JP5780268B2 - 三次元表示用途のパターン位相差フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、三次元表示用途のパターン位相差フィルムに関する。
近年、三次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めており、市販も始まっている。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては三次元表示可能であることが、その性能として当然に求められることが予想され、三次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
フラットパネルディスプレイにおいて三次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の三次元表示方式について図を参照しながら説明する。図4はパッシブ方式の三次元表示の一例を示す概略図である。図4に示すようにこの方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の複数の画素にパターン状に分割し、一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の分割パターンに対応したパターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルムとを用い、右目用の映像と、左目用の映像とを互いに直交関係にある円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用レンズと左目用レンズとに互いに直交する円偏光レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用の映像が左目用のレンズのみを通過するようにする。このようにして右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって三次元表示を可能とするものがパッシブ方式である。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に三次元表示が可能なものにできるという利点がある。
パターン位相差フィルムの一例として、基材上に帯電防止層が形成され、この帯電防止層上に、配向剤及び液晶材料を含有する光学異方性層組成物の硬化物からなる光学異方性層が形成されたものが提案されている(特許文献1参照)。帯電防止剤の種類は特に制限されず、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯電防止剤、非イオン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等、公知の帯電防止剤を自由に用いることができる。このパターン位相差フィルムによると、光学異方性層の配向ムラが小さく帯電防止性に優れたパターン位相差フィルムを提供できる。
特開2010−32655号公報
しかしながら、特許文献1に記載のパターン位相差フィルムでは、光学異方性層とは別に帯電防止層を形成する必要がある。パターン位相差フィルムを効率的に形成するためには、帯電防止層を個別に形成することなく、帯電防止剤を含めることが好ましい。しかしながら、これまで、光学異方性層を形成する組成物に従来公知の帯電防止剤を加えようとすると、光学異方性層の配向方向を厳密に制御できない可能性があるとともに、基材と光学異方性層との密着性にも影響を及ぼし得ると考えられていたため、パターン位相差フィルムの帯電性向上に関し、組成面から検討する際には、光学異方性層とは別に帯電防止層を形成せざるを得ないと考えられていた。
本発明では、帯電防止層を個別に形成することなく、配向方向を厳密に制御でき、基材との密着性及び帯電防止性のいずれにも優れた三次元表示用途のパターン位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、パターン配向層及びパターン位相差層を個別に形成し、パターン配向層、パターン位相差層の少なくとも一方を、一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウムを含有する組成物の硬化物にすることで、配向方向を厳密に制御でき、基材との密着性に優れ、かつ、帯電による外観不良を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、基材、パターン配向層、パターン位相差層の順に形成され、前記パターン配向層、前記パターン位相差層の少なくとも一方は、一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウムを含有する組成物の硬化物であるパターン位相差フィルムである。一般式中、Rはアルキル基を示し、R’−OHはアルカノール基を示し、nは1,2又は3である。nが2又は3である場合、2以上のアルキル基はそれぞれ同じであってもよいし、異なってもよい。また、nが1又は2である場合、2以上のアルカノール基はそれぞれ同じであってもよいし、異なってもよい。
(2)また、本発明は、前記アルキル基の炭素数が20以下である、(1)に記載のパターン位相差フィルムである。
(3)また、本発明は、前記アルカノール基の炭素数が5以下である、(1)又は(2)に記載のパターン位相差フィルムである。
(4)また、本発明は、前記4級アンモニウムが前記パターン配向層に含まれている場合、前記4級アンモニウムの含有量はパターン配向層用組成物100質量部に対して0.03質量部以上0.5質量部未満であり、前記4級アンモニウムが前記パターン位相差層に含まれている場合、前記4級アンモニウムの含有量はパターン位相差層用組成物100質量部に対して0.03質量部以上1.0質量部未満である、(1)から(3)のいずれかに記載のパターン位相差フィルムである。
本発明によれば、帯電防止層を個別に形成することなく、配向方向を厳密に制御でき、基材との密着性及び帯電防止性のいずれにも優れた三次元表示用途のパターン位相差フィルムを提供できる。
本発明に係るパターン位相差フィルム1の一例を示す概略図である。 本発明に係るパターン位相差フィルム1の製造方法の一例を示す概略図である。 光配向方式によって配向パターンを形成する手法を模式的に示した図である。 パッシブ方式による三次元画像表示の説明に供する図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<パターン位相差フィルム1>
図1は、本発明に係るパターン位相差フィルム1の一例を示す概略図である。なお、以下では「パターン位相差」を「位相差」と略記するが、特に断りがない限り、「位相差」は、「パターン位相差」と同義である。位相差フィルム1は、基材11上にパターン配向層12が形成され、このパターン配向層12上にパターン位相差層13が形成される。そして、パターン配向層12、パターン位相差層13の少なくとも一方は、一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウムを含有する組成物の硬化物である。
[基材11]
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
基材11は、位相差が小さいことが好ましく、面内位相差(面内レターデーション値、以下「Re値」ともいう。)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。Re値が10nmを超えると、パターン配向膜を用いたフラットパネルディスプレイの表示品質が悪くなる可能性がある点で好ましくない。
