JP2005318855A - 発酵乳の製造法及び発酵乳 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、高粘度で濃厚感が有り、組織が滑らかな食品を提供する点にある。
【解決手段】
発酵乳の様な高粘度流体を処理できる分離技術について化学工学的に検討したところ、発酵後あるいは発酵中に発酵乳組織を攪拌あるいは/および目皿などを用いて微細化し、膜分離法によりホエイなどの水分を分離することで、乳化剤や安定剤などを使用することなく、高粘度で濃厚感が有り、組織が滑らかな発酵食品を製造できる。
【選択図】
なし


Description

本発明は、ソフトタイプの発酵乳の製造方法に関し、より詳しくは、カード形成後、ミックスを膜処理することにより、安定剤を使用することなく、高粘度で濃厚感が付与できるソフトタイプの発酵乳を製造する方法に関する。
発酵乳は、「乳等省令」で乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、のり状または液状にしたもの、またはこれらを凍結したものと定義されている。発酵乳の分類としては、容器充填後、発酵させ、固化させたハードタイプと、発酵後、カードを破砕し、容器充填したソフトタイプに大別される。
発酵乳のおいしさの指標として、滑らかさや濃厚感といったものがあげられる。このような食感を付与するには、発酵前の調合液を高濃度にする方法がある。具体的には、粉体原料などを高濃度に溶解したり、調合液を膜濃縮するなどの方法があげられる(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、粘性物質を産生する乳酸菌を用いることで、発酵乳に高い粘性を付与する方法も報告されている(特許文献2参照)。
ところが、ソフトタイプの発酵乳を製造する場合、調合液を高濃度にして発酵すると、組織を微細化する際、粘度が低下し濃厚感が失われるため、安定剤を使用することが必須である。一方、乳酸菌を利用して粘性を付与する場合には、発酵乳に使用する菌が限定され、食感が単調となる。そして、組織の微細化後は、高い粘度を維持するのが難しいなどの欠点がある。
特公平6−104032 日本畜産会報,56(5):369−378,1985 特開平6−14708
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ソフトタイプの発酵乳を製造する方法において、安定剤を使用しなくても、高粘度で濃厚感のある、食感が滑らかで、後味の良い発酵乳を提供する点にある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、意外なことに、発酵開始後の発酵乳の組織を攪拌、または目皿などを用いて微細化し、膜分離法を適用し、ホエイなどの水分を分離することで、安定剤を使用することなく、高粘度で濃厚感のある発酵乳を製造できることを見いだした。また、この方法によって得られたソフトタイプの発酵乳は、塩味が抑えられた、後味の良い滑らかな食感を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)から(5)に関わる。
(1)発酵乳の製造において、カード形成後、膜処理することを特徴とする、ソフトタイプの発酵乳の製造方法。
(2)膜処理が、振動型、中空糸型、筒型、板型、回転型の膜処理装置から選ばれる少なくとも一つ以上を用いることを特徴とする、前記(1)に記載のソフトタイプの発酵乳の製造方法。
(3)膜処理により、粘度を10Pa・s以上に調整することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のソフトタイプの発酵乳の製造方法。
(4)発酵乳が、安定剤を含まないことを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載のソフトタイプの発酵乳の製造方法。
(5)前記(1)から(4)のいずれかに記載の方法によって製造されたソフトタイプの発酵乳。
カード形成後、発酵乳を膜処理することで、本発明では、安定剤を使用することなく、濃厚感が向上し、また塩味が抑えられ、且つ後味が良くなり、しかも組織が滑らかなソフトタイプの発酵乳を製造することができる。
