JP2015200725A - 位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面粗さRaの粗い基材の面上に、配向膜、位相差層を積層させてなる位相差フィルムにおいて、良好な配向性を発揮させることができる位相差フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る位相差フィルム1は、基材11と、配向膜12と、位相差層13とがこの順で積層されたものであって、基材11における配向膜12を形成する面の表面粗さRaが50nm以上であり、配向膜12が、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物により構成されている。【選択図】図7

Description

本発明は、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法、詳しくは、基材と、配向膜と、位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルム及びその製造方法に関する。
例えば、近年、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが提供されている。3次元画像表示では、通常、パッシブ方式等により右目用の映像と、左目用の映像とを、それぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供することが必要となる。
パッシブ方式では、画像表示パネルの垂直方向に連続する画素を、順次交互に右目用及び左目用に割り当て、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の映像と左目用の映像とを同時に表示する。また、画像表示パネルのパネル面にパターン位相差フィルムを配置し、右目用及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で方向の異なる円偏光に変換する。これにより、パッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなるめがねを装着して、右目用の映像と左目用の映像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供する。
このようなパターン位相差フィルム等の位相差フィルムは、透明フィルム材による基材に、配向膜、位相差層(液晶層)が順次設けられる。位相差フィルムは、この位相差層が液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を配向膜の配向規制力によりパターンニングする。なお、配向規制力を発揮する配向膜は、例えば特許文献1、2に記載のように種々の作製手法により作製される。そして、このパターンニングにより、例えば、液晶表示パネルにおける画素の割り当てに対応して、一定の幅により右目用の領域と左目用の領域とが順次交互に形成され、右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。
ところで、一般的に、位相差フィルムにおいては、その透明フィルム材からなる基材に対して、巻き取り用としてブロッキング等を防止するための種々のブロッキング防止処理を施して、ハンドリング性を向上させることが行われている。ブロッキング防止処理としては、例えば、フィラー等を練り込ませることでブロッキングを防止する処理や、ナーリング処理等が挙げられる。ところが、ブロッキング防止処理が施された基材では、その基材表面に凹凸が形成され、表面が粗いものとなる。
このようなブロッキング防止処理が施され、表面が粗くなった基材では、その表面井配向膜組成物を塗布して配向膜を形成させると、位相差層における液晶化合物の配向が悪化する傾向がある。そのため、表面はできるだけ平坦にすることが望ましいが、両面を平坦化させると、上述のようにブロッキングが生じてハンドリング性が悪くなる。
そのため、基材の片面のみを粗い面にする、若しくは、基材上に粗い層を積層する等の工夫が必要となっていた。しかしながら、その基材に対して、例えばAG層(防眩処理層)等を塗布する場合、良好な塗工性や物性を発揮させるためには基材の平坦な面に塗布しなければならないという制約があり、その結果、配向膜や位相差層は、基材の粗い面に塗布することが必要となっていた。
特開2005−49865号公報 特開2010−152296号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、基材における表面粗さRaの粗い面上に、配向膜、位相差層を積層させてなる位相差フィルムにおいて、良好な配向性を発揮させることができる位相差フィルム及びその製造方法を提供する。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、基材における表面粗さRaの粗い(例えばRa=50nm以上)の面上に、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物を塗布して配向膜を形成することによって、良好な配向性を発揮する位相差フィルムとなることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、基材と、配向膜と、位相差層とがこの順で積層された位相差フィルムであって、前記基材における配向膜を形成する面の表面粗さRaが50nm以上であり、前記配向膜は、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物により構成されていることを特徴とする位相差フィルムである。
(2)また本発明は、(1)に係る発明において、前記配向膜組成物は、前記光二量化型材料100質量部に対し0.2質量部〜10質量部の割合で前記光増感剤を含有することを特徴とする位相差フィルムである。
(3)また本発明は、(1)又は(2)に係る発明において、前記光二量化型材料が、シンナメートを有するポリマーであることを特徴とする位相差フィルムである。
