JP2007091847A - 重合性液晶組成物及び光学異方体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 重合性基を有する液晶化合物を含有する重合性液晶組成物において、フッ素基を有する側鎖、及び、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環を1つ有する側鎖を有し、質量平均分子量が10000〜300000である(メタ)アクリル共重合体(H)を含有する重合性液晶組成物、及び、該重合性液晶組成物を、配向機能を有する基板上に塗布し、配向させた状態で重合させて得られる光学異方体。
【選択図】 なし
Description
また、最近では、従来のバッチ製造と比較して大幅な製造効率向上を目的とした、塗工プロセスを導入したロールツウロール(Roll to Roll)法等の液晶表示装置の製造方法の開発が進んでいる。ロールツロール用途の光学補償シートは、塗工法で作製でき、且つ、得られたシートに他の部材が積層されることを前提として設計される。
前記化合物の疎水性基は液晶分子と相溶しにくいので、空気との界面に偏在しようとする。一方、前記化合物の排除体積効果を有する基は液晶分子と相溶するので、液晶層に入り込もうとする。疎水性基と排除体積効果を有する基との組み合わせにより、空気界面側での液晶性分子の傾斜角を、液晶性分子の種類に限定されることなく、任意に制御できる。従ってより配向に優れた光学異方体を得ることができる。
しかし、該公報に記載された界面活性材料では、表面付近の配向欠陥を完全に改善することができなかった。
具体的には、液晶分子と親和性があるが排除体積効果を殆ど有さず液晶を配向させる能力が小さい基を(メタ)アクリル共重合体にペンダントさせ、空気界面付近に存在させることで、ディスクリネーション即ち配向欠陥が発生しにくく、基板側の配向規制力が界面付近まできちんと伝播した光学異方体を得ることができる。
本発明で使用する(メタ)アクリル共重合体(H)(以下、アクリル共重合体Hと略す)において、フッ素基を有する側鎖とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基(但し、該基中に存在するメチレン基は、場合によりそれぞれ相互に独立して、−SO2NZ2−又は−CONZ2−で置き換えられていても良い。Z2はアルキル基を表す。またフッ化アルキル基は、ヒドロキシ基、等の置換基を有していても良い)を有する側鎖を表す。フッ化アルキル基が有するフッ素原子の数は、5〜35が好ましく、13〜25が特に好ましい。具体的には、−(CH2)p−(CqHsF2q-s+1)、−(CH2)p−NG−SO2−(CF2)q−CF3、−(CH2)p−NG−CO−(CF2)q−CF3(式中、p、qはそれぞれ独立して1〜17(但し、p+qは2以上17以下を満たす。)の整数を表す。sは0〜9の整数を表す。Gは炭素原子数1〜8のアルキル基又は水素を表す。また各々のメチレン基に結合する水素は、水酸基で置換されていてもよい)等のフッ化アルキル基が好ましい。中でも、pは1〜4でqは2〜16であることが好ましく、pは2〜3でqは5〜16であることがさらに好ましい。qが6〜11であると最も好ましい。
該フッ素を有する側鎖は、エステル結合等を介してアクリル共重合体主鎖に連結している。
本発明で使用するアクリル共重合体Hにおいて、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環は、エステル結合等を介してアクリル共重合体主鎖に連結している。本発明においては、アクリル共重合体主鎖に連結したエステル結合等の結合部位からペンダントされた、1つのベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環を含む基を「ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環を1つ有する側鎖」と称する。いずれの環でも本発明の効果は得られるが、1つの側鎖が有する環の数は1つである。
シクロヘキセン環、又は6員複素環の例としては、以下の構造が挙げられる。
スペーサーの有無、あるいは長さは、前記環のパッキング特性、結晶性、液晶との親和性等を考慮しながら選択するのが好ましい。例えば、スペーサーが長くなるほど、重合性基と前記環の運動性が比較的独立したものとなり、結晶性は下がると考えられる。また、フッ素部分から前記環が離れて存在することができるようになるので、前記環と液晶分子との親和性を高くすることも可能である。
前記フッ素基を有するモノ(メタ)アクリレートは、中でも、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基(但し、該基中に存在するメチレン基は、場合によりそれぞれ相互に独立して、−SO2NZ2−又は−CONZ2−で置き換えられていても良い。Z2はアルキル基を表す。またフッ化アルキル基は、ヒドロキシ基、等の置換基を有していても良い)を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。フッ化アルキル基が有するフッ素原子の数は、5〜35が好ましく、13〜25が特に好ましい。具体的には、−(CH2)p−(CqHsF2q-s+1)、−(CH2)p−NG−SO2−(CF2)q−CF3、−(CH2)p−NG−CO−(CF2)q−CF3(式中、p、qはそれぞれ独立して1〜17(但し、p+qは2以上17以下を満たす。)の整数を表す。sは0〜9の整数を表す。Gは炭素原子数1〜8のアルキル基又は水素を表す。また各々のメチレン基に結合する水素は、水酸基で置換されていてもよい)等のフッ化アルキル基が好ましい。中でも、pは1〜4でqは2〜16であることが好ましく、pは2〜3でqは5〜16であることがさらに好ましい。qが6〜11であると最も好ましい。
フッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートは、具体的には、一般式(2)で表される化合物が好ましい。
以下に、本発明で使用するフッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートの具体例を挙げる。
(n=5-11, nの平均=9)
CF3(CF2)7CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)4OCOCH=CH2
CF3(CF2)6COOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C4H9)(CH2)4OCOCH=CH2
CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5CON(C3H7)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7CON(C2H5)CH2CH2OCOCH=CH2
前記ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環を有する(メタ)アクリレートは、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートであることが望ましい。
(以下、一般式(1)における「−R−環A」を総称して基(h)と略す)
基(h)が有する6員環は1つであり、それ自体の形状の異方性は小さく、排除体積効果は殆ど有さないと考えられる(即ち、液晶を配向させる力は小さい)。しかし6員環自体は液晶性を有する化合物のコアと呼ばれる部分の構造の一部として使用されるので、液晶性化合物そのものとの親和性は高いと考えられる。
基(h)と液晶とが混和する空気界面付近では、基(h)と液晶とが混和したことにより液晶性が低下していると考えられる。しかし基(h)と液晶との親和性は高いので、相分離は生じず、液晶の配列は乱れない。従って配向欠陥が生じないものと考えられる。
本発明の効果は、従来知られている形状の異方性による効果、いわゆる排除体積効果とは別種のものである。
このような組み合わせは、基板側の配向規制力が空気界面付近まできちんと伝播した、配向欠陥のない光学異方体を得るうえでなお好ましい。この組み合わせは、特に基板側の配向規制力が略水平配向の場合に特に好ましく用いられ、基板面に対して垂直な方向から見たときの光学的異方性の大きい光学異方体を得ることができる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。重合に際しては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、酢酸エチル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、ジグリム、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル等のアルコ−ル系あるいはエ−テル系溶剤を用いることができる。一般式(h)で表される基を有するモノ(メタ)アクリレートと、フッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートを溶剤に溶解し,脱気あるいは窒素置換などの処置を行い,重合反応が進行しやすくすることが好ましい。
Mwが10000未満では、本発明の課題である配向欠陥を改善させる力が弱く、特に配向性が悪い傾向がある。また、低分子量のため溶出しやすく他の部材を汚染するおそれもある。Mwが300000を越えると、粘度が高すぎてしまい取り扱いに不便を有することや、液晶層と完全に相分離してしまい本発明の効果を発揮できないおそれがある。
アクリル共重合体HのMwは、公知の方法、例えば、モノマーの対溶液濃度や重合開始剤の種類や濃度、溶媒の種類、反応条件等を適宜変化させることで制御可能であるので、目的に応じて条件を選択すればよい。例えば、溶媒として非プロトン溶媒を使用すると、比較的高分子量のアクリル共重合体Hが得られるし、プロトン溶媒を使用すると比較的低分子量のアクリル共重合体Hが得られる。
両者をこのバランスとすることで、少量の使用量で効果的に空気界面付近の配向欠陥を改善させることができる。中でも、フッ素基含有率が5〜40質量%で且つ基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する割合が9〜95モル%であることが好ましく、フッ素基含有率が10〜40質量%で且つ基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する割合が60〜95モル%であることがなお好ましく、フッ素基含有率が10〜35質量%であり且つ基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する割合が70〜95モル%であることが特に好ましい。
なお、ここでいうフッ素基含有率は、アクリル共重合体Hが有するフッ素原子の総量の質量%を表し、基(h)を有する側鎖の全側鎖に対する割合とは、全モノマー単位に対する基(h)を有する側鎖のモル%を表す。
フッ素基含有率は、原料であるフッ素基を有するモノ(メタ)アクリレートのフッ素基含有率及び共重合する際の配合量から計算する方法や、NMR等により測定することができる。
