JP2017131153A - 発酵乳の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存中の酸味の増大が抑えられる発酵乳の製造方法を提供する。【解決手段】乳原料を含む調乳液を発酵させて発酵物を得る工程と、前記発酵物を、65℃を超える温度で加熱処理して熱処理発酵物を得る工程と、前記熱処理発酵物を加圧しながら膜分離処理して保持画分を回収する工程と、前記保持画分を用いて発酵乳を調製する工程を有する、発酵乳の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は発酵乳の製造方法に関する。
ヨーグルト等の発酵乳は健康に良い効能を有し、毎日のように食べる食品として定着しているが、発酵乳の風味的な特徴である酸味が好まれない場合がある。
例えば、通常のヨーグルトは生きた乳酸菌を含むため、冷蔵保存中に発酵が進み、食べるときには製品に期待していた風味よりも酸味が強くなってしまう場合がある。
冷蔵保存中の発酵乳の風味変化を低減する方法として、特許文献1には、発酵速度が比較的遅い特定の乳酸菌を用い、発酵乳ミックスをpH4.9〜5.3まで培養した後、カードを均質化して液状発酵乳を製造する方法が記載されている。具体的には、液状発酵乳を製造後、10℃で14日間保存したときのpHの低下が0.3未満である乳酸菌が記載されている。
特開平6−14706号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、発酵速度が遅い特定の乳酸菌を用いても保存中に乳酸発酵が進むため、経時的に酸味が増していく。
本発明は、保存中の酸味の増大を抑制できる発酵乳の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、発酵後に加熱処理して乳酸菌を失活させることによって保存中の酸味の増大(pHの低下)を抑制することに着目したが、酸性の発酵乳を加熱処理すると乳タンパク質の凝集が生じやすく、ぼそぼそとした食感になったり、ざらつきが生じたりして、食感が損なわれることを知見した。
本発明者等はさらに研究を重ねた結果、発酵後に加熱処理した後に膜分離処理を施すことによって、保存中の酸味の増大が抑制されるとともに、なめらかな食感が得られることを見出し、本発明に至った。
[1] 乳原料を含む調乳液を発酵させて発酵物を得る工程と、前記発酵物を、65℃を超える温度で加熱処理して熱処理発酵物を得る工程と、前記熱処理発酵物を加圧しながら膜分離処理して保持画分を回収する工程と、前記保持画分を用いて発酵乳を調製する工程を有する、発酵乳の製造方法。
[2] 前記保持画分の平均粒子径が5〜30μmである、[1]の発酵乳の製造方法。
[3] 前記膜分離処理に供される前記熱処理発酵物の温度が5〜45℃である、[1]または[2]の発酵乳の製造方法。
[4] 前記膜分離処理における操作圧力が0.05〜0.5MPaである、[1]〜[3]のいずれかの発酵乳の製造方法。
[5] 前記膜分離処理を限外濾過膜を用いて行う、[1]〜[4]のいずれかの発酵乳の製造方法。
本発明の発酵乳の製造方法によれば、発酵乳の食感を損なうことなく、保存中の酸味の増大(pHの低下)を抑制できる。
本明細書において、発酵乳の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定した累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径(d50)である。装置はLA−950(HORIBA社製)を用いた。
本明細書において、pHの値は、特に断りがない限り10℃での値である。
本明細書において、粘度の値は、B型粘度計にて、No.4ローターを使用し、回転数60rpmで測定したときの、測定開始から10秒後の値(単位:mPa・s)である。
本明細書において、膜分離処理における操作圧力とは分離膜の一次側に加えられる圧力(ゲージ圧)を意味する。
≪発酵乳の製造方法≫
