JP2008248061A - 高分子安定化液晶組成物および高分子安定化液晶表示素子 - Google Patents

高分子安定化液晶組成物および高分子安定化液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】熱的、力学的安定性を向上させると共に、駆動電圧を低減することが可能な高分子安定液晶組成物を得る。
【解決手段】低分子液晶化合物に対して、重合性アクリレート化合物として、特定の二官能アクリレートおよび重合性液晶化合物、さらに任意に単官能アクリレートを添加した高分子安定液晶組成物とする。所望の配向状態を維持させながら高分子安定液晶組成物を紫外線露光し、液晶相中に高分子鎖を形成させることによって、低分子液晶の配向状態を安定化した高分子安定化液晶表示素子が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明はアクティブ素子にて駆動可能な高分子安定化液晶表示素子に有用な組成物及び当該組成物を用いた高分子安定化液晶表示素子に関する。
高分子を用いて液晶配向を安定化する技術としては、ねじれネマチック液晶に光硬化性モノマーを添加し光照射することで配向の高分子安定化を図る技術が開示されている(非特許文献1参照)。当該引用文献記載のネマチック液晶は、高分子安定化される前のねじれ構造を、光硬化後も維持しており、光硬化性モノマーとして、液晶骨格を有する液晶性モノマーを用いることで、表示用液晶材料の液晶性・配向性を失わないようにしている。
当該引用文献においては、光硬化性モノマーをねじれネマチック液晶ホスト中に数%の濃度で添加した後、電圧無印加の状態で光照射して作製した高分子安定型液晶素子の例を示している。さらに実施例において液晶性モノマーを2%、3%、4%、5%を変えた時の電圧−誘電率特性が示されている。この結果によると、液晶性モノマーの添加量が増加すると飽和する誘電率が下がり飽和させるためには更に高い電圧を印加させる必要があり駆動電圧が高くなり、これに応じて素子の駆動電圧も増加する。この点が高分子安定化液晶素子を実用化させる上で課題になっている。
一方、高分子安定化ねじれネマチック液晶をTFT液晶表示素子に適用した例として、TFT液晶表示素子において光硬化性液晶性モノマーを少量添加して重合させることにより、形成された高分子の作用で配向を安定化する技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、当該引用文献においては、立下り時の液晶の応答速度の改善はされているものの、前述の駆動電圧の問題については解決されていない。
高分子安定化液晶表示素子においてねじれネマチック液晶表示モード以外には、OCB(Optically compensated birefringence)モードへ応用した技術が提案されている(非特許文献2参照)。当該引用文献には、液晶分子を光反応性モノマー中に分散させ、外部電界印加により所望のベンド配列構造を得たのち、光照射により前記ベンド配列を固定化する技術が開示されている。OCBモードは表示装置を立ち上げる際に高い電圧を印加して初期状態で液晶分子がスプレイ配列しているが、これをベンド配列へ変える配向転移操作が必要になるで、予め、ベンド配向を高分子により固定化することにより、このベンド配列への配向転移操作が不要な表示立ち上げと同時にOCBモードによる表示が可能にしてOCBモードの欠点を解消している。
また、1枚の基板上に液晶分子を高分子液晶マトリックス中に固定化してハイブリッド配向を固定化させ、該基板上のホモジニアス配向部分が接するよう二枚の基板を張り合わせてOCBモードのベント配向を作り液晶表示素子に用いる技術が開示されている(特許文献2参照)。この場合は、電圧を印加せずベント配向を作ることが特徴である。
しかしながら、これらの引用文献開示の発明においても前述の駆動電圧の問題については解決されていない。
高分子安定強誘電性液晶(高分子安定FLC)に関しては、FLC材料と共にモノマーを使用し、電界を印加し一方の方向に液晶分子を揃えながら紫外線を照射することにより高分子安定化を図る技術が提案されている(非特許文献3及び4参照)。又、強誘電性液晶と単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーを含有する液晶組成物を液晶セル中に注入した後、該組成物が所定の液晶相を示す温度において紫外線を照射し、単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させることによって得られる高分子安定化強誘電性液晶表示素子が開示されている(特許文献3、4及び5参照)。この方法で、V型の電圧−透過率特性の機能を付与することにより強誘電性液晶単独では難しかった階調表示を実現している。このように、液晶分子の配向を高分子安定化することにより新規の機能を付与することができるが、上述のOCBモード、及び強誘電性液晶に単官能液晶性(メタ)アクリレートを用いた素子は、良好なベント配向を得たり、良好な中間調表示が可能であるという特徴を有するものの、単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーの重合により得られた高分子の耐熱性が良好でなく、結果として高温での信頼性が良好でないという問題があった。
単官能液晶性(メタ)アクリレートモノマーより耐熱性に優れた高分子を与える多官能液晶性モノマーを用いた高分子安定化強誘電性液晶表示素子が示されている(特許文献6参照)。しかしながら、多官能液晶性モノマーは、液晶性を示す温度が80℃以上と高いものが多く、高分子安定化液晶素子作成の紫外線を照射する前段階において温度を高くする必要性が生じ、その結果、望ましくない熱重合が誘起され、液晶配向の均一性が劣化してしまうという問題があった。
また、液晶が60〜95重量%で残りが網目状の高分子であるため高分子分散型液晶に見られる光散乱が起こる。この散乱が偏光を用いた表示素子のコントラストを低くする原因になる。そのため、コントラスト向上に他の手段が必要となる欠点があった。更に、単官能液晶性(メタ)アクリレートに比べて多官能液晶性(メタ)アクリレートは、メソゲン基の熱の揺らぎが抑えられて高分子安定化の信頼性は高くなるものの低分子液晶との相互作用が高くなり駆動電圧が高くなる問題も有していた。
特開2005−10202号公報 特開2003−248226号公報 特開平9−211462号公報 特開平9−211463号公報 特開平11−21554号公報 特開平6−194635号公報 日本学術振興会 情報科学用有機材料第142委員会 A部会(液晶材料)第91回研究会資料(28頁から30頁) 電子情報通信学会技術研究報告、Vol.95、(EID95−17)、pp.43−48、1995 フルー(H.Furue),ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.),36,L1517 (1997) フルー(H.Furue),ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn. J. Appl. Phys.),37,3417 (1998)
本発明の課題は、高分子安定液晶表示素子において、熱的、力学的安定性を向上させると共に、光散乱の影響を無くして表示のコントラストを高め、TFT(薄膜トランジスター)駆動が可能レベルに駆動電圧を低減して、更には駆動電圧の温度変化を抑制して低温(−10℃)〜高温(60℃)の温度範囲でTFT駆動による安定した表示が得られることが可能な高分子安定液晶組成物およびこれを用いて製造した高分子安定液晶表示素子を提供することにある。
高分子安定液晶表示素子用組成物において、熱的、力学的な安定性を向上させるためには、二官能液晶性アクリレート等を用いて架橋高分子を用いればよい。二官能液晶性アクリレートの使用により、メソゲン基が高分子主鎖に配置され該メソゲン基の両端が架橋により固定化されているため熱の揺らぎの影響が少なく低分子液晶の配向安定化の信頼性が向上する。しかし、その反面、熱の揺らぎが小さくなるため低分子液晶との相互作用が増大する、その結果低分子液晶の配向を固定化した際に起こる低分子液晶/高分子界面でのアンカリング力が高くなり駆動電圧が増大する、そのため、アモルファスシリコン−TFTやポリシリコンTFTで駆動が困難となる問題があった。
一方、単官能液晶性アクリレートを少量添加した高分子安定液晶は、駆動電圧の点では有利なものの熱的安定性に欠け信頼性に乏しいものであった。これは高分子主鎖にペンダント状に結合しているメソゲン基が熱により揺らぎが大きくなり初期状態で得られた配向が乱れることに起因している。
また、ペンダント状のメソゲン基の配向方向は、外部からの熱や衝撃で変化し易く高分子安定化の信頼性を低くしていた。高分子安定化の信頼性を上げるのには、高分子鎖の架橋密度を高くしてガラス転移温度等を高くする方法があるが、同時に低分子液晶と該高分子とのアンカーリング力が増加して駆動電圧増加を引き起こす。網目状高分子鎖の体積割合を増加すると該高分子鎖の熱的、機械的安定性は向上するが該高分子鎖の屈折率が表示素子中に低分子液晶の屈折率分布へ影響を強く及ぼすようになり低分子液晶との屈折率差から光散乱を起こして表示のコントラストを低下させていた。
上記課題を解決するため、本願発明者らは、種々の重合性液晶化合物と液晶化合物の組成を検討し本願発明の完成に至った。
本願は、一般式(I−a)
Figure 2008248061
(式(I−a)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から18のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
kは1から40を表し、
、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い)、又は一般式(I−b)
Figure 2008248061
(式(I−b)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB、B及びBのうち前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は1〜3個である。)
で表される重合性化合物であって、該重合性化合物の重合物のガラス転移温度が−100℃から25℃である重合性化合物(I)と、
