JP4186134B2 - 液晶組成物及びこれを用いた光学異方体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学、表示、記録材料、また液晶ディスプレイの光学補償板や偏光プリズム材料として利用される新規な液晶組成物及びこれを用いた光学異方体に関する。
【0002】
【従来の技術】
先に我々は、液晶ディスプレイ素子の表示品位の向上と軽量化に応える光学補償板等の光学異方体の作製を可能にする技術として、室温において液晶性を示す重合性液晶組成物とその組成物を配向させた状態において光重合して得られる内部の配向構造が制御された光学異方体を提案した(特開平8−3111)。該発明の重合性液晶組成物は低分子化合物であり、粘度が低く所望の配向状態を迅速に達成することができるという長所を有している。また、得られた光学異方体の耐熱性も問題ない。しかしながら、得られた光学異方体は可とう性が悪く、これが光学異方体の加工の際の問題となっていた。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、重合性低分子液晶組成物において、光重合により得られる光学異方体の可とう性が改善された重合性液晶組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため、重合性液晶化合物の化学構造と可とう性との相関について鋭意検討した結果、かかる課題が、特定の化学構造を有する液晶性(メタ)アクリレート化合物の利用により解決されることを見いだし本発明を提供するに至った。即ち、
1.一般式(I)
【0005】
【化4】
Figure 0004186134
【0006】
(式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数5〜12の不斉中心を持たないアルキル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有し、液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物。
2.一般式(II)
【0007】
【化5】
Figure 0004186134
【0008】
(式中、X2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
【0009】
【化6】
Figure 0004186134
【0010】
から選ばれる環を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合又は−O−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする上記1記載の液晶組成物。
3.一般式(I)において、X1は水素原子を表し、Rは炭素原子数5〜8の直鎖アルキル基を表すことを特徴とする上記1又は2記載の液晶組成物。
4.一般式(II)において、X2は水素原子を表し、tは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニレン基を表し、Y1は−C≡C−を表し、Y3は単結合を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする上記2又は3記載の液晶組成物。
5.一般式(II)において、X2は水素原子を表し、tは0の整数を表し、6員環Aは1,4−フェニレン基を表し、6員環Cはトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、Y3は単結合を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする上記2又は3記載の液晶組成物。
6.室温で液晶相を示すことを特徴とする上記1、2、3、4又は5記載の液晶組成物。
7.上記1、2、3、4、5又は6記載の液晶組成物の重合体からなることを特徴とする光学異方体。
を前記課題の解決手段として見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
本発明は一般式(I)
【0012】
【化7】
Figure 0004186134
【0013】
(式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数5〜12の不斉中心を持たないアルキル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレートを含有し、液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物を提供する。一般式(I)の液晶性(メタ)アクリレートは、液晶骨格としては環の間に連結基が無い2環の4−フェニル安息香酸骨格を選択し、剛直な液晶骨格の長軸方向の長さを最低限にとどめ、かつ柔軟性の末端基であるアルキル鎖の長さを炭素原子数で5以上にすることによって、良好な液晶性を確保しつつ分子全体における剛直性部分の割合を最小限におさえたものである。これにより、一般式(I)の液晶性(メタ)アクリレートを含有する液晶組成物の光硬化物は良好な可とう性を示すと考えられる。本発明の液晶組成物には、光重合により得られる光学異方体の可とう性を確保するため、一般式(I)で表される液晶性(メタ)アクリレートは少なくとも10%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは60%以上含有させるのが好ましい。
【0014】
さらに本発明の液晶組成物には、室温付近、即ち少なくとも20〜30℃の温度範囲での液晶相の発現を容易にし、かつ液晶組成物の光重合物の耐熱性及び強度特性の確保を図ることを目的として、一般式(II)
【0015】
【化8】
Figure 0004186134
【0016】
(式中、X2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に
【0017】
【化9】
Figure 0004186134
【0018】
から選ばれる環を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合又は−O−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表す。)で表されることを特徴とする液晶性アクリレート化合物をさらに添加してもよい。このような液晶性(メタ)アクリレート化合物の具体的な例としては、式(1)〜(21)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる単官能(メタ)アクリレートはこれらに限定されるものではない。
【0019】
【化10】
Figure 0004186134
【0020】
【化11】
Figure 0004186134
【0021】
【化12】
Figure 0004186134
【0022】
(上記中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、またCは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相を表し、数字は相転移温度を表す。)
このような化合物の中でも、トラン骨格を有する液晶性(メタ)アクリレート化合物は大きな複屈折率を有しているため、大きな複屈折率を有する液晶組成物を調製するのに有用である。従って、式(4)、式(12)、(13)、(21)のような化合物は本発明の液晶組成物に好適に添加することができる。
【0023】
また、シクロヘキシルフェニル骨格を有する液晶性(メタ)アクリレート化合物は、小さい複屈折率を有しているため、小さな複屈折率を有する液晶組成物を調製するのに有用である。従って、式(1)、式(2)のような化合物は本発明の液晶組成物に好適に添加することができる。
【0024】