ここで、Re値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標をいい、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書においては、特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
基材11の可視光領域における透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明フィルム基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
基材11は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を例示することができる。中でも、光学的等方性に優れ、光学的特性に優れたパターン配向膜を製造できる点でセルロース誘導体を用いることが好ましい。
上記セルロース誘導体の中でも、工業的に広く用いられ、入手が容易である点で、セルロースエステルを用いることが好ましく、セルロースアシレート類を用いることがより好ましい。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
低級脂肪酸エステルの中でも、セルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5%〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のTACを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定及び計算により求めることができる。なお、TACの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
基材11の厚さは、パターン配向膜を用いて製造される位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、25μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、40μm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、40μm〜80μmの範囲内であることがさらに好ましい。25μm未満であると、位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合があり、好ましくない。125μmを超えると、位相差フィルムが長尺状である場合、長尺状の位相差フィルムを裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があり、好ましくない。
基材11は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
[パターン配向層12]
パターン配向層12は、2種類の配向パターンを交互に有する。本実施形態において、配向パターンは、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用いて光照射によって配向させる光配向方式によって形成されてもよいし、紫外線硬化樹脂を基材11に塗布し、この紫外線硬化樹脂の表面に対し、微細な凹凸形状からなる配向パターンが付された賦型用金型を用いて配向パターンを転写し、その後、紫外線硬化樹脂を硬化させる賦型UV方式によって形成されてもよい。
〔パターン配向層用組成物〕
光配向方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、以下に説明するパターン配向層用組成物を含有する。このパターン配向層用組成物は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を含有する。
(光配向材料)
光配向材料とは、偏光紫外線の照射により配向規制力を発現できる材料をいう。配向規制力とは、光配向材料を含む配向層を形成し、この配向層上に棒状化合物からなる層を形成したとき、棒状化合物を所定の方向に配列させる機能をいう。
光配向材料は、偏光を照射することにより上記配向規制力を発現するものであれば特に限定されるものではない。このような光配向材料はシス−トランス変化によって分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。本発明においては上記光異性化材料及び上記光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、光反応材料を用いることがより好ましい。光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能になる。したがって、光反応材料の方が配向規制力の経時安定性において優れるからである。
上記光反応材料は、偏光照射によって生じる反応の種類によってさらに分別することができる。具体的には、光二量化反応を生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応を生じることによって配向規制力を発現する光分解型材料、光結合反応を生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、及び光分解反応と光結合反応とを生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。本発明においては上記光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、安定性及び反応性(感度)等の観点から光二量化型材料を用いることがより好ましい。
光二量化型材料は、光二量化反応を生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されないが、配向規制力が良好である点から、光二量化反応を生じる光の波長が280nm以上であることが好ましく、280nm〜400nmの範囲内であることがより好ましく、300nm〜380nmの範囲内であることがさらに好ましい。
このような光二量化型材料として、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又はシンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーが挙げられる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報及びWO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
なお、本発明に用いられる光配向材料は、1種類のみであってもよく、2種類以上を用いてもよい。
(帯電防止剤:一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウム)
