JP2005506212A - 化粧板積層品とその製造方法 - Google Patents

Abstract

最上層化粧板積層品を有する化粧板積層品。この最上層積層品は、下向きの重ね合わせで、化粧層および、PETGを含む心材層を含む。好ましくは、最上層積層品はまた、耐摩耗オーバーレイ層を化粧層の最上部に含み、心材層のPETGはシート状である。この最上層積層品は耐水性接着剤を用いて耐水性基材に接着される。本発明の化粧板積層品は、床材用途を含む種々の目的に使用できる。本発明を床材に用いるときには、オーバーレイ層は耐摩耗性を有することが好ましく、また耐水性基材にPVCまたは繊維セメント板が含まれることが好ましい。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、概して化粧板積層品とその生産方法に関し、さらに具体的には、強化された耐湿性および寸法安定性を有する化粧板積層品に関し、その品質は、特に繰り返し、あるいは長期にわたって湿気、あるいは水分にさらされる床材用途に有用である。
【背景技術】
【０００２】
化粧板は、多年にわたり、魅力的な美観効果が（すぐれた耐摩耗性、耐熱性、防汚性、洗浄可能性、コストのような）望ましい機能的性能と併せて好まれて、商業用および住宅用の表面材として使用されてきた。代表的な用途には、これらに限るものではないが、歴史的に、家具、台所カウンター表面、テーブル表面、商店備品、浴室化粧テーブルの表面、キャビネット、壁板、オフィスの仕切り等が含まれている。
【０００３】
さらに最近では、化粧板の用途は、美観に劣るビニルタイルまたはリノリウム製品の代わりだけでなく、より高価な本物の木材製、石製またはセラミック製タイルの代わりに、また衛生的に劣り、凹凸の有るカーペット材料の代わりに床材としての使用を含む用途に拡大してきている。しかし、詳細は後に議論するように、現在の化粧板は、特に繰り返して、あるいは長期にわたって湿気および/または水分にさらされる用途には、内在する親水的な性質から、特に適しているということはなかった。このような現在の化粧板は、従って、主として、乾燥条件にある住宅用途に限られてきた。従って、詳細は後に論ずるが、繰り返して、あるいは長期にわたって湿気および/または水分にさらされる場所で使用でき、現在の化粧板の欠点を解消する化粧板に対するニーズが存在する。
【０００４】
一般に化粧板は２つの大きな範疇に分類でき、すなわち高圧化粧板（HPDL)および低圧化粧板（LPDL）である。業界の運営団体である全国電気製造業者協会（NEMA）により、その規格出版物、LD 3-1995中で定義されているように、高圧化粧板は、加熱下で７５０psigを超える特定の加圧下で製造、いいかえれば「ラミネート加工」される。これに対し、低圧化粧板は、主として、基材が過度に潰れるのを避けるために、約３００psigの特定の圧力で製造される。高圧、低圧化粧板の他の明らかな違いは、前者は、一般に、比較的薄く、主として化粧表面とフェノール樹脂含浸クラフト紙心材を含み、製造後、自立性がない。従って、高圧化粧板は、通常、適当な接着剤またはグルーで、パーティクルボードまたは中密度ファイバーボード（MDF）のような剛性のある基材に、最終製品の仕上げ加工の別工程で接着される。これに対して、低圧化粧板は、主として、支持する心材層なしに、同種の化粧表面を含み、これが、パーティクルボードまたはMDFのような基材と、製造の間に、単一のラミネート加工、いいかえれば、「プレス」工程で接着される。
【０００５】
高圧化粧板と低圧化粧板は両方とも、歴史的には加熱、平板、油圧プレスで製造されてきた。何種かの新型の加工設備を例外として、高圧化粧板は、主として、多層のシートとして、プレス用「パック」あるいは「ブック」の形で、多段プレス（通常蒸気または高圧熱水加熱、水冷）で３０〜６０分の熱サイクル、１３０℃〜１５０℃最高温度でプレスされる。一方、低圧化粧板は、主として、１開口プレス（通常、熱媒油または電熱加熱）で等温、熱間取り出し、プレス加熱板温度１８０℃〜２２０℃、３０〜６０秒の「短サイクル」で、一枚のシートあるいは「ボード」としてプレスされる。化粧板製造用の連続ラミネート加工、別名「ダブルベルト」プレスが存在することにより、成形時間および温度が低圧化粧板で用いられるものと類似になる点で、上記の区分は、多かれ少なかれあいまいになる。このようなプロセスでは、圧力は中間で、主として３００〜８００psigの範囲であり、一方連続積層板そのものは比較的薄く、基材への直接の接着はなく、そのためには、従来の高圧化粧板と同様に、２次加工段階を必要とする。一層微妙なプロセスの相違と同様に、上述のプロセスおよび製品の相違点は、当業者には理解されるであろう。
【０００６】
高圧化粧板は、通常、無地か模様を印刷した化粧シート層を含み、その上に任意であるが、半透明のオーバーレイシートが置かれる。オーバーレイは無地物の耐摩耗性を改善するためにも用いられるが、主として印刷の線を保護し、耐摩耗性を強化するためにプリントシートと組み合わせて使用される。無地シートは主として、種々の顔料、充填剤および乳白剤を含有するアルファセルロース紙で、通常３０００平方フィートリームあたり５０〜１２０ポンドの基礎重量を有する。同様にプリント基礎紙も顔料その他で充填されたアルファセルロースであるが、通常軽くカレンダー加工されており、印刷性を改善するために無地物よりも密度が高く、基礎重量がリームあたり約４０〜７５ポンド小さく、表面に１種以上のインクを用いて輪転グラビア印刷または他の方法で模様が印刷される。逆に、オーバーレイ紙は、任意にわずかに染めたり、色付けされていてもよいが、顔料または充填剤を用いず、主として、高純度のアルファセルロース繊維から成り、不透明の化粧紙に比べ、通常はリームあたり１０〜４０ポンドだけ軽い基礎重量を有する。
【０００７】
高い摩耗度の用途（床材のような）では、一層大きな耐摩耗性の表層が望ましいことが多い。従って、オーバーレイ紙は、酸化ケイ素（シリカ）および好ましくは酸化アルミニウム（アルミナ）のような、硬い、研磨性の、製紙プロセスの間に完成紙料に含まれる鉱物粒子を含有してもよい。これに代えて、最終のラミネーション段階に先立つ、後述する「処理」プロセスの間に、オーバーレイまたは化粧紙の表面に、研磨性の粒子をコーティングしてもよい。さらに、研磨性の粒子は、オーバーレイまたは化粧紙に含浸するレジンに加えることができ、研磨性の粒子は沈着して、より少量これらの層に分散される。当業者に知られているように、化粧層に研磨性の粒子が沈着するならば、別のオーバーレイ層は必要がない可能性がある。
【０００８】
