JPH11148076A - 液晶組成物及びこれを用いた光学異方体 - Google Patents

液晶組成物及びこれを用いた光学異方体

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JPH11148076A
JPH11148076A JP9317543A JP31754397A JPH11148076A JP H11148076 A JPH11148076 A JP H11148076A JP 9317543 A JP9317543 A JP 9317543A JP 31754397 A JP31754397 A JP 31754397A JP H11148076 A JPH11148076 A JP H11148076A
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浩史 長谷部
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
Naoki Koo
直紀 小尾
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (式中、X1:H原子又はメチル基、R:C数5〜12
の不斉中心を持たないアルキル基。)で表される液晶性
(メタ)アクリレート化合物を含有し、液晶相を示す液
晶組成物。 【効果】 本発明の液晶組成物は、光重合により得られ
る光学異方体の可とう性を改善できるものである。従っ
て、本発明の液晶組成物は、光重合により得られる光学
異方体の加工性の改善や、曲面状に折り曲げて用いるよ
うな光学異方体の原料としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学、表示、記録
材料、また液晶ディスプレイの光学補償板や偏光プリズ
ム材料として利用される新規な液晶組成物及びこれを用
いた光学異方体に関する。
【0002】
【従来の技術】先に我々は、液晶ディスプレイ素子の表
示品位の向上と軽量化に応える光学補償板等の光学異方
体の作製を可能にする技術として、室温において液晶性
を示す重合性液晶組成物とその組成物を配向させた状態
において光重合して得られる内部の配向構造が制御され
た光学異方体を提案した(特開平8−3111)。該発
明の重合性液晶組成物は低分子化合物であり、粘度が低
く所望の配向状態を迅速に達成することができるという
長所を有している。また、得られた光学異方体の耐熱性
も問題ない。しかしながら、得られた光学異方体は可と
う性が悪く、これが光学異方体の加工の際の問題となっ
ていた。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は、重合性低分子液晶組成物において、光重
合により得られる光学異方体の可とう性が改善された重
合性液晶組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため、重合性液晶化合物の化学構造と可とう性
との相関について鋭意検討した結果、かかる課題が、特
定の化学構造を有する液晶性(メタ)アクリレート化合
物の利用により解決されることを見いだし本発明を提供
するに至った。即ち、 1.一般式(I)
【0005】
【化4】
【0006】(式中、X1は水素原子又はメチル基を表
し、Rは炭素原子数5〜12の不斉中心を持たないアル
キル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレー
ト化合物を含有し、液晶相を示すことを特徴とする液晶
組成物。 2.一般式(II)
【0007】
【化5】
【0008】(式中、X2は水素原子又はメチル基を表
し、tは0又は1の整数を表し、6員環A、B及びCは
それぞれ独立的に、
【0009】
【化6】
【0010】から選ばれる環を表し、mは1〜4の整数
を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−C
2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、
−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=C
F−、−(CH24−、−CH 2CH2CH2O−、−O
CH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は
−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合又は
−O−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケ
ニル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレー
ト化合物を含有することを特徴とする上記1記載の液晶
組成物。 3.一般式(I)において、X1は水素原子を表し、R
は炭素原子数5〜8の直鎖アルキル基を表すことを特徴
とする上記1又は2記載の液晶組成物。 4.一般式(II)において、X2は水素原子を表し、
tは0の整数を表し、6員環A及びCは1,4−フェニ
レン基を表し、Y1は−C≡C−を表し、Y3は単結合を
表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル基を表すこ
とを特徴とする上記2又は3記載の液晶組成物。 5.一般式(II)において、X2は水素原子を表し、
tは0の整数を表し、6員環Aは1,4−フェニレン基
を表し、6員環Cはトランス−1,4−シクロヘキシレ
ン基を表し、Y3は単結合を表し、Z1は炭素原子数1〜
20のアルキル基を表すことを特徴とする上記2又は3
記載の液晶組成物。 6.室温で液晶相を示すことを特徴とする上記1、2、
3、4又は5記載の液晶組成物。 7.上記1、2、3、4、5又は6記載の液晶組成物の
重合体からなることを特徴とする光学異方体。を前記課
題の解決手段として見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一例について説明
する。本発明は一般式(I)
【0012】
【化7】
【0013】(式中、X1は水素原子又はメチル基を表
し、Rは炭素原子数5〜12の不斉中心を持たないアル
キル基を表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレー
トを含有し、液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物
を提供する。一般式(I)の液晶性(メタ)アクリレー
トは、液晶骨格としては環の間に連結基が無い2環の4
−フェニル安息香酸骨格を選択し、剛直な液晶骨格の長
軸方向の長さを最低限にとどめ、かつ柔軟性の末端基で
あるアルキル鎖の長さを炭素原子数で5以上にすること
によって、良好な液晶性を確保しつつ分子全体における
剛直性部分の割合を最小限におさえたものである。これ
により、一般式(I)の液晶性(メタ)アクリレートを
含有する液晶組成物の光硬化物は良好な可とう性を示す
と考えられる。本発明の液晶組成物には、光重合により
得られる光学異方体の可とう性を確保するため、一般式
(I)で表される液晶性(メタ)アクリレートは少なく
とも10%以上、好ましくは15%以上、さらに好まし
くは30%以上、特に好ましくは60%以上含有させる
のが好ましい。
【0014】さらに本発明の液晶組成物には、室温付
近、即ち少なくとも20〜30℃の温度範囲での液晶相
の発現を容易にし、かつ液晶組成物の光重合物の耐熱性
及び強度特性の確保を図ることを目的として、一般式
(II)
【0015】
【化8】
【0016】(式中、X2は水素原子又はメチル基を表
し、tは0又は1の整数を表し、6員環A、B及びCは
それぞれ独立的に
【0017】
【化9】
【0018】から選ばれる環を表し、mは1〜4の整数
を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−C
2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、
−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=C
F−、−(CH24−、−CH 2CH2CH2O−、−O
CH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は
−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合又は
−O−を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基又は炭素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケ
ニル基を表す。)で表されることを特徴とする液晶性ア
クリレート化合物をさらに添加してもよい。このような
液晶性(メタ)アクリレート化合物の具体的な例として
は、式(1)〜(21)に挙げた化合物が好ましいが、
本発明の液晶組成物において使用することができる単官
能(メタ)アクリレートはこれらに限定されるものでは
ない。
【0019】
【化10】
【0020】
【化11】
【0021】
【化12】
【0022】(上記中、シクロヘキサン環はトランスシ
クロヘキサン環を表し、またCは結晶相、Nはネマチッ
ク相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相を表し、
数字は相転移温度を表す。) このような化合物の中でも、トラン骨格を有する液晶性
(メタ)アクリレート化合物は大きな複屈折率を有して
いるため、大きな複屈折率を有する液晶組成物を調製す
るのに有用である。従って、式(4)、式(12)、
(13)、(21)のような化合物は本発明の液晶組成
物に好適に添加することができる。
【0023】また、シクロヘキシルフェニル骨格を有す
る液晶性(メタ)アクリレート化合物は、小さい複屈折
率を有しているため、小さな複屈折率を有する液晶組成
物を調製するのに有用である。従って、式(1)、式
(2)のような化合物は本発明の液晶組成物に好適に添
加することができる。
【0024】また、本発明の液晶組成物には、分子内に
通常この技術分野で液晶骨格と認められる骨格と重合性
官能基を同時に有する重合性の液晶化合物を、好ましく
は90重量%以下、さらに好ましくは85%以下の濃度
で、液晶相が保持される範囲内で特に制限なく添加する
ことができる。液晶骨格としては、少なくとも2つ又は
3つの6員環を有するものが特に好ましい。重合性官能
基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ
基、ビニルエーテル基、シンナモイル基、ビニル基等を
挙げることができるが、良好な光重合特性が得られるこ
とから、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。複数以
上の重合性官能基を有する化合物の場合には、重合性官
能基の種類が異なっていても良い。例えば、2つの重合
性官能基を有する液晶化合物の場合、一つがアクリロイ
ルオキシ基、もう一つがメタアクリロイルオキシ基又
は、ビニルエーテル基であっても良い。重合性官能基を
2つ有する液晶化合物は多くの種類が知られており、一
般的にこれらを重合させた場合には良好な耐熱性及び強
度特性を得られることから、好適に用いることができ
る。このような重合性官能基を2つ有する液晶化合物の
具体的な例としては、式(22)〜(26)に挙げた化
合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用す
ることができる化合物はこれらに限定されるものではな
い。
【0025】
【化13】
【0026】(式中、シクロヘキサン環はトランスシク
ロヘキサン環を表し、Xは水素原子、又はメチル基を表
し、Wはハロゲン原子、シアノ基又はメチル基を表し、
sは2〜12の整数を表す)。さらに本発明の液晶組成
物には、本発明の液晶組成物に必須の化合物の他にも、
分子内に一つの重合性官能基を有する液晶化合物を添加
しても良い。このような重合性官能基を一つ有する液晶
化合物の具体的な例としては、式(27)〜(49)に
挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物におい
て使用することができる化合物はこれらに限定されるも
のではない。
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】(式中、シクロヘキサン環はトランスシク
ロヘキサン環を表し、Xは水素原子又はメチル基を表
し、Yは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子