ところで、本発明では、パターン配向層12を構成するパターン配向層用組成物、又はパターン位相差層13を構成するパターン位相差層用組成物の少なくとも一方は、帯電防止剤として、一般式R−N−(R’−OH)4 −nで表される4級アンモニウムを含有する。一般式中、Rはアルキル基を示し、R’−OHはアルカノール基を示し、nは1,2又は3である。nが2又は3である場合、2以上のアルキル基はそれぞれ同じであってもよいし、異なってもよい。また、nが1又は2である場合、2以上のアルカノール基はそれぞれ同じであってもよいし、異なってもよい。本発明は、上記4級アンモニウムがパターン配向層用組成物又はパターン位相差層用組成物の少なくとも一方に含まれるため、帯電防止層を個別に形成することなく、配向方向を厳密に制御でき、基材11との密着性及び帯電防止性のいずれにも優れたパターン位相差フィルム1を提供できる。
一方、パターン配向層用組成物又はパターン位相差層用組成物の少なくとも一方に4級アンモニウムが含まれていたとしても、この4級アンモニウムがアルカノール基を有するものでない場合、配向方向の厳密な制御、基材11との密着性又は帯電防止性のいずれかが不十分なものとなり、好ましくない。
アルキル基の炭素数は20以下であることが好ましい。炭素数が20を超えると、分子量が増加し、均一な塗工が困難になる可能性があるため、好ましくない。
また、アルカノール基の炭素数は5以下であることが好ましい。炭素数が5を超えると、分散性が低下して局所的に帯電が大きくなる可能性があるため、好ましくない。
また、4級アンモニウムが前記パターン配向層に含まれる場合、4級アンモニウムの含有量は、パターン配向層用組成物100質量部に対して0.03質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、4級アンモニウムがパターン位相差層に含まれる場合、4級アンモニウムの含有量はパターン位相差層用組成物100質量部に対して0.03質量部以上1.0質量部未満であることが好ましい。4級アンモニウムの含有量が少なすぎると、光配向材料(又は後に説明する棒状化合物)の帯電を適切に防止できない可能性がある点で好ましくない。4級アンモニウムの含有量が多すぎると、パターン位相差フィルム1の透明性や液晶の配向性に影響を生じ得るため、好ましくない。
[パターン位相差層13]
本発明のパターン位相差層13は、重合性液晶組成物を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(以下、「棒状化合物」ともいう。)を含有する。
(棒状化合物)
棒状化合物は、屈折率異方性を有し、上記配向パターンに沿って規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。棒状化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す棒状化合物を用いることがより好ましい。
上記ネマチック相を示す棒状化合物として、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する棒状化合物は柔軟性に優れるため、このような棒状化合物を用いることにより、パターン位相差フィルム1を透明性に優れたものにすることができる。
棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有する。重合性官能基を有することにより、棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくくなる。また、棒状化合物は、分子内に三次元架橋可能な重合性官能基を有することがより好ましい。三次元架橋可能な重合性官能基を有することにより、配列安定性をいっそう高めることができる。なお、「三次元架橋」とは、液晶性分子を互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることをいう。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、あるいは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、あるいはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。中でも、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
さらにまた、棒状化合物は、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような棒状化合物を用いることにより、例えば、互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた上記を形成できるからである。なお、本発明においては片末端に重合性官能基を有する棒状化合物を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
本発明に用いられる棒状化合物の具体例としては、下記式(1)〜(16)で表される化合物を例示できる。
Figure 0005780268
Figure 0005780268
棒状化合物の量は、パターン配向層12上に塗布する塗布方法に応じて、位相差層形成用塗工液の粘度を所望の値にできるものであれば特に限定されないが、上記塗工液中、5質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、10質量部〜30質量部の範囲内であることがより好ましい。5質量部未満であると、棒状化合物が少なすぎるために、パターン位相差層13への入射光を適切に配向できない可能性があるため、好ましくない。30質量部を超えると、位相差層形成用塗工液の粘度が高くなりすぎるため、作業性が劣るため、好ましくない。
棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する棒状化合物と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する棒状化合物とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。また、信頼性確保の観点からは、両末端に重合性官能基を1つ以上有する棒状化合物が好ましいが、液晶配向の観点からは両末端の重合性官能基が1つであることが好ましい。
(帯電防止剤:一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウム)
上述したとおり、本発明では、パターン配向層12を構成するパターン配向層用組成物、又はパターン位相差層13を構成するパターン位相差層用組成物の少なくとも一方は、帯電防止剤として、一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウムを含有する。4級アンモニウムの具体的態様については、上記〔パターン配向層用組成物〕で説明したとおりである。
(溶媒)
上記した棒状化合物は、通常溶媒に溶かされている。溶媒は、棒状化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以下「CHN」という。)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
溶媒の量は、棒状化合物100質量部に対して66質量部以上900質量部以下であることが好ましい。66質量部未満であると、棒状化合物を均一に塗工溶かすことができない可能性がある点で好ましくない。900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、信頼性が低下する可能性、及び均一に塗工できない可能性がある点で好ましくない。
(他の化合物)