通常、これらのオーバーレイならびに化粧プリントおよび無地の表面紙は、メラミン−ホルムアルデヒド熱硬化性樹脂で処理または含浸されており、この樹脂はメラミンおよびホルムアルデヒドの縮合重合生成物であり、当業者には理解されるであろうが、これに可塑剤、流動促進剤、触媒、界面活性剤、剥離剤または加工の間、および最終のプレスによる硬化の後の特定の望ましい性質を改善するための他の物質を含む種々の改質剤を共反応または添加することができる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の調製とその添加剤と同様に、他の多官能性のアミノおよびアルデヒド化合物をベース樹脂の調製に使用できること、およびポリエステル、アクリル樹脂、のような他の熱硬化性のポリマーが特定の用途のための表面樹脂として有用でありうることは当業者のよく理解するところであろう。
【０００９】
任意であるが、オーバーレイが、ラミネート加工工程の熱圧による圧密化の間に、化粧層と心材の結合とともに、化粧層とオーバーレイ層間の十分な結合をもたらすに十分なだけ隣接する化粧層に流入し役立つ樹脂を含有しているならば、処理されていない化粧紙を処理されたオーバーレイと組み合わせて使用することができる。これら、種々の表面を処理する設備は、市販されており、当業者によく知られている。紙類は通常、当業者はよく理解しているであろうが、最適の性能のための、制御された所定の樹脂含量および揮発分になるように処理され、代表的な樹脂含量はオーバーレイ紙、無地紙およびプリント紙（無処理で使用するのでなければ）についてそれぞれ、６４〜８０％、４５〜５５％および３５〜４５％の範囲であり、揮発分はどれも５〜１０％である。低圧法で用いられるオーバーレイおよび化粧表面紙には、通常、低い圧力とそれに伴う樹脂の流動の悪さならびにプレス操作中の短い熱硬化サイクルを補うために、より高い樹脂含量および触媒濃度（および/または強い触媒）を使用する。
【００１０】
高圧化粧板の表面紙（すなわち、オーバーレイおよび化粧層）は、プレス操作の間に同時に心材と結合される。従来の高圧化粧板の心材は、主として、複数の含浸グレードクラフト紙によるクッションシートで、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂で処理または含浸されており、また、ラミネート工程の間に同時に、互いに融着および結合して、一体化した多層複合体または積層物を形成する。フェノール−ホルムアルデヒド樹脂はフェノールおよびホルムアルデヒドの縮合重合反応生成物である。当業者はまた、可塑剤、増量剤および流動促進剤のような種々の改質剤が、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂と共反応したり、添加したりできること、他のフェノールおよびアルデヒド化合物がベースレジンを調製するのに使用できること、またはエポキシやポリエステルのような他の熱硬化性が使用できることを理解できるであろう。しかし、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、一般に、従来法の高圧化粧板の製造に好まれており、段ボール用ライナー用クラフト紙、天然繊維織物、またはガラス繊維織布もしくは不織布、カーボンもしくは高分子繊維の布もしくはマットのような他の材料も、それ自身であるいはクラフト紙と組み合わせて心材層として使用できるけれども、通常、基本重量が、リームあたり７０〜１５０ポンドである含浸グレードのクラフト紙の使用も高圧化粧板の製造に好まれている。どの場合にしても、これらの心材層は、「一次」填料樹脂（および、もし、隣接して使用されているならば、表面材樹脂）と化学的に相溶性のよい樹脂で処理するか、または無処理で使用するならば、十分な樹脂が、隣接の填料層から、心材に供給され、層間の適切な接着が保証されるだけ得られなければならない。填料樹脂の調製手順および填料処理の設備と手法もまた、当業者にはよく知られている。従来の低圧法では、一般に、心材層は使用されず、化粧表面材は、中間の心材層よりはむしろ基材に直接接着される。
【００１１】
HPDLラミネート化またはプレス作業の間、種々の表面シートおよび填料シートまたは、薄層が、熱圧下で、シート類を共に融着および接着して、厚さ方向に組成が不均一であっても、一体化した積層体として硬化される。前述のように、このプロセスは、主として、曲がらない、チャンネルを設けた、加圧下における加熱およびそれに続く冷却が可能な、プラテンの間での、多段平板式油圧プレスにより実施される。
【００１２】
このようなプレスでは、一組の背中合わせにした、それぞれが複数の含浸シートおよび一枚以上の表面シートからなる配列したシート積層品を（後述するように分離紙を用いて）、曲がらないプレス熱板または「当て板」間に、表面がプレス熱板に隣接するように積み重ねられた。業界で知られているように、このようなプレス板は、主として、AISI ４１０のような、熱処理できる、マルテンサイトステンレス鋼合金でできており、種々の表面仕上げができ、プレス操作の間に、直接に積層板の表面にその形状を付与するか、または、プレス板と表面部材の間に設けられる非接着性の模様付き/離型シートとともに用いる。このシートは、同様に、選択された仕上げを、積層板表面にプレス中に付与する（後にはがされ、廃棄される）。
【００１３】
主として、積層体の対または「ダブレット」の数組は、キャリヤートレイに支持されて、数組のプレス板の間に挟み込まれ、「ブック」とも称されるプレスパックを形成する。プレス板の間の積層体の対は、通常、互いに、ワックスもしくはシリコーンコート紙または市販の２軸配向ポリプロピレン（BOPP）のような非接着性の材料を用いて分離される。あるいは、対向している積層品の双方または片方のお互いに接触しているクッションシートは、ワックスまたは脂肪酸塩のような離型剤でコーティングされている。このように準備したプレスパックはそれぞれ、次いで、キャリヤートレーを用いて、多段高圧平板プレスの、「デイライト」とも称する加熱/冷却板の型開きの間に挿入される。このプレス板は、主として、生蒸気または高圧熱水で加熱され、高圧熱水は通常、閉ループシステムになっていて、水冷される。
【００１４】
積層板積層品とプレス板を納めたパックを１組以上、プレスに入れたときの代表的なプレスサイクルは、プレスを閉じて特定の１０００〜１５００psigの圧力をかけること、所定の速度で約１３０〜１５０℃に加熱すること、所定時間この硬化温度に保持すること、ついでパックを室温またはその付近まで冷却すること、最後に、プレスからキャリヤートレイにパックを取り出す前に、圧力を開放することを伴っている。当業者は、全体のプレス操作について細部を理解しているであろうし、積層品の硬化温度および硬化度の注意深い制御が、所望の積層板の性能を実現するために（プロセスで使用する樹脂の配合および紙の適切な選択と同じように）重要であることを認識しているであろう。
【００１５】
プレス操作が完了して、プレスパックがプレスから取り出された後で、組み立てたプレスパックから、再使用のためにプレス板を順々に取り除き、製品の積層板のダブレットは個別の積層シートに分離される。分離作業中に、積層シートは所望の寸法にトリミングしなくてはならず、裏側は後続の基材への接着を改善するために研磨される。連続ラミネートプロセスでは、トリミングおよび研磨作業、ならびに所望ならばシート化は、回転ダブルベルト間での直接熱圧一体化および硬化の後に、通常、インラインで実施される。逆に、在来の低圧法操作では、通常、プレスされていない表面紙のエッジ「バリ」の除去が唯一の必要な仕上げ工程である。