一般式(II−a)又は(II−b)
Figure 2008248061
(式(II−a)及び(II−b)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子で置換されていても良い。)を表し、
は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメチル基、イソシアネート基、シアノ基を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)
で表される化合物(II)と、
一般式(III−a)
Figure 2008248061
(式(III−a)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)、
一般式(III−b)
Figure 2008248061
(式(III−b)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
はベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、
及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)、
及び一般式(III−c)
Figure 2008248061
(式(III−c)中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、
6員環T、T及びTはそれぞれ独立的に、
Figure 2008248061
のいずれか(ただしmは1から4の整数を表す。)を表し、
は0又は1の整数を表し、
及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、
は単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、
は炭素原子数1から18の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(III)と、
を含有することを特徴とする高分子安定化液晶組成物を提供する。
本願発明の高分子安定化液晶組成物を構成部材とする高分子安定化液晶表示素子は駆動電圧が低く、熱的及び力学的安定性に優れる特徴を有する。又、TFT駆動も可能であることから、プラスチック液晶セル等の構成部材として有用である。
以下に本発明の一例について説明する。本発明の高分子安定化液晶表示素子用組成物は、その中に含まれるラジカル重合性化合物が熱、又は紫外線等の活性エネルギー線により重合し、それに伴い液晶組成物と相分離、又は液晶組成物中に分散した状態を引き起こし、透明性高分子物質と液晶組成物からなる高分子安定化液晶表示素子を得るのに使用される。
このようにして形成された高分子安定化液晶表示素子は、前述したように組成物に添加され高分子前駆体の含有量に比例して駆動電圧、及び光散乱が上昇する。該前駆体の含有量が微量である場合、駆動電圧、及び光散乱の上昇度合いは低減され組成物に用いる重合性液晶高分子前駆体、や非液晶性高分子前駆体の種類に依存して課題を解決することができる。また、該前駆体の含有量を微量にすると熱的や機械的安定性に乏しい。信頼性を高くするためには、前駆体の含有量を増やす必要があり、この時に駆動電圧の増加や液晶配向性の低下、及び散乱性の発現が問題になる。駆動電圧の増加は、例えば高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6−222320号公報において次式の関係が示されている。高分子安定化液晶素子の駆動電圧に対する考え方は、高分子分散型液晶表示素子と同様で、次の通りになる。
Figure 2008248061
(Vthはしきい値電圧を表わし、Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、Δεは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性高分子物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶組成物に対する透明性高分子物質のアンカリングエネルギーを表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
これによると、高分子安定化液晶表示素子の駆動電圧は、透明性高分子物質界面の平均空隙間隔、基板間の距離、液晶組成物の弾性定数・誘電率異方性、及び液晶組成物と透明性高分子物質間のアンカリングエネルギーによって決定される。このうち、一般の液晶表示素子では駆動電圧はセル厚、該誘電率異方性、及び該弾性定数で決まるが、高分子分散液晶と同様に高分子安定化液晶表示素子において特有の要因である。それは、液晶組成物と透明性高分子物質間のアンカリングエネルギーである。そのため、高分子安定化液晶表示素子においてもポリマーと液晶との界面の面積が増加するとともに系のアンカリングエネルギーが増して駆動電圧が上がる。言い換えると、本発明の組成物中に高分子前駆体の含有量が増加すると駆動電圧が上がることを意味している。駆動電圧の上昇を低減し、低い駆動電圧を維持させるためには、高分子安定化液晶を構成する高分子のアンカリングエネルギーを低くすれば良いことになる。該エネルギーを低くするには、アルキル側鎖を有する二官能モノマーを用いれば良い。特に、アルキル側鎖の炭素原子数が5から15が良く、更に、該炭素原子数が8から13がより好ましい。アルキル側鎖が短い場合は、アンカリングエネルギーが高くなり、長すぎると、側鎖の影響が強くなりアンカリングエネルギーが高くなる。又、低分子液晶に類似したベンゼン環等を有するメソゲン基を側鎖にすると低分子液晶との親和性が高くなりアンカリングエネルギーが増加して好ましくない。更に、アルキル側鎖間の距離も重要で、炭素原子数の距離に換算して6〜18が良い。使用する液晶組成に依存するがアルキル側鎖間が狭いと低分子液晶が高分子界面で垂直配向してしまい好ましくない。
アンカリングエネルギーは、側鎖が低分子液晶に及ぼす分子間相互作用と、主鎖が低分子液晶に及ぼす分子間相互作用とのバランスで決まり、両者の力が均等になるときにアンカリングエネルギーが最小になる。更に、高分子の架橋間距離は、高分子主鎖の熱運動性に影響を及ぼし、架橋間距離が短く熱運動性が低いと低分子液晶に対する分子相互作用が強く働きアンカリングエネルギーが高まる。架橋間距離が長くなると高分子主鎖の熱運動性が増して主鎖の熱による揺らぎが大きくなり分子間相互作用の力より揺らぎの力が大きくなると分子間相互作用を打ち消すように作用するためアンカリングエネルギーが小さくなる。しかし、架橋間距離が長くなると高分子前駆体の重合速度が遅くなり、液晶との相溶性が下がり好ましくなくなる。高分子主鎖の熱運動性を表す指標としては高分子ガラス転移温度が一般に用いられる。
本発明では、アンカリングを低くする目的で該ガラス転移温度が室温以下になる高分子前駆体を用いることが好ましく、更には、ガラス転移温度が0〜−100℃であることがより好ましい。他に、ガラス転移温度を低くする意味では、機械的安定性を向上させるためにガラス転移温度を低くすることが好ましい。ガラス転移温度が室温以上であると素子外部からの変形などにより高分子で液晶の配向を安定化させる高分子網目構造が変形したり破損したりして高分子配向安定化の作用が落ちてしまう。ガラス転移温度が低いと該網目構造が変形しても網目の弾力性で元の状態に戻り固定化された配向が保持される。即ち、本発明に使用する液晶組成と高分子前駆体の主鎖長と側鎖長を調整して、かつガラス転移温度が室温以下である高分子前駆体を使用することで駆動電圧が低く、信頼性の高い高分子安定化液晶素子が得られる。しかし、高分子安定化液晶では液晶表示素子作製時の初期配向を安定化させることも重要な課題である。
光散乱は、該平均空隙間隔が可視光の波長領域の範囲に入ると見られるようになり約500nm付近から1500nm付近で散乱が最も強くなる。高分子安定化液晶の場合は、網目状高分子の網目の大きさを上述の範囲から避けるように液晶中に形成させることが重要になる。500nm以下にするには、スピノーダル分解による相分離過程を利用する方法、UV重合速度を速くして作製する方法(UV重合プロセスによる方法や高分子前駆体組成の調整による方法)、低分子液晶と相溶した状態で相分離が殆ど起こらせないで重合させる方法等が挙げられ、これらの手法を有効に用いて光散乱が起こらない微細な網目状高分子を形成させることが好ましい。高分子前駆体が、低分子液晶に相溶している場合は低分子液晶中に分散した状態で網目状高分子を形成させることが可能で微細な構造が得られる方法も好ましい。しかしながら、本発明の高分子前駆体を液晶相中で重合させると配向のオーダーは高くはないが液晶分子ダイレクターに沿うように網目状の高分子が形成されることが電子顕微鏡等で観察される。これは、前駆体主鎖が液晶に接すると液晶分子ダイレクター方向へ該前駆体主鎖が揃う傾向があり、該前駆体の高分子化により液晶の配向が固定化される。しかし、該前駆体の濃度が高くなると重合ミクロ相分離で起こるスピノダル分解やバイノーダル分解による相分離構造が液晶の配向を無視して形成されるため目的の液晶の配向を固定化させることはできなくなる。上述の方法は低分子液晶の配向を乱す恐れがある場合があり、この場合は、所望の安定化させる配向が得られるように電界、配向膜の配向規制力、磁場外場などを活用して目的の高分子安定化液晶素子が得られるように上述の外場を調整して作製することもできる。更には、重合性液晶高分子前駆体と非液晶性高分子前駆体による共重合体でメソゲン基の自己組織化の性質や水素結合基等を基にした自己組織化を応用して規則性のある周期構造を形成させても良い。所望の特性を得るのに必要であれば微粒子状の高分子を低分子液晶中に分散させた構造であっても良い。液晶が配向膜等で配向させた状態を配向欠陥無く固定化させるためには、少なくとも、ネマチック相やスメチック相等の液晶相中で該高分子前駆体を網目状に重合させる必要がある。また、該相分離構造形成を避けるためには、高分子前駆体の含有量を少なくして、液晶が配向している状態で液晶分子間に網目状高分子が形成できるよう該高分子前駆体含有量や該前駆体の組成を調整することが好ましく、さらに、光重合の場合は、UV露光時間、UV露光強度、及び温度を調整して網目状の高分子を形成させて液晶配向欠陥が無いようにすることが好ましい。また、組成物中の高分子前駆体を重合させる際に、所望の液晶配向を得るためには、垂直配向、パラレル配向やアンチパラレル配向、及びツイスト配向のラビング配向処理や光配向処理を施した配向膜を有する液晶セルを用いたり、上下基板が垂直配向膜、又は垂直配向膜と平行配向との組み合わせた液晶セル等を用いたりすることができる。さらには、光、熱、電圧、磁場等の外場を印加して得られる捩れ配向、ベント配向やスプレイ配向等や、配向膜単独だけでは得ることが難しい液晶配向状態を作り、該前駆体の高分子化により、それらの配向状態を固定化させて目的の高分子安定化液晶表示素子を得ることができる。更に、該前駆体の種類によって希薄の状態を得る濃度は異なるが、この状態でUV露光すると配向膜との吸着性が高いと該前駆体が二枚の基板面上に高い濃度分布を作り重合させることもできる。この場合、一般の配向膜に新たな機能を付与するような役割を果たす。例えば、TFT基板上にある段差から由来するラビング配向処理のムラで配向欠陥の発生を、基板面に付着した該前駆体によるプレチルト角の誘起により解消することもできる。この機能は、TFT駆動のVAモード、TNモード、IPSモードの表示素子に有効である。