重合性液晶組成物は、必要に応じて他の化合物を含むものであっても良い。他の化合物は、上記した棒状化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
(重合開始剤)
重合開始剤として、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本実施形態では、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤は、液晶の配向を大きく損なわない範囲で添加することが必要であり、棒状化合物100質量部に対し、0.01〜15質量部であることが好ましく、0.1〜12質量部であることがより好ましく、0.1〜10質量部であることがさらに好ましく、0.5〜10質量部であることがよりさらに好ましい。
また、重合開始剤のほか、重合開始助剤を併用してもよい。重合開始助剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
(重合禁止剤)
重合禁止剤は、棒状化合物の保存安定性を高めるために用いられる。重合禁止剤として、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、保存安定性の点から、ハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、棒状化合物の動的表面張力を調整し、パターン位相差層13の横スジムラを抑制するために用いられる。
界面活性剤の種類は特に限定されるものでなく、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基あるいはフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましく、その具体例としては、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロ−n−オクチル(n−ヘキシル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−ペンチル)エーテル、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−デカン、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロ−n−ドデカン、パーフルオロ−n−ドデシルスルホン酸ナトリウムや、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキルホスホン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、パーフルオロアルキルポリオキシエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素系アルキルエステル等のノニオン系界面活性剤、フルオロアルキルアンモニウムヨージド等のカチオン系界面活性剤、フルオロアルキルベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。このうち、パターン位相差層13を液晶表示素子に用いた場合の電圧保持率を良好に維持できるという観点から、特にノニオン系界面活性剤が好適に用いられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性ポリアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリアルキルシロキサン等が挙げられる。
界面活性剤は、液晶の配向を大きく損なわない範囲で添加することが好ましく、棒状化合物100質量部に対して0.01〜5質量部となるように添加することが好ましい。0.01質量部以上となる量を添加することにより棒状化合物に十分な塗工性を付与することができ、横スジムラの良好な防止効果が発揮される。また添加量を5質量部以下とすることによって、パターン位相差層13中の液晶に配向不良が生じることや、パターン位相差層13の電気信頼性が低下することを抑制できる。
(パターン位相差層13の厚さ)
パターン位相差層13の厚さは特に限定されるものでないが、適切な配向性能を得るためには、500nm以上2000nm以下であることが好ましい。
<位相差フィルム1の製造方法>
以下では、光配向方式によって形成する場合における位相差フィルム1の製造方法について説明するが、位相差フィルム1は、賦型UV方式によって形成されたものであってもよい。
図2は、光配向方式による位相差フィルム1の製造方法を示す。まず、(A)ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上にパターン配向層用組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。続いて、(B)この組成物を乾燥機33で熱硬化させて薄膜状のパターン配向層形成用層12’を形成するパターン配向層形成用層形成処理を行う。続いて、(C)パターン配向層形成用層12’に対して紫外線照射装置34,35から紫外線を照射する紫外線照射処理を行う。これら(A)〜(C)の処理によってパターン配向層12が形成される。
続いて、(D)位相差層形成用の重合性液晶組成物を含有する位相差層形成用塗工液の供給装置36から位相差層形成用塗工液13’を塗工し、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用塗工液塗工処理を行う。その後、その後、(E)レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。その後、(F)乾燥機38を用いて位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を液晶相形成温度以上に加温することで、上記パターン配向層12が有する、右目用の領域に対応する第1配向領域12Aと、左目用の領域に対応する第2配向領域12Bとの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる配向処理を行う。この配向処理によって位相差層形成用層は、位相差層13となる。
その後、(G)冷却機39を用いて、長尺ガラスフィルム11/パターン配向層12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行い、(H)紫外線照射装置40を用いて、重合性棒状化合物に紫外線を照射する。そして、(I)フィルムを巻き取りリールに巻き取った後、所望の大きさに切り出す切断処理を行う。上記の工程を経て位相差フィルム1が作製される。
[(A)組成物塗工処理]
まず、ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上にパターン配向層用組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。
〔基材の提供〕
基材11の提供にあたっては、長尺フィルムを連続的に搬送できるものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な搬送手段を用いる方法を用いることができる。具体的には、ロール状の長尺フィルムを供給する巻き出し機及び長尺フィルムを巻き取る巻き取り機等を用いる方法、ベルトコンベア、搬送用ロール等を用いる方法を挙げることができる。また、エアの吐出と吸引とを行うことにより、長尺配向膜形成用フィルムを浮上させた状態で搬送する浮上式搬送台を用いる方法であっても良い。