【００１６】
上述のように、比較的最近の建築および設計業界の動きでは、化粧板を床材用途に使用することが、広く受け入れられるようになってきている。石もしくはセラミック製のタイルまたは木材の厚板に似せた、このような床材製品は、詳細を前述したように、最も広く、在来の、表面を耐摩耗性のオーバーレイ加工した高圧化粧板を、中密度のファイバーボード（MDF）または、高級高密度ファイバーボード（HDF）のどちらかに接着して製造される。あるいはこれに代えて、直接一段低圧法で、ここでも化粧表面シートを保護するための研磨剤入りのオーバーレイを使用して、MDFまたはHDFを基材として、床材用の複合材料がプレスされる。床材製品に最も広く使われている、さねはぎまたは完全な「はめ合い」の端面処理による結合方式のために要求される厳しい機械加工の要求により、ファイバーボード基材が、パーティクルボードまたは他の、きめの粗い、安価な基材の代わりに使用される。
【００１７】
しかし、最も高価なHPDL被覆加工した床材製品であっても、また最高の「耐湿性」HDF基材（ボードが、より高い樹脂含有量で、より高い耐湿性の樹脂で製造される）を使用しても、またワックスおよび他の「撥水剤」でサイジングされていても、厳しい用途制限と問題があることは、最も広く使用されている、現世代の床材製品が、湿気または水分に、繰り返しあるいは持続してさらされたときには、依然変わらない。これらの欠陥は、これらの製品は主として、セルロースからなる木材繊維を含んでいることによる内在的な親水性、実際は吸湿性による。これらの欠陥は、非等方性、すなわち製紙およびファイバーボード製造プロセスに内在するこれらの繊維の配向によりいっそう悪化する。
【００１８】
実際、最高の耐湿HDFグレードでも、縦方向（MD）および横方向（CD）について、平衡含水率が１％増すごとに、平均約０．０７５％膨張するであろう。解繊機で処理され、床材製造業者に用いられるHDFはその未処理の状態では、約６％の含水率である。ラワン合板のような、湿分増に寄与しない下張り床を使用し、低相対湿度「RH」（１０％RH）および高い周囲温度である、最高の条件下で、床材のHDF基材の含水率は約７％（１％増加）まで増すであろう。他方の極端な条件で、同じタイプの下張り床を使用し、高湿度（約９０％RH）および低い周囲温度では、HDF基材の含水率は約９％（３％増加）まで増すであろう。一般に、もっと極端でない温度および湿度条件では、HDF基材の含水率は約８％（２％増加）まで増すであろう。床材のHDF基材の含水率の実際の結果と、それによる全寸法の増加は、次の表１に要約する。次表の膨張の数字は、縦方向、横方向の膨張変化の平均である。
【００１９】

【００２０】
他方、被覆材（すなわち、オーバーレイ層、化粧層および心材層の積層板）として用いられる在来の高圧化粧板は、低湿度条件では水分を失い、縦、横双方向で収縮し、高湿度条件では水分を吸収し、縦、横両方の寸法が増す。床材用途のHDFに張り合わせるVGSグレードの積層板（呼び厚さ０．０２８インチ「バーティカルグレードスタンダード」）の寸法変化に関するNEMA規格LD 3-3.11は、低湿度条件（７０℃、相対湿度１０％未満）から高湿度条件（４０℃、相対湿度９０％）に変化したときの合計寸法変化で、縦方向に最大０．７％、および横方向に１．２％である。５０％RH（試験法の中間点）の周囲条件で平衡にあると仮定すると、高湿度条件下での積層板は、次の表２に示す結果から、縦方向に０．３５％、横方向に０．６０％膨張する可能性がある。
【００２１】

【００２２】
高圧化粧板の相対的に低い耐湿性は、主として、フェノール−ホルムアルデヒド「フェノール」樹脂含浸、心材層に関係し、この理由は一つには、心材層が積層板の大部分の体積を占めており、通常表面部材よりも大きいセルロース繊維対樹脂の比を有するためであるが、別の理由としては、「最新式の」水溶性フェノール樹脂系がより親水性を有しているためである。耐湿性を、著しく改善するのに十分なだけ、単純に、心材中のフェノール樹脂含有量を増すことは、それにより樹脂の流動が増しその結果、プレス時のブリードアウトが増加し、化粧表面に樹脂がブリードする可能性もある。より疎水性の、有機溶剤ベースの改質フェノール樹脂に転換することは、環境面への配慮からできないし、また、この二つの代替案は、そのコスト増により、除外される。
【００２３】
このように、床全体の寸法変化が、高湿度および高水分ならびに特に湿潤条件下で、主としてより大きな体積のHDF基材に支配される一方、床材HPDL張り合わせ材のより大きな動きによって、凸状にそり、個々の床タイルおよび厚板を曲げ、下張り床から浮き上がらせる。
【００２４】
現在最も広く使われている、高圧および低圧化粧板/HDFベースの床材製品について認識されている欠陥を考慮すると、これら床材は低湿度、低湿気および低水分の環境（通常、「住居用途」と呼ぶ）の「小さい部屋」では、かなりよい機能を示すが、このような環境では、個々の床材部材の寸法変化が複合された全体の結果が、制御されていないにしても許容できる。このような施工の場合でも、床の製造業者および施工業者は、通常、最低２０フィートごとに、吸湿による床の曲がりを避けるために、（必然的に浮き上がる）伸縮目地を加えることを推奨する。もっとも、このような伸縮目地は見た目にもよくなく、物理的にも邪魔ではある。従って、浴室のような濡れる区域への設置は、一般に、推奨されない。
【００２５】
床の防湿は、下張り床と新しい床の間に下敷きを使用することを推奨することで、広く行われてきたが、これには、通常、ポリマーフィルムの間に発泡体をはさむことが包含されている。このようないわゆる「浮張り床」工法は、ただ速度の制御を助けるだけで、床パネルの下側からの吸湿による全平衡量は変わらず、上側から継ぎ目を通してもれ出た水（結果、周辺のHDF基材に浸透して、その領域にひどい膨張を惹起こす）の、排水を制約するという欠点が生じる。さらに、このような工法は、歩行時に、床全体に、空洞音を伴うスプリング感をもたらす。しかし、浮張り床工法の一つの重要な利点は、発泡体を使用することにより、衝撃吸収材として働き、床の耐衝撃性を大幅に改善することである。化粧板積層品それ自身としては、硬い、剛性のある下張り床に直接、下敷きを用いず施工されると、非常に弱い耐衝撃しか有さない。
【００２６】