本発明に用いる高分子前駆体は、上述のような高分子前駆体としてより改善効果が大きい化合物の探索を行った結果、到達したものである。
本発明の高分子安定化液晶組成物は、一般式(I−a)で表される重合性化合物(I)
と、一般式(II−a)又は(II−b)で表される低分子液晶化合物(II)と、一般式(III−a)、(III−b)及び(III−c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性液晶化合物(III)とをそれぞれ少なくとも一種含有するものである。
重合性化合物(I)は、一般式(I−a)で表されるものの中で複数、主鎖長やアルキル側鎖長の異なるものを含有させても良い。更に、必要に応じて、重合性液晶化合物を併用しても良い。重合性液晶化合物を用いると低分子液晶の配向性を高めることができるが、低分子液晶との親和性が高く駆動電圧が増加し易くなるため5%以下が好ましい。さらに、重合性液晶化合物(III)の併用により配向性を高めて、かつ一般式(I−a)で表される重合性化合物(I)による低アンカリングエネルギーの作用と低ガラス転移温度の効果で駆動電圧が低くて機械的強度が高い高分子安定化液晶表示素子を得ることができる。
液晶セルの2枚の基板はガラス、プラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法、又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。また、カラーフィルターを不要とするフィールドシーケンシャルフルカラー表示方式にも使用することが出来る。
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。2から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
2枚の基板間に高分子安定化液晶組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法、又はODF法などを用いることができる。この時、高分子安定化液晶組成物は、各種液晶化合物と本発明の高分子前駆体が相溶していれば良く、均一なアイソトロピック状態か、又はネマチック相であることが好ましい。スメクチック相では、素子作製時の取り扱い方が難しくなる。
ラジカル重合性化合物を重合させる方法としては、紫外線照射が好適である。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、高分子分散型液晶表示素子用組成物に含有されている光重合開始剤の吸収波長領域であり、且つ含有されている液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、具体的には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプを使用して330nm以下の紫外線をカットして使用することが好ましく、350nm以下の紫外線をカットして使用することがより好ましい。
照射する紫外線の強度は、目的とする調光層を得るため適宜調整することができるが、使用する高分子前駆体の反応性に依存するが10から10000mJ/cmが好ましく、50から5000mJ/cmがより好ましい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10から600秒が好ましい。
また、紫外線照射の時の温度は、所望の液晶初期配向を調光層の特性を決めて安定化させるのに重要な要素となる。等方相状態を固定化させる場合は、高分子安定化液晶表示素子用組成物のアイソトロピック−ネマチック転移点よりわずかに高い温度が好ましく、具体的には転移点+0.1から10℃が好ましく、転移点+0.1℃から3℃がより好ましい。また、電圧等の外場を印加して所望の配向状態を得る場合は、ネマチック相やスメクチック相、コレステリック相を示す温度にして素子を作製することができる。この場合、高分子安定化で得られる表示素子の特性が形成される網目状高分子構造に依存するので所望の構造になるように温度や紫外線強度で調整することもできる。
高分子安定化させる液晶の配向状態としては、スメクチック相やネマチック相で見られるベンド配向、捩れ配向、及びスプレイ配向等やそれらを複数組み合わせたマルチドメイン、及び一軸配向を持つモノドメインを複数方向に配置したマルチドメイン等、必要な配向状態が挙げられる。これらの配向状態は、温度を変えたり、外部電場を印加して電圧を変化させたり、基板界面に存在するポリイミド配向膜や光配向膜等の配向処理方向を一方向や複数方向に処理して液晶を配向させて、液晶の配向を様々な方法で目的の配向状態を作り、紫外線露光して高分子安定化させることが好ましい。
本発明の高分子安定化液晶表示素子は、本発明の高分子安定化液晶組成物を重合させ、液晶相中に高分子鎖を形成させることにより低分子液晶の配向状態を安定化したものである。このような高分子安定化液晶表示素子は、高分子安定化液晶組成物に外部電場を加え、または重合性液晶の配向を配向膜により制御することで、所望の配向状態を維持させながら紫外線露光して重合させることによって得ることができる。
本発明の高分子安定化液晶組成物に使用する化合物の具体的な一例を以下に示す。
<重合性化合物(I)>
本発明の高分子安定化液晶組成物に用いられる重合性化合物(I)は、下記一般式(I−a)
Figure 2008248061
(式(I−a)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から18のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
kは1から40を表し、
、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い)、又は一般式(I−b)
Figure 2008248061
(式(I−b)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB、B及びBのうち前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は1〜3個である。)
で表される重合性化合物であって、該重合性化合物の重合物のガラス転移温度が−100℃から25℃である重合性化合物(I)である。
なお、本願発明において、「アルキレン基」とは、特に断りのない場合、脂肪族直鎖炭化水素の両端の炭素原子から水素原子各1個を除いた二価の基「−(CH−」(ただしnは1以上の整数)を意味するものとし、その水素原子からハロゲン原子もしくはアルキル基への置換、またはメチレン基から酸素原子、−CO−、−COO−もしくは−OCO−への置換がある場合は、その旨を特に断るものとする。また、「アルキレン鎖長」とは、「アルキレン基」の一般式「−(CH−」におけるnをいうものとする。
一般式(I−a)で表される重合性化合物(I)の好ましい構造として、下記一般式(I−c)
Figure 2008248061
(式(I−c)中、A11及びA19はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
12及びA18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
13及びA16はそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表し、
14及びA17はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
15は炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表す。)で表される化合物、一般式(I−d)
Figure 2008248061
(式(I−d)中、A21及びA22はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、aは、6〜22の整数を表す。)で表される化合物、一般式(I−e)
Figure 2008248061
(式(I−e)中、A31及びA32はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、b及びcはそれぞれ独立して1〜10の整数を表し、dは1〜10の整数を表し、
eは0〜6の整数を表す。)で表される化合物、及び一般式(I−f)
Figure 2008248061
(式(I−f)中、A41及びA42はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、m,n,p及びqはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、式(I−c)で表される化合物を含むことが好ましい。
一般式(I−c)で表される重合性化合物の好ましい構造として、A11及びA19はいずれも水素原子であることが好ましい。これらの置換基A11,A19がメチル基である化合物においても本願発明の効果は発現するが、水素原子である化合物は重合速度がより速くなる点で有利である。