また、本発明の液晶組成物には、分子内に通常この技術分野で液晶骨格と認められる骨格と重合性官能基を同時に有する重合性の液晶化合物を、好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは85%以下の濃度で、液晶相が保持される範囲内で特に制限なく添加することができる。液晶骨格としては、少なくとも2つ又は3つの6員環を有するものが特に好ましい。重合性官能基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、ビニルエーテル基、シンナモイル基、ビニル基等を挙げることができるが、良好な光重合特性が得られることから、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。複数以上の重合性官能基を有する化合物の場合には、重合性官能基の種類が異なっていても良い。例えば、2つの重合性官能基を有する液晶化合物の場合、一つがアクリロイルオキシ基、もう一つがメタアクリロイルオキシ基又は、ビニルエーテル基であっても良い。重合性官能基を2つ有する液晶化合物は多くの種類が知られており、一般的にこれらを重合させた場合には良好な耐熱性及び強度特性を得られることから、好適に用いることができる。このような重合性官能基を2つ有する液晶化合物の具体的な例としては、式(22)〜(26)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化13】
Figure 0004186134
【0026】
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、Xは水素原子、又はメチル基を表し、Wはハロゲン原子、シアノ基又はメチル基を表し、sは2〜12の整数を表す)。さらに本発明の液晶組成物には、本発明の液晶組成物に必須の化合物の他にも、分子内に一つの重合性官能基を有する液晶化合物を添加しても良い。このような重合性官能基を一つ有する液晶化合物の具体的な例としては、式(27)〜(49)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0027】
【化14】
Figure 0004186134
【0028】
【化15】
Figure 0004186134
【0029】
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表し、Yは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基、エーテル結合を介した炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基、又はエステル結合を介した炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表し、sは2から12の整数を表す)。
【0030】
また、本発明の液晶組成物には、重合性官能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加しても良い。使用用途として本発明の液晶組成物の重合体を、表示素子と用いる場合や、温度によって屈折率を変化させたい場合には、重合性官能基を有していない液晶化合物の総量は10〜90重量%の範囲に設定するのが好ましい。また、温度によって屈折率が変化するのが好ましくない場合や、耐熱性や機械的特性を重視する場合には、重合性官能基を有していない液晶化合物の総量は0〜10重量%の範囲に設定するのが好ましい。
【0031】
また、本発明の液晶組成物には重合性官能基を有しており、かつ液晶性を示さない化合物も添加することができる。このような化合物としては、通常この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、ビニルエーテル化合物が特に好ましい。
【0032】
以上のような重合性官能基を有する液晶化合物、重合性官能基を有さない液晶化合物、液晶性を示さない重合性化合物は適宜組み合わせて添加してもよいが、少なくとも得られる液晶組成物の液晶性が失われないように各成分の添加量を調整することが必要である。
【0033】
本発明の液晶組成物の液晶相としては、通常この技術分野で液晶相と認識される相であれば特に制限なく用いることができるが、その中でもネマチック相、スメクチックA相、(カイラル)スメクチックC相、コレステリック相を発現するものが特に好ましい。また、(カイラル)スメクチックC相を示す場合には、該(カイラル)スメクチックC相の上の温度領域でスメクチックA相を、スメクチックA相を示す場合には、該スメクチックA相の上の温度領域でネマチック相を発現するようにすると、良好な一軸の配向特性が得られるため好ましい。
【0034】
また、本発明の液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、光重合開始剤の重合開始剤を添加しても良い。ここで使用できる熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ビスアゾブチロニトリル等から選択することができ、光重合開始剤としてはベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類等から選択して使用することができる。その添加量は、液晶組成物に対して10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0035】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために安定剤を添加しても良い。ここで使用することができる安定剤としては、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール等から選択して使用することができる。その添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましい。
【0036】
また、本発明の液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する重合体を得ることを目的としてカイラル(光学活性)化合物を添加しても良い。ここで使用することができるカイラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要は無く、また重合性官能基を有していても、有していなくても良い。またその螺旋の向きは重合体の使用用途によって適宜選択することができる。そのようなカイラル化合物としては光学活性基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、光学活性基として2−メチルブチル基を有する「CB−15」、「C−15」(以上BDH社製)、「S−1082」(メルク社製)、「CM−19」、「CM−20」、「CM」(以上チッソ社製)、光学活性基として1−メチルヘプチル基を有する「S−811」(メルク社製)、「CM−21」、「CM−22」(以上チッソ社製)を挙げることができる。このカイラル化合物の好ましい添加量は液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜20の範囲になるよう調整するのが好ましい。
【0037】
また、本発明の液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料等として利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、界面活性剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの金属酸化物等を添加することもできる。
【0038】
本発明は更に、本発明の液晶組成物の重合体であることを特徴とする光学異方体をも提供する。本発明の光学異方体は、本発明の液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造することができる。例えば、基板表面を布等でラビング、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させる方法を挙げることができる。その他の配向処理方法としては、液晶組成物の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。その中でも基板表面を布等でラビング処理した基板を用いる方法は、その簡便性から特に好ましい。