(4)また本発明は、(1)乃至(3)の何れかに係る発明において、前記光増感剤は、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ニトロフルオレン、2−ニトロフルオレノン、5−ニトロアセナフテン、及び9−ヒドロキシメチルアントラセンからなる群より選択される少なくも1種であることを特徴とする位相差フィルムである。
(5)本発明は、基材と、配向膜と、位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルムの製造方法であって、前記基材における配向膜を形成する面の表面粗さRaが50nm以上であり、前記基材上に、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物を塗工することによって前記配向膜を形成することを特徴とする位相差フィルムの製造方法である。
本発明によれば、光二量化型材料と光増感剤とを含む配向膜組成物により配向膜を構成することで、表面粗さRaの粗い基材面に対して配向膜と、位相差層とを順次積層させた場合であっても、良好な配向性を発揮する位相差フィルムとすることができる。
位相差フィルムの一例を示す概略図である。 光配向方式によって配向パターンを形成する手法を模式的に示す図である。 基材の表面に凹凸が形成されていない面(平坦面:Ra=20nm以下)について原子間力顕微鏡を用いて観察したときの観察像である。 基材の表面に凹凸が形成されて粗くなった面(粗面:Ra=50μm〜100nm)について原子間力顕微鏡を用いて観察したときの観察像である。 平坦面と粗面とを有する基材を用いて、平坦面に対して配向膜と位相差層とを順次積層させたときの配向性と、粗面に対して配向膜と位相差層とを順次積層させたときの配向性について調べた結果を示す図(顕微鏡観察像)である。 位相差フィルムの製造工程の流れを模式的に示す図である。 実施例1(A)、比較例1(B)にて作製した位相差フィルムの配向性について評価したときの顕微鏡観察像である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更が可能である。
≪1.位相差フィルム≫
図1は、本実施の形態に係る位相差フィルム1の一例を示す図である。この位相差フィルム1は、基材11と、配向膜12と、重合性液晶組成物の硬化物を含む位相差層13とがこの順に積層されてなる。
なお、この図1に示す位相差フィルム1では、基材11上に形成する配向膜12として、配向パターンを有するパターン配向膜を形成させた場合を例示するが、パターン状に形成したものに限られず、基材11上にベタ状に形成したベタ膜からなるものでもよい。
<1−1.基材>
(1)基材について
基材11は、透明フィルム材であり、配向膜12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。基材11は、位相差が小さいことが好ましく、面内位相差(面内レターデーション値、以下「Re値」ともいう。)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。Re値が10nmを超えると、例えばパターン配向膜を用いたフラットパネルディスプレイの表示品質が悪くなる可能性がある点で好ましくない。
Re値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標をいい、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとしたとき、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
基材11の可視光領域における透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透明フィルム基材の透過率は、例えばJIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
基材11は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。このようなフレキシブル材としては、アクリル系ポリマー(アクリル樹脂)、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類等を例示することができる。
基材11の厚さとしては、配向膜を用いて製造される位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、25μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、40μm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、60μm〜80μmの範囲内であることがさらに好ましい。基材11の厚さが25μm未満であると、位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合がある。一方で、厚さが125μmを超えると、位相差フィルムが長尺状である場合に、長尺状の位相差フィルムを裁断加工して枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合がある。
基材11は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、基材11は、後述する配向膜12を形成する側とは反対側の面(裏面)に、防眩(AG)処理等が施されたものを用いることができる。
(2)基材の表面粗さと配向性
ここで、位相差フィルム1を構成する透明フィルム材からなる基材11は、一般的に、巻き取り用としてブロッキング等を防止するための種々のブロッキング防止処理が施され、ハンドリング性を向上させるようにしている。ブロッキング防止処理としては、例えば、フィラー等を練り込ませることでブロッキングを防止する処理や、ナーリング処理等が挙げられるが、このようなブロッキング防止処理が施された基材では、その基材表面に凹凸が形成され、表面が非常に粗いものとなる。具体的には、例えば、表面粗さRaが50nm以上の凹凸を有する「粗面」となる。