ちなみに、通常の発酵乳では発酵後に攪拌や目皿などを使用して発酵乳の組織を微細化すると、粘度が3Pa・s程度(回転式B型粘度計、温度5℃)となり、発酵前の原料を高濃度としても粘度6〜7Pa・s程度が限界である。本発明では、発酵後あるいはカード形成の始まった発酵中の微細化した発酵乳に膜分離法を適用し、ホエイ等を分離することで粘度10〜20Pa・s以上を達成できる。しかも発酵乳のような高粘度流体へ膜分離法を適用した例は食品分野以外を含めても皆無であり、これまでにない新規な製造技術といえる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明でいうソフトタイプの発酵乳とは、乳、乳製品等を含有する発酵乳のミックスに、乳酸菌等を接種し、発酵させ、カード化した組織を破壊したソフトタイプの発酵乳を指す。一般に、ソフトタイプの発酵乳には、液状のドリンクタイプの発酵乳も属するが、本発明では半流動タイプの発酵乳をいう。
一般的なソフトタイプの発酵乳は、まず、牛乳、脱脂乳、還元乳などの乳、脱脂粉乳、生クリームなどの乳製品をそのまま、あるいは希釈し、必要に応じて、ショ糖、液糖などの糖類、香料等の添加物をあわせ、発酵乳ミックスを調製する。必要に応じて、加温工程、均質化工程、殺菌工程、冷却工程を経て、スターターを接種する。使用するスターターは、特に限定されることはなく、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus )、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)等の乳酸菌、ビフィズス菌、酵母を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。また、粘性多糖類産生能の高い乳酸菌を選択してもよく、スターターの添加量、発酵条件等は、使用する菌の種類等に応じて適宜調整する。発酵を開始後、目標とするpHもしくは酸度に到達した時点で組織を破砕することで、ソフトタイプの発酵乳が得られる。
本発明の場合、通常のソフトタイプの発酵乳の製造において、pHが4.5付近となった時点で発酵を終了するが、組織の破砕はカード形成の開始がみられるpHが5.0付近となった時点から開始することが可能である。破砕には公知の方法を用いることができ、撹拌や目皿、均質機などを使用して組織を微細化することができる。そして、破砕の程度は、発酵乳を膜本体に供給できれば特に限定されることはない。
膜処理は、発酵乳の組織を破砕後、あるいは破砕しながら行う。すなわち、発酵開始後、カードの形成が始まった時点から行うことができ、発酵中、あるいは発酵終了後行ってもよい。膜の種類としては、セラミック製や高分子製のナノ濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等が使用可能で、膜の形態としては、中空糸(ホローファイバー)型、振動型、筒(チューブラー)型、板(プレート)型、回転型等から適宜選択し、組み合わせることができる。また、発酵乳は、脂肪、タンパク質、ミネラルなどを含んだ複雑な組成のため膜目詰まりが起こりやすい。そこで、供給液(発酵乳)が流れる方向と透過液が流れる方向とが直交する十字流型(クロスフロー型)をとることが好ましい。そうすることで、膜表面に対して処理流体は並行に流れ、膜表面に成分を堆積あるいは付着しにく、膜目詰まりが抑制される。
発酵乳の膜処理は1〜50℃、好ましくは3〜45℃の範囲内で行う。発酵乳に使用する乳酸菌の性質により異なるが、このうち、処理温度が3〜20℃程度の低温域では、通常、発酵乳は高粘度で発酵がほとんど進行しない状態にある。高温では比較的低粘度で、発酵がやや進行する状態にある。
低温で行った場合、振動型の膜処理装置を使用すると、膜振動による剪断力の影響を受けやすい。そこで、発酵乳の組織が粗くなりやすいことから、高温状態で処理することが望ましい。一方、膜振動は、処理温度に関係なく気泡を巻き込むため、発酵乳にホイップ様の軽い食感を付与することができる。
筒型の場合も、振動型と同様、低温状態では発酵乳の粘度が高く、剪断力の影響を受けやすいため、高温での処理が好ましい。なお、気泡の巻き込みが少ないために濃厚感が強く感じられることが特徴である。
中空糸型の場合、膜表面の構造が滑らかなことから、低温状態であっても膜面における循環流による剪断力の影響を受けにくい。したがって、処理温度に関係なく、滑らかで濃厚感の強い発酵乳を得ることができる。
膜処理の温度は、選択する膜の種類に応じて適宜設定する。発酵後、膜処理を行う場合には、発酵が進行しない低温域で行うことが望ましい。カード形成が始まった時点で膜処理する場合には、乳酸菌が発酵する温度帯に保ち、膜処理中も発酵を継続する。