現在の化粧板の欠陥は、このような化粧層被覆HDF床がコンクリート（商業用途で代表的な）に施工されると一層強く現れる。このような現在の化粧板を商業用途に使用することは、前述の湿気、主として水分に敏感であるという理由で避けられてきた。実際、新たに注入、凝結したコンクリート床は、大体、１０００平方フィートにつき、１日１４ボンド（１４lbs./１０００sq.ft/日）の水を発生し、このような床に接しているHDFは、平衡含水率約１８％に達するであろう。「乾いた」土地の上の、古い、完全に固化したコンクリートの床でさえ、平均速度約３bs./１０００sq.ft/日の水を通し、その結果、HDFの含水率は約１４％になる。HDFの含水率が１２％を超えると、懸念しなければならないことは、寸法変化だけではなく、実際の物理的な膨張と、ファイバーボード自体の劣化、更に、かび類による損傷も加えられる。さらに、南フロリダのような地下水面の高い地域では、代表的な家屋は地下室なしに、コンクリートスラブ上に建てられているが、古いコンクリートでも、新しいコンクリートと似たような速度で湿気を通し、HDFベースの床に有害な影響を与える。このような事情で、「湿潤地域」の住居用途および商業用途の床には、格下のビニル組成物タイル等が使われてきた。これらは、前提条件となる耐湿性および寸法安定性を有しているが、本質として、非常に軟らかく、重量物や衝撃物でへこみが簡単にでき、化粧デザインは抽象的な石様模様等に局限される。
【００２７】
米国特許６，０９３，４７３（発明者Min）は、耐湿性のポリマー基材（特にPVC)を、基本的に従来法による代表的なフェノール樹脂含浸漬クラフト紙ベースの心材を被覆する高圧化粧板と組み合わせるHPDL被覆床材積層品を提案している。これはただ、従来のHPDL被覆床材積層品の問題の一部（すなわちHDF基材に伴う問題）にだけ取り組んでいるものである。
【００２８】
メラミン−ホルムアルデヒド「メラミン」表面樹脂は、十分に硬化したときは、成形メラミン食器のような製品の品質が証拠となるように、本来良好な耐湿性を示す。従って、改良された床材製品の表面にメラミン樹脂を使用することは、その色、透明性、硬度、耐熱性および耐煙草性、光安定性および退色抵抗性、清浄性ならびに耐摩耗性強化のためのアルミナ混合の光学的親和性のようなほかの優れた性質と同様に、その耐湿性から望ましいと考えられる。しかし、単純に、すぐれた耐湿性を有するメラミン樹脂を、表面材および積層板の心材に使用することは、メラミン樹脂が、ポリマーでないセルロース系の物質（本質的に耐湿性を損なう）と最も相溶性がよいこと、およびメラミン樹脂が本質的に、脆く、できた積層板のストレスクラッキング性および耐衝撃性が機械加工性と同様に、悪影響を受けるであろうという理由で、採用できない。
【００２９】
さらに、不飽和、架橋性ポリエステル「ラミネート加工」樹脂含浸ガラス繊維の織布または不織布、炭素繊維またはポリマー繊維のマットまたは布を使用することは、当業者に知られているように、積層板心材の耐湿性および柔軟性を改善する可能性があるが、このタイプの心材はいくつかの不利な点があり得る。このような不利な点は、相対的に高いコスト、在来のHPDL充填剤処理設備では加工性に困難があること、深刻な環境問題、心材が依然、不連続な湿気バリアを含んでいること、およびこのようなポリエステルは、縮合重合ではなくラジカル重合で硬化するので、所望の必要なメラミン表面樹脂と相性が悪い可能性があることであろう。後の問題は、米国特許６，１５９，３３１（発明者Chou）により開示された、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂両方を硬化させる機能を有するブリッジング剤または「結合シート」により技術的に回避されはするが、このような材料は合成が難しく、高価であり、そのため、可能ならば避けるのが最善である。
【００３０】
従って、耐湿性および寸法安定性を有する化粧板積層品、特に繰り返しまたは長期間湿気または水分にさらされる場所で使用される可能性のある化粧板被覆材の必要性は残っている。
【００３１】
さらに、薄い、フェノール樹脂含浸クラフト紙心材とともに使用する従来法の化粧板被覆材は、その本来の性質から、非常に脆く、容易に破損する。このような積層板がPVC材料（相対的に軟らかく、容易に変形する）に接着されたMinの開示による床材積層品の場合、衝撃強度は非常に劣る。実際、Minの開示に従って製造した製品の落球衝撃試験の結果は、基材に瞬時にへこみが生じ、同時に周辺の積層被覆材に亀裂が生じた。このような理由で、強靭で、より衝撃抵抗性のある化粧板被覆材の必要性がさらに存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００３２】
従って、上記のような観点から、改善された強靭性、衝撃抵抗および耐久性と並んで、改善された耐湿性および寸法安定性を有する化粧板床材積層品に対する必要性が存在し、このような化粧板床材積層品があれば、建築家と消費者は広範な設計の選択が可能となるであろう。このような化粧板は、これまで提供されたことがなかった。
【課題を解決するための手段】
【００３３】
前述の必要性は、化粧表面層積層品を有する化粧板積層品によりかなえられる。この表面層積層品は、下層への重ね合わせの関係において、PETGを含む化粧層および心材層を含む。表面積層品はまた、化粧層の上に摩耗抵抗性のオーバーレイ層を表面に有し、心材層は一枚のシートの形をしたPETGであることが好ましい。表面層積層品は、耐水性の基材に、耐水接着剤を用いて貼り付けられる。本発明の化粧板積層品は、床材用途を包含する広範な目的に使用できる。本発明を床材用途に使用するときには、オーバーレイ層が摩耗抵抗性を有することと、耐水性基材がPVCまたは繊維セメント板を含むことがのぞましい。
【００３４】
（本発明の詳細な説明）
本発明は種々の形の実施態様をとることができるけれども、現在好ましい実施態様を図で後に示し、後に記述するが、現在の開示は本発明の例示と考えられるべきで、本発明を特定の説明のある実施態様に限る意図ではないことが理解されなければならない。
【００３５】
図１は従来法の高圧化粧板１０を示し、層状に下に向かって、メラミン樹脂含浸、研磨剤混合オーバーレイシート１２、メラミン樹脂含浸（または、無処理）化粧印刷シート１４、および一層以上のフェノール樹脂含浸飽和グレードのクラフト紙心材シート１６が、前述の高圧プレス工程により、共に接着されて、一体化し、化粧板商品１０となる。
【００３６】
図２を参照して、本発明の高圧化粧板被覆材２０の構成が示されているが、これは、層状に下に向かって、メラミン樹脂含浸、研磨剤混合オーバーレイシート２２、メラミン樹脂含浸（または無処理）化粧印刷シート２４、および少なくとも一枚のポリエチレンテレフタレートグリコール（「PETG」）を含む心材層２６を含んでいる。心材層２６が複数のPETGシートを含んでもよいことは理解されるであろう。さらに、PETGシートが好ましいけれども、PETGの他の形態、（すなわち繊維状）を本発明で使用することができる。
【００３７】