数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基、エーテ
ル結合を介した炭素原子数1〜20のアルキル基あるい
はアルケニル基、又はエステル結合を介した炭素原子数
1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を表し、s
は2から12の整数を表す)。
【0030】また、本発明の液晶組成物には、重合性官
能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加して
も良い。使用用途として本発明の液晶組成物の重合体
を、表示素子と用いる場合や、温度によって屈折率を変
化させたい場合には、重合性官能基を有していない液晶
化合物の総量は10〜90重量%の範囲に設定するのが
好ましい。また、温度によって屈折率が変化するのが好
ましくない場合や、耐熱性や機械的特性を重視する場合
には、重合性官能基を有していない液晶化合物の総量は
0〜10重量%の範囲に設定するのが好ましい。
【0031】また、本発明の液晶組成物には重合性官能
基を有しており、かつ液晶性を示さない化合物も添加す
ることができる。このような化合物としては、通常この
技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性
オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく
使用することができるが、アクリレート化合物、メタク
リレート化合物、ビニルエーテル化合物が特に好まし
い。
【0032】以上のような重合性官能基を有する液晶化
合物、重合性官能基を有さない液晶化合物、液晶性を示
さない重合性化合物は適宜組み合わせて添加してもよい
が、少なくとも得られる液晶組成物の液晶性が失われな
いように各成分の添加量を調整することが必要である。
【0033】本発明の液晶組成物の液晶相としては、通
常この技術分野で液晶相と認識される相であれば特に制
限なく用いることができるが、その中でもネマチック
相、スメクチックA相、(カイラル)スメクチックC
相、コレステリック相を発現するものが特に好ましい。
また、(カイラル)スメクチックC相を示す場合には、
該(カイラル)スメクチックC相の上の温度領域でスメ
クチックA相を、スメクチックA相を示す場合には、該
スメクチックA相の上の温度領域でネマチック相を発現
するようにすると、良好な一軸の配向特性が得られるた
め好ましい。
【0034】また、本発明の液晶組成物には、その重合
反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、
光重合開始剤の重合開始剤を添加しても良い。ここで使
用できる熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ビ
スアゾブチロニトリル等から選択することができ、光重
合開始剤としてはベンゾインエーテル類、ベンゾフェノ
ン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類等から選
択して使用することができる。その添加量は、液晶組成
物に対して10重量%以下であることが好ましく、5重
量%以下であることがさらに好ましく、0.5〜1.5
重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0035】また、本発明の液晶組成物には、その保存
安定性を向上させるために安定剤を添加しても良い。こ
こで使用することができる安定剤としては、例えばヒド
ロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三
ブチルカテコール等から選択して使用することができ
る。その添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が
好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましい。
【0036】また、本発明の液晶組成物には、液晶骨格
の螺旋構造を内部に有する重合体を得ることを目的とし
てカイラル(光学活性)化合物を添加しても良い。ここ
で使用することができるカイラル化合物は、それ自体が
液晶性を示す必要は無く、また重合性官能基を有してい
ても、有していなくても良い。またその螺旋の向きは重
合体の使用用途によって適宜選択することができる。そ
のようなカイラル化合物としては光学活性基としてコレ
ステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステ
アリン酸コレステロール、光学活性基として2−メチル
ブチル基を有する「CB−15」、「C−15」(以上
BDH社製)、「S−1082」(メルク社製)、「C
M−19」、「CM−20」、「CM」(以上チッソ社
製)、光学活性基として1−メチルヘプチル基を有する
「S−811」(メルク社製)、「CM−21」、「C
M−22」(以上チッソ社製)を挙げることができる。
このカイラル化合物の好ましい添加量は液晶組成物の用
途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重
合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が
0.1〜20の範囲になるよう調整するのが好ましい。
【0037】また、本発明の液晶組成物を偏光フィルム
や配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料等として利用
する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染
料、顔料、色素、界面活性剤、ゲル化剤、紫外線吸収
剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの金属酸化
物等を添加することもできる。
【0038】本発明は更に、本発明の液晶組成物の重合
体であることを特徴とする光学異方体をも提供する。本
発明の光学異方体は、本発明の液晶組成物を配向させた
状態において、重合させることにより製造することがで
きる。例えば、基板表面を布等でラビング、もしくは有
機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング、あるいは
SiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持さ
せるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合さ
せる方法を挙げることができる。その他の配向処理方法
としては、液晶組成物の流動配向の利用や、電場又は磁
場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単
独で用いても、また組み合わせて用いても良い。その中
でも基板表面を布等でラビング処理した基板を用いる方
法は、その簡便性から特に好ましい。
【0039】この時使用することができる基板は、有機
材料、無機材料を問わずに用いることができる。具体的
な例を挙げると有機材料としては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミ
ド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリ
フルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、ト
リアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエー
テルケトン、無機材料としてはシリコン、ガラス、方解
石等を挙げることができる。
【0040】これらの基板を布等でラビングすることに
よって適当な配向性を得られないときには、公知の方法
に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜
等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビン
グしても良い。また通常のTN又はSTN素子で使用さ
れているようなプレチルト角を与えるポリイミド薄膜を
利用すると、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密
に制御できることから、特に好ましく利用することがで
きる。また、電場によって配向状態を制御する場合に
は、電極層を有する基板を使用することができ、この場
合には電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形
成するのが好ましい。
【0041】また、ラビングに代わる配向処理方法とし
て、光配向法も用いることができる。これはポリビニル
シンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有
する有機薄膜や光で異性化する官能基を有する有機薄膜
又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、このまし
くは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜と
するものである。この光配向法に光マスクを適用するこ
とにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光
学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能と
なる。
【0042】重合の方法としては、迅速な重合の進行が
望ましいので、紫外線又は電子線等のエネルギーを照射
することによって光重合させる方法が好ましい。この光
重合させる際の光源としては偏光光源を用いても良い
し、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2
枚の基板間に挟持させた状態で光重合を行う場合には、
少なくとも照射面側の基板は適当な透明性が与えられて
いなければならない。また、照射時の温度は、本発明の
液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であるこ
とが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造
しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避け
る意味からもできるだけ室温に近い温度で、即ち20〜
30℃の温度で重合させることが好ましい。重合によっ
て得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽
減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理
をしても良い。熱処理の温度としては50〜250℃の
温度範囲で、また熱処理時間としては30秒〜12時間
の範囲にあるのが好ましい。
【0043】このような方法によって製造される本発明
の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せず
に用いても良い。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に
詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。 (参考例1)液晶性アクリレート化合物の合成 式(a)の4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸
【0045】
【化16】
【0046】5.0g及び1−オクタノール25.0
g、p−トルエンスルホン酸0.5g及びトルエン60
mlの混合物を、生成してくる水をディーンスターク水
分離器を用いて留去しながら、5時間加熱環流させた。
室温まで冷却後、飽和食塩水200mlを加えた後、ト
ルエン200mlを用いて抽出を行った。有機層を水洗
した後、トルエンを減圧留去して粗生成物25.6gを
得た。この粗生成物を、n−ヘキサン250mlを用い
た再結晶により精製し、式(b)
【0047】
【化17】
【0048】のオクチル 4−(4−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾエート5.3g得た。さらに、式(b)のオ
クチル 4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾエート
5.3g、トリエチルアミン2.8g及びトルエン50
mlからなる混合物に、反応液の温度を15℃以下に保
ちながら、アクリル酸クロリド1.9gを滴下した。滴
下終了後、室温にて1時間30分撹拌した後、反応液に
