代わりに4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノールを使用した他は合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート 4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニルアクリレート15gを得た。以下、(A−7)と略す。
合成例1において、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニルベンゼンの代わりに4−[(4−ペンチルフェニル)エチニル]フェノールを使用したほかは合成例1と同様にして、基(h)を有するモノアクリレート 4−[(4−ペンチルフェニル)エチニル]フェニルアクリレート15gを得た。以下、(A−8)と略す。
ガラス製重合管に,化合物(A−1)18gと、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート9.3g、及び2,2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.55gを秤取し,トルエン200mLを加えて溶解させた。この溶液に窒素気流を通じて酸素を取り除いた後,60℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し,濃縮液を1Lのメタノール中に滴下した。沈殿した固体をメタノールで良く洗浄し、Mw47000の、4−ヘキシルオキシビフェニル基及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基を有するアクリル共重合体(H−1)15gを得た。(基(h)である(4−ヘキシルオキシビフェニル基)のモル分率:77モル%,フッ素基含有率:20重量%)
以下、合成例H1と同様にして、アクリル共重合体(H−2)〜(H−22)を合成した。使用したモノマーの種類、仕込み量、得られた共重合体の分子量を表1−1、1−2に示す。
合成例H−1と同様にして、比較例用のアクリル共重合体(H−23)〜(H−26)を作成した。使用したモノマーの種類、仕込み量、得られた共重合体の分子量を表2に示す。また、アクリル共重合体(H−7)をGPCにより分取し、分子量が7,000の比較用アクリル共重合体(H−26)を得た。
比較例用の添加剤として、式Mで表される構造のフッ素系化合物を使用した。(添加剤(M)中のフッ素含有量は50質量%,基(h)の含有量は35質量%、分子量は644である)
式(a)〜(e)で表される化合物を使用し、重合性液晶組成物LC−1及びLC−2を調製した。
LC−1:(a):(b):(c):(d):(e)の配合比率は、質量比にして33:22:22:18:5である。
LC−2:(c):(d)の配合比率は、質量比にして50:50である。
下記式(S)で表されるアゾ化合物0.5gを、N−メチルピロリドン25gに加熱溶解し、この溶液にブチルセロソルブ(2−ブトキシエタノール)25gを加えた。これをポリフッ化ビニリデン製の孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。超音波洗浄を行った厚さ1mm、サイズが100mm×100mmの光学ガラス製ガラス板に前記アゾ化合物(S)溶液をスピンコートし(500回転/分で5秒後、2500回転/分で25秒)、100℃のホットプレート上で1分乾燥させた。
下記方法1〜3のいずれかの方法により、配向膜付きの光学異方体用基板を作成した。
室温で、該光学ガラス板に斜め45°から366nmの紫外線照射(紫外線強度は50mW/cm2、照射時間は100秒)を行った。
該光学ガラス板の真上から366nmの偏光紫外線照射(紫外線強度は20mW/cm2、照射時間は100秒)を行った。
該光学ガラス製ガラス板にポリイミドの配向膜(JSR社製 AL−1254)が形成されラビング処理が施された基板を用意した。
前記方法で作成した配向膜付きの光学異方体用基板上に、後述する実施例及び比較例で調整した重合性液晶組成物にアクリル共重合体Hを添加した組成物を下記方法4又は5の方法により作成した。
キャップコーター3(ヒラノテクシード社製塗工装置)を用いて、前記配向膜付きの光学異方体用基板上に塗布した。塗布方向は配向膜の配向規制方向と同じ方向にした。このときの塗布温度は25℃とした。塗布後、50℃で10分間空気下に静置して溶媒を蒸発させ、続いて25℃で5分間保つことによって配向した液晶層を得た。
スピンコーターを用いて前記配向膜付きの光学異方体用基板上に塗布後、50℃で1分間又は80℃で10分間空気下に静置して溶媒を蒸発させ、続いて25℃で5分間保つことによって配向した液晶層を得た。
配向性は、配向欠陥の有無、及び、リタデーションの値によって評価した。
(配向欠陥)
配向欠陥は、目視による白濁の有無、及び、互いに直交した偏光板の間に挟み、偏光顕微鏡でディスクリネーションライン、及び、配向の乱れを観察することによって行った。目視にてほぼ透明であり、且つディスクリネーションラインが観察されなかったものは優、目視にてほぼ透明であり、且つ、多少のディスクリネーションラインが観察されるものは良、目視にて白濁が観察され、且つ数多くのディスクリネーションラインが観察され配向性が良いとは言えないものは不良を記した。
配向欠陥が観察されない状態とは,配向欠陥が光学異方体全面に占める割合がおおむね5%以下になった状態とする。
リタデーションは中央精機(株)製「液晶特性評価装置(OMS−DI4RD)」を用いて測定した。リタデーション値が大きいほど、(面に対して垂直に見たときの)光学的異方性が大きい光学異方体であるといえる。
重合性液晶組成物LC−1、LC−2に、前記方法により合成したアクリル共重合体Hを20質量%添加し、液体―液晶転移温度を測定した。測定は、メトラー社製DSC822eを用いて、サンプルを一度液体状態まで加温し、10℃/minで降温しながら行った。