PETGは新しい部類の熱可塑性ポリマー材料であり、最近Eastman Chemical Companyにより開発され、連続フィルムまたはシートに押出成形できる。米国特許５，６４３，６６６にEckart等は、PETGコポリエステルの化学組成を、ポリエチレンテレフタレートポリエステルをシクロヘキサンジメタノールの繰り返し単位により変性したものとして記載している。ここで、シクロヘキサンジメタノールは、シスまたはトランス型のどちらか、１，３−または１，４−異性体（のどちらか、またはこれらの混合物である。より少ない量の他のジカルボン酸（またはこれらのエステル）および他のジオールも配合に加えることができるが、主たるジカルボン酸モノマーはテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルであり、主たるジオールモノマーはエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールである。Eckart等のPETGコポリエステルシートは、透明性においてガラス様であり、装飾的ガラス用途に使用するのに適している。室温では、PETGシートは、ポリカーボネート材料に似て、非常に強靭であり、弾力性があるが、在来のHPDL製造に用いられる程度の高温での圧力下では軟化し、溶融し、流動する。逆に、従来の、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルおよびエチレングリコールの溶融重合物であるポリエチレンテレフタレート（PET）は、２６０〜２７０℃の溶融温度を有し、そのため本発明には実用的でない。本発明で使用できるPETGは種々のグレードおよび厚さで入手できるが、Eastman Chemical Companyから入手できるEaster PETGコポリエステル６７６３を使用することが好ましい。
【００３８】
もともと検討されたように、PETGで予見される問題は、PETGが線状の飽和ポリエステルであるので、それ自体メラミン樹脂含浸表面材（すなわち、メラミン樹脂処理オーバーレイおよび化粧印刷または色無地紙）と接着するか、あるいはBOPPの分離シート（メラミン樹脂にもフェノール樹脂にも付かない）に似たような挙動になるかということであった。さらに後者の場合、Chou（米国特許６，１５９，３３１）により開示されたタイプの、不飽和にしても、少なくともある種のポリエステルとしての「性格」を持つブリッジング剤または結合シートが、二つの異なるポリマーを接着するのを容易にするのに有用であるかどうか疑問であった。
【００３９】
しかし、驚くべきことに、PETGフィルムを従来法のHPDLメラミン処理オーバーレイおよび化粧印刷またが色無地紙と組み合わせてプレスした後に、（後述するように適当な基材に接着した後に）７日間５０℃水浸漬試験および旧NEMAの実たばこ抵抗性試験（LD 1-2.04 1971）の両方でPETG心材化粧板で、膨れも他の明らかな層間剥離も無く合格していることで立証されるように、PETGフィルムは、非常に良好な接着強度を有していた。PETGフィルムが、無処理の「生」の印刷シート（レジンリッチのオーバーレイの下の）にかなりよく接着し、メラミン樹脂処理印刷シートと類似の結果が得られることが分かった。最高の耐湿性のためには処理印刷シートが好ましい。当業者ならば、PETG類似の他の材料ならばどれでも、心材２６とともに使用できることを、理解するであろう。例えば、他のPETポリエステルのジオール変性剤（すなわちシクロヘキサンジメタノール以外の）は、現在のPETGと類似の性質を有する新しい部類のPETGを作り出す可能性があり、これも本発明の実施に有用でありうる。
【００４０】
図２Ａに示すように、心材層２６がPETGの層あるいは複数の層だけを含むことに加えて、心材層２６はさらに、２枚またはそれ以上のPETGシートにはさまれた、ガラス繊維、炭素繊維またはポリマー繊維の布またはマットの、層２７に示す、織布または不織布を含むことができる。ガラス繊維、炭素繊維またはポリマー繊維の布またはマットの、織布または不織布の層は、このような配置では、実質的にPETG層で「シール」されており、従ってシールされた層は耐水性となる。このサンドイッチ構造は、心材層２６に別な構造的な特徴を付け加える。
【００４１】
オーバーレイ層２２に関しては、オーバーレイ層２２は耐摩耗性であることが好ましいけれども、オーバーレイ層は強化した耐摩耗性を有さない単純なオーバーレイシートを含むものでもよいことは注目する必要がある。さらに、上述のように、研磨剤の粒子は化粧層２４の上にコーティングするかまたは中に分散することができる。このような配置では、オーバーレイ層は本発明の実施には必要ではないであろう
【００４２】
図３に戻ると、層２２、２４および２６は、共に接着され、詳細を実施例で後述するように、PETG層の溶融と流動を有利に制御するために、従来型の高圧化粧板の製造に通常用いられるより低い温度および圧力を用いるように少し変えられたプレス工程により単一の化粧板製品２０に一体化される。しかし、本発明はまず、高圧化粧板を、適当な基材と、分離された２段階のプロセスで接着されるのに好ましい表面材として用いる、改善された性質を持つ化粧板積層品を志向しているにしても、当業者は、本発明の製品は、低圧化粧板または連続ラミネートプロセスを用いても同様にできると認識するであろうということに注目しなければならない。さらに、本発明と組み合わせてどのような化粧表面仕上げでも使用できるが、相対的に光沢の低い、浅めから中間程度の深さの模様の表面仕上げが、本発明を床材用途に使用するときには好ましいことは理解されるであろう。
【００４３】
図３は本発明の化粧板積層品を示していて、全体として３０として示されているが、層状に下に向かって、本発明の、メラミン樹脂／紙表面およびPETG心材の高圧化粧板被覆材２０が適当な耐湿性接着剤３２によって、適当な耐湿性の基材３４に接着されている。好ましくは、耐湿性の基材は、充填PVCシートまたは繊維セメント板である。しかし、当業者ならば、耐湿性の基材ならば何でも、基材３４の本発明の実例として使用できることを認識するであろう。「耐湿性の基材」はここではその材料が寸法安定性を有し、長期間あるいは繰り返し湿気や水分にさらされたり、吸収したりして、著しく膨張しないことを意味することが理解されなければならない。基材物質が必ずしも水に対して不浸透性および防水性であるということを意味しない。さらに、本発明の実施にあたっては、耐湿性の基材が好ましいとはいうものの、化粧板被覆材２０は、HDF，MDF，パーティクルボード等のような他の基材と積層されることも可能であるが、ただし、このような積層品は、前述の問題があるので、濡れているかあるいは湿った条件に適しているということはない。
【００４４】
基材３４は、在来の工具（例、のこぎり、溝かんな、ほぞ削り機等）での加工性がよく、相対的に安価であることが最も好ましい。たとえば、種々のバージンまたはリサイクルのポリマー類または無機ベースの複合材料を含むシートまたはボードはすべて所望の結果を得るために適用できる。
【００４５】
しかし、前述のように、それぞれの機械的性質が理由で、二つの基材が特に有用と考えられ、本発明のためには好ましい。すなわち、これら二つの材料は、充填材入りポリ塩化ビニル（PVC）複合材料、および業界では繊維セメント板と呼ばれている無機繊維強化セメント板（IRCB）である。
