JP2014157245A - 位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の位相差フィルム1は、基材11と、配向パターンを有し、基材11上に形成されるパターン配向層12と、パーフルオロアルキル基を有し、重量平均分子量が1万未満であるレベリング剤を含有する重合性液晶組成物の硬化物を含み、パターン配向層12上に形成される位相差層13とを含む。パーフルオロアルキル基の炭素数は4以上8以下であることが好ましく、レベリング剤を重合性液晶組成物100重量部に対して1.0×10−3重量部以上3.0重量部以下の範囲で含有することが好ましい。位相差フィルム1は、配向パターンのそれぞれについて、配向パターンを形成する際に設定された配向軸と、位相差層の配向軸との角度差の絶対値で定義される配向ズレ角度の標準偏差が1度以内である。
【選択図】図1
Description
図1は、本実施形態に係る位相差フィルム1を示す図である。位相差フィルム1は、基材11と、配向パターンを有し、基材11上に形成されるパターン配向層12と、パーフルオロアルキル基(「ペルフルオロアルキル基」ともいう。)を有し、重量平均分子量が1万未満であるレベリング剤を含有する重合性液晶組成物の硬化物を含み、パターン配向層12上に形成される位相差層13とを含む。
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書においては、特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
パターン配向層12は、2種類の配向パターンを交互に有する。この配向パターンは、凹凸形状を有するロールで圧延し、当該凹凸形状を転写するラビング処理によって形成されてもよいし、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用いて光照射によって配向させる光配向方式によって形成されてもよい。ラビング処理によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、広く一般に用いられるエネルギー線硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂等)を含有するものであれば、どのようなものであってもよい。一方、光配向方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、以下に説明するパターン配向層用組成物を含有する必要がある。
光配向方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、以下に説明するパターン配向層用組成物を含有する。このパターン配向層用組成物は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料と、この光配向材料を溶かす溶媒とを含有する。
光配向材料とは、偏光紫外線の照射により配向規制力を発現できる材料をいう。配向規制力とは、光配向材料を含む配向層を形成し、この配向層上に、棒状化合物(「重合性液晶化合物」ともいわれる。)を含有する層を形成したとき、棒状化合物を所定の方向に配列させる機能をいう。
パターン配向層用組成物に用いる溶媒は、光配向材料等を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以下「CHN」という。)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
また、必須の構成要素ではないが、本発明のパターン配向層用組成物は、密着向上剤を含有することが好ましい。密着向上剤は、基材上にパターン配向層用組成物を塗工したとき、基材と化学反応を起こして基材の表面を荒らし、基材と、パターン配向層用組成物の硬化物からなる配向層との密着性を高める機能を有する。
その他、必要に応じて各種の添加剤を含有するものであってもよい。
上述したとおり、配向パターンは、ラビング処理によって形成されてもよいし、光配向方式によって形成されてもよい。図示は省略するが、ラビング処理によって形成される場合、基材11にエネルギー線硬化性樹脂を塗布し、その後、周囲に凹凸形状が形成されたローラを用いて基材11に凹凸形状を転写し、エネルギー線照射装置によるエネルギー線の照射によりエネルギー線硬化性樹脂を硬化させる。これにより製造装置10は、ロール版13に形成された凹凸形状を基材2に転写する。
図1に戻り、位相差層13は、重合性液晶組成物を含有する。位相差層13は、上記配向パターンに沿って形成されるため、右目用の領域に対応する第1位相差領域13Aと、左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bとを有する。
棒状化合物は、屈折率異方性を有し、賦型処理によって発現される配向パターンに沿って規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。棒状化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶化合物を用いることがより好ましい。
本発明において、レベリング剤はパーフルオロアルキル基を有する。パーフルオロアルキル基を有することで、より厳密な配向パターンを有する位相差フィルム1を提供できる。たとえフルオロアルキル基を有していたとしても、パーフルオロアルキル基を有するものでなければ、本発明ほど配向パターンを厳密に制御できるとはいえない点で好ましくない。
上記した棒状化合物及びレベリング剤は、通常溶媒に溶かされている。溶媒は、棒状化合物及びレベリング剤を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以下「CHN」という。)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
重合性液晶組成物は、必要に応じて他の化合物を含むものであっても良い。他の化合物は、上記した棒状化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