飽和食塩水100mlを加えた。さらに反応液の水層が
弱酸性となるまで希塩酸を加え、酢酸エチル80mlを
用いて抽出を行った。有機層を水洗した後、酢酸エチル
を減圧留去して粗生成物5.3gを得た。この粗生成物
を、メタノール30ml及びヘキサン5mlからなる混
合溶媒を用いた再結晶により精製し、式(c)
【0049】
【化18】
【0050】の液晶性アクリレート化合物、4−(4−
(オクチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2
−プロペノエート5.0gを得た。この化合物の相転移
温度は、結晶相−等方性液体相転移が49℃であった。
この化合物は等方性液体相まで加熱した後、冷却すると
ネマチック液晶相を呈する、モノトロピックネマチック
性を示した。しかしながら、正確な相転移温度は測定で
きなかった。 (参考例2)参考例1と同様にして、式(d)
【0051】
【化19】
【0052】の液晶性アクリレート化合物、4−(4−
(ヘプチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2
−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、
結晶相−等方性液体相転移が39℃であった。この化合
物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチッ
ク液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示し
た。等方性液体相−モノトロピックネマチック相転移温
度は29℃であった。 (参考例3)参考例1と同様にして、式(e)
【0053】
【化20】
【0054】の液晶性アクリレート化合物、4−(4−
(ペンチルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2
−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、
結晶相−等方性液体相転移が46℃であった。この化合
物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチッ
ク液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示し
た。しかしながら、正確な相転移温度は測定できなかっ
た。 (参考例4)参考例1と同様にして、式(f)
【0055】
【化21】
【0056】の液晶性アクリレート化合物、4−(4−
(ヘキシルオキシカルボニル)フェニル)フェニル 2
−プロペノエートを得た。この化合物の相転移温度は、
結晶相−等方性液体相転移が43℃であった。この化合
物は等方性液体相まで加熱した後、冷却するとネマチッ
ク液晶相を呈する、モノトロピックネマチック性を示し
た。しかしながら、正確な相転移温度は測定できなかっ
た。 (実施例1)液晶組成物の調製 参考例1で合成した式(c)の4−(4−(オクチルオ
キシカルボニル)フェニル)フェニル 2−プロペノエ
ート50重量部及び参考例2で合成した式(d)の4−
(4−(ヘプチルオキシカルボニル)フェニル)フェニ
ル 2−プロペノエート50重量部から液晶組成物
(A)を得た。この液晶組成物(A)は、室温でネマチ
ック液晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転
移温度は37℃であった。 (実施例2)式(1)の液晶性アクリレート化合物
【0057】
【化22】
【0058】50重量部、式(4)の液晶性アクリレー
ト化合物
【0059】
【化23】
【0060】50重量部から成る液晶組成物(B)を調
製した。この液晶組成物(B)は、室温でネマチック液
晶相を示し、ネマチック相−等方性液体相の相転移温度
は46℃であった。次に、得られた液晶組成物(B)5
0重量部及び実施例1で得られた液晶組成物(A)50
重量部からなる液晶組成物(C)を調製した。この液晶
組成物(C)は、室温でネマチック液晶相を示し、ネマ
チック相−等方性液体相の相転移温度は41℃であっ
た。 (実施例3)光学異方体の作製 実施例1で調製した液晶組成物(A)99重量部に光重
合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社
製)1重量部を溶解させた。次にこれを室温においてセ
ルギャップ20ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステ
ッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配
向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認でき
た。このセルに室温において、高圧水銀ランプを用いて
500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物
(A)を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したと
ころ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得ら
れているのが確認できた。次にセルのガラスを2枚とも
取り外すことにより、厚さ20ミクロンのTN配向構造
を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃
で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されるこ
とがわかった。また、半径3ミリの円筒に光学異方体フ
ィルムを巻きつけても、クラックが生じることが無く、
良好な可とう性を有しているのが確かめられた。 (実施例4)光学異方体の作製 実施例2で調製した液晶組成物(C)99重量部に光重
合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社
製)1重量部を溶解させた。次にこれを室温においてセ
ルギャップ20ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステ
ッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配