12及びA18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基であることが好ましい。二つの重合性官能基間距離は、A12及びA18とA15とで独立的にそれぞれ炭素数の長さを変えて調整することができる。一般式(I−c)で表される化合物の特徴は、重合性官能基間の距離(架橋点間の距離)が長いことであるが、この距離があまりに長いと重合速度が極端に遅くなって相分離に悪い影響が出てくるため、重合性官能基間距離には上限がある。一方、A13及びA16の二つの側鎖間距離も主鎖の運動性に影響がある。すなわちA13及びA16の間の距離が短いと側鎖A13及びA16がお互いに干渉するようになり、運動性の低下をきたす。従って、一般式(I−c)で表される化合物において重合性官能基間距離はA12、A18、及びA15の和で決まるが、このうちA12とA18を長くするよりはA15を長くした方が好ましい。
一方、側鎖であるA13,A14,A16,A17においては、これらの側鎖の長さが次のような態様を有することが好ましい。
一般式(I−c)において、A13とA14は主鎖の同じ炭素原子に結合しているが、これらの長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA13と呼ぶものとする(A13の長さとA14の長さが等しい場合は、いずれが一方をA13とする)。同様に、A16の長さとA17の長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA16と呼ぶものとする(A16の長さとA17の長さが等しい場合は、いずれが一方をA16とする)。
このようなA13及びA16は、本願においてはそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)とされているが、
好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数2から18の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数3から15の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
側鎖は主鎖に比べて運動性が高いので、これが存在することは低温での高分子鎖の運動性向上に寄与するが、前述したように二つの側鎖間で空間的な干渉が起こる状況では逆に運動性が低下する。このような側鎖間での空間的な干渉を防ぐためには側鎖間距離を長くすること、及び、側鎖長を必要な範囲内で短くすることが有効である。
さらにA14及びA17については、本願においてはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)とされているが、
好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から7のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から5のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
さらに好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
このA14及びA17についても、その長さが長すぎることは側鎖間の空間的な干渉を誘起するため好ましくない。この一方でA14及びA17が短い長さを持ったアルキル鎖である場合、高い運動性を持った側鎖になり得ること、及び隣接する主鎖同士の接近を阻害する働きを有することが考えられ、高分子主鎖間の干渉を防ぐ作用がり主鎖の運動性を高めているものと考えられアンカリングエネルギーが低温で増加して行くことを抑制することができ高分子安定化液晶表示素子の低温域における表示特性を改善する上で有効である。
二つの側鎖間に位置するA15は、側鎖間距離を変える意味からも、架橋点間距離を広げてガラス転移温度を下げる意味からも、長い方が好ましい。しかしながらA15が長すぎる場合は一般式(I−c)で表される化合物の分子量が大きくなりすぎ液晶組成物との相溶性が低下してくること、及び重合速度が遅くなりすぎて相分離に悪影響が出ること等の理由から自ずとその長さには上限が設定される。
よって、本願発明においてA15は、炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であることが好ましい。
すなわち、本願発明においてA15のアルキレン鎖長は炭素原子数9から16であることが好ましい。A15は構造上の特徴として、アルキレン基中の水素原子が炭素原子数1から10のアルキル基で置換された構造を有する。アルキル基の置換数は1個以上5個以下であるが、1個から3個が好ましく、2個又は3個置換されていることがより好ましい。置換するアルキル基の炭素原子数は、1個から5個が好ましく、1個から3個がより好ましい。
一般式(I−a)で表される化合物は、Tetrahedron Letters,Vol.30,pp4985、Tetrahedron Letters,Vol.23,No6,pp681−684、及び、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry,Vol.34,pp217−225等の公知の方法で合成することができる。
例えば、一般式(I−c)において、A14及びA17が水素である化合物は、エポキシ基を複数有する化合物と、エポキシ基と反応し得る活性水素を有するアクリル酸やメタクリル酸等の重合性化合物とを反応させ、水酸基を有する重合性化合物を合成し、次に、飽和脂肪酸と反応させることにより得ることができる。
更に、複数のエポキシ基を有する化合物と飽和脂肪酸とを反応させ、水酸基を有する化合物を合成し、次に水酸基と反応し得る基を有するアクリル酸塩化物等の重合性化合物とを反応させることにより得ることができる。
またラジカル重合性化合物が、例えば、一般式(I−c)のA14及びA17がアルキル基であり、A12及びA18が炭素原子数1であるメチレン基である場合は、オキセタン基を複数有する化合物と、オキセタン基と反応し得る脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法や、オキセタン基を一つ有する化合物と、オキセタン基と反応し得る多価の脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法等により得ることができる。
また、一般式(I−c)のA12及びA18が炭素原子数3であるアルキレン基(プロピレン基;−CHCHCH−)の場合は、オキセタン基の代わりにフラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。更に、一般式(I−c)のA12及びA18が炭素原子数4であるアルキレン基(ブチレン基;−CHCHCHCH−)の場合は、オキセタン基の代わりにピラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。
<低分子液晶化合物(II)>
本発明の高分子安定化液晶組成物に用いられる低分子液晶化合物(II)は、下記一般式(II−a)又は(II−b)
Figure 2008248061
(式(II−a)及び(II−b)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子で置換されていても良い。)を表し、
は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメチル基、イソシアネート基、シアノ基を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)
で表される化合物(II)である。
一般式(II−a)又は(II−b)で表される化合物は、幅広い液晶温度範囲、低温域でのネマチック安定性及び相溶性、且つ高誘電率、高い比抵抗値の点で具体的には次に記載する一般式(V−a)、一般式(VI−a)、一般式(VI−b)、一般式(VII−a)及び一般式(VII−b)で表される化合物が好ましい。
<一般式(V−a)で表される化合物>
Figure 2008248061
(式(V−a)中、R11は炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
11は1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
11は単結合又は−CHCH−を表し、
11は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又は下記一般式(V−b)で表される基を表し、
12からX17はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、メチル基、メトキシ基又はエチル基を表し、
11は0又は1を表す。)
ここで、一般式(V−b)は、次に示す式である。
Figure 2008248061
(式(V−b)中、C12は1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
18は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、又はジフルオロメトキシ基を表す。)
一般式(V−a)においてR11としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基がより好ましい。
11としては、単結合が好ましい。X11としては、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基又はフッ素原子が好ましい。X12からX17は、水素原子、フッ素原子又はメチル基が好ましく、X12からX17の中で1つ以上、3つ以下がフッ素原子又はメチル基であるものがより好ましい。
具体的には、一般式(V−1)から一般式(V−7)
Figure 2008248061
(式中R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基を表し、