本発明の発酵乳の製造方法は、乳原料を含む調乳液を発酵させて発酵物を得る工程(以下、発酵工程ともいう。)と、得られた発酵物を加熱処理して熱処理発酵物を得る工程(以下、加熱処理工程ともいう。)と、得られた熱処理発酵物を膜分離処理して保持画分を回収する工程(以下、膜分離処理工程ともいう。)と、得られた保持画分を用いて発酵乳を調製する工程(以下、発酵乳調製工程ともいう。)を有する。
<調乳液>
調乳液は、これに乳酸菌または酵母を含む発酵菌を作用させて発酵させて発酵物とするものであり、乳原料および必要に応じて水を含む。さらに、その他の成分を添加してもよい。
[乳原料]
乳原料は乳由来の原料であり、発酵乳の製造において用いられる公知の乳原料を用いることができる。例えば生乳、牛乳、水牛乳、やぎ乳、羊乳、馬乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、クリーム、バター、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳清タンパク質分離物(WPI)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ミセラカゼインアイソレート(MCI)、ミルクプロテインアイソレート(MPI)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[その他の成分]
その他の成分として、例えば、砂糖、オリゴ糖等の糖類、植物性脂肪、香料、甘味料等の発酵乳の製造において添加される公知の成分を適宜、含有させることができる。甘味料としては、例えばスクラロース、エリスリトール等が挙げられる。
調乳液における無脂乳固形分の含有量は3〜12質量%が好ましい。該無脂乳固形分が3質量%以上であると適度な乳味を呈し、良好な風味が得られる。12質量%以下であると、調乳液を加熱殺菌したときの乳タンパク質の凝集が抑制されやすい。該無脂乳固形分は8〜11質量%がより好ましい。
<発酵菌>
発酵菌は、発酵乳の製造において公知の、乳酸菌、ビフィズス菌、または酵母を使用できる。発酵菌は2種以上組み合せて使用することができる。
発酵菌として乳酸菌スターターを用いることが好ましい。例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラクトコッカス・ラクチス(L.lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)等のヨーグルト製造に通常用いられている乳酸菌スターターの1種または2種以上を用いることが好ましい。乳酸菌スターターを用いる場合、ビフィズス菌スターター、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)等を併用してもよい。これらのスターターは市販品から入手可能である。
<発酵工程>
まず調乳液を調製する。具体的には、乳原料、必要に応じた水、その他の成分等を所定の含有量で混合して溶解する。
次いで、調乳液の加熱殺菌を行うことが好ましい。該加熱殺菌は、発酵乳の製造において一般的な条件で行うことができる。例えば90〜95℃で5〜15分保持する条件、またはこれと同等の殺菌効果が得られる条件でもよい。
調乳液の加熱殺菌後、発酵温度にまで冷却することが好ましい。または加熱殺菌後の調乳液をすぐに発酵させず、一旦タンク等に保存する場合は、加熱殺菌後10℃以下に冷却することが好ましい。
次いで、調乳液に発酵菌を添加し(発酵開始)、発酵温度に保持して発酵させ、発酵物を得る。発酵によりカードが形成される。発酵菌を添加する前に、予め調乳液の温度を所定の発酵温度に調整しておくことが好ましい。発酵菌として、上記に例示した乳酸菌スターターを用いる場合の発酵温度は35〜43℃が好ましい。
乳酸菌による発酵においては酸が生成されるため、発酵が開始された後の調乳液のpHは経時的に低下する。予め設定された到達pHに達したら、得られた発酵物を10℃以下に冷却する。冷却することにより、発酵菌の活性が低下し発酵が抑えられる。10℃以下に冷却された時点を発酵工程の終了時とする。
または、到達pHに達した発酵物を、10℃以下に冷却することなく、直ちに次の加熱処理工程を行ってもよい。この場合は加熱開始時点を発酵工程の終了時とする。