次に、膜処理装置を備えた構成設備の一例をあげる。例えば、タンク、高圧ポンプ、膜本体よりなるものがあげられる。タンク内の処理流体(発酵乳)は高圧ポンプにより膜本体へ供給され、透過液(ホエイ)と保持液(発酵乳)に分離される。このとき透過液を排出し、保持液をタンクへ戻すことで、発酵乳は膜本体とタンクを循環しながら濃縮される。なお、本発明においては、このような循環は必須ではないが、処理能力を考慮して、10Pa・s以上の粘度になるよう膜処理を行う。
その後、濃縮した発酵乳は、必要に応じて、野菜、果肉、ソース等と混合され、本発明のソフトタイプの発酵乳が製造される。
このようにして得られる発酵乳は、安定剤を使用することなく、高粘度で濃厚感があり、滑らかな食感を有すことが特徴である。なお、ここでいう安定剤とは、ゼラチン、ペクチン、寒天、澱粉、カラギーナン、キサンタンガム等の増粘多糖類など、通常、発酵乳に用いる安定剤をさす。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[実施例1](低温状態における発酵乳の振動型膜処理)
脱脂粉乳612gとミルクプロテインコンセントレート(以下MPCとする)153gを水7749gに加え、常温で攪拌溶解した。その後、溶解液を50℃まで攪拌しながら加温し、達温後、無塩バター216gを投入した。溶解後70℃まで昇温させ、溶解液を均質機にかけた。均質処理後95℃まで昇温させ、達温後43℃まで冷却した。次に明治乳業社製「明治ブルガリアフルーツヨーグルト」より単離したラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の混合スタータを3重量%接種して5分間攪拌した。その後43℃付近で発酵させ、pHが4.7以下になったところで発酵を終了した。最後に目皿でカード破砕し、ベースの発酵乳とし、膜処理を行った。
使用した振動型の精密濾過膜(日本ポール社製)は、親水性(材質polyetersulphone, PES)の細孔径0.2(PES-0.2)および0.45μm(PES-0.45)、疎水性(材質polytetrafluoroethylene, PTFE)の細孔径0.45(PTFE-0.45)および1.0μm(PTFE-1.0)の4種類である。処理流体は発酵乳で5.0kg、濃縮倍率は1.5倍とした。実験開始から任意の時間において積算透過液量および透過流束を測定した。膜面積0.27m2に対して、ポンプの循環流量を160kg/h、操作圧力は300kPaとした。なお、処理流体の温度は10〜20℃となるように制御した。
透過流束と濃縮倍率の関係を図1に示した。PES-0.2の透過流束がPES-0.45、PTFE-0.45、PTFE-1.0に比べ全体的に大きな値であり、処理時間が最も短縮できた。PES-0.45では処理中に目詰まりを起こし、1.5倍まで濃縮することができなかった。粘度は濃縮前の発酵乳で3Pa・sであるのに対して、PES-0.2を使用した場合に濃縮後(濃縮倍率1.5倍程度)の濃厚発酵乳は17Pa・sとなった。
実施例、比較例における粘度測定には、以下に記載する粘度計を使用した。
粘度の評価には回転式B型粘度計を使用した。試料を直径80 mm程度のビーカーに充填し、温度5℃で、薬サジなど使用して右方向に10回転、左方向に10回転、攪拌した後、粘度を測定した。この方法は発酵乳の様な高粘度流体の測定においても再現性のある結果が得られる。本文中の粘度とは、この方法による測定値である。ちなみに攪拌した粘度に比べ、攪拌せずに測定した粘度は大きな値が得られる。例えば、攪拌ありでは10Pa・sであるのに対して攪拌なしでは20Pa・s以上となる。また使用した回転式B型粘度計の測定限界の最大値は20Pa・sである。
[実施例2](高温状態における発酵乳の振動型膜処理)
実施例1と同様にして得られた発酵乳を膜処理した。使用した振動型の精密濾過膜(日本ポール社製)は親水性PES-0.2、PES-0.45、疎水性PTFE-0.45、PTFE-1.0の4種類である。処理流体は発酵乳で5.0kg、濃縮倍率は1.5倍とした。実験開始から任意の時間において積算透過液量および透過流束を測定した。膜面積0.27m2に対して、ポンプの循環流量を160kg/h、操作圧力は300kPaとした。なお、処理流体の温度は35〜45℃となるように制御した。
透過流束と濃縮倍率の関係を図2に示した。低温状態に比べ高温状態では膜の種類の影響は小さかったが、PTFE-0.45の透過流束がPES-0.2、PES-0.45、PTFE-1.0に比べ全体的に大きな値であった。このとき粘度は濃縮前の発酵乳で3Pa・sであるのに対して、濃縮後(濃縮倍率1.5倍程度)の濃厚発酵乳では16Pa・sとなった。
[実施例3](低温状態における発酵乳の筒型膜処理)