また、搬送時の長尺フィルムへのテンション付与の有無については、長尺フィルムを安定的に連続搬送できる方法であれば特に限定されるものではないが、所定のテンションを加えた状態で搬送されることが好ましい。より安定的に連続搬送することができるからである。
搬送手段の色としては、長尺フィルムに紫外線が照射される部位に配置される場合には、長尺フィルムを透過した紫外線を反射しない色であることが好ましい。具体的には、黒色であることが好ましい。このような黒色とする方法としては、例えば、表面をクロム処理する方法を挙げることができる。
ロール31の形状としては、安定的に長尺フィルムを搬送することができるものであれば特に限定されるものではないが、長尺フィルムに紫外線が照射される部位に配置される場合には、長尺フィルムの表面と、紫外線照射装置との距離を一定に保つことができるものであることが好ましく、通常、真円形状であることが好ましい。
〔パターン配向層用組成物32の塗工〕
パターン配向層用組成物32を塗工するにあたり、本実施形態では、グラビアコートの手法を適用してパターン配向層用組成物32を塗工しているが、これに限るものではない。具体的には、グラビアコート法のほか、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
パターン配向層形成用層12’の厚さは、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲内であることがより好ましく、0.1μm〜3μmの範囲内であることがさらに好ましい。
[(B)パターン配向層形成用層形成処理]
パターン配向層形成用層形成処理では、乾燥機33を用いてパターン配向層用組成物を熱硬化させる。この処理では、パターン配向層用組成物32が塗工された基材11を乾燥機33に導き、ここでパターン配向層用組成物を熱硬化させた後、半乾きの状態で次の工程に送出する。
パターン配向層用組成物の硬化温度は、100℃以上130℃以下であることが好ましい。100℃未満であると組成物を均一に熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性がある点で好ましくない。130℃を超えると、基材11や薄膜が収縮する可能性があるため、好ましくない。
パターン配向層用組成物の硬化時間は、1分以上10分未満であることが好ましい。1分未満であると、熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性がある点で好ましくない。10分を超えると、ハジキや欠点が発生する可能性や、基材11や薄膜が収縮する可能性があるため、好ましくない。
[(C)紫外線照射処理]
続いて、パターン配向層形成用層12’に対して紫外線を照射する紫外線照射処理について、図3を参照しながら詳しく説明する。
まず、図3の(A)に示すように、右目用の領域に対応する第1配向準備領域12’Aを遮光せず、左目用の領域に対応する第2配向準備領域12’Bだけを遮光したマスク21を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)をパターン配向層形成用層12’に向けて照射することにより、遮光されていない第1配向準備領域12’Aを所望の方向に配向させる。続いて、図3の(B)に示すように、第1配向準備領域12’Aだけを遮光し、第2配向準備領域12’Bを遮光しないマスク22を介して、1回目の照射とは偏光方向が90度異なる直線偏光により紫外線をパターン配向層形成用層12’に向けて照射し、遮光されていない第2配向準備領域12’Bを所望の方向に配向させる。これら2回の紫外線照射により、2種類の配向パターンが形成される。
図3の例では、まず第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射し、その後、第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射しているが、この順番に限るものではなく、まず第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射し、その後、第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射してもよい。
また、図3では、1回目の照射及び2回目の照射の両方でマスク21,22を用いているが、1回目の照射だけでマスク21を用い、2回目の照射ではマスク22を用いない手法もある。この場合、まず、第1配向準備領域12’Aを遮光せず、第2配向準備領域12’Bだけを遮光したマスク21を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)をパターン配向層形成用層12’に向けて照射することにより、遮光されていない第1配向準備領域12’Aを所望の方向に配向させる。続いて、1回目の照射とは偏光方向が90度異なる直線偏光により紫外線をパターン配向層形成用層12’の全面に照射し、1回目の照射では未露光の第2配向準備領域12’Bを所望の方向に配向させる。
マスクのパターン、すなわち、パターン照射のパターンは、右目用の領域に対応する第1配向領域12A(図2参照)と、左目用の領域に対応する第2配向領域12B(同)とを安定的に形成できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば帯状パターン、モザイク状パターン、千鳥配置状パターン等を挙げることができる。中でも、帯状のパターンであることが好ましく、特に、長尺フィルムの長手方向に互いに平行な帯状のパターンであること、すなわち、パターン照射が、長尺フィルムの長手方向に互いに平行な帯状のパターンに偏光紫外線を照射するものであることが好ましい。偏光紫外線の照射位置を固定し、長尺フィルムを長手方向に搬送することで容易に形成できるからである。また、精度良くパターン状に照射できるからである。また、位相差層13における、右目用の領域に対応する第1位相差領域13A及び左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bが形成されているパターンと、表示装置に用いられるカラーフィルタ等において画素が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になるからである。
マスクのパターン幅、すなわち、偏光紫外線の照射幅及び照射間隔(非照射幅)としては、同一であってもよく、あるいは異なっていてもよいが、右目用の領域に対応する領域の幅と左目用の領域に対応する領域との幅は同一であることが好ましい。位相差層13における第1位相差領域13A及び第2位相差領域13Bが形成されているパターンと、画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になり、その結果、フラットパネルディスプレイを容易に製造できるからである。カラーフィルタのストライプラインと位置を合わせる場合は、右目用の領域に対応する領域及び左目用の領域に対応する領域が形成されたパターンと、上記カラーフィルタのストライプパターンとを対応関係となるような幅で照射されることが好ましい。
三次元表示用途の場合、パターン幅は、50μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜800μmの範囲内であることがより好ましい。なお、ここでいうパターン幅は、基材11が安定収縮状態である場合の、パターン配向層12のパターン幅を指す。