図2は、透明フィルム材である基材(一例としてアクリル樹脂からなる基材を使用)の表面に凹凸が形成されていない面(平坦面:Ra=20nm以下)について原子間力顕微鏡を用いて観察したときの観察像である。これに対して、図3は、アクリル基材の表面に凹凸が形成されて粗くなった面(粗面:Ra=50nm〜100nm)について原子間力顕微鏡を用いて観察したときの観察像である。なお、図2及び図3の(A)が、走査範囲を5μmとしたときのそれぞれの観察像であり、図2及び図3の(B)が、走査範囲を90μmとしたときのそれぞれの観察像である。
図2、図3の対比観察から分かるように、ブロッキング防止処理等が施された基材の粗面(表面粗さRa=50nm〜100nm)においては、非常に大きな凹凸が形成されて粗くなっていることが分かる。
次に、図4に、上述した図2及び図3にて観察したような、平坦面と粗面とを有する透明フィルム材からなる基材を用いて、平坦面に対して配向膜と位相差層とを順次積層させたときの位相差フィルムの配向性と、粗面に対して配向膜と位相差層とを順次積層させたときの位相差フィルムの配向性について調べた結果を表形式で示す。配向性の評価は、クロスニコルに配置した2枚の偏光板の間にして2枚の偏光板を通過する光の状態の変化を偏光顕微鏡にて観察することによって行い、配向性が良好だったものを「○」、配向性が悪かったものを「△」や「×」で評価した。
なお、図4に結果を示す配向性の実験においては、アクリル基材を用い、従来一般的に用いられている配向膜組成物及び液晶組成物を使用して配向膜と位相差層とを順に積層形成し、位相差フィルムとした。また、図4の(A)と(B)とでは、配向膜の形成時、位相差層の形成時において異なる乾燥条件としたものであり、図4(B)に結果を示す実験では比較して短時間で乾燥処理を行う条件とした。
図4の顕微鏡観察像から明らかなように、基材の平坦面に比べて、表面粗さRaが50nm以上の粗面に配向膜と位相差層とを順次積層させた場合、配向性が悪化(「△」、「×」)してしまうことが分かる。
一般的に、位相差フィルムを構成する基材に対しては、上述したように例えばAG層等を塗布する場合が多く、良好な塗工性や物性を発揮させるためにAG層は基材の平坦面に塗布することが必要となる。そのため、配向層や位相差層は、基材における粗面上に形成することが必要となってしまうため、粗面に配向膜、位相差層を形成した場合であっても、良好な配向性を発揮させるようにすることが求められている。
そこで、本実施の形態においては、後述するように、その配向膜12について、光二量化型材料と、光増感剤とを含有させたものとする。
<1−2.配向膜>
配向膜12は、基材11上に配向膜用組成物(配向膜組成物)を塗工して硬化させることによって得られる硬化物である。本実施の形態に係る位相差フィルム1においては、この配向膜12が、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物により構成された光配向膜であることを特徴としている。この光配向膜からなる配向膜12では、偏光照射により光配向性を発揮する光二量化型材料による光照射によって、位相差層(液晶層)に含まれる液晶化合物を配向させる(光配向方式)。
なお、配向膜12を構成する配向膜は、パターン状に形成したパターン配向膜であっても、基材11上にベタ状に形成したベタ膜であってもよい。
(1)配向膜用組成物(配向膜組成物)について
配向膜12は、上述したように、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料である光二量化型材料と、光増感剤とを含有する。本実施の形態に係る位相差フィルム1では、このように、光増感剤を含有させた配向膜12を構成することによって、配向性を効果的に向上させることができる。
(光二量化型材料)
光配向材料とは、偏光紫外線の照射により配向規制力を発現できる材料をいう。配向規制力とは、光配向材料を含む配向膜を形成し、この配向膜上に液晶化合物(位相差層形成用の重合性液晶組成物)からなる層を形成したとき、液晶化合物を所定の方向に配列させる機能をいう。
光配向材料のうち、光二量化型材料は、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料の一種である。この光二量化型材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであるため、不可逆的に配向規制力を発現することが可能となり、配向規制力の経時安定性において優れる。また、光二量化型材料は、光二量化反応が生じることによって配向規制力を発現するものであり、安定性及び反応性(感度)等の観点から、その他一般的に使用される光配向材料である光分解型材料や光結合型材料、光分解−結合型材料等と比較して好適に用いることができる。
光二量化型材料としては、光二量化反応が生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されないが、配向規制力が良好であるという点から、光二量化反応が生じる光の波長が280nm以上のものであることが好ましく、280nm〜400nmの範囲内のものであることがより好ましく、300nm〜380nmの範囲内のものであることがさらに好ましい。このような光二量化型材料としては、シンナメート、シンナモイル、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又はシンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーが挙げられる。その中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが特に好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、及びWO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