実施例1と同様にして得られた発酵乳を膜処理した。使用した筒型の精密濾過膜(日本ポール社製)は疎水性(材質ceramic)の細孔径0.1、0.2、0.5、0.8、3.0、5.0μmの6種類である。処理流体は発酵乳で6.0kg、濃縮倍率は1.5倍とした。ただし目詰まりにより、濃縮倍率が1.5倍にならないものもあった。実験開始から任意の時間において積算透過液量および透過流束を測定した。膜面積0.20m2に対して、ポンプの循環流量を160kg/h、操作圧力は300kPaとした。なお、処理流体の温度は10〜20℃となるように制御した。
透過流束と濃縮倍率の関係を図3に示した。細孔径0.2μmの透過流束が他に比べ全体的に大きな値であった。このとき粘度は濃縮前の発酵乳で3Pa・sであるのに対して、濃縮後(濃縮倍率1.5倍程度)の濃厚発酵乳では19Pa・sとなった。
[実施例4](高温状態における発酵乳の筒型膜処理)
実施例1と同様にして得られた発酵乳を膜処理した。使用した筒型の精密濾過膜(日本ポール社製)は疎水性(材質ceramic)の細孔径0.2、0.5、0.8μmの3種類である。処理流体は発酵乳で6.0kg、濃縮倍率は1.5倍とした。実験開始から任意の時間において積算透過液量および透過流束を測定した。膜面積0.20m2に対して、ポンプの循環流量を160kg/h、操作圧力は300kPaとした。なお、処理流体の温度は35〜45℃となるように制御した。
透過流束と濃縮倍率の関係を図4に示した。細孔径0.8μmの透過流束が他に比べ全体的に大きな値であった。このとき粘度は濃縮前の発酵乳で3Pa・sであるのに対して、濃縮後(濃縮倍率1.5倍程度)の濃厚発酵乳では20Pa・s以上となった。
[実施例5](低温状態における発酵乳の中空糸型膜処理)
実施例1と同様にして得られた発酵乳を膜処理した。使用した中空糸型の精密濾過膜(日本ポール社製)は親水性(材質PES)の細孔径0.2μmの1種類である。処理流体は発酵乳で6.0kg、濃縮倍率は1.5倍とした。実験開始から任意の時間において積算透過液量および透過流束を測定した。膜面積0.20m2に対して、ポンプの循環流量を160kg/h、操作圧力は300kPaとした。なお、処理流体の温度は10〜20℃となるように制御した。
透過流束と濃縮倍率の関係を図5に示した。このとき粘度は濃縮前の発酵乳で3Pa・sであるのに対して、濃縮後(濃縮倍率1.5倍程度)の濃厚発酵乳では13Pa・sとなった。
[実施例6](高温状態における発酵乳の中空糸型膜処理)
実施例1と同様にして得られた発酵乳を膜処理した。使用した中空糸型の精密濾過膜(日本ポール社製)は親水性(材質PES)の細孔径0.2μmの1種類である。処理流体は発酵乳で6.0kg、濃縮倍率は1.5倍とした。実験開始から任意の時間において積算透過液量および透過流束を測定した。膜面積0.20m2に対して、ポンプの循環流量を160kg/h、操作圧力は300kPaとした。なお、処理流体の温度は35〜45℃となるように制御した。
透過流束と濃縮倍率の関係を図5に示した。このとき粘度は濃縮前の発酵乳で3Pa・sであるのに対して、濃縮後(濃縮倍率1.5倍程度)の濃厚発酵乳では20Pa・s以上となった。
実施例1〜6の方法では、濃縮したことで濃厚感が増し、ホエイが取り除かれているので塩味も抑えられ、こくがあり食感(キレ)の良い、すっきりとした味の発酵乳になった。
[比較例1](実施例1の配合で濃縮しない発酵乳の製造)
実施例1の発酵乳について、膜で濃縮していないベースの発酵乳を比較例1とした。濃縮していないので、実施例1と比べると濃厚感が足りず、ボディ感も低かった。
[比較例2](実施例1の膜濃縮前の配合に対して、各組成[固形分、脂肪、無脂乳固形分、 蛋白質、糖質、塩類]を1.5倍になるよう配合を調整した発酵乳の製造)
脱脂粉乳900gとMPC 225gを水7290gに加え、常温で攪拌溶解した。その後、溶解液を50℃まで攪拌しながら加温し、達温後、無塩バター315gを投入した。溶解後70℃まで昇温させ、溶解液を均質機にかけた。均質処理後95℃まで昇温させ、達温後43℃まで冷却した。ここで実施例1と同様のラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の混合スタータを3重量%接種して5分間攪拌した。その後43℃付近で発酵させ、pHが4.7以下になったところで発酵を終了させた。最後に目皿でカード破砕し、濃縮仕込み発酵乳とした。食感(キレ)は良いが、ホエイが除去されていないので食べた後にわずかな塩味を感じ、また濃縮した配合のため、濃厚感が増すものの、比較例1と比較すると若干の粘度の低さがあり全体的にボディ感の低い発酵乳になった。このときの粘度は7Pa・sであった。