アクリル共重合体(H−1)を0.5部(この時、重合性液晶組成物LC−1 100gに対するアクリル共重合体(H−1)由来のフッ素基含有量は0.135質量部,基(h)含有量は0.167質量%である)、重合性液晶組成物LC−1を96部、チバスペシャリティケミカルズ(株)製の光重合開始剤「イルガキュア907」4部、キシレン100部を混合し、塗工用の組成物とした。これを使用し、方法1で作成した基板を用い、方法4に従い光学異方体を作成し配向性を評価した。アクリル共重合体(H−1)中のフッ素基含有率(質量%)、アクリル共重合体(H−1)中の基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する含有割合(モル%)、使用した重合性液晶の種類、光学異方体用基板・光学異方体の作製方法、及び評価結果を表3に示す。
この結果、配向性は優で、配向欠陥など見られなかった。またリタデーション値は175nmと大きい値を示し、光学的異方性の大きい光学異方体であることが確認できた。
また、LC−1にアクリル共重合体(H−1)を20%添加したときの液体―液晶転移温度は0.5℃低下した。これによっても、アクリル共重合体(H−1)を使用することで光学的異方性が大きい光学異方体が得られることが確認できる。
アクリル共重合体(H−1)を、アクリル共重合体(H−2)〜(H−22)に変更し、重合性液晶組成物LC−1あるいはLC−2を表記載の重合性液晶組成物とし、表記載の作成方法で光学異方体を作成し配向性を評価した。アクリル共重合体(H−2)〜(H−22)の添加量、アクリル共重合体H中のフッ素基含有率(質量%)、アクリル共重合体(H−1)中の基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する含有割合(モル%)、使用した重合性液晶の種類、光学異方体用基板・光学異方体の作製方法、及び評価結果を表3に示す。
一方、一般式(h)のY3としてアルキル基を有するモノマーA−6、A−8を原料としたアクリル共重合体(H−20)、(H−22)を使用した実施例23、25についても同様にレタデーション値及び液体−液晶転移温度の変化を測定した。その結果、両方とも転移温度が上がった。また、レタデーション値は1桁であり、光学的異方性の小さい光学異方体であることが確認できた。
アクリル共重合体(H−1)をアクリル共重合体(H−23)とした以外は、実施例1と同様にして塗工用の組成物とし光学異方体を作成した。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ、ディスクリネーションラインが観察された(配向欠陥:不良)。
アクリル共重合体(H−1)をアクリル共重合体(H−24)とした以外は、実施例1と同様にして塗工用の組成物とし光学異方体を作成した。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ、ディスクリネーションラインが観察された(配向欠陥:不良)。
アクリル共重合体(H−1)をアクリル共重合体(H−25)(フッ素含有率38質量%、一般式(h)で表される基を有する側鎖は50モル%)とした以外は、実施例1と同様にして塗工用の組成物とし光学異方体を作成した。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ、ディスクリネーションラインが観察された(配向欠陥:不良)。
アクリル共重合体(H−1)をアクリル共重合体(H−26)とした以外は、実施例12と同様にして塗工用の組成物とし光学異方体を作成した。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ、全体的に配向乱れが観察された(配向欠陥:不良)。
添加剤Mを、重合性液晶組成物LC−1 100gに対するアクリル共重合体(H−1)由来のフッ素基量が、実施例1と同じ0.135質量%となるように、0.21部加えた以外は、実施例1と同様にして光学異方体を作製した(このときの基(h)含有量は0.050質量%であった)。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ,ディスクリネーションラインが観察された(配向欠陥:不良)。
添加剤Mを、重合性液晶組成物LC−1 100gに対する(H−1)由来の基(h)の含有量が、実施例1と同じ0.167質量%となるように0.70部加えた以外は、実施例1と同様にして光学異方体を作製した(このときのフッ素基含有量は0.457質量%であった)。偏光顕微鏡観察による配向性評価より、ディスクリネーションラインが少なかったが(配向欠陥:良−不良)、液晶に添加剤Mが溶解したことによる光学異方体のリタデーションの減少が著しく、光学異方体としては使用に適さなかった。
アクリル共重合体(H−1)を添加しない以外は実施例1と同様にして、塗工用の組成物とし光学異方体を作成した。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ、ディスクリネーションラインが観察された(配向欠陥:不良)。
アクリル共重合体(H−1)の添加量を30質量%とした以外は実施例1と同様にして、塗工用の組成物とし光学異方体を作成した。偏光顕微鏡観察より配向性を評価したところ、配向性が不良であった。
実施例1と同様に、重合性液晶組成物LC−1を96部、チバスペシャリティケミカルズ(株)製の光重合開始剤「イルガキュア907」4部、キシレン100部を混合し、アクリル共重合体(H−1)を0〜30部添加したものを塗工用の組成物とした。これを用いて方法4に従い光学異方体を作製し、配向欠陥量を測定した。配向欠陥量は,配向欠陥から生じる光漏れの画素数の割合から評価した。