到達pH(発酵物のpH)は4.3〜5.0が好ましく、4.5〜4.9がより好ましい。特に組織がなめらかで良好なカードが形成されやすい点で4.6〜4.9が好ましい。発酵物のpHは、発酵菌の種類、添加量および発酵時間によって調整できる。
発酵物は、発酵により形成されたカードを粉砕した状態で、次の加熱処理工程に供することが好ましい。
<加熱処理工程>
次に、発酵工程で得られた発酵物を、65℃を超える温度で加熱処理して熱処理発酵物を得る。
加熱処理は、バッチ式加熱装置、チューブラー式加熱装置、プレート式加熱装置など、加熱殺菌機として公知の加熱装置を用いて行うことができる。
該加熱処理を行うことにより、発酵菌の増殖および代謝が低下、または停止(失活)し、発酵乳の保存中のpH低下(酸味の増大)が抑制される。一方、該加熱処理によって、発酵物中では乳タンパク質の凝集物が生じ、熱処理発酵物の平均粒子径が増大する。また凝集物が多くなるほど熱処理発酵物の粘度が低下する。
加熱処理温度が、発酵菌の増殖および代謝が停止する温度(失活温度)以上であると、発酵菌の保存中のpH低下をゼロにすることができる。加熱処理温度が高いほど、発酵菌を失活させるために必要な加熱処理時間は短くなる。一方、加熱処理温度が高いほど、また加熱処理時間が長いほど凝集物が多くなる。
加熱処理温度は、例えば70℃以上が好ましい。上限は風味の点で100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。
加熱処理時間は凝集物が多すぎないように設定することが好ましい。例えば2秒以上1分以下の範囲内で設定することが好ましい。
熱処理発酵物の平均粒子径は、膜分離処理後の保持画分のなめらかな食感が得られやすい点で、300μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。該平均粒子径の下限は、本発明を適用することによる効果が大きい点で30μm超が好ましく、50μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましい。
また熱処理発酵物の20℃における粘度は、膜分離処理後の保持画分の良好な粘度が得られやすい点で、30mPa・s以上が好ましく、40mPa・s以上がより好ましく、50mPa・s以上がさらに好ましい。該粘度の上限は、本発明を適用することによる効果が大きい点で300mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、100mPa・s以下がさらに好ましい。
<膜分離処理工程>
次いで、得られた熱処理発酵物を加圧しながら膜分離処理して保持画分と透過画分とに分離し、保持画分を回収する。
膜分離処理法として、例えばイオン交換電気透析など圧力をかけずに膜分離する方法もあるが、本発明では被処理液を加圧しながら膜分離処理する方法を用いる。例えば限外ろ過膜(UF膜)を用いる方法、精密濾過膜(MF膜)を用いる方法、逆浸透膜(RO膜)を用いる方法等が挙げられる。膜分離処理を行うことによる、なめらかさの向上効果および粘度の向上効果が充分に得られやすい点で限外ろ過膜を用いる方法がより好ましい。限外ろ過膜の分画分子量は1,000〜100,000(単位:Da)が好ましく、10,000〜50,000Daがより好ましく、20,000〜30,000Daがさらに好ましい。
膜分離処理に供される熱処理発酵物の温度(膜処理温度)は5〜45℃が好ましく、10〜35℃がより好ましく、15〜25℃がさらに好ましい。5℃以上であると保持画分の粘度が下がりすぎず、良好な粘度が得られやすい。45℃以下であると保持画分の平均粒子径が小さくなりやすい。
膜分離処理に供した熱処理発酵物の質量を、保持画分の質量で除した値で表される処理倍率は、2倍以上であり、2.5倍以上が好ましい。処理倍率が低い方が短時間で処理できるが、処理倍率を高くすることにより保持画分の平均粒子径を小さくできる。処理倍率の上限は特に限定されないが、製造効率の点からは4倍以下が好ましく、3.5倍以下がより好ましい。
膜分離処理における操作圧力(ゲージ圧)は分離効率を高めるという点で0.05MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましい。上限は膜への負荷を軽減するというの点で0.5MPa以下が好ましく、0.4MPa以下がより好ましい。