なお、光二量化型材料としては、1種類単独であってもよく、2種類以上を混合させて用いてもよい。
(光増感剤)
本実施の形態に係る位相差フィルム1では、光増感剤を含有させた配向膜12を構成させることが重要となる。光増感剤は、配向膜の重合反応において、カチオン重合又はラジカル重合の反応性を向上させるとともに、本実施の形態においては、配向膜組成物中に光二量化型材料と共に光増感剤を含有させることによって液晶化合物の配向性を向上させることができる。したがって、これにより、基材における、表面粗さRaが例えば50nm以上といった粗面に対して配向膜、位相差層を形成した場合であっても、良好な配向性を発揮する位相差フィルムを製造することができる。
具体的に、光増感剤としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2−ニトロフルオレン、2−ニトロフルオレノン、5−ニトロアセナフテン、及び9−ヒドロキシメチルアントラセン等を挙げることができる。その中でも、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノンを用いることが特に好ましい。
また、光増感剤の含有量としては、特に限定されないが、上述した光二量化型材料100質量部に対して0.2質量部〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.5質量部〜7質量部の範囲内であることがより好ましい。光増感剤の含有量が光二量化型材料100質量部に対して0.2質量部未満であると、位相差フィルムにおける配向性の向上効果が十分に得られない可能性がある。一方で、含有量が10質量部を超えると、透過率の低下や塗膜の荒れが生じる可能性がある。
(溶媒)
上述した光二量化型材料や光増感剤は、溶媒により溶解されていることが好ましい。これにより、基材11に対する配向膜組成物からなる塗工液の塗工性を高めることができる。溶媒としては、上述した光配向材料や光増感剤を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでない。
具体的には、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒などを挙げることができる。これらのような溶媒は、1種類単独であってもよいし、2種類以上の混合溶媒であってもよい。
また、溶媒の量としては、特に限定されないが、光配向材料100質量部に対して600質量部〜3900質量部程度であることが好ましい。溶媒の量が600質量部未満であると、光配向材料を均一に溶かすことができない可能性がある。一方で、溶媒の量が3900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、基材上に配向膜組成物を塗工したときに、その残存した溶媒が基材に浸透してしまい、その結果として、光配向性と、基材に対する密着性との両方が低下する可能性がある。
(その他)
配向膜組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含有するものであってもよい。例えば、添加剤として密着向上剤等を含有させることができる。密着向上剤は、基材11上に配向膜組成物を塗工したとき、基材11と化学反応を起こして基材11の表面を荒らし、基材11と配向膜組成物の硬化物からなる配向膜12との密着性を高める機能を有する。
密着向上剤の例としては、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレートが挙げられる。PETA等を密着向上剤として用いる場合、その量としては、例えば光配向材料100質量部に対して25質量部以下程度であることが好ましい。
上述したように、本実施の形態に係る位相差フィルム1においては、配向膜12が、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物により構成された光配向膜であることを特徴としている。このような配向膜組成物から構成された配向膜12を基材11上に形成することによって、基材11における表面粗さRaが50nm以上の粗面に対して配向膜12、位相差層13を形成した場合であっても、配向性の悪化を抑制して、優れた配向性を発揮する位相差フィルム1とすることができる。
(2)配向膜組成物を用いた配向膜の形成について
上述したように、本実施の形態においては、配向膜12をパターン状に形成(パターン配向膜を形成)するにあたり、光配向方式によって形成することができる。以下、光配向方式によって配向パターンを形成する手法について簡単に説明する。
図5は、光配向方式によって配向パターンを形成する手法の一例を模式的に示した図である。先ず、基材11上に配向膜組成物(パターン配向膜組成物)を塗工し、この配向膜組成物を加熱乾燥させて薄膜状のパターン配向膜形成用層12’を形成する。その後、図5(A)に示すように、右目用の領域に対応する第1配向準備領域12’Aを遮光せず、左目用の領域に対応する第2配向準備領域12’Bだけを遮光したマスク21を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)をパターン配向膜形成用層12’に向けて照射する。この操作により、遮光されていない第1配向準備領域12’Aを所望の方向に配向させた後、続いて図5(B)に示すように、1回目の照射とは偏光方向が90度異なる直線偏光により紫外線をパターン配向膜形成用層12’の全面に照射し、1回目の照射では未露光の第2配向準備領域12’Bを所望の方向に配向させる。これら2回の紫外線照射により、2種類の配向パターンを有する配向膜(パターン配向膜)12が形成される。