【００４６】
PVCの複合ボードは、一般に、微粉タルク（ケイ酸マグネシウム）および／または炭酸カルシウムのような無機材料を多量に充填剤として用いている。このボードは比較的軟らかく、歩行時の良好な衝撃吸収性と消音性を有している。このような理由で、このボードは、住宅の地下室および浴室のような湿った条件での住居用途ならびに軽荷重および中荷重のオフィスその他商業用床材などのための本発明の実施に用いるには理想的な基材である。
【００４７】
逆に、繊維セメント板は、非常に硬く、非圧縮性なので、重荷重床材用途（例えば重量物が床上に固定されている（定期的にだけ動かされる）か、もしくは床上を転がされる場所、または永久変形が問題でありうる、デパートのディスプレーの台座およびホテルのロビーのような場所）に本発明を実施する基材として使用するにはよく適している。繊維セメント板は、産業界ではアスベストセメント板（CAB）を、その使用による発がん性の懸念から、今までに置き換えてきており、ポルトランドセメントを結合剤として、鉱物繊維から成っており、内部接着強度を強化する改質剤として、部分加水分解されたポリビニルアルコール／酢酸ビニルまたはアクリルラテックスを添加または無添加の種々のグレードが製造されている。
【００４８】
化粧板床材の出現に先立って、難燃高圧化粧板が、他の点では在来法であるフェノール樹脂含浸クラフト紙心材（主としてNEMA難燃グレードHGFおよびVGF）を用いて、歴史的にはまずアスベストセメント板、後に繊維セメント板に接着された。このような接着は、一般的には、Indspec社（前Koppers）のPenacolite G1149A/G1131BまたはG1124A/G1124Bの２元系フェノール／レゾルシノール樹脂ベースの接着剤を用いて実施され、米国沿岸警備隊規格およびクラスＩまたはクラスＡ規格（それぞれASTM E-84またはUL723トンネル試験）に合致する、耐火等級付けされた、パネル積層品が製造される。この製品は特に船内の隔壁および他の厳しい海上用途に有用であった。驚くべきことに、メラミン樹脂含浸表面材およびPETG心材の本発明の化粧板は容易には燃えず、煙発生量が少なく、繊維セメント板と、Penacolite接着剤を用いて接着したときには、本発明の化粧板床材積層品は、非常に厳しい耐火基準が施行（例えば、大都市のアパートでの通路）されている用途で特に有用である可能性があることを示唆している。このような積層品は壁パネル、天井パネルにも同様に使用できるであろう。
【００４９】
接着層３２については、耐湿性および耐水性があり、（基材に対してと同様に）PETGに対して親和性のある接着剤系ならどれでも使用できる。しかしながら、接着層３２もまた、塗布したときに連続した膜状であり、硬化したとき剛性があることが好ましい。多くの、このような接着剤系がこのような性質に合致する。上述のように、Penacoliteフェノール／レゾルシノール樹脂ベースの接着剤は有用であり、特に重負荷の商業用、耐火等級付けされた用途の繊維セメント板との接合には有用である。本発明のPETG心材の化粧板を、充填ＰＶＣおよび繊維セメント板基材の双方に接着するのに活用されてきた他の接着剤系は、Daubert Chemical Company社のDaubond DC-8855A/DC-8855Bで、２液エポキシ変性ポリウレタンであって、コールドプレス操作で使用できるという利点がある。この接着剤は、化粧板のPETG裏打ちが研磨されない（本発明ではその方がよい）ときでも、非常に良い耐水性と接着強度を示すが、ただし、プレスの間の分離シートとして、PETG裏打ちに剥離剤の汚染がのこって接着に影響することがないように、BOPPを使用するという条件付である。逆に、推奨できない接着剤および「グルー」には、弾性、ネオプレンベースコンタクト型接着剤、ポリ酢酸ビニル（PVAc）エマルジョン、ポリビニルアルコール（PVA）、尿素−ホルムアルデヒド（UF）、カゼインまたは他の動物ベースのグルーが含まれるが、これは、耐湿性、強度あるいは制かび性に劣ることによる。
【００５０】
本発明の好ましい実施態様は、詳細に下記の実施例に記述するが、ここに記載の好ましい実施態様の記述により、本発明の範囲がいかなる意味でも制約されるものではないことが認識されなければならない。下記の具体例は、本発明の、これまで示した以上の特徴と、独自の利点を説明するためのもので、当業者にはその他の特徴と実施態様は明らかである。実施例は説明のためだけに記載され、本発明の範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【実施例】
【００５１】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を、１．４／１のホルムアルデヒド／メラミンモル比で、対メラミン、ホルムアルデヒド固体分７％のジシアンジアミンを５０％水溶液中９２℃で共反応させる、当業者にはよく知られた通常の手順で調製した。次いで、下記のレジン混合物を、この可塑化メラミン樹脂を用いて調製した。部数はすべて重量部である。

【００５２】
当業者ならば、他の多官能性のアミノおよびアルデヒド性化合物が、ベース樹脂の調製に使用できること、およびポリエステルまたはアクリル系樹脂のような他の熱硬化性のポリマーが、特定の用途の表面材用樹脂として有用でありうることを認識するであろう。しかし、本発明の実施にはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の使用が好ましい。
【００５３】
Mead Corporation社の透明、研磨剤入りオーバーレイ（コード８５０６２）リームあたり３４ポンド、を上記の樹脂混合物で処理して、樹脂含有量約６４〜６６％で揮発分約６〜８％となった。この研磨剤入りオーバーレイは、十分な直径を有する、十分な量のアルミナ粒子で充填されており、１２，０００サイクル級テーバー摩耗（NEMA耐摩耗試験方法LD 3-3.13 1995）の結果が得られる。樹脂含有量は、紙の処理前の重量と処理後の重量の差を処理後の紙の重量で割り、パーセント表示するとして定義される。そして、揮発分含有量は、処理後の紙の重量と、その処理後の紙の乾燥後の重量の差を、処理後の紙の重量で割り、パーセント表示するとして定義される。
【００５４】
同様に、印刷化粧紙は、リームあたり６５ポンドを同じ樹脂混合物で処理して、樹脂含有量約３９〜４１％で、揮発分約６〜８％となった。この印刷紙は、最表面に、セメント質のグラウト線で囲まれた多色のセラミックタイルに似せた模様を市松模様に、輪転グラビヤ印刷されていて、そのタイルは、１１−５/８インチ平方で、巻き取り方向では、約３/８インチ幅のグラウト線、巻き取りと直角方向では１インチ幅、呼び４フィート幅のウェブの両側の縁では１/２インチ幅（広いグラウト線が、巻き取りと直角方向および縁のグラウト線で後の切断の切り口と２次トリミングロスに適応するために必要とされる）のグラウト線がある。