マスクを構成する材料としては、所望の開口部を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、紫外線による劣化がほとんどない金属や石英等を挙げることができる。具体的には、SUS等の金属基板をエッチング加工、レーザー加工、又は電鋳加工によりパターンニングし、さらに必要に応じてニッケルメッキ等の表面処理を施したものを用いることができる。また、ソーダライムガラスや石英からなる基板上に、エマルジョン(銀塩)や、クロムからなる遮光膜を有するものとすることができる。
中でも、合成石英にCrをパターニングしたものであることが好ましい。温度・湿度変化等に対する寸法安定性と紫外線透過率とに優れ、パターン配向層用組成物の硬化物からなるパターン配向層形成用層12’に精度良く紫外線を照射でき、結果として精度の高いパターン配向層12を形成できるからである。
合成石英マスクの厚さとしては、寸法精度良くパターンを形成できるものであれば特に限定されるものではないが、1mm〜20mmの範囲内であることが好ましく、5mm〜18mmの範囲内であることがより好ましく、9mm〜16mmの範囲内であることがさらに好ましい。厚さが上述の範囲内であることにより、たわまないものとすることができ、寸法精度の高いものとすることができるとともに、フォトマスクとしてハンドリングする際に重過ぎることがないからである。
偏光紫外線の偏光方向は、右目用の領域に対応する領域に対する偏光方向と、左目用の領域に対応する領域に対する偏光方向とが異なるものであれば特に限定されるものではないが、両者の間で90°異なるものであることが好ましい。第1位相差領域13Aと第2位相差領域13Bとの間で屈折率が最も大きくなる方向(遅相軸方向)を互いに直交する関係とすることができることから、三次元表示が可能な表示装置をより好適に製造できるためである。
90°異なる方向とは、長尺位相差フィルム2を切り出した位相差フィルムを用いて三次元表示が可能な表示装置を形成した際に、精度良く三次元表示を行うことができるものであれば特に限定されるものではないが、通常、90°±3°の範囲内であることが好ましく、90°±2°程度の範囲内であることがより好ましく、90°±1°程度の範囲内であることがさらに好ましい。高性能な三次元表示が可能な表示装置とすることができるからである。
偏光紫外線は、集光されていても良いし、集光されていないものであっても良いが、パターン照射が搬送用ロール上の長尺フィルムに対して行われるような場合、すなわち、偏光紫外線が照射される領域内で、偏光紫外線の光源からの距離の差が生じる場合には、搬送方向に対して集光されていることが好ましい。光源からの距離による影響を低減し、パターン精度良く配向領域を形成することができるからである。
集光方法としては、一般的に用いられる方法、例えば、所望の形状を有する集光リフレクターや集光レンズを用いる方法を挙げることができる。本発明においては、偏光紫外線が搬送方向と直交する方向(幅方向)に対して平行光となるものであることが好ましく、平行化方法としては一般的に用いられる方法、例えば、所望の形状を有する集光リフレクターや集光レンズを用いる方法を挙げることができる。
偏光紫外線の波長は、光配向材料等に応じて適宜設定されるものであり、一般的な光配向材料に配向規制力を発現させる際に用いられる波長とすることができ、具体的には、波長が210nm〜380nm、好ましくは230nm〜380nm、さらに好ましくは250nm〜380nmの照射光を用いることが好ましい。
紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が例示できる。中でも、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等を好ましく用いることができる。
偏光紫外線の生成方法としては、偏光紫外線を安定的に照射できる方法であれば特に限定されるものではないが、一定方向の偏光のみが通過できる偏光子を介して紫外線照射する方法を用いることができる。
このような偏光子としては、偏光光の生成に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、スリット状の開口部を有するワイヤーグリッド型偏光子や、石英板を複数枚積層してブリュースター角を利用して偏光分離する方法や、屈折率の異なる蒸着多層膜のブリュースター角を利用して偏光分離する方法を用いるもの等を挙げることができる。
偏光紫外線の照射量は、所望の配向規制力を有する配向領域を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、波長310nmである場合には、5mJ/cm〜500mJ/cmの範囲内であることが好ましく、7mJ/cm〜300mJ/cmの範囲内であることがより好ましく、10mJ/cm〜100mJ/cmの範囲内であることがさらに好ましい。十分な配向規制力を有する配向領域を形成することができるからである。
偏光紫外線の照射距離、すなわち、偏光紫外線の照射を受ける長尺フィルムの搬送方向の距離としては、各露光処理で上述の照射量とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、ライン速度等に応じて適宜設定することができる。照射距離が短い場合には、パターン精度の高いものとすることが容易となり、照射距離が長い場合には、ライン速度の速い場合でも十分な配向規制力を有する配向領域とすることができるといった利点がある。なお、照射距離を長くする方法としては、各露光処理での偏光紫外線の照射回数を複数回としたり、搬送方向に照射面積を広くする方法を挙げることができる。
薄膜に対して偏光紫外線を照射する際、薄膜の温度が一定となるように温度調節することが好ましい。配向領域を精度良く形成することができるからである。薄膜の温度は、15℃〜90℃であることが好ましく、15℃〜60℃であることがより好ましい。温度調節の方法としては、一般的な加熱・冷却装置等の温度調節装置を用いる方法を挙げることができる。具体的には所定の温度の空気を送風することができる送風装置を用いる方法や、上記搬送手段として、温度調節可能なものを用いる方法、より具体的には、温度調節可能な搬送用ロールやベルトコンベア等を用いる方法を挙げることができる。
[(D)位相差層形成用塗工液塗工処理]
図3に戻り、位相差層形成用塗工液塗工処理について説明する。本実施形態では、位相差層形成用塗工液の供給装置39から位相差層形成用塗工液を塗工している。具体的な塗工の方法としては、パターン配向層12上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、(A)組成物塗工処理で説明したものと同じものを例示できる。
〔位相差層形成用層の厚さ〕
位相差層13は棒状化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものになっているところ、当該位相差性の程度は棒状化合物の種類及び位相差層13の厚さに依存して決定されるものである。したがって、位相差層形成用層の厚さは、所定の位相差性を達成できる範囲内とするものであれば特に限定されるものではなく、位相差フィルム1の用途等に応じて適宜決定されるものである。
[(E)レベリング処理]