なお、図5に示した例では、第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射し、その後、第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射しているが、この順番に限るものではなく、第2配向準備領域12’Bに偏光紫外線を照射し、その後、第1配向準備領域12’Aに偏光紫外線を照射してもよい。また、図5に示した例では、1回目の照射のときだけマスク21を用い、2回目の照射のときにはマスクを用いていないが、2回目の照射のときについても1回目の照射のときと同様、マスクを用いてもよい。この場合、1回目の照射のときに光を照射した領域だけを遮光することになる。
配向膜12の厚さとしては、後述する位相差層13における液晶化合物に対して所望の配向規制力を発現できる範囲内であれば特に限定されないが、50nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。厚さが50nm未満であると、液晶化合物に対して所望の配向規制力を発現できない可能性がある。一方で、厚さが1000nmを超えると、密着力が低減する可能性がある。
<1−3.位相差層(液晶層)>
位相差層13は、重合性液晶組成物(以下、単に「液晶組成物」ともいう)を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(棒状化合物)を含有する。なお、配向膜12をパターン配向膜により構成した場合、この位相差層13は、その配向パターンに沿って形成されるため、図1に示すように、右目用の領域に対応する第1位相差領域13Aと、左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bとを有するようになる。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物(以下、単に「液晶化合物」ともいう)は、屈折率異方性を有し、規則的に配列することにより所望の位相差性を付与する機能を有する。液晶化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶化合物を用いることがより好ましい。ネマチック相を示す液晶化合物としては、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶化合物は、柔軟性に優れるため、このような液晶化合物を用いることによって位相差フィルム1を透明性に優れたものにすることができる。
液晶化合物は、上述したように分子内に重合性官能基を有する重合性液晶化合物である。重合性官能基を有することにより、液晶化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくくなる。また、重合性液晶化合物は、分子内に三次元架橋可能な重合性官能基を有することがより好ましい。三次元架橋可能な重合性官能基を有することにより、配列安定性をより一層に高めることができる。なお、「三次元架橋」とは、液晶性分子を互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることをいう。
重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線によって重合するものを挙げることができる。これら重合性官能基としては、ラジカル重合性官能基が挙げられる。ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例として、置換基を有する若しくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。
さらにまた、重合性液晶化合物は、末端に重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような液晶化合物を用いることにより、例えば、互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差フィルム1を形成することができる。
また、液晶化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。例えば、液晶化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物と片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶化合物とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる。また、信頼性確保の観点からは両末端に重合性官能基を1つ以上有する重合性液晶化合物を用いることが好ましいが、液晶配向の観点からは両末端の重合性官能基が1つであるものを用いることが好ましい。
液晶化合物の量としては、配向膜12上に塗布する塗布方法に応じて位相差層形成用塗工液(液晶組成物)の粘度を所望の値に調整できれば特に限定されないが、重合性液晶組成物中の量として5質量部〜40質量部の範囲内であることが好ましく、10質量部〜30質量部の範囲内であることがより好ましい。液晶化合物の量が5量部未満であると、含有量が少なすぎるために位相差層13への入射光を適切に配向できない可能性がる。一方で、30質量部を超えると、重合性液晶組成物の粘度が高くなりすぎるため作業性が悪くなる。
(溶媒)
上述した液晶化合物は、通常、溶媒に溶かされている。溶媒は、これら液晶化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が挙げられる。また、溶媒は、1種類単独であってもよく、2種類以上の混合溶媒であってもよい。
また、溶媒の量としては、液晶化合物100質量部に対して66質量部〜900質量部であることが好ましい。溶媒の量が66質量部未満であると、液晶化合物を均一に溶かすことができない可能性がある。一方で、900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、信頼性が低下する可能性があり、また均一に塗工できない可能性がある。
(他の化合物)