【００５５】
１組のプレスパックが、次いでキャリヤートレイ上で、上向きに次のように材料を重ね合わせて組み立てられた。６層の未処理クラフト「クッション」、フェノール樹脂の模様付板、1層のBOPPフィルム、1層のIvex Corporation LC-53模様付け用/剥離紙（コーティング面上側）、1層の処理オーバーレイ、1層の処理印刷紙（印刷側下側）、1枚の０．０２０厚さPETG（保護フィルムを下側から除き、上側は残す）、1層のBOPPフィルム、1枚の０．０２０厚さPETG（保護フィルムを上側から除き、下側は残す）、1層の処理印刷紙（印刷側上側）、1層の処理オーバーレイ、1層のIvex Corporation LC-53模様付け用/剥離紙（コーティング面下側）、1層のBOPPフィルム、およびもう1枚のフェノール樹脂の模様付板で1組のダブレットの組み立てを完成した。この組み立ては同じ順序で、プレスパックが完成するまで続けられ、６層の未処理クラフトクッションを一番上にして、合計4枚のフェノール樹脂模様付板、3組の積層ダブレット（対の）が間に挟まれていた。使用されたPETGのグレードはEastman Chemical Company社製Eastar PETGコポリエステル６７６３であった。
【００５６】
このように組み立てられたプレスパックは、高圧平板プレスに挿入され、次いでプレスを閉じて約１１００psigの特定の圧力をかけた。このように構成したプレスパックは次いで１２５℃〜１２７℃の間で約20分加熱され、この温度に２５〜３０分保たれ、次いで室温近くまでに20分間で急冷され、その後プレス圧を開放して開かれ、プレスパックが取り出された。当業者は認識するであろうが、たとえば、連続ダブルベルトプレス、単段または少ない段数の「短サイクル」の平板プレスまたは等温「熱間取り出し」平板プレスのような、他のタイプの新世代の設備を高圧（および低圧）化粧板の製造に使用できはするが、従来の多段プレスが依然、最も業界で使用されており、本発明の実施には最も適している。
【００５７】
このPETGグレードが使用され、前述の好ましいプレス圧力においては、約１２５℃未満ではPETGは軟化せず、程よく流れないこと、および１２７℃を超えると、PETGは溶融し、過度にプレスから滲み出すことから、プレスパックの最高温度は、臨界的であることが強調されなければならない。他のPETGグレードを用いる場合は、最適な結果を得るためには異なった温度、圧力条件が必要となる可能性がある。フェノール樹脂の模様付板は後に、順に除かれて、積層板のダブレットが回収され、次いで個別の積層板に分離された。保護フィルムは積層板の裏面から剥ぎ取り、縁はトリミングし、裏側の研磨は行わなかった。このようにして得られた積層板は、約１/３２インチ厚さであった。
【００５８】
次いで、このように調製した本発明のPETG心材積層板を、３/３２インチ厚さの充填PVCシートと、前に説明したDaubond DC-8855接着系を平方フィート当り約０．０３ポンドの割合で塗布して用いて、接着し、次いでこの調製した組み立て品を、表面を上に、間にBOPPフィルムを挟んで積み上げ、６層の未処理クラフトクッションを上と下に置き、平板油圧プレスで低圧でプレスしてパネル積層品を調製した。パネル積層品を約４０psigの特定の圧力で、約１２時間コールドプレスして接着の効果が現れた。得られた最終のプレスされた化粧板積層品は、約１/８インチ厚さであった。
【００５９】
詳細を上述した方法で調製された本発明の改良化粧板積層品は、次いで、１インチ幅のグラウト線の中心で、横方向に粗切りされ、次いで呼び1フィート×４フィートのタイル「厚板」（一枚に４個の四角いタイルがある）は、３/１６インチ幅の周辺のグラウト線を残し、本体突合せ接合を確実にするために、ビニル基材側に５度の角度で切り込みをつけるように、注意深くトリミングされた。最後にこのように調製したタイル厚板を、セメント試験床に、「実世界の」長期の摩耗、損傷および湿気の影響を評価するために、木材ベース、およびコンクリートの下張り床両方に適しているMacklanburg-Duncan社のMD 919ビニル裏打ち床接着剤を用いて、所定の方法で、１ガロン当たり１５０平方フィートに、こてで塗布して施工した。最終の床の施工は、３/８インチ幅のグラウト線で囲まれた１２インチの四角の複数のタイルを包含した。
【００６０】
本発明に従って作られた上述の化粧板積層品床材および他の選ばれた床材製品の試料の比較のための耐衝撃試験は、すべてコンクリートのテラスタイルに接着して、３/４インチ厚さ、立方フィート当たり４５ポンド中密度パーティクルボード基材をコンクリートスラブに置き代えた以外はNEMA LD 3-3.8 1995の落球衝撃抵抗試験法に従って試験され、次表３に示す結果を得た。
【００６１】
（表３）

注記
（１） Formica Flooringは通常浮張り床として施工される。
（２） LG Prime高圧積層床は、Lucky Goldstar LG Group（韓国）の子会社であるLG Chem社の製品で、米国特許６，０９３，４７３に従って製造された。
（３） 表面組成物がジシアンジアミド変性メラミン樹脂のみで処理されたことを除き、上述の実施例に記載した本発明に従って製造された。
（４） 表面組成物を上述の実施例で、好ましい実施態様としているメラミン樹脂Cymel 385、PEG600のブレンドで処理した上述の実施例に記載した本発明に従って製造された。
【００６２】
本発明の好ましい実施態様は、PETG心材化粧板を作るのに高圧多段平板油圧プレス高圧化粧板プロセスを用いているが、他の積層プロセスも本発明の実施には適用可能なことは認識しておくべきである。具体的には、本発明のPETG心材の化粧板部材は、もしもBOPPフィルムのような適当な分離材料およびキャリヤートレイも提供されるならば、低圧短サイクルプレスプロセスで生産出来る。選ばれた基材に前もって適当な接着剤を下塗工しておくならば、全化粧板積層品を、このようなプロセスを用いて一段で製造できることも予想される。加えて、模様付け剥離紙、表面材、PETG連続フィルムおよびBOPPのような適当な分離材料のウェブがプレスに供給され、出側では連続積層品が冷却ドラムで急速に冷却され、縁はトリミングされ、任意であるが、その後シート化されるならば、連続ダブルベルトプレスプロセスが、化粧板部材をシートまたはロールの形状で製造するのに有利に利用できる。選ばれた基材に前もって適当な接着剤を下塗工しておき、切断してあるボードが、プレスに、化粧板部材である連続模様付剥離紙、表面材ウエブおよびPETGフィルム（BOPP分離材なし）とともに供給されるならば、全化粧板積層品を、一段連続プロセスで製造できることも予想される。
【００６３】