保持画分の平均粒子径は、食感のなめらかさの点で30μm以下が好ましく、28μm以下がより好ましく、26μm以下がさらに好ましい。該平均粒子径の下限値は、製造効率を高めるという点で5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。
保持画分の粘度は、3000〜10000mPa・sが好ましく、4000〜8000mPa・sがより好ましく、5000〜7000mPa・sがさらに好ましい。上記の粘度範囲であると、食べやすく、良好な濃厚感も得られる。
<発酵乳調製工程>
膜分離処理工程で得られた保持画分は、そのまま容器に充填して発酵乳とすることができる。あるいは、膜分離処理の透過画分を保持画分に混合することにより、保持画分の粘度を調整した後、容器に充填して発酵乳としてもよい。また、容器に充填する前に、別途調製したソースや添加食材と混合して発酵乳としてもよい。
得られた発酵乳は、必要に応じて冷却し、10℃以下とする。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、含有割合を表す「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<原料>
以下の原料を用いた。
脱脂濃縮乳:森永乳業社製、脂肪0.3%、蛋白質12.4%、無脂乳固形分34.6%。
クリーム:森永乳業社製、脂肪45.5%、蛋白質1.6%、無脂乳固形分4.5%。
乳酸菌スターター:クリスチャン・ハンセン社製。ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)の混合培養物。
[実施例1〜実施例4、比較例1、比較例2]
(発酵工程)
脱脂濃縮乳、クリームおよび水を混合して、脂肪含量1.6%、無脂乳固形分9.3%の調乳液を調製した。これを90℃で10分間殺菌し、38℃まで冷却した後、乳酸菌スターターを濃度が1%となるように添加して、38℃で発酵させた。pHが4.8となった時点で、10℃に冷却して発酵を終了させた後、撹拌してカードを粉砕して発酵物(10℃)を得た。発酵時間は約5時間であった。
(加熱処理工程および測定)
プレート式加熱装置を用い、得られた発酵物(10℃)を、表1に示す加熱処理温度および加熱処理時間で加熱した後、20℃に冷却して熱処理発酵物を得た。
熱処理発酵物の平均粒子径および粘度(20℃)を測定した。また熱処理発酵物の100gを60メッシュ(線径0.15mm)のメッシュフィルターでろ過し、フィルター上に残った残渣の質量を測定し凝集物量とした。これらの結果を表1に示す。
(膜分離処理工程および測定)
得られた熱処理発酵物に対して、限外ろ過膜(Alfa−laval社製、分画分子量25,000Da)を用いて膜分離処理を行い、保持画分を回収した。膜処理温度は20℃、操作圧力(ゲージ圧)は0.1MPa、処理倍率は3倍とした。得られた保持画分を目的の発酵乳とした。
発酵乳の平均粒子径および粘度(20℃)を測定した。上記と同様にして発酵乳100g中の凝集物量を測定した。これらの結果を表1に示す。
(発酵乳のpH低下の測定)
各例で得られた発酵乳を10℃で1週間保存し、保存前後にpHを測定した。保存前のpHから保存後のpHを差し引いた差分を求め、1週間後のpH低下量として表1に示す。
[参考例1]
本例では加熱処理工程を行わずに膜分離処理を行った。
すなわち、実施例1と同様に発酵工程を行って得られた発酵物(10℃)を20℃まで加温し、加熱処理を行わずに、実施例1と同様にして膜分離処理を行い、発酵乳を得た。
膜分離処理前の発酵物および膜分離処理後の発酵乳について実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017131153
表1の結果より、発酵物を65℃を超える温度で加熱処理した実施例1〜4では、保存中のpHの低下(酸味の増大)を充分に小さくできた。