その他、重合性液晶組成物は、必要に応じて他の添加剤を含むものであってもよい。他の添加剤としては、上述した液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されず、例えば、レベリング剤、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
位相差層13の厚さとしては、所定の位相差性を達成できる範囲内であれば特に限定されないが、位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当する厚みであることが好ましい。ここで、λは波長500nmである。これにより、例えば、位相差層13を通過する直線偏光を互いに直交関係にある円偏光にすることができるため、より精度良く3次元映像を表示できる。
≪2.位相差フィルムの製造方法≫
次に、位相差フィルム1の製造方法について説明する。なお、以下では、配向膜12がパターン配向膜からなるものを例にして位相差フィルム1の製造方法について説明するが、これに限られない。
図6は、光配向方式による位相差フィルム1の製造方法の工程の流れを模式的に示す図である。先ず、(A)ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上に配向膜組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。続いて、(B)この配向膜組成物を乾燥機33で熱硬化させて薄膜状のパターン配向膜形成用層12’を形成するパターン配向膜形成用層形成処理を行う。続いて、(C)パターン配向膜形成用層12’に対して紫外線照射装置34,35から紫外線を照射する紫外線照射処理を行う。これら(A)〜(C)の処理によって配向膜(パターン配向膜)12が形成される。
続いて、(D)位相差層形成用の重合性液晶組成物を含有する位相差層形成用塗工液の供給装置36から位相差層形成用塗工液13’を塗工し、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用塗工液塗工処理を行う。その後、(E)レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。その後、(F)乾燥機38を用いて位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる液晶化合物を液晶相形成温度以上に加温することで、配向膜12が有する、右目用の領域に対応する第1配向領域12Aと、左目用の領域に対応する第2配向領域12Bとの異なる配向方向に沿って、液晶化合物を配列させる配向処理を行う。この配向処理によって位相差層形成用層は、位相差層13となる。
その後、(G)冷却機39を用いて、基材11/配向膜12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行い、(H)紫外線照射装置40を用いて、液晶化合物に紫外線を照射する。そして、(I)フィルムを巻き取りリール41に巻き取った後、所望の大きさに切り出す切断処理を行う。このような工程を経て位相差フィルム1が作製される。
[(A)組成物塗工処理]
先ず、ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上に配向膜組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。基材11の提供にあたっては、長尺フィルムを連続的に搬送できれば特に限定されず、一般的な搬送手段を用いる方法により基材11を提供することができる。
ここで、本実施の形態においては、配向膜組成物32として、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物を用いることを特徴としている。このような配向膜組成物から構成された配向膜12を基材11上に形成することによって、基材11において表面粗さRaが50nm以上の粗面に対して配向膜12、位相差層13を形成した場合であっても、配向性の悪化を抑制して、優れた配向性を発揮する位相差フィルム1とすることができる。
配向膜組成物32を塗工するにあたり、例えばグラビアコート法を適用して配向膜組成物32を塗工することができるが、これに限るものではない。例えば、グラビアコート法のほか、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
パターン配向膜形成用層12’の厚さとしては、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されないが、例えば0.5μm〜10μm程度の範囲内であることが好ましく、1μm〜5μm程度の範囲内であることがより好ましい。
[(B)パターン配向膜形成用層形成処理]
パターン配向膜形成用層形成処理では、乾燥機33を用いて配向膜組成物を熱硬化させる。この処理では、積層体を乾燥機33に導き、ここで配向膜組成物を熱硬化させた後、半乾きの状態で次の工程に送出する。
配向膜組成物の硬化温度としては、80℃〜130℃程度であることが好ましい。硬化温度が80℃未満であると組成物を均一に熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性がある。一方で、硬化温度が130℃を超えると、基材11や薄膜が収縮する可能性がある。また、配向膜組成物の硬化時間としては、1以上10分未満であることが好ましい。硬化時間が1分未満であると、熱硬化できず、薄膜が不均一になる可能性がある。一方で、硬化時間が10分を超えると、ハジキや欠点が発生する可能性や、基材11や薄膜が収縮する可能性がある。
[(C)紫外線照射処理]
続いて、パターン配向膜形成用層12’に対して紫外線を照射する。偏光紫外線の照射量としては、所望の配向規制力を有する配向領域を形成できるようにする必要があり、波長310nmである場合、5mJ/cm〜500mJ/cmの範囲内であることが好ましく、5mJ/cm〜300mJ/cmの範囲内であることがより好ましく、5mJ/cm〜100mJ/cmの範囲内であることがさらに好ましい。