続いて、レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。位相差層形成用塗工液からなる位相差層形成用層の厚さは、その後に形成されるパターン位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内となるように塗布することが好ましい。これにより、第1位相差領域13A及び第2位相差領域13Bを通過する直線偏光を、互いに直交関係にある円偏光にすることができ、結果として、より精度良く三次元映像を表示できるためである。
パターン位相差層13の厚さをパターン位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内の距離にする場合、具体的にどの程度の距離にするかは、棒状化合物の種類により適宜決定されることになる。一般的な棒状化合物を用いる場合、当該距離は0.5μm〜2μmの範囲内となるが、これに限られるものではない。
[(F)配向処理]
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記パターン配向層12に含まれる第1配向領域12A及び第2配向領域12Bの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる。棒状化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、乾燥機37を用いて棒状化合物を液晶相形成温度以上に加温することが挙げられる。
本処理によって形成される位相差層13のパターンは、パターン配向層12のパターンと同一となり、右目用の領域に対応する第1配向領域12A上には、右目用の領域に対応する第1位相差領域13Aが形成され、左目用の領域に対応する第2配向領域12B上には、左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bが形成される。
[(G)冷却処理]
その後、冷却機38を用いて、基材11/パターン配向層12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行う。冷却処理は、積層体が室温になる程度まで行えばよい。
[(H)硬化処理]
続いて、重合性棒状化合物を重合し硬化させる硬化処理を行う。重合性棒状化合物を重合させる方法としては、重合性棒状化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、適量の重合開始剤を加えて、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性棒状化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましく、具体的には、パターン配向層12を形成する際に用いた紫外線と同様とすることができる。このような硬化処理を経ることにより、互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成できる。
[(I)位相差フィルム1の作製]
続いて、フィルムを巻き取りリールに巻き取る。その後、フィルムを所望の大きさに切り出す。上記の工程を経て位相差フィルム1が作製される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1> 帯電防止剤のスクリーニング
Figure 0005780268
実施例2及び実施例4に係る帯電防止剤は、下記一般式で表されるジアルキルエタノールアンモニウムである。
Figure 0005780268
比較例1〜17に係る帯電防止剤は次のとおりである。
比較例1:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:DAS−22,荒川化学工業社製)
比較例2:導電性ポリマー(PEDOT)(製品名:SG26,荒川化学工業社製)
比較例3:リチウムイオン系帯電防止剤(製品名:BS1601,荒川化学工業社製)
比較例4:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:1SX−3006,大成ファインケミカル社製)
比較例5:リチウムイオン系帯電防止剤(製品名:サンコールA600−50R,三光化学社製)
比較例6:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−A2,広栄化学工業社製)
比較例7:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−A5,広栄化学工業社製)
比較例8:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−A12,広栄化学工業社製)
比較例9:4級ホスホニウム塩(製品名:IL−AP3,広栄化学工業社製)
比較例10:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−MA2,広栄化学工業社製)
比較例11:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−MA3,広栄化学工業社製)
比較例12:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−S2,広栄化学工業社製)
比較例13:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:IL−P14,広栄化学工業社製)
比較例14:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:ILP14−2,広栄化学工業社製)
比較例15:界面活性剤タイプの帯電防止剤(製品名:ME−2,化研産業社製)
比較例16:アルカノール基不含の4級アンモニウム塩(製品名:H6500,三菱化学社製)
比較例17:陰イオン性界面活性剤(製品名:ME−2,花王社製)
図2で説明した製造工程を経て実施例、参考例及び比較例に係る位相差フィルムを得た。その際、基材の搬送速度は10m/minとした。
まず、光二量化部位と熱架橋部位との両方を有する光配向材料(商品名:ROP−103,ロリック社製)100質量部を、PGME900質量部に溶解させてパターン配向層用組成物を得た。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶かした液晶材料(商品名:licrivue(登録商標) RMS03−013C,メルク社製)100質量部に対し、表1に記載の帯電防止剤0.3質量部を均一に溶かし、パターン位相差層用組成物を得た。
その後、表面に防眩処理が施されたTAC基材(商品名:TD60UC,富士フィルム社製)の裏面に、上記パターン配向層用組成物を、硬化後の膜厚が200nmとなるようにグラビアコート法にて塗布した。そして、100℃に調整した乾燥機内に2分間流し、溶媒を蒸発させた。これによって、厚さ200nmの薄膜が形成された。
この薄膜に対して、ワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して45°の方向)を原反の搬送方向と平行な方向に幅500μmのストライプパターンをクロムで合成石英上に形成したマスクを介して照射した。続いて、マスクを通さないでワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して−45°の方向)を照射した。このとき、紫外線照射装置は、「Hバルブ」(フュージョン社製)を用いた。また、偏光紫外線の波長は313nmとし、積算光量は40mJ/cmとした。積算光量の測定は、紫外線光量計「UV−351」(オーク製作所社製)を用いて測定した。上記の工程を経てパターン配向膜を得た。