141、X151、X161、X171、X181、X191はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基を表し、
122、X132、X162、X172、X182、X192はそれぞれ独立して、水素原子、又はフッ素原子を表す。)
で表される化合物が好ましい。これらの中でも、一般式(V−1)から一般式(V−4)においてX141、X151、X161、X171、X181、X191の少なくとも1つ以上、3つ以下がフッ素原子、又はメチル基であるもの、及び一般式(V−5)から一般式(V−7)においてX122、X132、X162、X172、X182、X192の少なくとも1つ以上、3つ以下がフッ素原子であるものがより好ましい。具体的には一般式(V−8)から一般式(V−16)
Figure 2008248061
(式中、R15、R16及びR17はそれぞれ独立して、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基を表し、
145、X175、X166、X176及びX186はそれぞれ独立して水素原子、又はフッ素原子を表し、
146及びX156はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はメチル基を表し、
137及びX187はそれぞれ独立して、水素原子、又はフッ素原子を表す。)
で表される化合物が更により好ましい。
<一般式(VI−a)及び一般式(VI−b)で表される化合物>
Figure 2008248061
(式(VI−a)中、R21は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
21は、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
六員環Y21はベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、
21は、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
22からX26はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
21は、単結合又は−CHCH−を表し、
22は、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
21は0又は1を表す。)
Figure 2008248061
(式(VI−b)中、R31は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
31は、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
六員環Y31はベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、
31は、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
32からX36はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
31は、単結合又は−CHCH−を表し、
32は、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
31は0又は1を表す。)
一般式(VI−a)及び一般式(VI−b)においてR21及びR31としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、
該アルキル基又はアルケニル基は、式(VI−c)
Figure 2008248061
(式(VI−c)中の各構造式は右端で直接もしくは酸素原子を介して環に連結しているものとする。)で表されるアルケニル基又は炭素原子数1から5のアルキル基がより好ましい。
21及びC31としては、1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。
21及びZ31としては、単結合が好ましい。
21及びX31としては、フッ素原子もしくはトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
具体的には、一般式(VI−1)から一般式(VI−33)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008248061
Figure 2008248061
(式中、R22及びR32は炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
<一般式(VII−a)及び一般式(VII−b)で表される化合物>
Figure 2008248061
(式(VII−a)中、R41は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
41は、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
六員環Y41はベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、
41は、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
42からX45は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
41は、単結合又は−CHCH−を表し、
42は、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
41は0又は1を表す。)
Figure 2008248061
(式(VII−b)中、R51は、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
51は、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
六員環Y51はベンゼン環又はシクロヘキサン環を表し、
51は、フッ素原子、塩素原子、イソシアネート基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表し、
52からX55は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を表し、
51は、単結合又は−CHCH−を表し、
52は、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
51は0又は1を表す。)
一般式(VII−a)及び一般式(VII−b)においてR41及びR51としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、
該アルキル基又はアルケニル基は、式(VII−c)
Figure 2008248061
(式(VII−c)中の構造式は右端で直接もしくは酸素原子を介して環に連結しているものとする。)で表されるアルケニル基又は炭素原子数1から5のアルキル基がより好ましい。
41及びC51としては、1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。
41及びZ51としては、単結合が好ましい。
41及びX51としては、フッ素原子もしくはトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
具体的には一般式(VII−1)から一般式(VII−42)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
(式中、R42及びR52は炭素原子数1から5のアルキル基を表す。)
また、更なる液晶温度領域の拡大、高誘電率、又は低粘性を得るため、一般式(V−a)、一般式(VI−a)、一般式(VI−b)、一般式(VII−a)、一般式(VII−b)の化合物に加えて、一般式(VIII−a)、又は一般式(IX−a)で表される化合物を含有することも好ましい。
<一般式(VIII−a)で表される化合物>
Figure 2008248061
(式(VIII−a)中、R61及びR62はそれぞれ独立して、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
61、C62及びC63はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
61及びZ62はそれぞれ独立して、単結合又は−CHCH−を表し、
61は、0、1又は2を表す。ただし、n61が2の場合、複数存在するC61及びZ61はそれぞれ同じであっても、異なっていても良い。)
一般式(VIII−a)においてR61及びR62としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、式(VI−c)で表されるアルケニル基もしくはアルケニルオキシ基(ただしそのアルケニル基が式(VI−c)で表されるもの)又は炭素原子数1から5のアルキル基もしくはアルコキシ基が更により好ましい。
また、特に低粘性を得たい場合は、n61が0であり、C62及びC63が、1,4−シクロへキシレン基であり、Z62が単結合であることが好ましい。
特に液晶温度範囲を拡大するには、n61が0又は1であり、C61及びC62が、1,4−シクロへキシレン基であり、C63が1,4−フェニレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であり、Z61が単結合又は−CHCH−であり、Z62が単結合であることが好ましい。
特に高屈折率を得るためには、n61が1であり、C61が1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であり、C62及びC63が1,4−フェニレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子又はメチル基を有することができる。)であることが好ましい。
具体的には一般式(VIII−1)から一般式(VIII−5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008248061