加えて、本発明の他の実施態様としては、用いられる基材の性質と性能および厚さにもよるが、このようにして製造されるタイルおよび厚板に、溝形加工もしくは他の完全な端面処理を施すか、または建具類のような別の機械的な結合装置と組み合わせ可能とすることもできるであろう。さらに、本発明の好ましい実施態様は、主として床材用途、特に湿潤区域または耐火等級付けされた床材用途を志向しているが、このように製造された製品は、化粧板パネル積層品が用いられる他の望ましい用途とともに、もっとありふれた床材用途にも有用であることもまた認識されなければならない。
【００６４】
前述の、本発明の好ましい実施態様の記述は、説明と記述のためであり、網羅的なものとしたり、本発明を開示された形そのものに制限したりすることは意図されていない。この記述は、当業者が最も良く、本発明を種々の実施態様および予想される特定の用途に適した種々の改良において利用できるように、本発明の原理およびその実際の用途を最も良く説明するために選ばれた。本発明の範囲は、明細書により制限されず、後述の特許請求の範囲により定義されるよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【００６５】
【図１】従来法の高圧化粧板部材の、部分、断面、組立分解、立面図である。
【図２】本発明による高圧化粧板部材の、部分、断面、組立分解、立面図である。
【図２Ａ】本発明の別の実施態様による高圧化粧板部材の、部分、断面、組立分解、立面図である。
【図３】本発明による化粧板床材積層品の、部分、断面、立面図である。

Claims (52)

1. 次の重ね合わせ関係の順序にある、
   化粧層、および
   PETGを含む心材層
   を含む化粧板。
2. 化粧板が高圧化粧板である請求項１記載の化粧板。
3. 化粧板が低圧化粧板である請求項１記載の化粧板。
4. 化粧板が連続積層板である請求項１記載の化粧板。
5. PETGが少なくとも１枚のPETGシートである請求項１記載の化粧板。
6. 心材層が、さらに少なくとも１層の、ガラス、炭素またはポリマー繊維から成る群から選ばれる材料から形成される織布または不織布を含む請求項１記載の化粧板。
7. 前項記載の少なくとも１層が２枚のPETGシートの間に挟まれる請求項６記載の化粧板。
8. 化粧板が、さらにその化粧板の最上部にオーバーレイ層を含む請求項１記載の化粧板。
9. オーバーレイ層が研磨材粒子を含む請求項８記載の化粧板。
10. 研磨材粒子がアルミナを含む請求項９記載の化粧板。
11. オーバーレイ層がメラミンホルムアルデヒド樹脂で含浸されている請求項８記載の化粧板。
12. 化粧層がメラミンホルムアルデヒド樹脂で含浸されている請求項１記載の化粧板。
13. 化粧層が印刷模様を含む請求項１記載の化粧板。
14. 次の重ね合わせ関係の順序にある、
    耐摩耗層、
    化粧層および
    少なくとも１枚のPETGシートを含む心材層、
    を含む化粧板。
15. 化粧板が高圧化粧板である請求項１４記載の化粧板。
16. 化粧板が低圧化粧板である請求項１４記載の化粧板。
17. 化粧板が連続積層板である請求項１４記載の化粧板。
18. 耐摩耗層が化粧板の最上部のオーバーレイ層であり、該オーバーレイ層が研磨材粒子を含んでいる請求項１４記載の化粧板。
19. 研磨材粒子がアルミナを含む請求項１８記載の化粧板。
20. 次の重ね合わせ関係の順序にある、
    （ａ） 次の重ね合わせ順序にある、
    （i） 化粧層
    （ii） PETGを含む心材層
    を含む最上層化粧板積層品、および
    （ｂ） 該最上層化粧板積層品に取り付けられた基材
    を含む化粧板積層品。
21. 化粧板が高圧化粧板である請求項２０記載の化粧板。
22. 化粧板が低圧化粧板である請求項２０記載の化粧板。
23. 化粧板が連続積層板である請求項２０記載の化粧板。
24. PETGが少なくとも１枚のPETGシートである請求項２０記載の化粧板。
25. 心材層がさらに少なくとも１層の、ガラス、炭素またはポリマー繊維から成る群から選ばれる材料から形成される織布または不織布を含む請求項２０記載の化粧板。
26. 前項記載の少なくとも１層が２枚のPETGシートの間に挟まれる請求項２５記載の化粧板。
27. 化粧板がさらにその化粧板の最上部にオーバーレイ層を含む請求項２０記載の化粧板。
28. オーバーレイ層が研磨材粒子を含む請求項２７記載の化粧板。
29. 基材が耐水性である請求項２０記載の化粧板積層品。
30. 耐水性基材がポリ塩化ビニルを含む請求項２９記載の化粧板積層品。
31. 該耐水性基材が繊維強化セメント板を含む請求項２９記載の化粧板積層品。
32. 基材が最上層積層品に耐水性接着剤で接着されている請求項２０記載の化粧板積層品。
33. 次の重ね合わせ関係の順序にある、
    （ａ） 次の重ね合わせ順序にある、
    （i） 耐摩耗層、
    （ii） 化粧層および
    （iii）PETGを含む心材層
    を含む高圧最上層化粧板積層品
    （ｂ） 耐水接着層
    （ｃ） 該耐水性接着層により該最上層積層品および該耐水性基材が接着されている耐水性基材、
    を含む化粧板積層品。
34. 化粧板が高圧化粧板である請求項３３記載の化粧板。
35. 化粧板が低圧化粧板である請求項３３記載の化粧板。
36. 化粧板が連続積層板である請求項３３記載の化粧板。
37. PETGが少なくとも１枚のPETGシートである請求項３３記載の化粧板。
38. 耐摩耗層が化粧板の最上部のオーバーレイ層であり、該オーバーレイ層が研磨材粒子を含んでいる請求項３３記載の化粧板。
39. 耐水性基材がポリ塩化ビニルを含む請求項３３記載の化粧板積層品。
40. 耐水性基材が繊維強化セメント板を含む請求項３３記載の化粧板積層品。
41. 心材層がさらに少なくとも１層の、ガラス、炭素またはポリマー繊維から成る群から選ばれる材料から形成される織布または不織布を含む請求項３３記載の化粧板。
42. 前項記載の少なくとも１層が２枚のPETGシートの間に挟まれる請求項４１記載の化粧板積層品。
43. （ａ） 次の重ね合わせ関係の順序で、耐摩耗層、化粧層およびPETGを含む心材層、を積層すること、および
    （ｂ） 該積層品に熱、圧力を加え、それにより該積層品をラミネート加工すること、
    を包含する化粧板の製造方法。
44. 耐摩耗層がオーバーレイ層であり、該オーバーレイ層が研磨材粒子を含んでいる請求項４３記載の方法。
45. PETGが０．０２０インチ厚さである請求項４３記載の方法。
46. 圧力が１０００および１２００psigの間である請求項４３記載の方法。
47. 温度が１２５℃および１２７℃の間である請求項４６記載の方法。
48. 温度および圧力が２５〜３０分保たれる請求項４７記載の方法。
49. 該オーバーレイ層、化粧層および心材層を、熱、圧力を加えラミネート加工する段階の後、耐水性基材に接着することをさらに包含する請求項４３の方法。
50. 耐水性基材がＰＶＣを含む請求項４９記載の方法。
51. 耐水性基材が繊維強化セメント板を含む請求項４９記載の方法。
52. PETGが少なくとも１枚のPETGシートである請求項４９記載の化粧板。