向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認でき
た。このセルに室温において、高圧水銀ランプを用いて
500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物
(C)を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したと
ころ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得ら
れているのが確認できた。次にセルのガラスを2枚とも
取り外すことにより、厚さ20ミクロンのTN配向構造
を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃
で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されるこ
とがわかった。また、半径3ミリの円筒に光学異方体フ
ィルムを巻きつけても、クラックが生じることが無く、
良好な可とう性を有しているのが確かめられた。 (比較例)光学異方体の作製 実施例2で調製した液晶組成物(B)99重量部に光重
合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社
製)1重量部を溶解させた。次にこれを室温においてセ
ルギャップ20ミクロンの透明ガラス製TN(ツイステ
ッドネマチック)セルに注入したところ、良好なTN配
向が得られていることが偏光顕微鏡観察により確認でき
た。このセルに室温において、高圧水銀ランプを用いて
500mJ/cm2の紫外線を照射し、液晶組成物
(B)を光重合させた。セルを偏光顕微鏡で観察したと
ころ、TN配向が均一に固定化された光学異方体が得ら
れているのが確認できた。次にセルのガラスを2枚とも
取り外すことにより、厚さ20ミクロンのTN配向構造
を有する光学異方体を得た。この光学異方体は150℃
で100時間加熱しても、TN配向構造が保持されるこ
とがわかった。また、半径3ミリの円筒に光学異方体フ
ィルムを巻きつけると、小さなクラックが生じているの
が観察された。
【0061】以上の結果から、本発明の液晶組成物を用
いると、可とう性に優れた光学異方体を得られることが
明らかである。
【0062】
【発明の効果】本発明の液晶組成物は、光重合により得
られる光学異方体の可とう性を改善できるものである。
従って、本発明の液晶組成物は、光重合により得られる
光学異方体の加工性の改善にも有用であり、曲面状に折
り曲げて用いるような光学異方体の原料としても有用で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 19/38 C09K 19/38 G02F 1/13 500 G02F 1/13 500

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素
    原子数5〜12の不斉中心を持たないアルキル基を表
    す。)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物を
    含有し、液晶相を示すことを特徴とする液晶組成物。
  2. 【請求項2】 一般式(II) 【化2】 (式中、X2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又
    は1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立
    的に、 【化3】 から選ばれる環を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1
    及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH
    2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OC
    O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、
    −(CH24−、−CH 2CH2CH2O−、−OCH2
    2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−又は−CH2
    CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合又は−O−を
    表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭
    素原子数1〜20のアルキル基あるいはアルケニル基を
    表す。)で表される液晶性(メタ)アクリレート化合物
    を含有することを特徴とする請求項1記載の液晶組成
    物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、X1は水素原子
    を表し、Rは炭素原子数5〜8の直鎖アルキル基を表す
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(II)において、X2は水素原
    子を表し、tは0の整数を表し、6員環A及びCは1,
    4−フェニレン基を表し、Y1は−C≡C−を表し、Y3
    は単結合を表し、Z1は炭素原子数1〜20のアルキル
    基を表すことを特徴とする請求項2又は3記載の液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 一般式(II)において、X2は水素原
    子を表し、tは0の整数を表し、6員環Aは1,4−フ
    ェニレン基を表し、6員環Cはトランス−1,4−シク
    ロヘキシレン基を表し、Y3は単結合を表し、Z1は炭素
    原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする請
    求項2又は3記載の液晶組成物。
  6. 【請求項6】 室温で液晶相を示すことを特徴とする請
    求項1、2、3、4又は5記載の液晶組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    液晶組成物の重合体からなることを特徴とする光学異方
    体。
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