重合開始剤として、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本実施形態では、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合禁止剤は、重合性液晶組成物の保存安定性を高めるために用いられる。重合禁止剤として、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、保存安定性の点から、ハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
界面活性剤は、重合性液晶組成物の動的表面張力を調整し、位相差層の横スジムラを抑制するために用いられる。
位相差フィルム1は、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることが好適であり、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることで、光配向性に優れるという格別の効果を奏する。
以下では、光配向方式によって形成する場合における位相差フィルム1の製造方法について説明するが、位相差フィルム1は、ラビング処理によって形成されたものであってもよい。
まず、ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上にパターン配向層用組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。
パターン配向層形成用層形成処理では、乾燥機33を用いてパターン配向層用組成物を熱硬化させる。この処理では、積層体を乾燥機33に導き、ここでパターン配向層用組成物を熱硬化させた後、半乾きの状態で次の工程に送出する。
続いて、パターン配向層形成用層12’に対して紫外線を照射する。
次に、位相差層形成用塗工液塗工処理について説明する。本実施形態では、位相差層形成用塗工液の供給装置36から位相差層形成用塗工液を塗工している。具体的な塗工の方法としては、パターン配向層12上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、(A)組成物塗工処理で説明したものと同じものを例示できる。
続いて、レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。位相差層形成用塗工液からなる位相差層形成用層の厚さは、その後に形成される位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内となるように塗布することが好ましい。これにより、第1位相差領域13A及び第2位相差領域13Bを通過する直線偏光を、互いに直交関係にある円偏光にすることができ、結果として、より精度良く三次元映像を表示できるためである。
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記パターン配向層12に含まれる第1配向領域12A及び第2配向領域12Bの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる。棒状化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、乾燥機38を用いて棒状化合物を液晶相形成温度以上に加温することが挙げられる。
その後、冷却機39を用いて、基材11/パターン配向層12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行う。冷却処理は、積層体が室温になる程度まで行えばよい。
続いて、棒状化合物を重合し硬化させる硬化処理を行う。棒状化合物を重合させる方法としては、棒状化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、適量の重合開始剤を加えて、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、棒状化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましく、具体的には、パターン配向層12を形成する際に用いた紫外線と同様とすることができる。このような硬化処理を経ることにより、互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成できる。
[重合性液晶組成物の調製]
市販の重合成液晶組成物(製品名:licrivue(登録商標) RMS03−013C,メルク社製)100重量部に、パーフルオロアルキル基を有し、重量平均分子量が1万未満であるレベリング剤(製品名:LE−604,共栄社化学株式会社製)2.5×10−1重量部を加え、実施例に係る重合性液晶組成物を得た。
図3で説明した製造工程を経て実施例に係る位相差フィルムを得た。その際、基材は、表面に防眩処理が施されたTAC基材(商品名:TD60UL−P,厚さ:60μm,富士フィルム社製)を用い、搬送速度は12m/minとした。
上記標準偏差を算出した結果、基材と、配向パターンを有し、基材上に形成されるパターン配向層と、パーフルオロアルキル基を有し、重量平均分子量が1万未満であるレベリング剤を含有する重合性液晶組成物の硬化物を含み、パターン配向層上に形成される位相差層とを含む位相差フィルムは、配向パターンのそれぞれについて、配向パターンを形成する際に設定された配向軸と、位相差層の配向軸との角度差の絶対値で定義される配向ズレ角度の標準偏差が1度以内であることが確認された。このことから、より厳密な配向パターンを有する位相差フィルムを提供できることが確認された。
11 基材
12 パターン配向層
13 位相差層
Claims (4)
- 基材と、
配向パターンを有し、前記基材上に形成されるパターン配向層と、
パーフルオロアルキル基を有し、重量平均分子量が1万未満であるレベリング剤を含有する重合性液晶組成物の硬化物を含み、前記パターン配向層上に形成される位相差層とを含む位相差フィルム。 - 前記パーフルオロアルキル基の炭素数は4以上8以下である、請求項1に記載の位相差フィルム。
- 前記レベリング剤を前記重合性液晶組成物100重量部に対して1.0×10−3重量部以上3.0重量部以下の範囲で含有する、請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
- 前記配向パターンのそれぞれについて、前記配向パターンを形成する際に設定された配向軸と、前記位相差層の配向軸との角度差の絶対値で定義される配向ズレ角度の標準偏差が1度以内である、請求項1から3のいずれかに記載の位相差フィルム。
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