薄膜に対して偏光紫外線を照射する際、薄膜の温度が一定となるように温度調節することが好ましく、これにより、配向領域を精度良く形成することができる。薄膜の温度としては、15℃〜90℃であることが好ましく、15℃〜60℃であることがより好ましい。温度調節の方法としては、一般的な加熱・冷却装置等の温度調節装置を用いる方法を挙げることができる。
[(D)位相差層形成用塗工液塗工処理]
次に、位相差層形成用塗工液塗工処理について説明する。本実施の形態においては、位相差層形成用塗工液の供給装置36から位相差層形成用塗工液を塗工している。具体的な塗工の方法としては、配向膜12上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されず、グラビアコート法やダイコート法等の(A)組成物塗工処理で説明したものと同様の方法を例示することができる。
位相差層13は重合成液晶化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものになっているところ、その位相差性の程度は重合成液晶化合物の種類及び位相差層13の厚さに依存して決定されるものである。したがって、位相差層形成用層の厚さは、所定の位相差性を達成できる範囲内であれば特に限定されず、位相差フィルム1の用途等に応じて適宜決定することができる。
[(E)レベリング処理]
続いて、レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。位相差層形成用塗工液からなる位相差層形成用層の厚さは、その後に形成される位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内となるように塗布することが好ましい。位相差層13の厚さを位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内の距離にする場合、具体的にどの程度の距離にするかは、液晶化合物の種類により適宜決定することができる。なお、一般的な液晶化合物を用いる場合、その距離は0.5μm〜2μmの範囲内となるが、これに限られない。
[(F)配向処理]
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる液晶化合物を、配向膜12に含まれる第1配向領域12A及び第2配向領域12Bの異なる配向方向に沿って、液晶化合物を配列させる。液晶化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されず、例えば、乾燥機38を用いて液晶化合物を液晶相形成温度以上に加温する方法が挙げられる。
このような処理によって形成される位相差層13のパターンは、配向膜12のパターンと同一となり、右目用の領域に対応する第1配向領域12A上には、右目用の領域に対応する第1位相差領域13Aが形成され、左目用の領域に対応する第2配向領域12B上には、左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bが形成される。なお、例えば、偏光板クロスニコルの中にサンプルを入れて、サンプルを回転させた場合に明線と暗線が反転することを確認することにより、その配向性を評価することができる。
乾燥機38を用いて液晶化合物を液晶相形成温度以上に加温する際、液晶化合物が所望の方向に配列されるだけでなく、位相差層形成用塗工液の塗膜が乾燥される。塗膜の乾燥は、残留する溶媒量に応じて適宜調整すればよいが、塗膜に当てる乾燥風の風速としては、3m/秒以下であることが好ましく、0.5m/秒以下であることがより好ましい。
また、温度条件としては、用いた液晶の液晶→等方相転移温度にもよるが、40℃〜150℃程度の範囲内であることが好ましく、50℃〜120℃程度の範囲内であることがより好ましく、55℃〜110℃程度の範囲内であることがさらに好ましい。また、乾燥時間としては、0.2分〜30分程度の範囲内であることが好ましく、0.5分〜20分程度の範囲内であることがより好ましく、1分〜10分程度の範囲内であることがさらに好ましい。この条件であることにより、安定的に溶媒を除去することができる。
[(G)冷却処理]
その後、冷却機39を用いて、基材11/配向膜12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行う。冷却処理は、積層体が室温になる程度まで行えばよい。
[(H)硬化処理]
続いて、液晶化合物を重合して硬化させる硬化処理を行う。液晶化合物を重合させる方法としては、液晶化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、適量の重合開始剤を加えて、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、液晶化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されず、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましく、配向膜12を形成する際に用いた紫外線と同様のものとすることができる。このような硬化処理を経ることで、互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができる、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
≪位相差フィルムの作製≫
以下に示すようにして、実施例1、比較例1において位相差フィルムを作製した。
[実施例1]
(配向膜組成物の調製)
シンナモイル基を有するモノマーである4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)ケイ皮酸メチルエステルのポリマーからなる光二量化型材料100質量部に対し、光増感剤であるN,N−ジエチルアミノベンゾフェノン5質量部を、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)1150質量部に溶解させて配向膜組成物[A]を調製した。