本発明の重合性液晶組成物は、アクリル共重合体Hと、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基等の重合性基を有する液晶化合物を含有する。
本発明においては、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を示すことが必要であって、使用する各々の重合性液晶化合物の全てが液晶相を示す必要はない。本発明において使用することのできる重合性液晶化合物は、単独で液晶相を示す化合物は勿論のこと、単独では液晶相を示さないが、融点を低下させて液晶相が発現するものや、他の液晶相を示す化合物と混合したときに液晶相を示すもの、液晶を示す化合物と類似した構造を持っていて他の液晶相を示す化合物が形成する液晶相の安定性を著しく低下させないもの等を含む。
前記アクリル共重合体Hは、数種類を併用して使用することもできる。
具体的には、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社製の「CB−15」、「C−15」、メルク社製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」、キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」などを挙げることができる。
キラル化合物を添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物の重合体の用途によるが、得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量を添加することが好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
前記基板は、有機、無機を問わず、公知慣用の材質の基板を使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリイミド板、ポリアミド板、ポリメタクリル酸メチル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニル板、ポリテトラフルオロエチレン板、セルロース板、三酢酸セルロース板,ポリエーテルスルホン板、ポリシクロオレフィン板、シリコン板、ガラス板、方解石板等が挙げられる。基板の形状としては、平板の他、曲面を有するものであっても良い。これらの基板は、必要に応じて、電極層、反射防止機能、反射機能を有していてもよい。
例えば、インプレーンスイッチング(IPS)方式の液晶表示素子に使用するようなプレチルト角のごく小さな配向膜を基板上に設ければ、ほとんど水平に配向した重合性液晶層が得られる。
また、TN型液晶表示素子に使用するような配向膜を基板上に設けた場合は、少しだけ配向が傾斜した重合性液晶層が得られ、STN方式の液晶表示素子に使用するような配向膜を使うと、大きく配向が傾斜した重合性液晶層が得られる。
本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布する場合は、バーコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ダイコーティング、キャップコーティング、ディッピング法等の公知慣用のコーティング法を利用すればよい。このとき、塗工性を高めるために、本発明の重合性液晶組成物に公知慣用の有機溶媒を添加しても良い。この場合は、本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布後、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等で有機溶媒を除去する。
あるいは、本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布後、本発明の重合性液晶組成物のネマチック相が発現する温度範囲内で温度を一定時間保つような加熱処理を施しても良い。
このような熱処理をすることで、単に塗布するだけの塗工方法と比べて、配向欠陥の少ない均質な光学異方体を作製することができる。
また、このようにして均質な配向処理を行った後、液晶相が相分離を起こさない最低の温度、即ち過冷却状態となるまで冷却し、該温度において液晶相を配向させた状態で重合すると、より配向秩序が高く、透明性に優れる光学異方体を得ることができる。
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を保持できる温度とし、重合性液晶組成物の熱重合の誘起を避けるため、可能な限り30℃以下とすることが好ましい。尚、液晶組成物は、通常、昇温過程において、C(固相)−N(ネマチック)転移温度(以下、C−N転移温度と略す。)から、N−I転移温度範囲内で液晶相を示す。一方、降温過程においては、熱力学的に非平衡状態を取るため、C−N転移温度以下でも凝固せず液晶状態を保つ場合がある。この状態を過冷却状態という。本発明においては、過冷却状態にある液晶組成物も液晶相を保持している状態に含めるものとする。紫外線照射強度は、1W/m2〜10kW/m2の範囲が好ましい。特に、5W/m2〜2kW/m2の範囲が好ましい。紫外線強度が1W/m2未満の場合、重合を完了させるのに多大な時間がかかる。一方、2kW/m2を超える強度では、重合性液晶組成物中の液晶分子が光分解する傾向にあることや、重合熱が多く発生して重合中の温度が上昇し、重合性液晶のオーダーパラメーターが変化して、重合後のフィルムのリタデーションに狂いが生じる可能性がある。