【0039】
この時使用することができる基板は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。具体的な例を挙げると有機材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン、無機材料としてはシリコン、ガラス、方解石等を挙げることができる。
【0040】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られないときには、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また通常のTN又はSTN素子で使用されているようなプレチルト角を与えるポリイミド薄膜を利用すると、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御できることから、特に好ましく利用することができる。また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用することができ、この場合には電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0041】
また、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法も用いることができる。これはポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜や光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、このましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜とするものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0042】
重合の方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等のエネルギーを照射することによって光重合させる方法が好ましい。この光重合させる際の光源としては偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で光重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は適当な透明性が与えられていなければならない。また、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からもできるだけ室温に近い温度で、即ち20〜30℃の温度で重合させることが好ましい。重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理をしても良い。熱処理の温度としては50〜250℃の温度範囲で、また熱処理時間としては30秒〜12時間の範囲にあるのが好ましい。
【0043】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いても良い。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(参考例1)液晶性アクリレート化合物の合成
式(a)の4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸
【0045】
【化16】
Figure 0004186134
【0046】
5.0g及び1−オクタノール25.0g、p−トルエンスルホン酸0.5g及びトルエン60mlの混合物を、生成してくる水をディーンスターク水分離器を用いて留去しながら、5時間加熱環流させた。室温まで冷却後、飽和食塩水200mlを加えた後、トルエン200mlを用いて抽出を行った。有機層を水洗した後、トルエンを減圧留去して粗生成物25.6gを得た。この粗生成物を、n−ヘキサン250mlを用いた再結晶により精製し、式(b)
【0047】
【化17】
Figure 0004186134
【0048】
のオクチル 4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾエート5.3g得た。
さらに、式(b)のオクチル 4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾエート5.3g、トリエチルアミン2.8g及びトルエン50mlからなる混合物に、反応液の温度を15℃以下に保ちながら、アクリル酸クロリド1.9gを滴下した。滴下終了後、室温にて1時間30分撹拌した後、反応液に飽和食塩水100mlを加えた。さらに反応液の水層が弱酸性となるまで希塩酸を加え、酢酸エチル80mlを用いて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチルを減圧留去して粗生成物5.3gを得た。この粗生成物を、メタノール30ml及びヘキサン5mlからなる混合溶媒を用いた再結晶により精製し、式(c)
【0049】
【化18】
Figure 0004186134
【0050】
の液晶性アクリレート化合物、4−(4−(オクチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエート5.0gを得た。この化合物の相転移温度は、結晶相−等方性液体相転移が49℃であった。この化合物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチック液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示した。しかしながら、正確な相転移温度は測定できなかった。
(参考例2)
参考例1と同様にして、式(d)
【0051】
【化19】
Figure 0004186134
【0052】
の液晶性アクリレート化合物、4−(4−(ヘプチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、結晶相−等方性液体相転移が39℃であった。この化合物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチック液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示した。等方性液体相−モノトロピックネマチック相転移温度は29℃であった。
(参考例3)
参考例1と同様にして、式(e)
【0053】
【化20】
Figure 0004186134
【0054】
の液晶性アクリレート化合物、4−(4−(ペンチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、結晶相−等方性液体相転移が46℃であった。この化合物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチック液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示した。しかしながら、正確な相転移温度は測定できなかった。
(参考例4)
参考例1と同様にして、式(f)
【0055】
【化21】
Figure 0004186134
【0056】
の液晶性アクリレート化合物、4−(4−(ヘキシルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、結晶相−等方性液体相転移が43℃であった。この化合物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチック液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示した。しかしながら、正確な相転移温度は測定できなかった。
(実施例1)液晶組成物の調製