(位相差フィルムの作製)
図6で説明した製造工程を経て実施例に係る位相差フィルムを得た。その際、基材は、表面に防眩(AG)処理が施されたアクリル基材(商品名:テクノロイ,厚さ:80μm,住友化学(株)製)を用いた。なお、そのアクリル基材の裏面(AG処理がされた側とは反対の面)は表面粗さRa=100である「粗面」であった。
先ず、上述したアクリル基材を搬送速度12m/minで搬送させ、そのアクリル基材の粗面に、調製した配向膜組成物を、硬化後の膜厚が200nmとなるようにダイコート法にて塗布した。そして、100℃に調整した乾燥機内に2分間流し、組成物中の溶媒を蒸発させるとともに熱硬化させた。これにより、厚さ200nmの薄膜を形成した。
この薄膜に対して、ワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して45°の方向)を原反の搬送方向と平行な方向に幅500μmのストライプパターンをクロムで合成石英上に形成したマスクを介して照射した。続いて、マスクを通さないでワイヤーグリッドを通した偏光紫外線(偏光軸がフィルムの搬送方向に対して−45°の方向)を照射し、パターンを有した配向膜(光配向膜)を形成した。なお、紫外線照射装置は、「Hバルブ」(フュージョン社製)を用いた。また、偏光紫外線の波長は313nmとし、積算光量は40mJ/cmとした。積算光量の測定は、紫外線光量計「UV−351」(オーク製作所社製)を用いて測定した。
続いて、形成した配向膜上に、重合性液晶組成物(製品名:licrivue(登録商標) RMS03−013C,メルク社製)をダイコート法にて塗布し、最終的な層厚が1μmとなるようにレベリングした。そして、60℃に調整した第1の乾燥機内に1分間、95℃に調整した第2の乾燥機内に0.5分間、105℃に調整した第3の乾燥機内に0.5分間流し、室温近傍まで冷却した後、上述した紫外線照射装置と同型の紫外線照射装置を用いて波長260nmの紫外線を積算光量が300mJ/cmとなるまで照射して位相差層を形成し、位相差フィルムを得た。
[比較例1]
(配向膜組成物の調製)
従来用いられていた配向膜組成物を用いた。すなわち、シンナモイル基を有するモノマーである4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)ケイ皮酸メチルエステルのポリマーからなる光二量化型材料100質量部を、溶媒のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)1150質量部に溶解させて配向膜組成物[B]を調製した。
(位相差フィルムの作製)
そして、その配向膜組成物[B]を用いて、アクリル基材の粗面(表面粗さRa=100)上に配向膜を形成したこと以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
≪配向性についての評価≫
上述した実施例1及び比較例にて作製した位相差フィルムに関して、それぞれの配向性を評価した。配向性の評価は、偏光板クロスニコル下に作製した位相差フィルムを挿入し、最も光の通過しない状態(消光位)で偏光顕微鏡を用いて観察することによって行った。
図7に、偏光顕微鏡による観察結果を示す。図7(A)が実施例1にて作製した位相差フィルムの偏光顕微鏡観察像であり、図7(B)が比較例1にて作製した位相差フィルムの偏光顕微鏡観察像である。これらの観察像の対比から明らかなように、従来の配向膜組成物によりなる配向膜を構成した位相差フィルムでは、配向性が悪化していることが分かる。これは、表面粗さの粗い基材面(粗面)に配向膜、位相差層を形成したことにより、その基材の凹凸に起因して配向性が悪くなってしまったと考えられる。
これに対して、実施例1では、比較例1と同様に表面粗さの粗い基材面に配向膜、位相差層を形成した得られた位相差フィルムであるにもかかわらず、良好な配向性を示した。このことは、位相差フィルムの配向膜を、光二量化型材料と共に光増感剤を含有させた配向膜組成物により構成したことにより、配向性が効果的に改善されたものと考えられる。
1 位相差フィルム
11 基材
12 配向膜
13 位相差層

Claims (5)

  1. 基材と、配向膜と、位相差層とがこの順で積層された位相差フィルムであって、
    前記基材における配向膜を形成する面の表面粗さRaが50nm以上であり、
    前記配向膜は、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物により構成されていることを特徴とする位相差フィルム。
  2. 前記配向膜組成物は、前記光二量化型材料100質量部に対し0.2質量部〜10質量部の割合で前記光増感剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記光二量化型材料は、シンナメートを有するポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記光増感剤は、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ニトロフルオレン、2−ニトロフルオレノン、5−ニトロアセナフテン、及び9−ヒドロキシメチルアントラセンからなる群より選択される少なくも1種であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 基材と、配向膜と、位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルムの製造方法であって、
    前記基材における配向膜を形成する面の表面粗さRaが50nm以上であり、
    前記基材上に、光二量化型材料と、光増感剤とを含む配向膜組成物を塗工することによって前記配向膜を形成することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
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