(式中、R65及びR66はそれぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、X61からX66はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す。)
<一般式(IX−a)で表される化合物>
Figure 2008248061
(式(IX−a)中、R71は炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)を表し、
71、C72及びC73はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又はインダン−2,5−ジイル基(該1,4−フェニレン基及びインダン−2,5−ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基を有することができる。)を表し、
71及びZ72はそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−又は−CFO−を表し、
71はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基、ジフルオロメチル基、イソシアネート基を表し、
71は、0、1又は2を表す。ただし、n71が2の場合、複数存在するC71及びZ71はそれぞれ同じあっても、異なっていても良い。)
一般式(IX−a)のR71としては、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から6のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていてもよい。)が好ましく、該アルケニル基は式(V−c)で表されるものが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が更により好ましい。
71としては、フッ素原子又はトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
また、特に高誘電率を得たい場合は、n71が0又は1であり、C71が1,4−シクロへキシレン基であり、C72が1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であり、C73が2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基又は3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基であり、Z71及びZ72が単結合であることが好ましい。
特に液晶温度範囲を拡大するには、n71が2であり、C71が1,4−シクロへキシレン基であり、C72が、1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基であり、C73が2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基又は3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基であり、Z71及びZ72が単結合又は−CHCH−であることが好ましい。
具体的には一般式(IX−1)から一般式(IX−4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008248061
(式中、R72は炭素原子数1から5のアルキル基又はアルコキシ基を表し、X72からX75はそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子を表し、Z73は単結合又は−CHCH−を表す。)
これら一般式(IX−1)から一般式(IX−4)の中でも、一般式(IX−5)から一般式(IX−7)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2008248061
(式中、R77は炭素原子数1から5のアルキル基を表し、X77からX79はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
<重合性液晶化合物(III)>
本発明の高分子安定化液晶組成物に用いられる重合性液晶化合物(III)は、下記一般式(III−a)
Figure 2008248061
(式(III−a)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)、
一般式(III−b)
Figure 2008248061
(式(III−b)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
はベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、
及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)、
及び一般式(III−c)
Figure 2008248061
(式(III−c)中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、
6員環T、T及びTはそれぞれ独立的に、
Figure 2008248061
のいずれか(ただしmは1から4の整数を表す。)を表し、
は0又は1の整数を表し、
及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、
は単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、
は炭素原子数1から18の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(III)である。
より具体的には、一般式(III−d)及び(III−e)
Figure 2008248061
(式(III−d)及び(III−e)中、mは、0又は1を表し、
11及びY12はそれぞれ独立して単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、
13及びY14はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、
15及びY16はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、
r及びsはそれぞれ独立して2〜14の整数を表す。式中に存在する1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)のいずれかで表される化合物を用いると、機械的強度や耐熱性に優れた光学異方体が得られるので好ましい。
一般式(III−a)で表される化合物の具体例を以下の(III−1)から(III−10)に挙げることができる。
Figure 2008248061
(式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜14の整数を表す。)
また、一般式(III−d)及び(III−e)のいずれかで表される化合物の具体例を以下の(III−11)から(III−20)に挙げることができる。
Figure 2008248061
(式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜14の整数を表す。)
<単官能アクリレート(IV)>
本発明の高分子安定化液晶組成物においては、任意に単官能アクリレートを添加することができる。単官能アクリレート(IV)は、具体的には、下記一般式(IV−a)
Figure 2008248061
(式(IV−a)中、Bは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)を表し、
は炭素原子数3から25のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)で表される重合性化合物(IV)である。
重合性化合物(IV)は、特に、一般式(IV−b)
Figure 2008248061
(式(IV−b)中、Bは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)を表し、
及びBはそれぞれ独立して炭素原子数3から11の直鎖アルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)で表される重合性化合物であることが好ましい。
さらに一般式(IV−b)で表される化合物の好ましい構造について説明する。一般式(IV−b)で表される化合物において、Bは水素原子であることが好ましい。Bがメチル基である化合物においても本願発明の効果は発現するが、水素原子である化合物は重合速度がより速くなる点で有利である。またBは、単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基であることが好ましい。さらにBとBはそれぞれ独立して炭素原子数3から11の直鎖アルキル基であることが好ましい。
一般式(IV−b)の化合物に見られるような単官能モノマーの場合、分子量が低すぎると真空注入時に揮発するという問題が起こる。このため、分子量として280以上であることが好ましい。この条件があるためB、B及びBの関係は完全に独立ではない。例えばBが水素原子であり、Bがメチレン基、Bがオクチル基である場合、Bはペンチル基以上の長さを持ったアルキル基が好ましいということになる。
一般式(IV−b)で表される化合物は、二分岐構造であることが好ましい。二分岐構造とはB及びBが同じ構造か、若しくは近い構造という意味である。従ってB及びBの長さ(ここで、直鎖アルキル基の「長さ」とは、その炭素原子数をいうものとする。)が極端に違いすぎるのは好ましくない。B及びBの長さの差は炭素原子数にして8以内とする必要があるが、好ましくは6以内であり、4以内であればより好ましい。B及びBの長さの差が炭素原子数で2以内であればさらに好ましい。最も好ましくはB及びBの長さが同じ場合である。さらにB及びBは、炭素原子数4から10の直鎖アルキル基であるとより好ましく、炭素原子数5から9の直鎖アルキル基である場合が最も好ましい。
一方、B及びBが直鎖アルキル基でない場合、例えばB及びBの中でさらにアルキル基やアルキルエーテル基、エステル基などが分岐した構造とするのは好ましくない。