ガラス製反応管に,2−フェノキシエチルアクリレート0.65gと、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート0.36g、及び2,2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02gを秤取し,トルエン3mLを加えて溶解させた。この溶液に窒素気流を通じて酸素を取り除いた後,80℃で8時間、さらに、100℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し,濃縮液を50mLのメタノール中に滴下、撹拌した。メタノール層をデカンテーションし、残留物を同様の操作で3回洗浄し、Mw36000の、2−フェノキシエチル基及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基を有するアクリル共重合体(H−1)0.4gを得た。
合成例1において、2−フェノキシエチルアクリレートの仕込み量を0.51g、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートの仕込み量を0.50gに変えた以外は合成例1と同様にして、Mw41000の、2−フェノキシエチル基及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基を有するアクリル共重合体(H−2)0.35gを得た。
合成例1において、2−フェノキシエチルアクリレートの代わりにシクロヘキシルメタクリレートを0.80g、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートの仕込み量を0.20gに変えた以外は合成例1と同様にして、Mw31000の、シクロヘキシル基及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基を有する(メタ)アクリル共重合体(H−3)0.55gを得た。
合成例1において、モノマーをメチルメタクリレートのみにした他は合成例1と同様にして、Mw29,600のメタクリル重合体(H−4)を得た。
比較例用の添加剤として、式Mで表される構造のフッ素系化合物を使用した。(添加剤(M)中のフッ素含有量は50質量%,基(h)の含有量は35質量%、分子量は644である)
式(a)〜(e)で表される化合物を(a):(b):(c):(d):(e)の配合比率が、質量比にして33:22:22:18:5となるよう使用し、重合性液晶組成物LC−1を調製した。
下記式(S)で表されるアゾ化合物0.5gを、N−メチルピロリドン25gに加熱溶解し、この溶液にブチルセロソルブ(2−ブトキシエタノール)25gを加えた。これをポリフッ化ビニリデン製の孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。超音波洗浄を行った厚さ1mm、サイズが76mm×52mmの光学ガラス製ガラス板に前記アゾ化合物(S)溶液をスピンコートし(500回転/分で5秒後、2500回転/分で20秒)、100℃のホットプレート上で1分乾燥させた。その後室温で該光学ガラス板の真上から366nmの偏光紫外線照射(紫外線強度は200W/m2、照射時間は100秒)を行った。
リタデーションは中央精機(株)製「液晶特性評価装置(OMS−DI4RD)」を用いて測定した。
重合性液晶組成物LC−1に、前記方法により合成した(メタ)アクリル共重合体Hを20質量%添加し、液体―液晶転移温度を測定した。測定は、メトラー社製DSC822eを用いて、サンプルを一度液体状態まで加温し、10℃/minで降温しながら行った。
アクリル共重合体(H−1)を0.5部、重合性液晶組成物LC−1を96部、チバスペシャリティケミカルズ(株)製の光重合開始剤「イルガキュア907」4部、キシレン100部を混合し、塗工用の組成物とした。この組成物をスピンコーターを用いて前記配向膜付きの光学異方体用基板上にスピンコートし(500回転/分で5秒後、2500回転/分で20秒)、重合性液晶組成物層を作成した。スピンコート直後の重合性液晶組成物層を偏光顕微鏡にて観察したところ、ディスクリネーションはまったく観察されず、良好な配向であった。この後、窒素雰囲気下で1分保った後、窒素雰囲気下で紫外線照射(紫外線強度:34W/m2、照射時間:120秒)することで、ディスクリネーションのない、きれいな光学異方体を得た。得られた光学異方体の垂直方向から測定したリタデーション値は168nmと大きい値を示し、光学的異方性の大きい光学異方体であることが確認できた。また、配向規制軸に沿って垂直方向から傾くに従いリタデーション値は小さくなり垂直方向からみた場合のリタデーション値が最大値であったことから液晶分子は略水平配向していることがわかった。また、LC−1にアクリル共重合体(H−1)を20%添加したときの液体―液晶転移温度は1.0℃低下した。
アクリル共重合体(H−1)を、アクリル共重合体(H−2)に変更した他は実施例1と同様にして重合性液晶組成物層を作成した。スピンコート直後の重合性液晶組成物層を偏光顕微鏡にて観察したところ、ディスクリネーションはまったく観察されず、良好な配向であった。この後、実施例1と同様にして光重合を行い、ディスクリネーションのない、きれいな光学異方体を得た。得られた光学異方体の垂直方向から測定したリタデーション値は90nmであり、配向規制軸に沿って垂直方向から50度傾けた方向からのリタデーション値は188nmと大きくなり、逆方向に50度傾けた方向からのリタデーション値は40nmと小さくなっていたので液晶分子の配向はハイブリッドであることがわかった。また、LC−1にアクリル共重合体(H−2)を20%添加したときの液体―液晶転移温度は0.2℃低下した。