続いて、偏向紫外線の照射後、時間をおかずに、実施例及び比較例に係るパターン位相差層用組成物をパターン配向膜上にダイコート法にて塗布した。その後、レベリング処理を行い、パターン位相差層用組成物の層厚を1μmにし、60℃に調整した第1乾燥機内に1分間、95℃に調整した第2乾燥機内に0.5分間、105℃に調整した第3乾燥機内に0.5分間流し、室温近傍まで冷却した。
積層体を乾燥、冷却した後、上記の紫外線照射装置と同型の紫外線照射装置を用いて波長260nmの紫外線を積算光量が300mJ/cmとなるまで照射した。上記の工程を経て、実施例、参考例及び比較例に係る位相差フィルムを得た。
[評価]
実施例、参考例及び比較例に係るパターン位相差フィルムについて、棒状化合物の配向状態及び帯電防止効果を評価した。
〔棒状化合物の配向状態〕
まず、棒状化合物の配向状態を評価した。配向状態は、当該フィルムをクロスニコル状態で観察し黒輝度を評価した。黒輝度が13cd/m未満である場合を「優良」とし、13cd/m以上20cd/m未満である場合を「良」とし、20cd/m以上である場合を「不良」とした。結果を表2に示す。
〔帯電防止効果〕
また、実施例、参考例及び比較例に係る位相差フィルムについて、帯電防止効果を評価した。帯電防止効果は、抵抗率計ハイレスタUP MCP−HT450型(三菱化学アナリテック社製)を用い、表面抵抗値を測定することによって行った。結果を表2に示す。
Figure 0005780268
パターン配向層、パターン位相差層の少なくとも一方が、一般式R−N−(R’−OH)4−nで表される4級アンモニウムを含有する組成物の硬化物である場合、帯電防止層を個別に形成することなく、配向方向を厳密に制御でき、基材との密着性及び帯電防止性のいずれにも優れたパターン位相差フィルムを提供できることが確認された(実施例2及び4)。
一方、帯電防止剤が4級アンモニウムでない場合、又は4級アンモニウムであってもアルカノール基を有しない場合、帯電防止層を個別に形成しないと、配向方向の厳密な制御、基材との密着性又は帯電防止性のいずれかが不十分なものとなり、好ましくないことが確認された(比較例1〜14)。
<試験例2> 帯電防止剤をパターン配向層用組成物として使用する場合の好適な使用量
Figure 0005780268
表3に記載の帯電防止剤Aは、参考例1で用いた帯電防止剤と同じであり、N−ヒドロキシアルキルピリジニウムを含有する組成物である。また、表3に記載の帯電防止剤Bは、実施例4で用いた帯電防止剤と同じであり、R2−N−(C24−OH)で表されるジアルキルジエタノールアンモニウムを含有する組成物である。
まず、光二量化部位と熱架橋部位との両方を有する光配向材料(商品名:ROP−103,ロリック社製)100質量部と、表3に記載の種類及び量の帯電防止剤とを、PGME900質量部に均一に溶解させてパターン配向層用組成物を得た。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶かした液晶材料(商品名:licrivue(登録商標) RMS03−013C,メルク社製)をパターン位相差層用組成物とした。
その他については、試験例1と同じ方法にて、実施例、参考例及び比較例に係る位相差フィルムを得た。
[評価]
実施例、参考例及び比較例に係るパターン位相差フィルムについて、棒状化合物の配向状態及び帯電防止効果を実施例1と同様の手法で評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005780268
帯電防止剤をパターン配向層用組成物として使用する場合、帯電防止剤の含有量が組成物100質量部に対して0.03質量部以上0.5質量部未満であるのが特に好適であり、帯電防止層を個別に形成することなく、配向方向を厳密に制御でき、基材との密着性及び帯電防止性のいずれにも優れたパターン位相差フィルムを提供できることが確認された。
一方、帯電防止剤の含有量が少なすぎると帯電防止効果に劣り、多すぎると帯電防止剤の種類によっては配向方向を厳密に制御できない可能性があることが確認された。
<試験例3> 帯電防止剤をパターン位相差層用組成物として使用する場合の好適な使用量
Figure 0005780268
表5に記載の帯電防止剤A及びBは、表3に記載の帯電防止剤A及びBと同じである。そして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶かした液晶材料(商品名:licrivue(登録商標) RMS03−013C,メルク社製)100質量部に、表5に記載の種類及び量の帯電防止剤を均一に溶かし、パターン位相差層用組成物を得た。
その他については、試験例1と同じ方法にて、実施例、参考例及び比較例に係る位相差フィルムを得た。
<評価>
実施例、参考例及び比較例に係るパターン位相差フィルムについて、棒状化合物の配向状態及び帯電防止効果を実施例1と同様の手法で評価した。結果を表6に示す。
Figure 0005780268
帯電防止剤をパターン配向層用組成物として使用する場合、帯電防止剤の含有量が組成物100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部未満であるのが好適であり、帯電防止層を個別に形成することなく、配向方向を厳密に制御でき、基材との密着性及び帯電防止性のいずれにも優れたパターン位相差フィルムを提供できることが確認された。
一方、帯電防止剤の含有量が少なすぎると帯電防止効果に劣り、多すぎると配向方向を厳密に制御できない可能性があることが確認された。
1 パターン位相差フィルム
11 基材
12 パターン配向層
13 パターン位相差層

Claims (5)

  1. 基材、三次元表示用途のパターン配向層、三次元表示用途のパターン位相差層の順に形成され、
    前記三次元表示用途のパターン配向層、前記三次元表示用途のパターン位相差層の少なくとも一方は、一般式R−N−(R’−OH)4−nで表されるアンモニウムカチオンを含む4級アンモニウム塩化合物を含有する組成物の硬化物である、三次元表示用途のパターン位相差フィルム。
    (一般式中、Rはアルキル基を示し、R’−OHはアルカノール基を示し、nは1,2又は3である。nが2又は3である場合、2以上のアルキル基はそれぞれ同じであってもよいし、異なってもよい。また、nが1又は2である場合、2以上のアルカノール基はそれぞれ同じであってもよいし、異なってもよい。)
  2. 前記4級アンモニウム塩化合物が帯電防止剤である、請求項1に記載の三次元表示用途のパターン位相差フィルム。
  3. 前記アルキル基の炭素数は20以下である、請求項1又は2に記載の三次元表示用途のパターン位相差フィルム。
  4. 前記アルカノール基の炭素数は5以下である、請求項1から3のいずれかに記載の三次元表示用途のパターン位相差フィルム。
  5. 前記4級アンモニウム塩化合物が前記三次元表示用途のパターン配向層に含まれている場合、前記4級アンモニウム塩化合物の含有量はパターン配向層用組成物100質量部に対して0.03質量部以上0.5質量部未満であり、
    前記4級アンモニウム塩化合物が前記三次元表示用途のパターン位相差層に含まれている場合、前記4級アンモニウム塩化合物の含有量はパターン位相差層用組成物100質量部に対して0.03質量部以上1.0質量部未満である、請求項1から4のいずれかに記載の三次元表示用途のパターン位相差フィルム。
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