[比較例3](安定剤を入れて実施例1と同等の粘度が得られるように調整した発酵乳の製造)
脱脂粉乳1080gを水6831gに加え、常温で攪拌溶解した。その後、溶解液を50℃まで攪拌しながら加温し、達温後、無塩バター324gを投入した。溶解後70℃まで昇温させ、あらかじめ用意しておいたゼラチン溶解液(ゼラチン重量45g、水450g)を投入し、十分に攪拌混合した後、均質機にかけた。均質処理後95℃まで昇温させ、達温後43℃まで冷却した。ここで実施例1と同様のラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の混合スタータを3重量%接種して5分間攪拌した。その後43℃付近で発酵させ、pHが4.7以下になったところで発酵を終了させた。最後に目皿でカード破砕し、安定剤(ゼラチン)により濃厚感を出した発酵乳とした。安定剤を入れたため粘度が上がり濃厚感は出たものの、食感(キレ)の悪い発酵乳になった。このときの粘度は15Pa・sであった。
上記実施例1、ならびに比較例1〜3の各製品について官能による品質評価試験を行った。試験結果を表1に示す。
Figure 2005318855
専門パネル5名による4段階評価:A(最も優れている)〜D(最も劣る)。総合評価は各項目の平均値である。A:4点、B:3点、C:2点、D:1点とし、小数点以下は切り捨てた。この結果に示されるように、本発明の方法によって作られた発酵乳は、濃厚感があり、塩味が抑えられ、食感と風味のよい製品となり、総合評価も高いものになった。一方、他の比較例の製法で作られた発酵乳はいずれも、いくつかの項目での評価が低く、全体的なバランスが悪くなり、結果として総合評価が低くなった。
[比較例4](粘性多糖類産生能の高い乳酸菌を用いて調整した発酵乳の製造)
脱脂濃縮乳(固形分濃度29.5%)5100gと生クリーム1750gを攪拌混合した。その後、混合液を40℃まで攪拌しながら加温し、達温後、砂糖800gを投入した。溶解後95℃まで昇温させ、達温後37℃まで冷却した。ここで粘性多糖類産生能の高いラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus OLL 1073R-1株)とストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus OLS 3290株)の混合スタータを2.5重量%接種して5分間攪拌した。その後37℃付近で発酵させ、乳酸酸度が0.8%になったところで発酵を終了させた。最後に目皿でカード破砕し、粘性多糖類を含有する発酵乳となった。このときの粘度は1Pa・sであった。
発酵後あるいは発酵中に高粘度の発酵食品を膜処理することで、安定剤などを使用することなく、濃厚感が向上され、しかも組織が滑らかな発酵食品を製造できる。このとき濃縮倍率および膜の種類と処理温度との組合せなどを選択することで、物性、食感、風味などを様々に改良するための手段にも適用できる。
低温状態で発酵乳を振動型膜処理したときの、透過流束と濃縮倍率の関係を示すグラフである。 高温状態で発酵乳を振動型膜処理したときの、透過流束と濃縮倍率の関係を示すグラフである。 低温状態で発酵乳をセラミック膜処理したときの、透過流束と濃縮倍率の関係を示すグラフである。 高温状態で発酵乳をセラミック膜処理したときの、透過流束と濃縮倍率の関係を示すグラフである。 低温状態および高温状態で発酵乳を中空糸型膜処理したときの、透過流束と濃縮倍率の関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 発酵乳の製造において、カード形成後、膜処理することを特徴とする、ソフトタイプの発酵乳の製造方法。
  2. 膜処理が、振動型、中空糸型、筒型、板型、回転型の膜処理装置から選ばれる少なくとも一つ以上を用いることを特徴とする、請求項1に記載のソフトタイプの発酵乳の製造方法。
  3. 膜処理により、粘度を10Pa・s以上に調整することを特徴とする、請求項1または2に記載のソフトタイプの発酵乳の製造方法。
  4. 発酵乳が、安定剤を含まないことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のソフトタイプの発酵乳の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の方法によって製造されたソフトタイプの発酵乳。
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