以上、一般式(IV−b)で表される化合物について、好ましい構造の具体例として下記式(IV−1)から一般式(IV−35)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
<高分子安定化液晶組成物の組成比>
本発明の高分子安定化液晶組成物は、一般式(II−a)又は(II−b)で表される非重合性低分子液晶化合物と、一般式(I−a)、(III−a)、(IV−a)で表される重合性化合物で構成される。該非重合性低分子液晶化合物と該重合性化合物の構成比は、該非重合性低分子液晶化合物の構成割合が少ないと高分子安定化液晶組成物としての特性を損なうため最適な構成比が存在する。具体的には、該非重合性低分子液晶化合物を92%〜99.9%含有していることが好ましく、92%〜99%含有していることがより好ましく、95%〜99%含有していることが特に好ましい。
本発明の高分子安定化液晶組成物は、一般式(II−a)又は(II−b)で表される低分子液晶化合物として、一般式(V−a)、一般式(VI−a)、一般式(VI−b)、一般式(VII−a)、一般式(VII−b)、一般式(VIII−a)、一般式(IX−a)で表される化合物を含む液晶組成物を92から99.9質量%含有し、一般式(I−a)、(III−a)、(IV−a)で表される化合物を含む重合性組成物を0.1から8%を含有していることが好ましく、該液晶組成物を92%から99%含有し、該重合性組成物を1から8質量%含有することがより好ましく、該液晶組成物を95%から99%含有し、該重合性組成物を1から5質量%含有することが特に好ましい。
液晶組成物としては、一般式(V−a)で表される化合物の含有率が5から90%、一般式(VI−a)、一般式(VI−b)、一般式(VII−a)及び一般式(VII−b)、で表される化合物群の含有率が5から70%であるものが好ましく、一般式(V−a)で表される化合物の含有率が10から80%、一般式(VI−a)、一般式(VI−b)、一般式(VII−a)及び一般式(VII−b)で表される化合物群の含有率が10から50%であるものがより好ましい。
本発明の高分子安定化液晶組成物において、重合性化合物(III)の含有率が0.05%から7%であって、重合性化合物(III)と前記重合性化合物(I)との組成比が(III):(I)=1:1から49:1であることが好ましい。
本発明においては、重合性液晶化合物(III)のほかに多官能液晶性モノマーを添加することもできる。この多官能液晶性モノマーとしては、重合性官能基として、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、エチニル基、メルカプト基、マレイミド基、ClCH=CHCONH−、CH=CCl−、CHCl=CH−、RCH=CHCOO−(ここでRは塩素、フッ素、または炭素原子数1〜10の炭化水素基を表す)が挙げられるが、これらの中でもアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、ビニルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基が特に好ましく、アクリロイルオキシ基が最も好ましい。
多官能液晶性モノマーの分子構造としては、2つ以上の環構造を有することを特徴とする液晶骨格、重合性官能基、さらに液晶骨格と重合性官能基を連結する柔軟性基を少なくとも2つ有するものが好ましく、3つの柔軟性基を有するものがさらに好ましい。柔軟性基としては、−(CH−(ここでnは整数を表す)で表されるようなアルキレンスペーサー基や−(Si(CH−O)−(ここでnは整数を表す)で表されるようなシロキサンスペーサー基を挙げることができ、この中ではアルキレンスペーサー基が好ましい。これらの柔軟性基と液晶骨格、もしくは重合性官能基との結合部分には、−O−、−COO−、−CO−のような結合が介在していても良い。
液晶骨格は、通常この技術分野で液晶骨格(メソゲン)と認識されるものであれば、特に制限なく使用することができるが、少なくとも2つ以上の環構造を有するものが好ましい。環構造としては使用できる環は、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、テトラジン、ジヒドロオキサジン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘキサノン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、テトラヒドロチオピラン、ジチアン、オキサチアン、ジオキサボリナン、ナフタレン、ジオキサナフタレン、テトラヒドロナフタレン、キノリン、クマリン、キノキサリン、デカヒドロナフタレン、インダン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、フェナンスレン、ジヒドロフェナンスレン、パーヒドロフェナンスレン、ジオキサパーヒドロフェナンスレン、フルオレン、フルオレノン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンオン、コレステン、ビシクロ[2.2.2]オクタンやビシクロ[2.2.2]オクテン、1,5−ジオキサスピロ(5.5)ウンデカン、1,5−ジチアスピロ(5.5)ウンデカン、トリフェニレン、トルクセン、ポルフィリン、フタロシアニンを挙げることができる。これらの中でも、ベンゼン、シクロヘキサン、フェナントレン、ナフタレン、テトラヒドロネフタレン、デカヒドロネフタレンが好ましい。これらの環は、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、又はシアノ基、ハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が望ましく、メチル基とエチル基が特に好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、アルカノイル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基が好ましく、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子と塩素原子が特に好ましい。また、多官能液晶性モノマーに加えて、単官能液晶性モノマーを添加しても良い。
これらの液晶組成物は不純物等を除去する、又は比抵抗値を更に高くする目的で、シリカ、アルミナ等による精製処理を施しても良い。比抵抗値としては1012Ω・cm以上が好ましく、1013Ω・cm以上がより好ましい。更に、目的に応じて液晶組成物中に、キラル化合物、染料等のドーパントを添加することもできる。その他、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、非反応性のオリゴマーや無機充填剤、有機充填剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、シランカップリング剤等を適宜添加しても良い。
本発明の高分子安定化液晶組成物は前述のように、一般式(II−a)又は(II−b)で表される非重合性低分子液晶化合物と、一般式(I−a)、(III−a)、(IV−a)で表される重合性化合物、更にその他の添加剤で構成されるが、高分子安定化液晶組成物を重合させる場合、重合開始剤を含有していることが好ましい。重合開始剤を含有させる場合の含有量は、重合開始剤以外の材料を98%〜99.9%含有し、重合開始剤を0.1%〜2%含有していることが好ましい。
<高分子安定化液晶組成物の重合方法>
本発明の高分子安定化液晶表示素子用組成物を重合させる場合の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、特に断りのない場合、「%」は「質量%」を意味する。
(高分子安定化液晶表示素子の作製、及び評価法)
実施例中の高分子分散型液晶表示素子は以下の方法で作製した。
高分子安定化液晶組成物の注入時は、液晶は一軸配向(ホモジニアス配向)が得られるように、セルギャップ4μmのポリイミド配向膜を塗布したITO付きパラレルラビングの配向セルを用いた。
液晶組成物、ラジカル重合性組成物、光重合開始剤及び微量の重合禁止剤からなる調光層形成材料を真空注入法でガラスセル内に注入した。真空度は2パスカルとなるよう設定した。注入後ガラスセルを取り出し、注入口を封口剤3026E(スリーボンド社製)で封止した。クロスニコルスの偏光顕微鏡で一軸配向であることを確認した後、周波数60Hzで1V〜2Vの矩形波を印加してベント配向へ転移させた。
紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介して、石英ガラスの光ファイバーで顕微鏡ステージに設置してある液晶セルに紫外線を導いて露光した。セルサンプル表面の照射強度が5mW/cmとなるように調整されたメタルハライドランプを300秒間照射して、高分子安定化液晶組成物の重合性化合物を重合させて高分子分安定化液晶表示素子を得た。
先に印加した電圧を切り、紫外線露光後の配向状態を偏光顕微鏡で観察して電圧印加により得られたベント配向が高分子安定化により無電界で維持されているのか調べた。更に、液晶セルのラビング方向を光入射側の偏光方向に対して45度になるよう顕微鏡ステージに配置して高分子安定化したセルの電圧を印加しない状態の透過率(無印加時の透過率)とセルに8Vを印加した状態の透過率(8V印加時の透過率)を測定した。透過率は、二枚の偏光板を直行した時を0%、平行にした時を100%とした。
透過率の測定結果からコントラストを次のように定義する。
コントラスト=8V印加時の透過率/無印加時の透過率
(高分子安定化液晶組成物の調製)
低分子液晶組成物LCM−1を97%と化合物群(I)、(III)、(IV)をそれぞれ少なくとも一種含む光重合性アクリレート組成物を3%、各該アクリレートに対して光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバスペシャリティケミカルズ社製)が2%になるようにして高分子安定化液晶組成物を調製した。
低分子液晶と光重合性アクリレート組成物を溶解させるため、80℃、10分加熱した。光重合性アクリレート組成物としては、光重合性液晶(ML−1)または化合物(III)群の(ML−2)を用いた。化合物(I)群の二官能アクリレートとしては、(MW−1)又は(MW−2)を用いた。化合物(IV)群の単官能アクリレートとしては、(MS−1)を用いた。