アクリル共重合体(H−1)を、(メタ)アクリル共重合体(H−3)に変更した他は実施例1と同様にして重合性液晶組成物層を作成した。スピンコート直後の重合性液晶組成物層を偏光顕微鏡にて観察したところ、ディスクリネーションはまったく観察されず、良好な配向であった。この後、実施例1と同様にして光重合を行い、ディスクリネーションのない、きれいな光学異方体を得た。得られた光学異方体の垂直方向から測定したリタデーション値は171nmと大きい値を示し、光学的異方性の大きい光学異方体であることが確認できた。また、配向規制軸に沿って垂直方向から傾くに従いリタデーション値は小さくなり垂直方向からみた場合のリタデーション値が最大値であったことから液晶分子は略水平配向していることがわかった。また、LC−1にアクリル共重合体(H−3)を20%添加したときの液体―液晶転移温度は0.5℃低下した。
アクリル共重合体を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして重合性液晶組成物層を作成した。スピンコート直後の重合性液晶組成物層を偏光顕微鏡にて観察したところ、多数のディスクリネーションが観察され配向性は悪かった。この後、実施例1と同様にして光重合を行ったところ、得られた光学異方体にも多数のディスクリネーションが観察され、配向性は悪かった。
アクリル共重合体(H−1)を、メタクリル重合体(H−4)に変更した他は実施例1と同様にして重合性液晶組成物層を作成した。スピンコート直後の重合性液晶組成物層を偏光顕微鏡にて観察したところ、多数のディスクリネーションが観察され配向性は悪かった。この後、実施例1と同様にして光重合を行ったところ、得られた光学異方体にも多数のディスクリネーションが観察され、配向性は悪かった。
添加剤Mを、重合性液晶組成物LC−1 100gに対するアクリル共重合体(H−1)由来のフッ素基量が、実施例1と同じ0.135質量%となるように、0.21部加えた以外は、実施例1と同様にして光学異方体を作製した(このときの基(h)含有量は0.050質量%であった)。スピンコート直後の重合性液晶組成物層を偏光顕微鏡にて観察したところ、多数のディスクリネーションが観察され配向性は悪かった。この後、実施例1と同様にして光重合を行ったところ、得られた光学異方体にも多数のディスクリネーションが観察され、配向性は悪かった。
Claims (11)
- 重合性基を有する液晶化合物を含有する重合性液晶組成物において、フッ素基を有する側鎖、及び、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環を1つ有する側鎖を有し、質量平均分子量が10000〜300000である(メタ)アクリル共重合体(H)を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
- 前記(メタ)アクリル共重合体(H)の、フッ素基含有率が3〜40質量%であり、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環の、全側鎖に対する割合が9〜95モル%である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記(メタ)アクリル共重合体(H)を0.1〜6.0質量%含有する、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記(メタ)アクリル共重合体(H)が、一般式(1)で表される化合物と、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜18のフッ化アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートとを必須原料とする(メタ)アクリル共重合体である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わし、環Aはベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、又は6員複素環(但し、環Aはフッ素基、シアノ基、トリフルオロアルキル基、炭素原子数1〜12の分岐又は直鎖アルキル基、炭素原子数1〜12の分岐あるいは直鎖アルキルオキシ基、炭素原子数1〜12のアルカノイル基、炭素原子数1〜12のアルカノイルオキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキルオキシカルボニル基を置換基として有していても良い)を表し、Rは、単結合、又は炭素原子数1〜18のアルキレン基(但し、該基中に存在し、−COO−と直接結合しない1個又は2個以上のメチレン基は、場合によりそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−で置き換えられていても良い)を表す。) - ネマチック液晶相を示す、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 請求項1に記載の重合性液晶組成物を、配向機能を有する基板上に塗布し、配向させた状態で重合させて得られることを特徴とする光学異方体。
- 前記配向機能を有する基板が、略水平配向機能を有する基板である、請求項7に記載の光学異方体。
- 前記配向機能を有する基板が、パターン状に配向方向の異なる領域が分布している配向機能を有する基板である、請求項7に記載の光学異方体。
- 前記配向機能を有する基板が光配向膜を有する基板である請求項7に記載の光学異方体。
- 請求項1に記載の重合性液晶組成物を、パターン状に配向方向の異なる領域が分布している略水平配向機能を有する基板に塗布し、配向させた状態で重合させて得られることを特徴とする位相差膜。
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