また加熱処理温度が60℃以下である比較例1、比較例2に比べて、実施例1〜4は加熱処理後の熱処理発酵物が凝集物を含んでおり、平均粒子径が顕著に大きく、粘度も顕著に低いが、これを膜分離処理した発酵乳(保持画分)では、凝集物量がゼロになり、平均粒子径が十分に小さくなり、粘度が大幅に増大した。
なお、前記の各実施例1〜4について、膜分離処理工程における操作圧力を0.05MPaに変更した以外は発酵工程および加熱処理工程の条件を変更せずに調製した発酵乳(実施例1’〜4’)について平均粒子径を検討したところ、実施例1〜4に比してわずかに大きくなる傾向が確認された。本発明の製造方法における膜分離処理工程の操作圧力は、製造される発酵乳のなめらかさに影響を与える可能性があることが示唆された。
すなわち、実施例1〜4では、発酵乳の食感を損なうことなく、保存中の酸味の増大(pHの低下)を抑制できることが認められた。
参考例1では発酵物に対して加熱処理を行わなかったため、発酵乳中の凝集物量はゼロであり平均粒子径も小さいが、保存中に酸味の増大が生じた。
[実施例5]
実施例1の膜分離処理工程において、膜処理温度を45℃に変更した。
すなわち、実施例1と同様に発酵工程および加熱処理工程を行って得られた熱処理発酵物を45℃まで冷却した。膜処理温度を45℃とした以外は実施例1と同様に膜分離処理を行い、得られた保持画分を目的の発酵乳とした。
得られた発酵乳について、平均粒子径、100g中の凝集物量、および1週間後のpH低下量を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。表2には主な製造条件と、実施例1の結果も合わせて示す(以下、同様)。
[比較例3]
実施例1において、膜分離処理工程を加熱処理工程の前に変更した。
すなわち、実施例1と同様に発酵工程を行って得られた発酵物(10℃)を20℃まで加温し、実施例1と同様の膜分離処理工程を行って保持画分(20℃)を回収した。この保持画分に対して、実施例1の加熱処理工程と同様の条件で加熱処理を行い、20℃に冷却して発酵乳とした。
[比較例4]
実施例5において、膜分離処理工程を加熱処理工程の前に変更した。
すなわち、実施例1と同様に発酵工程を行って得られた発酵物(10℃)を45℃まで加温した。膜処理温度を45℃とした以外は実施例1の膜分離処理工程と同様に膜分離処理を行って保持画分(45℃)を回収した。この保持画分に対して、実施例1の加熱処理工程と同様の条件で加熱処理を行い、20℃に冷却して発酵乳とした。
Figure 2017131153
表2の結果において、実施例1、実施例5と比較例3、比較例4とを対比すると、いずれも保存中のpHの低下はゼロであったが、膜分離処理工程を加熱処理工程の前に行った比較例3、4で得られた発酵乳は、凝集物が多くて平均粒子径が大きく、なめらかさが著しく損なわれた。
これに対して、膜分離処理工程を加熱処理工程の後に行った実施例1、5では、凝集物量がゼロで、平均粒子径が小さい発酵乳が得られた。実施例1と実施例5を比べると、特に膜分離処理工程における膜処理温度が低い実施例1の方が、発酵乳の平均粒子径が小さく、なめらかさが良好であった。

Claims (5)

  1. 乳原料を含む調乳液を発酵させて発酵物を得る工程と、
    前記発酵物を、65℃を超える温度で加熱処理して熱処理発酵物を得る工程と、
    前記熱処理発酵物を加圧しながら膜分離処理して保持画分を回収する工程と、
    前記保持画分を用いて発酵乳を調製する工程を有する、発酵乳の製造方法。
  2. 前記保持画分の平均粒子径が5〜30μmである、請求項1に記載の発酵乳の製造方法。
  3. 前記膜分離処理に供される前記熱処理発酵物の温度が5〜45℃である、請求項1または2に記載の発酵乳の製造方法。
  4. 前記膜分離処理における操作圧力が0.05〜0.5MPaである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発酵乳の製造方法。
  5. 前記膜分離処理を限外濾過膜を用いて行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発酵乳の製造方法。
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