(ML−1)、(ML−2)の構造を次に示す。
Figure 2008248061
低分子液晶組成物LCM−1の各成分の構造および組成を次に示す。
Figure 2008248061
アクリレート化合物(MW−1)、(MW−2)、(MS−1)の構造を次に示す。
Figure 2008248061
Figure 2008248061
Figure 2008248061
(実施例1〜5、比較例1〜3)
表1に、実施例1〜5、及び比較例1〜3の高分子安定化組成物の組成を示し、表2に、高分子安定化後の無印加時(0V)の透過率、矩形波8V印加時の透過率、コントラスト、高分子安定化後の配向状態及び光散乱の有無を示す。使用したセルの配向膜は、JSR株式会社製AL1051を用いた。
Figure 2008248061
Figure 2008248061
表2より、無印加時の透過率が実施例1〜5記載の本願発明の高分子安定化液晶組成物では0.3%以下であるのに対して、比較例1及び2記載の組成物では0.35%以上と大きい。そのため、実施例1〜5記載の本願発明の高分子安定化液晶組成物のコントラストが比較例より優れることが示された。
コントラストが100以上ある比較例1(化合物I群のみ)の組成物においては、8V印加時の透過率が、低いため同様な透過率を得るための駆動電圧が高くなってしまう。
化合物群II群(非重合性低分子液晶化合物)の含有割合の少なく、化合物I群のみで構成される、比較例3の組成物においては、光散乱が発生してしまっており、配向状態もスプレイ配向となり安定な配向状態を維持することができなかった。
(実施例6)
実施例4の高分子安定化組成物を用いて60Hzの矩形波電圧、15Vを印加して偏光顕微鏡で観察した所、ホモジニアス配向が得られていることを確認した。これに、紫外線露光で高分子安定化させて電界を切って偏光顕微鏡で配向状態を観察すると無電界でもホモジニアス配向が維持させることができた。

Claims (10)

  1. 一般式(I−a)
    Figure 2008248061
    (式(I−a)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
    は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
    及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から18のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
    及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
    kは1から40を表し、
    、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い)、又は一般式(I−b)
    Figure 2008248061
    (式(I−b)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
    は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB、B及びBのうち前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は1〜3個である。)
    で表される重合性化合物であって、該重合性化合物の重合物のガラス転移温度が−100℃から25℃である重合性化合物(I)と、
    一般式(II−a)又は(II−b)
    Figure 2008248061
    (式(II−a)及び(II−b)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子で置換されていても良い。)を表し、
    は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
    及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
    及びZはそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
    はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメチル基、イソシアネート基、シアノ基を表し、
    は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)
    で表される化合物(II)と、
    一般式(III−a)
    Figure 2008248061
    (式(III−a)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
    及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
    及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
    は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
    は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)、
    一般式(III−b)
    Figure 2008248061
    (式(III−b)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
    は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
    はベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、
    及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
    は、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
    は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていても良い。)、
    及び一般式(III−c)
    Figure 2008248061
    (式(III−c)中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、
    6員環T、T及びTはそれぞれ独立的に、
    Figure 2008248061
    のいずれか(ただしmは1から4の整数を表す。)を表し、
    は0又は1の整数を表し、
    及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、
    は単結合、−COO−、又は−OCO−を表し、
    は炭素原子数1から18の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(III)と、
    を含有することを特徴とする高分子安定化液晶組成物。
  2. 一般式(IV−a)
    Figure 2008248061
    (式(IV−a)中、Bは水素原子又はメチル基を表し、
    は単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)を表し、
    は炭素原子数3から25のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)で表される重合性化合物(IV)を含有することを特徴とする請求項1記載の高分子安定化液晶組成物。
  3. 前記重合性化合物(IV)が、一般式(IV−b)
    Figure 2008248061
    (式(IV−b)中、Bは水素原子又はメチル基を表し、
    は単結合又は炭素原子数1から3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)を表し、
    及びBはそれぞれ独立して炭素原子数3から11の直鎖アルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子で置換されていても良い。)で表される重合性化合物である請求項2記載の高分子安定化液晶組成物。
  4. 重合性化合物(I)の重合物のガラス転移温度が−100℃から0℃である請求項1から3のいずれかに記載の高分子安定化液晶組成物。
  5. さらに液晶性アクリレートモノマーを含有し、その含有率が0.1%から8%である請求項1から4のいずれかに記載の高分子安定化液晶組成物。
  6. 液晶相中に高分子鎖を形成させることにより低分子液晶の配向状態を安定化した高分子安定化液晶表示素子であって、該高分子鎖及び低分子液晶が、請求項1から5のいずれかに記載の高分子安定化液晶組成物へ外部電場を加えて所望の配向状態を維持させながら紫外線露光することにより高分子で低分子液晶の配向を安定化させたことを特徴とする高分子安定化液晶表示素子。
  7. 液晶相中に高分子鎖を形成させることにより低分子液晶の配向状態を安定化した高分子安定化液晶表示素子であって、請求項1から5のいずれかに記載の高分子安定化液晶組成物中の重合性液晶の配向を配向膜で制御して所望の配向状態を維持させながら紫外線露光することにより高分子で低分子液晶の配向を安定化させたことを特徴とする高分子安定化液晶表示素子。
  8. 請求項6又は7の高分子安定化液晶表示素子がVA(垂直配向)モード動作することを特徴とする高分子安定化液晶表示素子。
  9. 請求項6又は7の高分子安定化液晶表示素子がIPS(インプレインスイッチング)モードで動作することを特徴とする高分子安定化液晶表示素子。
  10. 請求項6又は7の高分子安定化液晶表示素子がTN(ツイストネマチック)モードで動作することを特徴とする高分子安定化液晶表示素子。
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