光学異方体をクロスニコル下に置き,偏光顕微鏡を用いてデジタルカメラ撮影を行った。画像解析ソフトを用いて撮影した画像のヒストグラム解析を行い,光漏れを起こしている画素数をカウントした。光漏れ画素が全画素に占める割合をもって配向欠陥量とした。割合が多いほど配向欠陥が多いことを示す。
結果を図3に示す。この結果、0.1〜4%の添加範囲内においては欠陥量が5%以下であった。
(実施例27)
光学異方体用基板の作成において、前記方法1で作成したアゾ化合物層(配向膜)を用いて、紫外線照射を行う前の基板を、水平回転機構を有するステージに固定し、ステージの回転目盛りを+10°に固定した状態で斜め45°から366nmの紫外線照射(紫外線強度は50mW/cm2、照射時間は100秒)を行い、一様な配向膜機能を有する基板を作製した。
続いて、上記配向機能付き基板の乗った水平回転機構付きステージを回転させ、目盛りが−10°になる状態で固定した。これに前記と同様の条件にてフォトマスクを用いて紫外線照射を行うことにより、パターン状に配向方向の異なる領域が分布している配向膜機能を有する基板を作製した。
実施例1で調製したアクリル共重合体(H−1)を含有する液晶組成物を、キャップコーター3(ヒラノテクシード社製塗工装置)を用いてパターン状に配向方向の異なる領域が分布している配向機能付き基板上に塗布した。塗布方向は配向膜の2つの配向規制方向の線対称線と同じ方向にした。このときの塗布温度は25℃とした。
塗布後、50℃で10分間、空気下で静置して溶媒を蒸発させ、続いて25℃で5分間保つことによって液晶分子を配向させた。配向の確認は、互いに直交した偏光板の間に挟み偏光顕微鏡で行った。更に、窒素雰囲気下で5分保った後、窒素雰囲気下で紫外線照射(紫外線強度:10W/m2、照射時間:250秒)することで、光学異方体を得た。光学異方体の膜厚は約2.0μmであった。
2枚の直交した偏光板間に該光学異方体を置き、光学異方体を回転させて面内の明暗模様を観察した。さらに、偏光顕微鏡下で光学異方体を観察し、配向方向が異なる領域が分布し、パターン状に配向方向が異なり、配向欠陥が観察されないことを確認した。
Claims (15)
- 重合性基を有する液晶化合物を含有する重合性液晶組成物において、
1)フッ素基を有する側鎖と、一般式(h)で表される基を有する側鎖を有し、
(式中、6員環A、B及びCはそれぞれ独立して、
を表わし、(但し6員環A、B及びCは、フッ素原子又はメチル基で置換されていてもよい。)nは0又は1の整数を表わし、Y1及びY2はそれぞれ独立して、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH2=CHCH2CH2−又は−CH2CH2CH=CH−を表わし、Y3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表わす。)
2)フッ素基含有率が3〜30質量%であり
3)一般式(h)で表される基を有する側鎖の全側鎖に対する割合が9〜95モル%であり、
4)質量平均分子量が10000〜300000である
(メタ)アクリル共重合体(H)を
0.1〜6.0質量%含有することを特徴とする重合性液晶組成物。 - 前記(メタ)アクリル共重合体(H)が、一般式(h)で表される基を有するモノ(メタ)アクリレートと、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートとを必須原料とする(メタ)アクリル共重合体である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記一般式(h)においてY3が水素原子である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記一般式(h)において、6員環A、B及びCが1,4−フェニレン基、又は1,4−シクロヘキシレン基である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記一般式(h)が、ビフェニル基またはフェニルシクロヘキシル基である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記(メタ)アクリル共重合体(H)が、一般式(2)で表される構造単位を9〜95モル%、及び一般式(3)で表される構造単位を3〜45モル%含む、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
(式中、R、6員環A、6員環B、6員環C、Y1、Y2、及びY3は、前記一般式(1)と同じ基を表す。nは前記一般式(1)と同じ整数を表す。X1及びX2は各々独立して水素原子又はメチル基を表し、Zは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基(但し、該基中に存在するメチレン基は、場合によりそれぞれ相互に独立して、−SO2NZ2−又は−CONZ2−で置き換えられていても良い。Z2はアルキル基を表す。またフッ化アルキル基は置換基を有していても良い)を表す。) - ネマチック液晶相を示す、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 請求項1に記載の重合性液晶組成物を、配向機能を有する基板上に塗布し、配向させた状態で重合させて得られることを特徴とする光学異方体。
- 前記配向機能を有する基板が、略水平配向機能を有する基板である、請求項11に記載の光学異方体。
- 前記配向機能を有する基板が、パターン状に配向方向の異なる領域が分布している配向機能を有する基板である、請求項11に記載の光学異方体。
- 前記配向機能を有する基板が光配向膜を有する基板である請求項11に記載の光学異方体。
- 請求項1に記載の重合性液晶組成物を、パターン状に配向方向の異なる領域が分布している略水平配向機能を有する基板に塗布し、配向させた状態で重合させて得られることを特徴とする位相差膜。
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