参考例1で合成した式(c)の4−(4−(オクチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエート50重量部及び参考例2で合成した式(d)の4−(4−(ヘプチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエート50重量部から液晶組成物(A)を得た。この液晶組成物(A)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は37℃であった。
(実施例2)
式(1)の液晶性アクリレート化合物
【0057】
【化22】
Figure 0004186134
【0058】
50重量部、式(4)の液晶性アクリレート化合物
【0059】
【化23】
Figure 0004186134
【0060】
50重量部から成る液晶組成物(B)を調製した。この液晶組成物(B)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は46℃であった。次に、得られた液晶組成物(B)50重量部及び実施例1で得られた液晶組成物(A)50重量部からなる液晶組成物(C)を調製した。この液晶組成物(C)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度は41℃であった。
(実施例3)光学異方体の作製
実施例1で調製した液晶組成物(A)99重量部に光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部を溶解させた。次にこれを室温においてセルギャップ20ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認できた。このセルに室温において、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物(A)を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したところ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得られているのが確認できた。次にセルのガラスを2枚とも取り外すことにより、厚さ20ミクロンのTN配向構造を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されることがわかった。また、半径3ミリの円筒に光学異方体フィルムを巻きつけても、クラックが生じることが無く、良好な可とう性を有しているのが確かめられた。
(実施例4)光学異方体の作製
実施例2で調製した液晶組成物(C)99重量部に光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部を溶解させた。次にこれを室温においてセルギャップ20ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認できた。このセルに室温において、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物(C)を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したところ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得られているのが確認できた。次にセルのガラスを2枚とも取り外すことにより、厚さ20ミクロンのTN配向構造を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されることがわかった。また、半径3ミリの円筒に光学異方体フィルムを巻きつけても、クラックが生じることが無く、良好な可とう性を有しているのが確かめられた。
(比較例)光学異方体の作製
実施例2で調製した液晶組成物(B)99重量部に光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部を溶解させた。次にこれを室温においてセルギャップ20ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認できた。このセルに室温において、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物(B)を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したところ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得られているのが確認できた。次にセルのガラスを2枚とも取り外すことにより、厚さ20ミクロンのTN配向構造を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されることがわかった。また、半径3ミリの円筒に光学異方体フィルムを巻きつけると、小さなクラックが生じているのが観察された。
【0061】
以上の結果から、本発明の液晶組成物を用いると、可とう性に優れた光学異方体を得られることが明らかである。
【0062】
【発明の効果】
本発明の液晶組成物は、光重合により得られる光学異方体の可とう性を改善できるものである。従って、本発明の液晶組成物は、光重合により得られる光学異方体の加工性の改善にも有用であり、曲面状に折り曲げて用いるような光学異方体の原料としても有用である。

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004186134
    (式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数5〜12の直鎖アルキル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を2種以上含有し、液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物の重合体からなる光学異方体
  2. 一般式(II)
    Figure 0004186134
    (式中、X2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
    Figure 0004186134
    から選ばれる環を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合又は−O−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする液晶組成物の重合体からなる請求項1記載の光学異方体
  3. 一般式(I)において、X1は水素原子を表し、Rは炭素原子数5〜8の直鎖アルキル基を表すことを特徴とする液晶組成物の重合体からなる請求項1又は2記載の光学異方体
  4. 一般式(II)において、X2は水素原子を表し、tは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニレン基を表し、Y1は−C≡C−を表し、Y3は単結合を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする液晶組成物の重合体からなる請求項2又は3記載の光学異方体
  5. 一般式(II)において、X2は水素原子を表し、tは0の整数を表し、6員環Aは1,4−フェニレン基を表し、6員環Cはトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、Y3は単結合を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする液晶組成物の重合体からなる請求項2又は3記載の光学異方体
  6. 室温で液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物の重合体からなる請求項1、2、3、4又は5記載の光学異方体
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